説明

画像形成装置

【課題】 省エネ性能を従来より向上することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 通常状態と、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有するMFP20は、状態を変更する状態管理部41と、状態の変更の判断のための値である判断値を記憶する判断値カウンタ43と、判断値カウンタ43に記憶されている判断値を変更し、判断値カウンタ43に記憶されている判断値に基づいて状態管理部41に状態を変更させるか否かを判断する状態予測部42とを備えており、状態予測部42は、MFP20に印刷の要求を行うPCの状況に応じた変更量を判断値に加えることによって、判断値を変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態に移行することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態に移行することができる画像形成装置として、画像形成装置に印刷の要求を行う情報端末において印刷プレビュー画面を開くなどの予測条件に該当する動作が省エネ状態中に行われたときに、定着ヒータの点灯などの通常状態への事前復帰動作を行う画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。従来の画像形成装置は、事前復帰動作を行うことによって、実際に情報端末から印刷の要求を受け取ったときに、短時間で通常状態に復帰して印刷を開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−70653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、利用者は、情報端末において予測条件に該当する動作を省エネ状態中に行ったとしても、種々の事情によって即座に情報端末から印刷の要求を画像形成装置に送らない場合が少なからずある。
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置は、予測条件に該当する動作が省エネ状態中に行われたときに必ず事前復帰動作を行うので、結果的に省エネにならない場合があるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、省エネ性能を従来より向上することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置であって、前記状態を変更する状態変更手段と、前記状態の変更の判断のための値である判断値を記憶する判断値記憶手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値を変更する判断値変更手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に基づいて前記状態変更手段に前記状態を変更させるか否かを判断する状態変更判断手段とを備えており、前記判断値変更手段は、前記画像形成装置に印刷の要求を行う情報端末の状況に応じた変更量を前記判断値に加えることによって、前記判断値を変更することを特徴とする。
【0008】
この構成により、本発明の画像形成装置は、情報端末の状況に応じて従来より複雑に状態の変更を判断することができるので、省エネ性能を従来より向上することができる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の前記判断値変更手段は、前記状況の種類に応じて前記変更量を変更しても良い。
【0010】
この構成により、本発明の画像形成装置は、情報端末の状況の種類によって状態の変更への影響に軽重を付けることができるので、省エネ性能を向上することができる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置の前記判断値変更手段は、前記変更量を時間帯によって変更しても良い。
【0012】
この構成により、本発明の画像形成装置は、時間帯によって状態の変更への影響に軽重を付けることができるので、省エネ性能を向上することができる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置の前記状況は、起動中の前記情報端末の数を含んでおり、前記判断値変更手段は、起動中の前記情報端末の数に応じて前記変更量を変更しても良い。
【0014】
この構成により、本発明の画像形成装置は、起動中の情報端末の数によって状態の変更への影響に軽重を付けることができるので、省エネ性能を向上することができる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置の前記状況は、起動中の前記情報端末の利用者を含んでおり、前記判断値変更手段は、起動中の前記情報端末の利用者に応じて前記変更量を変更しても良い。
【0016】
この構成により、本発明の画像形成装置は、起動中の情報端末の利用者によって状態の変更への影響に軽重を付けることができるので、省エネ性能を向上することができる。
【0017】
また、本発明の画像形成装置の前記状況は、前記情報端末による印刷関連の動作である印刷関連動作と、前記情報端末によって前記印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間とを含んでおり、前記印刷関連動作に応じた前記変更量は、正の数および負の数の一方であり、前記経過時間に応じた前記変更量は、正の数および負の数の他方であっても良い。
【0018】
