説明

画像形成装置

【課題】複数の液体タンクが一体化された液体カートリッジを交換する際に、無駄に廃棄される残存液の量を可及的に少なくすることができる、画像形成装置を提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタ10(画像形成装置)の制御部34(液体移送制御手段)は、或る1つの液体タンク14a,14bにおける液体R1,R2の残量が所定量よりも少なくなったことを残量検知部(液体タンク残量検知手段)が検知したとき、リザーブタンク24a,24bに連通する他の少なくとも1つの液体タンク14a,14bに残った液体R1,R2をリザーブタンク24a,24bに移送させるように第1液体移送手段28a,28bを制御し、かつ、廃液タンク26a,26bに貯留された液体R1,R2を或る1つの液体タンク14a,14b又は他の少なくとも1つの液体タンク14a,14bに移送させるように第2液体移送手段30a,30bを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の液体タンクが一体化された液体カートリッジを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体にインク等の第1液体を吐出する画像形成装置において、高い印字品質を維持したり、画質を向上させたりするために、第1液体の成分を凝集又は析出させる第2液体を、記録媒体に塗布する技術が知られている(特許文献1参照)。しかし、第1液体及び第2液体のそれぞれを、互いに独立した複数の液体タンクに収容した場合には、複数の液体タンクを配置するスペースを個別に確保する必要があるため、装置が大型化するという課題があった。
【0003】
この課題を解決する手段として、特許文献2には、複数の液体タンクを一体化させることによって、装置の小型化を図る技術が記載されている。この技術は、インクを貯蔵する第1収納部と記録性向上液を貯蔵する第2収納部とを一体化させてタンク部を構成し、インクが無くなった際にタンク部の全体を交換するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−141841号公報
【特許文献2】特開平8−216391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の先行技術では、第1収納部のインクが無くなった際に、タンク部の全体を交換するようにしていたので、第2収納部に残存した多くの記録性向上液が無駄に廃棄されるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複数の液体タンクが一体化された液体カートリッジを交換する際に、無駄に廃棄される残存液の量を少なくすることができる、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、互いに異なる液体が貯留される複数の液体タンクを有する液体カートリッジと、前記複数の液体タンクに貯留された各液体の残量を検知する液体タンク残量検知手段と、前記液体カートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、画像を形成するために前記互いに異なる液体を使用する複数の液体使用部と、前記複数の液体タンクと前記複数の液体使用部とを連通させる複数の連通路と、を備える画像形成装置であって、前記複数の液体タンクの少なくとも1つに対応して設けられ、対応する前記液体タンクに貯留されていた液体を一時的に貯留する少なくとも1つのリザーブタンクと、少なくとも1つの前記液体使用部から排出された液体を一時的に貯留する廃液タンクと、前記リザーブタンクに対して、それに対応する前記液体タンクから液体を移送させる第1液体移送手段と、少なくとも1つの前記液体タンクに対して、前記廃液タンクから液体を移送させる第2液体移送手段と、前記第1液体移送手段及び前記第2液体移送手段を制御する液体移送制御手段とを備え、前記液体移送制御手段は、或る1つの前記液体タンクにおける液体の残量が所定量よりも少なくなったことを前記液体タンク残量検知手段が検知したとき、前記リザーブタンクに連通する他の少なくとも1つの前記液体タンクに残った液体を前記リザーブタンクに移送させるように前記第1液体移送手段を制御し、かつ、前記廃液タンクに貯留されていた液体を前記或る1つの液体タンク又は前記他の少なくとも1つの液体タンクに移送させるように前記第2液体移送手段を制御することを特徴とする。
【0008】
この構成では、或る1つの液体タンクにおける液体の残量が所定量よりも少なくなったこと(すなわち液体カートリッジを交換すべきこと)を液体タンク残量検知手段が検知したとき、リザーブタンクに連通する他の少なくとも1つの液体タンクに残った液体がリザーブタンクに移送される。また、このとき、液体残量が少なくなった或る1つの液体タンク又は他の少なくとも1つの液体タンクに、廃液タンクに貯留されていた液体が移送される。したがって、液体カートリッジを交換する際には、無駄に廃棄される液体の量を少なくすることができるとともに、廃液タンクに貯留されていた液体を液体カートリッジと共に回収することができる。そして、液体カートリッジを交換した後には、リザーブタンクに移送させた液体を液体使用部で使用することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記の構成によって、複数の液体タンクが一体化された液体カートリッジを交換する際に、無駄に廃棄される残存液の量を可及的に少なくすることができるとともに、廃液タンクに貯留されていた液体(廃液)を液体カートリッジと共に簡単に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係るインクジェットプリンタ(画像形成装置)の構成を示す概念図である。
【図2】インクジェットプリンタに用いられるインク吐出ヘッド(液体使用部)のヘッド本体を示す平面図である。
【図3】インク吐出ヘッドのヘッド本体を示す部分拡大断面図である。
