説明

画像形成装置

【課題】 ユーザーの使用目的にあわせてカートリッジを使い分けることができる画像形成装置において、画像形成装置の構成を簡略化すること。
【解決手段】 複数のカートリッジで構成されるカートリッジ群を装着するためのガイド部と、複数の装着領域を占めるような代替カートリッジのガイド部とを共通化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジが取り外し可能に装着される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を用いた画像形成装置では、帯電装置にて一様均一に帯電された像担持体(以下、感光体ドラム)を露光装置にて選択的に露光することで感光体ドラム上に潜像を形成する。現像装置にて潜像を現像剤(トナー)で現像し、現像された像を記録媒体に転写し、更に定着装置にて記録媒体上の転写像を加圧・加熱定着させることで画像記録を行う。
【0003】
上記の電子写真方式を用いて多色画像を形成する装置構成の一つとして、特許文献1に示すように、いわゆる4パス方式が提案・実用化されている。1つの感光体ドラムの周囲に、色の異なる現像剤を収容した複数の固定式の現像装置を配置し、感光体ドラムを用いて複数色のカラー画像を順次形成する。そして、カラー画像を中間転写体上に順次積層した後、記録媒体に一度に転写することにより多色画像を得る方式である。
【0004】
このような電子写真画像形成装置においては、装置の使用に伴い、トナーの補給や部品の調整・交換などのメンテナンス作業が必要となる。このメンテナンス作業を容易とする手段として、例えばトナーと現像装置を現像カートリッジとしてユニット化し、該現像カートリッジを画像形成装置に対して着脱自在とする構成が実用化されている。
【0005】
また、特許文献2に示されるように、標準容量画像形成部の装着空間を利用して大容量画像形成部を装着可能としたことを特徴とする画像形成装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4307517号
【特許文献2】特開2010−078955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術をさらに発展させたものである。本発明の目的は、ユーザーの使用目的にあわせてカートリッジを使い分けることができる画像形成装置において、画像形成装置の構成を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、記録媒体を搬送する搬送手段を有する装置本体と、それぞれ静電潜像を可視像化するための現像剤を収納可能な現像剤収容部を有し、前記装置本体に同時に装着可能な複数のカートリッジで構成されるカートリッジ群と、静電潜像を可視像化するための現像剤を収納可能な現像剤収容部を有し、前記カートリッジ群の前記現像剤収容部よりも容積の大きい前記現像剤収容部を備える代替カートリッジと、を備え、前記カートリッジ群と前記代替カートリッジを前記装置本体に装着可能な画像形成装置において、前記装置本体は互いに隣接して設けられた複数の装着領域と、前記装着領域のそれぞれの両端に設けられた複数のガイド部と、を有し、前記カートリッジ群を構成する前記カートリッジそれぞれは前記ガイド部に係合可能な被ガイド部を有し、該被ガイド部を前記ガイド部に係合させて前記カートリッジを前記装置本体に装着可能であり、前記カートリッジ群が前記装置本体に装着されたとき、前記カートリッジ群を構成する前記カートリッジはそれぞれ対応する前記装着領域の容積を占め、前記代替カートリッジは前記ガイド部に係合可能な被ガイド部を有し、該被ガイド部を前記ガイド部に係合させて前記代替カートリッジを前記装置本体に装着可能であり、前記代替カートリッジが前記装置本体に装着されたとき、前記代替カートリッジは複数の前記装着領域の容積を占め、前記代替カートリッジの前記ガイド部は、前記カートリッジ群のガイド部の一つと共通して用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザーの使用目的にあわせてカートリッジを使い分けることができる画像形成装置において、画像形成装置の構成を簡略化することである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)と(b)は画像形成装置の外観斜視図と概略の縦断右断面図である。
【図2】ドアを開いた状態の画像形成装置の外観斜視図である。
【図3】(a)と(b)は、ドアが開かれていて、かつカートリッジ装着部にカートリッジが装着されていない状態の装置本体について、それぞれ、見る方向を違えた斜視図である。
