説明

画像形成装置

【課題】複数のカバーを連動して開閉する場合に、簡易な構成でカバーの閉鎖順序を規定できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】開閉連動機構30は、第1ラック31と、第2ラック32と、ピニオン33と、ホルダー34とを備えている。第1ラック31は側面カバー24に接続されており、第2ラック32は上面カバー25に接続されている。ピニオン33は、第1ラック31と噛み合う第1歯車33aと、第2ラック32と噛み合う第2歯車33bとを備えている。上面カバー25が閉状態と開状態との間を移動するときの第2歯車33bの回転量は1回転以下であり、第2ラック32と噛み合う第2歯車33bには回転軸を中心として所定角度θの領域に歯欠け部35が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に画像形成装置の外装カバーを開閉する際の操作性の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体上に形成された静電潜像にトナーを付着させて可視画像(トナー像)とし、記録媒体上に転写する電子写真方式の画像形成装置が知られている。このような画像形成装置においては、現像装置にトナーを補給するトナー容器をカートリッジ化したトナーカートリッジ、或いは現像装置とトナー容器を一体化した現像カートリッジを用いることにより、メンテナンス性を向上させる方法が実用化されている。
【0003】
ところで、トナーカートリッジや現像カートリッジが画像形成装置の内部上方に搭載されている場合、装置本体上面の排出部(記録紙積載部)に設けられた上面カバーを開放してカートリッジの交換を行う。また、画像形成装置内部で紙詰まり(ジャム)が発生した場合にも上面カバーを開放してジャム処理を行う。しかし、装置本体の上方に画像読取部が設置された複合機においては上面カバーを大きく開放することができず、カートリッジの交換やジャム処理の作業性が悪くなっていた。
【0004】
上面カバーの開放角度を大きく取るためには、装置上面から画像読取部までの空間を広くすれば良いが、画像読取部の位置が高くなるため、画像読取部及びこれに付設された操作部の操作性が低下する。また、装置全体の寸法が大きくなり、近年要望の高い小型化、コンパクト化にも反することとなる。さらに、画像読取部を画像形成装置本体に対しヒンジ部を介して開閉可能に取り付けることも考えられるが、画像読取部は重量が大きいため開閉作業は作業者の大きな負担となる。また、重量の大きい画像読取部の開閉支点に掛かる負荷も大きくなるため、ヒンジ部の強度を高める等の対策により負荷に耐えられる構成とする必要があり、コストアップに繋がるとともに安全面においても問題があった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1には、側面カバーと上面カバーにラックを連結し、それぞれのラックに噛み合うピニオンを設けることにより、操作し易い側面カバーの開閉により上面カバーも連動して開閉するようにした画像形成装置が開示されている。
【0006】
特許文献1の方法によれば、側面カバーと上面カバーとが同時に開放されるため、メンテナンス時における外装カバーの開閉作業性が向上する。また、画像読取部の設置によって上面カバーの開閉スペースが小さくなっている場合でも画像形成装置内部を大きく露出させることができ、十分な作業スペースを確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−163054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の構成によれば、上面カバーが先に閉鎖位置へ到達し、その後で側面カバーが閉鎖位置に到達することにより、側面カバーと上面カバーの突き合わせ部が引っ掛からずに円滑に開閉でき、さらに閉状態では側面カバーが上面カバーのオーバーラップ部に被さることで上面カバーの不用意な開放を防止するようになっている。
【0009】
しかしながら、特許文献1の構成では、側面カバーと上面カバーとの位置関係がラックとピニオンの噛み合いのみで決定される。そのため、ギアの噛み合いガタや歯飛び(バックラッシュ)が発生した場合、或いは側面カバーの剛性不足等により側面カバーが必要以上に装置内側へ倒れ込んだ場合は、側面カバー24が上面カバー25よりも先に閉鎖位置に到達してしまう。そして、図9に示すように、側面カバー24と上面カバー25の突き合わせ部が正規の嵌合状態とは逆になり、上面カバー25のオーバーラップ部25bが側面カバー24の上に乗り上げてしまう場合がある。
【0010】
その結果、側面カバー24を開放する際に上面カバー25が引っ掛かって円滑に開放できないという不具合が発生するおそれがあった。また、上面カバー25が不用意に開放したり、嵌合段差が生じて外観を損ねたりするという問題点もあった。さらに、突き合わせ部の内側に用紙搬送路が形成されている場合は用紙が引っ掛かってジャムが発生するおそれもあった。
【0011】