【図4】インクジェットプリンタに用いられる制御部(液体移送制御手段)の構成を示すブロック図である。
【図5】制御部(液体移送制御手段)の制御動作を示すフロー図である。
【図6】制御部(液体移送制御手段)の制御動作を示すフロー図である。
【図7】第2実施形態に係るインクジェットプリンタにおけるリザーブタンク及び廃液タンクの構成を示す概念図である。
【図8】第3実施形態に係るインクジェットプリンタにおけるリザーブタンク及び廃液タンクの構成を示す概念図である。
【図9】第4実施形態に係るインクジェットプリンタの構成を示す概念図である。
【図10】第5実施形態に係るインクジェットプリンタの要部の構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る画像形成装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(第1実施形態)
[インクジェットプリンタの全体構成]
図1は、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10の全体構成を示す概念図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、搬送機構12によって搬送される用紙Qの表面に、互いに異なる液体R1,R2を使用して画像を形成するものであり、互いに異なる液体R1,R2が貯留される複数(本実施形態では2つ)の液体タンク14a,14bを有する液体カートリッジ16と、液体カートリッジ16を保持するカートリッジ装着部18と、複数(本実施形態では2つ)の液体使用部20a,20bと、複数の液体タンク14a,14bと複数の液体使用部20a,20bとを連通させる複数の連通路22a,22bとを備えている。また、インクジェットプリンタ10は、複数の液体タンク14a,14bの少なくとも1つ(本実施形態では2つ)に対応して設けられ、対応する液体タンク14a,14bに貯留されていた液体R1,R2を一時的に貯留する少なくとも1つ(本実施形態では2つ)のリザーブタンク24a,24bと、複数の液体使用部20a,20bの少なくとも1つ(本実施形態では2つ)に対応して設けられ、対応する液体使用部20a,20bから排出された液体R1,R2(廃液)を一時的に貯留する少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の廃液タンク26a,26bとを備えている。
【0013】
また、図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、リザーブタンク24a,24bに対して、それらに対応する液体タンク14a,14bから液体R1,R2を移送させる第1液体移送手段28a,28bと、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の液体タンク14a,14bに対して、廃液タンク26a,26bから液体R1,R2を移送させる第2液体移送手段30a,30bと、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の廃液タンク26a,26bに対して、液体使用部20a,20bから排出された液体R1,R2(廃液)を移送させる第3液体移送手段32a,32bとを備えている。さらに、インクジェットプリンタ10は、第1液体移送手段28a,28b、第2液体移送手段30a,30b及び第3液体移送手段32a,32bのそれぞれを制御する「液体移送制御手段」としての機能を有する制御部34を備えている。なお、図1中の破線は、制御部34に接続された各種の電気配線Lである。
【0014】
[搬送機構の構成]
搬送機構12は、用紙カセット(図示省略)に収容された「記録媒体」としての用紙Qを、液体使用部20a,20bに導くものであり、一対のプーリ36a,36bと、一対のプーリ36a,36b間に環状に掛け渡された無端ベルト38と、一方のプーリ36bを回転させるモータ39とを備えており、モータ39が制御部34に電気的に接続されている。そして、搬送機構12における無端ベルト38の上方に、液体使用部20a,20bが並んで配置されており、無端ベルト38の上面に載置された用紙Qが、まず、液体使用部20bの直下を通過し、その後、液体使用部20aの直下を通過するようになっている。
【0015】
[液体カートリッジの構成]
図1に示すように、液体カートリッジ16は、インク(本実施形態ではブラックインク)が貯留される第1液体タンク14aと、処理液が貯留される第2液体タンク14bとが一体化されたものであり、この液体カートリッジ16がカートリッジ装着部18に対して着脱可能に装着されている。本実施形態における「互いに異なる液体」は、インク及び処理液である。そこで、以下では、「液体R1」を「インクR1」と読み替え、「液体R2」を「処理液R2」と読み替えて説明する。
【0016】
第2液体タンク14bに貯留される処理液R2としては、第1液体タンク14aに貯留されるインクR1の成分を凝集又は析出させるものが用いられる。例えば、顔料系のインクR1に対しては、顔料色素を凝集させるものが用いられ、染料系のインクR1に対しては、染料色素を析出させるものが用いられる。処理液R2の材料としては、カチオン性化合物、とりわけカチオン系高分子やカチオン性界面活性剤、カルシウム塩、マグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等を適宜選択可能である。これらの処理液R2が塗布された用紙Qの塗布領域にインクR1が着弾すると、多価金属塩等がインクR1の着色剤である染料又は顔料に作用して、不溶性又は難溶性の金属複合体等が凝集又は析出により形成される。その結果、インクR1の用紙Q内への浸透度が低下し、インクR1を用紙Q上に定着させ易くなる。
【0017】
[液体使用部の構成]