【図4】ドアが開かれていて、かつカートリッジ装着部にカートリッジが装着されていない状態の装置本体の断面図である。
【図5】(a)は複数のカートリッジを左側から見た斜視図、(b)は同じく右側から見た斜視図である。
【図6】ドアが開かれていて、かつモノクロカートリッジが装着されている状態の画像形成装置の概観斜視図である。
【図7】モノクロカートリッジが装着されている状態の画像形成装置の概略の縦断右断面図である。
【図8】(a)はモノクロカートリッジを左側から見た斜視図、(b)は同じく右側から見た斜視図である。
【図9】カートリッジが装置本体に装着され付勢部材によって付勢される際の、カートリッジ周辺の構成を示す側面図である。
【図10】モノクロカートリッジが装置本体に装着され付勢部材によって付勢される際の、モノクロカートリッジ周辺の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
(画像形成装置の全体的な概略構成)
図1の(a)と(b)は本実施例における画像形成装置100の外観斜視図と概略の縦断右側面図である。この画像形成装置100は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーのレーザープリンタである。即ち、パソコン・イメージリーダ・相手方ファクシミリ装置等のホスト装置(不図示)から制御回路部(不図示)へ入力する電気的画像信号に基づいてシート状の記録媒体Sに対する画像形成を実行する。
【0013】
以下の説明において、画像形成装置に関して、前側又は正面側とは装置開閉用のドア10を配設した側である。後側とはそれとは反対側である。前後方向とは、画像形成装置の後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは画像形成装置を前側から見て左又は右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。また、装置本体とは、カートリッジを除いた画像形成装置部分である。
【0014】
装置本体101内のほぼ中央部には、潜像が形成される像担持体としての電子写真感光体ドラム1(以下、ドラムと記す)が配設されている。ドラム1は図1記載方向から見て、矢印の反時計回りに回転駆動される。このドラム1の周囲には、ドラム回転方向に従って順に、ドラムに作用するプロセス手段としての、帯電手段2、画像露光手段3、現像手段4、中間転写手段5、ドラムクリーニング手段6が配置されている。
【0015】
ドラム1は、例えばアルミシリンダの外周面に有機光導伝体層(OPC感光体)を塗布したものであり、ドラム軸線を左右方向にして両端部が装置本体側の左右の支持部材(不図示)に回転自在に支持されている。そして、一方側のドラム端部に駆動モータ(不図示)からの駆動力を受ける為の駆動伝達手段(不図示)が配置されている。この駆動伝達手段に駆動力が伝達されることにより、ドラム1は矢印の反時計周りに所定の速度で回転駆動される。
【0016】
帯電手段2は本実施例では接触帯電方式であり、接触帯電部材はローラ状に形成された帯電ローラ(導電性ローラ)である。帯電ローラ2はドラム1に対してほぼ並行にかつ当接して配設されており、ドラム1の回転に従動して回転する。そして、この帯電ローラ2に電源部(不図示)から所定の帯電バイアス電圧が印加されることで、ドラム1の表面が所定の極性・電位を一様に帯電される。
【0017】
画像露光手段3は本実施例ではレーザースキャナユニットであり、ドラム1の下方向に配置されている。このユニット3は、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、Fθレンズ、反射ミラー等を有し、ホスト装置から制御回路部へ入力する各色の画像情報に対応して変調したレーザービームLを出力してドラム1の帯電処理面を走査露光する。これによって、ドラム1面に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0018】
現像手段4はドラム1に形成された静電潜像を現像剤であるトナーを用いて可視像化する装置である。本実施例においては、複数の現像手段として、収容トナーの色が互いに異なる第1乃至第4の4つの現像装置4y・4m・4c・4kがドラム1とドア10との間において上下方向に隣接して配置されている。各現像装置4y・4m・4c・4kはそれぞれ装置本体101のカートリッジ装着部102に対して取り外し可能に装着される現像カートリッジ(以下、カートリッジと記す)とされている。上記4つのカートリッジ4y・4m・4c・4kが、装置本体101に同時に装着可能な複数のカートリッジで構成されるカートリッジ群である。
