説明

画像形成装置

【課題】用紙交換時から印刷可能な状態となるまでの時間を短縮すること。
【解決手段】長尺の記録用紙をキャリッジに備えた印刷手段により印刷する画像形成装置であって、前記記録用紙のフォーミング手段と、用紙情報の設定が行えるユーザーインターフェース手段と、前記フォーミング手段の動作と前記ユーザーインターフェース手段の入力を促す手段を同時に行う制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は記録用紙にインクを吐出して印刷する画像形成装置である。印刷は、記録用紙の搬送を行いながら、搬送方向と直交する記録用紙の幅方向を移動するキャリッジに備えたインクヘッドからインクを吐出して行う。
【0003】
このインクジェット記録装置は記録用紙としてロール紙を用いるものがあり、ロール紙の交換時には、用紙情報の設定や記録用紙の搬送準備をするフォーミングを行う。具体的には、キャリッジに備えたセンサが記録用紙の印刷可能範囲をスキャンする動作、記録用紙が斜めに搬送されている等を検知するスキュー検知、又はスキューを補正のための用紙の戻し搬送と搬送である。
【0004】
このフォーミングは、通常、吸着により記録用紙を搬送路に固定した状態でキャリッジが記録用紙の幅方向を移動して行う。その際、記録用紙が搬送路から浮き上がり、キャリッジのインクヘッドと記録用紙とが接触して、インクヘッドに物理的なダメージを与えることを防止する必要がある。そのため、記録用紙は搬送路面に確実に吸着させる必要がある。
【0005】
通常、記録用紙は、吸引装置により、搬送路面に吸着される。この吸引装置は、搬送路面側に多数の微小孔を設け、吸引ファンなどにより微小孔を通して空気を吸引する。搬送された記録用紙は、吸引装置によって、搬送路面の表面に吸い付けられるが、搬送路面に強く吸着されると、記録用紙の搬送が円滑にできなくなり、用紙詰まりが発生することがある。そのため、吸引装置は、記録用紙に適した吸引力で吸引する必要がある。
【0006】
従来、ロール紙を用いるインクジェット記録装置では、ユーザーが適正な吸引力を求めるのに必要な用紙サイズ、紙種又は紙厚の情報等を予め設定し、設定後、フォーミングが開始される。そのため、ロール紙の交換開始から印刷可能な状態となるまでの時間は用紙情報を設定する操作時間とその後開始するフォーミングの動作時間の合計時間となり、場合によっては長時間を要することもあった。
【0007】
用紙情報を設定する操作時間の削減方法として、特許文献1は紙厚を含む紙種を検出する紙種検出手段を開示している。また、特許文献2は用紙の幅を検知する検知装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、用紙を積層に保持する用紙収納部、用紙を1枚ずつ分離する分離給紙手段、及び給紙命令に先立つタイミングで1枚の用紙先端部を所定量だけ給紙させて紙種検出手段により紙種を検出する画像形成装置を開示している。紙種検出手段によって用紙情報の設定時間を削減することはできるが、ロール紙などの長尺の用紙を対象としていない。また、ロール紙の交換開始から印刷可能な状態となるまで長時間を要するフォーミングについて言及されていない。
【0009】
特許文献2は、用紙を載置するプラテン上に用紙を吸引して支持する吸引装置の吸引力を制御して、プラテン上に用紙を給紙し、支持し、用紙幅方向に走査するキャリッジを走査して、検知装置で用紙の幅を検知する画像形成装置を開示している。しかし、フォーミングの動作時間について考慮されていない。また、紙種及び紙厚を検知する装置は開示していないため、用紙サイズ、紙種及び紙厚に基づく適正な吸引力を求めることができない。
【0010】
本発明は、用紙交換時から印刷可能な状態までの時間を短縮することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、長尺の記録用紙を搬送して、前記記録用紙の幅方向に移動するキャリッジに備えられた印刷手段により、前記記録用紙に印刷する画像形成手段と、前記記録用紙の交換等のために前記記録用紙をセットして、前記記録用紙が印刷可能な状態となるまで、前記記録用紙のスキューを検知する手段とスキューを補正する手段を含むフォーミング手段と、前記記録用紙の用紙情報等の設定が行えるユーザーインターフェース手段と、前記フォーミング手段の動作と前記ユーザーインターフェース手段への入力を促す確認手段の動作とを同時に行う制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長尺の用紙の用紙交換時から印刷可能な状態となるまでの時間を短縮できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態のインクジェット記録装置の概略構成図を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態のインクジェット記録装置のレイアウトの一例を示す図である。同図(A)は画像形成装置の正面図であり、(B)は要部の平面視図である。
