説明

画像形成装置

【課題】中間転写体上の色ずれ補正画像または濃度補正画像のクリーニングによる製品のダウンタイムを、特別な構成変更なく安価な構成で低減させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写体上の補正用トナー像をクリーニング手段によって清掃する第一のクリーニングモードと、中間転写体上の補正用トナー像を転写材に転写することによって清掃する第二のクリーニングモードと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による複写機、レーザービームプリンタ(LBP)等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置において、中間転写体を使用するものが知られている。この画像形成装置は、感光ドラム(第1の像担持体)表面に形成したトナー像(現像剤像)を中間転写体(第2の像担持体)に転写する1次転写工程を複数色のトナー像について繰り返すことにより中間転写体上に複数色のトナー像を形成する。次に、中間転写体上の複数色のトナー像を、紙等の転写材上に一括して二次転写することにより、転写材上にカラー画像(多色画像)を形成する。
【0003】
上述の、中間転写体を利用した画像形成装置においては、各色のトナー像の重ね合わせズレ(色ズレ)のない画像を得ることができるという利点を有する。反面、中間転写体から転写材への二次転写の後に、中間転写体上に二次転写残トナー(残留した現像剤)が存在し、この二次転写残トナーの除去が一つの技術的課題となっている。
【0004】
二次転写残トナーの除去方法としては、一般的には、二次転写後、一次転写前にファーブラシやクリーニングブレードを設け、これによって二次転写残トナーをかきとる手法が用いられている。しかし、この手法は、クリーニングブレード等によって中間転写体を力学的に摺擦するため、中間転写体の表面の劣化、トナーの融着等といった問題が発生しやすい。また、構成が複雑になったり、クリーニングしたトナーを溜めておく容器が別途必要である等の問題もあった。
【0005】
このような問題点を解決するために、特許文献1、2に記載するように、転写同時クリーニング方式が提案されている。この転写同時クリーニング方式とは、二次転写残トナーを帯電ローラによってプラスに帯電させておくことで、一次転写ニップにおいて感光ドラムに回収し、同時に一次転写も行うという方式である。一次転写ニップでは、感光ドラム上に存在するトナーはマイナスに帯電されているため、該トナーには中間転写体に向かう力が作用する。一方、二次転写残トナーはプラスに帯電しているため、該二次転写残トナーには感光ドラムに戻る力が作用する。従って、転写同時クリーニングプロセスが可能になる。以下、このような方式を「ICL方式」、若しくは、「ICL」と称することとする。また、二次転写残トナーの帯電手段を「ICL手段」と称し、ICL手段に帯電ローラを用いた場合にはこれを「ICLローラ」と称するものとする。
【0006】
色ずれ補正や濃度補正においては、中間転写体に色ずれ補正用の画像または濃度補正用の画像を形成し、その画像の色ずれや濃度を光学センサで読み取って、補正を行う構成がある。この色ずれ補正画像または濃度補正画像をクリーニングする手段も、上述のICL方式で行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−186998号公報
【特許文献2】特開2004−21142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ICL方式では、一次転写ニップにおいて感光ドラムにトナーを回収する為の一次転写バイアス出力能力が限られている。そこで、中間転写体を複数周回転させ、色ずれ補正画像または濃度補正画像が一次転写ニップ部を複数回通過することで全トナーを回収することができる。そのために、クリーニングに時間を要している。これは、色ずれ補正や濃度補正に要する時間を増加させている要因の一つであり、製品のダウンタイムとなっている。また、二次転写バイアスを用いるクリーニングモードでは、二次転写ローラ側に新たにクリーニング容器を設けることによるコストアップや、クリーニングの度にクリーニング用紙を設置しなければならないという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、上述のような中間転写体上の色ずれ補正画像または濃度補正画像のクリーニングによる製品のダウンタイムを、特別な構成変更なく安価な構成で低減させることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、