なお、ここでは側面カバーと上面カバーとが連動して開閉される構成を例に挙げて説明したが、ラックとピニオンを用いて複数のカバーを同時に開閉する構成であれば上記と同様の問題が発生する。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑み、複数のカバーを連動して開閉する場合に、簡易な構成でカバーの閉鎖順序を規定できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、画像形成部を内部に備えた装置本体と、該装置本体に対し回動可能に支持される複数の開閉カバーと、該複数の開閉カバーのうちいずれかのカバーの開閉動作に連動して他のカバーを開閉する開閉連動機構と、を備えた画像形成装置において、前記開閉カバーは、装置本体の一部を開閉する第1のカバーと、閉方向に付勢されており、且つ閉鎖時に前記第1のカバーの一部が被せられる第2のカバーと、を含み、前記開閉連動機構は、前記第1のカバーに連結される第1ラックと、前記第2のカバーに連結される第2ラックと、前記第1ラックに噛み合う第1歯車と前記第2ラックに噛み合う第2歯車とを有するピニオンと、を有し、前記第2のカバーが閉位置と最大開放位置との間を移動するときの前記第2歯車の回転量が1回転以内であり、前記第2歯車には、前記第2のカバーが閉位置に到達する直前に前記第2ラックに対向する位置に歯欠け部が形成されることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記第2ラックは略上下方向に移動可能であり、前記第2のカバーは重力により閉方向に付勢されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、第2のカバーに連結される第2ラックに噛み合う第2歯車の回転量を1回転以内とし、第2歯車の一部に歯欠け部を形成することにより、第1のカバーと第2のカバーとを閉じていくとき、第2歯車の歯欠け部が第2ラックと対向する位置で第2のカバーが付勢力により閉位置に移動するため、第1のカバーの一部が被せられる第2のカバーが常に第1のカバーよりも早く閉位置に到達する。従って、第2のカバーが第1のカバーの上に乗り上げて第1のカバーを開放する際に第2のカバーが引っ掛かって円滑に開放できなかったり、嵌合段差が生じて外観を損ねたりする不具合を効果的に防止することができる。また、第2歯車の歯欠け部と第2ラックとが第2のカバーが閉じる直前に対向するため、付勢力による第2のカバーの移動距離が最小になる。従って、第2のカバーが閉じる際の衝撃を極力小さくすることができ、騒音の発生や第2のカバーの破損を防止することができる。
【0016】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、第2ラックは略上下方向に移動可能であり、第2のカバーは重力により閉方向に付勢されることにより、バネ等の付勢部材を用いることなく第2のカバーを円滑に閉鎖することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置の内部構造を示す概略断面図
【図2】本発明の画像形成装置を図1の右方向から見た外観斜視図
【図3】本発明の画像形成装置の側面カバー24、上面カバー25、及び開閉連動機構30を示す分解斜視図
【図4】図3においてホルダー34を取り外した状態を示す分解斜視図
【図5】第1ラック31、第2ラック32及びピニオン33を図3の裏面側から見た斜視図
【図6】第1ラック31、第2ラック32及びピニオン33の噛み合い部分の拡大図
【図7】側面カバー24及び上面カバー25が最大開放位置まで開放された状態を示す斜視図
【図8】本発明の画像形成装置における側面カバー24と上面カバー25との接合部分を示す側面断面図
【図9】従来の画像形成装置における側面カバー24と上面カバー25との接合部分の嵌合が逆になった状態を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の概略断面図であり、図2は、画像形成装置を前面側(図1の右方向)から見た外観斜視図である。なお、ここでは画像形成装置としてタンデム方式のカラー複合機について示している。複合機100本体には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0019】
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳された後、二次転写ローラー9の作用によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写され、さらに、定着部13において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0020】
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0021】
画像読取部20は、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサー等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。画像読取部20は、複合機100本体の揺動支点20aにおいて排出トレイ17と所定の間隔を隔てて揺動可能に支持されている。また、画像読取部20の不必要な揺動を規制するために、画像読取部20を図1の状態で複合機100本体に連結するロック機構(図示せず)が設けられている。
【0022】