この構成により、本発明の画像形成装置は、情報端末による印刷関連動作に応じて変更した状態を、情報端末によって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間に応じて自動的に戻すことができるので、省エネ性能を向上することができる。
【0019】
また、本発明の画像形成装置の前記判断値変更手段は、前記経過時間に応じて前記変更量を変更しても良い。
【0020】
この構成により、本発明の画像形成装置は、情報端末によって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間によって状態の変更への影響に軽重を付けることができるので、省エネ性能を向上することができる。
【0021】
また、本発明の画像形成システムは、通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置と、前記画像形成装置に印刷の要求を行う情報端末とを備えている画像形成システムであって、前記状態を変更する状態変更手段と、前記状態の変更の判断のための値である判断値を記憶する判断値記憶手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値を変更する判断値変更手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に基づいて前記状態変更手段に前記状態を変更させるか否かを判断する状態変更判断手段とを備えており、前記判断値変更手段は、前記情報端末の状況に応じた変更量を前記判断値に加えることによって、前記判断値を変更することを特徴とする。
【0022】
この構成により、本発明の画像形成システムは、情報端末の状況に応じて従来より複雑に状態の変更を判断することができるので、省エネ性能を従来より向上することができる。
【0023】
また、本発明の省エネプログラムは、通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置を、前記状態を変更する状態変更手段、前記状態の変更の判断のための値である判断値を記憶する判断値記憶手段、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値を変更する判断値変更手段、および、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に基づいて前記状態変更手段に前記状態を変更させるか否かを判断する状態変更判断手段として機能させるための省エネプログラムであって、前記判断値変更手段は、前記画像形成装置に印刷の要求を行う情報端末の状況に応じた変更量を前記判断値に加えることによって、前記判断値を変更することを特徴とする。
【0024】
この構成により、本発明の省エネプログラムを実行する画像形成装置は、情報端末の状況に応じて従来より複雑に状態の変更を判断することができるので、省エネ性能を従来より向上することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の画像形成装置は、省エネ性能を従来より向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムのブロック図である。
【図2】図1に示すMFPのブロック図である。
【図3】図2に示す不揮発性記憶装置に記憶されたテーブルであって、起動中のPCの数と、判断値の変更量との関係を表すテーブルを示す図である。
【図4】図2に示す不揮発性記憶装置に記憶されたテーブルであって、起動中のPCの利用者と、判断値の変更量との関係を表すテーブルを示す図である。
【図5】図2に示す不揮発性記憶装置に記憶されたテーブルであって、PCによる印刷関連動作の種類と、判断値の変更量との関係を表すテーブルを示す図である。
【図6】図2に示す不揮発性記憶装置に記憶されたテーブルであって、PCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間と、判断値の変更量との関係を表すテーブルを示す図である。
【図7】図1に示すPCのブロック図である。
【図8】判断値カウンタの値を変更するときの図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図9】状態を変更するときの図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0028】
まず、本実施の形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
【0029】
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム10のブロック図である。
【0030】
図1に示すように、画像形成システム10は、本発明の画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)20と、本発明の情報端末としてのPC(Personal Computer)70を含む複数のPCとを備えている。MFP20および複数のPCは、LAN(Local Area Network)などのネットワーク経由で互いに通信可能に接続されている。
【0031】
MFP20は、印刷可能な通常状態と、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態であるライトスリープ状態と、通常状態およびライトスリープ状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態であるディープスリープ状態との3つの状態を有している。ライトスリープ状態は、通常状態への復帰がディープスリープ状態よりも速い。
【0032】
図2は、MFP20のブロック図である。
【0033】
