説明

画像形成装置

【課題】誤検知による省エネモードから復帰をなくし、消費電力の低減が図られた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、照度を検知する照度検知手段と、他の端末と通信する通信手段とを有する複数の画像形成装置がある場合に、複数の画像形成装置の照度検出手段で得られた情報を、通信手段により取得し、省エネモードから復帰する制御手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照度センサにより画像形成装置が省エネモードから復帰する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MFP等の画像形成装置であって、照度センサにより、周りが暗くなって夜になったことを検知すると、省エネモードに移行し、翌朝、周りが明るくなると、通常の待機モードに復帰する技術がある。
【0003】
特許文献1では、ユーザの操作性向上の目的で、照度センサにより、周りが暗くなって夜になったことを検知すると、省エネモードに移行し、翌朝、周りが明るくなると、通常の待機モードに復帰するする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1等の、今までの照度センサを用いてユーザを検知できるMFPでは、朝日等でユーザいないにも関わらず、ユーザがいると誤検知し、省エネモードから復帰し、無駄な電力が消耗される問題があった。
【0005】
図8は本発明で解消する課題を説明する図である。
MFP1、2、3は窓とは反対側に配置され、MFP4、5は窓側に配置されている。窓側が東であった場合、夏であれば6時頃には朝日が差し込んでいる可能性が高く、特許文献1の構成ではプリンタD、プリンタEは省エネモードから復帰する。出勤時間が8時のオフィスであれば、6時から8時までの2時間はMFPは待機状態となり、無駄な電力消費が発生する。
【0006】
本発明の目的は、照度センサを用いて照度を検知し、省エネモードの移行、復帰を制御できる画像形成装置において、誤検知による省エネモードから復帰をなくし、消費電力の低減が図られた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、照度を検知する照度検知手段と、他の端末と通信する通信手段とを有する複数の画像形成装置がある場合に、複数の画像形成装置の照度検出手段で得られた情報を、通信手段により取得し、省エネモードから復帰する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、他の端末を登録する登録手段を有し、通信手段で通信が可能な画像形成装置を登録できることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、制御手段は、登録手段で登録されている全ての画像形成装置の照度値を時間tの間隔で取得し、時間s連続で閾値l以上である場合に、省エネモードから復帰することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、制御手段は、登録手段で登録の画像形成装置の中から、選択された画像形成装置の照度値が時間s連続で閾値l以上である場合に、省エネモードから復帰することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、時間sの値はユーザが任意に選択できることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、閾値lの値はユーザが任意に選択できることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、時間tの値はユーザが任意に選択できることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、制御手段は、登録手段で登録されている画像形成装置がパネル操作を受け付けた場合に、省エネモードから復帰することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、朝日等で誤検知し、省エネモードからの立ち上げが実施されるのを防ぐことができ、消費電力の削減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態の搬送ベルトを有するレーザープリンタの全体構成について説明する図である。
【図2】本実施の形態の制御ボードについて説明する図である。
【図3】本実施の形態のネットワーク構成を説明する図である。
【図4】本実施の形態の省エネモード復帰判定制御1のフローチャートである。
【図5】本実施の形態の人の有無を判断する制御について説明する図である。
【図6】本実施の形態のパネルから設定が可能なパラメータについて説明する図である。
【図7】本実施の形態の中間転写ベルトを有するレーザープリンタの全体構成について説明する図である。
【図8】本発明で解消する課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて詳細に説明する。
図1は、搬送ベルトを有するレーザープリンタの全体構成について説明する図である。
【0018】
図1の画像形成装置は、無端状移動手段である搬送ベルト5に沿って各色の画像形成部が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ1から給紙ローラ2と分離ローラ3とにより分離給紙される用紙(記録紙)4を搬送する搬送ベルト5に沿って、この搬送ベルト5の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)6BK、6Y、6M、6Cが配列されている。
【0019】
これら複数の画像形成部6BK、6Y、6M、6Cは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部6BKはブラックの画像を、画像形成部6Yはイエローの画像を、画像形成部6Cはシアンの画像を、画像形成部6Mはマゼンタの画像をそれぞれ形成する。
【0020】
