説明

画像形成装置

【課題】タンデム型中間転写方式の複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置であって、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とした画像形成装置の提供。
【解決手段】複数の画像形成部60Y、60M、60C、60BKのうち中間転写体11の移動方向A1において2次転写部57よりも下流側で最上流に位置する画像形成部60Yと異なる下流側画像形成部60BKにおいて画像を形成するとき、2次転写後の中間転写体11の電位を均一化するために、移動方向A1において2次転写部57よりも下流側で下流側画像形成部60BKよりも上流側に位置する上流側画像形成部60Y、60M、60Cにおける転写手段12Y、12M、12Cにより転写バイアスを印加可能な画像形成装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置であって中間転写体を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置であって中間転写ベルト等の中間転写体を備えた中間転写方式の画像形成装置が知られている(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献10〕参照)。
【0003】
中間転写体方式の画像形成装置として、いわゆるタンデム型(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献3〕参照)と、いわゆるリボルバー現像型(たとえば、〔特許文献4〕〜〔特許文献10〕参照)とが知られている。
前者は、中間転写体に対して複数の像担持体を設け、各像担持体上に担持した画像を中間転写体上で重ね合わせることで所望の画像を得るようにしたものである。後者は、中間転写体に対して1つの像担持体を設けるとともにこの像担持体に対して複数の現像装置を設け、像担持体上又は中間転写体上で画像を重ね合わせることで所望の画像を得るようにしたものである。
【0004】
このような中間転写方式の画像形成装置は、像担持体上に画像を形成し、像担持体上に形成された画像を中間転写体に転写する1次転写を行い、中間転写体に転写された画像を記録材等に転写する2次転写を行うようになっており、中間転写体の抵抗、摩擦係数その他さまざまな特性を管理して、転写性の確保、異常画像の防止を図っている。
【0005】
たとえば、異常画像の一種である、2次転写の際に中間転写体から記録材等への放電が生じることに起因する、いわゆる放電跡の発生を防止するには、中間転写体の抵抗を高くすることが有効であることがわかっている。
【0006】
しかし、中間転写体の抵抗を高くすることの副作用として、中間転写体残像という不具合、すなわち、2次転写後に、中間転写体に、画像に対応した分布で電荷が残留し、次の1次転写に影響を与えて画質に影響を与える不具合が発生することが知られている。
【0007】
この不具合を防止するための方策として、中間転写体を2次転写から1次転写までの間に除電するための除電装置を設ける方策、かかる不具合が発生しなくなる程度に中間転写体の抵抗を厳しく管理する方策が知られている。
【0008】
しかしながら、前者の方策では、中間転写体残像対策専用の除電装置を設けると、装置の大型化、高価格化を招き、後者の方策では、高価格化を招くという問題がある。後者の方策に関してさらに述べると、高価格化を回避するには、放電跡及び中間転写体残像が許容されるレベルでの抵抗管理下で中間転写体を量産せざるを得ないが、このような対策を持っても、生産された中間転写体の抵抗のバラつきにより、装置の動作の保障環境範囲内であっても中間転写体残像等が発生し得るという問題がある。なお、その他の方策として、2次転写バイアスを高くしすぎないようにするというものがあるが、これでは2次転写の不良や転写チリといった異常画像の不具合が出るので採用し得ない。
【0009】
そのため、中間転写体残像の対策の方向性としては、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく行うことが好ましい。
この点、リボルバー型の画像形成装置において、2次転写後の中間転写体を空転させるとともに2次転写装置によってバイアスを印加する構成(たとえば、〔特許文献4〕、〔特許文献5〕参照)が知られており、この構成によれば、専用の装置を用いることなく、2次転写後の残留電化分布が解消ないし緩和される可能性がある。なお、中間転写体残像対策専用の除電装置を設けた構成も、リボルバー型の画像形成装置において提案されている(たとえば、〔特許文献6〕、〔特許文献7〕参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、中間転写体を空転させると、その分、画像形成を中断せざるを得ず、連続画像形成を行うべきときに生産性が低下するという問題がある。また、中間転写体残像対策は、タンデム型の画像形成装置においても提供する必要がある。
【0011】
本発明は、タンデム型中間転写方式の複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置であって、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とした画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部に対向して配置され、この複数の画像形成部において形成された画像を転写されるとともに転写された画像を2次転写部において他の媒体に2次転写される中間転写体とを有し、前記複数の画像形成部はそれぞれ、前記中間転写体に転写される画像を担持する像担持体と、この像担持体に担持された画像を前記中間転写体に転写する転写バイアスを印加する転写手段とを有し、前記複数の画像形成部のうち前記中間転写体の移動方向において前記2次転写部よりも下流側で最上流に位置する画像形成部と異なる下流側画像形成部において画像を形成するとき、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために、前記移動方向において前記2次転写部よりも下流側で前記下流側画像形成部よりも上流側に位置する上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加可能な画像形成装置にある。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記複数の画像形成部のうち画像を非形成の画像形成部における前記像担持体を前記中間転写体から離間させた状態とする第1のモードと、前記複数の画像形成部のうち画像を非形成の画像形成部における前記像担持体を前記中間転写体に当接させた状態とする第2のモードとを有し、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加するために、第2のモードで画像形成を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、環境の温湿度を検知する温湿度検知手段を有し、前記温湿度検知手段によって検知された温湿度を条件として、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加するために、第2のモードで画像形成を行うか否かの設定を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の画像形成装置において、前記中間転写体とこれに当接した部材とを含むユニットの抵抗を検知するユニット抵抗検知手段を有し、前記ユニット抵抗検知手段によって検知された前記抵抗を条件として、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加するために、第2のモードで画像形成を行うか否かの設定を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記ユニットは、前記中間転写体と、これに当接した前記像担持体と前記転写手段とを含み、前記ユニット抵抗検知手段は、前記転写手段を用いて前記抵抗を検知することを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記ユニットは、前記中間転写体と、前記2次転写部において同中間転写体に当接し同中間転写体に転写された画像を他の媒体に2次転写するために同2次転写部に2次転写バイアスを印加する2次転写手段とを含み、前記ユニット抵抗検知手段は、前記2次転写手段を用いて前記抵抗を検知することを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項2ないし6のいずれか1つに記載の画像形成装置において、画像形成動作中に次の画像形成ジョブが入力されたとき、現在の画像形成動作が第1のモードで行われているか否か及び/又は第2のモードで行われているかを条件として、前記次の画像形成ジョブの画像形成動作を第1のモードで行うか第2のモードで行うかの設定を行うことを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により印加する第1の転写バイアスの大きさを、前記像担持体に担持された画像を前記中間転写体に転写する第2の転写バイアスの大きさと異ならせたことを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、前記上流側画像形成部が複数あるときは第1の転写バイアスの大きさを第2の転写バイアスの大きさより小さくし、前記上流側画像形成部が単数のときは第1の転写バイアスの大きさを第2の転写バイアスの大きさより大きくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部に対向して配置され、この複数の画像形成部において形成された画像を転写されるとともに転写された画像を2次転写部において他の媒体に2次転写される中間転写体とを有し、前記複数の画像形成部はそれぞれ、前記中間転写体に転写される画像を担持する像担持体と、この像担持体に担持された画像を前記中間転写体に転写する転写バイアスを印加する転写手段とを有し、前記複数の画像形成部のうち前記中間転写体の移動方向において前記2次転写部よりも下流側で最上流に位置する画像形成部と異なる下流側画像形成部において画像を形成するとき、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために、前記移動方向において前記2次転写部よりも下流側で前記下流側画像形成部よりも上流側に位置する上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加可能な画像形成装置にあるので、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とし、装置の大型化、高価格化を回避しつつ、残留電荷分布による画像品質の低下を転写バイアスを印加することによって解消ないし防止し、良好な画像形成を速やかに行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0022】
