説明

画像形成装置

【課題】記録媒体の先端が第2転写位置へ突入する際の衝撃を低減すると共に、記録媒体の後端の跳ねを抑制する。
【解決手段】第2転写位置へ記録媒体を搬送する搬送部材と、転写体が第2転写位置に搬送した画像を、前記搬送部材が第2転写位置へ搬送した記録媒体へ転写する転写部材と、前記搬送部材と前記転写部材との間に設けられ、前記記録媒体の非転写面に対面して該記録媒体を案内する第1案内部材と、前記記録媒体の幅方向を回転軸として回転可能に前記搬送部材と前記転写部材との間に設けられ、前記記録媒体の転写面に対面して該記録媒体を案内し、回転中心に対する記録媒体の搬送方向下流側部分が前記転写体に沿った第1位置と、回転中心に対する記録媒体の搬送方向上流側部分が前記記録媒体に近づく第2位置との間で回転する第2案内部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送されてくる単票媒体の先端を係止する係止部材と、前記係止部材に向けて単票用紙を送り込む第1と第2のローラ及び送り込まれた単票用紙の後端を挟持して排出するように前記第2ローラと当接する第3ローラを含む搬送手段と、前記単票用紙が前記係止部材に向けて送り込まれる際に当該単票用紙をガイドするガイド部材と、を備えてなる紙葉反転機構に関し、カールした単票用紙の場合でもジャムが生じる事が内容にすることを目的とし、前記ガイド部材は、前記単票用紙の先端が前記係止部材に係止された状態で、前記単票用紙の後端が前記第1と第2のローラ間から前記第2と第3のローラ間に向けて移動する際の前記単票用紙の撓みに応じて撓むことが可能な可撓性歩合を備えて成る構成が開示されている。
【0003】
特許文献2には、レジストローラR51,R52とレジスト前ローラR41,R42との間に用紙搬送路を形成する上ペーパーガイド81及び下ペーパーガイド82からなるガイド部材80が配置されており、上ペーパーガイド81が印字動作中において揺動可能に支持されている。すなわち、上ペーパーガイド81の略中央部が、現像器16のガイドレール16aに吊り下げ部材85によって吊り下げ支持されることで、上ペーパーガイド81が揺動可能に支持されている構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−249057号公報
【特許文献2】特開2007−326672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、記録媒体の先端が第2転写位置へ突入する際の衝撃を低減すると共に、記録媒体の後端の跳ねを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、画像が形成される画像形成部と、前記画像形成部で形成された画像が第1転写位置で転写され、循環移動して該画像を第2転写位置に搬送する環状の転写体と、前記第2転写位置へ記録媒体を搬送する搬送部材と、前記転写体が第2転写位置に搬送した画像を、前記搬送部材が第2転写位置へ搬送した記録媒体へ転写する転写部材と、前記搬送部材と前記転写部材との間に設けられ、前記記録媒体の非転写面に対面して該記録媒体を案内する第1案内部材と、前記記録媒体の幅方向を回転軸として回転可能に前記搬送部材と前記転写部材との間に設けられ、前記記録媒体の転写面に対面して該記録媒体を案内し、回転中心に対する記録媒体の搬送方向下流側部分が前記転写体に沿った第1位置と、回転中心に対する記録媒体の搬送方向上流側部分が前記記録媒体に近づく第2位置との間で回転する第2案内部材と、を備える画像形成装置である。
【0007】
請求項2の発明は、前記搬送部材と前記第2案内部材との間に設けられ、前記搬送部材から搬送される記録媒体を、前記第2転写位置の手前で前記転写体に近づく方向へ案内する案内部を備え、前記第2案内部材は、前記記録媒体の先端が前記第2転写位置へ突入した後であって、前記記録媒体の後端が前記案内部を抜ける前に、前記第1位置から前記第2位置に回転する請求項1に記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項3の発明は、前記第1案内部材は、前記第2案内部材の回転に伴って、同一方向へ回転する請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1の構成によれば、第2案内部材が固定された構成に比べ、記録媒体の先端が第2転写位置へ突入する際の衝撃を低減すると共に、記録媒体の後端の跳ねを抑制する。
【0010】
本発明の請求項2の構成によれば、本構成を備えない構成に比べ、記録媒体の後端の跳ねを効果的に抑制する。
【0011】
本発明の請求項3の構成によれば、第1案内部材が固定された構成に比べ、第1案内部材と記第2案内部材との間が狭くなることによる記録媒体の詰まりを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成ユニットの構成を示す概略図である。
【図3】レジロールと第2転写ロールとの間における装置構成を示す概略図である。
【図4】可動案内部材を回転されるための機構を示す概略図である。
【図5】図3に示す構成において、可動案内部材が第2位置に位置する場合を示す概略図である。
【図6】変形例に係る下流側案内部の構成を示す概略図である。
【図7】図6に示す変形例において、可動案内部材が第1位置に位置する場合を示す概略図である。
