説明

画像形成装置

【課題】 ジャムアクセスカバーの開き動作に伴って手差しトレイも開く構成において、ジャムアクセスカバーを閉じた後に手差しトレイを閉じる作業を不要とする手段を提供する。
【解決手段】 本発明に係る画像形成装置20は、装置外側に向かって開閉可能に設けられた内部アクセスカバー22と、内部アクセスカバー22より外側位置を装置外側に向かって開閉可能に、且つ、閉止位置で少なくとも一部が内部アクセスカバー22の回動範囲内に位置するように設けられた手差しトレイ23と、手差しトレイ23から突出して設けられた保持用ピン29と、内部アクセスカバー22に設けられ、内部アクセスカバー22が閉止位置にある状態で保持用ピン29が嵌合する閉止位置嵌合部37、及び内部アクセスカバー22が回動する範囲内に渡って保持用ピン29が嵌合する回動範囲嵌合部38を具備したピン嵌合溝36とを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に開閉可能に設けられた内部アクセスカバーを装置外側へ開くと、これに押圧されることにより、同じく装置本体に開閉可能に設けられた手差しトレイが装置外側へ開くよう構成された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、コピー機、ファクシミリ等として構成され、記録紙に画像を形成する画像形成装置では、内部で紙詰まり等が発生した時に詰まった記録紙を除去できるよう、その装置本体にジャムアクセスカバーを開閉可能に設けてユーザが装置内部にアクセスできるようにしている。また、画像形成装置では、定型サイズの記録紙を格納しておくための給紙カセットとは別に、定型サイズ以外の大きさの記録紙或いは所望の少数枚の記録紙でも供給できるよう、手差しトレイが装置本体の外側に設けられる。この手差しトレイは、省スペースの観点から開閉可能に設けられるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、従来例に係る画像形成装置70を示す概略正面図である。画像形成装置70を構成する装置本体71の右側面には、ジャムアクセスカバー72が第1ヒンジ73を介して開閉可能に設けられている。一方、装置本体71の同じく右側面であってジャムアクセスカバー72の外側には、手差しトレイ74が第2ヒンジ75を介して開閉可能に設けられている。ここで、第2ヒンジ75は、手差しトレイ74を開放位置である倒伏状態と閉止位置である起立状態でそれぞれ保持するためのロック機構(不図示)を備えている。これにより、手差しトレイ74を使用する時には開放位置で保持してその上に記録紙を載置し、手差しトレイ74を使用しない時には閉止位置で保持して周囲にスペースを確保できるようになっている。
【0004】
他方、図8は、従来例に係る他の画像形成装置80の一側面を示す概略斜視図である。この画像形成装置80も、前記画像形成装置70と同様に、装置本体81の側面にジャムアクセスカバー82が第1ヒンジ83を介して開閉可能に設けられるとともに、手差しトレイ84が第2ヒンジ85を介して開閉可能に設けられている。しかし、この画像形成装置80では、手差しトレイ84を閉止位置で保持する機構が前記画像形成装置70とは異なっている。すなわち、手差しトレイ84の回動先端側には、その左右両側面からそれぞれ突出して、一対の保持用ピン86が設けられている。一方、ジャムアクセスカバー82には、この保持用ピン86に対応して、左右一対のピン嵌合溝87がそれぞれ水平方向に延びるように形成されている。このような構成により、手差しトレイ84を開放位置から第2ヒンジ85廻りに回動させながら閉じていくと、各保持用ピン86が各ピン嵌合溝87にそれぞれ嵌合することにより、手差しトレイ84は閉止位置である起立状態で保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−182889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の画像形成装置70及び画像形成装置80では、ジャムアクセスカバー72,82の開き動作に伴って、手差しトレイ74,84までもが意図せずに開くという問題がある。より詳細に説明すると、まず画像形成装置70では、図7に示すようにジャムアクセスカバー72と手差しトレイ74の双方が閉止位置にある状態から、ジャムアクセスカバー72を第1ヒンジ73廻りに回動させて開いていくと、ジャムアクセスカバー72が手差しトレイ74に接触して押圧することにより、手差しトレイ74は前記ロック機構によるロックが解除されて第2ヒンジ75廻りに回動を開始する。そして、図9Aに示すように、手差しトレイ74はジャムアクセスカバー72が開放位置に達するまでこれに伴って回動して開いた状態となる。その後、装置内部に詰まった記録紙を除去する等の作業を行った後にジャムアクセスカバー82を閉じると、図9Bに示すように手差しトレイ84だけが開いた状態のままとなる。従って、ユーザが手差しトレイ84を閉じる作業が必要になって煩わしい上に、手差しトレイ84を閉じ忘れるという問題も生じる。