【図3】スキューを検知する手段の動作中の二段階の搬送を説明する図である。
【図4】用紙交換時の処理手順を示す図である。
【図5】用紙情報の入力を促す画面の一例を示す図である。
【図6】スキュー検知からスキュー補正までの処理手順の一例を示す図である。
【図7】用紙情報が確定していない場合のスキューを検知する動作の一例を示す平面図である。
【図8】用紙情報が確定している場合のスキューを検知する動作の一例を示す平面図である。
【図9】印刷可能な状態となるまでの処理手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の画像形成装置について、画像形成手段としてインクジェット記録装置を用いた実施例で、発明を実施するための形態を図1乃至9を用いて詳細に説明する。なお、本発明は画像形成手段としてはインクジェット記録装置以外の、例えば、レーザー等の光源を照射しトナー等を定着させて印刷する手段、感熱方式で感熱紙等に印刷する手段等、キャリッジを用いて画像形成を行う手段であれば、いずれの手段にも適用しうる。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態の構成図の一例である。
【0016】
図1において、画像形成装置1は画像形成手段2、搬送装置3、吸引装置4、印刷情報設定手段5、フォーミング手段6、及び制御手段7を含む。
【0017】
画像形成手段2は記録媒体に画像を形成する手段である。画像形成手段2はキャリッジ21を備える。キャリッジ21が記録媒体の上で移動し、キャリッジ21に備えた画像形成手段、本実施例ではインクジェット記録装置、によりインクヘッドからインクを吐出して画像を形成する。キャリッジ21の位置はキャリッジ21が移動する経路上に設けたエンコーダ(図示しない)により検出される。例えば、キャリッジ21が移動する経路上に複数のスリットの入ったベルトを並設し、キャリッジ21の移動中にスリット数をセンサで読み取り、そのスリット数から位置を算出する。キャリッジ21の位置を検出する方法は、エンコーダ以外の構成としてもよい。
【0018】
搬送装置3は画像形成される記録媒体を搬送する装置である。ローラ又は搬送ベルトなどで構成されるものがある。搬送装置3は記録媒体を搬送する搬送路を有する。本実施例では、後述するローラの場合は、搬送路に設置されたローラの回転で、ローラに接した記録媒体を搬送する。
【0019】
吸引装置4は画像形成手段2による画像形成時に記録媒体を吸引して、固定する装置である。本実施例では後述する複数の微小な吸引口から空気を吸引し、吸引口付近の記録媒体を吸引し、固定する。
【0020】
印刷情報設定手段5は用紙情報の設定又は確認を行う手段である。印刷情報設定手段5は用紙情報等の設定が行えるユーザーインターフェース手段51、ユーザーインターフェース手段51への入力を促す確認手段52、又はその他画像形成に必要な情報の入力、出力若しくは確認を行う手段を備えている。確認手段52としては、画面表示手段53の他、音声等ユーザーが入力が必要であることを認識できるその他の手段を含む。
【0021】
フォーミング手段6は、ロール紙等長尺の記録媒体の交換時に、ロール紙等をセットした後、画像形成を開始することができる状態とする準備を行う手段である。フォーミング手段6によるフォーミングは、記録媒体が傾いた状態(斜めの状態)で搬送される等の正しく搬送されていない状態(以下、スキューという。)を検知するスキュー検知と、スキューが検知された場合に、記録媒体が正しい状態で搬送されるように記録媒体の搬送状態を修正するスキュー補正とを含む。フォーミング手段6はスキューを検知する手段61とスキューを補正する手段62を含む。
【0022】
制御手段7は画像形成装置1の各構成に動作指示し、その動作及び作用を制御する手段である。例えば、PC又はマイクロコンピュータなどで構成されるものがある。PC等はCPU、ROM及びRAMを含む。なお、制御手段7の一部の機能は、ネットワークに接続された構成としてもよい。
