説明

画像形成装置

【課題】本発明は、厚さや腰が搬送方向に変化する封筒のレジストローラへの到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1において、レジストローラと、搬送ローラと、搬送部駆動源231と、搬送センサ285と、封筒情報を格納する封筒情報格納部810と、封筒100Eの搬送位置及び封筒情報格納部810に格納された封筒情報に基づき、封筒100Eの本体の搬送ローラを用いた搬送速度の加減速度を制御し、封筒100Eの搬送開始からレジストローラ37に至る一定搬送時間においてレジストローラ37に封筒100Eを搬送するように搬送部駆動源231を制御する搬送加減速度制御部803とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、印刷を目的として搬送経路において封筒の搬送を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低価格で高速カラー印刷が可能なプリンタの普及が目覚ましい。プリンタは、パーソナルコンピュータ等の端末に接続され、この端末において製作された文字、イラスト、記号等の画像情報を取り込み、記録媒体に印刷を行う。また、スキャナやファクシミリと一体化された複合型のプリンタにおいては、スキャナユニットから取り込んだ画像情報の印刷を行うことができ、或いはファクシミリにより転送された画像情報の印刷を行うことができる。
【0003】
プリンタにおいては、普通紙、フォト紙、光沢紙、OHPフィルム等の記録媒体が印刷に使用されている。家庭用には、一般的にはがきサイズからA4版サイズまでの記録媒体に印刷を行うプリンタが使用されている。また、オフィス用には、例えばはがきサイズからA3版サイズまでの記録媒体に印刷を行うプリンタが使用されている。
【0004】
プリンタにおいて、記録媒体例えば普通紙は給紙トレイに格納され、印刷動作が開始されると、給紙トレイに格納された普通紙は用紙搬送装置を用いてその搬送経路に給紙される。用紙搬送装置は、搬送ローラの回転により搬送経路に沿ってレジストローラまで普通紙の搬送を行う。レジストローラまで搬送された普通紙は斜行修正等を行い、送出タイミングに合わせてレジストローラから印刷部に普通紙の搬送が行われる。印刷部においては普通紙に印刷が行われ、印刷済みの普通紙は排紙トレイに送られる。
【0005】
用紙搬送装置においては、印刷枚数が多い場合の生産性を向上するために、給紙トレイから1枚ずつ普通紙を搬送経路に供給し(捌き)、普通紙の搬送間隔を一定に保持し、適正なタイミングにおいて普通紙をレジストローラに到達させる必要がある。下記特許文献1には、主に、給紙トレイから搬送経路に供給される普通紙の遅れや進みを中間搬送手段の加減速処理により補正し、普通紙のレジストローラへの到達タイミングを安定化することができる用紙搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−161320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された用紙搬送装置においては、以下の点について配慮がなされていなかった。
【0008】
印刷速度、印刷品質等の性能の向上に伴い、プリンタを用いて広告や宣伝に使用する大量の封筒(状袋)を印刷する要求が高まりつつある。通常のプリンタの印刷には1枚の記録媒体が使用されているが、封筒は部位によって記録媒体自体の枚数、厚みが異なる。封筒は、手紙、文章等を内包し、用紙を折り重ねて作成された方形形状を有し、この方形形状の3辺が封じられた本体(封筒本体)と、本体の残りの1辺に作成され手紙等を内包した後に折り返して綴じるフラップ(折り返し蓋)とを有する。このため、本体は、用紙を2枚に折り重ねた部分と、更に糊付けされた3枚の用紙を重ねた部分とを有し、本体の厚さは厚い。また、フラップは折り返していない場合(フラップを開いた場合)には1枚の用紙であり、フラップの厚さは薄い。
【0009】
このような厚さの状態が部位によって変化する封筒は、その部位によって腰の強弱(弾性力の強弱或いは粘りの大小)に変化を生じる。封筒の本体の腰の強さを基準にすると、フラップは1枚の用紙であるので腰が弱く、糊付けされた部分は3枚の用紙であるので腰が強い。
【0010】
用紙搬送装置において、フラップを搬送方向後端側として封筒を搬送し、搬送経路を搬送中に本体の厚い(2枚の)部分からフラップの薄い(1枚の)部分に封筒の厚さが切り替わると、搬送ローラに加わる負荷が軽くなり、送り過ぎの原因になる。一方、用紙搬送装置において、フラップを搬送方向先端側として封筒を搬送し、搬送経路を搬送中に本体の薄い(2枚の)部分から糊付けされた厚い(3枚の)部分に封筒の厚さが切り替わると、搬送ローラに加わる負荷が重くなり、搬送ローラと封筒との間に滑りを生じて送り不足の原因になる。このため、用紙搬送装置においては、封筒の厚さの変化並びに封筒の腰の強さの変化に加減速処理を追従させることができないので、給紙トレイからレジストローラへの封筒の到達タイミングにばらつきが生じ、生産性を安定化することが難しかった。
【0011】
また、封筒の送り過ぎが生じると封筒の搬送方向先端側が搬送ローラに干渉し、最悪の場合には、封筒の先端側に折れ等の損傷が生じる。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。従って、本発明は、厚さや腰が搬送方向に変化する封筒のレジストローラへの到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる画像形成装置を提供することである。更に、本発明は、封筒の送り過ぎに起因する封筒の損傷を減少することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の特徴は、画像形成装置において、封筒に印刷を行う印刷部と、搬送経路に搬送される封筒の印刷部への送出タイミングを調整するレジストローラと、搬送経路のレジストローラの搬送方向の前段に配設され、レジストローラに封筒を搬送する搬送ローラと、搬送ローラを駆動する搬送部駆動源と、搬送経路に配設され、搬送経路に搬送される封筒の搬送位置を検出する搬送センサと、封筒の本体、フラップ及び用紙を重ねた部分のサイズを含む封筒情報を格納する封筒情報格納部と、搬送センサを用いて検出された封筒の搬送位置及び封筒情報格納部に格納された封筒情報に基づき、本体の搬送ローラを用いた封筒の搬送速度の加減速度を制御し、封筒の搬送開始からレジストローラに至る一定搬送時間においてレジストローラに封筒を搬送するように搬送部駆動源を制御する搬送加減速度制御部とを備える。
【0014】
第1の特徴に係る画像形成装置において、搬送経路は、封筒を給紙する給紙部からレジストローラまで封筒を搬送する給紙経路と、印刷部において片面印刷を行った封筒の表裏の反転を行いかつ封筒の搬送方向の反転を行い、この封筒をレジストローラに搬送する反転搬送経路とを有し、搬送加減速度制御部は、給紙経路及び反転搬送経路において搬送される封筒の加減速の制御を行うことが好ましい。更に、第1の特徴に係る画像形成装置において、搬送加減速度制御部は、封筒のフラップ及び用紙を重ねた部分を除く本体において搬送部駆動源を通して搬送ローラを用いた封筒の搬送速度の加減速度を制御することが好ましい。
【0015】
本発明に係る第2の特徴は、第1の特徴に係る画像形成装置において、搬送経路に配設され、封筒の本体、フラップ及び用紙を重ねた部分のサイズ並びに封筒の搬送方向の情報を含む封筒情報を検出する封筒情報検出手段と、この封筒情報検出手段を用いて検出された封筒情報を格納する封筒形状情報取得部と、封筒形状情報取得部に格納された封筒情報と封筒情報格納部に格納された封筒情報とに基づき封筒の本体、フラップ及び用紙を重ねた部分のサイズ並びに封筒の搬送方向を判断する封筒形状判断手段とを備え、搬送加減速度制御部は、封筒形状判断手段において判断された封筒の本体、フラップ及び用紙を重ねた部分のサイズ並びに封筒の搬送方向に基づき、搬送経路において搬送される封筒の加減速の制御を行うことである。
【0016】
第2の特徴に係る画像形成装置において、封筒情報検出手段は、封筒の搬送方向の長さを検出する封筒形状検出部と、封筒の搬送方向における本体、フラップ及び用紙を重ねた部分の厚さを検出する媒体厚検出部とを備えることが好ましい。
【0017】
本発明の第3の特徴は、第1の特徴乃至第4の特徴のいずれかに係る画像形成装置において、搬送加減速度制御部は、レジストローラに封筒を搬送する搬送時間が一定搬送時間に満たないとき封筒の搬送速度を加速する制御を行い、搬送時間が一定搬送時間を越えるとき搬送速度を減速する制御を行うことである。
【0018】