図2に示すように、MFP20は、通常状態において画像処理を行って省エネ状態において画像処理を行うことができないメインコントローラ30と、省エネ状態においてMFP20を制御する省エネコントローラ40と、メインコントローラ30に接続されていて用紙などの記録媒体に印刷を実行するプリンタ51と、メインコントローラ30に接続されていて原稿を読み込んで画像データを生成する読込デバイスであるスキャナ52と、省エネコントローラ40に接続されていて利用者によって種々の操作が入力される操作部61と、省エネコントローラ40に接続されていて種々の情報を表示するディスプレイ62と、省エネコントローラ40に接続されていてMFP20の電源切断時にも内蔵電池によって時間を計るRTC(Real Time Clock)63と、省エネコントローラ40に接続されていてPCなどの外部の装置とネットワーク経由でネットワーク通信を行うネットワーク通信部64と、省エネコントローラ40に接続されているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性記憶装置65とを備えている。
【0034】
メインコントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられる書き換え可能な揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。メインコントローラ30は、ライトスリープ状態であるとき完全には電源が切断されないが、ディープスリープ状態であるとき完全に電源が切断される。
【0035】
省エネコントローラ40は、CPUと、本発明の省エネプログラムを含むプログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられる書き換え可能な揮発性の記憶装置であるRAMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。省エネコントローラ40は、省エネプログラムを実行することによって、MFP20の状態を管理する状態管理部41、MFP20の状態を予測する状態予測部42、および、MFP20の状態の変更の判断のための値である判断値を記憶する本発明の判断値記憶手段としての判断値カウンタ43として機能する。
【0036】
状態管理部41は、MFP20の状態を変更するようになっており、本発明の状態変更手段を構成している。
【0037】
状態予測部42は、判断値カウンタ43に記憶されている判断値を変更するようになっており、本発明の判断値変更手段を構成している。また、状態予測部42は、判断値カウンタ43に記憶されている判断値に基づいて、状態管理部41にMFP20の状態を変更させるか否かを判断するようになっており、本発明の状態変更判断手段を構成している。
【0038】
判断値カウンタ43は、最低値が0であり、最高値が100である整数のカウンタである。
【0039】
プリンタ51は、例えば、スキャナ52によって生成された画像データや、外部の装置からネットワーク通信部64を介して受信された印刷データなどの各種のデータを印刷する印刷デバイスである。
【0040】
操作部61は、ディスプレイ62とともにタッチパネルを形成するボタンなどの入力デバイスである。
【0041】
ディスプレイ62は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである。
【0042】
ネットワーク通信部64は、例えば、スキャナ52によって生成された画像データを外部の装置に送信したり、プリンタ51で印刷されるための印刷データを外部の装置から受信したりする。
【0043】
図3は、不揮発性記憶装置65に記憶されたテーブルであって、起動中のPCの数と、判断値の変更量との関係を表すテーブルを示す図である。図4は、不揮発性記憶装置65に記憶されたテーブルであって、起動中のPCの利用者と、判断値の変更量との関係を表すテーブルを示す図である。図5は、不揮発性記憶装置65に記憶されたテーブルであって、PCによる印刷関連動作の種類と、判断値の変更量との関係を表すテーブルを示す図である。図6は、不揮発性記憶装置65に記憶されたテーブルであって、PCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間と、判断値の変更量との関係を表すテーブルを示す図である。
【0044】
不揮発性記憶装置65は、状態予測部42によって使用される例えば図3〜図6に示すテーブルを記憶している。
【0045】
図7は、PC70のブロック図である。
【0046】
図7に示すように、PC70は、コントローラ80と、コントローラ80に接続されていて利用者によって種々の操作が入力される操作部91と、コントローラ80に接続されていて種々の情報を表示するディスプレイ92と、コントローラ80に接続されていてMFP20などの外部の装置とネットワーク経由でネットワーク通信を行うネットワーク通信部93とを備えている。
【0047】
コントローラ80は、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられる書き換え可能な揮発性の記憶装置であるRAMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。コントローラ80は、プログラムとしてMFP20用のドライバ又はユーティリティを実行することによって、印刷関連動作を実行したか否かを判断する印刷関連動作判断部81として機能する。
【0048】
なお、画像形成システム10の複数のPCのうちPC70以外のPCの構成は、PC70の構成と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0049】