【0019】
第1のカートリッジ4yは現像剤としてイエロー色(y色)のトナーを収納したものである。このカートリッジ4yを以下イエローカートリッジと記す。第2のカートリッジ4mは現像剤としてマゼンタ色(m色)のトナーを収納したものである。このカートリッジ4mを以下マゼンタカートリッジと記す。第3のカートリッジ4cは現像剤としてシアン色(c色)のトナーを収納したものである。このカートリッジ4cを以下シアンカートリッジと記す。第4のカートリッジ4kは現像剤としてブラック色(k色)のトナーを収納したものである。このカートリッジ4kを以下ブラックカートリッジと記す。
【0020】
各カートリッジ4y・4m・4c・4kは、それぞれ、ドラム1に対してトナーを供給する現像ローラ40を有している。また、各カートリッジ4y・4m・4c・4kは、トナーを収容するトナー収容室(現像剤収容部)を備えている。各カートリッジ4y・4m・4c・4kは、図には省略したが、それぞれ、現像ローラ40に対してトナーを塗布するトナー塗布部材、塗布されたトナーの層厚を規制すると共にトナーに電荷を付与する現像ブレード、トナー攪拌搬送部材なども有している。
【0021】
上記4つのカートリッジ4y・4m・4c・4kは選択的に現像動作制御されてドラム1に形成された静電潜像を現像する。即ち、選択されたカートリッジについて、現像ローラ40等が駆動されると共に、現像ローラ40に電源部(不図示)から所定の現像バイアスが印加される。これにより、ドラム1に形成された静電潜像の現像がそのカートリッジにより行われる。
【0022】
各カートリッジ4y・4m・4c・4kは、ドア10に設けられた付勢部材11y・11m・11c・11kによって、ドラム方向へ付勢される。図9は各カートリッジ4y・4m・4c・4kを装着しドア10を閉じた状態の画像形成装置の縦断左断面図のうち、カートリッジの周囲を拡大した図である。カートリッジ4y・4m・4c・4kは各カートリッジ挿入方向後端面に被付勢面41y・41m・41c・41kを備えている。各カートリッジを装置本体に装着しドア10を閉鎖位置にしたとき、付勢部材11y・11m・11c・11kの先端は、被付勢面41y・41m・41c・41kに接触し、各カートリッジをドラム方向へ付勢する。そして、ドア10を開放位置にしたとき、付勢部材11y・11m・11c・11kの先端は、被付勢面41y・41m・41c・41kとは接触せず、各カートリッジをドラム方向へ付勢しないようになっている。
【0023】
中間転写手段5は本実施例では中間転写ベルトユニットである。このユニット5は、中間転写体としての誘電体製で可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)51を有する。また、このベルト51を懸回張設している第1ローラ52及び第2ローラ53と、第1ローラ52と第2ローラ53との間に配置されてベルト51を挟んでドラム1に圧接している1次転写ローラ12を有する。ドラム1とベルト51の接触部が1次転写ニップ部である。
【0024】
第1ローラ52のベルト懸回部には2次転写ローラ32が対向して配設されている。2次転写ローラ32は移動機構(不図示)によりベルト51を挟んで第1ローラ52に圧接した作用位置と、ベルト51から離間した非作用位置とに切り換え移動される。2次転写ローラ32は常時は非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。2次転写ローラ32が作用位置に移動された状態において、2次転写ローラ32とベルト51の接触部が2次転写ニップ部である。
【0025】
第2ローラ53のベルト懸回部には、ベルト51の表面をクリーニングするベルトクリーニング手段7が配設されている。このベルトクリーニング手段7は移動機構(不図示)によりクリーニング部材がベルト51の表面に接触した作用位置と、クリーニング部材がベルト51の表面から離間した非作用位置とに切り換え移動される。ベルトクリーニング手段7は常時は非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。
【0026】
ドラムクリーニング手段6は、ベルト51に対するトナー画像の1次転写後のドラム1面から1次転写残トナーを除去する手段であり、本実施例ではクリーニング部材としてクリーニングブレード61を用いている。ドラム面から除去されたトナーはクリーナ容器62に収容される。
【0027】