液体使用部20a,20bのそれぞれは、画像を形成するために、互いに異なるインクR1及び処理液R2を使用する部分である。「液体使用部」は、画像形成に直接的に寄与するものは勿論、補助的に寄与するものをも含む概念である。本実施形態では、一方の液体使用部20aが、画像形成に直接寄与する「インク吐出ヘッド」であり、他方の液体使用部20bが、画像形成に補助的に寄与する「処理液吐出ヘッド」である。そこで、以下では、「液体使用部20a」を「インク吐出ヘッド20a」と読み替え、「液体使用部20b」を「処理液吐出ヘッド20b」と読み替えて説明する。
【0018】
図2は、インクジェットプリンタ10に用いられるインク吐出ヘッド20aを示す平面図であり、図3は、インク吐出ヘッド20aのヘッド本体42を示す部分拡大断面図である。図1に示すように、インク吐出ヘッド20aは、搬送機構12で搬送される用紙QにインクR1を吐出するものであり、用紙Qの搬送方向(以下、「副走査方向」という。)に対して直交する方向(以下、「主走査方向」という。)に長尺な略直方体状のヘッドホルダ40を有している。そして、このヘッドホルダ40の下面に、インクR1を吐出するヘッド本体42が装着されている。つまり、本実施形態のインクジェットプリンタ10は、ライン式のプリンタである。
【0019】
図3に示すように、ヘッド本体42は、流路ユニット44とその上面に接合されたアクチュエータユニット46とを有している。流路ユニット44は、複数の金属製プレートからなる積層体であり、最下層を構成するノズルプレート44aの下面が吐出面48となっている。そして、この吐出面48には、複数のノズル50が形成されている。また、流路ユニット44の内部には、マニホールド52(図2)及び副マニホールド52aが形成されており、さらに、副マニホールド52aからアパーチャ54及び圧力室56を経てノズル50に至る複数の個別インク流路58が形成されている。また、図2に示すように、流路ユニット44の上面44bには、マニホールド52に連通する複数のインク供給口52bが形成されている。そして、ヘッドホルダ40の内部におけるヘッド本体42の上方には、インク供給口52bに連通するリザーブユニット(図示省略)が配置されており、図1に示すように、リザーブユニットが連通路22aを介して、液体カートリッジ16の液体タンク14aに接続されている。
【0020】
図3に示すように、アクチュエータユニット46は、複数の個別インク流路58の圧力室56に対応する複数のアクチュエータ(図示省略)を有している。複数のアクチュエータのそれぞれは、圧電層とこれを挟むように配置された電極とを有しており、電極に電圧を付与することで圧力室56の内部のインクR1に吐出エネルギーを付与できるようになっている。また、電極には、ドライバICを搭載したフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit:FPC)の一方端部が電気的に接続されており、当該FPCの他方端部は、制御部34(図1)に電気的に接続されている。なお、FPCは電気配線Lの一種であり、図1では、他の電気配線Lと同様に破線で示している。
【0021】
インク吐出ヘッド20aにおいては、インクR1の吐出不良を防止するために、印刷動作の開始前、或いは、印刷動作の終了後の所定のタイミングで、増粘したインクR1をノズル50(図3)から強制的に吐出させる動作(以下、「パージング動作」という。)が実行される。図1に示すように、パージング動作では、移動可能に構成されたキャップ59aが吐出面48(図3)に対向する位置に配置される。そして、ポンプ64aによりインクR1をインク吐出ヘッド20aに供給することで、ノズル50(図3)からキャップ59a(図1)の内部にインクR1が排出される。キャップ59aの内部に排出されたインクR1は、後述する第3液体移送手段32aによって廃液タンク26aに移送される。なお、印刷時には、吐出面48(図3)に対向する位置からキャップ59aが退避される。
【0022】
図1に示すように、処理液吐出ヘッド20bは、搬送機構12で搬送される用紙Qに対してインク吐出ヘッド20aの上流側で処理液R2を吐出するものであり、インク吐出ヘッド20aと同様に構成されている。つまり、処理液吐出ヘッド20bは、主走査方向に長尺な略直方体状のヘッドホルダ40を有しており、ヘッドホルダ40の下面には、処理液R2を吐出するヘッド本体42が装着されている。また、ヘッド本体42は、流路ユニット44とその上面に接合されたアクチュエータユニット46(図3)とを有している。そして、アクチュエータユニット46(図3)を構成する複数のアクチュエータ(図示省略)のそれぞれの電極には、FPC(図1中に破線で示す。)の一方端部が電気的に接続されており、当該FPCの他方端部は、制御部34(図1)に電気的に接続されている。また、パージング動作では、処理液吐出ヘッド20bの吐出面48(図3)に対向する位置にキャップ59bが配置される。
【0023】
[連通路、リザーブタンク、廃液タンク等の構成]
図1に示すように、連通路22aは、液体タンク14aとインク吐出ヘッド20aとを連通させるインクR1の流路であり、可撓性を有するチューブで構成されている。そして、連通路22aの途中には、分岐路60aを介してリザーブタンク24aが接続されており、連通路22aと分岐路60aとの接続部には、流路を切り替えるための切替弁62aが設けられている。また、切替弁62aの上流側における連通路22a又は分岐路60a(本実施形態では連通路22a)には、ポンプ64aが設けられている。切替弁62a及びポンプ64aは、制御部34に対して電気的に接続されており、制御部34によってこれらの動作が制御される。廃液タンク26aは、インク吐出ヘッド20aから排出されたインクR1(廃液)を一時的に貯留するものであり、廃液タンク26aと液体タンク14aとが下流側連通路66aを介して連通されており、廃液タンク26aとキャップ59aとが上流側連通路68aを介して連通されている。また、下流側連通路66aには、ポンプ67aが設けられており、上流側連通路68aには、ポンプ69aが設けられている。
【0024】