【0007】
また、画像形成装置80では、図8に詳細は示さないが、ジャムアクセスカバー82と手差しトレイ84の双方が閉止位置にある状態から、ジャムアクセスカバー82を第1ヒンジ83廻りに回動させて開いていくと、ジャムアクセスカバー82が手差しトレイ84に接触して押圧することにより、手差しトレイ84は第2ヒンジ85廻りに回動を開始する。そして、手差しトレイ84の保持用ピン86がジャムアクセスカバー82のピン嵌合溝87から脱落すると、手差しトレイ84は自重によって閉止位置まで回動して開いた状態となる。従って、この画像形成装置80でも、前記画像形成装置70と同様に、ジャムアクセスカバー82を閉じた後に、開いた状態のまま残った手差しトレイ84をユーザが閉じる必要がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ジャムアクセスカバーの開き動作に伴って手差しトレイも開く構成において、ジャムアクセスカバーを閉じた後に手差しトレイを閉じる作業を不要とする手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、第1ヒンジを介して装置本体に回動可能に取り付けられることで装置外側に向かって開閉可能に設けられ、装置内部を露呈させるための内部アクセスカバーと、第2ヒンジを介して装置本体に回動可能に取り付けられることで前記内部アクセスカバーより外側位置を装置外側に向かって開閉可能に、且つ、閉止位置で少なくとも一部が前記内部アクセスカバーの回動範囲内に位置するように設けられ、装置内部に手差しで供給する記録紙を載置するための手差しトレイと、該手差しトレイから突出して設けられた保持用ピンと、前記内部アクセスカバーに設けられ、前記内部アクセスカバーが閉止位置にある状態で前記保持用ピンが嵌合する閉止位置嵌合部、及び前記内部アクセスカバーが回動する範囲内に渡って前記保持用ピンが嵌合する回動範囲嵌合部を具備したピン嵌合溝と、を備えるものである。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記ピン嵌合溝の回動範囲嵌合部が、直線形状に設けられたものである。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記閉止位置嵌合部及び前記回動範囲嵌合部が、ピン嵌合溝として構成され、前記保持用ピンを前記ピン嵌合溝から脱落させるために前記保持用ピンを案内する案内溝を更に備え、前記保持用ピンが前記案内溝を通って前記ピン嵌合溝から脱落することによって、前記手差しトレイが前記内部アクセスカバーから分離されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、内部アクセスカバーが閉止位置にある状態では保持用ピンが閉止位置嵌合部に嵌合し、内部アクセスカバーが回動する範囲内に渡って保持用ピンが回動範囲嵌合部に嵌合する。従って、内部アクセスカバーを開閉しても保持用ピンがピン嵌合溝に嵌合したままであってピン嵌合溝から脱落しないので、手差しトレイは内部アクセスカバーに密着したままこれに伴って回動し、両者が離間することがない。これにより、開いた状態のジャムアクセスカバーを閉じると、これに伴って開いた状態の手差しトレイも閉止位置へと戻るため、内部アクセスカバーを閉じた後に手差しトレイを閉じるという煩雑な作業が不要になるとともに、手差しトレイを閉じ忘れることもない。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置によれば、ピン嵌合溝の回動範囲嵌合部が直線形状に設けられるので、簡易な工程で内部アクセスカバーにピン嵌合溝を形成することができる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置によれば、保持用ピンが案内溝を通ってピン嵌合溝から脱落することにより、手差しトレイを内部アクセスカバーから分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施例に係る画像形成装置1を示す概略正面図。