前記複数の画像形成部のうち画像を非形成の画像形成部における前記像担持体を前記中間転写体から離間させた状態とする第1のモードと、前記複数の画像形成部のうち画像を非形成の画像形成部における前記像担持体を前記中間転写体に当接させた状態とする第2のモードとを有し、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加するために、第2のモードで画像形成を行うこととすれば、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とし、装置の大型化、高価格化を回避しつつ、残留電荷分布による画像品質の低下を、第2のモードで転写バイアスを印加することによって解消ないし防止し、良好な画像形成を速やかに行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0023】
環境の温湿度を検知する温湿度検知手段を有し、前記温湿度検知手段によって検知された温湿度を条件として、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加するために、第2のモードで画像形成を行うか否かの設定を行うこととすれば、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とし、装置の大型化、高価格化を回避しつつ、温湿度によって異なる強度で発生する残留電荷分布による画像品質の低下を、温湿度を条件として必要に応じて設定された第2のモードで転写バイアスを印加することによって解消ないし防止し、良好な画像形成を速やかに行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0024】
前記中間転写体とこれに当接した部材とを含むユニットの抵抗を検知するユニット抵抗検知手段を有し、前記ユニット抵抗検知手段によって検知された前記抵抗を条件として、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加するために、第2のモードで画像形成を行うか否かの設定を行うこととすれば、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とし、装置の大型化、高価格化を回避しつつ、かかるユニットの抵抗によって異なる強度で発生する残留電荷分布による画像品質の低下を、かかる抵抗を条件として必要に応じて設定された第2のモードで転写バイアスを印加することによって解消ないし防止し、良好な画像形成を速やかに行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0025】
前記ユニットは、前記中間転写体と、これに当接した前記像担持体と前記転写手段とを含み、前記ユニット抵抗検知手段は、前記転写手段を用いて前記抵抗を検知することとすれば、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とし、装置の大型化、高価格化を回避しつつ、かかるユニットの抵抗によって異なる強度で発生する残留電荷分布による画像品質の低下を、かかる抵抗を条件として必要に応じて設定された第2のモードで、かかる転写手段により転写バイアスを印加することによって解消ないし防止し、良好な画像形成を速やかに行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0026】
前記ユニットは、前記中間転写体と、前記2次転写部において同中間転写体に当接し同中間転写体に転写された画像を他の媒体に2次転写するために同2次転写部に2次転写バイアスを印加する2次転写手段とを含み、前記ユニット抵抗検知手段は、前記2次転写手段を用いて前記抵抗を検知することとすれば、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とし、装置の大型化、高価格化を回避しつつ、かかるユニットの抵抗によって異なる強度で発生する残留電荷分布による画像品質の低下を、かかる抵抗を条件として必要に応じて設定された第2のモードで、かかる2次転写手段により転写バイアスを印加することによって解消ないし防止し、良好な画像形成を速やかに行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0027】
画像形成動作中に次の画像形成ジョブが入力されたとき、現在の画像形成動作が第1のモードで行われているか否か及び/又は第2のモードで行われているかを条件として、前記次の画像形成ジョブの画像形成動作を第1のモードで行うか第2のモードで行うかの設定を行うこととすれば、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とし、装置の大型化、高価格化を回避しつつ、残留電荷分布による画像品質の低下を、現在の画像形成動作を行っているモードに応じて設定された第2のモードで転写バイアスを印加することによって解消ないし防止し、良好な画像形成を簡易な制御で速やかに行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0028】
2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により印加する第1の転写バイアスの大きさを、前記像担持体に担持された画像を前記中間転写体に転写する第2の転写バイアスの大きさと異ならせたこととすれば、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とし、装置の大型化、高価格化を回避しつつ、残留電荷分布による画像品質の低下を、必要に応じて第2の転写バイアスと大きさを異ならせた第1の転写バイアスを印加することによって解消ないし防止し、良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0029】
前記上流側画像形成部が複数あるときは第1の転写バイアスの大きさを第2の転写バイアスの大きさより小さくし、前記上流側画像形成部が単数のときは第1の転写バイアスの大きさを第2の転写バイアスの大きさより大きくすることとすれば、中間転写体の2次転写後の残留電化分布の解消ないし緩和を、専用の装置を用いることなく、また中間転写体の空転を行うことなく可能とし、装置の大型化、高価格化を回避しつつ、残留電荷分布による画像品質の低下を、上流側画像形成部の数に基づき必要に応じて第2の転写バイアスと大きさを異ならせた第1の転写バイアスを印加することによって解消ないし防止し、良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置において第1のモードを形成した状態を示す概略正面図である。
【図3】図1に示した画像形成装置において第2のモードの一例を形成した状態を示す概略正面図である。
【図4】図1に示した画像形成装置において形成されうる各モードおよびこの各モードにおいて印加される転写バイアスを示したチャートである。
【図5】ユニット抵抗検知手段によって検知されるユニットの抵抗を説明するための、電圧と電流との相関図である。
【図6】図1に示した画像形成装置の実施例1における制御の例を示したフローチャートである。
【図7】図1に示した画像形成装置の実施例1における制御の他の例を示したフローチャートである。
【図8】図1に示した画像形成装置の実施例2における制御の例を示したフローチャートである。
【図9】図1に示した画像形成装置の実施例2における制御の他の例を示したフローチャートである。
【図10】図1に示した画像形成装置の各実施例により本発明の評価を行う際に用いた形成画像のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機であってフルカラーの画像形成を行うことが可能になっているが、他の画像形成装置、すなわち、複写機、プリンタ、ファクシミリの単体、あるいは複写機とプリンタとの複合機等他の複合機であっても良い。画像形成装置100は、プリンタとして用いられる場合には、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。これは画像形成装置100がファクシミリとして用いられる場合も同様である。
【0032】
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。画像形成装置100は、記録媒体である用紙としての記録体である記録材たる転写紙Sの両面に画像形成可能な両面画像形成装置でもある。
【0033】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能なドラム状の像担持体としての潜像担持体である感光体たる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを、中間転写体である転写体たる中間転写ベルトとしての転写ベルト11の張り渡し方向に沿って4連タンデム式に並べて設け平行配設したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式を採用している。
