説明

画像形成装置

【課題】装置本体を大型化することなく、色ずれを抑制することができる画像形成装置を得る。
【解決手段】位置合せロール32によってシート部材Pが送り出された搬送タイミング、又は上流側の像保持体16にシート部材Pが到達した到達タイミングを基準に、露光装置36による露光タイミングの補正値を算出することで、各色の像保持体16間に配置したセンサ等の検知信号を基準とする場合と比して、装置本体10Aを大型化することなく、シート部材Pの搬送方向に対する各色の色ずれを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、転写部と次の転写部との間に設けられた搬送ガイド上を通過する紙のタイミングを検知して、次の転写部における露光タイミングを調整する画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−84540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、装置本体を大型化することなく、色ずれを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、列状に並べられ、表面に夫々異なる色のトナー画像が保持される複数個の像保持体と、帯電した前記像保持体の表面を各色の画像データに基づいて露光し、前記像保持体の表面に各色の静電潜像を形成する露光装置と、夫々の前記像保持体の表面に形成された静電潜像を各色のトナー画像として現像する現像装置と、夫々の前記像保持体に対向して設けられ、転写電圧が印加されることで夫々の前記像保持体に形成されたトナー画像を、前記像保持体との間で直接挟んで搬送される記録媒体に転写する複数個の転写部材と、記録媒体の搬送方向において最も上流側に配置された前記像保持体に対して、記録媒体の搬送方向の上流側に配置され、前記像保持体に向けて記録媒体を送り出す送出部材と、一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記送出部材から記録媒体が送り出されてから又は一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記像保持体に記録媒体が到達してから、一の前記像保持体に記録媒体が到達するまでの実際の経過時間である実測値と、一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記送出部材から記録媒体が送り出されてから又は一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記像保持体に記録媒体が到達してから、一の前記像保持体に記録媒体が到達するまでの理論時間である理論値とから、一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の下流側に配置された前記像保持体の表面に前記露光装置が露光する露光タイミングの補正値を算出する算出部と、前記算出部によって算出された補正値に基づいて前記露光装置による露光タイミングを制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載において、前記実測値は、一の前記像保持体に記録媒体が到達する到達タイミングと、一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記搬送部材から記録媒体が搬送される搬送タイミング、又は一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記像保持体に記録媒体が到達した到達タイミングと、に基づいて算出されることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載において、黒色のトナー画像が表面に形成される前記像保持体は、他の色のトナー画像が表面に形成される前記像保持体に対して、記録媒体の搬送方向の上流側に配置されることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載において、マゼンタ色及びシアン色のトナー画像が表面に形成される前記像保持体は、黒色及び黄色のトナー画像が表面に形成される前記像保持体に対して、記録媒体の搬送方向の下流側に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1の画像形成装置によれば、露光タイミングについての補正値の算出を、送出部材が記録媒体を像保持体に向けて送り出すタイミング、又は上流側に配置された像保持体に記録媒体が到達したタイミングを基準としない場合と比して、装置本体を大型化することなく、色ずれを抑制することができる。
【0010】
本発明の請求項2の画像形成装置によれば、実測値の取得について、像保持体に記録媒体が到達した到達タイミングと、上流側に設けられた像保持体に記録媒体が到達した到達タイミングとを用いない場合と比して、簡易な方法でトナー画像が転写される実測値を取得することができる。
【0011】
本発明の請求項3の画像形成装置によれば、黒色のトナー画像が最後に記録媒体に転写される場合と比して、色ずれを目立たなくすることができる。
【0012】