図1に示すように、リザーブタンク24a及び廃液タンク26aは、1つの筐体25aの内部に構成されており、リザーブタンク24a及び廃液タンク26aのそれぞれの容量は、これらに連通された液体タンク14aの容量とほぼ同じに設計されている。つまり、リザーブタンク24aと廃液タンク26aとは、共通の筐体25aにより一体化されており、これらを合わせた全体の容量は、液体タンク14aの容量の略2倍に設計されている。したがって、未使用時に液体タンク14aに貯留されていたインクR1の全てがそのまま残存した場合でも、それをリザーブタンク24aに余裕を持って収容することができる。また、未使用時に液体タンク14aに貯留されていたインクR1の全てをインク吐出ヘッド20aからキャップ59aの内部に排出させる場合でも、それを廃液タンク26aに余裕を持って収容することができる。
【0025】
制御部34で切替弁62aを操作して液体タンク14aとリザーブタンク24aとを連通させる流路を開くとともに、制御部34でポンプ64aを駆動させると、液体タンク14aに貯留されていたインクR1がリザーブタンク24aに移送される。また、制御部34でポンプ67aを駆動させると、廃液タンク26aに貯留されていたインクR1が液体タンク14aに移送される。そして、制御部34でポンプ69aを駆動させると、インク吐出ヘッド20aからキャップ59aの内部に排出されたインクR1が廃液タンク26aに移送される。つまり、本実施形態では、制御部34、切替弁62a及びポンプ64aによって、リザーブタンク24aに液体タンク14aからインクR1を移送させる第1液体移送手段28aが構成されており、制御部34及びポンプ67aによって、液体タンク14aに廃液タンク26aからインクR1を移送させる第2液体移送手段30aが構成されている。また、制御部34及びポンプ69aによって、廃液タンク26aにキャップ59aからインクR1を移送させる第3液体移送手段32aが構成されている。また、本実施形態では、液体タンク14a及びリザーブタンク24aがインク吐出ヘッド20aより上方に配置されており、ポンプ64aは、停止状態でもインクR1の通過を許容できるように構成されている。したがって、切替弁62aを操作してインク吐出ヘッド20aに向かう流路を開くと、液体タンク14a又はリザーブタンク24aの内部に貯留されていたインクR1は、インク吐出ヘッド20aに対して水頭差によって自然に供給される。
【0026】
処理液R2が貯留される液体タンク14bに関しても同様に、連通路22b、分岐路60b、リザーブタンク24b、切替弁62b、ポンプ64b、廃液タンク26b、下流側連通路66b、上流側連通路68b、ポンプ67b及びポンプ69bが設けられている。そして、制御部34、切替弁62b及びポンプ64bによって、リザーブタンク24bに液体タンク14bから処理液R2を移送させる第1液体移送手段28bが構成されており、制御部34及びポンプ67bによって、液体タンク14bに廃液タンク26bから処理液R2を移送させる第2液体移送手段30bが構成されている。また、制御部34及びポンプ69bによって、廃液タンク26bにキャップ59bから処理液R2を移送させる第3液体移送手段32bが構成されている。なお、これらの各要素は、液体タンク14aに関して設けられた各要素と同様に構成されているので、これらの各要素についての詳細な説明は省略する。
【0027】
[制御部の構成]
図4は、インクジェットプリンタ10に用いられる制御部34の構成を示すブロック図である。制御部34(図1)は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラムや各種のデータを書き替え可能に記憶する不揮発メモリと、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを有している。そして、図4に示すように、CPUで制御プログラムが実行されることによって、ヘッド制御部70、画像データ記憶部72、処理液吐出データ記憶部74、処理液吐出データ作成部76、処理液吐出データ変更部78、搬送制御部80、液体移送制御部82及び残量検知部84が実現される。
【0028】
ヘッド制御部70は、画像データ記憶部72に記憶された画像データに基づいてインク吐出ヘッド20aのアクチュエータを制御するインク吐出ヘッド制御部70aと、処理液吐出データ記憶部74に記憶された処理液吐出データに基づいて処理液吐出ヘッド20bのアクチュエータを制御する処理液吐出ヘッド制御部70bとを有している。ここで、画像データは、インク吐出ヘッド20aから用紙Q上の各単位領域に吐出するインクR1の量を、ゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階で示すものであり、処理液吐出データは、処理液吐出ヘッド20bから用紙Q上の各単位領域に吐出する処理液R2の量を、ゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階で示すものである。したがって、残量検知部84では、画像データ及び処理液吐出データに含まれる液滴のドット数やドットサイズに基づいて、インクR1及び処理液R2の消費量を求めることができる。
【0029】
処理液吐出データ作成部76は、画像データ記憶部72に記憶された画像データに基づいて処理液吐出データを作成するものであり、処理液吐出データ変更部78は、処理液吐出データ記憶部74に記憶された処理液吐出データを、操作パネル86から入力された情報等に基づいて適宜変更するものである。
【0030】
液体移送制御部82は、第1液体移送手段28a,28b、第2液体移送手段30a,30b及び第3液体移送手段32a,32bのそれぞれを制御する「液体移送制御手段」として機能するものである。液体移送制御部82には、切替弁62a,62b及びポンプ64a,64b,67a,67b,69a,69bが電気的に接続されており、ポンプの能力や稼動時間に関する情報を取得できるようになっている。
【0031】