制御回路部は画像形成スタート信号が入力すると、メインモータ(不図示)を駆動させる。これにより、ドラム1が所定の速度で回転駆動される。また、ベルト51もドラム1の回転方向に順方向にかつドラム1の速度に対応した速度で回転駆動される。2次転写ローラ32とベルトクリーニング手段7は、それぞれ、ベルト51から離間した非作用位置に移動されて保持されている。帯電ローラ2に所定の帯電バイアスが印加される。これにより回転しているドラム1の表面が所定の極性・電位に均一に帯電される。レーザースキャナユニット3からフルカラー画像のy色成分画像信号に対応して変調されたレーザービームLが出力されてドラム面が走査露光される。これにより、ドラム面にy色成分画像に対応した静電潜像が形成される。その静電潜像が現像動作制御されたイエローカートリッジ4yによりy色トナー画像(現像剤像)として現像される。そのy色トナー画像が1次転写ニップ部においてベルト51の面に1次転写される。1次転写ローラ12には所定の制御タイミングで電源部(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性で所定電位の1次転写バイアスが印加される。1次転写後のドラム1面はドラムクリーニング手段6によりクリーニングされる。
【0028】
y色トナー画像のベルト51に対する1次転写が終了すると、ドラム1に対してフルカラー画像のm色成分画像に対応したm色トナー画像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのm色トナー画像が1次転写ニップ部において、ベルト51上にすでに転写されているy色トナー画像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて1次転写される。
【0029】
m色トナー画像のベルト51に対する1次転写が終了すると、ドラム1に対してフルカラー画像のc色成分画像に対応したc色トナー画像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのc色トナー画像が1次転写ニップ部において、ベルト51上にすでに転写されているy色+m色のトナー画像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて1次転写される。
【0030】
c色トナー画像のベルト51に対する1次転写が終了すると、ドラム1に対してフルカラー画像のk色成分画像に対応したk色トナー画像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのk色トナー画像が1次転写ニップ部において、ベルト51上にすでに転写されているy色+m色+c色のトナー画像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて1次転写される。
【0031】
このようにして、ベルト51上にはy色+m色+c色+k色の4色フルカラーの未定着トナー画像が合成形成される。
【0032】
なお、ドラム1に対して順次に形成する色トナー画像の色順は本実施例のようなy色→m色→c色→k色の色順に限られるものではなく、適宜の色順で行うことができる。
【0033】
ベルト51上に形成された4色フルカラーの未定着トナー画像の画像先端部がベルト51の移動により2次転写ローラ32の位置に到達する前に、2次転写ローラ32がベルト51に接触した作用位置に移動される。また、ベルトクリーニング手段7も所定の制御タイミングでベルト51に対する作用位置に移動される。
【0034】
一方、所定の制御タイミングで給送部16の給送ローラ18が駆動されて、シート状の記録媒体Sが積載収容されている給送カセット17から記録媒体Sが1枚分離されて給送される。給送カセット17は装置本体101の前側から出し入れ自由である(フロントローデング)。17aは給送カセット17の前面に配設されている取手部である。給送された記録媒体Sはレジストローラ対19によって所定の制御タイミングにて2次転写ローラ32とベルト51との接触部である2次転写ニップ部に導入される。2次転写ローラ32には電源部(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性で所定電位の2次転写バイアスが印加される。これにより、記録媒体Sが2次転写ニップ部を挟持搬送されていく過程で、ベルト51上の4色重畳のトナー画像が記録媒体Sの面に順次に一括2次転写される。
【0035】