画像読取部20の上面には、透明なガラス板(コンタクトガラス)が取り付けられた原稿載置台(図示せず)や、装置前面側に突出した操作パネル21が配設されている。また、画像読取部20の上面には、原稿載置台における画像読取位置に原稿を搬送するための原稿搬送装置22(図1では不図示)が開閉自在に支持されている。
【0023】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像ユニット3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング部7a、7b、7c及び7dが設けられている。
【0024】
画像読取部20から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーカートリッジ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0025】
そして、一次転写ローラー6a〜6dに所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等がクリーニング部7a〜7dにより除去される。
【0026】
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙P上に転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
【0027】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー15によって排出トレイ17に排出される。
【0028】
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部13を通過した転写紙Pは一旦排出ローラー15方向に搬送され、転写紙Pの後端が分岐部14を通過した後に排出ローラー15を逆回転させるとともに分岐部14の搬送方向を切り換えることで、転写紙Pの後端から用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ニップ部に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部13に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0029】
また、複合機100は、トナーカートリッジ4a〜4d等の交換ユニットを着脱したり、複合機100内で発生したジャムを処理したりするための複合機100本体に対して開閉可能な開閉カバー23を備えている。そして、本実施形態の複合機100においては、開閉カバー23は、パネル状の側面カバー24と、パネル状の上面カバー25とで構成されている。
【0030】
側面カバー24は、作業者による作業が行い易いように、複合機100本体の正面に配置されており、支点24aにおいて複合機100本体に対して前後方向に開閉可能に軸支されている。
【0031】
上面カバー25は排出トレイ17の一部を構成しており、支点25aにおいて複合機100本体に対して上下方向に開閉可能に軸支されている。そして、本実施形態の複合機100においては、作業者による側面カバー24の開閉動作に伴って上面カバー25を開閉する開閉連動機構30(図3参照)を備えている。
【0032】
図3は、側面カバー24、上面カバー25、及び開閉連動機構30を示す部分斜視図である。また、図4は、図3においてホルダー34を省略した図である。また、図5は、第1ラック31、第2ラック32及びピニオン33を図3の裏面側から見た図であり、図6は、図5における第1ラック31、第2ラック32及びピニオン33の噛み合い部分の拡大図である。図3、図4に示すように、開閉連動機構30は、第1ラック31と、第2ラック32と、ピニオン33とを備えている。第1ラック31は側面カバー24に接続されており、第2ラック32は上面カバー25に接続されている。
【0033】
ピニオン33は、図5及び図6に示すように、第1ラック31と噛み合う第1歯車33aと、第2ラック32と噛み合う第2歯車33bとを備えている。そして、第1歯車33aと第2歯車33bとは、いずれかのラックが開閉カバー23の一方を開く方向に移動した場合には、他方のラックを開閉カバー23の他方が開く方向に移動させるように第1ラック31と第2ラック32に対して噛み合わされている。
【0034】
また、第1歯車33aと第2歯車33bとは回転軸が同一であり、第2ラック32に噛み合う第2歯車33bの歯数は、第1ラック31に噛み合う第1歯車33aの歯数よりも少なく設定されている。図6に示すように、第2ラック32と噛み合う第2歯車33bには回転軸を中心として所定角度θの領域に歯欠け部35が形成されている。
【0035】
ここで、ラックに噛み合うピニオンの歯数が相対的に多い場合(歯車のピッチ円直径が大きい場合)には、歯車の回転量に対するカバーの開閉角度の変化量が大きくなり、カバーの移動速度(開閉速度)も大きくなる。また、ラックに噛み合うピニオンの歯数が相対的に少ない場合(歯車のピッチ円直径が小さい場合)には、歯車の回転量に対するカバーの開閉角度の変化量が小さくなり、カバーの移動速度(開閉速度)も小さくなる。
【0036】