残量検知部84は、画像データ記憶部72から与えられた画像データに基づいて、液体タンク14aに貯留されたインクR1の残量を検知する機能と、処理液吐出データ記憶部74から与えられた処理液吐出データに基づいて、液体タンク14bに貯留された処理液R2の残量を検知する機能とを有している。また、残量検知部84は、液体移送制御部82から与えられた信号に基づいて、第1液体移送手段28a,28b、第2液体移送手段30a,30b及び第3液体移送手段32a,32bによるインクR1及び処理液R2の移送量を求める機能と、第1液体移送手段28a,28bにおける移送量等からリザーブタンク24a,24bに貯留されたインクR1及び処理液R2の残量を検知する機能と、第2液体移送手段30a,30b及び第3液体移送手段32a,32bにおける移送量等から廃液タンク26a,26bに貯留されたインクR1及び処理液R2の残量を検知する機能とを有している。つまり、残量検知部84は、液体タンク14a,14bの残量を検知する「液体タンク残量検知手段」としての機能と、リザーブタンク24a,24bの残量を検知する「リザーブタンク残量検知手段」としての機能と、廃液タンク26a,26bの残量を検知する「廃液タンク残量検知手段」としての機能とを有している。
【0032】
操作パネル86は、処理液吐出データ変更部78及び残量検知部84に対して各種の情報を入力する「情報入力手段」としての機能と、残量検知部84から与えられた信号に基づいて液体カートリッジ16を交換すべきことを報知する「報知手段」としての機能とを有している。或る液体タンク14a,14bにおけるインクR1又は処理液R2の残量が、予め設定された所定量(第1所定量)よりも少なくなったことを「液体タンク残量検知手段」としての残量検知部84が検知すると、操作パネル86は、液体カートリッジ16を交換すべきことを報知するように、その表示部(図示省略)に文字等を表示する。
【0033】
[制御部の制御動作]
図5及び図6は、制御部34(液体移送制御手段)の制御動作を示すフロー図である。図5に示すように、ステップS1では、液体タンク14a,14bのインクR1及び処理液R2が、水頭差によってインク吐出ヘッド20a及び処理液吐出ヘッド20bに供給され、印刷時には、これらのインクR1及び処理液R2が画像形成のために使用される。印刷動作においてインクR1及び処理液R2が使用されると、液体タンク14a,14bの残量が減少していくため、これらの一方の残量が無くなった際には、液体カートリッジ16を交換する必要がある。また、廃液タンク26a,26bには、パージング動作によってインク吐出ヘッド20a及び処理液吐出ヘッド20bから排出されたインクR1及び処理液R2(廃液)が貯留されるので、これらを回収する必要がある。そこで、ステップS3〜S13では、カートリッジ交換及び廃液回収のための液体移送制御が実行される。
【0034】
まず、ステップS3では、液体タンク14a,14bの残量が残量検知部84(図4)によって検知され、次のステップS5では、或る液体タンク14a,14bにおけるインクR1又は処理液R2の残量が「第1所定量」未満であるか否かが判断される。そして、ステップS5で「NO」と判断されると、ステップS1に戻って通常の液体供給が続行され、「YES」と判断されると、ステップS7及びステップS8が実行される。
【0035】
ステップS7では、リザーブタンク24a,24b(図1)に対して、それに対応する他の液体タンク14a,14b(或る液体タンクとは異なる液体タンク)からインクR1又は処理液R2を移送させるように、第1液体移送手段28a,28bが制御される。例えば、ステップS5において、液体タンク14bにおける処理液R2の残量が「第1所定量」未満であると判断されると、ステップS7では、他の液体タンク14aに貯留されていたインクR1をリザーブタンク24aに移送させるように、第1液体移送手段28aが制御される。
【0036】
ステップS8では、少なくとも1つの液体タンク14a,14b(本実施形態では2つ)に対して、廃液タンク26a,26bに貯留されていたインクR1及び処理液R2(廃液)を移送させるように、第2液体移送手段30a,30bが制御される。本実施形態では、廃液タンク26aに貯留されていたインクR1が、第2液体移送手段30aによって液体タンク14aに移送され、廃液タンク26bに貯留されていた処理液R2が、第2液体移送手段30bによって液体タンク14bに移送される。
【0037】
ステップS9では、ステップS7及びステップS8の移送が完了したか否かが判断され、「NO」と判断されると、ステップS7に戻って移送動作が続行され、「YES」と判断されると、ステップS11が実行される。例えば、制御部34は、ポンプ64a,64bの稼動時間が液体タンク14a,14bに残ったインクR1又は処理液R2を移送させるのに必要な時間に達し、かつ、ポンプ67a,67bの稼動時間が廃液タンク26a,26bに残ったインクR1又は処理液R2を移送させるのに必要な時間に達したとき、移送が完了したと判断する。ステップS11では、液体カートリッジ16を交換すべきことが「報知手段」としての操作パネル86によって報知される。
【0038】
次のステップS13では、カートリッジ交換が完了したか否かが判断され、「NO」と判断されると、そのまま待機され、「YES」と判断されると、図6のステップS15に進む。液体カートリッジ16を交換した後には、ステップS7でリザーブタンク24a,24bに移送させたインクR1及び処理液R2を、インク吐出ヘッド20a及び処理液吐出ヘッド20bで利用する必要がある。そこで、図6に示すように、ステップS15〜S25では、リザーブタンク24a,24bに移送させたインクR1及び処理液R2をインク吐出ヘッド20a及び処理液吐出ヘッド20bに供給するための液体供給制御が実行される。
【0039】