よって、以下の説明では、画像形成部6BKについて具体的に説明するが、他の画像形成部6Y、6M、6Cは画像形成部6BKと同様であるので、その画像形成部6Y、6M、6Cの各構成要素については、画像形成装置6BKの各構成要素に付したBKに替えて、Y、M、Cによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0021】
搬送ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。この駆動ローラ7は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ7と、従動ローラ8とが、無端状移動手段である搬送ベルト5を移動させる駆動手段として機能する。
【0022】
画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は最も上のものから順に送り出され、静電吸着作用により搬送ベルト5に吸着されて回転駆動される搬送ベルト5により最初の画像形成部6BKに搬送され、ここで、ブラックのトナー画像を転写される。
【0023】
画像形成部6BKは、感光体としての感光体ドラム9BK、この感光体ドラム9BKの周囲に配置された帯電器10BK、露光器11、現像器12BK、感光体クリーナ(図示せず)、除電器13BK等から構成されている。この構成では、現像器12BKは感光体ドラム9BKとの離間機構を有していない。露光器11は、各画像形成部6BK、6Y、6M、6Cが形成する画像色に対応する露光ビームであるレーザ光14BK、14Y、14C、14Mを照射するように構成されている。
【0024】
画像形成に際し、感光体ドラム9BKの外周面は、暗中にて帯電器10BKにより一様に帯電された後、露光器11からのブラック画像に対応したレーザ光14BKにより露光され、静電潜像を形成される。現像器12BKは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム9BK上にブラックのトナー画像が形成される。
【0025】
このトナー画像は、感光体ドラム9BKと搬送ベルト5上の用紙4とが接する位置(転写位置)で、転写器15BKの働きにより用紙4上に転写される。この転写により、用紙4上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム9BKは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器13BKにより除電され、次の画像形成のために待機する。
【0026】
以上のようにして、画像形成部6BKでブラックのトナー画像を転写された用紙4は、搬送ベルト5によって次の画像形成部6Yに搬送される。画像形成部6Yでは、画像形成部6BKでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム9Y上にイエローのトナー画像が形成され、そのトナー画像が用紙4上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0027】
用紙4は、さらに次の画像形成部6M、6Cに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム9M上に形成されたマゼンタのトナー画像と、感光体ドラム9C上に形成されたシアンのトナー画像とが、用紙4上に重畳されて転写される。こうして、用紙4上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された用紙4は、搬送ベルト5から剥離されて定着器16にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0028】
以上のような構成の画像形成装置では、待機状態を維持するために、常に定着16の温度を一定に保つ必要がある。人がおらず、印刷されることがないと考えられる場合においても、待機状態への移行すると、定着16の制御により、消費電力が大きくなる。
【0029】
図2は、本実施の形態の制御ボードについて説明する図である。
制御ボードは画像展開や、ユーザインターフェース制御等を行う制御ボード23CTLと、展開された画像情報を元に印刷を行う制御ボード23EGBをデータバス24で繋いだ構成になっている。I/Oポート26CTLに入力された情報は、データバス27CTLでCPU25CTLとRAM28CTLに送られる。また、CPU26CTLはI/Oポート26CTLにデータバス27CTLを通して出力情報を送る。制御ボード23EGBに関しても同様の制御が行われる。また、データバス24は制御ボード23CTLと制御ボード23EGB間でのデータの送受信を行うインターフェースとなっている。これらの制御プログラムはそれぞれROM29CTL、29EGBに格納されている。照度センサ30の情報はI/Oポート27CTLを介して、CPU26CTLに送られる。
【0030】
図3は、本実施の形態のネットワーク構成を説明する図である。
複数のプリンタが1つのネットワークで接続されており、照度値を共有することが可能となっている。
【0031】
図4は本実施の形態の省エネモード復帰判定制御1のフローチャートである。このフローチャートではあるMFPの省エネモード復帰f1−1でパネル操作の有無を判定する。パネル操作があれば、人が近くにいると判断しf1−8へ移行し、MFPの立ち上げを開始する。パネル操作が無い場合はf1−2へ遷移し、登録されている全てのMFPから照度値を取得する。
f1−3で登録されているn台のMFPの周辺が明るいか判定する。f1−4ではあるMFPiの照度値が時間s連続で閾値l以上か判定する。該当する場合はf1−5でMFPiの周辺は明るいと判定する。この処理をn台のMFPに対して実施し、f1−6で登録している全てのMFPの周辺が明るいと判断される場合はf1−8で印刷の立ち上げを開始する。
f1−6で登録されているMFPの1つでも周辺が暗い場合はf1−7でt時間ウエイトの後、f1−1より再度制御を開始する。
【0032】
登録しているMFP全ての照度値から判定しているため、復帰の条件は厳しいが、朝、出勤してからオフィス全体を明るくすることが確実な場合は、この設定にしておくことで、無駄な消費電力は削減できる。
【0033】
図5は、本実施の形態の人の有無を判断する制御について説明する図である。
省エネモード復帰判定制御のフローチャートである。