次に、画像形成システム10の動作について説明する。
【0050】
MFP20の状態予測部42は、MFP20用のドライバ又はユーティリティがインストールされたPCをネットワーク通信部64を介して定期的に探索する。したがって、状態予測部42は、PCの状況として、起動中のPCの数と、起動中のPCの利用者とを取得することができる。
【0051】
PC70の印刷関連動作判断部81は、PC70において印刷関連動作を実行したと判断する度に、実行した印刷関連動作の種類をネットワーク通信部93を介してMFP20に送信する。PC70について説明したが、画像形成システム10の複数のPCのうちPC70以外のPCについても同様である。したがって、MFP20の状態予測部42は、PCの状況として、PCによる印刷関連動作を取得することができる。また、状態予測部42は、PCによる印刷関連動作を取得することができるので、取得した印刷関連動作と、RTC63から取得する時刻とに基づいて、PCの状況として、PCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間を取得することができる。
【0052】
図8は、判断値カウンタ43の値を変更するときのMFP20の動作のフローチャートである。
【0053】
図8に示すように、MFP20の状態予測部42は、PCの状況に変化があったと判断するまで、PCの状況に変化があったか否かを判断する(S101)。
【0054】
状態予測部42は、PCの状況に変化があったとS101において判断すると、判断値カウンタ43の値を変更する(S102)。
【0055】
例えば、状態予測部42は、起動中のPCの数に変化があったとS101において判断すると、図3に示すテーブルに基づいて判断値カウンタ43の値をS102において変更する。具体的には、起動中のPCの数が0台から1台に増えると、起動中のPCの数が0台のときの判断値の変更量が0であり、起動中のPCの数が1台のときの判断値の変更量が+10であるので、状態予測部42は、判断値カウンタ43の値を差分の10だけ増加させる。一方、起動中のPCの数が11台から5台に減ると、起動中のPCの数が11台のときの判断値の変更量が+20であり、起動中のPCの数が5台のときの判断値の変更量が+10であるので、状態予測部42は、判断値カウンタ43の値を差分の10だけ減少させる。
【0056】
また、状態予測部42は、起動中のPCの利用者に変化があったとS101において判断すると、図4に示すテーブルに基づいて判断値カウンタ43の値をS102において変更する。具体的には、起動中のPCの利用者として、印刷頻度が普通の利用者が1人増えると、印刷頻度が普通の利用者に対する判断値の変更量が+2であるので、状態予測部42は、判断値カウンタ43の値を2増加させる。一方、起動中のPCの利用者として、印刷頻度が高い利用者が1人減ると、印刷頻度が高い利用者に対する判断値の変更量が+4であるので、状態予測部42は、判断値カウンタ43の値を4減少させる。なお、印刷頻度は、利用者毎に不揮発性記憶装置65に予め登録されている。
【0057】
また、状態予測部42は、起動中のPCの印刷関連動作に変化があったとS101において判断すると、図5に示すテーブルに基づいて判断値カウンタ43の値をS102において変更する。具体的には、起動中のPCの印刷関連動作として印刷プレビューの表示が行われると、印刷プレビューの表示に対する判断値の変更量が+20であるので、状態予測部42は、判断値カウンタ43の値を20増加させる。また、起動中のPCの印刷関連動作としてプリントドライバで用紙サイズの変更が行われると、プリントドライバでの用紙サイズの変更に対する判断値の変更量が+15であるので、状態予測部42は、判断値カウンタ43の値を15増加させる。
【0058】
また、状態予測部42は、起動中のPCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間に変化があったとS101において判断すると、図6に示すテーブルに基づいて判断値カウンタ43の値をS102において変更する。具体的には、現在時刻がAM8:00であって、起動中のPCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間が5分目に達すると、現在時刻がAM8:00であって、起動中のPCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間が5分目に達したときの判断値の変更量が−2であるので、状態予測部42は、判断値カウンタ43の値を2減少させる。また、現在時刻がAM8:05であって、起動中のPCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間が10分目に達すると、現在時刻がAM8:05であって、起動中のPCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間が10分目に達したときの判断値の変更量が−8であるので、状態予測部42は、判断値カウンタ43の値を8減少させる。
【0059】
なお、状態予測部42は、S102において、判断値カウンタ43の値が下限である0に達すると、それ以上は判断値カウンタ43の値を下げないし、判断値カウンタ43の値が上限である100に達すると、それ以上は判断値カウンタ43の値を上げない。
【0060】
状態予測部42は、S102の処理を実行すると、再びS101の処理を実行する。
【0061】
図9は、状態を変更するときのMFP20の動作のフローチャートである。
【0062】
MFP20の状態予測部42は、図8に示す処理と並行して、図9に示す処理も実行している。
【0063】