すなわち、ステップS15では、リザーブタンク24a,24bのインクR1及び処理液R2の残量が残量検知部84において検知される。ステップS17では、リザーブタンク24a,24bのインクR1及び処理液R2の残量が「第2所定量」以上であるか否かが判断され、「NO」と判断されると、リザーブタンク24a,24bからの液体供給をせずにステップS27に進み、「YES」と判断されると、ステップS19及びS21がこの順に実行される。ステップS19では、ステップS17で「YES」と判断されたリザーブタンク24a,24bと、それに対応するインク吐出ヘッド20a又は処理液吐出ヘッド20bとを連通させるように、制御部34によって切替弁62a,62bが制御され、リザーブタンク24a,24bのインクR1又は処理液R2がインク吐出ヘッド20a又は処理液吐出ヘッド20bに供給される。ステップS21では、リザーブタンク24a,24bの残量が残量検知部84によって検知され、ステップS23では、リザーブタンク24a,24bの残量が「第2所定量」未満であるか否かが判断される。ステップS23で「NO」と判断されると、ステップS19に戻り、「YES」と判断されると、ステップS25に進む。ステップS25では、ステップS23において「YES」と判断されたリザーブタンク24a,24bと、それに対応するインク吐出ヘッド20a又は処理液吐出ヘッド20bとの連通を遮断させるように、制御部34によって切替弁62a,62bが制御され、リザーブタンク24a,24bからのインクR1又は処理液R2の供給が停止される。ステップS27では、制御部34による液体移送制御を終了するか否かが判断され、「NO」と判断されると、ステップS1に戻って通常の液体供給が実行され、「YES」と判断されると、液体移送制御が終了される。
【0040】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態によれば、液体タンク14a,14bの一方に貯留されていたインクR1又は処理液R2が所定量より少なくなった場合に、液体タンク14a,14bの他方に残ったインクR1又は処理液R2を、リザーブタンク24a,24bに移送させることができるので、液体カートリッジ16と共に廃棄される残存液の量を少なくすることができる。また、廃液タンク26a,26bに貯留されていたインクR1及び処理液R2を液体タンク14a,14bに移送して、これを液体カートリッジ16と共に回収することができる。
【0041】
また、リザーブタンク24a,24bの容量が、それらに連通された液体タンク14a,14bの容量と同じに設計されているので、カートリッジ交換の際には、液体タンク14a又は14bに残ったインクR1又は処理液R2の全てをリザーブタンク24a又は24bに完全に移送させることが可能であり、無駄に廃棄される残存液の量を少なくすることができる。また、リザーブタンク24a,24bと廃液タンク26a,26bとが共通の筐体により一体化されているので、部品点数を減らしてコストを低減することができる。さらに、インクR1と処理液R2とが異なる廃液タンク26a,26bに貯留されるので、廃液タンク26a,26bの内部でインクR1が処理液R2によって凝集されるのを防止でき、凝集されたインクR1によって液体通路等が詰まるのを防止することができる。
【0042】
そして、液体タンク14a,14bにおけるインクR1及び処理液R2の残量を、画像データ及び処理液吐出データから読み取った液滴のドット数やドットサイズに基づいて、簡単かつ正確に検知することができる。また、リザーブタンク24a,24bにおけるインクR1及び処理液R2の残量を、ポンプ64a,64bの能力や稼動時間から算出される移送量に基づいて、簡単かつ正確に検知することができる。
【0043】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係るインクジェットプリンタにおけるリザーブタンク90及び廃液タンク92の構成を示す概念図である。第2実施形態では、リザーブタンク90と廃液タンク92とが共通の筐体94により一体化されており、筐体94の内部には、リザーブタンク90を構成する第1パウチ90aと、廃液タンク92を構成する第2パウチ92aとが互いに隣接して設けられている。第1パウチ90a及び第2パウチ92aのそれぞれは、液体(インクR1又は処理液R2)が充填されたときに、筐体94内の体積まで膨張可能なように袋状に構成されている。第1パウチ90a及び第2パウチ92aの材質は、特に限定されるものではないが、ゴム及びエラストマ等のような液密性及び弾性を有する材料や、軟質合成樹脂等のような液密性及び柔軟性を有する材料を用いることが望ましい。なお、リザーブタンク90及び廃液タンク92は、上述のリザーブタンク24a(又は24b)及び廃液タンク26a(又は26b)に代わるものであり、第2実施形態に係るインクジェットプリンタの他の部分は、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10(図1)と同様に構成されている。
【0044】
図7に示すように、第2実施形態に係るインクジェットプリンタにおいて、パージング動作を実行すると、インク吐出ヘッド20a(図1)又は処理液吐出ヘッド20b(図1)で使用されたインクR1又は処理液R2が廃液タンク92の第2パウチ92aに供給され、第2パウチ92aは、インクR1又は処理液R2が充填されることによって膨張される。また、印刷動作では、リザーブタンク90の第1パウチ90aからインク吐出ヘッド20a又は処理液吐出ヘッド20bにインクR1又は処理液R2が供給され、第1パウチ90aは第2パウチ92aに押されて収縮される。一方、液体カートリッジ16を交換するときには、液体タンク14a又は14bからリザーブタンク90の第1パウチ90aにインクR1又は処理液R2が移送され、第1パウチ90aは、インクR1又は処理液R2が充填されることによって膨張される。また、廃液タンク92の第2パウチ92aから液体タンク14a又は14bにインクR1又は処理液R2が移送され、液体残量が少なくなった第2パウチ92aは、第1パウチ90aに押されて収縮される。このように、第2実施形態では、第1パウチ90a及び第2パウチ92aが同時に膨張されることはないので、第1パウチ90a及び第2パウチ92aのそれぞれの最大容量を同時に確保する必要はなく、筐体94をコンパクトに構成することができる。