トナー像を担持する像担持体と、
回転可能な中間転写体と、
前記中間転写体にトナー像を一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体から転写材にトナー像を二次転写する二次転写手段と、
前記二次転写後に前記中間転写体に残留したトナー像を清掃するクリーニング手段と、を有し、
前記中間転写体に色ずれ補正や濃度補正のための補正用トナー像を形成する画像形成装置において、
前記中間転写体上の補正用トナー像を前記クリーニング手段によって清掃する第一のクリーニングモードと、前記中間転写体上の補正用トナー像を転写材に転写することによって清掃する第二のクリーニングモードと、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、中間転写体上の色ずれ補正画像または濃度補正画像のクリーニングによる製品のダウンタイムを、特別な構成変更なく安価な構成で低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が適用される4色フルカラーレーザービームプリンタの全体構成を示す断面図である。
【図2】本実施例1における電気回路ブロック図とフルカラーレーザービームプリンタA外のAC電源を示した図である。
【図3】実施例1におけるV字折り又はZ折りしてあるクリーニング用紙が給紙カセットに格納されている様子を示した図である。
【図4】実施例1における色ずれ補正及び濃度補正画像パターンクリーニングのフローチャートである。
【図5】実施例2における電気回路ブロック図とフルカラーレーザービームプリンタA外のAC電源を示した図である。
【図6】実施例2における色ずれ補正及び濃度補正画像パターンクリーニングのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0014】
実施例1
先ず、図1を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施例であるカラー画像形成装置の全体構成について説明する。本実施例にて、カラー画像形成装置は、複数の、本実施例では4色の画像形成部Y、M、C、Bkを備えた4色フルカラーレーザービームプリンタとされ、図1には、4色フルカラーレーザービームプリンタの全体構成を示す。
【0015】
図1を参照すると、本実施例の画像形成装置Aは、水平方向に並設された4個の画像形成部Y、M、C、Bkに、それぞれ、第1の像担持体であるドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)1(1a、1b、1c、1d)を有する。つまり、本実施例の画像形成装置は、感光ドラム1で形成された画像を、順次、第2の像担持体である中間転写ベルト8に連続的に多重転写し、フルカラープリント画像を得る4連ドラム方式(インライン方式)プリンタである。
【0016】
更に説明すると、画像形成装置Aは、水平方向に並設された4個の感光ドラム1(1a〜1d)は、駆動手段(不図示)によって、図1の反時計回りに方向に回転駆動される。感光ドラム1(1a〜1d)の周囲には、その回転方向に従って順に、感光ドラム表面を均一に帯電する帯電装置(一次帯電手段)2(2a〜2d)が設けられている。次いで、帯電された感光ドラム1上にレーザービーム3(3a〜3d)を照射し、感光ドラム1上に静電潜像を形成するレーザースキャナユニット(不図示)を備えている。更に、感光ドラム1の静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像するために現像ローラ(4e、4f、4g、4h)を備えた現像装置(現像手段)4(4a〜4d)が配置される。
【0017】
更に、感光ドラム1の周りには、感光ドラム1上のトナー像を記録媒体である転写材に転写させる一次転写ローラ(一次転写手段)(5a〜5d)を備えている。また、転写後の感光ドラム1の表面に残った一次転写後トナーやICLにより中間転写体8から感光ドラム1へ回収されたトナーを回収するクリーニング装置(クリーニング手段)(6a〜6d)等が配設されている。
【0018】
ここで、感光ドラム1、帯電装置2、現像装置4、クリーニング装置6は一体的にカートリッジ化され、プロセスカートリッジ7(7a〜7d)を形成し、フルカラーレーザービームプリンタAに着脱可能なものとなっている。
【0019】
次に、各部の構成について、順次説明する。