【0023】
記録媒体はロール状または折り畳まれた長尺の媒体であり、その媒体上に画像が形成される。媒体の種類としては、コピー機用の普通紙、上質紙、OHPシート、合成樹脂フィルム、金属薄膜等が可能となる。本実施例では長尺の媒体としてロール紙状の記録用紙38を対象としている。
【0024】
次に、画像形成装置の各構成部分を図2を用いて説明をする。
【0025】
画像形成手段2は、キャリッジ21、キャリッジセンサ22、インクヘッド23を含む。
【0026】
キャリッジ21は記録用紙38の上方に、記録用紙38とインクヘッド23とが一定の間隔を保持しつつ、搬送方向に対し直角方向(以下、用紙幅方向という。)に移動する装置である。画像形成の際は、キャリッジ21が移動し、キャリッジ21に備えたインクヘッド23から記録用紙38上の所定の位置にインクが吐出されて画像が形成される。
【0027】
キャリッジ21は、画像形成時以外は、通常、記録用紙38の幅の外側のキャリッジ待機位置24に待機している。キャリッジ待機位置24では、待機中に、インクヘッド23が乾くことなく、インクヘッド23が汚れることやインク詰まりをすることを防止し、次の画像形成時に直ちにインクが吐出されるように処理が行われる。
【0028】
キャリッジセンサ22は記録用紙38の有無を検知する検知装置である。キャリッジセンサ22はキャリッジ21に搭載され、キャリッジ21の移動とともに移動する。
【0029】
搬送装置3は、給紙トレイ30、給紙ローラ31、レジストローラ32、給紙センサ33、レジストセンサ34、及び搬送路35を含む。給紙ローラ31及びレジストローラ32はそのローラに接した記録用紙38をローラの回転で移動させる。また、給紙ローラ31はロール紙39の交換時に、ユーザーが記録用紙38の先端部をくわえ込ませるローラである。
【0030】
給紙センサ33及びレジストセンサ34は記録用紙38の有無を検知する検知装置である。給紙センサ33は給紙ローラ31に記録用紙38の先端部をくわえ込ませたときに記録用紙38を検知する。レジストセンサ34はレジスト待機位置36の記録用紙38の有無を検知する検知装置である。
【0031】
記録用紙38の先端部は、画像形成を開始する直前に、レジストセンサ34から距離p離れたレジスト待機位置36に配置されている。画像形成の開始時は、記録用紙38をレジスト待機位置36から搬送する。記録用紙38の先端部の移動量は、レジストセンサ34の位置を基準に、給紙ローラ31とレジストローラ32の回転数から計算される。
【0032】
吸引装置4は、用紙配置部41及び吸引口42を含む。用紙配置部41は搬送路35に搬送された記録用紙38をその表面に吸引し、固定するものである。吸引口42は用紙配置部41に設けられた複数の微小孔である。
【0033】
本実施例では、図示しない吸引ファンの回転で発生する負圧で用紙配置部41の吸引口42から空気を吸引し、用紙配置部41上の記録用紙38を吸引し、固定する。
【0034】
搬送路35の下流に設置されたカッター93は、印刷終了後、記録用紙38を切断し、1ページの印刷済み用紙を作製する装置である。搬送路35の更に下流に設置された排紙ローラ91は、印刷済み用紙を用紙搬送方向に排送する装置である。排紙ローラ91の下流に設置された排紙センサ92は切断された印刷済み用紙の後端部を検知し、画像形成装置1は排紙が完了したと判断する。
【0035】
次に、画像形成装置1の画像形成時の動作を説明する。
【0036】
画像形成装置1は、印刷情報設定手段5で設定された用紙情報から記録用紙38に適した吸引力を求める。吸引装置4はその適した吸引力に設定される。その後、搬送装置3のレジストローラ32等によって、記録用紙38の先端部をレジスト待機位置36から吸引装置4の用紙配置部41に搬送する。さらに、その後、キャリッジ21は記録用紙38の上で用紙幅方向に移動する。
【0037】
吸引装置4を記録用紙38に適した吸引力に設定しているため、画像形成手段2の動作中でも、記録用紙38が浮き上がることなく、記録用紙38の搬送をすることが可能になる。
【0038】
画像形成手段2は、キャリッジ21が記録用紙38の上を移動中に、キャリッジ21に備えられたインクヘッド32で記録用紙38上の所定位置にインクを吐出する。吐出終了後、レジストローラ32等は用紙配置部41に記録用紙38の次の画像形成の位置を搬送する。以後、画像形成手段2はインクの吐出を繰り返し、1ページ分の画像を形成する。
【0039】