本発明の請求項4の画像形成装置によれば、マゼンタ色及びシアン色のトナー画像が黒色及び黄色のトナー画像より先に記録媒体に転写される場合と比して、色ずれを目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の露光装置に用いられる制御フロー図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いられた転写ロールの転写電圧の変動をグラフで示した図面である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いられた転写ロールの転写電圧の変動をグラフで示した図面である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置のプロセスカートリッジを示した図面である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置のプロセスカートリッジ等を示した図面である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を図1〜図6に従って説明する。なお、図中の矢印UPは、鉛直方向上方を示す。
【0015】
(全体構成)
図6に示されるように、画像形成装置10には、4つの色(本実施形態では、ブラック(黒色)、イエロー(黄色)、マゼンタ、シアン)のプロセスカートリッジ14が水平方向に並んで設けられている。
【0016】
なお、以下の説明では、各色を区別する場合には符号に各色に対応する文字(K、Y、M、C)を付加し、特に区別しない場合には各色に対応する文字を省略する。
【0017】
図4に示されるように、プロセスカートリッジ14は、像保持体16を有する感光体カートリッジ62と、現像装置の一例としての現像器64とを含んで構成されている。
【0018】
感光体カートリッジ62は、静電潜像が形成される像保持体16と、像保持体16の周囲に配設されたクリーニング装置22、帯電ロール18、イレーズランプ24、及びクリーニング装置22と、クリーニング装置22の横方向に配設されたサブトナー補給ユニット66とを含んで構成されている。
【0019】
また、サブトナー補給ユニット66には、像保持体16の軸方向に直交する方向に延びる一対の支持突起78が設けられている。この支持突起78を画像形成装置10のカートリッジ受部(図示省略)に挿通させることで、画像形成装置10にプロセスカートリッジ14が位置決めされるようになっている。
【0020】
現像器64は、像保持体16に形成された静電潜像に回転しながら現像剤に含まれるトナーを供給してトナー画像として可視化する現像ロール86と、現像ロール86にトナーを搬送する複数個の搬送オーガ88と、補給用トナーが収容されるトナー収容室80とを備えている。
【0021】
さらに、図6に示されるように、画像形成装置10の下部には、シート部材Pが積載された給紙部26が設けられている。また、給紙部26に積載された最上位のシート部材Pと接するように、シート部材Pを決められたタイミングで送り出す送出ロール28が設けられている。そして、この送出ロール28によって給紙部26から送り出されたシート部材Pは、搬送ロール30及び送出部材の一例としての位置合せロール32を介してシート部材Pの搬送経路42へ送り出されるようになっている。また、この位置合せロール32は、シート部材Pを一旦停止させて、像保持体16と後述する転写ロール34との対向部で構成される転写部68(図5参照)へシート部材Pを搬送する搬送タイミングを合わせるようになっている。
【0022】
一方、水平方向に並べられたプロセスカートリッジ14(図4参照)は、搬送経路42に対してシート部材Pの搬送方向の上流側(以下単に上流側と言う)からブラック色、イエロー色、マゼンタ色、シアン色(K、Y、M、C)の順に配設されている。そして、プロセスカートリッジ14の上方には、プロセスカートリッジ14に設けられた像保持体16に走査光を照射して像保持体16の表面を露光する露光装置36が配設されている。
【0023】
この露光装置36は、筐体38内に半導体レーザ(図示省略)、ポリゴンミラー40、結像レンズ44、及びミラー46を備えており、半導体レーザからの光はポリゴンミラー40で偏向走査され、結像レンズ44とミラー46を介して像保持体16に照射される。これにより、像保持体16に、画像情報に応じた静電潜像が形成されるようになっている。また、露光装置36が像保持体16を露光する露光タイミングを制御する制御部70が設けられている。なお、制御部70については、詳細を後述する。
【0024】
また、像保持体16に対して搬送経路42を挟んで対向する位置には、各色の像保持体16に形成されたトナー画像を搬送されるシート部材Pに転写する転写部材の一例としての転写ロール34が設けられている。この転写ロール34には、転写電圧が印加されるようになっており、前述した像保持体16との間に転写電流を流すことで像保持体16に形成されたトナー画像が、ベルトを用いることなく転写ロール34と像保持体16との間に直接挟まれて搬送されるシート部材Pに転写されるようになっている。
【0025】
さらに、各転写ロール34間等の搬送経路42沿いには、搬送されるシート部材Pを搬送経路42に沿って導く板状のガイド部材52が設けられている。
【0026】
また、プロセスカートリッジ14に対して、シート部材Pの搬送方向の下流側(以下単に下流側と言う)には、シート部材Pに形成されたトナー画像をシート部材Pに熱と圧力で定着させる定着装置56が設けられている。