【0034】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、画像形成装置100のプリンタ部として機能する本体99の図示しないフレームに回転自在に支持され、転写ベルト11の移動方向であって図1において反時計回り方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。各符号の数字の後に付されたY、M、C、BKは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。
【0035】
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成するための複数の画像形成部としての作像装置である画像形成ステーションたる画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
【0036】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端のベルトとして構成されたエンドレスの転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。
【0037】
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成され担持された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写媒体としての転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、転写紙Sに一括転写されるようになっている。よって画像形成装置100はタンデム型中間転写方式の画像形成装置となっている。したがって画像形成装置100はタンデム型間接転写方式の電子写真装置となっている。
【0038】
転写ベルト11は、その下側の部分が各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向しており、この対向した部分である対向位置が、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上のトナー像を転写ベルト11に転写する1次転写領域としての1次転写部58を形成している。
【0039】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向する位置に配設された第1の転写ローラとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0040】
転写ベルト11は、ポリイミド製の基層とこの基層上にコーティングによって形成された放電防止層とを有している。基層の材質としてはほかにPAIが挙げられる。放電防止層は基層と同じポリイミド製であっても良い。
【0041】
画像形成装置100は、本体99内に、4つの作像装置としての画像形成ステーションである画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた中間転写装置たる転写ユニットとしての中間転写ユニットである転写ベルトユニット10と、図1における転写ベルト11の右側において転写ベルト11に対向して配設された2次転写装置5と、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKの下方に対向して配設された潜像形成手段としての光書込みユニットである光学ユニットとしての書き込み装置たる露光装置としての光走査装置8とを有している。
【0042】
画像形成装置100はまた、本体99内の光走査装置8の下方に、転写ベルト11と2次転写装置5との間の2次転写領域としての2次転写部57に向けて搬送される転写紙Sを多数枚積載可能な給紙ユニットとしての給紙トレイである給紙装置たるシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた転写紙Sを、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、2次転写部57に向けて繰り出す搬送ローラとしてのレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0043】
画像形成装置100はまた、本体99内に、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着部である定着装置6と、正回転時に定着済みの転写紙Sを本体99の外部に排出する排出ローラである排紙ローラ対としての排紙装置である排紙ローラ7と、転写ベルトユニット10の上方に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9M、9C、9BKと、本体99の上側に配設され排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙Sを積載する、胴内排紙部によって形成された排紙トレイ17とを有している。
【0044】
画像形成装置100はまた、本体99の、同図における右側面に取り付けられた両面ユニット51と、本体99の上側に位置し原稿を読み取るスキャナとしての画像読取装置である読取装置98とを有している。
【0045】
画像形成装置100はまた、本体99内に、同図における右側に下方から上方に向けて形成され、その中途部に2次転写部57、レジストローラ対4、定着装置6及び排紙ローラ7が設けられ、シート給送装置61から繰り出された転写紙Sが進入する記録材搬送路である用紙搬送路81と、用紙搬送路81における転写紙Sの搬送方向においてレジストローラ対4の上流側で両面ユニット51から用紙搬送路81に合流する給紙路82と、用紙搬送路81における転写紙Sの搬送方向において定着装置6の下流側で用紙搬送路81から両面ユニット51に向けて分岐した再給紙搬送路83とを有している。
【0046】
画像形成装置100はまた、本体99内に、環境の温湿度を検知する温湿度検知手段97と、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを回転駆動する図示しない駆動装置と、画像形成装置100の動作全般を制御する図示しないCPU、メモリ等を含む制御手段96とを有している。
【0047】
画像形成装置100はまた、本体99の外面に、画像形成開始指示を行うための図示しないスタートスイッチ、転写紙Sの厚みを入力する紙種入力手段としての紙種入力キー等を備え画像形成装置100の動作、作動態様を指定することが可能となっているとともに、所定の表示を行うための表示手段としての図示しない液晶表示装置を備えた図示しない操作パネルを有している。
画像形成装置100は、排紙トレイ17が本体99の上方でかつ読取装置98の下側に位置した胴内排紙型の画像形成装置である。
【0048】
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、転写バイアス印加部材である1次転写バイアスローラとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられ掛けまわした複数のローラとしての、駆動部材である駆動ローラ72と、張架ローラとしてのクリーニング対向ローラ74と、駆動ローラ72及びクリーニング対向ローラ74とともに転写ベルト11を張架する支持ローラとしての張架ローラ33、34とを有している。
【0049】
転写ベルトユニット10はまた、クリーニング対向ローラ74に対向する位置において転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11表面をクリーニングする中間転写体クリーニング装置であるベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13と、張架ローラ33に対向する位置に配設されレジストローラ4から給送された転写紙Sを2次転写部57に向けて案内する用紙搬送ガイド75と、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動系とを有している。
【0050】
転写ベルトユニット10はまた、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKにトナーの帯電極性と同極性の転写バイアスである1次転写バイアスを印加させ1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKを1次転写手段としての転写手段である斥力ローラとして機能させ、且つ1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとともに一次転写装置をそれぞれ構成する図示しないバイアス印加手段としての電源及び制御手段96の一機能として実現されたバイアス制御手段を有している。
【0051】
転写ベルトユニット10はまた、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BK、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを後述する設定された組み合わせで選択的に転写ベルト11に接離させる、周知の構成の接離手段を有している。
【0052】
クリーニング対向ローラ74、張架ローラ33、34は、駆動ローラ72によって回転駆動される転写ベルト11に連れ回りする従動ローラとなっている。1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、転写ベルト11をその裏面から感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。この1次転写ニップは、転写ベルト11の、張架ローラ33と張架ローラ34との間でほぼ水平に張り渡した部分において形成されている。張架ローラ33は、レジストローラ4から給送された転写紙Sを2次転写部57に向けて案内するための転写入口ローラとして機能する。