本実施形態においては、第2ラック32に噛み合う第2歯車33bのピッチ円直径を第1ラック31に噛み合う第1歯車33aよりも小径とすることにより、上面カバー25の開閉速度が側面カバー24の開閉速度よりも小さくなるように設定されている。また、上面カバー25が閉位置と最大開放位置との間を移動するときの第2歯車33bの回転量は1回転以下である。
【0037】
なお、各カバーの開閉角度(開閉領域)は、各カバーに対するラックの接続位置と各カバーの開閉支点との距離によって変更可能である。即ち、側面カバー24に対する第1ラック31の接続位置と支点24aとの距離、上面カバー25に対する第2ラック32の接続位置と支点25aとの距離は、上面カバー25と側面カバー24とが開いた場合に所定の作業スペースが確保されるように具体的な値が決定される。
【0038】
ホルダー34は、図3に示すように、複合機100本体に対して固定されており、第1ラック31及び第2ラック32を移動可能に支持すると共に、ピニオン33を回転可能に支持する。
【0039】
また、本実施形態の複合機100においては、側面カバー24と上面カバー25とが閉じている場合(閉鎖時)に側面カバー24の一部が上面カバー25に対して被さるように構成されている。具体的には、上面カバー25の回動側端部から側面カバー24側に突出するオーバーラップ部25bを備えている。オーバーラップ部25bは、上面カバー25及び側面カバー24を閉める場合に、上面カバー25が側面カバー24よりも先に複合機100本体上面に到達することによって、側面カバー24の下側に入り込むような長さに設定されている。
【0040】
さらに本実施形態の複合機100は、図3に示すように、側面カバー24及び上面カバー25が完全に閉じられた場合に第2ラック32によって押下されると共に、押下されることによって複合機100の駆動(画像形成)を可能とする安全スイッチ40を備えている。なお、安全スイッチ40は、図3を除く他の図面においては図示を省略している。
【0041】
次に、側面カバー24及び上面カバー25の開閉動作について説明する。上記のように構成された本実施形態の複合機100においては、開閉連動機構30を介して接続された側面カバー24と上面カバー25のうち、側面カバー24が作業者により開放されると、図4の状態から側面カバー24に接続された第1ラック31が複合機100の手前下方(図5、図6の矢印A方向)に引き出される。
【0042】
その結果、第1ラック31に噛み合うピニオン33の第1歯車33aが図6の反時計回りに回転し、第1歯車33aの回転に伴って第2歯車33bも反時計回りに回転する。第2歯車33bが反時計回りに回転すると、第2歯車33bの歯欠け部35以外の部分が噛み合った時点で第2ラック32が上方向(図5、図6の矢印B方向)に移動し、上面カバー25が開いていく。
【0043】
図7は、側面カバー24及び上面カバー25が最大開放位置まで開放された状態を示す斜視図である。図7に示すように、上面カバー25及び側面カバー24が最大開放位置まで開放されることによってトナーカートリッジ4a〜4d(図1参照)が露出し、トナーカートリッジ4a〜4dを外部に取り出すことが可能となる。このとき、第2ラック32が安全スイッチ40(図3参照)から離間して複合機100の駆動が停止されるため、作業者の安全が確保される。
【0044】
一方、図7の状態から作業者が側面カバー24を閉じた場合には、側面カバー24に接続された第1ラック31が複合機100の奥側上方(図5、図6の矢印A′方向)に押し込まれる。その結果、第1ラック31に噛み合うピニオン33の第1歯車33aが図6の時計回りに回転し、第1歯車33aの回転に伴って第2歯車33bも時計回りに回転する。第2歯車33bが時計回りに回転すると、第2歯車33bに噛み合う第2ラック32が下方向(図5、図6の矢印B′方向)に移動し、上面カバー25が閉じていく。
【0045】
ここで、第2歯車33bには上面カバー25が閉位置に到達する直前に第2ラック32に対向する位置に歯欠け部35が形成されている。そのため、歯欠け部35が第2ラック32に対向する位置まで第2歯車33b回転すると、第2ラック32と第2歯車33bとの噛み合いが外れ、第2ラック32は上面カバー25と共に自重により下方に摺動する。その結果、上面カバー25は側面カバー24よりも先に閉位置に到達し、図8に示すように、常にオーバーラップ部25bが側面カバー24の下に入り込む正規の嵌合状態とすることができる。
【0046】
本実施形態の複合機100によれば、開閉カバー23が側面カバー24、上面カバー25によって構成されている。このため、開閉カバー23を開ける際に必要となる複合機100周辺のスペースを減少させ、且つ十分な作業スペース(開口)を確保することが可能となる。また、本実施形態の複合機100によれば、開閉連動機構30によって側面カバー24と上面カバー25とを連結することで、側面カバー24の開閉動作に伴って上面カバー25が開閉される。従って、作業者は、複数の開閉カバー23のうち1つのカバー(側面カバー24)を開閉することにより全ての開閉カバー23(側面カバー24、上面カバー25)の開閉を行うことができ、開閉操作を簡単にすることができる。
【0047】
また、第2ラック32が噛み合う第2歯車33bには、上面カバー25が閉位置に到達する直前に第2ラック32に対向する位置に歯欠け部35を形成した。これにより、側面カバー24及び上面カバー25の閉鎖時において、上面カバー25が閉位置に到達する直前に自重により下方に摺動し、常にオーバーラップ部25bが側面カバー24の下に入り込む正規の嵌合状態となる。従って、側面カバー24を開放する際に上面カバー25が引っ掛かったり、嵌合段差が生じて外観を損ねたりするおそれもなくなる。