記録媒体Sはベルト51の面から分離されて定着部20へ導入される。定着部20は、記録媒体Sに転写された複数色のトナー画像を定着(溶融混色定着)させるものである。回転する加熱ローラ21bと、これに圧接して記録媒体Sに熱及び圧力を与える加圧ローラ21aを有する。即ち、ドラム1上のトナー画像を転写された記録媒体Sは、定着部20を通過する際に、定着ローラ対21b・21aで挟持搬送される。そして、定着ローラ対21b・21aによって熱及び圧力を与えられる。これによって複数色のトナー画像が記録媒体Sの表面に定着される。そして、記録媒体Sは定着部20を出て、フルカラー画像形成物として排出ローラ対23によって、排出部24から装置本体外に排出される。
【0036】
モノクロ画像形成モードの場合は、ブラックカートリッジ4kを用いた画像形成だけが行われる。
【0037】
(カートリッジ交換方式)
各カートリッジ4y・4m・4c・4kは、画像形成に使用されるにつれて、それぞれ、収容されている現像剤(トナー)が消費される。
【0038】
そこで、例えば、個々のカートリッジの現像剤残量を検知する手段(不図示)を具備させて、制御回路部において、検知残量値を、予め設定したカートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。そして、検知残量値が閾値よりも少ない残量値となったカートリッジについては、表示部(不図示)に、そのカートリッジについての寿命予告あるいは寿命警告を表示させる。これにより使用者に、交換用のカートリッジの準備を促す、あるいはカートリッジの交換を促して、出力画像の品質を維持するようにしている。
【0039】
本実施例の画像形成装置において、カートリッジの交換は、ユーザビリティ向上のために、フロントアクセスにより交換する方式である。
【0040】
装置本体101の前面側には、カートリッジ装着部102へカートリッジを挿入する、及び、装置本体からカートリッジを取り出すために、カートリッジを通過させる開口部103が設けられている。そして、この開口部103を閉じる閉鎖位置と、開口部103を開放する開放位置と、の間を移動可能な開閉部材としてのドア10が設けられている。本実施例においては、ドア10は、ドア下辺側の横軸(ヒンジ軸)10bを中心に装置本体101に対して開閉回動可能である。すなわち、ドア10は、ヒンジ軸10bを中心に立て起こし方向に回動して、図1のように、装置本体101の開口部103に対して閉じ込んだ状態にすることができる。このドア10の閉じにより開口部103が閉鎖される。また、ヒンジ軸10bを中心に装置本体101の手前側に倒し回動して、図2のように、装置本体101から開いた状態にすることができる。これにより、装置本体前面の開口部103が開放される。10aはドア10に設けた取手部である。ドア10が開かれることで、カートリッジ装着部102に装着されている各カートリッジ4y・4m・4c・4kの前面側(外表面)が図2のように開口部103に露呈する。
【0041】
図3の(a)と(b)は、ドア10が開かれていて、かつカートリッジ装着部102にカートリッジ4y・4m・4c・4kが装着されていない状態の装置本体101について、それぞれ、見る方向を違えた斜視図である。図4は、ドア10が開かれていて、かつカートリッジ装着部102にカートリッジ4が装着されていない状態の装置本体101の断面図である。カートリッジ装着部102とは、カートリッジ4y・4m・4c・4kが、装置本体101に装着された際に、容積を占めるであろう領域(カートリッジ装着領域)を指す。イエローカートリッジ4yが装着される領域をカートリッジ装着部102yとする。マゼンタカートリッジ4mが装着される領域をカートリッジ装着部102mとする。シアンカートリッジ4cが装着される領域をカートリッジ装着部102cとする。ブラックカートリッジ4kが装着される領域をカートリッジ装着部102kとする。カートリッジ装着部102において、装置本体101の右側フレーム104Rと左側フレーム104Lの内壁面には、それぞれ、各カートリッジを着脱ガイドするためのガイド部(カートリッジ着脱ガイド部)25R・25Lが対向して設けられている。本実施例においては、各カートリッジ4y・4m・4c・4kに対応する4組のガイド部25R・25Lが上下方向に隣接して設けられている。25Ry・25Lyがイエローカートリッジ4yに対応するガイド部、25Rm・25Lmがマゼンタカートリッジ4mに対応するガイド部である。また、25Rc・25Lcがシアンカートリッジ4cに対応するガイド部、25Rk・25Lkがブラックカートリッジ4kに対応するガイド部である。
【0042】
図5の(a)は各カートリッジ4y・4m・4c・4kを左側から見た斜視図、(b)は各カートリッジ4y・4m・4c・4kを右側から見た斜視図である。各カートリッジ4y・4m・4c・4kの左側面部と右側面部にはそれぞれ装置本体のガイド部に係合可能な被ガイド部4Lと4Rが設けられている。そして、各カートリッジ4y・4m・4c・4kは、それぞれ、左右の被ガイド部4L・4Rをカートリッジ装着部102側の対応する左右のガイド部25R・25Lに合わせる形で係合される。その係合状態でカートリッジをスライド移動させることで、各カートリッジ4y・4m・4c・4kがカートリッジ装着部102y・102m・102c・102kに対して着脱される。