【0053】
クリーニング対向ローラ74は、転写ベルト11に転写に適した所定の張力を与えるための加圧部材としてのテンションローラとしても機能する部材である。クリーニング対向ローラ74、張架ローラ33、34は、1次転写ニップを安定化する機能を有する。
【0054】
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの作用により、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって転写ベルト11上に静電転写によって1次転写される。
【0055】
駆動ローラ72は、転写ベルト11を介して2次転写装置5を当接されており、2次転写部57を形成している。
駆動ローラ72は、後述するように、トナーの帯電極性と同極性の転写バイアスである2次転写バイアスを印加されるようになっており、これによって2次転写手段としての転写手段である斥力ローラとして機能するようになっている。
【0056】
クリーニング装置13は、図1において転写ベルトユニット10の左下方、具体的にはクリーニング対向ローラ74の下方に配設されている。クリーニング装置13は、図示を省略するが、クリーニング対向ローラ74に対向する位置で転写ベルト11に当接するように配設されたクリーニング部材と、クリーニング部材をその内部に収容したケースと、図1においてケースの紙面手前側に配設された廃トナー回収ボトルとを有している。
【0057】
クリーニング装置13は、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニング部材で掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。転写ベルト11から除去されたかかる異物は廃トナー回収ボトルに貯蔵される。廃トナー回収ボトルは前面パネルを開いた状態で図1における紙面手前側に取り出し可能となっており、内部の異物が満杯になったときに新たなものと交換可能になっている。なお、後述するクリーニング装置71Y、71M、71C、71BKも同様に交換可能な廃トナー回収ボトルを有している。
【0058】
接離手段は、図2に示すように、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKのうち1次転写ローラ12BKのみを転写ベルト11に当接させて1次転写ローラ12Y、12M、12Cを転写ベルト11から離間させるとともに、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのうち感光体ドラム20BKのみを転写ベルト11に当接させて感光体ドラム20Y、20M、20Cを転写ベルト11から離間させたBk当接モードを形成することを可能としている。
【0059】
接離手段はまた、図1に示すように、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKのすべてを転写ベルト11に当接させるとともに、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのすべてを感光体ドラム20BKに当接させた全当接モードを形成することを可能としている。
【0060】
接離手段はまた、図3に示すように、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKのうち1次転写ローラ12C、12BKのみを転写ベルト11に当接させて1次転写ローラ12Y、12Mを転写ベルト11から離間させるとともに、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのうち感光体ドラム20C、20BKのみを転写ベルト11に当接させて感光体ドラム20Y、20Mを転写ベルト11から離間させた個別当接モードを形成することを可能としている。
【0061】
図4に示すように、接離手段は、黒色のみで画像形成を行うブラックモードすなわちBkモード時に、Bk当接モード、全当接モード、個別当接モードのいずれかを選択して形成し、フルカラーで画像形成を行うフルカラーモードすなわちFCモード時に、全当接モードを選択して形成する。
【0062】
Bkモードにおいて、接離手段は、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKのうち画像を非形成の画像形成ユニット60Y、60M、60Cにおける1次転写ローラ12Y、12M、12C、感光体ドラム20Y、20M、20Cを転写ベルト11から離間させたBk当接モードである第1のモードと、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKのうち画像を非形成の画像形成ユニット60Y、60M、60Cにおける1次転写ローラ12Y、12M、12C、感光体ドラム20Y、20M、20Cを転写ベルト11に当接させた全当接モード、または、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKのうち画像を非形成の画像形成ユニット60Cにおける1次転写ローラ12C、感光体ドラム20Cを転写ベルト11に当接させた個別当接モードである第2のモードとを選択的に形成可能となっている。
【0063】
第2のモードとして、全当接モードと個別当接モードとの何れが選択されるかは、画像形成装置100の出荷時の初期設定において設定され、不変であっても良いし、画像形成装置100のユーザ等の操作者によって選択的に設定されるものであっても良い。なお、第2のモードが全当接モードで不変であれば、接離手段は、図1に示した状態と図2に示した状態との何れかを形成すれば良いため、構成が簡略化される。
【0064】
第1のモードは、後述するように、制御手段96によって、通常のBkモードで画像形成言い換えると印刷が行われる場合、または、Bk残像モードで画像形成が行われる場合に選択され、制御手段96による制御のもと、接離手段が駆動制御されて形成される。
【0065】
第2のモードは、後述するように、制御手段96によって、残像モードまたは個別残像モードで画像形成言い換えると印刷が行われる場合に選択され、制御手段96による制御のもと、接離手段が駆動制御されて形成される。
【0066】
画像形成装置100は、入力された画像形成ジョブ言い換えると印刷ジョブに応じて、制御手段96によって、白黒印字を行うBkモード、カラー印字を行うFCモードのいずれかを選択して画像形成するようになっている。
【0067】
シート給送装置61は、転写紙Sを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容するものであり、本体99の下部において光走査装置8の下方に配設されている。シート給送装置61は、複数枚の転写紙Sを紙束の状態で収容可能な鉛直方向に複数重なるように、本形態では2段に備えられた給紙カセット25と、各給紙カセット25に積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ24と、給紙ローラ24によって送り出された転写紙Sのうちの1枚のみを分離してさらに搬送する図示しない分離ローラとを有しており、給送ローラ24が所定のタイミングで反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
【0068】
シート給送装置61は、給送ローラ24が選択的に図中反時計回り方向に回転駆動され、分離ローラが作用することにより、その給紙カセット25に積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sを用紙搬送経路81に入れてレジストローラ対4に向けて給送し、搬送された転写紙Sがレジストローラ対4のローラ間に挟まれた状態で突き当られ止められるようになっている。
【0069】
2次転写装置5は、駆動ローラ72に対向して配置されている。2次転写装置5は、駆動ローラ72との間で転写ベルト11を挟むようにして駆動ローラ72に向けて加圧配設された転写バイアス印加部材である2次転写ローラ5aと、駆動ローラ72にトナーの帯電極性と同極性の転写バイアスである2次転写バイアスを印加し駆動ローラ72を2次転写装置5の構成として機能させる図示しないバイアス印加手段としての電源及び制御手段96の一機能として実現されたバイアス制御手段とを有している。
2次転写装置5は、2次転写ローラ5aにより、トナー像を転写された後の転写紙Sを定着装置6へと搬送するシート搬送機能も有している。
【0070】
なお、バイアス印加手段としての電源及びバイアス制御手段は、駆動ローラ72でなく、2次転写ローラ5aに転写バイアスである2次転写バイアスを印加するものであっても良い。この場合、2次転写ローラ5aに印加される2次転写バイアスはトナーの帯電極性と同極性とされ、2次転写ローラ5aは2次転写手段としての転写手段である引力ローラとして機能する。
【0071】
両面ユニット51は、外側面側に配設された手差し給紙装置53と、手差し給紙装置53から両面ユニット51内を横切るように配設された、給紙路82の一部と、再給紙搬送経路83を経た転写紙Sを給紙路82に向けて反転して搬送する反転搬送経路21と、反転搬送経路21中に配設され転写紙Sを給紙路82に向けて搬送する搬送ローラ23とを有している。
【0072】
手差し給紙装置53は、転写紙Sを積載可能な手差し給紙トレイとしての手差しトレイ27と、手差しトレイ27に積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙の上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ28と、給送ローラ28により繰り出された転写紙を1枚ずつ分離する図示しない分離ローラとを有している。
【0073】
手差し給紙装置53は、給送ローラ28が図中時計回り方向に回転駆動され、分離ローラが作用することにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送し、搬送された転写紙Sがレジストローラ対4のローラ間に挟まれた状態で突き当られ止められるようになっている。