1ページ分の画像を形成後は、レジストローラ32等が印刷済みの記録用紙38を用紙搬送方向に搬送する。搬送路35の下流に設置されたカッター93は、1ページ分の印刷済み記録用紙38を切断し、1ページの印刷済み用紙を作成する。切断後、排紙ローラ91は、印刷済み用紙を用紙搬送方向に排送する。
【0040】
制御手段7は、排紙センサ92が切断された印刷済み用紙の後端部を検知したときに、排紙が完了したと判断する。
【0041】
その後、レジストローラ32等は逆転に駆動し、切断された記録用紙38の先端部をレジスト待機位置36まで戻し搬送する。記録用紙38の先端部がレジスト待機位置36まで戻された時に、次ページ分の画像形成することができる状態となる。
【0042】
次に、ロール紙39を交換後、画像形成することができる状態とする準備を行うフォーミング手段6を説明する。フォーミング手段6によるフォーミングは、スキュー検知とスキュー補正とを含む。
【0043】
スキュー検知はキャリッジセンサ22を備えたキャリッジ21が記録用紙38の上を移動して行われる(以下、スキュー検知時にキャリッジ21が記録用紙38の幅方向に移動する動作を「スキャン動作」という。)。このスキャン動作中はキャリッジ21に備えられたインクヘッド23からインクの吐出を一切行わない。
【0044】
フォーミング手段6は、スキューを検知する手段61及びスキューを補正する手段62を含む。
【0045】
スキューを検知する手段61は、記録用紙38を最初に搬送量nで搬送し、その後、さらに搬送量mで搬送する二段階の搬送し、第一段階の搬送時の記録用紙38の端部位置と第二段階の搬送時の記録用紙38の端部位置とを比較して、その差が所定の誤差範囲内か否かでスキューが発生しているか否かの判断をする。
【0046】
以下、スキューを検知する手段61によるスキュー検知を図3を用いて具体的に説明する。
【0047】
用紙交換後、記録用紙38の先端部はレジスト待機位置36に配置されている。
【0048】
まず、レジストローラ32等は第一段階として記録用紙38の先端部をレジストセンサ34から距離n離れた位置まで搬送する(以下、このときの搬送量を第一搬送量nという。)。図3(1)は第一搬送量nの位置での記録用紙38の位置を示したものである。この第一搬送量nの位置で、キャリッジ21に搭載されたキャリッジセンサ22がスキャン動作を行い、記録用紙38の端部位置a1を検知し、キャリッジ待機位置24からその検知位置までのキャリッジ21の移動距離をキャリッジ21が移動する経路上に設けたエンコーダにより計測し、記録用紙38の位置とする(図3(2))。
【0049】
次に、第二段階の搬送として、レジストローラ32等により、記録用紙38の先端部を第一搬送量nの位置から更に距離m離れた位置まで搬送する(以下、第二搬送量mという。)。図3(3)は第二搬送量mの位置での記録用紙38の位置を示したものである。この第二搬送量mの位置で、上記と同様にしてキャリッジ待機位置24からの距離である記録用紙38の位置a2を計測する(図3(4))。
【0050】
第一搬送量nの位置での記録用紙38の端部位置a1及び第二搬送量mの位置での記録用紙38の端部位置a2との差を求め、その差が所定の誤差範囲内の場合はスキューが発生してないと判断し、所定の誤差範囲から外れている場合はスキューが発生していると判断する。
【0051】
次に、スキューを補正する手段62について説明する。スキューを補正する手段62は、スキューが検知された場合、記録用紙38が正しい状態で搬送されるようにするため、記録用紙38を戻し搬送及び搬送をして、そのスキューを修正するものである。
【0052】
具体的には、スキューが発生していると判断した場合、再度、レジストローラ32等で記録用紙38の先端部を第一搬送量nの位置に位置するまで戻し搬送する。その後、上述したスキューを検知する手段61により図3(1)から(4)に示すスキュー検知を繰り返す。スキュー検知した結果、スキューが発生していると判断されるときは更に戻し搬送を行って、スキュー検知を繰り返し、スキューが発生してないと判断されるまでスキュー検知を所定の回数繰り返す。
【0053】
所定の回数を繰り返してもスキューが発生していると判断されるときは、用紙エラー(以下、ロールフォーミングエラーという。)として、ユーザーに、再度、ロール紙39を給紙トレイ30にセットし直すように促す。
【0054】
フォーミング手段6は、スキューが発生してないと判断される場合、又は所定回数以内のスキュー検知でスキューが発生してないと判断される場合は、記録用紙38の先端部をレジスト待機位置36に戻し搬送する。このとき、画像形成手段2は画像形成ができる状態となる。