【0027】
さらに、定着装置56の下流側には、定着装置56によってトナー画像が定着されたシート部材Pを、搬送する複数個の搬送ロール48と、装置本体10Aの上部に設けられた排出部60にトナー画像が定着されたシート部材Pを排出する排出ロール58とが設けられている。
【0028】
上記構成による画像形成装置10では、次のようにしてシート部材Pに画像が形成される。
【0029】
図4に示されるように、先ず、電圧が印加された帯電ロール18は、像保持体16の表面を予定の帯電部電位で一様にマイナス帯電する。
【0030】
帯電された像保持体16上の画像部分が予定の露光部電位になるように、露光装置36(図36参照)が露光を行ない像保持体16上に静電潜像が形成される。
【0031】
すなわち、制御部70が露光タイミングを制御して、図示しない供給装置から供給される画像データに基づき、半導体レーザ(図示省略)をオン・オフして変調することによって各色の画像に対応した潜像が像保持体16上に形成される。
【0032】
さらに、現像器64に設けられた現像ロール86により、現像剤に含まれるトナーが像保持体16に形成された静電潜像に搬送され、静電潜像はトナー画像として可視化される。
【0033】
そこで、図6に示されるように、給紙部26に積載せられたシート部材Pが送出ロール28によって、搬送経路42に送りだされる。さらに、搬送ロール30及び位置合せロール32によって決められたタイミングで転写部68(図5参照)にシート部材Pが搬送される。そして、像保持体16上に形成されたトナー画像が、転写ロール34によってシート部材Pに転写される。このシート部材Pに転写されたトナー画像は定着装置56でシート部材Pに定着され、トナー画像が定着されたシート部材Pは、排出ロール58によって排出部60へ排出される。
【0034】
(要部構成)
次に、制御部70等について説明する。
【0035】
図5、図6に示されるように、転写電圧が印加される各色の転写ロール34は、定電流制御とされている。さらに、各色の転写ロール34には、各色の転写電圧を検知するセンサ72が設けられている。なお、定電流制御とは、出力電流値を目標の電流値と一致させようとする制御を言う。
【0036】
また、搬送タイミングを合わせる位置合せロール32には、位置合せロール32を駆動させるモータ74が設けられている。
【0037】
さらに、位置合せロール32によってシート部材Pが送り出されてから転写ロール34Kと像保持体16Kの挟持部に到達するまでの実際の経過時間である実測値と、転写ロール34Kと像保持体16Kとの挟持部にシート部材Pが到達するまでの理論時間である理論値とを比較する算出部76が設けられている。そして、この算出部76は、実測値と理論値とから、像保持体16Kの下流側に配置された像保持体16Yの表面に露光装置36が露光する露光タイミングに対する補正値を算出するようになっている。
【0038】
また、算出部76は、像保持体16Y、16Mに対して上流側に配置された像保持体16K、16Yにシート部材Pが到達してから像保持体16Y、16Mにシート部材Pが到達するまでの実際の経過時間である実測値と、像保持体16Y、16Mにシート部材Pが到達するまでの理論時間である理論値とを比較する。そして、算出部76は、像保持体16Y、16Mの下流側に配置された像保持体16M、16Cの表面に露光装置36が露光する露光タイミングに対する補正値を算出するようになっている。
【0039】
そして、前述した制御部70は、算出部76によって算出された補正値に基づいて露光装置36による露光タイミングを制御するようになっている。
【0040】
なお、具体的な制御部70の制御については、後述する作用と伴に説明する。
【0041】
(作用)
次に、制御部70の作用等について、図1に示すフロー図に基づいて説明する。
【0042】
図1に示されるように、ステップ100で、画像形成装置10が画像形成についての指示を受けてスタートし、ステップ200へ移行する。
【0043】
図1、図5、図6に示されるように、ステップ200では、シート部材Pを転写部68Kへ搬送する搬送タイミングを合わせるようにモータ74が、位置合せロール32を駆動させ、位置合せロール32が回転駆動(スタート)する。位置合せロール32が駆動(スタート)したか否かを判断し、駆動した場合にはステップ300に移行する。
【0044】
ステップ300では、位置合せロール32から送り出されたシート部材Pが転写部68Kに到達するまでの理論時間である区間理論値に基づいて、露光装置36が黒色の像保持体16Kの表面を露光し、ステップ400に移行する。
【0045】
ステップ400では、センサ72Kが、転写ロール34Kの転写電圧(転写バイアス)の変動を検知することで、算出部76がシート部材Pの先端が転写部68Kに突入した突入タイミングを判断し、ステップ500に移行する。
【0046】
詳細には、図2に記載のグラフの縦軸には、センサ72Kが検知した転写電圧〔V〕が記載され、図2の横軸には、位置合せロール32によってシート部材Pが送り出された時(位置合せロール32が駆動した時)を0とした時間〔s〕が記載されている。
【0047】
また、シート部材Pが、転写部68Kで像保持体16Kと転写ロール34K(図5参照)との間に挟まれることで転写電圧が急激に高くなる時間(シート部材Pが像保持体16Kに到達した到達タイミング)に、算出部76がシート部材Pの先端が像保持体16に到達した到達タイミングを認識する。