【0074】
定着装置6は、定着部材としての無端ベルト状の定着ベルト64と、定着ベルト64を巻き掛けた架け回した定着ローラ65と、定着ローラ65とともに定着ベルト64を巻き掛け定着ベルト64の張力を一定に保つテンションローラ62と、定着ローラ65との間で定着ベルト64に圧接し転写紙Sを押圧する圧接部である定着部としての定着ニップを形成するための加圧部材としての加圧ローラ63と、定着ローラ65内に配設され定着ローラ65を介して定着ベルト64を加熱する第1の加熱手段としての第1の熱源であるハロゲンヒータ66と、加圧ローラ63を加熱する第2の加熱手段としての第2の熱源であるハロゲンヒータ67と、定着ニップを形成するための付勢手段としての図示しないばねを有している。
【0075】
定着ベルト64の材質は耐熱性に優れ、高耐久であるポリイミドであり、厚さは数10ミクロンである。定着ローラ65と加圧ローラ63との一方の回転軸は固定されているとともに、他方の回転軸は移動可能に支持されることで一方のローラに対して接離可能となっており、ばねで付勢されることで、定着ローラ65と加圧ローラ63との間で定着ベルト64を介して定着ニップが形成されている。テンションローラ62と、定着ベルト64と、定着ローラ65とは、定着ベルト64が無端移動するベルトユニットを構成している。
【0076】
定着装置6は、トナー像を担持した転写紙Sを定着ニップに挟み込む態様で通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙Sの表面に定着するようになっている。
【0077】
トナーボトル9Y、9M、9C、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、重合トナーであって、図示しない駆動手段によって回転されることでトナーを吐出し、図示しないパイプ等によって構成された搬送経路を経て、所定の補給量だけ、後述するように画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられた現像装置80Y、80M、80C、80BKに補給される。
【0078】
読取装置98は、詳細な図示を省略するが、原稿を載置するコンタクトガラス、コンタクトガラスに載置された原稿に光を照射する光源及び光源から原稿に照射され反射された光を反射する第1の反射体を備え図1における左右方向に走行する第1走行体、第1走行体の反射体によって反射された光を反射する第2の反射体を備えた第2走行体、第2走行体からの光を結像するための結像レンズ、結像レンズを経た光を受け原稿の内容を読み取る読み取りセンサ等を備えている。
【0079】
画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKは互いに同様の構成となっている。画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKはそれぞれ、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの周囲に、図1中時計方向であるその回転方向B1に沿って、プロセス手段として、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、クリーニング手段としてのクリーニング装置71Y、71M、71C、71BKと、除電手段としての図示しない除電装置と、帯電バイアスによりAC帯電を行なう帯電手段としての帯電装置79Y、79M、79C、79BKと、2成分現像剤を用い現像バイアスを印加して現像を行う現像手段としての現像装置80Y、80M、80C、80BKとを有している。
【0080】
感光体ドラム20Y、クリーニング装置71Y、除電装置、帯電装置79Y、現像装置80Yは、一体化されてプロセスカートリッジを構成している。感光体ドラム20M、20C、20BKの周りの各構成も同様にそれぞれ一体化されてプロセスカートリッジを構成している。これらプロセスカートリッジは、前面パネルを開いた状態で図1における手前側である感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの回転軸方向に着脱可能となっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことができるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。
【0081】
このような構成の画像形成装置100においては、スタートスイッチの押下等により画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKにおいてそれぞれ次の画像形成プロセスが実行されること等によって、画像形成が行われる。
具体的には、カラー画像を形成すべき旨言い換えるとFCモードで画像形成を行うべき旨の信号が入力された場合には、適宜、読取装置98において原稿の読み取りが行われる等して形成すべき画像に対応したデータが取得されるとともに、制御手段96によって接離手段が駆動され、全当接モードが形成される。次いで、駆動ローラ72が駆動され、転写ベルト11、クリーニング対向ローラ74、張架ローラ33、34が従動回転するとともに、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKがB1方向に回転駆動される。
【0082】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、B1方向への回転に伴い、帯電装置79Y、79M、79C、79BKにより表面を一様に帯電処理され、形成すべき画像に対応したデータである画像情報に基づいて制御手段96によって駆動される光走査からのレーザー光の露光走査によりイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置80Y、80M、80C、80BKにより2成分現像剤中に含まれるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の像形成物質としての画像形成物質であるトナーにより現像されて顕像化すなわち可視像処理され、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像によって構成された単色画像が形成される。
【0083】
現像により得られたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像は、順次、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによって、A1方向に回転している転写ベルト11上の同じ位置に重ねて転写され、転写ベルト11上には合成カラー画像が形成される。このとき1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによって印加する転写バイアスの値はそれぞれ、図4においてFCモードの項目に示したY、M、C、Kの欄の値である。なお、同図において、「T1」の欄の値は1次転写バイアスの値を示している。
【0084】
一方、カラー画像を形成すべき旨の信号の入力に伴い、各給紙カセット25に対応する給紙ローラ24、手差しトレイ27に対応する給送ローラ28の何れかが選択されて回転駆動され、転写紙Sを繰り出すとともに1枚ずつ分離して搬送し、搬送された転写紙Sはレジストローラ対4に突き当てられた状態で停止する。両面画像形成の場合は、定着装置6においてその片面に後述のように画像が定着された転写紙Sが、反転搬送経路21を通って表裏反転された状態で、レジストローラ対4に突き当てられた状態で停止する。
【0085】
転写ベルト11上に重ね合わされた合成カラー画像が転写ベルト11のA1方向の回転に伴って2次転写部57まで移動するタイミングに合わせて、レジストローラ対4が回転し、2次転写部57では、合成カラー画像が、2次転写部57に送り込まれた転写紙Sに密着し、ニップ圧の作用によって静電転写によって転写紙Sに2次転写され、記録される。このとき駆動ローラ72によって印加する転写バイアスの値は、図4においてFCモードの項目に示したT2の欄の値である。なお、同図において、「T2」の欄の値は2次転写バイアスの値を示している。
【0086】
転写紙Sは2次転写装置5およびA1方向に回転する転写ベルト11によって搬送されて定着装置6に送り込まれ、定着装置6において加熱ローラ62と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像すなわち合成カラー画像を定着される。
【0087】
定着装置6を通過した、合成カラー画像を定着済みの転写紙Sは、排紙ローラ7を経て本体99外に排出され、本体99の上部の排紙トレイ17上に画像出力物としてスタックされる。両面画像形成の場合は、片面に定着済みの転写紙Sは再給紙経路82及び反転搬送経路21を通って再度レジストローラ対4に向けて搬送される。
【0088】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、転写後に残留した転写残トナーをクリーニング装置71Y、71M、71C、71BKにより除去され、除電装置によって除電され、帯電装置79Y、79M、79C、79BKによる次の帯電に供される。
【0089】
2次転写を終えた2次転写部57を通過後の転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニング部材によってその表面をクリーニングされ、次の転写に備える。
【0090】
画像形成を行うべき旨の信号が、FCモードでなく、Bkモードである場合、すなわち画像形成ユニット60BKにおいて画像を形成する場合には、すでに述べた中間転写体残像であるベルト残像が発生するときにはこの解消を図るべく、2次転写後の転写ベルト11の電位を均一化するための動作を行うことが可能となっている。
【0091】