【0055】
以上より、ロール紙39交換後のフォーミング処理を終了する。
【0056】
上述した画像形成装置1において、記録用紙38の交換から、画像形成が可能な状態(印刷可能な状態)までの処置手順(処理フロー)を説明する。
【0057】
図4は、用紙交換等でユーザーがロール紙39をセット後、フォーミング手段6の動作が開始されてから、スキュー検知する前までの制御手段7の処理手順を示したものである(ステップ401から417)。
【0058】
制御手段7は、用紙交換時に、吸引装置4の吸引を停止する(ステップ401)。
ユーザーは、ロール紙39を所定の給紙トレイ30にセットした後、ロール紙39の先端部を引き出して、給紙ローラ31にその先端部をくわえ込ませるようにセットする(ステップ402)。このとき、給紙ローラ31の手前に配置した給紙センサ33が、ロール紙39を検知し、制御手段7は記録用紙38がセットされたと判断する(ステップ403で「Yes」の場合)。
【0059】
制御手段7は、フォーミング手段6の動作開始のため、レジストローラ32等によって記録用紙38の先端部をレジスト待機位置36に搬送する(ステップ404)と同時に、ユーザーインターフェース手段51への入力を促す確認手段52を作動させる(図中の処理A)。入力を促す確認手段52の動作(図中の処理A)は後述する。
【0060】
制御手段7は、レジストセンサ34が記録用紙38を検知したときに(ステップ405で「Yes」の場合)、吸引装置4を「Duty最小」で「ON」とする(吸引力を最小で作動させる)(ステップ406)。その後、レジストローラ32等は記録用紙38の先端部を第一搬送量nの位置まで搬送する。吸引装置4は吸引力が最小であるため、記録用紙38は搬送路35に接した状態を維持しつつ、レジストローラ32等の回転により搬送路35上を搬送することができる(ステップ407)。
【0061】
制御手段7は、記録用紙38先端部のレジストセンサ34からの搬送量をレジストローラ32等の回転数から計算し、記録用紙38の移動量とする(ステップ407)。また、記録用紙38の移動量が第一搬送量nに達したかどうかの判断を行う(ステップ408)。
【0062】
移動量が第一搬送量n未満のときは、レジストローラ32等の回転を続行する。移動量が第一搬送量n以上になったとき(ステップ408で「Yes」の場合)、レジストローラ32等の回転を停止し、記録用紙38の搬送を停止する。同時に、吸引装置4を「Duty最大」に切り替える(吸引力を最大で作動させる)(ステップ409)。
【0063】
記録用紙38は、吸引装置4の吸引力が最大であるため、浮き上がることなく、搬送路35に確実に固定される。そのため、用紙情報が設定されていなくても、記録用紙38の上でキャリッジ21のスキャン動作をすることが可能となる。
【0064】
その後、制御手段7は、スキュー補正の回数を保存する変数countを0にクリアする(ステップ410)。
【0065】
次に図4の処理Aについて説明する。
【0066】
制御手段7は、フォーミング手段6の動作(ステップ404)と同時に用紙情報の入力を促す確認手段52の動作を行う(ステップ411)。図5(A)は、印刷情報設定手段5の確認手段52として、用紙情報の入力を促す画面の画面表示手段53の一例である。
制御手段7は、画面表示手段53により入力を促す画面を表示した後(図4ステップ411)、用紙情報の設定が確定していない事を示すフラグの初期値として変数Infoを「未確定」として保存する(図4ステップ412)。
【0067】
ユーザーが図5(A)の「設定」キー54を押下し、用紙サイズの設定、紙種の設定、及び紙厚の設定を完了したところで、制御手段7は変数Infoを用紙情報の設定が確定している事を示すフラグ「確定済み」として保存する(図4ステップ413から416)。制御手段7は、以後の処理で、変数Infoを確認し、用紙情報の設定が確定しているか否かを判断することができる。
【0068】
用紙情報のフラグが「確定済み」となった後に、図5(A)の用紙情報の入力を促す画面が消去される(ステップ417及び図5(B))。
【0069】
一方、用紙情報の設定が確定するまでは、制御手段7は入力を促す画面の表示を継続する。そのため、ユーザーはコピー操作及び印刷開始のために必要な設定を行うことができる。なお、後述するように画像形成装置1は用紙情報の設定が確定するまで画像形成することができる状態とならない。
【0070】
以上より、ロール紙39交換後、フォーミング手段6の動作が開始されてから、スキュー検知する前までの処理手順を終了する(図4の「B」及び「END」)。