【図2】ジャムアクセスカバー4と手差しトレイ5の開閉動作を順を追って示す図であって、画像形成装置1を正面側から見た図。
【図3】ジャムアクセスカバー4と手差しトレイ5の開閉動作を順を追って示す図であって、画像形成装置1を正面側から見た図。
【図4】本発明の第2実施例に係る画像形成装置20の一側面を示す概略斜視図。
【図5】図4のダイヤル収容部34の周辺を拡大した部分拡大斜視図。
【図6】手差しトレイ23の保持用ピン29とジャムアクセスカバー22のピン嵌合溝36の位置関係を説明するための模式図。
【図7】従来例に係る画像形成装置70を示す概略正面図。
【図8】従来例に係る他の画像形成装置80の一側面を示す概略斜視図。
【図9】従来例に係る画像形成装置70におけるジャムアクセスカバー72と手差しトレイ74の開閉動作を順を追って示す図であって、画像形成装置70を正面側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の第1実施例に係る画像形成装置の構成について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施例に係る画像形成装置1を示す概略正面図である。本画像形成装置1は、原稿の複写機能、ファクシミリ通信機能、インターネット通信機能等を備えるコピーファクシミリ複合機であって、原稿から読み取った画像データ或いはファクシミリ受信した画像データに基づいて記録紙に画像を形成する画像形成部(不図示)を装置本体2の内部に収容している。そして、この画像形成部に供給すべき定型サイズの記録紙を格納しておくための給紙カセット3が、装置本体2の前面下部に引き出し可能に設けられている。一方、図1に示すように、装置本体2の側面には、ジャムアクセスカバー(内部アクセスカバー)4と手差しトレイ5が、それぞれ開閉可能に設けられている。
【0017】
ジャムアクセスカバー4は、装置本体2の内部を露呈させてユーザがアクセスできるようにするためのものである。このジャムアクセスカバー4は、図1から図3に示すように、樹脂等からなるカバー本体6の内側に前記画像形成部を構成する部材の一部が取り付けられてなるものであって、その一端部が第1ヒンジ7を介して装置本体2に取り付けられることにより、第1ヒンジ7を支点として回動可能となっている。また、図2と図3に示すように、ジャムアクセスカバー4には、その内側面から突出して鉤状のフック部材8が設けられ、このフック部材8が装置本体2の所定箇所に嵌合することにより、ジャムアクセスカバー4が閉止位置である起立状態で保持されるものとなっている。更に、図に詳細は示さないが、ジャムアクセスカバー4の外側面には、フック部材8と装置本体2との嵌合を解除するための嵌合解除機構が設けられるとともに、ジャムアクセスカバー4の回動範囲を規制するための規制機構が、ジャムアクセスカバー4の内側面と装置本体2を連結して設けられている。
【0018】
このような構成によれば、ジャムアクセスカバー4は、そのフック部材8が装置本体2に嵌合することによって、閉止位置である起立状態で保持されている。そして、前記画像形成部で紙詰まり等が発生した場合には、ユーザは嵌合解除機構を操作してフック部材8と装置本体2の嵌合を解除する。これにより、規制機構が許容する限界である開放位置までジャムアクセスカバー4を開くことができる。そして、ジャムアクセスカバー4を開いた状態で、ユーザは装置本体2の内部に手を差し入れて詰まった記録紙を除去した後、倒伏状態のジャムアクセスカバー4を起立させるように回動させると、そのフック部材8が装置本体2に嵌合することにより、ジャムアクセスカバー4は閉止位置で再度保持される。
【0019】
手差しトレイ5は、定型サイズ以外の大きさの記録紙或いは所望の少数枚の記録紙を前記画像形成部に供給するためのものである。この手差しトレイ5は、図1に示すように、その一端部が第2ヒンジ9を介して装置本体2に取り付けられることでジャムアクセスカバー4の外側に設けられ、第2ヒンジ9を支点として回動可能となっている。ここで、第2ヒンジ9を構成する部材のうち手差しトレイ5を回動可能に支持する回動支軸としては、いわゆるトーションバー10(付勢部材)が用いられている。このトーションバー10は、ねじられた棒が元に戻ろうとする弾性を利用したスプリングであって、手差しトレイ5を常に閉止位置方向へと付勢している。また、図1に詳細は示さないが、第2ヒンジ9には、手差しトレイ5を開放位置である倒伏状態で保持するためのロック機構と、手差しトレイ5が閉止位置である起立状態を越えて回動しないように規制する回動規制機構とが設けられている。このような構成により、手差しトレイ5は、使用されない時はトーションバー10と回動規制機構によって閉止位置で保持されている。一方、手差しトレイ5を使用する時には、ユーザがトーションバー10の付勢力に反して手差しトレイ5を開放位置まで開いてロック機構で保持し、その上に記録紙を載置する。尚、手差しトレイ5に対して閉止位置方向への付勢力を付与する方法としては、回動支軸としてトーションバー10を用いることに代えて、例えば回動支軸を付勢するコイルスプリング(不図示)を設けてもよい。