本発明の第4の特徴は、第1の特徴乃至第3の特徴のいずれかに係る画像形成装置において、搬送加減速度制御部は、封筒のフラップ及び用紙を重ねた部分において搬送速度の加減速の制御を行わないとともに、封筒のフラップと本体との切り替わり並びに本体と用紙を重ねた部分との切り替わりにおいて搬送速度の加減速の制御を行わないことである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の特徴に係る画像形成装置によれば、搬送センサを用いて検出された封筒の搬送位置並びに封筒情報格納部に格納された封筒情報に基づき、搬送加減速度制御部は、封筒の本体の厚さ及び腰の強弱を含む搬送条件に対して相違する搬送条件を有するフラップ及び用紙を重ねた部分において搬送ローラを用いて一定搬送速度を維持し、搬送条件の基準となり最も長く搬送条件が変化しない本体において搬送ローラを用いて搬送速度の加減速の制御を行うので、封筒のレジストローラへの到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる。更に、第1の特徴に係る画像形成装置においては、封筒の送り過ぎを抑制することができるので、封筒の損傷を減少することができる。
【0020】
更に、第1の特徴に係る画像形成装置によれば、給紙経路に搬送される封筒の片面印刷の場合、反転搬送経路に搬送される封筒の両面印刷の場合のいずれの場合においても、搬送加減速度制御部を用いて搬送速度の加減速の制御を行うことができるので、封筒のレジストローラへの到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる。
【0021】
本発明の第2の特徴に係る画像形成装置によれば、第1の特徴に係る画像形成装置によって得られる作用効果に加えて、封筒情報検出手段を用いて検出され封筒形状情報取得部に格納された封筒情報と封筒情報格納部に格納された封筒情報とに基づき封筒形状判断手段を用いて判断された封筒情報によって、搬送加減速度制御部は封筒の加減速の制御を行うので、正確な加減速の制御を行うことができ、かつ封筒の搬送方向に対応する操作をユーザが行うことなく自動的に加減速の制御を行うことができる。
【0022】
更に、第1の特徴又は第2の特徴に係る画像形成装置によれば、封筒形状検出部を用いて封筒の搬送方向の長さを検出し、媒体厚検出部を用いて封筒の部位の厚さを検出することができるので、正確な封筒情報を検出することができ、結果として適正な封筒の加減速の制御を行うことができる。
【0023】
本発明の第3の特徴に係る画像形成装置によれば、第1の特徴又は第2の特徴のずれかに係る画像形成装置によって得られる作用効果に加えて、搬送加減速度制御部を用いて、レジストローラに封筒を搬送する搬送時間が一定搬送時間に満たないとき封筒の搬送速度を加速する制御を行い、搬送時間が一定搬送時間を越えるとき搬送速度を減速する制御を行うので、封筒のレジストローラへの到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる。
【0024】
本発明の第4の特徴に係る画像形成装置によれば、第1の特徴乃至第3の特徴のいずれかに係る画像形成装置によって得られる作用効果に加えて、搬送加減速度制御部を用いて、封筒のフラップ及び用紙を重ねた部分において搬送速度の加減速の制御を行わないとともに、封筒のフラップと本体との切り替わり並びに本体と用紙を重ねた部分との切り替わりにおいて搬送速度の加減速の制御を行わないので、封筒の厚さの変化並びに封筒の腰の強さの変化に加減速の制御を追従させることなく、レジストローラへの封筒の到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】一実施例に係る画像形成装置の給紙部及び給紙搬送部の拡大構成図である。
【図3】(A)は一実施例に係る画像形成装置を用いて印刷を行う長形封筒の表面図、(B)は長形封筒の裏面図、(C)は長形封筒の断面図である。
【図4】一実施例に係る画像形成装置のシステム構成図である。
【図5】(A)は一実施例に係る画像形成装置において記録媒体の模式的な断面図、(B)は媒体サイズ検出部において記録媒体のサイズの検出結果を示す図である。
【図6】(A)は一実施例に係る画像形成装置において封筒の模式的な断面図、(B)は封筒形状検出部において封筒の形状の検出結果を示す図である。
【図7】(A)は一実施例に係る画像形成装置において封筒の模式的な断面図、(B)は媒体厚検出部において封筒の厚さの検出結果を示す図、(C)は封筒の加減速領域を示す断面図である。
【図8】(A)は一実施例に係る画像形成装置において給紙部からレジストローラまでの搬送時間と記録媒体又は封筒の搬送速度との関係を示すタイムチャート、(B)は補正搬送速度を説明するためのタイムチャートである。
【図9】一実施例に係る画像形成装置の封筒の搬送制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して、本発明の一実施例を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる。
【0027】
また、以下に示す実施例はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0028】
(実施例)
本発明の一実施例は、画像形成装置としてインクジェットプリンタに本発明を適用した例を説明するものである。インクジェットプリンタは、ここではシアンインク、マゼンダインク、イエローインク、ブラックインクを用いてプリントを行うカラーインクジェットプリンタである。なお、本発明は、必ずしもカラーインクジェットプリンタにのみ適用されるのではなく、グレースケールを含むモノクロインクジェットプリンタにも適用可能である。
【0029】
[画像形成装置の構成]
(1)画像形成装置の全体構成
図1に示すように、一実施例に係る画像形成装置1は、記録媒体100(及び封筒100E)を供給する給紙部2と、給紙部2から供給された記録媒体100の搬送を行う搬送手段3と、搬送手段3により搬送が行われた記録媒体100に印刷を行う印刷部6と、印刷が行われた記録媒体100を排出する排紙部4及び5と、これらの各ユニットの動作の制御を司る制御部8とを備えている。
【0030】
(2)給紙部及び排紙部の構成
図1及び図2に示すように、給紙部2は、この配設個数や形態に限定されるものではないが、ここでは給紙トレイ21〜24を備えている。給紙トレイ21は、画像形成装置1の符号を付けていない筐体の左側側面にこの筐体から外側に突出し、着脱自在に配設されている。給紙トレイ22〜24は、筐体内部に積層した状態において配設されている。これらの給紙トレイ21〜24には未印刷(印刷前)の記録媒体100が格納されている。
【0031】
図1に示すように、排紙部4は筐体の右側側面にこの筐体から外側に突出して配設された排紙トレイ(符号は省略する。)を備えている。この排紙部4は、フェイスアップ排紙部であって、印刷面を上向きにした状態において印刷済み(印刷後)の記録媒体100を収納する。また、排紙部5は、画像形成装置1の筐体の左側上部にこの筐体から外側に突出して配設された排紙トレイ(符号は省略する。)を備えている。排紙部5は、フェイスダウン排紙部であって、印刷面を下向きにした状態において印刷済み(印刷後)の記録媒体100を収納する。
【0032】
ここで、記録媒体100には、普通紙、フォト紙、インクジェット用紙、光沢紙、OHPフィルム等の記録媒体が一般的に使用される。更に、一実施例に係る画像形成装置1において、記録媒体100に封筒100Eが使用され、この封筒100Eの印刷を行うことができる。封筒100Eの種類並びにその形態は後述する。
【0033】
(3)搬送手段の構成
搬送手段(搬送機構)3は、図1に示すように、給紙搬送部31と、印刷搬送部32と、上昇搬送部33と、水平搬送部34と、排紙搬送部35と、反転搬送部36とを備えている。
【0034】
給紙搬送部31は、図1及び図2に示すように、給紙部2の給紙トレイ21〜24のそれぞれから印刷搬送部32(ここではレジストローラ37)まで記録媒体100(又は封筒100E)を搬送する給紙経路RSと、給紙トレイ21〜24のそれぞれに格納された記録媒体100を給紙経路RSに供給する給紙ローラ201〜204と、給紙経路RSに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ205と、給紙経路RSに沿って記録媒体100をレジストローラ37に向けて搬送する搬送ローラ206とを備えている。ここで、「供給する」とは、例えば給紙部2の給紙トレイ21から給紙経路RSに記録媒体100(又は封筒100E)を送出するという意味において使用される。また、「搬送する」とは、搬送経路RS中の例えば搬送ローラ206を中心としてその前段側から後段側に記録媒体100(又は封筒100E)を送出するという意味において使用される。
【0035】
印刷搬送部32は、図1に示すように、給紙搬送部31から上昇搬送部33(ここではレジストローラ37から切換部325の前段)まで記録媒体100を搬送する搬送経路RCと、印刷部6のプリントヘッド61に対向して配設され搬送方向に移動する搬送ベルト321と、この搬送ベルト321を駆動する駆動ローラ322とを備えている。
【0036】
印刷搬送部32の終端つまり切換部325と排紙部4との間には排紙搬送部38が配設されている。排紙搬送部38は、印刷部6において印刷され印刷搬送部32を搬送されてきた記録媒体100を切換部325を介して導く排紙経路RD1と、この排紙経路RD1に配設され排紙経路RD1に沿って記録媒体100を排紙トレイ(符号は省略する。)に搬送する排紙ローラ381とを備えている。一実施例に係る画像形成装置1において、この排紙搬送部38は搬送手段3に含まれる。
【0037】