【図8】図6に示す変形例において、可動案内部材が第1位置に位置する場合を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0014】
本実施形態に係る画像形成装置10は、カラー画像又は白黒画像を形成する装置であり、図1に示すように、水平方向一側(図1における左側)部分を構成する第1筐体10Aと、第1筐体10Aに分割可能に接続され水平方向他側(図1における右側)部分を構成する第2筐体10Bと、を備えている。
【0015】
第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から送られてくる画像データに画像処理を施す画像信号処理部13が設けられている。
【0016】
一方、第1筐体10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に沿って交換可能に設けられている。
【0017】
なお、第1特別色及び第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色(透明を含む)から適宜選択される。また、以後の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、符号の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかを付して説明し、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
【0018】
また、トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成ユニット16(画像形成部の一例)が、各トナーカートリッジ14と対応するように水平方向に沿って設けられている。各トナーカートリッジ14と画像形成ユニット16との間には、露光ユニット40が画像形成ユニット16毎に設けられている。
【0019】
露光ユニット40は、前述した画像信号処理部13によって画像処理を施された画像データを画像信号処理部13から受け取り、この画像データに応じて変調した露光光L(図2参照)を後述の感光体18(図2参照)へ照射するように構成されている。
【0020】
各画像形成ユニット16は、図2に示すように、一方向(図2における時計回り方向)に回転駆動される感光体18を備えている。各露光ユニット40から各感光体18へ露光光Lが照射されることにより、各感光体18には静電潜像が形成される。
【0021】
各感光体18の周囲には、感光体18を帯電する帯電装置の一例としてのコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光ユニット40によって感光体18に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置22と、転写後の感光体18に残留する現像剤を除去する除去部材の一例としてのブレード24と、転写後の感光体18に光を照射して除電を行う除電装置26が設けられている。
【0022】
スコロトロン帯電器20、現像装置22、ブレード24、除電装置26は、感光体18の表面と対向して、感光体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0023】
現像装置22は、トナーを含んだ現像剤Gを収容する現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに収容された現像剤Gを感光体18に供給する現像ロール22Bを含んで構成されている。現像剤収容部材22Aは、トナーカートリッジ14(図1参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
【0024】
図1に示すように、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各感光体18と接触する環状の中間転写ベルト34(転写体の一例)と、各感光体18に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる第1転写ロール36とを含んで構成されている。
【0025】
中間転写ベルト34は、図示しないモータで駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する第2転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数の巻掛ロール44とに巻き掛けられており、駆動ロール38により、一方向(図1における反時計回り方向)に循環駆動されるようになっている。
【0026】
各第1転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の感光体18と対向配置されている。第1転写ロール36と感光体18との間の位置が第1転写位置T1となる。また、第1転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、感光体18に形成されたトナー画像が、第1転写位置T1で中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
【0027】