【0020】
感光ドラム1は、例えば直径30mmのアルミニウムシリンダの外周面に有機光導電体層(OPC感光体)を塗布して構成したものである。感光ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、図中反時計回りに回転駆動される。
【0021】
帯電装置2は、ローラ状に形成された導電性ローラで、このローラを感光ドラム1表面に当接させるとともに、このローラに電源(不図示)によって帯電バイアス電圧を印加することにより、感光ドラム1表面を一様に帯電させるものである。
【0022】
レーザースキャナユニット(不図示)より照射されるレーザービーム3は、画像情報に基づいて感光ドラム1の感光体層を照射し、感光ドラム上に静電潜像を形成する。
【0023】
現像装置4(4a〜4d)は、回転可能な中間転写体である中間転写ベルト8の搬送方向上流側(図1の左側)から順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーをそれぞれ収納した現像容器を備えている。感光ドラム1上の静電潜像の現像時には、対応する現像装置の現像容器内のトナーを、回転する現像ローラ4e〜4hの外周に薄層塗布し、且つ、トナーへ電荷を付与する。この現像ローラ4e〜4hと、静電潜像が形成された感光ドラム1との間に現像バイアスを印加することにより、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する。
【0024】
一次転写ローラ5a〜5dには独立にバイアス印加可能とするため、一次転写バイアス電源5e、5f、5g、5hを有している。
【0025】
クリーニング装置6は、感光ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト8に転写された後、転写されないで感光ドラム1表面に残った転写残トナーや、ICLにより中間転写体8から感光ドラム1へ回収されたトナーを清掃し、回収するものである。
【0026】
中間転写ベルト8は、循環移動する無端ベルト状のベルト部材であり、感光ドラム1a、1b、1c、1dに対向し接するように配設されている。駆動ローラ9、テンションローラ10、及び二次転写対向ローラ(対向極)11に懸架され、図中矢印Wの方向に回転している。駆動ローラ9、テンションローラ10、及び二次転写対向ローラ11は、中間転写ベルト8を支持する支持ローラである。駆動ローラ9、二次転写対向ローラ11は直径24mm、テンションローラ10は直径16mmの構成となっている。
【0027】
一次転写ローラ5aのポイントでまずイエローを感光ドラム1aより転写し、次いで先述した工程を経た各色に対応する感光ドラム1より、順次マゼンタ、シアン、ブラックの各色を5b、5c、5dで多重転写する。中間転写ベルト8上の4色のトナー像は、中間転写ベルト8と二次転写ローラ12との当接ニップ部を通過する過程で、二次転写正バイアス電源12aから印加される二次転写正バイアスによって転写材101に一括転写される。二次転写手段としての二次転写ローラ12は、弾性層にNBRヒドリンゴムを主成分とした半導電性スポンジを用いており、外径18mmで、芯金径6mmである。二次転写ローラ12には、二次転写正バイアス電源12aが接続されている。
【0028】
二次転写後に中間転写ベルト8表面に残留した二次転写残トナーは、帯電手段であるICLローラ(ICL手段)13により感光ドラム1とは逆極性に帯電される。ICLローラ13は、中間転写ベルト8の表面に当接され、二次転写対向ローラ11を対向極として、ICLバイアス電源13aによりICLローラ13に所定の極性のICLバイアスが印加される。これにより、二次転写残トナーを所定の極性に帯電する。中間転写ベルト8上の逆極性に帯電された二次転写残トナーは、中間転写ベルト8の感光ドラム1との当接部およびその近傍で、感光ドラム1に静電的に吸引されて転移し、中間転写ベルト8から除去された後に、クリーニング装置6に回収される。
【0029】
給紙カセット102内に積載収納された転写材101は、給紙ローラ103により1枚ずつ分離給送され、搬送ローラ対104、105のニップ部へ送られる。次いで、転写材101は搬送ローラ対によってレジセンサ106に送られ、レジセンサ106は転写材の先端を検知し、中間転写ベルト8に転写されたトナー像と転写材が適切なタイミングになる様に、転写材の搬送タイミングを制御する。中間転写ベルト8と二次転写ローラ12との当接ニップ部では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー像を転写材に転写することで、カラー画像を形成する。そして、転写材101を、加熱ローラ124及び加圧ローラ125のローラ対から成る定着装置123を通過させることで熱定着させ、排出ローラ対126で装置上部の排出部127へ排出し、プリントの1サイクルが終了する。