上昇搬送部33は、印刷搬送部32から水平搬送部34まで記録媒体100を搬送する搬送経路RVと、搬送経路RVに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ331及び332とを備えている。上昇搬送部33は、印刷搬送部32からその上に重複して配設された水平搬送部34まで垂直方向に記録媒体100を押し上げて搬送する。
【0038】
水平搬送部34は、上昇搬送部33から排紙搬送部35及び反転搬送部36(ここでは反転切換部361)まで記録媒体100を搬送する搬送経路RCと、搬送経路RCに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ341とを備えている。
【0039】
排紙搬送部35は、水平搬送部34の終端つまり切換部361から排紙部5まで記録媒体100を搬送する排紙経路RD2と、排紙経路RD2に沿って排紙トレイまで記録媒体100を搬送する排紙ローラ351とを備えている。この排紙搬送部35は、一方の表面に印刷が行われた片面印刷済みの記録媒体100、並びに一方及び他方の表面に印刷が行われた両面印刷済みの記録媒体100を搬送する。
【0040】
反転搬送部36は、図1及び図2に示すように、記録媒体100の搬送方向の向きを反転させるスイッチバック部364と、水平搬送部34の終端の切換部361からスイッチバック部364を通して再度印刷搬送部32まで記録媒体100を搬送する反転搬送経路RRと、水平搬送部34から搬送される記録媒体100をスイッチバック部364に導きスイッチバック部364から搬送される記録媒体100を印刷搬送部32に導く反転切換部365と、反転搬送経路RRに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ362、363及び366とを備えている。この反転搬送部36は、片面印刷済みの記録媒体100を搬送しながら表裏並びに搬送方向を反転し、両面印刷に際して印刷搬送部32(ここではレジストローラ37)まで記録媒体100を搬送する。
【0041】
(4)印刷部の構成
図1に示すように、印刷部6においては、印刷搬送部32の搬送経路RC上にプリントヘッド61が配列されている。このプリントヘッド61は、図示を省略するが、搬送経路RC側にインク吐出ノズルを配列し、このインク吐出ノズルからインクを記録媒体100に向かって突出するインクジェット型プリントヘッドである。プリントヘッド61は、搬送経路RCに沿って各色のインクをそれぞれ吐出する複数個を配列し、搬送経路RCに交差する方向(ここでは直交する方向)に同色のインクをそれぞれ吐出する複数個を配列している。つまり、一実施例に係る画像形成装置1は、プリントヘッド61からブラックインク、シアンインク、マゼンダインク、イエローインクを吐出し、ライン単位において印刷を行う、ラインプリント方式を採用するカラーインクジェットプリンタである。搬送方向に対して、この各色インクの吐出順序は特に限定されるものではない。
【0042】
必ずしもこの方式に限定されるものではないが、又その構成を詳細に図示していないが、一実施例に係る画像形成装置1は、プリントヘッド61にインクを供給し、印刷に使用されなかった余剰のインクを回収し、この回収されたインクを再び循環させるインク循環ユニット62を備えている。インク循環ユニット62は各色のインク毎に配設されており、ここでは4色分のインクを循環させるインク循環ユニット62が配設されている。プリントヘッド61の動作並びにインク循環ユニット62は制御部8によって制御を行っている。
【0043】
印刷部6において、搬送経路RCに沿って配設された搬送ベルト321は、終端のない巡回ベルトであり、プラテンプレート63の表面上を走行する。搬送ベルト321は、プラテンプレート63上に記録媒体100を搬送し(供給し)、印刷後にプラテンプレート63上から記録媒体100を搬送(排出)する。
【0044】
また、少なくとも、プラテンプレート63、搬送ベルト321及び搬送ローラ322はここではベルトプラテンユニット65を構築する。ベルトプラテンユニット65は下降機構66に連接されている。下降機構66は、通常の印刷動作において、ベルトプラテンユニット65をプリントヘッド61に近接させて(ヘッドギャップを介して)保持し、搬送経路RCと搬送ベルト321の表面とを一致させ、記録媒体100又は封筒100Eの搬送並びに印刷動作を行える状態を維持する。一方、下降機構66は、搬送不良が発生したときの復旧処理動作において、例えばユーザ操作による手動にて、ベルトプラテンユニット65の全体をプリントヘッド61から離間させて、搬送経路RCと搬送ベルト321の表面との間に隙間を形成する。この隙間は、搬送不良を生じた記録媒体100又は封筒100Eを排紙する(取り除く)排紙口として使用される。
【0045】
プラテンプレート63下つまり搬送経路RCを中心にプリントヘッド61とは反対側(図1中、下側の裏面)には吸引装置7が配設されている。吸引装置7は、印刷部6に搬送され印刷される記録媒体100を搬送ベルト3の図示しない穴を通してプラテンプレート63に吸着させる機能を有する。一実施例において、吸引装置7にはエア吸引ファンが使用される。また、一実施例において、吸引装置7は、画像形成装置1の筐体内部に内蔵されているが、画像形成装置1の筐体外部に外付け装置として設置し、吸引ダクトを用いてプラテンプレート63下に配管してもよい。吸引装置7は制御部8に接続され、この制御部8によって吸引装置7の吸引動作が制御されている。
【0046】
(5)センサの構成
一実施例に係る画像形成装置1の搬送手段3の搬送経路には、図1及び図2に示すように、各種検出部が配設されている。搬送手段3の給紙搬送部31において、給紙経路RSには搬送センサ281、282、283及び285が配設されている。この搬送センサ281等は、給紙経路RSに沿って、搬送ローラ205又は206の前段(搬送方向上流側)若しくは後段(搬送方向下流側)に配設されている。搬送センサ281等は、ここでは給紙トレイ22〜24から給紙された記録媒体100(又は封筒100E)の搬送状態、例えば印刷スケジュールに従って記録媒体100が適切な搬送位置に搬送されているか否か、特に給紙搬送部31においては給紙部2からレジストローラ37まで一定搬送時間に記録媒体100が搬送されているか否かの検出を行う機能を有する。一定搬送時間とは、給紙部2から記録媒体100又は封筒100Eの供給並びに搬送が開始された時刻からレジストローラ37に至る時刻までの記録媒体100又は封筒100Eの搬送時間が実質的に同一であるという意味で使用されている。なお、この搬送状態(或いは搬送位置)の検出を行う機能は、後述する媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26及び封筒形状検出部27を除き、搬送経路に配設されたセンサ、具体的にはレジストセンサ286、トップエッジセンサ287、288、上面搬送入口センサ291、フリッパセンサ292、フェイスダウン排紙センサ293、上面搬送出口センサ294、スイッチバックセンサ295、再給紙センサ296の各センサにおいて同様である。搬送センサ281等には例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0047】
給紙搬送部31において、給紙トレイ21からの給紙経路RS、給紙トレイ22〜24からの給紙経路RS及び反転搬送部36の反転搬送経路RRの結合領域とレジストローラ37との間にはレジストセンサ286が配設されている。レジストセンサ286は、ここでは給紙トレイ21、給紙トレイ22〜24のそれぞれから給紙された記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態、反転搬送部36から再給紙された記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行うとともに、各々の搬送経路から重複搬送があるか否かを検出する機能を有する。レジストセンサ286には例えば光学式センサ、光透過センサ等を実用的に使用することができる。
【0048】
印刷搬送部32において、搬送経路RCのレジストローラ37とベルトプラテンユニット65との間にはトップエッジセンサ287が配設され、ベルトプラテンユニット65内の搬送経路RCにはトップエッジセンサ288が配設されている。トップエッジセンサ287、288はいずれもレジストローラ37から搬送経路RCに送出された記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。レジストセンサ286には例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0049】
印刷搬送部32において、ベルトプラテンユニット65内の搬送経路RC、ここではトップエッジセンサ288とプリントヘッド61との間には浮き検知センサ289が配設されている。浮き検知センサ289は、搬送経路RCに搬送される記録媒体100又は封筒100Eの特に搬送方向先端側の、プリントヘッド61に接触する浮きの検出を行う機能を有する。浮き検知センサ289には例えば光学式センサ、機械式接触センサ等を実用的に使用することができる。
【0050】