中間転写ベルト34を挟んだ駆動ロール38の反対側には、ブレードを中間転写ベルト34に接触させて、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。
【0028】
転写部32の下方には、用紙等の記録媒体が収容される記録媒体収容部48が水平方向に沿って2個設けられている。
【0029】
各記録媒体収容部48は、第1筐体10Aから引き出し自在とされている。各記録媒体収容部48の一端側(図1における右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
【0030】
各記録媒体収容部48内には、記録媒体Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、記録媒体収容部48が第1筐体10Aから引き出されると、図示せぬ制御手段の指示によって下降するようになっている。底板50が下降することで、ユーザーが記録媒体Pを補充する空間が記録媒体収容部48に形成される。
【0031】
第1筐体10Aから引き出された記録媒体収容部48を第1筐体10Aに装着すると、底板50が、制御手段の指示によって上昇するようになっている。底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の記録媒体Pと送出ロール52とが当るようになっている。
【0032】
送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という場合がある)には、記録媒体収容部48から重なって送り出された記録媒体Pを一枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する複数の搬送ロール54が設けられている。
【0033】
記録媒体収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、記録媒体収容部48から送り出された記録媒体Pを第1折返部60Aで図1における左側に折り返し、さらに、第2折返部60Bで図1における右側に折り返すように、第2転写ロール62と対向ロール42との間の第2転写位置T2へ延びている。第2転写位置T2の搬送方向上流側には、中間転写ベルト34上のトナー画像の移動タイミングと記録媒体Pの搬送タイミングを合わせるための搬送ロール(レジロール)64(搬送部材の一例)が設けられている。
【0034】
第2転写ロール62(転写部材の一例)は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像が、第2転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されてきた記録媒体Pに転写される構成となっている。なお、転写部材としては、転写ロールに限られず、ベルト体で構成された転写ベルトであってもよい。
【0035】
搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが予備経路66を通って搬送経路60に入り込むようになっている。
【0036】
第2転写位置T2の下流側には、トナー画像が転写された記録媒体Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられ、搬送ベルト70に搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
【0037】
複数の搬送ベルト70及び搬送ベルト80のそれぞれは、環状に形成されており、一対の巻掛ロール72に巻き掛けられている。一対の巻掛ロール72は、記録媒体Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70(搬送ベルト80)を一方向(図1における時計回り方向)に循環移動させる。
【0038】
搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pに転写されたトナー画像を加熱して記録媒体Pに定着させる定着装置82が設けられている。
【0039】
定着装置82は、定着ベルト84と、定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧加熱してトナー画像を定着させる定着部Nが形成されている。
【0040】
定着ベルト84は、環状に形成されており、駆動ロール89及び従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。
【0041】
駆動ロール89及び従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱される。
【0042】
図1に示すように、定着装置82の下流側には、定着装置82から送り出された記録媒体Pを下流側へ搬送する搬送ベルト99が設けられている。搬送ベルト99は、搬送ベルト70と同様に形成されている。
【0043】
搬送ベルト99の下流側には、定着装置82によって加熱された記録媒体Pを搬送すると共にその記録媒体Pを冷却する冷却装置100が設けられている。
【0044】
冷却装置100の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置170が設けられている。
【0045】