【0020】
このように構成される画像形成装置1の作用効果について説明する。図2と図3は、ジャムアクセスカバー4と手差しトレイ5の開閉動作を順を追って示す図であって、画像形成装置1を正面側から見た図である。まず、図1に示すように、ジャムアクセスカバー4と手差しトレイ5の双方が閉止位置にある状態から、ジャムアクセスカバー4を第1ヒンジ7廻りに回動させて開いていくと、図2Aに示すように、ジャムアクセスカバー4が手差しトレイ5に接触して押圧することにより、手差しトレイ5も第2ヒンジ9廻りに回動を開始する。そして、図2Bに示すように、手差しトレイ5はジャムアクセスカバー4が開放位置に達するまでこれに伴って回動して開いた状態となる。
【0021】
その後、装置内部に詰まった記録紙を除去する等の作業を行った後に、ジャムアクセスカバー4を第1ヒンジ7廻りに回動させて閉じていくと、トーションバー10の付勢力を受けた手差しトレイ5は、図3Aと図3Bに示すように、ジャムアクセスカバー4の底部に当接した状態でジャムアクセスカバー4と共に閉止位置方向へ回動する。そして、図2Aに示すように、手差しトレイ5は閉止位置まで達するとその回動が停止し、ジャムアクセスカバー4の底部から離間する。その後、ジャムアクセスカバー4を更に閉じていくと、そのフック部材8が装置本体2に嵌合することにより、図1に示すようにジャムアクセスカバー4は閉止位置で保持される。このように、開いた状態のジャムアクセスカバー4を閉じるに連れて、開いた状態の手差しトレイ5も自動的に閉止位置まで戻るので、ジャムアクセスカバー4を閉じた後に手差しトレイ5を閉じる必要がなく、また手差しトレイ5を閉じ忘れることもない。
【0022】
次に、本発明の第2実施例に係る画像形成装置1の構成について、図面に基づいて説明する。図4は、本実施例に係る画像形成装置20の一側面を示す概略斜視図である。本画像形成装置20も、第1実施例に係る画像形成装置1と同様に、コピーファクシミリ複合機であって、その装置本体21の内部に画像形成部(不図示)を収容している。また、装置本体21の側面には、ジャムアクセスカバー(内部アクセスカバー)22と手差しトレイ23が、それぞれ開閉可能に設けられている。
【0023】
手差しトレイ23は、図4に示すように、樹脂等からなり記録紙が載置されるトレイ本体24と、このトレイ本体24から引き出し可能に設けられた延長トレイ25と、トレイ本体24の上に記録紙幅方向にスライド可能に設けられて記録紙を幅方向に位置決めする左右一対の幅ガイド26と、トレイ本体24の上に回動可能に設けられてユーザが載置した記録紙のサイズを設定するサイズダイヤル27と、トレイ本体24の上にサイズダイヤル27と略同形状に形成されたダイヤル状凸部28と、トレイ本体24の左右両側面から突出して設けられた左右一対の保持用ピン29と、を備えるものである。このように構成される手差しトレイ23は、その一端部が第2ヒンジ30を介して装置本体21に取り付けられることでジャムアクセスカバー22の外側に設けられ、第2ヒンジ30を支点として回動可能となっている。また、第2ヒンジ30には、手差しトレイ23を開放位置である倒伏状態で保持するためのロック機構(不図示)が設けられている。
【0024】
ジャムアクセスカバー22は、図4に示すように、樹脂等からなるカバー本体31の内側に前記画像形成部を構成する部材の一部が取り付けられてなるものであって、その一端部が第1ヒンジ32を介して装置本体21に取り付けられることにより、第1ヒンジ32を支点として回動可能となっている。尚、ジャムアクセスカバー22のその他の構成は、第1実施例に係る画像形成装置1のジャムアクセスカバー4と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、図4に示す符号33は、画像形成部を構成する部材のうち、手差しトレイ23上の記録紙を装置内部に繰り込むための給紙ローラ33である。
【0025】