【0030】
図2は、本実施例における電気回路ブロック図とフルカラーレーザービームプリンタA外のAC電源531を示した図である。CPU501は、フルカラーレーザービームプリンタAの中央処理装置であり、高圧制御回路510、定着ヒータ制御回路530、メインモータ540、定着モータ550、給紙モータ560の制御を行う。CPU501内の出荷設定メモリ301は、後述の色ずれ補正画像パターン及び濃度補正画像パターンのクリーニングモードを決める不揮発性メモリである。
【0031】
高圧制御回路510の制御信号は、二次転写バイアス制御信号511、ICLバイアス制御信号512、一次転写バイアス制御信号513から成っている。それぞれの信号は各バイアスを出力のオンオフを制御する信号である。二次転写バイアス517は、二次転写バイアス制御信号511をオンすることで出力する。ICLバイアス518は、ICLバイアス制御信号512をオンすることで出力する。一次転写バイアス519は、一次転写バイアス制御信号513をオンすることで出力する。ここで、二次転写バイアス517は二次転写バイアス電源12aの出力、ICLバイアス518はICLバイアス電源13aの出力、一次転写バイアス519は一次転写バイアス電源5e、5f、5g、5hの出力に対応する。
【0032】
定着ヒータ制御回路530は、加熱ローラ124の発熱体であるセラミックヒータ533へ電力を印加する回路であり、トライアック532、セラミックヒータ533、リレー534から成る。トライアック532はフルカラーレーザービームプリンタA外部のAC電源531からセラミックヒータ533に印加されるACのオンオフを制御する機能を果たし、CPU501からのトライアックオンオフ信号536で制御される。セラミックヒータ533は、ACが印加されることで発熱する。また、セラミックヒータ533は加熱ローラ124の内部に設置されており、セラミックヒータ533が発熱することで加熱ローラ124も発熱状態となる。リレー534は安全保護装置であり、セラミックヒータ533が発熱している状態においてはオンしている。
【0033】
メインモータ540は、DCブラシレスモータであり、CPU501からの信号である速度検知信号541、加速信号542、減速信号543で制御される。メインモータ540は、プロセスカートリッジ7、中間転写ベルト8、二次転写対向ローラ11、二次転写ローラ12、ICLローラ13を駆動する。
【0034】
定着モータ550と給紙モータ560はステッピングモータである。これらモータは、定着モータドライバーIC551から出力される定着モータA相入力信号552、定着モータB相入力信号553、及び、給紙モータドライバーIC561から出力される給紙モータA相入力信号562、給紙モータB相入力信号563で制御される。定着モータドライバーIC551、給紙モータドライバーIC561は、CPU501からの信号である定着モータ相切換信号554、定着モータ電流切換信号555、給紙モータ相切換信号564、給紙モータ電流切換信号565で制御される。定着モータ550は、加熱ローラ124、加圧ローラ125、排出ローラ対126を駆動し、給紙モータ560は、給紙ローラ103、搬送ローラ対104、105を駆動する。
【0035】
次に、色ずれ補正と濃度補正の制御について説明する。
【0036】
図1を参照すると、色ずれ補正のために、中間転写体上に、即ち、中間転写ベルト8上に一次転写された画像(補正用トナー像)の主走査、副走査方向の色ずれ補正用のレジスト濃度検知センサ14が駆動ローラ9に対向するように左右にそれぞれ配置してある。該レジスト濃度検知センサ14にて、中間転写ベルト8上に形成する色ずれ補正画像パターンの色ずれ量を検出することにより、各色間の主走査方向、副走査方向の色ずれ量を検出する。その検出した色ずれ量を補正する様に画像データにフィードバックをかけることで、各色の色ずれ補正を行っている。濃度補正は、中間転写ベルト8上に形成された濃度補正用トナー像である濃度補正画像パターンの濃度をレジスト濃度検知センサ14により検出し、検出した濃度データに基づいて各色の濃度の補正を行っている。
【0037】
続いて、色ずれ補正画像パターンと濃度補正画像パターンのクリーニング動作を説明する。
【0038】