上昇搬送部33において、搬送経路RVの切換部325を通過した直後の初段には上面搬送入口センサ291が配設されている。上面搬送入口センサ291は、印刷搬送部32の搬送経路RCから切換部325を通して上昇搬送部33の搬送経路RVに搬送された記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。上面搬送入口センサ291には例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0051】
水平搬送部34において、搬送経路RCにはフリッパセンサ292が配設されている。フリッパセンサ292は、搬送経路RCに搬送される記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。フリッパセンサ292には、例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0052】
排紙搬送部35において、排紙経路RD2の排紙ローラ351と排紙トレイとの間にはフェイスダウン排紙センサ293が配設されている。フェイスダウン排紙センサ293は、排紙経路RD2に搬送される記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。フェイスダウン排紙センサ293には、例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0053】
反転搬送部36において、反転搬送経路RRの切換部361と搬送ローラ363との間には上面搬送出口センサ294が配設されている。上面搬送出口センサ294は、反転搬送経路RRの切換部361から搬送ローラ363までの記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。反転搬送経路RRの搬送ローラ363とスイッチバック部364との間にはスイッチバックセンサ295が配設されている。スイッチバックセンサ295は、反転搬送経路RRの搬送ローラ363とスイッチバック部364との間に搬送される記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。反転搬送経路RRの切換部365と印刷搬送部32の給紙経路RSとの間には再給紙センサ296が配設されている。再給紙センサ296は、反転搬送経路RRの切換部365から給紙経路RSまでに搬送される記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。上面搬送出口センサ294、スイッチバックセンサ295、再給紙センサ296のそれぞれには、例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0054】
(6)検出部の構成
また、搬送手段3の給紙搬送部31において、給紙経路RSには各種検出部が配設されている。一実施例に係る画像形成装置1においては、給紙経路RSに、媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26及び封筒形状検出部27が配設されている。媒体サイズ検出部25は、記録媒体100のサイズを検出する機能を有し、例えば反射センサにより構成されている。媒体厚検出部26は、記録媒体100の厚さを検出する機能を有し、例えば透過センサにより構成されている。封筒形状検出部27は、封筒100Eの形状を検出する機能を有し、例えば高精度な検出を実現することができかつ小型サイズを有するコンタクトイメージセンサ(CIS)により構成されている。これら各種検出部の検出方法の詳細は後述する。
【0055】
なお、一実施例に係る画像形成装置1は、ライン単位において印刷を行う方式だけに限定されるものではなく、ライン方向に走査して印刷を行うシリアル方式に適用してもよい。
【0056】
[画像形成装置の基本的な印刷動作]
前述の図1及び図2に示す画像形成装置1の印刷動作は以下の通りである。まず最初に、給紙部2の給紙トレイ21〜24のいずれかに格納された未印刷状態の記録媒体100は、搬送手段3の給紙搬送部31において給紙ローラ201〜204のいずれかを用いて給紙経路RSに導かれる。この記録媒体100は、搬送ローラ205及び206を用いて給紙経路RSに沿ってレジストローラ37に搬送される。この給紙経路RSの搬送中において、媒体サイズ検出部25を用いて記録媒体100のサイズが検出され、媒体厚検出部26を用いて記録媒体100の厚さが検出される。
【0057】
また、給紙トレイ21〜24のいずれかから封筒100Eが供給される場合、給紙経路RSの搬送中に、封筒形状検出部27を用いて封筒100Eの形状が検出され、媒体厚検出部26を用いて封筒100Eの各部位(ここでは、図3(A)乃至図3(C)に示す封筒100Eの本体101、フラップ102及び用紙を重ね合わせた部分1012)の厚さが検出される。なお、図示を省略するが、媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26、封筒形状検出部27のそれぞれを用いた記録媒体100又は封筒100Eのサイズ、厚さ或いは形状の検出には、搬送ベルト321又は駆動ローラ322に配設された媒体搬送量検出部(例えば、エンコーダによって構成されている。)からのエンコーダパルスの出力を併用することができる。
【0058】
レジストローラ37は、給紙経路RSに対して垂直方向に配設された一対のローラを備えており、搬送された記録媒体100又は封筒100Eの供給方向先端(搬送方向先端)の位置合わせ、斜行修正等を行う機能を有する。レジストローラ37に搬送された記録媒体100又は封筒100Eは、ここで一旦停止した後、所定のタイミングにおいて印刷搬送部32に搬送される。つまり、レジストローラ37は、記録媒体100又は封筒100Eの印刷搬送部32への送出タイミングを調整する。
【0059】
印刷搬送部32においては、印刷条件によって定められた移動速度において搬送ベルト321の移動が行われ、この搬送ベルト321の移動に従い搬送経路RCに沿って記録媒体100又は封筒100Eが搬送される。プラテンプレート63上に記録媒体100又は封筒100Eが搬送されると、印刷部6のプリントヘッド61は各色のインクを吐出し、カラー印刷、モノクロ印刷又はグレースケール印刷が行われる。
【0060】
印刷済みの記録媒体100又は封筒100Eは、搬送経路RCに沿って搬送され、排紙部4に排紙する場合には切換部325を用いて排紙搬送部38に搬送される。排紙搬送部38に搬送された記録媒体100又は封筒100Eは排紙部4の排紙トレイに格納される。
【0061】
排紙部5に排紙する場合には、印刷済み記録媒体100又は封筒100Eは上昇搬送部33に搬送され、引き続き水平搬送部34に搬送される。ここで、片面印刷であって直接排紙部5に排紙する場合には切換部361を用いて排紙搬送部35に搬送される。排紙搬送部35に搬送された記録媒体100又は封筒100Eは排紙部5の排紙トレイに格納される。
【0062】
両面印刷の場合には、水平搬送部34から切換部361を用いて記録媒体100又は封筒100Eは反転搬送部36に搬送される。反転搬送部36において、記録媒体100又は封筒100Eは反転搬送経路RRを通してスイッチバック部364に搬送され、この記録媒体100又は封筒100Eはスイッチバック部364から反転切換部365を通して搬送方向を反転させかつ表裏を反転させて再度レジストローラ37まで搬送される。片面印刷の場合と同様に、この記録媒体100は、レジストローラ37によって送出タイミングを調整して印刷搬送部32に搬送されて印刷を行った後、上昇搬送部33、水平搬送部34、排紙搬送部35に順次搬送され、排紙部5の排紙トレイに格納される。
【0063】
このような画像形成装置1の印刷動作は印刷ジョブに含まれる情報に基づき制御部8内(印刷スケジュール生成管理部802)において生成され管理される印刷スケジュールに従って実行を行っている。ここでは、印刷スケジュールは、印刷ジョブに含まれる情報、例えば記録媒体100又は封筒100Eの設定情報、印刷枚数の情報、カラー印刷又はモノクロ印刷の設定情報、片面印刷又は両面印刷の設定情報等の情報に基づき、給紙開始のタイミング、レジストローラ37の送出タイミング、印刷部6の印刷動作の実行タイミング、排紙タイミング、反転タイミング等のスケジュールを設定することである。この印刷スケジュールの管理は、搬送手段3の搬送経路に配設された各種センサの検出結果に基づき、制御部8内(印刷スケジュール生成管理部802)において行われる。
【0064】
[封筒の種類及び構成]
前述の記録媒体100として使用される封筒100Eには様々な種類がある。図3(A)、図3(B)及び図3(C)に示す封筒100Eは多用されている長形封筒100E1である。
【0065】
長形封筒100E1は、手紙、文章等を内包し、用紙を折り重ねて作成された長方形形状を有し、この長方形形状の3辺が封じられた本体(封筒本体)101と、本体101の残りの1辺に作成され手紙等を内包した後に折り返して綴じるフラップ(折り返し蓋)102とを有する。本体101とフラップ102との間はフラップ102の折り返し領域103である。本体101は、1枚(又は内袋を含めて複数枚)の用紙を2枚に折り重ねた部分と、更に糊付けされた3枚の用紙を重ねた部分1011及び1012とを有する。用紙を重ねた部分1011は、センタ貼りの場合、本体101の中央部に位置しているが、サイド貼りとして3辺のうちの対向する2辺のいずれかに位置してもよい。また、用紙を重ねた部分1012は、本体101のフラップ102と対向する1辺(天に対して地)に位置し、フラップ102と同様の形状を有し、予め糊付けされている。