具体的には、画像形成を行うべき旨の信号がBkモードである場合であって第2のモードが全当接モードであるときには、第2のモードを形成した状態としたうえで、A1方向において2次転写部57よりも下流側で画像形成ユニット60BKよりも上流側に位置する、画像形成ユニット60Y、60M、60Cにおける1次転写ローラ12Y、12M、12Cにより、転写バイアスを印加可能となっている。また、画像形成を行うべき旨の信号がBkモードである場合であって第2のモードが個別当接モードであるときには、第2のモードを形成した状態としたうえで、A1方向において2次転写部57よりも下流側で画像形成ユニット60BKよりも上流側に位置する、画像形成ユニット60Cにおける1次転写ローラ12Cにより、転写バイアスを印加可能となっている。このような転写バイアスを印加する条件については後述する。
【0092】
このように、第2のモードで、画像形成ユニット60BKよりもA1方向上流側位置で転写バイアスを印加して画像形成ユニット60BKで画像形成可能とすることで、かかる転写バイアスで2次転写後の転写ベルト11の残留電荷の分布すなわち残留電位分布を緩和ないし解消し、これにより、次の1次転写の際のベルト残像の発生の防止を図っている。
【0093】
よって、転写ベルト11を空転することなく、また残留電位分布を緩和等するための専用の装置を用いることなく、タンデム型であることを利用して、画像形成を中断させることも、連続画像形成を行うべきときの生産性を低下させることもなく、連続画像形成/間欠画像形成を問わず最大の生産性を確保した状態で除電及び作像が可能となり、生産性の維持によりユーザビリティが確保されるとともに、装置の大型化、高価格化を招くことなく、ベルト残像対策がなされている。
【0094】
Bkモード時にかかる転写バイアスを印加する条件言い換えると第2のモードで画像形成を行う条件について述べる。
かかる条件として、画像形成装置100では、(1)画像形成装置100の使用環境の温湿度と、(2)転写ベルト11とこれに当接した後述する部材とを含む後述するユニットの抵抗値と、(3)Bkモードの画像形成ジョブが入力されたときに第2のモードで画像形成が行われているか否かとを用いている。これらの条件について以下順番に説明する。
【0095】
・(1)の条件について
画像形成装置100の使用環境の温湿度をかかる条件として用いるのは、かかる温湿度が、残留電位分布に影響を与える転写ベルト11の抵抗値を左右するためである。転写ベルト11の抵抗値が大きいほど残留電位分布が発生しやすく、よってベルト残像が発生しやすい。
【0096】
かかる温湿度とベルト残像の発生しやすさとの相関を表1に示す。同表において、「○」はベルト残像が発生せず、「×」はベルト残像が発生し、「△」は「○」と「×」との中間を示している。なお、このことは後掲する表2、表3においても同様である。
【0097】
【表1】

【0098】
かかる温湿度を第2のモードで画像形成を行う条件として用いるため、画像形成装置100は、温湿度検知手段97を用いて、制御手段96において、常時、本体99内の温湿度を監視しており、温湿度検知手段97によって検知された温湿度を用いて第2のモードで画像形成を行うか否かの設定を行うようになっている。
【0099】
温湿度の閾値の具体値は、後述する各実施例から明らかなように、温度としては18℃を用いており、湿度としては40%RHまたは54%RHを用いている。
なお、ベルト残像を保障する温湿度環境は、10℃15%RH(表3参照)が下限であり、本発明を適用した場合であっても、これを下回る環境についてはベルト残像の回避を必ずしも保障するものではない。
【0100】
その他、温湿度検知手段97によって検知された温湿度を用いる制御として、第2のモードで画像形成を行うか否かの設定のほか、転写バイアス等の作像条件を変えるなど、作像条件に対する独立した環境補正を加えるようにしても良い。
【0101】
・(2)の条件について
転写ベルト11とこれに当接した部材とを含むユニットの抵抗値をかかる条件として用いるのは、かかる抵抗値の大小関係が、残留電位分布に影響を与える転写ベルト11の抵抗値の大小関係と一致する態様で相関しており、また、かかる抵抗値が、転写バイアスを印加するときの1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BK、駆動ローラ72の負荷、具体的には電流値、電圧値によって比較的容易に計測されることを利用するためである。
【0102】
そのため、転写ベルト11に当接した部材とは、かかる抵抗値を1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKを用いて計測するときには当該1次転写ローラ及びこれに対向当接した感光体ドラムであって、かかるユニットは、当該1次転写ローラ、転写ベルト11、当該感光体ドラムを含むものであり、かかる抵抗値は当該1次転写ローラ、転写ベルト11、当該感光体ドラムの合成抵抗値である。
また、転写ベルト11に当接した部材とは、かかる抵抗値を駆動ローラ72を用いて計測するときには駆動ローラ72及びこれに対向当接した2次転写ローラ5aであって、かかるユニットは、駆動ローラ72、転写ベルト11、2次転写ローラを含むものであり、かかる抵抗値は駆動ローラ72、転写ベルト11、2次転写ローラ5aの合成抵抗値である。
本形態では、かかる抵抗値を、駆動ローラ72によって計測することとしている。
【0103】
かかる抵抗を第2のモードで画像形成を行う条件として用いる場合、画像形成装置100は、駆動ローラ72を用いて、バイアス制御手段において、2次転写時と異なるタイミングすなわち2次転写部57に非通紙のタイミングで、電流値、電圧値を監視し、駆動ローラ72によって検知された電流値、電圧値を用いて、制御手段96により、かかる抵抗を算出し、後述する閾値を用いて、第2のモードで画像形成を行うか否かの設定を行うようになっている。この点、バイアス制御手段として機能する制御手段96は、駆動ローラ72を用いてかかるユニットの抵抗を検知するユニット抵抗検知手段として機能する。ただし、1次転写ローラを用いてかかるユニットの抵抗を検知するときは、この1次転写ローラによって検知された電流値、電圧値を用いてかかるユニットの抵抗を検知する、バイアス制御手段として機能する制御手段96が、ユニット抵抗検知手段として機能する。
【0104】
かかる抵抗をより詳しく説明すると、バイアス制御手段は、2次転写部57に非通紙のタイミングで、図5に示すように、300V、500V、700Vの電圧を駆動ローラ72に印加するとともに、それぞれの電圧を印加したときに流れる電流値を計測する。かかる3点での電流/電圧の関係を得たところで、近似曲線を引き、傾きを求めるとこれが当該ユニットの負荷すなわち抵抗となる。なお、この抵抗は、簡略化のために1つの電圧値を用いて計測するようにしても良いし、正確化のためより多くの電圧値を用いて計測するようにしても良い。ただし、1つの電圧値を用いる場合は、2次転写に実際に使用するバイアスにできるだけ近くなる値とすることを要する。
【0105】
同図は、構成が互いに異なる2つのユニットA、Bについての計測結果を示しており、抵抗はそれぞれ、約26.3MΩ、約53.8MΩと算出された。よって、これら2つのユニットA、Bを比較すると、抵抗の大きいユニットBの方が残像への懸念が大きいことがわかる。かかる抵抗は体積抵抗であってこの値が大きいほど電荷が逃げにくく残像が発生しやすくなるとともに、ユニットとしての抵抗が大きいほど転写ベルト11の抵抗も大きいこととなるため、残像への懸念が大きくなるからである。
【0106】
かかる抵抗の閾値の具体値としては、本形態では50MΩを用いている。かかるユニットの合成抵抗値とかかる閾値との大小関係によって、転写ベルト11の抵抗値がベルト残像の懸念があるものであるか否かが判断されるからである。なお、かかる閾値の値は、かかる抵抗を計測するユニットの位置やこれを構成する部材との関係によって左右されるものであり、ユニットの合成抵抗値を計測した上で各種部品公差を加味して事前に求められる。
【0107】
・(3)の条件について
Bkモードの画像形成ジョブが入力されたときに第2のモードで画像形成が行われているか否かをかかる条件として用いるのは、制御、動作の簡易化のためである。かかるジョブが入力されたときに第2のモードで画像形成が行われているときには、かかるジョブをそのまま第2のモードで実行したほうが、接離手段の駆動に要する制御、動作等が簡易化され、生産性も向上する。かかるジョブが入力されたときに第1のモードで画像形成が行われているときには、後述するように、すでに行われた判断をそのまま引き継いで続けて画像形成を行えばよく、制御等が簡易化され、生産性も向上する。
【0108】
このような理由により、画像形成装置100では、画像形成動作中に次の画像形成ジョブがBkモードの画像形成ジョブとして入力されたとき、現在の画像形成動作が第1のモードで行われているか否か及び/又は第2のモードで行われているかを条件として、次のBkモードの画像形成ジョブの画像形成動作を第1のモードで行うか第2のモードで行うかの設定を、制御手段96において行うようになっている。
【0109】
なお、このようにして前の状態すなわちモードを参照することで次のモードを決める場合であっても、たとえば途中でいわゆるプロセスコントロールのような調整動作が入る場合には、その時間を利用して再度環境温湿度の検知やユニット抵抗検知を実施してより適したモードを正確に選択するようにすることが望ましい。
【0110】
ここで、図4に示すように、Bk当接モードである第1のモードには、通常モードとBk残像モードとが含まれている。通常モードは、ベルト残像の懸念が低いときに画像形成を行うモードであり、Bk残像モードは、ベルト残像の懸念が多少あるときに画像形成を行うモードである。このときのT1、T2を対比すると、同表からわかるように、Bk残像モードの方がT1が高く設定されているとともにT2が低く設定されている。
【0111】
これは、表2に示すように、T1が高く、T2が低いほうがベルト残像が発生しにくい傾向にあるためである。逆に言えば、T1が低く、T2が高いほうがベルト残像が発生しやすいのであるが、これは、T2が高いと2次転写後の残留電荷量が増加し、T1が低いと残留電荷の影響を受けやすくなるためである。このように、Bk残留モードでは、バイアスが通常モードよりベルト残像に対して有利な方向へシフトしたモードとなっている。