【0043】
各ガイド部25R・25Lは前後方向に略水平方向に延在していて、その先にはドラム1が配設されている。ガイド部25R・25Lの延在方向は、カートリッジ4の着脱方向とほぼ同方向となっている。
【0044】
ユーザーは新規に装置本体を使用する際や、或は使用済みのカートリッジを新品のカートリッジに交換する際には、カートリッジ4を装置本体101に着脱する作業を行う。
【0045】
各カートリッジ4y・4m・4c・4kには各々把持部13y・13m・13c・13kが設けられている。ユーザーはその把持部13を手で掴むことで、カートリッジ4を容易に装置本体101のカートリッジ装着部102に対して着脱する作業を行うことができる。
【0046】
ユーザーは、カートリッジ4の外表面から突出した把持部13(13y・13m・13c・13k)を手で掴んで、左右側の被ガイド部4R・4Lをカートリッジ装着部102の左右側のガイド部25R・25Lに合わせて係合させる。そして、被ガイド部4R・4Lをガイド部25R・25Lに沿わせてスライドさせてカートリッジ4をカートリッジ装着部102内に挿入していく。カートリッジ4は装置本体101の前面からほぼ水平方向に装着される。図2は4つのカートリッジ4y・4m・4c・4kを全て挿入装着した状態を示している。各カートリッジ4y・4m・4c・4kは一方向X1(この例では鉛直方向)に隣接する形で配置される。そして、ドア10を閉じ込む。これにより、画像形成装置100は画像形成動作が可能な状態になる。
【0047】
取り外し作業は、前述した装着作業を反対から行う形となる。つまり、各カートリッジ4y・4m・4c・4kの、把持部13y・13m・13c・13kを手で掴んで、被ガイド部4R・4Lをガイド部25R・25Lに沿わせてスライドさせてカートリッジ4をカートリッジ装着部102の外に取り外していく。
【0048】
ここで、先述した付勢部材および被付勢面について詳述する。前述の通り、ドア10の内壁面には4つの付勢部材11y・11m・11c・11kが設けられている。付勢部材11y・11m・11c・11kは円筒形状であり、ドア10に対して垂直方向に往復運動可能に設けられる。
【0049】
各現像カートリッジ4y・4m・4c・4kは、カートリッジ挿入方向後端面に被付勢面41y・41m・41c・41kを備える。被付勢面41y・41m・41c・41kは、ドア10を閉じたときに付勢部材11y・11m・11c・11kの先端と接触する位置にあり、カートリッジ挿入方向と略直交の面を有する。各カートリッジを装置本体に装着しドアを閉じたとき、付勢部材11y・11m・11c・11kの先端がカートリッジの被付勢面41y・41m・41c・41kに接触し各カートリッジをドラム方向へ付勢する。
【0050】
(モノクロ現像カートリッジ)
本実施例の画像形成装置では、モノクロ印刷を大量に行うユーザの使用目的に合わせてモノクロカートリッジ4x(代替カートリッジ)を供給している。モノクロカートリッジ4xのトナー収容室は、前述した4y・4m・4c・4kのトナー収容室よりも大きくしている。図6は、ドア10が開かれ、カートリッジ4xが装着されている状態の画像形成装置100を示す斜視図である。図7は、カートリッジ4xが装着され、ドア10が閉じられている状態で画像形成装置の縦断右断面図である。図8(a)(b)は、カートリッジ4xのみを左右それぞれ斜め上方から見た斜視図である。
【0051】
モノクロカートリッジ4xひとつでカートリッジ装着部102の4色分の容積を使用することにより、トナー収容量を増やし、一つのカートリッジにおける印字可能枚数を増やす。モノクロカートリッジ4xは、カラー用のカートリッジ4kのトナー収容室を上方に拡大した形状である。現像ローラを有する現像枠体とトナーを収容するトナー枠体から構成されるカートリッジ枠体において、現像枠体の主要部・駆動伝達機構(不図示)・トナー搬送機構(不図示)はカラー印刷用のカートリッジ4kと共通化している。そして、トナー枠体のトナー収容室部のみを大容量のモノクロカートリッジ4x用としている。このようにすることで、モノクロカートリッジ4xは追加部品が少ない単純な構成にできる。
【0052】