矯正装置170の下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出する検出装置180が設けられている。
【0046】
検出装置180では、光源から記録媒体Pへ出射され、記録媒体Pによって上方に反射された反射光をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の検出素子で検出することにより、トナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出するようになっている。
【0047】
検出装置180の下流側には、片面に画像が形成された記録媒体Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
【0048】
一方、両面に画像を形成させる場合は、検出装置180から送出された記録媒体Pは、検出装置180の下流側に設けられた反転経路202に搬送されるようになっている。
【0049】
反転経路202には、搬送経路60から分岐する分岐パス202Aと、分岐パス202Aに沿って搬送される記録媒体Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パス202Bと、用紙搬送パス202Bに沿って搬送される記録媒体Pを逆方向に向けて折返してスイッチバック搬送させて表裏を反転させる反転パス202Cが設けられている。
【0050】
この構成により、反転パス202Cでスイッチバック搬送された記録媒体Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、第2転写位置T2へ再度送り込まれるようになっている。
【0051】
次に、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0052】
画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光ユニット40に送られる。各露光ユニット40では、画像データに応じて各露光光Lを出射して、スコロトロン帯電器20によって帯電した各感光体18に露光し、静電潜像が形成される。
【0053】
図2に示すように、感光体18に形成された静電潜像は、現像装置22によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
【0054】
図1に示すように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの感光体28に形成された各色のトナー画像は、6つの第1転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって、第1転写位置T1にて中間転写ベルト34に順次多重転写される。
【0055】
中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、第2転写位置T2にて第2転写ロール62によって、記録媒体収容部48から搬送されてきた記録媒体P上に転写される。トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着装置82に向けて搬送される。
【0056】
記録媒体P上の各色のトナー画像が定着装置82により加熱・加圧されることで記録媒体Pに定着する。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、冷却装置100を通過して冷却された後、矯正装置170に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。
【0057】
湾曲が矯正された記録媒体Pは、検出装置180によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
【0058】
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、検出装置180を通過後に、記録媒体Pが反転経路202で反転され、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
【0059】
(レジロール64と第2転写ロール62との間における装置構成)
次に、レジロール64と第2転写ロール62との間における装置構成について説明する。図3は、レジロール64と第2転写ロール62との間における装置構成を示す概略図である。
【0060】
レジロール64と第2転写ロール62との間には、図3に示すように、レジロール64から搬送される記録媒体Pを第2転写ロール62へ向けて案内する案内部74(以下、上流側案内部74と称する)が設けられている。すなわち、上流側案内部74は、レジロール64に対する搬送方向下流側であって、かつ、第2転写ロール62(第2転写位置T2)に対する搬送方向上流側に設けられている。なお、上流側案内部74が請求項2に係る案内部に相当する。
【0061】
上流側案内部74は、レジロール64から搬送される記録媒体Pの転写面(トナー画像が転写される面)に対面して記録媒体Pを案内する案内部材76と、レジロール64から搬送される記録媒体Pの非転写面(転写面の反対の面)に対面して記録媒体Pを案内する案内部材78と、を有して構成されている。すなわち、上流側案内部74では、案内部材76と案内部材78との間で記録媒体Pを通過させる構成となっており、案内部材76及び案内部材78によってその間に搬送経路60(図1参照)が形成される。