【0034】
f2−1でパネル操作の有無を判定する。パネル操作があれば、人が近くにいると判断しf2−9へ移行し、MFPの立ち上げを開始する。パネル操作が無い場合はf2−2へ遷移し、選択されているMFPから照度値を取得する。f2−3で選択されているn台のMFPの周辺が明るいか判定する。f2−4では選択されているMFPかを判定し、f2−5でMFPiの照度値が時間s連続で閾値l以上か判定する。該当する場合はf2−6でMFPiの周辺は明るいと判定する。この処理をn台のMFPに対して実施し、f2−7で選択している全てのMFPの周辺が明るいと判断される場合はf2−9で印刷の立ち上げを開始する。
f2−7で選択されているMFPの1つでも周辺が暗い場合はf2−8でt時間ウエイトの後、f2−1より再度制御を開始する。
【0035】
登録している任意のMFP照度値から判定しているため、特定のMFPに省エネモード復帰の判断は左右される。朝、出勤してからオフィス一部分のみ明るくする場合は、この設定にしておくことで、無駄な消費電力は削減できる。
【0036】
時間s連続で閾値l以上であるか判断するのは、外乱(エレキ的なノイズや警備員の懐中電灯の明かりを検知)によって一時的に照度値が閾値l以上になった場合にそれだけでMFP周辺が明るくなったと判断させないためである。
【0037】
図6は、本実施の形態のパネルから設定が可能なパラメータについて説明する図である。
【0038】
照度値は0から1023の値で照度センサから値を取得する。閾値lは3段階で設定が可能であり、レベル1が100、レベル2が200、レベル3が300である。オフィスが常時暗めである場合はレベル1を、明るめであればレベル3をというように、使用されるオフィスの環境に応じて、ユーザが任意にレベルを設定することができる。
【0039】
時間sは3段階で設定が可能であり、短いが5min、普通が15min、長いが30minである。短いを設定された場合には、省エネモードからの復帰判定は早くなるが、外乱を誤検知する可能性も高くなる。使用されるオフィスの環境に応じて、ユーザが任意に設定することができる。
【0040】
時間tは3段階で設定が可能であり、短いが1min、普通が5min、長いが10minである。短いを設定した場合には、照度値のサンプル数が増えるため明るいと判定する精度が向上するが、通信量が増え、印刷時画像データの遅延を引き起こす場合がある。ユーザが任意に設定することができる。
【0041】
図7は、中間転写ベルトを有するレーザープリンタの全体構成について説明する図である。
図7の画像形成装置は、図1の解説に対して、各色のトナー画像が、感光体ドラム9BK、9Y、9M、9Cと中間転写ベルト5とが接する位置(1次転写位置)で、転写器15BK、15Y、15M、15Cの働きにより中間転写ベルト5上に転写される。この転写により、中間転写ベルト5上に各色のトナーによる画像が重ね合わされたフルカラー画像が形成される。
【0042】
画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は最も上のものから順に送り出され、中間転写ベルト5上に搬送され、中間転写ベルト5と用紙4とが接する位置(2次転写位置)にて、フルカラーのトナー画像を転写される。
なお、図2から図7までに記載の搬送ベルト5を中間転写ベルト5に置き換えても同様の制御が可能である。
【0043】
上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 給紙トレイ
2 給紙ローラ
3 分離ローラ
4 用紙
5 搬送ベルト
6 画像形成部
7 駆動ローラ
8 従動ローラ
9 感光体ドラム
10 帯電器
11 露光器
12 現像器
13 除電器
14 レーザ光
15 転写器
16 定着器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2004−248047号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照度を検知する照度検知手段と、
他の端末と通信する通信手段と
を有する複数の画像形成装置がある場合に、
前記複数の画像形成装置の前記照度検出手段で得られた情報を、前記通信手段により取得し、省エネモードから復帰する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記他の端末を登録する登録手段を有し、
前記通信手段で通信が可能な前記画像形成装置を登録できることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記登録手段で登録されている全ての前記画像形成装置の照度値を時間tの間隔で取得し、時間s連続で閾値l以上である場合に、前記省エネモードから復帰することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記登録手段で登録の前記画像形成装置の中から、選択された画像形成装置の照度値が時間s連続で閾値l以上である場合に、前記省エネモードから復帰することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記時間sの値はユーザが任意に選択できることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記閾値lの値はユーザが任意に選択できることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記時間tの値はユーザが任意に選択できることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記登録手段で登録されている前記画像形成装置がパネル操作を受け付けた場合に、前記省エネモードから復帰することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−123248(P2012−123248A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274670(P2010−274670)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】