ここで、図4に示すように、ジャムアクセスカバー22のカバー本体31には、その表面の一部を凹状に形成することにより、前記手差しトレイ23のサイズダイヤル27とダイヤル状凸部28を収容するための左右一対のダイヤル収容部34が形成されている。図5は、図4のダイヤル収容部34の周辺を拡大した部分拡大斜視図である。ダイヤル収容部34の外側に隣接する側壁35には、前記手差しトレイ23の保持用ピン29を嵌合するためのピン嵌合溝36が、カバー本体31を貫通して形成されている。このピン嵌合溝36は、その溝幅が保持用ピン29の外径より若干大きく、図5で水平方向に延びる直線形状の閉止位置嵌合部37と、この閉止位置嵌合部37の一端から略90°の角度をなして鉛直上方に延びる直線形状の回動範囲嵌合部38とから構成されることにより、全体として略L字形状をなしている。また、このピン嵌合溝36の回動範囲嵌合部37と連通するようにして、保持用ピン29をピン嵌合溝36へ案内するための案内溝39が、カバー本体31の一部を凹状に形成することで設けられている。尚、本実施例ではカバー本体31を貫通してピン嵌合溝36を形成したが、カバー本体31を凹状に形成することでピン嵌合溝36を設けてもよい。
【0026】
このように構成される手差しトレイ23を使用しない場合、図4に示すように開放位置にある手差しトレイ23を第2ヒンジ30廻りに回動させて閉じていくと、トレイ本体24の上面から突出したサイズダイヤル27とダイヤル状凸部28がジャムアクセスカバー22のダイヤル収容部34にそれぞれ収容されるとともに、トレイ本体24の左右両側面から突出した保持用ピン29が、案内溝39に案内されることにより、ピン嵌合溝36を構成する閉止位置嵌合部37にそれぞれ嵌合する。これにより、手差しトレイ23は閉止位置である起立状態で保持される。尚、図4に詳細は示さないが、閉止位置で保持された手差しトレイ23は、その回動先端部が、ジャムアクセスカバー22の上部に突出して設けられた突条40に当接した状態となっている。
【0027】
一方、手差しトレイ23を使用する場合、閉止位置で保持された手差しトレイ23を第2ヒンジ30廻りに回動させて開いていくと、保持用ピン29が案内溝39を通ってピン嵌合溝36から脱落することにより、手差しトレイ23がジャムアクセスカバー22から分離する。そこから更に手差しトレイ23を回動させて図4に示す開放位置まで開き、ロック機構で保持する。そして、トレイ本体24の上に記録紙を載置し、左右の幅ガイド26を記録紙の幅に合わせるようにしてそれぞれスライドさせることで記録紙を位置決めする。その後、サイズダイヤル27を回して載置した記録紙のサイズを指定し、図示しない操作部のスタートボタンを押下すると、前記給紙ローラ33が回転して記録紙を装置内部へと順次繰り込み、画像形成部が記録紙のサイズに応じて画像形成を行う。尚、記録紙の長さがトレイ本体24の給紙方向への長さより大きい場合には、記録紙がトレイ本体24から落下しないよう、前記延長トレイ25を引き出して、記録紙のトレイ本体24からはみ出した部分を延長トレイ25で受ければよい。
【0028】
このように構成される画像形成装置20の作用効果について説明する。図6は、手差しトレイ23の保持用ピン29とジャムアクセスカバー22のピン嵌合溝36の位置関係を説明するための模式図である。まず、ジャムアクセスカバー22と手差しトレイ23の双方が閉止位置にある状態、すなわち図6においてジャムアクセスカバー22のピン嵌合溝36が位置50に、手差しトレイの保持用ピンが位置60にそれぞれある時、保持用ピン29はピン嵌合溝36を構成する閉止位置嵌合部37に嵌合している。
【0029】
この状態から、ジャムアクセスカバー22を第1ヒンジ32を支点に回動させて開いていくと、図4に示すジャムアクセスカバー22の突条40から押圧力を受けることにより、手差しトレイ23も第2ヒンジ30を支点に開放位置方向への回動を開始する。そして、図6においてピン嵌合溝36が位置51へ、保持用ピン29が位置61へそれぞれ移動した時、保持用ピン29はピン嵌合溝36の閉止位置嵌合部37から回動範囲嵌合部38へと移る。そこから更にジャムアクセスカバー22を開き、ピン嵌合溝36が位置52を経て位置53へ、保持用ピン29が位置62を経て位置63へそれぞれ移動するに従って、保持用ピン29は回動範囲嵌合部38に沿って閉止位置嵌合部37から離れるように移動していく。その後、図4に示すようにジャムアクセスカバー22が開放位置まで開かれた時、すなわち図6においてピン嵌合溝36が位置54へ、保持用ピン29が位置64へそれぞれ移動した時、保持用ピン29は回動範囲嵌合部38の端部に到達する。そして、この状態からジャムアクセスカバー22を第1ヒンジ32を支点に回動させて閉じていくと、保持用ピン29は、位置63から位置62を経て位置61へと移動するに従って、ピン嵌合溝36の内部を回動範囲嵌合部38に沿って閉止位置嵌合部37の側へ移動していく。その後、ジャムアクセスカバー22が閉止位置まで閉じられると、すなわち図6において保持用ピン29が位置60に達すると、保持用ピン29はピン嵌合溝36の回動範囲嵌合部38から閉止位置嵌合部37へと移る。