画像形成装置は、クリーニングモードとして、第一のクリーニングモードと第二のクリーニングモードの2モードを備えている。第一のクリーニングモードは、ICL方式によりクリーニングを行うモードである。また、第二のクリーニングモードは、備え付けのV字折り(二つ折り)又はZ折り(三つ折り)又はつづら折り(四つ折り以上の折り)してあるクリーニング用紙を転写材として使用して、この用紙にトナーを転写するモードである。
【0039】
図3は、V字折り又はZ折りしてあるクリーニング用紙が給紙カセット102に格納されている様子を示した図であり、参照番号200はV字折りクリーニング用紙、参照番号201はZ折りクリーニング用紙である。V字折りクリーニング用紙200及びZ折りクリーニング用紙201は、給紙カセット102に納まる長さにV字折り又はZ折りしてあり、搬送方向の長さは、中間転写ベルト8の周方向の長さ以上である。また、給紙ローラニップで用紙が重ならない様に折ってある為、複数枚のクリーニング用紙を一枚ずつ給紙可能となっている。
【0040】
図4は、第一のクリーニングモードと第二のクリーニングモードのフローチャートである。
【0041】
最初に、画像形成装置の起動時に行う装置本体起動1回目のトナー像補正において実施する色ずれ補正画像パターンクリーニングの動作を、図4のフローチャートに基づき説明する。
【0042】
先ず、色ずれ補正画像パターンクリーニングを開始すると(S1)、出荷設定メモリ301の読み出しを行う(S2)。出荷設定メモリ301は、出荷時には1が書き込まれており、モード選択では第二のクリーニングモード(図中左)のフローへ進む。続いて、定着モータ550を駆動し(S3)、加熱ローラ124の加熱をオンする(S4)。そして、給紙モータ560、メインモータ540の駆動を開始し(S5)、矢印aの間では、給紙カセット102に設置されているV字折りクリーニング用紙200又はZ折りクリーニング用紙201が二次転写ニップへ向けて搬送される。V字折りクリーニング用紙200又はZ折りクリーニング用紙201はレジセンサ106まで搬送され、そこで一度停止し、中間転写ベルト8上の色ずれ補正画像パターントナーの先端に合わせて、再度搬送を開始する。二次転写バイアス517は、V字折りクリーニング用紙200又はZ折りクリーニング用紙201が二次転写ニップ部に到達する前のタイミングで出力オンし(S6)、二次転写ローラ12はプラスに帯電する。矢印bの間において、V字折りクリーニング用紙200又はZ折りクリーニング用紙201は二次転写ニップ部を通過し、中間転写ベルト8上の色ずれ補正画像パターントナーは、二次転写バイアス517によってV字折りクリーニング用紙200又はZ折りクリーニング用紙201に転写される。二次転写バイアス517は、中間転写ベルト8上の色ずれ補正画像パターントナーを一度で転写することができ、ICL方式よりも短時間で中間転写ベルト8上の色ずれ補正画像パターントナーを転写させることが可能である。V字折りクリーニング用紙200又はZ折りクリーニング用紙201は、定着装置123に搬送され、加熱ローラ124・加圧ローラ125を通過することで、クリーニング用紙上の色ずれ補正画像パターントナーはクリーニング用紙に定着される。次いで、排出ローラ対126によって排紙される。二次転写バイアス517の出力がオフし(S7)、加熱ローラ124の加熱オフ(S8)、定着モータ550・給紙モータ560・メインモータ540を停止する(S9)。その後、出荷設定メモリ301の値を1から0へ書き込みを行い(S10)、色ずれ補正画像パターンクリーニングが終了する(S16)。
【0043】
続いて、2回目以降の色ずれ補正画像パターンクリーニングについて説明する。
【0044】
1回目と同様、出荷設定メモリ301の読み出しを行う。出荷設定メモリ301の値は0となっている為、モード選択では、第一のクリーニングモード(図中右)のフローに進む。
【0045】
先ず、メインモータ540が駆動を開始し(S11)、ICLバイアス518が出力オンし(S12)、一次転写バイアス519も出力オンとなる(S13)。矢印cの間において、中間転写ベルト8上の色ずれ補正画像パターントナーは、中間転写ベルト8の回転動作によりICLバイアス518によりプラスに帯電されたICLローラ13を通過することによって、プラスに帯電する。また、プラスに帯電された一次転写ローラ5a〜5dのニップ部において、色ずれ補正画像パターントナーは感光ドラム1a〜1d側に転写し、感光ドラム1a〜1dの回転動作により、プロセスカートリッジ7内のクリーニング装置6a〜6dに回収される。
【0046】