【0045】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態に係るインクジェットプリンタにおけるリザーブタンク100及び廃液タンク102の構成を示す概念図である。第3実施形態では、リザーブタンク100と廃液タンク102とが共通の筐体104により一体化されており、筐体104の内部には、リザーブタンク100を構成する第1液体収容部100aと、廃液タンク102を構成する第2液体収容部102aとが仕切り壁106を介して互いに隣接して設けられている。また、第1液体収容部100aと第2液体収容部102aとは、通路108を介して連通されている。さらに、筐体104の内部には、第1液体移送手段28a又は28b(図1)により第1液体収容部100aの容量を超える過剰なインクR1又は処理液R2が移送された場合に、当該過剰なインクR1又は処理液R2を第1液体収容部100aから通路108を通して第2液体収容部102aに排出させる排出機構110が設けられている。この排出機構110は、単に高低差を利用してインクR1又は処理液R2を排出させる構成であってもよいし、第2液体収容部102aから第1液体収容部100aへのインクR1又は処理液R2の逆流を防止する逆止弁を有する構成であってもよい。なお、リザーブタンク100及び廃液タンク102は、上述のリザーブタンク24a(又は24b)及び廃液タンク26a(又は26b)に代わるものであり、第3実施形態に係るインクジェットプリンタの他の部分は、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10(図1)と同様に構成されている。
【0046】
第3実施形態では、第1液体収容部100aの容量を超える過剰なインクR1又は処理液R2が移送されたときに、当該インクR1又は処理液R2が通路108を通して第2液体収容部102aに供給されるので、第1液体収容部100aの圧力が過剰に上昇するのを防止することができる。
【0047】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態に係るインクジェットプリンタ120の構成を示す概念図である。このインクジェットプリンタ120では、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10の処理液吐出ヘッド20b(図1)に代えて、インク吐出ヘッド20cが設けられており、液体タンク14bには、処理液R2(図1)に代えてインクR3が貯留されている。そして、インク吐出ヘッド20cに対応して設けられたキャップ59cは、上流側連通路68cを介して廃液タンク26aに連通されている。
【0048】
第4実施形態では、少なくとも2つのインク吐出ヘッド20a,20cから排出されたインクR1,R3が共通の廃液タンク26aに移送されるので、廃液タンクの数を減らすことができる。したがって、インクジェットプリンタ120の全体をより小型かつ安価に製造することができる。
【0049】
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態に係るインクジェットプリンタ130の要部の構成を示す概念図である。このインクジェットプリンタ130では、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10の下流側連通路66a,66bに代えて、下流側連通路132a,132bが設けられている。廃液タンク26aに接続された下流側連通路132aは、切替弁134aを介して2方向に分岐されており、一方の分岐路136aが液体タンク14aに接続されており、かつ、他方の分岐路138aが液体タンク14bに接続されている。また、廃液タンク26bに接続された下流側連通路132bは、切替弁134bを介して2方向に分岐されており、一方の分岐路136bが液体タンク14bに接続されており、かつ、他方の分岐路138bが液体タンク14aに接続されている。そして、制御部34、切替弁134a及びポンプ67aによって、液体タンク14a,14bに廃液タンク26aからインクR1を移送させる第2液体移送手段140aが構成されており、制御部34、切替弁134b及びポンプ67bによって、液体タンク14b,14aに廃液タンク26bから処理液R2を移送させる第2液体移送手段140bが構成されている。
【0050】
第5実施形態では、制御部34で切替弁134aを制御することによって、インク吐出ヘッド20a(図1)に対応する廃液タンク26aに貯留されていたインクR1を、液体タンク14a及び液体タンク14bのいずれか一方、又は両方に移送することが可能である。また、制御部34で切替弁134bを制御することによって、処理液吐出ヘッド20b(図1)に対応する廃液タンク26bに貯留されていた処理液R2を、液体タンク14b及び液体タンク14aのいずれか一方、又は両方に移送することが可能である。したがって、液体タンク14a及び液体タンク14bの両方を用いて、インクR1及び処理液R2のいずれか一方、又は両方を回収することが可能であり、より多くのインクR1及び処理液R2を回収することができる。また、液体タンク14b及び液体タンク14aのいずれか一方、又は両方を「共通の液体タンク」として用いることができるので、当該共通の液体タンクにおいてインクR1と処理液R2とを混合させて、インクR1を処理液R2によって凝集させることができる。インクR1を凝集させると、カートリッジ装着部18から取り外した液体カートリッジ16を振ったときでも、インクR1及び処理液R2の音が聞こえることがないので、インクR1が残っているとユーザが錯覚するのを防止することができる。
【0051】
(その他の実施形態)
上述の各実施形態では、リザーブタンク24a,24b及び廃液タンク26a,26bが共通の筐体25a,25bにより一体化されているが、他の実施形態では、リザーブタンク24a,24b及び廃液タンク26a,26bが別々の筐体(図示省略)により互いに独立して構成されてもよい。また、上述の各実施形態では、制御部34の残量検知部84を「液体タンク残量検知手段」及び「リザーブタンク残量検知手段」として用いているが、他の実施形態では、液体タンク14a,14bに取り付けられた液位センサを「液体タンク残量検知手段」として用いてもよく、また、リザーブタンク24a,24bに取り付けられた液位センサを「リザーブタンク残量検知手段」として用いてもよい。