【0071】
次に、フォーミング手段6の動作のスキュー検知及びスキュー補正の具体的な動作手順を図6を用いて説明する。また、図7及び8は、スキャン動作時のキャリッジ21の動作と記録用紙38の搬送動作を上方から見た平面図であり、図6のそれぞれのステップ時のキャリッジ21及び記録用紙38の位置を示したものである。
【0072】
図6において、制御手段7は、スキューを検知するため、レジストローラ32等で記録用紙38の先端部を第一搬送量nの位置まで第一段階の搬送をする。その後、キャリッジ待機位置24にあるキャリッジ21を記録用紙38の左側(キャリッジセンサ22が「紙あり」を検知する位置)で停止させる(ステップ501、図7(1)及び図8(1))。
【0073】
制御手段7は、キャリッジ待機位置24からキャリッジ21が停止した停止位置までを移動した距離をキャリッジ21が移動する経路上に設けたエンコーダにより計測し、変数a1として保存する(ステップ501、図7(1)及び図8(1))。
【0074】
このとき、制御手段7は、用紙情報が確定しているかを用紙情報のフラグ(変数Info)で判断する(ステップ519)。
【0075】
用紙情報のフラグが「未確定」の場合(ステップ519で「Yes」の場合)、吸引装置4の吸引力を最大に切り替える。その後、キャリッジ21を記録用紙38の右側端面(キャリッジセンサ22が「紙なし」を検知する位置)に停止させる(502ステップ、図7(2))。このとき、制御手段7は、キャリッジ待機位置24からキャリッジ21が停止した停止位置までの距離をキャリッジ21が移動する経路上に設けたエンコーダにより計測し、変数b1として保存する(502ステップ、図7(2))。
【0076】
制御手段7は、変数a1とb1から、記録用紙38の用紙幅を検出することができる。
【0077】
次に、制御手段7は、キャリッジ21をキャリッジ待機位置24に戻した後、吸引装置4の吸引力を最小に切り替える(ステップ503、図7(3))。その後、第二段階の搬送として、記録用紙38の先端部を第二搬送量mの位置まで搬送する(ステップ504)。
【0078】
制御手段7は、記録用紙38先端部の移動量を計算し(ステップ505)、記録用紙38の先端部が第二搬送量mの位置まで達したかどうかの判断を行う(ステップ506)。このとき、移動量が第二搬送量m未満では搬送を続行し、移動量が第二搬送量m以上になったときに(ステップ506で「Yes」の場合)レジストローラ32等の回転を停止し、記録用紙38の搬送を停止する(ステップ507、図7(4))。
【0079】
同時に、制御手段7は、吸引装置4の吸引力を最大に切り替える(ステップ507)。吸引力を最大に切り替えたことで、記録用紙38は浮き上がることなく、用紙配置部41に確実に固定される。
【0080】
この状態で、キャリッジ待機位置24のキャリッジ21を記録用紙38の左側端面位置に移動し、停止させる。このとき、制御手段7は、キャリッジ待機位置24からキャリッジが停止した停止位置までの距離をキャリッジ21が移動する経路上に設けたエンコーダにより計測し、変数a2として保存する(ステップ508、図7(5))。
【0081】
その後、キャリッジ21をキャリッジ待機位置24に戻し、吸引装置4の吸引力を最小に切り替える。(ステップ509、図7(6))
一方、用紙情報のフラグ(変数Info)が「確定済み」の場合(ステップ519で「No」の場合)、記録用紙38に適した吸引力の最適値をその用紙情報から求める。その後、制御手段7は、吸引装置4のDutyを最適値(吸引力を記録用紙に適した値)に切り替え、記録用紙38の搬送とキャリッジ21の移動とを同時に動作させることを可能とする(ステップ520、図8(1))。
【0082】
次に、制御手段7は、キャリッジ21を移動し、記録用紙38の右側端面位置にキャリッジ24を停止させる。このとき、キャリッジ待機位置24からキャリッジ21が停止した停止位置までの距離をキャリッジ21が移動する経路上に設けたエンコーダにより計測し、変数b1として保存する。(ステップ520、図8(2))制御手段7は、変数a1とb1から、記録用紙38の用紙幅を検出することができる。
【0083】
なお、制御手段7は、フォーミング手段6の動作中でも、設定された用紙情報に基づいて、記録用紙38に適した吸引力を求めることができる。また、フォーミング手段6の動作中でも、記録用紙38に適した吸引力に切り替えることができる。
【0084】