【0062】
案内部材76の搬送方向下流端部76A及び案内部材78の搬送方向下流端部78Aは、中間転写ベルト34側(図3における右斜め上側)に向けられている。これにより、上流側案内部74は、第2転写位置T2の手前で中間転写ベルト34に近づく方向(図3における右斜め上方向)へ記録媒体Pを案内するようになっている。
【0063】
なお、レジロール64が記録媒体Pを搬送する方向も、第2転写位置T2の手前で中間転写ベルト34に近づく方向(図3における右斜め上方向)を向いている。このため、本実施形態では、中間転写ベルト34がトナー画像を第2転写位置T2へ搬送する搬送方向と、レジロール64が記録媒体Pを第2転写位置T2へ搬送する搬送方向とが鋭角をなしている。
【0064】
上流側案内部74と第2転写ロール62との間には、上流側案内部74から搬送される記録媒体Pを第2転写ロール62へ向けて案内する案内部94(以下、下流側案内部94と称する)が設けられている。すなわち、下流側案内部94は、上流側案内部74に対する搬送方向下流側であって、かつ、第2転写ロール62(第2転写位置T2)に対する搬送方向上流側に設けられている。
【0065】
下流側案内部94は、上流側案内部74から搬送される記録媒体Pの転写面(トナー画像が転写される面)に対面して記録媒体Pを案内する案内部材96(以下、可動案内部材96と称する)と、レジロール64から搬送される記録媒体Pの非転写面(転写面の反対の面)に対面して記録媒体Pを案内する案内部材98(以下、固定案内部材98と称する)と、を有して構成されている。すなわち、下流側案内部94では、可動案内部材96と固定案内部材98との間で記録媒体Pを通過させる構成となっており、可動案内部材96及び固定案内部材98によってその間に搬送経路60(図1参照)が形成される。なお、固定案内部材98が請求項1における第1案内部材に相当し、可動案内部材96が請求項1における第2案内部材に相当する。
【0066】
固定案内部材98は、搬送方向と直交する幅方向(図3の紙面における奥行き方向)の両端部に設けられた固定部(図示省略)に固定されており、位置が変化しない構成となっている。固定案内部材98は、搬送方向に沿った中間部98Bで屈曲しており、中間部98Bよりも搬送方向上流側の部分である上流部98A側が、中間転写ベルト34から離れる方向(図3における下側)に沿って形成されている。固定案内部材98における中間部98Bよりも搬送方向下流側の部分である下流部98Cは、対向ロール42と第2転写ロール62との間の第2転写位置T2に向けられている。なお、固定案内部材98の下流部98Cは、下流端部分において、中間転写ベルト34から離れる方向(図3における下側)に折り曲げられている。
【0067】
可動案内部材96は、図4に示すように、搬送方向と直交する幅方向(図4の紙面における奥行き方向)の両端部に設けられた支持部63に回転(揺動)可能に支持されており、当該幅方向を回転軸して回転することで変位可能とされている。支持部63は、可動案内部材96に対して固定案内部材98とは反対側(図4における上側)に設けられた取付部67に取り付けられている。
【0068】
可動案内部材96は、図3に示すように、搬送方向に沿った中間部96Bで屈曲しており、中間部96Bよりも搬送方向上流側の部分である上流部96Aが、中間転写ベルト34から離れる方向(図3における下側)に向けられている。なお、可動案内部材96の屈曲部(中間部96B)は、回転中心Aよりも搬送方向下流側に位置している。
【0069】
可動案内部材96における中間部96Bよりも搬送方向下流側の部分である下流部96Cは、対向ロール42と第2転写ロール62との間の第2転写位置T2に向けられている。
【0070】
可動案内部材96は、下流部96Cが中間転写ベルト34に沿った第1位置(図3に示す位置)と、上流部96Aが記録媒体Pに近づく第2位置(図5に示す位置)と、の間で回転可能に構成されている。
【0071】
なお、可動案内部材96の下流部96Cは、図3に示すように、第1位置において、中間転写ベルト34に平行又は、上流側案内部74の案内方向よりも中間転写ベルト34に対して平行に近づく向きとなっていればよい。
【0072】
可動案内部材96の上流部96Aは、第1位置において、第2位置よりも固定案内部材98から離れており、固定案内部材98との間隔(図3における上下方向の長さ)が、搬送方向上流に向かって広がっている。第1位置における可動案内部材96と固定案内部材98との搬送方向上流端における間隔は、案内部材76と案内部材78との搬送方向下流端における間隔よりも広くされている。
【0073】
可動案内部材96の下流部96Cは、図5に示すように、第2位置において、第1位置よりも中間転写ベルト34に近づくと共に固定案内部材98から離れており、固定案内部材98との間隔が広がっている。なお、第2位置における可動案内部材96の下流部96Cは、中間転写ベルト34との間に隙間がある状態とされ、中間転写ベルト34に対して非接触となっている。
【0074】
可動案内部材96の上流部96Aは、第2位置において、第1位置よりも固定案内部材98に近づいており、固定案内部材98との間隔(図5における上下方向の長さ)が、狭くなっている。
【0075】