モノクロカートリッジ4xは、被ガイド部4L・4Rを有する。被ガイド部4L・4Rは、ガイド部25と係合して装置本体内へ装着される。カートリッジ4が係合するガイド部と、モノクロカートリッジ4xが係合するガイド部とを、共通のガイド部25とすることで、装置本体に追加の部材を設ける必要がない。被ガイド部4L・4Rは、装置本体の内壁面に設けられた4組のガイド部25Ry・25Ly、25Rm・25Lm、25Rc・25Lc、25Rk・25Lkのうち、最も下方のガイド部25Rk・25Lkに係合して装着される。モノクロカートリッジ4xは、先述のようにトナー収容室を上方に拡大した形状である。被ガイド部4L・4Rの装着位置を最も下方のガイド部25Rk・25Lkとすることで、カートリッジ装着部102のスペースを活用しモノクロカートリッジ4xのトナー収容室をより上方へ拡大することができる。そのため、トナー収容量をより多くすることができる。
【0053】
ユーザーはカートリッジ4に代えてモノクロカートリッジ4xを使用する際や、或は使用済みのモノクロカートリッジを新品に交換する際には、モノクロカートリッジを装置本体101に着脱する作業を行う。モノクロカートリッジ4xには把持部13xが設けられている。カートリッジ4を装置本体101に着脱する作業と同様に、ユーザーはその把持部を手で掴むことで、モノクロカートリッジ4xを容易に装置本体101のカートリッジ装着部102に対して着脱する作業を行うことができる。
【0054】
図10はカートリッジ4xを装着しドア10を閉じた状態の画像形成装置の縦断左断面図のうち、カートリッジ4xの周囲を拡大した図である。
【0055】
モノクロカートリッジ4xは、カラー現像カートリッジ4y・4m・4c・4kと同様、カートリッジ挿入方向後端面に被付勢面41xを備えている。モノクロカートリッジ4xを装置本体に装着しドア10を閉じたとき、付勢部材の先端が被付勢面41kに接触し各カートリッジをドラム1方向へ付勢する。装置本体に装着されドアが閉じられたときに全ての付勢部材11が、モノクロカートリッジ4xを付勢するような構成にすると、付勢圧が大きくなりすぎるおそれがある。そこで、現像ローラ4とドラム1との付勢圧を適正な値に保つため、装置本体に装着されドアが閉じられたときに全ての付勢部材11とは接触しないようなカートリッジ形状とする。つまり、モノクロカートリッジ4xを、装置本体101に装着したとき、複数の前記付勢部材の少なくとも一つはモノクロカートリッジ4xと接触しないようにしている。そして、それ以外の付勢部材11により、モノクロカートリッジ4xを付勢するようにしている。本実施例に於いては、モノクロカートリッジ4xの被付勢面41kに段差形状を設けている。4つの付勢部材のうち、下方2つの付勢部材11c・11kはモノクロカートリッジを付勢しており、上方2つの付勢部材11y・11mはモノクロカートリッジに接触しておらず付勢しない。モノクロカートリッジ4xは、カラー現像カートリッジ4y・4m・4c・4kの一つ一つと比べて重量が重くなるため、モノクロカートリッジ4xを確実に付勢することが求められる。そこで、本実施例では、複数の付勢部材11により、モノクロカートリッジ4xを付勢するような構成としている。
【0056】
カラー用のカートリッジ4y・4m・4c・4kとモノクロ用のモノクロカートリッジ4xを判別する判別手段については、カートリッジ枠体の外面にメモリータグ(不図示)等を配置する方法がある。当該メモリータグを装置本体のメモリータグ読み取り装置(不図示)でカートリッジ情報を読み取り識別すればよい。この構成により、現在どちらの現像カートリッジが装着されているかを容易に知ることが可能となる。
【0057】
上記の通り本実施例におけるモノクロカートリッジ4xは、4つのカートリッジ装着部102y・102m・102c・102kを占めるよう構成されており、4つのカートリッジ4y・4m・4c・4kと排他的に装置本体に装着可能である。モノクロカートリッジ4xが、2つあるいは3つの隣接したカートリッジ装着部102を占めるよう構成されていてもよく、その際は、2つあるいは3つのカートリッジ4と排他的に装置本体に装着される。
【0058】
例えば、モノクロカートリッジ4xが、隣接する3つのカートリッジ装着部102m・102c・102kを占めるよう構成され、3つのカートリッジ4m・4c・4kに代えて装置本体に装着されるような装置を考えてみる。この場合は、カートリッジ装着部102yにカートリッジ4yを装着することで、カートリッジ4xとカートリッジ4yとの2色画像形成を行うことができる。また、モノクロカートリッジ4xが、隣接する2つのカートリッジ装着部102c・102kを占めるよう構成され、2つのカートリッジ4c・4kに代えて装置本体に装着される装置を考えてみる。この時、同様に構成されたもう1つのモノクロカートリッジ4xを、2つのカートリッジ4y・4mに代えてカートリッジ装着部102y・102mに装着することができる。このとき、2つのモノクロカートリッジ4xに収納される現像剤の色を異ならせることで、2色画像形成を行うことができる。