【0048】
すなわち、位置合せロール32によってシート部材Pが送り出された時(搬送タイミング)から、シート部材Pの先端が像保持体16Kに到達した到達タイミングまでに経過した時間Gが、区間実測値である。例えば、プロセス速度が100mm/secの場合、1msecの間隔でモニターすれば、0.1mm(100μm)のシート部材Pの速度ずれを検知することができる。
【0049】
このように、黒色の転写ロール34Kの転写バイアスの変動から、算出部76が、シート部材Pが像保持体16Kに到達する区間実測値を認識して、ステップ500へ移行する。
【0050】
ステップ500では、先ず、算出部76が、区間実測値である時間Gと、像保持体16Kにシート部材Pが到達するまでの到達理論時間である区間理論値の時間Hとから、像保持体16Kの下流側に配置された像保持体16Yの表面に露光装置36が露光する露光タイミングに対する補正値を算出する。例えば、区間実測値が、区間理論値より、X〔s〕遅い場合には、露光タイミングをX〔s〕遅らせるように補正値が算出される。そして、ステップ600に移行する。
【0051】
なお、区間理論値とは、シート部材Pが位置合せロール32から送り出されてから(搬送タイミング)又は上流側に配置された像保持体16にシート部材Pが到達してから(到達タイミング)、像保持体16にシート部材Pが到達するまでに費やされる理論的な時間H〔s〕である。
【0052】
ステップ600では、ステップ500で算出部76により算出された補正値に基づいて露光装置36が像保持体16Yの表面を露光し、ステップ700に移行する。
【0053】
ステップ700では、センサ72Yが転写ロール34Yの転写電圧(転写バイアス)の変動を検知することで、算出部76がシート部材Pの先端が像保持体16Yに到達した到達タイミングを判断する。
【0054】
詳細には、図3に記載のグラフの縦軸には、センサ72Yが検知した転写電圧〔V〕が記載され、図3の横軸には、像保持体16Yに対して上流側に配置された像保持体16K到達(突入)タイミング(前述したG)を0とした時間〔s〕が記載されている。
【0055】
また、シート部材Pが、転写部68Yで像保持体16Yと転写ロール34Y(図5参照)との間に挟まれることで転写電圧が急激に高くなる時間K〔s〕に、算出部76がシート部材Pの先端が転写部68Yに到達した到達タイミングを認識する。
【0056】
すなわち、像保持体16Yの上流側に配置された像保持体16Kにシート部材Pが到達してから、黄色のトナー画像が表面に形成される像保持体16Yにシート部材Pが到達するまでに経過した時間である実測値は、時間K〔s〕である。
【0057】
このように、黄色の転写ロール34Yの転写バイアスの変動から、算出部76が、シート部材Pが像保持体16Yに到達する区間実測値を認識して、ステップ800へ移行する。
【0058】
ステップ800では、算出部76が、実測値である時間Kと、到達までの理論時間である理論値の時間Hとから像保持体16Mの表面に露光装置36が露光する露光タイミングに対する補正値を算出する。そして、ステップ900に移行する。
【0059】
ステップ900では、ステップ800で算出部76により算出された補正値に基づいて露光装置36が像保持体16Mの表面を露光し、ステップ1000に移行する。
【0060】
ステップ1000では、センサ72Mが転写ロール34Mの転写電圧(転写バイアス)の変動を検知することで、算出部76が到達タイミングを判断する。
【0061】
詳細には、ステップ700と同様に、算出部76が、像保持体16Mに対して上流側に配置された像保持体16Yにシート部材Pが到達してから、像保持体16Mにシート部材Pが到達するまでに経過した時間Lである実測値を認識して、ステップ1100へ移行する。
【0062】
ステップ1100では、算出部76が、実測値である時間Lと、到達までの理論時間である理論値の時間Hとから像保持体16Cの表面に露光装置36が露光する露光タイミングに対する補正値を算出する。そして、ステップ1200に移行する。
【0063】
ステップ1200では、ステップ1100で算出部76により算出された補正値に基づいて露光装置36がシアン色の像保持体16Cの表面を露光する。補正値に基づいて露光装置36が像保持体16Cの表面を露光した場合には、ステップ1300に移行して終了する。
【0064】
以上説明したように、位置合せロール32によってシート部材Pが送り出されたタイミング(搬送タイミング)、又は上流側の像保持体16にシート部材Pが到達したタイミング(到達タイミング)を基準に、露光装置36による露光タイミングの補正値を算出することで、各色の像保持体間にセンサを配置してこのセンサの検知信号を基準に補正値を算出する場合と比して、装置本体10Aを大型化することなく、シート部材Pの搬送方向に対する各色の色ずれが抑制される。
【0065】
また、色重ね不要な黒色のトナー画像が最初にシート部材Pに転写されている。つまり、算出部76により算出された補正値に基づいて露光装置36が像保持体16の表面を露光するのではない最初の露光を色重ね不要な黒色のトナー画像を形成するために用いることで、色ずれを目立たなくすることができる。
【0066】