ICL方式によるクリーニングでは、色ずれ補正画像パターントナーがICLローラ13部を一度通過すると、色ずれ補正画像パターントナーは表層のみ極性反転し、内側のトナーは極性反転できない。そのため、全ての色ずれ補正画像パターントナーを極性反転させ、クリーニング装置6a〜6dに回収するのに複数回中間転写ベルト8を回転させる必要がある。従って、二次転写バイアス517によりクリーニングを行う第二のクリーニングモードよりも時間を要する。ICLバイアス518と一次転写バイアス519の出力がオフし(S14)、メインモータ540が停止し(S15)、色ずれ補正画像パターンクリーニングが終了する(S16)。
【0047】
上述のフローは、濃度補正画像パターンクリーニングについても同様である。
【0048】
以上の様な構成とすることで、本体起動1回目の色ずれ補正及び濃度補正において、中間転写ベルト8上の色ずれ補正画像または濃度補正画像のクリーニングによる製品のダウンタイムを、特別な構成変更なく安価な構成で低減させることができる。
【0049】
実施例2
本実施例では、実施例1の中でクリーニングモードの設定をユーザが選択可能であり、かつ備え付けのクリーニング用紙ではなく、ユーザがプリントで使用する転写材を用いてクリーニングする構成について説明する。
【0050】
本実施例の画像形成装置は、実施例1にて図1を参照して説明した画像形成装置Aと同様の構成とされる。従って、画像形成装置の説明は実施例1の説明を援用し、ここでの再度の説明は省略する。
【0051】
図5は本実施例における電気回路ブロック図である。本実施例の電気回路ブロック図は、実施例1にて図2を参照して説明した電気回路ブロック図と同様の構成とされる。ただ、本実施例では、オペレーションパネル制御回路601が更に設けられ、また、CPU501が色ずれ補正・濃度補正画像クリーニングモードメモリ401を備えている点で相違している。
【0052】
つまり、色ずれ補正・濃度補正画像クリーニングモードメモリ401は、色ずれ補正画像パターン及び濃度補正画像パターンのクリーニングを第一のクリーニングモードで行うか、第二のクリーニングモードで行うかの設定を記憶するメモリである。第一のクリーニングモードで行うか、第二のクリーニングモードで行うかの設定は、ユーザが操作可能なオペレーションパネル上で選択が可能であり、オペレーションパネル制御回路601によって制御される。色ずれ補正・濃度補正画像クリーニングモードメモリ401の設定は、初期値は0となっている。オペレーションパネル上で選択された値は、オペレーションパネル制御回路601から色ずれ補正・濃度補正画像クリーニングモード信号602として色ずれ補正・濃度補正画像クリーニングモードメモリ401に送信され、書き込みを行う。
【0053】
本実施例においても実施例1と同様に、定着モータ550は、加熱ローラ124、加圧ローラ125、排出ローラ対126を駆動する。給紙モータ560は、給紙ローラ103、搬送ローラ対104、105、二次転写ローラ12を駆動する。メインモータ540は、プロセスカートリッジ7、中間転写ベルト8、二次転写対向ローラ11、ICLローラ13を駆動する。それ以外の制御に関しても実施例1と同様である。
【0054】
図6に本実施例におけるクリーニングモードのフローチャートを記す。
【0055】
先ず、色ずれ補正画像パターンクリーニングを開始すると(S21)、出荷設定メモリ301の読み出しを行う(S22)。出荷設定メモリ301は、出荷時には1が書き込まれており、モード選択1では第二のクリーニングモード+出荷設定メモリ書き込み(図中左)のフローへ進む。定着モータ550の駆動から色ずれ補正画像パターンクリーニング終了(S23〜S30、S44)までは、図4に示す実施例1のS3〜S10、S16と同様である。
【0056】
続いて、2回目以降の色ずれ補正画像パターンクリーニングを行う場合、モード選択1では0へ進む。モード選択2においては、色ずれ補正・濃度補正画像クリーニングモードメモリ401の値によってフローが分かれる。値が1の場合、第二のクリーニングモードに進む。このフローにおいて、定着モータ550の駆動から加熱ローラ124の加熱オンまで(S31、S32)は、図4に示す実施例1のS3、S4と同様である。給紙モータ560/メインモータ540の駆動において、給紙モータ560とメインモータ540の回転速度は、転写材搬送速度が中間転写ベルト8の周方向回転速度よりも相対的に遅く回転する様に制御される(S33)。