可動案内部材96の下流部96Cと取付部67との間には、図4に示すように、下流部96Cを固定案内部材98側(図4における下側)へ付勢する付勢部材の一例としての押しばね68が設けられている。押しばね68の一端部は、取付部67に取り付けられており、押しばね68の他端部は、可動案内部材96の下流部96Cにおける取付部67側の面(図4における上面)に取り付けられている。押しばね68が、可動案内部材96の下流部96Cを固定案内部材98側(図4における下側)へ押すことにより、可動案内部材96の上流部96Aが取付部67側へ付勢されている。
【0076】
また、可動案内部材96の上流部96Aと取付部67との間には、取付部67に取り付けられた支持部61に回転可能に支持されたカム69が設けられている。カム69は、回転軸からの距離が一定でない外周面が、可動案内部材96の上流部96Aにおける取付部67側の面(図4における上面)に接触している。可動案内部材96は、カム69の回転位置に応じて、第1位置と第2位置との間を移動する構成となっている。すなわち、カム69の短径側が可動案内部材96に接触することにより、可動案内部材96が第1位置に位置し、図4に示すように、カム69の長径側が可動案内部材96に接触することにより、可動案内部材96が第2位置に位置するようになっている。
カム69は、ステッピングモータなどの駆動部69Aによって、回転駆動する構成となっている。
【0077】
また、図3に示すように、上流側案内部74には、記録媒体Pの後端を検知する検知センサ81が設けられている。検知センサ81が記録媒体Pの後端を検知することにより、記録媒体Pがレジロール64を抜けたことが検知される。
【0078】
なお、中間転写ベルト34は、第2転写位置T2から移動方向上流側に向かって、対向ロール42と第2転写ロール62とのニップ接線Sから徐々に第2転写ロール62側に離れるように傾いている。ニップ接線Sとは、対向ロール42及び第2転写ロール62の回転中心C同士を結んだ線Dに直交する接線である。中間転写ベルト34は、第2転写位置T2から移動方向上流側に向かって、ニップ接線S上を通るように構成されていてもよく、ニップ接線Sから徐々に対向ロール42側に離れるように傾いていてもよい。
【0079】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0080】
本実施形態に係る画像形成装置によれば、可動案内部材96は、図3に示すように、初期位置として第1位置に位置している。第1位置では、可動案内部材96の下流部96Cは、中間転写ベルト34に沿った方向を向いている。
【0081】
レジロール64によって搬送される記録媒体Pは、まず、上流側案内部74の案内部材76と案内部材78との間を通過し、案内部材76及び案内部材78によって案内される。
【0082】
案内部材76の搬送方向下流端部76A及び案内部材78の搬送方向下流端部78Aは、中間転写ベルト34側(図3における右斜め上側)に向けられており、案内部材76及び案内部材78によって案内される記録媒体Pは、先端が中間転写ベルト34に近づく方向(図3における右斜め上方向)へ向かう。
【0083】
次に、記録媒体Pは、可動案内部材96と固定案内部材98との間を通過し、可動案内部材96及び固定案内部材98によって案内される。このとき、記録媒体Pは、中間転写ベルト34に近づく方向に向かった先端が、可動案内部材96に接触し、可動案内部材96に沿って案内される。可動案内部材96の下流部96Cは、中間転写ベルト34に沿った方向を向いており、この下流部96Cで記録媒体Pの先端が案内され、記録媒体Pが中間転写ベルト34に沿った向きに姿勢を変える。この姿勢で、記録媒体Pは第2転写位置T2に突入する。
【0084】
このように、記録媒体Pは、中間転写ベルト34に沿った向きで第2転写位置T2に突入するので、記録媒体Pが中間転写ベルト34や第2転写ロール62に突き当たることによる衝撃が低減される。特に、衝撃が発生しやすいはがき等の厚紙を記録媒体Pとして用いた場合も衝撃が低減される。
【0085】
次に、記録媒体Pの後端がレジロール64を抜けて、上流側案内部74に設けられた検知センサ81で記録媒体Pの後端が検知されると、カム69が駆動部69Aよって回転駆動し、可動案内部材96は第1位置から第2位置へ回転する。図5に示すように、第2位置では、可動案内部材96の上流部96Aは、第1位置よりも固定案内部材98に近づいている。
【0086】
そして、案内部材76及び案内部材78の案内によって中間転写ベルト34に近づく方向(図5における右斜め上方向)へ向かう記録媒体Pは、搬送方向中間部が、第2位置における可動案内部材96の上流部96Aで押さえられる。これにより、記録媒体Pの後端が案内部材76及び案内部材78を抜けた際に、中間転写ベルト34側に跳ねにくくなる。特に、こしの強いはがき等の厚紙を記録媒体Pとして用いた場合も、中間転写ベルト34側への跳ねが抑制される。このように、本実施形態では、可動案内部材96を第1位置と第2位置と変位させることで、一つの案内部材に2つの機能を持たせている。
【0087】
なお、本実施形態では、可動案内部材96は、回転中心よりも搬送方向上流側部分で屈曲したが、回転中心部分で屈曲していてもよく、また、回転中心よりも搬送方向下流側部分で屈曲する構成であってもよい。
【0088】
また、可動案内部材96及び固定案内部材98は、屈曲されていたが、例えば、湾曲する構成であってもよく、可動案内部材96及び固定案内部材98は、種々の形状に構成することが可能である。