その後、制御手段7は、第二段階の搬送として、記録用紙38の先端部を第二搬送量mの位置まで搬送する(ステップ521、図8(3))。このとき、吸引装置4が記録用紙38に適した吸引力に切り替えられているため、キャリッジ21がキャリッジ待機位置24に戻されることなく、記録用紙38の搬送を行うことができる。
【0085】
制御手段7は記録用紙38の移動量を計算し(ステップ522)、記録用紙38の先端部が第二搬送量mの位置まで達したかどうかの判断を行う(ステップ523)。移動量が第二搬送量m未満では搬送を続行し、移動量が第二搬送量m以上で記録用紙38の搬送を停止する(ステップ524、図8(3))。
【0086】
また、記録用紙38の第二搬送量mの位置までの搬送と同時に、記録用紙38の上のキャリッジ21を記録用紙38の左側端面(キャリッジセンサ22が「紙なし」を検知する位置)に移動させる。制御手段7は、キャリッジ待機位置24からキャリッジ21が停止した停止位置までの距離をキャリッジ21が移動する経路上に設けたエンコーダにより計測し、変数a2として保存する(ステップ525、図8(3))。キャリッジ21をキャリッジ待機位置24に戻さず、記録用紙38の搬送とスキュー検知を同時にすることができるため、スキュー検知にかかる時間を短縮でき、フォーミングにかかる時間を短縮することができる。
【0087】
その後、キャリッジ21をキャリッジ待機位置24に戻した後に、吸引装置4の吸引力を最小に切り替える(ステップ509、図8(4))。
【0088】
次に、制御手段7は、保存した変数a1とa2の比較を行う(ステップ510)。比較の結果、スキューが発生していないと判断した場合は、レジスト待機位置24に記録用紙38の先端部を戻し搬送する(ステップ510で「Yes」の場合、図7(7)及び図8(5))。その後の処理手順は後述の図9で説明する(図中の処理C)。
【0089】
一方、比較の結果、スキューが発生していると判断した場合は(ステップ510で「No」の場合)、記録用紙38の先端部を第一搬送量nの位置に戻し搬送し、再度、スキュー検知及びスキュー補正を繰り返す(ステップ501から510)。
【0090】
制御手段7は、最大の繰り返し回数を定数ReTryMaxとして、予め規定している。変数countと定数ReTryMaxを比較して(ステップ511)、変数countが定数ReTryMax未満であれば変数countに1を加算し(ステップ512)、記録用紙38の先端部を第一搬送量nの位置に戻す(ステップ513から516、図7(1)及び図8(1))。
【0091】
以後、スキュー検知及びスキュー補正を繰り返す(ステップ501から516)。このとき、変数countとReTryMaxとを比較し(ステップ511)、変数countの数値がReTryMax以上になれば、吸引装置4を「OFF」とし(吸引を停止し)(ステップ517)、ロールフォーミングエラーとする(ステップ518)。
【0092】
画像形成装置1は、ロールフォーミングエラー時に、ユーザーに、再度、ロール紙39を給紙トレイ30にセットし直すように促す処理を行う。(ステップ518)
以上より、フォーミング手段6の動作中のスキュー検知及びスキュー補正の処理を終了する(図中の処理C及びステップ518の「END」)。
【0093】
次に、スキュー検知及びスキュー補正の後、画像形成することができる状態となるまでの具体的な処理手順を図9を用いて説明する。図9はスキュー検知後(図6の処理C)の処理手順をステップ601から608に示したものである。
【0094】
制御手段7は、スキューが発生していないと判断した場合(図6のステップ510、処理C)、キャリッジ21がキャリッジ待機位置24に位置しているかどうかを判断する(ステップ601)。キャリッジ21がキャリッジ待機位置24に位置していない場合(ステップ601で「No」の場合)、キャリッジ21をキャリッジ待機位置24に戻す(ステップ602)。
【0095】
その後、レジスト待機位置24に記録用紙38の先端部を戻す為、レジストローラ32等を逆転し、記録用紙38を戻し搬送する(ステップ603)。制御手段7は、記録用紙38の移動量を計算し(ステップ604)、記録用紙38の先端部がレジスト待機位置24に位置しているかを判断する(ステップ605)。
【0096】
記録用紙38の先端部がレジスト待機位置36に位置したとき、搬送を停止し、同時に吸引装置4の吸引を停止する(ステップ606)。
【0097】
更に、制御手段7は、用紙情報が確定しているか否かを用紙情報のフラグ(変数Info)で判断し(ステップ607)、フラグが「未確定」であれば「確定済み」になるまで待機する(ステップ607で「Yes」の場合)。