【0112】
【表2】

【0113】
第2のモードは、ベルト残像の懸念が高くベルト残像が発生しやすいときに選択されるモードである。なお、第2のモードでは、次に述べるように転写バイアスが調整される画像形成ユニットがあるが、この画像形成ユニットにおいては、光走査装置8による書き込みが停止されるものの、他の作像条件、たとえば、帯電バイアス、現像バイアスは、通常の値で印加されるなど、通常の画像形成時と同様に動作する。
【0114】
図4に示すように、全当接モードで行われる第2のモードである残像モードにおいてベルト残像対策として行われる1次転写ローラ12Y、12M、12Cによって印加される転写バイアスすなわち第1の転写バイアスである均一化転写バイアスはそれぞれ、FCモードにおいて感光体ドラム20Y、20M、20Cに担持されたトナー像を転写ベルト11に転写するために1次転写ローラ12Y、12M、12Cによって印加される転写バイアスすなわち第2の転写バイアスであるトナー像転写バイアスよりも低く設定されているとともに、かかる残像モードにおいてベルト残像対策として行われる駆動ローラ72によって印加される転写バイアスすなわち均一化転写バイアスは、FCモードにおいて転写ベルト11に担持されたトナー像を転写紙Sに転写するために駆動ローラ72によって印加される転写バイアスすなわちトナー像転写バイアスよりも低く且つ通常モードにおけるトナー像転写バイアスと等しく設定されている。
【0115】
また、同図に示すように、個別当接モードで行われる第2のモードである個別残像モードにおいてベルト残像対策として行われる1次転写ローラ12Cによって印加される均一化転写バイアスは、FCモードにおいて感光体ドラム20Cに担持されたトナー像を転写ベルト11に転写するために1次転写ローラ12Cによって印加されるトナー像転写バイアスよりも低く設定されているとともに、かかる個別残像モードにおいてベルト残像対策として行われる駆動ローラ72によって印加される均一化転写バイアスは、FCモードにおいて転写ベルト11に担持されたトナー像を転写紙Sに転写するために駆動ローラ72によって印加されるトナー像転写バイアスよりも低く且つ通常モードにおけるトナー像転写バイアスと等しく設定されている。
【0116】
このように、均一化転写バイアスの大きさをトナー像転写バイアスの大きさと異ならせたのは、表2に沿って上述した傾向に配慮しながら、消費エネルギーの低減を考慮し、均一化転写バイアスではベルト残像を解消ないし緩和するために残留電位分布を低減するのに必要なバイアスを印加すればよいことに鑑みたものである。
【0117】
この点、トータルでの均一化転写バイアスがかかる必要十分な値となればよいため、複数個所で均一化転写バイアスを印加する残像モードでは、1次転写ローラ12Y、12M、12Cによって印加される転写バイアスすなわち均一化転写バイアスの大きさはそれぞれ、FCモードにおいて1次転写ローラ12Y、12M、12Cによって印加されるトナー像転写バイアスの大きさより小さくしている。
また、1個所で均一化転写バイアスを印加する個別残像モードでは、1次転写ローラ12Cによって印加される転写バイアスすなわち均一化転写バイアスの大きさは、FCモードにおいて1次転写ローラ12Cによって印加されるトナー像転写バイアスの大きさより大きくしている。
【0118】
これにより、残像モード、個別モードのいずれにおいても、バイアスが、Bkモードよりもベルト残像に対して有利な方向へシフトしており、個別残像モードでも十分にベルト残像に対する効果が得られる。
【0119】
残像モード、個別残像モードともに、駆動ローラ72によって印加される均一化転写バイアスが、FCモードにおいて駆動ローラ72によって印加されるトナー像転写バイアスよりも低く且つ通常モードにおけるトナー像転写バイアスと等しく設定されているのは、表2に沿って上述した傾向に配慮しながら、均一化転写バイアスではベルト残像を解消ないし緩和するために残留電位分布を低減するのに十分なバイアスを印加すればよいことに鑑みたものである。
なお、FCモードでもベルト残像は発生しうるが、Bkモードよりは発生しにくい。これは、FCモードでは、もともとすべての画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKにおいて、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKが転写ベルト11に当接し、画像形成の際に転写バイアスが順次印加されることで残留電位分布が緩和されていくためであり、またこのとき、比較的残像の目立ちにくい色であるイエローの画像形成を行う際の転写バイアスによって最初に残留電位分布が低減されるためである。ただし、より高精度に残留電位分布を低減するために、ベルト残像が発生しやすいときには、通常のFCモードで印加される1次転写バイアスよりも高い1次転写バイアスを印加することが好ましい。
【0120】
以下、上述した(1)〜(3)の条件を単独であるいは組み合わせて適用したそれぞれの制御について、フローチャートを参照しながら実施例1、実施例2として説明する。なお、各フローチャートでは、第2のモードとして残像モードを採用しているが、第2のモードとしては個別残像モードを採用するようにしても良い。
【0121】
・実施例1
図6に示す本実施例では、上述した(1)の条件が適用されている。なお、同図に示す実施例では、画像形成装置100が画像形成動作を行っていない状態である待機中であるものとする。
【0122】
同図に示されているように、Bkモードの印刷ジョブすなわち画像形成ジョブが入力されこれを受信することでBkモードの印刷命令すなわち画像形成命令を受け取ると(S601)、温湿度検知手段97を用いて本体99内の温度および湿度を読んでこれらを検知し(S602)、検知された湿度が一定基準以下すなわち40%RH以下であるかの判定を行う(S603)。検知された湿度が40%以下でないときはベルト残像の懸念がないとして通常のBkモードで印刷すなわち画像形成を行い(S604)、検知された湿度が40%以下であるときは検知された温度が18℃以下であるかの判定を行う(S605)。検知された温度が18℃以下でないときはベルト残像の懸念が多少あるためBk残像モードで作像すなわち画像形成を行い(S606)、検知された温度が18℃以下であるときはベルト残像が発生し易いため残像モードで画像形成を行う(S607)。
【0123】
本実施例では、上述した(1)の条件に加えて、上述した(3)の条件を適用する場合、すなわち、画像形成装置100が待機中であるか否かの判定を行う場合の制御は、図7に示すようになる。
【0124】
すなわち、Bkモードの印刷ジョブすなわち画像形成ジョブが入力されこれを受信することでBkモードの印刷命令すなわち画像形成命令を受け取ると(S701)、画像形成装置100が待機中であるかの確認を行い(S702)、待機中でない場合すなわち画像形成動作を行っている状態である場合にはFCモードで画像形成を行っているかの確認を行う(S703)。FCモードで画像形成を行っている場合には、すでに全当接モードとなっているため、次のBkモードの画像形成ジョブにおいてそのまま全当接モードを維持し、残像モードで画像形成を行う(S704)。これによってベルト残像の発生のみならず生産性の低下が防止される。ステップS703でFCモードで画像形成を行っていないと判定した場合には、通常のBkモード、Bk残像モード、残像モードの何れかで画像形成動作中であり、すでにその画像形成動作を始めるにあたってたとえば前回の機会立ち上げ時に必要なモード判定が行われることなどにより、適切なモードで画像形成動作が行われている状態であるため、そのモードで次のBkモードの画像形成ジョブを行う(S705)。これにより、制御が効率化され、次のBkモードが速やかに開始される。ステップS702で画像形成装置100が待機中であることが確認された場合には、以下のステップS706〜ステップS711を図6に示して説明したステップS602〜ステップS607と同様にして行う。
【0125】
・実施例2
図8に示す本実施例では、上述した(1)および(2)の条件が適用されている。なお、同図に示す実施例では、画像形成装置100が画像形成動作を行っていない状態である待機中であるものとする。
【0126】
(2)の条件である駆動ローラ72、転写ベルト11、2次転写ローラ5aを含むユニットの抵抗であるこれらの合成抵抗は、すでに述べたように体積抵抗を示しているが、体積抵抗は温湿度に依存する特性を有するため、(2)の条件を(1)の条件と組み合わせて用いることで、本実施例は、ベルト残像の解消の必要性をより厳密に判断するものとなっている。
【0127】
同図に示されているように、Bkモードの印刷ジョブすなわち画像形成ジョブが入力されこれを受信することでBkモードの印刷命令すなわち画像形成命令を受け取ると(S801)、温湿度検知手段97を用いて本体99内の温度および湿度を読んでこれらを検知し(S802)、検知された湿度が一定基準以下すなわち54%RH以下であるかの判定を行う(S803)。検知された湿度が40%以下でないときはベルト残像の懸念がないとして通常のBkモードで印刷すなわち画像形成を行い(S804)、検知された湿度が54%以下であるときは、ユニット抵抗検知手段として機能する制御手段96により、図5を参照して上述した方法によりユニット抵抗を検知する(S805)。次いで、検知されたユニット抵抗が一定基準以上すなわち50MΩ以上であるか否かの判定を行う(S806)。検知されたユニット抵抗が50MΩ以上であるときはベルト残像が発生し易いため残像モードで画像形成を行い(S807)、検知されたユニット抵抗が50MΩ以上でないときはステップS802で検知された温度が18℃以下であるかの判定を行う(S808)。検知された温度が18℃以下であるときはベルト残像の懸念が多少あるためBk残像モードで作像すなわち画像形成を行い(S809)、検知された温度が18℃以下でないときはベルト残像の懸念がないとして通常のBkモードで画像形成を行う(S810)。