【0066】
図3(A)に示す長形封筒100E1の本体101及びフラップ102は表面である。この本体101の表面には住所、会社名、氏名等の宛先を表示する表面画像1013が印刷される。図3(B)に示す長形封筒100E1の本体101及びフラップ102は裏面である。この本体101の裏面には住所、会社名、氏名等の送付元を表示する裏面画像1014が印刷される。図3(C)に示す長形封筒100E1の本体101及びフラップ102は断面である。
【0067】
一実施例に係る画像形成装置1においては、裏面画像1014のうち、折り返されたフラップ102に重複しない裏面画像の一部1014Aは本体101の裏面に印刷され、フラップ102の折り返された表面には裏面画像の他の一部1014Bが印刷される。裏面画像の他の一部1014Bは本体101の表面に表面画像1013を印刷するときに併せて印刷される。また、予め本体101にフラップ102が折り返され、裏面画像の他の一部1014Bは本体101の裏面に裏面画像の一部1014Aを印刷するときに併せて印刷される。
【0068】
なお、一実施例に係る画像形成装置1が印刷の対象としている封筒100Eは長形封筒100E1に限定されるものではない。封筒100Eには、少なくとも角形封筒及び洋形封筒が含まれる。また、封筒100Eには、例えば本体101の表面側に透明フィルムの窓を配設した窓付きの封筒が含まれる。
【0069】
[画像形成装置のシステム構成]
(1)システム全体の概略構成
図4に示すように、一実施例に係る画像形成装置1の制御部8は、制御用IC(制御用中央演算処理ユニット)80と、画像情報格納部81と、封筒形状情報取得部82とを備えている。制御用IC80は、封筒形状判断手段801と、印刷スケジュール生成管理部802と、搬送加減速度制御部803とを備えている。制御部8のこれらの制御用IC80等は相互に接続され、制御用IC80は画像情報格納部81、封筒形状情報取得部82の制御を司る。また、制御部8は、インターフェイス部83、操作部84のそれぞれに接続され、このインターフェイス部83、操作部84のそれぞれの制御を司る。
【0070】
制御部8の画像情報格納部81は、封筒情報格納部810と、画像情報展開部811と、封筒画像情報展開部812とを備えている。封筒情報格納部810は、更に封筒形状情報格納部8101と、封筒印刷画像情報格納部8102とを備えている。
【0071】
制御部8の制御用IC80には、更に給紙搬送部31に配設された各種検出部である媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26、封筒形状検出部27のそれぞれが接続され、搬送手段3の搬送経路に配設された各種センサ281〜283、285〜288、291〜296のそれぞれが接続されている。また、制御用IC80には駆動回路220が接続され、この駆動回路220は給紙搬送部駆動源210、レジストローラ駆動源211、排紙搬送部駆動源212のそれぞれが接続されている。また、制御用IC80には、ベルト駆動源230、搬送部駆動源231、反転搬送部駆動源232がそれぞれ接続されている。
【0072】
更に、制御用IC80には印刷部6、吸引装置7のそれぞれが接続されている。印刷部6は、更にヘッド駆動部610と、ヘッドギャップ調整部611と、インク循環ユニット62とを備えている。これらのヘッド駆動部610等は制御用IC80に接続されている。
【0073】
(2)インターフェイス部の構成
インターフェイス部83は、画像形成装置1の外部に設置された図示しない外部端末に有線若しくは無線LAN、電話回線、ケーブル等の通信経路を通して接続され、外部端末から送信される画像情報を受信する機能を有する。外部端末は例えばパーソナルコンピュータである。また、インターフェイス部83は、図示しない内蔵スキャナを用いて取り込んだ画像情報や内蔵ファクシミリを通じて送信された画像情報を受信する機能を有する。また、インターフェイス部83は、内蔵スキャナを用いて取り込んだ画像情報や印刷ジョブの処理状態に関する情報を外部端末や外部ファクシミリに送信する機能を有する。更に、インターフェイス部83は、図示しないが、USBメモリ、カードメモリ等の可搬性メモリのスロットを備え、可搬性メモリに記憶された画像情報を取り込む機能を有する。
【0074】
(3)操作部の構成
操作部84は、その詳細な構成を省略してあるが、ユーザにおいて画像形成装置1の起動、停止、終了、印刷、画像取り込み、画像送受信等の操作を行う、電源スイッチ、操作パネル等を配設している。操作部84においては、印刷に際して、記録媒体100の種類、サイズ、カラー印刷、モノクロ印刷、グレースケール印刷等の印刷条件の設定を行うことができる。更に、操作部84においては、封筒100Eの印刷に際して、封筒100Eの種類、サイズ、カラー印刷、モノクロ印刷、グレースケール印刷等の印刷条件の設定を行うことができる。
【0075】
(4)画像情報格納部の構成
画像情報格納部81はインターフェイス部83を通して受信又は取り込まれた画像を格納する機能を有する。この画像情報格納部81には記録媒体100に印刷される画像情報が格納される。画像情報格納部81の封筒情報格納部810には封筒100Eに印刷される画像情報が格納される。
【0076】
封筒情報格納部810の封筒形状情報格納部8101は各種の封筒100Eの形状情報(封筒情報)を格納する。ここで、封筒100Eの形状情報とは、少なくとも種類及びサイズの情報である。例えば、図3(A)乃至図3(C)に示す長形封筒100E1はJIS規格化されており、その形状情報には、種類「長4」、この種類の本体101の縦寸法(天地寸法)L「205mm」、幅寸法(巾寸法)W「90mm」に関する情報が含まれている。更に、一実施例に係る画像形成装置1においては、形状情報にフラップ102の縦寸法Lf例えば「20mm」並びに用紙を重ねた部分1012の縦寸法Lg例えば「20mm」に関する情報が含まれている。ここでは、フラップ102の縦寸法Lf、用紙を重ねた部分1012の縦寸法Lgのそれぞれは、封筒100Eの搬送方向に一致し、同等の寸法を有する。封筒100Eの形状情報は各種類毎に対応する情報として格納される。
【0077】
封筒情報格納部810の封筒印刷画像情報格納部8102には、前述の図3(A)及び図3(B)に示す長形封筒100E1の本体101の表面に印刷される表面画像1013、本体101の裏面に印刷される裏面画像1014の双方の画像情報が格納される。裏面画像1014は、フラップ102を閉じたときに1つの画像となる画像情報であり、本体101の裏面に印刷される一部の裏面画像1014Aとフラップ102の表面に印刷される他の一部の裏面画像1014Bとを有する。
【0078】
画像情報展開部811は、画像情報格納部81に格納された記録媒体100に印刷する画像情報(ここでは、封筒100Eに印刷する画像情報は除く。)に基づき生成された印刷情報を格納する。この画像情報展開部811において、印刷情報の生成とは、例えば画像情報格納部81に格納された画像情報の画素毎に画素値を対応づけたビットマップ情報に展開し印刷情報を生成することである。画像情報展開部811は、回路構成を含み、内部において印刷情報の生成を実行することもできるが、一実施例においては制御用IC80(具体的にはそれに含まれる中央演算処理ユニット(CPU))を利用し、この制御用IC80内部の図示しない記憶装置又は画像情報展開部811内に格納されたプログラムに基づき生成された印刷情報を格納する。
【0079】
封筒画像情報展開部812は、基本的には画像情報展開部811と同様の構成並びに機能を有し、封筒情報格納部810の封筒印刷画像情報格納部8102に格納された封筒100Eに印刷する画像情報つまり表面画像1013及び裏面画像1014に基づき生成された封筒印刷情報を格納する。封筒画像情報展開部812において、封筒印刷情報の生成とは、前述の印刷情報の生成と同様に、例えば封筒印刷画像情報格納部8102に格納された画像情報の画素毎に画素値を対応づけたビットマップ情報に展開し封筒印刷情報を生成することである。封筒画像情報展開部812は、回路構成を含み、内部において封筒印刷情報の生成を実行することもできるが、一実施例においては制御用IC80を利用し、この制御用IC80内部の図示しない記憶装置又は封筒画像情報展開部812内に格納されたプログラムに基づき生成された封筒印刷情報を格納する。
【0080】
封筒情報格納部810、画像情報展開部811及び封筒画像情報展開部812を備えた画像情報格納部81は一実施例において記憶装置であり、この記憶装置は例えば大容量を有するハードディスクにより構築されている。記憶装置は、1つのハードディスクを用い封筒情報格納部810、画像情報展開部811、封筒画像情報展開部812のそれぞれを領域として適宜割り当ててもよいし、複数のハードディスクにそれぞれを別々に割り当ててもよい。また、記憶装置は、不揮発性メモリに置き換えてもよいし、複数のハードディスクの場合にはその一部を不揮発性メモリに置き換えてもよい。
【0081】
(5)検出部の構成