【0089】
また、本実施形態では、レジロール64から第2転写位置T2へ記録媒体Pが略水平方向(横方向)に搬送される構成において、本実施形態係る下流側案内部94が適用されていたが、例えば、レジロール64から第2転写位置T2へ記録媒体Pが上方(縦方向)に搬送される構成に適用されていてもよく、記録媒体Pの搬送方向は、いずれの方向であってもよい。
【0090】
また、本実施形態では、下流側案内部94は、2つの案内部材(可動案内部材96・固定案内部材98)のうち一方のみが変位する構成であったが、下流側案内部94としては、両方の案内部材が変位する構成であってもよい。
【0091】
具体的には、図6に示すように、変形例に係る下流側案内部94は、固定案内部材98に替えて、レジロール64から搬送される記録媒体Pの非転写面(転写面の反対の面)に対面して記録媒体Pを案内する案内部材960(以下、可動案内部材960と称する)を備えている。
【0092】
可動案内部材960は、図7に示すように、固定案内部材98と同様に、搬送方向に沿った中間部960Bで屈曲しており、中間部960Bよりも搬送方向上流側の部分である上流部960A側が、中間転写ベルト34から離れる方向(図7における下側)に沿って形成されている。可動案内部材960における中間部960Bよりも搬送方向下流側の部分である下流部960Cは、対向ロール42と第2転写ロール62との間の第2転写位置T2に向けられている。なお、可動案内部材960の下流部960Cは、下流端部分において、中間転写ベルト34から離れる方向(図7における下側)に折り曲げられている。
【0093】
可動案内部材96の下流部96Cと可動案内部材960の下流部960Cとの間には、可動案内部材96と可動案内部材960とを連結する連結部材962が設けられている。連結部材962は、一端が可動案内部材96の搬送方向下流端に固定され、他端が可動案内部材960の搬送方向下流端に固定されている。
【0094】
可動案内部材96の上流部96Aと可動案内部材960の上流部960Aとの間には、可動案内部材96と可動案内部材960とを連結する連結部材963が設けられている。連結部材963は、一端が可動案内部材96の搬送方向下流端に固定され、他端が可動案内部材960の搬送方向下流端に固定されている。
【0095】
この構成により、可動案内部材96が第1位置(図6に示す位置)から第2位置(図7に示す位置)へ回転するのに伴って、可動案内部材960も可動案内部材96と一体に同一方向へ回転する。すなわち、可動案内部材960は、下流部960Cが中間転写ベルト34側へ移動し、上流部960Aが中間転写ベルト34から離れる方向へ移動する。これにより、可動案内部材96と可動案内部材960との間が狭くなることによる記録媒体Pの詰まりが低減される。
【0096】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成しても良い。
【符号の説明】
【0097】
10 画像形成装置
16 画像形成ユニット(画像形成部の一例)
34 中間転写ベルト(転写体の一例)
64 レジロール(搬送部材の一例)
74 上流側案内部(案内部の一例)
96 可動案内部材(第2案内部材の一例)
98 固定案内部材(第1案内部材の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成される画像形成部と、
前記画像形成部で形成された画像が第1転写位置で転写され、循環移動して該画像を第2転写位置に搬送する環状の転写体と、
前記第2転写位置へ記録媒体を搬送する搬送部材と、
前記転写体が第2転写位置に搬送した画像を、前記搬送部材が第2転写位置へ搬送した記録媒体へ転写する転写部材と、
前記搬送部材と前記転写部材との間に設けられ、前記記録媒体の非転写面に対面して該記録媒体を案内する第1案内部材と、
前記記録媒体の幅方向を回転軸として回転可能に前記搬送部材と前記転写部材との間に設けられ、前記記録媒体の転写面に対面して該記録媒体を案内し、回転中心に対する記録媒体の搬送方向下流側部分が前記転写体に沿った第1位置と、回転中心に対する記録媒体の搬送方向上流側部分が前記記録媒体に近づく第2位置との間で回転する第2案内部材と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送部材と前記第2案内部材との間に設けられ、前記搬送部材から搬送される記録媒体を、前記第2転写位置の手前で前記転写体に近づく方向へ案内する案内部を備え、
前記第2案内部材は、前記記録媒体の先端が前記第2転写位置へ突入した後であって、前記記録媒体の後端が前記案内部を抜ける前に、前記第1位置から前記第2位置に回転する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1案内部材は、前記第2案内部材の回転に伴って、同一方向へ回転する請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−185454(P2012−185454A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50295(P2011−50295)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】