図9に示すように、状態予測部42は、判断値カウンタ43の値に変化があったと判断するまで、判断値カウンタ43の値に変化があったか否かを判断する(S111)。
【0064】
状態予測部42は、判断値カウンタ43の値に変化があったとS111において判断すると、判断値カウンタ43の値が0〜10であるか否かを判断する(S112)。
【0065】
状態予測部42は、判断値カウンタ43の値が0〜10であるとS112において判断すると、MFP20の現在の状態がディープスリープ状態であるか否かを判断する(S113)。
【0066】
状態予測部42は、MFP20の現在の状態がディープスリープ状態ではないとS113において判断すると、状態管理部41にMFP20の状態をディープスリープ状態に移行させて(S114)、再びS111の処理に戻る。一方、状態予測部42は、MFP20の現在の状態がディープスリープ状態であるとS113において判断すると、S114の処理を実行せずに、再びS111の処理に戻る。
【0067】
状態予測部42は、判断値カウンタ43の値が0〜10ではないとS112において判断すると、判断値カウンタ43の値が11〜80であるか否かを判断する(S115)。
【0068】
状態予測部42は、判断値カウンタ43の値が11〜80であるとS115において判断すると、MFP20の現在の状態がライトスリープ状態であるか否かを判断する(S116)。
【0069】
状態予測部42は、MFP20の現在の状態がライトスリープ状態ではないとS116において判断すると、状態管理部41にMFP20の状態をライトスリープ状態に移行させて(S117)、再びS111の処理に戻る。一方、状態予測部42は、MFP20の現在の状態がライトスリープ状態であるとS116において判断すると、S117の処理を実行せずに、再びS111の処理に戻る。
【0070】
状態予測部42は、判断値カウンタ43の値が11〜80ではないとS115において判断すると、MFP20の現在の状態が通常状態であるか否かを判断する(S118)。
【0071】
状態予測部42は、MFP20の現在の状態が通常状態ではないとS118において判断すると、状態管理部41にMFP20の状態を通常状態に移行させて(S119)、再びS111の処理に戻る。一方、状態予測部42は、MFP20の現在の状態が通常状態であるとS118において判断すると、S119の処理を実行せずに、再びS111の処理に戻る。
【0072】
以上に説明したように、MFP20は、MFP20に印刷の要求を行うPCの状況に応じた変更量を判断値カウンタ43の値に加えることによって、判断値カウンタ43の値を変更するので、PCの状況に応じて従来より複雑に状態の変更を判断することができる。したがって、MFP20は、省エネ性能を従来より向上することができる。
【0073】
また、MFP20は、図3〜図6に示すように、PCの状況の種類に応じて判断値カウンタ43の値の変更量を変更するので、PCの状況の種類によって状態の変更への影響に軽重を付けることができる。したがって、MFP20は、省エネ性能を向上することができる。
【0074】
具体的には、MFP20は、図3に示すように、起動中のPCの数に応じて判断値カウンタ43の値の変更量を変更するので、起動中のPCの数によって状態の変更への影響に軽重を付けることができる。
【0075】
また、MFP20は、図4に示すように、起動中のPCの利用者に応じて判断値カウンタ43の値の変更量を変更するので、起動中のPCの利用者によって状態の変更への影響に軽重を付けることができる。
【0076】
また、MFP20は、図5に示すように、起動中のPCの印刷関連動作の種類に応じて判断値カウンタ43の値の変更量を変更するので、起動中のPCの印刷関連動作の種類によって状態の変更への影響に軽重を付けることができる。
【0077】
また、MFP20は、図6に示すように、PCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間に応じて判断値カウンタ43の値の変更量を変更するので、PCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間によって状態の変更への影響に軽重を付けることができる。
【0078】
また、MFP20は、図6に示すように、PCの状況に応じた判断値カウンタ43の値の変更量を時間帯によって変更するので、MFP20が頻繁に使用される可能性が高い時間帯に判断値カウンタ43の値の減少量を少なくして、MFP20が頻繁に使用される可能性が低い時間帯に判断値カウンタ43の値の減少量を大きくするなど、時間帯によって状態の変更への影響に軽重を付けることができる。
【0079】
また、MFP20は、図5に示すように、PCによる印刷関連動作に応じた変更量が正の数であり、図6に示すように、PCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間に応じた変更量が負の数であるので、PCによる印刷関連動作に応じて変更した状態を、PCによって印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間に応じて自動的に戻すことができる。したがって、MFP20は、省エネ性能を向上することができる。
【0080】
なお、MFP20は、利用者からの指示に応じて、図8や図9に示す処理を停止するようになっていても良い。MFP20がそのようになっている場合、利用者は、MFP20の状態を通常状態のまま使用したいときや、MFP20とPCとの間の頻繁な通信によってネットワークの負荷を重くしたくないときなど、MFP20に図8や図9に示す処理を停止させることができる。
【0081】
また、MFP20は、上述した種々の状況以外のPCの状況に応じて判断値カウンタ43の値を変更するようになっていても良い。
【0082】