【0030】
このように、ジャムアクセスカバー22を開閉しても、保持用ピン29がピン嵌合溝36に嵌合したままであってピン嵌合溝36から脱落しないので、手差しトレイ23はジャムアクセスカバー22に密着したままこれに伴って回動し、両者が離間することがない。従って、開いたジャムアクセスカバー22を閉じる動作によって開いた手差しトレイ23も同時に閉じることができるので、ジャムアクセスカバー22を閉じた後に手差しトレイ23を閉じるという煩雑な作業が不要となるとともに、手差しトレイ23を閉じ忘れることもない。
【0031】
尚、本実施例では、嵌合部を構成する回動範囲嵌合部38を直線形状としてピン嵌合溝36の全体形状を略L字形状としたが、これは、ジャムアクセスカバー22に対する保持用ピン29の相対的な移動軌跡が直線形状を描くためである。しかし、ジャムアクセスカバー22と手差しトレイ23の大きさ、及び両者の回動支点の位置関係等によって保持用ピン29の相対的な移動軌跡がこれと異なる形状を描く場合には、これに応じて回動範囲嵌合部38の形状及びピン嵌合溝36の全体形状を適宜設計変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る画像形成装置は、コピーファクシミリ複合機に限られず、例えば複写機能のみを備えるコピー専用機、ファクシミリ通信機能のみを備えるファクシミリ専用機として構成することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1,20 画像形成装置
2,21 装置本体
4,22 ジャムアクセスカバー(内部アクセスカバー)
5,23 手差しトレイ
7,32 第1ヒンジ
9,30 第2ヒンジ
10 トーションバー(付勢部材)
29 保持用ピン
36 ピン嵌合溝
37 閉止位置嵌合部
38 回動範囲嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ヒンジを介して装置本体に回動可能に取り付けられることで装置外側に向かって開閉可能に設けられ、装置内部を露呈させるための内部アクセスカバーと、
第2ヒンジを介して装置本体に回動可能に取り付けられることで前記内部アクセスカバーより外側位置を装置外側に向かって開閉可能に、且つ、閉止位置で少なくとも一部が前記内部アクセスカバーの回動範囲内に位置するように設けられ、装置内部に手差しで供給する記録紙を載置するための手差しトレイと、
該手差しトレイから突出して設けられた保持用ピンと、
前記内部アクセスカバーに設けられ、前記内部アクセスカバーが閉止位置にある状態で前記保持用ピンが嵌合する閉止位置嵌合部、及び前記内部アクセスカバーが回動する範囲内に渡って前記保持用ピンが嵌合する回動範囲嵌合部を具備したピン嵌合溝と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ピン嵌合溝の回動範囲嵌合部が、直線形状に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記閉止位置嵌合部及び前記回動範囲嵌合部は、ピン嵌合溝として構成され、
前記保持用ピンを前記ピン嵌合溝から脱落させるために前記保持用ピンを案内する案内溝を更に備え、
前記保持用ピンが前記案内溝を通って前記ピン嵌合溝から脱落することによって、前記手差しトレイが前記内部アクセスカバーから分離されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−210823(P2012−210823A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165934(P2012−165934)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【分割の表示】特願2008−36794(P2008−36794)の分割
【原出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】