【0098】
画像形成装置1は、フラグが「確定済み」になったときに(ステップ607で「No」の場合)画像形成することができる状態となる。その後、画像形成装置1は、印刷開始の要求が受付可能となるように内部処理を行う。(ステップ608)
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 画像形成装置
2 画像形成手段
21 キャリッジ
24 キャリッジ待機位置
3 搬送装置
38 記録用紙
39 長尺記録媒体(ロール紙)
4 吸引装置
51 ユーザーインターフェース手段
52 確認手段
53 画面表示手段
6 フォーミング手段
61 スキューを検知する手段
62 スキューを補正する手段
7 制御手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】特開2004−277057号公報
【特許文献2】特開2010−058376号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の記録用紙を搬送して、前記記録用紙の幅方向に移動するキャリッジに備えられた印刷手段により、前記記録用紙に印刷する画像形成手段と、
前記記録用紙の交換等のために前記記録用紙をセットして、前記記録用紙が印刷可能な状態となるまで、前記記録用紙のスキューを検知する手段とスキューを補正する手段を含むフォーミング手段と、
前記記録用紙の用紙情報等の設定が行えるユーザーインターフェース手段と、
前記フォーミング手段の動作と前記ユーザーインターフェース手段への入力を促す確認手段の動作とを同時に行う制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記確認手段は画面表示手段を含み、
前記画面表示手段は入力を促す画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記用紙情報等の設定によって、前記フォーミング手段の動作を変更することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記フォーミング手段の動作中に、前記用紙情報等の設定が確定したか否かを判断することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記用紙情報等の設定が確定していない場合に、前記画面表示手段の前記入力を促す画面を継続して表示することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成手段は、前記記録用紙を吸引して固定する吸引装置を有し、
前記制御手段は、前記フォーミング手段の動作中に、前記用紙情報等の設定が確定している場合は、前記用紙情報等に基づいて前記記録用紙に適した前記吸引装置の吸引力に設定することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記フォーミング手段は、前記スキューを補正する手段を動作する前に前記スキューを検知する手段を動作し、
前記制御手段は、前記スキューを検知する手段を動作する場合は、前記記録用紙幅の外側のキャリッジ待機位置から移動する前記キャリッジによりスキュー検知を行い、
前記制御手段は、前記記録用紙の設定が確定している場合は、以後の前記スキュー検知は前記キャリッジ待機位置からでなく、前記記録用紙の幅方向の範囲内から前記スキュー検知を行うことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記フォーミング手段は、前記スキューを補正する手段を動作する前に前記スキューを検知する手段を動作し、
前記制御手段は、前記スキューを検知する手段を動作する場合は、前記記録用紙幅の外側のキャリッジ待機位置から移動する前記キャリッジによりスキュー検知を行い、
前記制御手段は、前記記録用紙の設定が確定していない場合は、以後の前記スキュー検知も、前記キャリッジ待機位置から前記スキュー検知を行うことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−223946(P2012−223946A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92376(P2011−92376)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】