図1及び図2に示す搬送手段3の給紙搬送部31に配設された媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26及び封筒形状検出部27は、ここでは搬送ローラ206の前段(上流側)であって搬送ローラ206と205との間に配設されている。これらの媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26及び封筒形状検出部27は、図4に示すように、制御部8の制御用IC80に接続されている。
【0082】
媒体サイズ検出部25は主に記録媒体100のサイズの検出に使用される。図5(A)及び図5(B)に示すように、媒体サイズ検出部25は、給紙経路RSに搬送される記録媒体100の反射光量の違い及び媒体サイズ検出部25の通過のときの搬送量に基づき記録媒体100の長さ寸法を検出する。また、媒体サイズ検出部25は、搬送方向と交差する方向にセンサを配列した場合には、給紙経路RSに搬送される記録媒体100の幅方向の反射光量の違いに基づき、記録媒体100の幅寸法を検出する。反射光量の違いは電圧の違いとして検出信号を生成し、この検出信号は制御用IC80に出力される。
【0083】
封筒形状検出部27は主に封筒100Eの形状の検出に使用される。封筒形状検出部27は、図6(A)及び図6(B)に示すように、給紙経路RSに搬送される封筒100Eの反射光量(又は透過光量)の違いを検出して封筒100Eの形状を検出する。反射光量(又は透過光量)の違いは電圧の違いとして検出信号を生成し、この検出信号は制御用IC80に出力される。
【0084】
媒体厚検出部26は、記録媒体100の厚さの検出に使用されるとともに、封筒100Eの各部位の厚さの検出に使用される。媒体厚検出部26は、図7(A)及び図7(B)に示すように、給紙経路RSに搬送される記録媒体100や封筒100Eの透過光量を検出して記録媒体100や封筒100Eの厚さを検出する。封筒100Eにおいては、フラップ102は例えば1枚の用紙であるので透過光量が大であり、本体101は例えば2枚の用紙であるので透過光量は中であり、用紙を重ねた部分1012は例えば3枚の用紙であるので透過光量は小である。従って、媒体厚検出部26においては、透過光量の違いに基づき、フラップ102、本体101、用紙を重ねた部分1012のそれぞれの厚さを検出することができる。透過光量の違いは電圧の違いとして検出信号を生成し、この検出信号は制御用IC80に出力される。媒体厚検出部26を用いた封筒100Eの厚さの検出結果は、フラップ102、本体101、用紙を重ねた部分1012のそれぞれの長さ並びに部位の特定の情報として使用され、更に搬送手段3の搬送経路に搬送される封筒100Eの搬送方向先端側がフラップ102であるのか、本体101(用紙を重ねた部分1012)であるのかの判断情報として使用される。
【0085】
(6)封筒形状情報取得部の構成
前述の図4に示す封筒形状情報取得部82は、媒体厚検出部26の出力結果及び封筒形状検出部27の出力結果に基づき封筒100Eの形状情報を取得する。なお、封筒100Eの形状情報は媒体サイズ検出部25の出力結果に基づき取得することもできる。封筒形状情報取得部82においては、特に、媒体厚検出部26の出力結果及び媒体搬送量検出部28の出力結果に基づき、封筒100Eの本体101のサイズ(長さL)、フラップ102のサイズ(長さLf)及び用紙を重ねた部分1012のサイズ(長さLg)の情報、並びに封筒100Eの搬送方向の向きの情報(フラップ102が搬送方向先端側か本体101の用紙を重ねた部分1012が搬送方向先端側かの情報)を取得し格納することができる。同一種類、同一形状の多量の封筒100Eの印刷を開始する前には、予め、印刷は行わずに、給紙部2から印刷部6を通して排紙部4又は5まで搬送手段3を用いて1枚(又は数枚の)封筒100Eの通紙が行われ、この通紙の際に封筒100Eの形状情報(封筒情報)が取得される。
【0086】
(7)搬送手段の駆動系の構成
駆動回路220は、制御部8詳細には制御用IC80からの制御信号に基づき、給紙搬送部駆動源210、レジストローラ駆動源211、排紙搬送部駆動源212の駆動を行う。給紙搬送部駆動源210は給紙搬送部31の給紙ローラ201〜204の駆動を行う。レジストローラ駆動源211はレジストローラ37の駆動を行う。排紙搬送部駆動源212は排紙搬送部38の排紙ローラ381、排紙搬送部35の排紙ローラ351の駆動を行う。給紙搬送部駆動源210、レジストローラ駆動源211、排紙搬送部駆動源212のそれぞれには例えばDCモータが使用されている。
【0087】
また、制御用IC80からの制御信号に基づき、ベルト駆動源230、搬送部駆動源231、反転搬送部駆動源232の駆動が行われる。ベルト駆動源230は駆動ローラ322を駆動し、駆動ローラ322は搬送ベルト321を駆動する。搬送部駆動源231は上昇搬送部33の搬送ローラ331、332、水平搬送部34の搬送ローラ341等の駆動を行う。反転搬送部駆動源232は反転搬送部36の搬送ローラ362、363、366の駆動を行う。ベルト駆動源230、搬送部駆動源231のそれぞれには例えばDCブラシレスモータが使用されている。反転搬送部駆動源232には例えばステッピングモータが使用されている。
【0088】
(8)制御用ICの封筒形状判断手段の構成
制御部8において制御用IC80の封筒形状判断手段801は、封筒形状情報取得部82に各種検出部の検出結果に基づき取得し格納された封筒情報と、封筒形状情報格納部8101に既存値として予め格納した封筒情報とを比較し、印刷の実行を行う封筒100Eの形状を判断する。この封筒100Eの形状の判断とは、封筒100Eの本体101の長さL、幅W、フラップ102の長さLf、用紙を重ねた部分1012の長さLg、封筒100Eの搬送方向の向き、フラップ102の開閉状態等に関する封筒情報が判断されるという意味である。
【0089】
(9)制御用ICの印刷スケジュール生成管理部の構成
制御用IC80の印刷スケジュール生成管理部802は、記録媒体100又は封筒100Eの印刷ジョブに含まれる情報に基づき印刷スケジュールを生成し、この印刷スケジュールに従う記録媒体100又は封筒100Eの搬送動作、印刷動作、排紙動作のそれぞれの実施状態を管理する機能を有する。印刷スケジュールの生成とは、画像形成装置1において例えば封筒100Eの印刷動作の開始タイミング、給紙部2から搬送手段3への封筒100Eの給紙タイミング、レジストローラ37の送出タイミング、印刷部6の印刷タイミング、排紙部4又は5の排紙タイミング、反転搬送部36の再給紙タイミング等の各種タイミングを時間軸上に設定し、封筒100Eの印刷開始から終了までの一連の印刷に要するスケジュールを生成するという意味で使用される。印刷スケジュールの生成には、例えば封筒100Eの印刷の場合、封筒100Eの種類、サイズ、カラー印刷、モノクロ印刷、グレースケール印刷等の印刷条件に関する情報と、搬送手段3の搬送経路における封筒100Eの搬送速度に関する情報とを少なくとも用いて生成することができる。
【0090】
また、印刷スケジュール生成管理部802において、印刷スケジュールの実施状態の管理には、各種センサが使用されている。例えば、封筒100Eの片面印刷の場合、搬送手段3において、印刷スケジュールに従って封筒100Eが給紙経路RSを予定通りに通過したか否かは搬送センサ281〜283、285の検出結果に基づき判断され、搬送経路RCを予定通り通過したか否かはトップエッジセンサ287、288の検出結果に基づき判断され、搬送経路RVを予定通り通過したか否かは上面搬送入口センサ291の検出結果に基づき判断され、搬送経路RCを予定通り通過したか否かはフリッパセンサ292の検出結果に基づき判断され、排紙経路RD2を予定通り通過したか否かはフェイスダウン排紙センサ293の検出結果に基づき判断される。封筒100Eの両面印刷の場合、搬送手段3において、更に印刷スケジュールに従って封筒100Eが反転搬送経路RRの上面搬送出口センサ294、スイッチバックセンサ295、再給紙センサ296のそれぞれを通過したか否かは検出結果に基づき判断され、そしてこれ以降は片面印刷の場合と同様に各センサの検出結果に基づき判断される。これらの判断に基づき、印刷スケジュール生成管理部802において印刷スケジュールの実施状態の管理を行うことができる。
【0091】
一実施例に係る画像形成装置1において、印刷スケジュール生成管理部802は専用回路として構成されているが、制御用IC80を用いソフトウエアを実行することによって印刷スケジュール生成管理部802を構築することができる。
【0092】
(10)制御用ICの搬送加減速度制御部の構成
制御用IC80の搬送加減速度制御部803は、搬送センサ(ここでは、図2に示す搬送センサ285)を用いて検出された封筒100Eの搬送位置及び封筒情報格納部810に格納された封筒情報に基づき、搬送部駆動源231を通して搬送ローラ285を用いた封筒100Eの搬送速度の加減速度を制御し、一定搬送時間においてレジストローラ37に封筒100Eを搬送する機能を有する。搬送ローラ285を用いた封筒100Eの搬送速度の加減速度の制御は、封筒100Eのフラップ102及び用紙を重ねた部分1012を除き、本体101において行われる。封筒100Eの搬送速度の加減速度の制御に封筒情報格納部810に格納された封筒情報を直接使用することができるが、一実施例に係る画像形成装置1においては、最終的に封筒形状判断手段801を用いて判断された封筒情報に基づき封筒100Eの搬送速度の加減速度の制御が行われている。