具体的には、色ずれ補正画像パターン又は濃度補正画像パターンの転写を行う転写材の搬送方向の長さをL1、転写材の搬送速度をV1、中間転写ベルト8の周方向の長さをL2、中間転写ベルト8の回転速度をV2とする。この場合に、L1/V1=L2/V2の関係が成り立つ様な回転速度とする。また、二次転写ローラ12と転写材の摩擦係数は、転写材と中間転写ベルト8の摩擦係数より高くなっており、転写材は二次転写ニップ部において二次転写ローラ12の回転速度で搬送をし、中間転写ベルト8とは摺擦しながら搬送する。従って、転写材1枚中に中間転写ベルト8上の色ずれ補正画像パターン及び濃度補正画像パターンを転写することができる。その後、色ずれ補正画像パターンクリーニング終了(S34〜S37、S44)までは、図4に示す実施例1のS6〜S10、S16と同様である。
【0057】
選択モード2において(S38)、色ずれ補正・濃度補正画像クリーニングモードメモリの値が0の第一のクリーニングモードにおける工程S39〜S44に関しても、図4に示す実施例1のS11〜S16と同様である。
【0058】
上述のフローは、濃度補正画像パターンクリーニングについても同様である。
【0059】
以上の様な構成とすることで、色ずれ補正及び濃度補正において、中間転写ベルト8上の色ずれ補正画像または濃度補正画像のクリーニングによる製品のダウンタイムを、特別な構成変更なく安価な構成で低減させることができる。
【符号の説明】
【0060】
A フルカラーレーザービームプリンタ(画像形成装置)
1(1a、1b、1c、1d) 感光ドラム(像担持体)
2(2a、2b、2c、2d) 帯電装置(一次帯電手段)
3(3a、3b、3c、3d) レーザービーム
4(4a、4b、4c、4d) 現像装置(現像手段)
5(5a、5b、5c、5d) 一次転写ローラ(一次転写手段)
6(6a、6b、6c、6d) クリーニング装置(クリーニング手段)
8 中間転写ベルト(中間転写体)
11 二次転写対向ローラ(対向極)
12 二次転写ローラ(二次転写手段)
13 ICLローラ(ICL手段)
101 転写材
200 V字折りクリーニング用紙
201 Z折りクリーニング用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
回転可能な中間転写体と、
前記中間転写体にトナー像を一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体から転写材にトナー像を二次転写する二次転写手段と、
前記二次転写後に前記中間転写体に残留したトナー像を清掃するクリーニング手段と、を有し、
前記中間転写体に色ずれ補正や濃度補正のための補正用トナー像を形成する画像形成装置において、
前記中間転写体上の補正用トナー像を前記クリーニング手段によって清掃する第一のクリーニングモードと、前記中間転写体上の補正用トナー像を転写材に転写することによって清掃する第二のクリーニングモードと、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中間転写体上の補正用トナー像のクリーニングモードを記憶する手段と、
前記中間転写体上の補正用トナー像のクリーニングモードを記憶する手段に書き込みを行う手段と、を有し、
1回目の画像形成装置の起動時に行うトナー像補正において、前記中間転写体上に書かれた補正用トナー像のクリーニングは、転写材に転写することによって清掃する第二のクリーニングモードで行い、それ以降のトナー像補正においては、前記クリーニング手段によって清掃する第一のクリーニングモードで行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写体上の補正用トナー像のクリーニング用に、V字折り又はZ折り又はつづら折りをしてある転写材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写体の周方向回転速度より、転写材搬送速度を相対的に遅くすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第一のクリーニングモードと前記第二のクリーニングモードを、オペレーションパネル上でユーザが選択可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−185326(P2012−185326A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48317(P2011−48317)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】