【0128】
本実施例では、上述した(1)および(2)の条件に加えて、上述した(3)の条件を適用する場合、すなわち、画像形成装置100が待機中であるか否かの判定を行う場合の制御は、図9に示すようになる。
【0129】
すなわち、同図に示されているように、ステップS901〜ステップS905を図7に示して説明したステップS701〜ステップS705と同様にして上述した(3)に関する条件の判定を行って適切なモードで画像形成を行い、ステップS906〜ステップS914を図8に示して説明したステップS802〜ステップS810と同様にして上述した(1)および(2)に関する条件の判定を行って適切なモードで画像形成を行う。
【0130】
以上述べた実施例1、実施例2、並びに、第2のモードを個別残像モードで行った実施例3の、ベルト残像に関する評価結果を、上述した(1)ないし(3)の条件の何れをも適用していない従来例のベルト残像に関する評価結果とともに表3に示す。この評価は、各実施例および比較例につき、温度10℃、湿度15%RHの環境と、温度23℃、湿度54%RHの環境とで行ったものであって、各環境について、図10に示すチャート(a)ないし(b)のそれぞれを用いて画像形成を行うことで実施したものである。
【0131】
【表3】

【0132】
同表から、実施例1ないし3の何れにおいても、Bkモードでの画像形成時にベルト残像が改善されたことが分かる。
【0133】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0134】
たとえば、上述の形態では、中間転写体の移動方向において2次転写部よりも下流側で最上流に位置する画像形成部である画像形成ユニット60Yと異なる下流側画像形成部を、画像形成ユニット60M、60C、60BKのうちの画像形成ユニット60BKとしたが、かかる下流側画像形成部は、かかる最上流に位置する画像形成部である画像形成ユニット60Yでなければ、画像形成ユニット60BKでなく画像形成ユニット60M、60Cの何れかであっても良い。下流側画像形成部が画像形成ユニット60BKである場合であっても、均一化転写バイアスを印加する画像形成ユニットは、下流側画像形成部よりも中間転写体の移動方向において上流側に位置する上流側画像形成部であれば、たとえばレイアウトに応じて選択されるものであり、たとえば個別当接モードにおいて画像形成ユニット60Y、60M、60Cのうちの何れか2つあるいは画像形成ユニット60Y、60Mのうちの何れか1つであっても良く、このようにしても同様の効果が得られる。
【0135】
中間転写体はベルト状に限らず、ドラム状等の田の計上であっても良い。
2次転写部において画像を転写する他の媒体は記録媒体に限られず、第2の中間転写体等であっても良い。
中間転写体に対しその移動方向沿って配設される画像形成部の数は、複数であれば、上述の形態のように4つに限られるものではなく、また各画像形成部で形成する画像の色も、上述の形態の組み合わせに限られるものではない。
本発明の適用は、中間転写体が高抵抗の場合に限られるものではない。せい
【0136】
このような画像形成装置に用いる現像剤は、二成分現像剤に限らず、一成分現像剤であっても良い。
画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機でなく、これらの単体であっても良いし、中間転写体残像が生じる構成であれば印刷装置であっても良いし、その他、複写機とプリンタとの複合機等の他の組み合わせの複合機であっても良い。
【0137】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0138】
11 中間転写体
11、12Y、20Y ユニット
11、12M、20M ユニット
11、12C、20C ユニット
11、12BK、20BK ユニット
11、5a、72 ユニット
12Y、12M、12C 上流側画像形成部における転写手段
12Y、12M、12C、12BK 転写手段
20Y、20M、20C、20BK 像担持体
57 2次転写部
60BK 下流側画像形成部
60Y 最上流に位置する画像形成部
60Y、60M、60C 上流側画像形成部
60Y、60M、60C、60BK 複数の画像形成部
72 2次転写手段
96 ユニット抵抗検知手段
97 温湿度検知手段
100 画像形成装置
A1 中間転写体の移動方向
S 他の媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【特許文献1】特開2007−264152号公報
【特許文献2】特開2010−2565号公報
【特許文献3】特開2006−293198号公報
【特許文献4】特開2002−214931号公報
【特許文献5】特開2002−214939号公報
【特許文献6】特開2000−330391号公報
【特許文献7】特開2007−140121号公報
【特許文献8】特開2002−23516号公報
【特許文献9】特開2000−231286号公報
【特許文献10】特許第3785911号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成部と、
前記複数の画像形成部に対向して配置され、この複数の画像形成部において形成された画像を転写されるとともに転写された画像を2次転写部において他の媒体に2次転写される中間転写体とを有し、
前記複数の画像形成部はそれぞれ、前記中間転写体に転写される画像を担持する像担持体と、この像担持体に担持された画像を前記中間転写体に転写する転写バイアスを印加する転写手段とを有し、
前記複数の画像形成部のうち前記中間転写体の移動方向において前記2次転写部よりも下流側で最上流に位置する画像形成部と異なる下流側画像形成部において画像を形成するとき、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために、前記移動方向において前記2次転写部よりも下流側で前記下流側画像形成部よりも上流側に位置する上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加可能な画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記複数の画像形成部のうち画像を非形成の画像形成部における前記像担持体を前記中間転写体から離間させた状態とする第1のモードと、
前記複数の画像形成部のうち画像を非形成の画像形成部における前記像担持体を前記中間転写体に当接させた状態とする第2のモードとを有し、
2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加するために、第2のモードで画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
環境の温湿度を検知する温湿度検知手段を有し、
前記温湿度検知手段によって検知された温湿度を条件として、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加するために、第2のモードで画像形成を行うか否かの設定を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の画像形成装置において、
前記中間転写体とこれに当接した部材とを含むユニットの抵抗を検知するユニット抵抗検知手段を有し、
前記ユニット抵抗検知手段によって検知された前記抵抗を条件として、2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により転写バイアスを印加するために、第2のモードで画像形成を行うか否かの設定を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記ユニットは、前記中間転写体と、これに当接した前記像担持体と前記転写手段とを含み、前記ユニット抵抗検知手段は、前記転写手段を用いて前記抵抗を検知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記ユニットは、前記中間転写体と、前記2次転写部において同中間転写体に当接し同中間転写体に転写された画像を他の媒体に2次転写するために同2次転写部に2次転写バイアスを印加する2次転写手段とを含み、前記ユニット抵抗検知手段は、前記2次転写手段を用いて前記抵抗を検知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項2ないし6のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
画像形成動作中に次の画像形成ジョブが入力されたとき、現在の画像形成動作が第1のモードで行われているか否か及び/又は第2のモードで行われているかを条件として、前記次の画像形成ジョブの画像形成動作を第1のモードで行うか第2のモードで行うかの設定を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
2次転写後の前記中間転写体の電位を均一化するために前記上流側画像形成部における前記転写手段により印加する第1の転写バイアスの大きさを、前記像担持体に担持された画像を前記中間転写体に転写する第2の転写バイアスの大きさと異ならせたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記上流側画像形成部が複数あるときは第1の転写バイアスの大きさを第2の転写バイアスの大きさより小さくし、前記上流側画像形成部が単数のときは第1の転写バイアスの大きさを第2の転写バイアスの大きさより大きくすることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−189690(P2012−189690A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51616(P2011−51616)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】