【0059】
なお、本実施例では、カートリッジに静電潜像を現像するためのトナーを担持する現像ローラを備える構成で説明したがこれに限られるものではない。例えば、カートリッジとしては、トナーを収容するトナー収容室のみをカートリッジとして装置本体から着脱可能に設けるような構成としてもよい。
【0060】
以上、説明したように、本願発明では、カートリッジ群であるカートリッジ4と、代替カートリッジであるモノクロカートリッジ4xをガイドするガイド部とを共通化している。このようにすることで、装置本体にモノクロカートリッジ4xのためだけのガイドを設ける必要がなく装置を簡略化することができた。
【符号の説明】
【0061】
100 画像形成装置
101 装置本体
4y・4m・4c・4k 複数のカートリッジ
4x モノクロカートリッジ
S 記録媒体
10 ドア
25R・25L ガイド部
4R・4L 被ガイド部
11y・11m・11c・11k 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送手段を有する装置本体と、
それぞれ静電潜像を可視像化するための現像剤を収容する現像剤収容部を有し、前記装置本体に同時に装着可能な複数のカートリッジで構成されるカートリッジ群と、
静電潜像を可視像化するための現像剤を収容する現像剤収容部を有し、前記カートリッジ群の前記現像剤収容部よりも容積の大きい前記現像剤収容部を備える代替カートリッジと、を備え、前記カートリッジ群と前記代替カートリッジを前記装置本体に装着可能な画像形成装置において、
前記装置本体は互いに隣接して設けられた複数の装着領域と、前記装着領域のそれぞれの両端に設けられた複数のガイド部と、を有し、
前記カートリッジ群を構成する前記カートリッジそれぞれは前記ガイド部に係合可能な被ガイド部を有し、該被ガイド部を前記ガイド部に係合させて前記カートリッジを前記装置本体に装着可能であり、前記カートリッジ群が前記装置本体に装着されたとき、前記カートリッジ群を構成する前記カートリッジはそれぞれ対応する前記装着領域の容積を占め、
前記代替カートリッジは前記ガイド部に係合可能な被ガイド部を有し、該被ガイド部を前記ガイド部に係合させて前記代替カートリッジを前記装置本体に装着可能であり、前記代替カートリッジが前記装置本体に装着されたとき、前記代替カートリッジは複数の前記装着領域の容積を占め、
前記代替カートリッジの前記ガイド部は、前記カートリッジ群のガイド部の一つと共通して用いられることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記代替カートリッジの前記被ガイド部は、複数の前記ガイド部のうち最も下方の前記ガイド部に装着することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置本体は、前記カートリッジ群、又は前記代替カートリッジを装着するための前記カートリッジ群、又は前記代替カートリッジを通過させる開口部を備え、前記開口部を閉じる閉鎖位置と、前記開口部を開放する開放位置と、の間を移動可能な開閉部材を備え、前記装着領域に対応して設けられた複数の付勢部材を備え、
前記カートリッジ群、及び前記代替カートリッジは、前記付勢部材により付勢される被付勢面を有し、
前記付勢部材は、前記開閉部材が前記閉鎖位置にある時に前記カートリッジ群、又は前記代替カートリッジを前記装置本体に対し付勢し、前記開閉部材が前記開放位置にある時に前記カートリッジ群、又は前記代替カートリッジを前記装置本体に対し付勢しないように設けられており、
前記代替カートリッジを、前記装置本体に装着したとき、複数の前記付勢部材の少なくとも一つは前記代替カートリッジと接触せず、それ以外の前記付勢部材は前記代替カートリッジと接触し前記代替カートリッジを付勢することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カートリッジ、又は前記代替カートリッジは前記静電潜像を現像するためのトナーを担持する現像ローラを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−128289(P2012−128289A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281054(P2010−281054)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】