【0048】
また、上面カバー25が閉位置と最大開放位置との間を移動する際の第2歯車33bの回転量は1回転以下であるため、歯欠け部35は上面カバー25が閉じる直前に1回のみ第2ラック32に対向する。従って、上面カバー25を閉鎖する途中で歯欠け部35が第2ラック32に対向して上面カバー25が高い位置から落下したり、上面カバー25を開放する途中で歯欠け部35が第2ラック32に対向して上面カバー25が閉位置まで滑り落ちたりするおそれもない。
【0049】
さらに、上面カバー25と側面カバー24とが閉じられた状態では、側面カバー24が上面カバー25のオーバーラップ部25bに被さっているため、上面カバー25のみが不用意に開閉するのを防止することができる。このとき、第2ラック32が安全スイッチ40を押下するため、複合機100の駆動が可能となる。
【0050】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、開閉カバー23が上面カバー25と側面カバー24とによって構成されている例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、開閉カバー23が3つ以上のカバー(パネル)によって構成されていても良い。
【0051】
また、上記実施形態では略上下方向に移動する上面カバー25に第2ラック32を連結し、第2ラック32に噛み合う第2歯車33bに歯欠け部35を形成することにより、第2ラック32が歯欠け部35と対向したときに上面カバー25が自重により下方へ移動する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、上面カバー25の開閉操作に連動して側面カバー24を開閉することも可能である。その場合、第1ラック31に噛み合う第1歯車33aに歯欠け部35を形成し、側面カバー24を閉方向に付勢するバネ等の付勢部材を設けておけば、略水平方向に移動する側面カバー24を上面カバー25よりも先に閉位置に到達させることができる。
【0052】
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラー複合機に限らず、カラープリンターやデジタル或いはアナログ方式のモノクロ複合機、モノクロプリンター、インクジェット方式の画像形成部を備えたカラー複合機やカラープリンター等、他の画像形成装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、複数の開閉カバーを備えた画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、複数の開閉カバーを構成する第1のカバーと第2のカバーとを適切な順序で閉鎖できるため、第1のカバーを開放する際に第2のカバーが引っ掛かって円滑に開放できないという不具合や、第2のカバーが不用意に開放したり、嵌合段差が生じて外観を損ねたりするという問題点を簡易な構成で解決することができる。
【符号の説明】
【0054】
Pa〜Pd 画像形成部
1a〜1d 感光体ドラム
3a〜3d 現像装置
4a〜4d トナーカートリッジ
20 画像読取部
21 操作パネル
23 開閉カバー
24 側面カバー(第1のカバー)
25 上面カバー(第2のカバー)
30 開閉連動機構
31 第1ラック
32 第2ラック
33 ピニオン
33a 第1歯車
33b 第2歯車
34 ホルダー
35 歯欠け部
100 複合機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部を内部に備えた装置本体と、
該装置本体に対し回動可能に支持される複数の開閉カバーと、
該複数の開閉カバーのうちいずれかのカバーの開閉動作に連動して他のカバーを開閉する開閉連動機構と、を備えた画像形成装置において、
前記開閉カバーは、装置本体の一部を開閉する第1のカバーと、閉方向に付勢されており、且つ閉鎖時に前記第1のカバーの一部が被せられる第2のカバーと、を含み、
前記開閉連動機構は、前記第1のカバーに連結される第1ラックと、前記第2のカバーに連結される第2ラックと、前記第1ラックに噛み合う第1歯車と前記第2ラックに噛み合う第2歯車とを有するピニオンと、を有し、
前記第2のカバーが閉位置と最大開放位置との間を移動するときの前記第2歯車の回転量が1回転以内であり、前記第2歯車には、前記第2のカバーが閉位置に到達する直前に前記第2ラックに対向する位置に歯欠け部が形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2ラックは略上下方向に移動可能であり、前記第2のカバーは重力により閉方向に付勢されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−173680(P2012−173680A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38028(P2011−38028)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】