また、MFP20は、判断値カウンタ43の最小値や最大値、利用者毎に登録されている印刷頻度、図3〜図6に示すテーブル中の各設定値、S112やS115における判断に使用される判断値カウンタの値など、各種の設定値を例えば操作部61を介して利用者に設定させることができる。
【0083】
また、画像形成システム10は、上述した構成以外の構成であっても良い。例えば、画像形成システム10は、状態予測部42、判断値カウンタ43および不揮発性記憶装置65の少なくとも1つに相当する構成を、複数のPCのうちの1つのPCなど、MFP20の外部のコンピュータが備えるようになっていても良い。
【0084】
また、本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、コピー機、プリンタなど、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【0085】
また、本発明の情報端末は、本実施の形態においてPCであるが、PC以外の情報端末であっても良い。
【符号の説明】
【0086】
10 画像形成システム
20 MFP(画像形成装置)
41 状態管理部(状態変更手段)
42 状態予測部(判断値変更手段、状態変更判断手段)
43 判断値カウンタ(判断値記憶手段)
70 PC(情報端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置であって、
前記状態を変更する状態変更手段と、前記状態の変更の判断のための値である判断値を記憶する判断値記憶手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値を変更する判断値変更手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に基づいて前記状態変更手段に前記状態を変更させるか否かを判断する状態変更判断手段とを備えており、
前記判断値変更手段は、前記画像形成装置に印刷の要求を行う情報端末の状況に応じた変更量を前記判断値に加えることによって、前記判断値を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判断値変更手段は、前記状況の種類に応じて前記変更量を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断値変更手段は、前記変更量を時間帯によって変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記状況は、起動中の前記情報端末の数を含んでおり、
前記判断値変更手段は、起動中の前記情報端末の数に応じて前記変更量を変更することを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記状況は、起動中の前記情報端末の利用者を含んでおり、
前記判断値変更手段は、起動中の前記情報端末の利用者に応じて前記変更量を変更することを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記状況は、前記情報端末による印刷関連の動作である印刷関連動作と、前記情報端末によって前記印刷関連動作が行われなくなってからの経過時間とを含んでおり、
前記印刷関連動作に応じた前記変更量は、正の数および負の数の一方であり、
前記経過時間に応じた前記変更量は、正の数および負の数の他方であることを特徴とする請求項1から請求項5までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判断値変更手段は、前記経過時間に応じて前記変更量を変更することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置と、前記画像形成装置に印刷の要求を行う情報端末とを備えている画像形成システムであって、
前記状態を変更する状態変更手段と、前記状態の変更の判断のための値である判断値を記憶する判断値記憶手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値を変更する判断値変更手段と、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に基づいて前記状態変更手段に前記状態を変更させるか否かを判断する状態変更判断手段とを備えており、
前記判断値変更手段は、前記情報端末の状況に応じた変更量を前記判断値に加えることによって、前記判断値を変更することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置を、
前記状態を変更する状態変更手段、前記状態の変更の判断のための値である判断値を記憶する判断値記憶手段、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値を変更する判断値変更手段、および、前記判断値記憶手段に記憶されている前記判断値に基づいて前記状態変更手段に前記状態を変更させるか否かを判断する状態変更判断手段として機能させるための省エネプログラムであって、
前記判断値変更手段は、前記画像形成装置に印刷の要求を行う情報端末の状況に応じた変更量を前記判断値に加えることによって、前記判断値を変更することを特徴とする省エネプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−125949(P2012−125949A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277251(P2010−277251)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】