【0093】
搬送センサ285は給紙搬送部31に配設され、搬送加減速度制御部803は給紙部2から封筒100Eをレジストローラ37まで搬送する片面印刷の場合の搬送速度の制御を行う。一実施例に係る画像形成装置1は更に反転搬送部36に再給紙センサ296及び搬送ローラ366を備え、搬送加減速度制御部803は、片面印刷の場合と同様に、反転搬送部36の反転搬送経路RRから封筒100Eがレジストローラ37まで搬送される場合の搬送速度の制御を行う。ここでは、この両面印刷の場合の搬送速度の制御方法は片面印刷の場合の搬送速度の制御方法と同様に実施されるので、片面印刷の場合の搬送速度の制御方法を以下に説明し、両面印刷の場合の搬送速度の制御方法の説明は省略する。
【0094】
搬送加減速度制御部803の搬送速度の制御は図8(A)に示す通り行われる。図8(A)において、横軸は給紙部2例えば給紙トレイ22に格納された記録媒体100又は封筒100Eの給紙開始(給紙ローラを用いた給紙開始時刻)からレジストローラ37に到達する時刻までの記録媒体100又は封筒100Eの搬送時間(又は搬送期間)であり、縦軸は搬送ローラ206(両面印刷の場合は搬送ローラ366)の回転速度(加減速度)である。
【0095】
線図aは、印刷スケジュール生成管理部802において生成された印刷スケジュールに従い(理論値に従い)、一定の基準搬送速度Vにおいて、給紙トレイ22からレジストローラ37まで搬送される記録媒体100及び封筒100Eの搬送時間と搬送ローラ206の回転速度との関係を示す。給紙トレイ22から搬送経路RSに記録媒体100又は封筒100Eの搬送が開始されると、一定時間経過後に、搬送速度がゼロから基準搬送速度Vまで加速される。この基準搬送速度Vが一定時間維持され、レジストローラ37に近づくと、搬送速度が基準搬送速度Vからゼロまで減速され、記録媒体100又は封筒100Eの搬送方向先端側がレジストローラ37まで搬送される。基準搬送速度Vに達してからレジストローラ37に近づき減速するまで、搬送速度(搬送ローラ206の回転速度)の加速並びに減速は実施されずに、搬送速度に変化はない。「搬送センサ理論値」とは、搬送の遅れや進みがなく、印刷スケジュールに通りに記録媒体100又は封筒100Eが搬送されたときに、搬送センサ285において記録媒体100又は封筒100Eの給紙開始時刻から搬送センサ285が記録媒体100又は封筒100Eを検知する時刻までの時間(理論値)である。
【0096】
線図bは、印刷スケジュール生成管理部802において生成された印刷スケジュールに対して搬送時間に進みが生じた(速く搬送された)場合の、給紙トレイ22からレジストローラ37まで搬送される記録媒体100の搬送時間と搬送ローラ206の回転速度との関係を示す。給紙トレイ22から搬送経路RSに記録媒体100の搬送が開始されると、一定時間経過後に搬送速度がゼロから基準搬送速度Vまで加速される。基準搬送速度Vに加速された後、搬送センサ285において記録媒体100が検出され、この検出時間が印刷スケジュールに従う検出時間に対して速い場合、搬送速度は基準搬送速度Vから若干減速され、減速された搬送速度が一定時間維持される。レジストローラ37に近づくと、減速された搬送速度からゼロまで減速され、記録媒体100の搬送方向先端側がレジストローラ37まで搬送される。基準搬送速度Vから搬送速度が一定時間減速されるものの、給紙開始からレジストローラ37に達するまでの搬送時間は印刷スケジュールに従う搬送時間に対して同一である。「搬送センサ実測1」とは、搬送の進みがあり、印刷スケジュールよりも速い時間において記録媒体100が検出される時間である。
【0097】
線図cは、印刷スケジュール生成管理部802において生成された印刷スケジュールに対して搬送時間に遅れが生じた(遅く搬送された)場合の、給紙トレイ22からレジストローラ37まで搬送される記録媒体100の搬送時間と搬送ローラ206の回転速度との関係を示す。給紙トレイ22から搬送経路RSに記録媒体100の搬送が開始されると、一定時間経過後に搬送速度がゼロから基準搬送速度Vまで加速される。基準搬送速度Vに加速された後、搬送センサ285において記録媒体100が検出され、この検出時間が印刷スケジュールに従う検出時間に対して遅い場合、搬送速度は基準搬送速度Vから若干加速され、加速された搬送速度が一定時間維持される。レジストローラ37に近づくと、加速された搬送速度からゼロまで減速され、記録媒体100の搬送方向先端側がレジストローラ37まで搬送される。基準搬送速度Vから搬送速度が一定時間加速されるものの、給紙開始からレジストローラ37に達するまでの搬送時間は印刷スケジュールに従う搬送時間に対して同一である。「搬送センサ実測2」とは、搬送の遅れがあり、印刷スケジュールよりも遅い時間において記録媒体100が検出される時間である。
【0098】
線図dは、印刷スケジュール生成管理部802において生成された印刷スケジュールに対して搬送時間に進みが生じた場合の、給紙トレイ22からレジストローラ37まで搬送される封筒100Eの一実施例に係る搬送時間と搬送ローラ206の回転速度との関係を示す。給紙トレイ22から搬送経路RSに封筒100Eの搬送が開始されると、一定時間経過後に搬送速度がゼロから基準搬送速度Vまで加速される。基準搬送速度Vに加速された後、搬送センサ285において封筒100Eが検出される(「搬送センサ実測1」において検出される)。この検出時間が印刷スケジュールに従う検出時間に対して速い場合、搬送速度は基準搬送速度Vから若干減速され、減速された搬送速度が一定時間維持される。
【0099】
封筒情報検出手段等によって得られる封筒情報からフラップ102、本体101、用紙を重ねた部分1012の各領域を特定することができるので、封筒100Eの減速は、図7(C)に示すように、フラップ102又は用紙を重ねた部分1012の領域を除き、本体101の領域(加減速領域)において搬送ローラ206を用いて行われる。フラップ102及び用紙を重ねた部分1012の用紙の厚さは本体102の用紙の厚さに対して異なり、封筒100Eの各部位毎に腰の強弱が変化し、封筒100Eと搬送ローラ206との滑りに変化が生じ、これは搬送速度のばらつきを誘発する。同様に、フラップ102から本体101に切り替わる部分、本体101から用紙を重ねた部分1012に切り替わる部分も同様に用紙の厚さの変化によって搬送速度にばらつきが生じる。一実施例に係る画像形成装置1においては、このような搬送速度のばらつきを減少するために、最も長く安定に用紙の厚さを一定期間確保することができる本体101において加減速領域が設定されている。
【0100】
フラップ102又は用紙を重ねた部分1012の領域を除き本体101の加減速領域において搬送速度を減速しているので、フラップ102又は用紙を重ねた部分1012の領域において減速開始の待機を行った分、減速は線図bに比べて更に若干大きくなる。レジストローラ37に近づくと、減速された搬送速度からゼロまで減速され、封筒100Eの搬送方向先端側がレジストローラ37まで搬送される。基準搬送速度Vから搬送速度が一定時間減速されるものの、給紙開始からレジストローラ37に達するまでの搬送時間は印刷スケジュールに従う搬送時間に対して同一である。
【0101】
線図eは、印刷スケジュール生成管理部802において生成された印刷スケジュールに対して搬送時間に遅れが生じた場合の、給紙トレイ22からレジストローラ37まで搬送される封筒100Eの一実施例に係る搬送時間と搬送ローラ206の回転速度との関係を示す。給紙トレイ22から搬送経路RSに封筒100Eの搬送が開始されると、一定時間経過後に搬送速度がゼロから基準搬送速度Vまで加速される。基準搬送速度Vに加速された後、搬送センサ285において封筒100Eが検出される(「搬送センサ実測2」において検出される)。この検出時間が印刷スケジュールに従う検出時間に対して遅い場合、搬送速度は基準搬送速度Vから若干加速され、加速された搬送速度が一定時間維持される。減速の場合と同様に、封筒情報検出手段等によって得られる封筒情報からフラップ102、本体101、用紙を重ねた部分1012の各領域を特定することができるので、封筒100Eの加速は、図7(C)に示すように、フラップ102又は用紙を重ねた部分1012の領域を除き、本体101の領域(加減速領域)において搬送ローラ206を用いて行われる。
【0102】
フラップ102又は用紙を重ねた部分1012の領域を除き本体101の領域(加減速領域)において搬送速度を加速しているので、フラップ102又は用紙を重ねた部分1012の領域において加速開始の待機を行った分、加速は線図cに比べて更に若干大きくなる。レジストローラ37に近づくと、加速された搬送速度からゼロまで減速され、封筒100Eの搬送方向先端側がレジストローラ37まで搬送される。基準搬送速度Vから搬送速度が一定時間加速されるものの、給紙開始からレジストローラ37に達するまでの搬送時間は印刷スケジュールに従う搬送時間に対して同一である。
【0103】
なお、封筒100Eの搬送に遅れや進みがない場合には、線図aと同様に、封筒100Eは減速も加速もなく基準搬送速度Vに維持される。なお、ここでは、フラップ102を搬送方向先端側として封筒100Eを搬送する場合の搬送速度の制御方法を説明している。用紙を重ねた部分1012を搬送方向先端側として封筒100Eを搬送する場合の搬送速度の制御方法は同様に行われるので、その制御方法の説明は重複するので省略する。