【0052】
そして、他の実施形態では、本発明をインク以外の液体を吐出する画像形成装置に適用してもよいし、ファクシミリ及びコピー機等のようなプリンタ以外の画像形成装置に適用してもよい。さらに、液体吐出方式としては、アクチュエータ方式に代えて、発熱素子で液体の体積を膨張させたときの圧力を利用して吐出させる方式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0053】
Q… 用紙
R1… インク(液体)
R2… 処理液(液体)
10… インクジェットプリンタ(画像形成装置)
12… 搬送機構
14a,14b… 液体タンク
16… 液体カートリッジ
18… カートリッジ装着部
20a… インク吐出ヘッド(液体使用部)
20b… 処理液吐出ヘッド(液体使用部)
22a,22b… 連通路
24a,24b… リザーブタンク
25a,25b… 筐体
26a,26b… 廃液タンク
28a,28b… 第1液体移送手段
30a,30b… 第2液体移送手段
34… 制御部(液体移送制御手段、液体タンク残量検知手段、リザーブタンク残量検知手段)
59a,59b…キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる液体が貯留される複数の液体タンクを有する液体カートリッジと、
前記複数の液体タンクに貯留された各液体の残量を検知する液体タンク残量検知手段と、
前記液体カートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、
画像を形成するために前記互いに異なる液体を使用する複数の液体使用部と、
前記複数の液体タンクと前記複数の液体使用部とを連通させる複数の連通路と、
を備える画像形成装置であって、
前記複数の液体タンクの少なくとも1つに対応して設けられ、対応する前記液体タンクに貯留されていた液体を一時的に貯留する少なくとも1つのリザーブタンクと、
少なくとも1つの前記液体使用部から排出された液体を一時的に貯留する廃液タンクと、
前記リザーブタンクに対して、それに対応する前記液体タンクから液体を移送させる第1液体移送手段と、
少なくとも1つの前記液体タンクに対して、前記廃液タンクから液体を移送させる第2液体移送手段と、
前記第1液体移送手段及び前記第2液体移送手段を制御する液体移送制御手段とを備え、
前記液体移送制御手段は、或る1つの前記液体タンクにおける液体の残量が所定量よりも少なくなったことを前記液体タンク残量検知手段が検知したとき、前記リザーブタンクに連通する他の少なくとも1つの前記液体タンクに残った液体を前記リザーブタンクに移送させるように前記第1液体移送手段を制御し、かつ、前記廃液タンクに貯留されていた液体を前記或る1つの液体タンク又は前記他の少なくとも1つの液体タンクに移送させるように前記第2液体移送手段を制御することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記リザーブタンクと前記廃液タンクとは共通の筐体により一体化されている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記筐体の内部には、前記リザーブタンクを構成する第1パウチと、前記廃液タンクを構成する第2パウチとが互いに隣接して設けられており、
前記第1パウチ及び前記第2パウチのそれぞれは液体が充填されることによって前記筐体内の体積まで膨張可能に構成されている、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記筐体の内部には、前記リザーブタンクを構成する第1液体収容部と、前記廃液タンクを構成する第2液体収容部とが互いに隣接して設けられており、
前記第1液体収容部と前記第2液体収容部とは、通路を介して連通されており、
前記筐体の内部には、前記第1液体移送手段により前記第1液体収容部の容量を超える過剰な液体が移送された場合に、当該過剰な液体を前記第1液体収容部から前記通路を通して前記第2液体収容部に排出させる排出機構が設けられている、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記排出機構は、前記第2液体収容部から前記第1液体収容部への液体の逆流を防止する逆止弁を有する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の液体使用部のうち少なくとも2つはインクを吐出するインク吐出ヘッドであり、
前記インク吐出ヘッドのそれぞれから排出されたインクが共通の前記廃液タンクに貯留される、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記複数の液体使用部のうち少なくとも1つはインクを吐出するインク吐出ヘッドであり、前記複数の液体使用部のうち少なくとも他の1つは処理液を吐出する処理液吐出ヘッドであり、
前記インク吐出ヘッドから排出されたインクと前記処理液吐出ヘッドから排出された処理液とが異なる前記廃液タンクに貯留される、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記インク吐出ヘッドに対応する前記廃液タンクに貯留されていたインクと、前記処理液吐出ヘッドに対応する前記廃液タンクに貯留されていた処理液とが前記第2液体移送手段によって共通の前記液体タンクに移送される、請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−158044(P2012−158044A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18468(P2011−18468)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】