また、色重ね不要な黒色及び色ずれが目立たない黄色のトナー画像が転写された後に、色ずれが目立つマゼンタ色及びシアン色のトナー画像がシート部材Pに転写されている。つまり、色ずれが目立つマゼンタ色及びシアン色のトナー画像を形成するために用いる静電潜像が、算出部76により算出された補正値に基づいて形成されるため、色ずれを目立たなくすることができる。
【0067】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、定電流制御される転写ロール34の転写電圧の変動を検知することで、シート部材Pにトナー画像を転写し始める(シート部材Pの先端が転写部68に突入する)タイミングを認識したが、特に定電流制御に限定されず、例えば、定電圧制御される転写ロールの転写電流の変動を検知することでシート部材Pにトナー画像を転写し始めるタイミングを認識してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、Y、M、C色の像保持体16にシート部材Pが到達した実測値については、上流側に配置される像保持体16にシート部材Pが到達したタイミングを基準に算出したが、例えば、全ての実測値の算出について、位置合せロール等の送出手段から送り出される搬送タイミングを基準に算出してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では特に言及しなかったが、下流側のタイミングは、上流側の複数の実測値を平均化するなどの補正を加えても良い。この場合には、測定誤差が吸収される。
【符号の説明】
【0070】
10 画像形成装置
16 像保持体
32 位置合せロール(送出部材の一例)
34 転写ロール(転写部材の一例)
36 露光装置
64 現像器(現像装置の一例)
70 制御部
76 算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列状に並べられ、表面に夫々異なる色のトナー画像が保持される複数個の像保持体と、
帯電した前記像保持体の表面を各色の画像データに基づいて露光し、前記像保持体の表面に各色の静電潜像を形成する露光装置と、
夫々の前記像保持体の表面に形成された静電潜像を各色のトナー画像として現像する現像装置と、
夫々の前記像保持体に対向して設けられ、転写電圧が印加されることで夫々の前記像保持体に形成されたトナー画像を、前記像保持体との間で直接挟んで搬送される記録媒体に転写する複数個の転写部材と、
記録媒体の搬送方向において最も上流側に配置された前記像保持体に対して、記録媒体の搬送方向の上流側に配置され、前記像保持体に向けて記録媒体を送り出す送出部材と、
一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記送出部材から記録媒体が送り出されてから又は一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記像保持体に記録媒体が到達してから、一の前記像保持体に記録媒体が到達するまでの実際の経過時間である実測値と、一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記送出部材から記録媒体が送り出されてから又は一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記像保持体に記録媒体が到達してから、一の前記像保持体に記録媒体が到達するまでの理論時間である理論値とから、一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の下流側に配置された前記像保持体の表面に前記露光装置が露光する露光タイミングの補正値を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された補正値に基づいて前記露光装置による露光タイミングを制御する制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記実測値は、
一の前記像保持体に記録媒体が到達する到達タイミングと、
一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記搬送部材から記録媒体が搬送される搬送タイミング、又は一の前記像保持体に対して記録媒体の搬送方向の上流側に配置された前記像保持体に記録媒体が到達した到達タイミングと、に基づいて算出される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
黒色のトナー画像が表面に形成される前記像保持体は、他の色のトナー画像が表面に形成される前記像保持体に対して、記録媒体の搬送方向の上流側に配置される請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
マゼンタ色及びシアン色のトナー画像が表面に形成される前記像保持体は、黒色及び黄色のトナー画像が表面に形成される前記像保持体に対して、記録媒体の搬送方向の下流側に配置される請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−203365(P2012−203365A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70890(P2011−70890)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】