【0104】
上記線図d及びeに示す、給紙開始からレジストローラ37に到達するまでの間において基準搬送速度Vから減速又は加速する補正搬送速度Vは次式<1>を用いて算出する。
【数1】

【0105】
ここで、図8(A)を参照して、Vα1は基準搬送速度(既知数)Vから加速するときの平均速度、Vα2は基準搬送速度Vから減速するときの平均速度である。Tα1は加減速に必要な時間、Tα2は補正搬送速度Vから停止するまでに必要な時間である。TVXは補正搬送速度Vにおいて搬送している時間である。L7rは、図2に示す搬送ローラ285からレジストローラ37までの搬送速度の補正区間の長さである。この補正区間の長さL7rは、既知数であり、単位はmm、又は搬送部駆動源231の回転によって検出されるエンコーダパルスに換算した数である。Lfは封筒100Eのフラップ102の搬送方向の長さである。ここでの長さLfは、給紙経路RSにおいて搬送ローラ206の配設位置と搬送センサ285の配設位置とが同一の場合、同一でない場合を問わず、フラップ102の長さから搬送ローラ206の配設位置と搬送センサ285の配設位置との間の距離を引いた値となる。図8(A)において、左から2番目の長さLfは、搬送ローラ206が封筒100Eのフラップ102を挟んでいる期間(距離)である。また、このフラップ102の長さLfは用紙を重ねた部分1012の搬送方向の長さLgに等価である。
【0106】
また、αは加速度であり、図8(A)中、α1は基準搬送速度Vから補正搬送速度Vまで加減速する間の加速度(既知数)、α2は補正搬送速度Vから停止するまでの間の加速度(既知数)である。Lは、基準搬送速度Vと、搬送センサ理論値と搬送センサ実測値(搬送センサ実測値1又は2)との差分時間とから決定される値である。Tは搬送センサ285に到達する理論値の時間に対する実測された遅れ量である。
【0107】
平均速度Vα1は次式<2>、加減速に必要な時間Tα1は次式<3>、時間TVXは次式<4>、平均速度Vα2は次式<5>、加減速に必要な時間Tα1は次式<6>を用いて算出する。
【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【数6】

【0108】
上記式<1>において、補正搬送速度Vは、図8(B)に示すように、搬送センサ理論値通りに封筒100Eが搬送され基準搬送速度Vを経てレジストローラ37に至ることによって描かれる線図aによって囲まれた領域の面積(右上がり斜線領域)と、搬送センサ実測値2において封筒100Eが検出され基準搬送速度V及び加速度を経てレジストローラ37に至ることによって描かれる線図eによって囲まれた領域の面積(左上がり斜線領域)とを同一とするように設定されている。
【0109】
つまり、搬送センサ206からレジストローラ37までの距離L7r(固定値)から、搬送センサ実測値2における封筒100Eの検出からフラップ102の一定速度における長さLfを差し引いた値(L7r−Lf)は、図8(B)に示す線図eの立ち上がり搬送距離(Vα1・Tα1+V・TVX+Vα2・Tα2)になると言えるので、上記式<1>のようになる。
【0110】
ここで、上記式<1>に式<2>乃至式<6>を代入するとともに、加速度α=α1=α2として、式を展開すると、次式<7>を導き出すことができ、補正搬送速度Vを得ることができる。なお、封筒100Eが搬送センサ理論値よりも早く搬送され、搬送センサ実測値1において検出された場合も、同様に補正搬送速度Vを算出することができる。
【数7】

【0111】
搬送加減速度制御部803においては、補正搬送速度Vを算出し、この算出結果に基づき搬送部駆動源231の駆動制御を行い、搬送ローラ206を用いた封筒100Eの加減速度の制御が行われる。フラップ102を搬送方向後端側として封筒100Eを搬送し、図7(C)に示すように搬送経路を搬送中に本体101の厚い(2枚の)部分からフラップ102の薄い(1枚の)部分に封筒100Eの厚さが切り替わると、搬送ローラ206に加わる負荷が軽くなり、送り過ぎの原因になる。逆に、フラップ102を搬送方向先端側として封筒100Eを搬送し、搬送経路を搬送中に本体101の薄い(2枚の)部分から用紙を重ねた部分1012(糊付けされた厚い3枚の部分)に封筒100Eの厚さが切り替わると、搬送ローラ206に加わる負荷が重くなり、搬送ローラ206と封筒100Eとの間に滑りを生じて送り不足の原因になる。搬送加減速度制御部803は、厚さも腰の強弱も中間であり搬送ローラ206との接触が最も長い(封筒100Eにおいて最も長さLが長い)本体101の領域において、搬送速度の加減速の制御を行い、封筒100Eの厚さの切り替わる領域においては加減速の制御を行い。そして、搬送加減速度制御部803は、レジストローラ37に封筒100Eを搬送する搬送時間が一定搬送時間に満たないとき(搬送遅れが生じるとき)封筒100Eの搬送速度を加速する制御を行い、搬送時間が一定搬送時間を越えるとき(搬送進みが生じるとき)搬送速度を減速する制御を行う。
【0112】
(11)印刷部の構成
図4に示す印刷部6のヘッド駆動部610は、制御用IC80に接続され、この制御用IC80の制御信号に基づきプリントヘッド61の図示しない圧電素子に印加する電圧を調整し、インクの吐出の制御を行う。インク循環ユニット62は制御用IC80に接続されている。制御用IC80は、例えば、インク循環ユニット62のインク循環ポンプを制御しインクの循環の制御を行い、又循環されるインクの温度を検出してこの検出結果に基づき温度調整器を制御してインク温度の制御を行う。
【0113】
印刷部6のヘッドギャップ調整部611は、媒体厚検出部26の検出結果に基づき、プリントヘッド61のノズル面と記録媒体100又は封筒100Eの表面との間のヘッドギャップを適正値に調整する。特に、封筒100Eにおいては、本体101、フラップ102、用紙を重ねた部分1012のそれぞれの厚さが異なるので、一定のヘッドギャップを確保するために、ヘッドギャップ調整部611によってヘッドギャップが調整される。一実施例に係る画像形成装置1において、ヘッドギャップ調整部611は、その機構の詳細を省略しているが、駆動源を用いてベルトプラテンユニット65を上下方向(プリントヘッド61に近づき又は遠ざかる方向)に移動することよって、ヘッドギャップを調整している。
【0114】
(12)吸引装置の構成
吸引装置7は制御用IC80に接続され、この制御用IC80の制御によって吸引装置7の稼働の制御が行われる。吸引装置7は、図示しないが、プラテンプレート63に配設された吸引孔並びに搬送ベルト321に配設された穴を通して、記録媒体100や封筒100Eを搬送ベルト321の表面に吸着させる。従って、記録媒体100や封筒100Eとプリントヘッド61との干渉を防止することができ、かつヘッドギャップを適正に確保することができる。
【0115】
[画像形成装置の搬送速度の制御方法]
図9に示すように、一実施例に係る画像形成装置1において、記録媒体100並びに封筒100Eの給紙部2からレジストローラ37までの搬送速度の制御方法は以下の通りである。
【0116】
まず、一実施例に係る画像形成装置1において、搬送部駆動源231の開始信号が制御部8から入力されたか否かが判断される(S1)。開始信号が入力されてない場合には、再度、開始信号の入力があるまで待機がなされる。
【0117】
ステップS1において、開始信号が入力されると、搬送部駆動源231の動作が開始される(S2)。この搬送部駆動源231の動作の開始に伴い、搬送ローラ206は基準搬送速度Vを維持可能な回転動作を行う。
【0118】
給紙要求信号が発せられたか否かが判断される(S3)。給紙要求信号が発せられていない場合は前段のステップに戻る。給紙要求信号が発せられると、給紙部2の給紙動作が開始され(S4)、給紙部2例えば給紙トレイ22から記録媒体100又は封筒100Eが搬送経路RSに給紙される。
【0119】
引き続き、搬送部駆動源231に配設された図示しないエンコーダは搬送部駆動源231の回転動作に伴いエンコーダパルスを発生し、このエンコーダパルス数のカウントが開始される(S5)。エンコーダパルス数のカウントによって搬送時間が計測される。
【0120】
搬送センサ285において、記録媒体100又は封筒100Eが検出されたか否かが判断される(S6)。記録媒体100又は封筒100Eが検出されない場合は前段のステップに戻る。記録媒体100又は封筒100Eの検出がなされると、エンコーダパルス数のカウントが終了する(S7)。
【0121】
エンコーダパルス数のカウント数に基づき、搬送加減速度制御部803において、給紙ローラ202の給紙のときの滑り量、つまり給紙のときの搬送の遅れ量又は進み量が算出される(S8)。ここで、普通紙等の記録媒体100が給紙され搬送されたのか、封筒100Eが給紙され搬送されたのかが判定される(S9)。
【0122】
記録媒体100が搬送された場合、滑り量に応じて、搬送加減速度制御部803は、搬送部駆動源231の駆動制御を行い、搬送ローラ206を用い搬送の遅れ量又は進み量に応じて記録媒体100の加減速度の制御を行う(S15)。引き続き、搬送加減速度制御部803は、搬送部駆動源231の停止位置を算出する(S16)。これは搬送センサ285の記録媒体100の検出から搬送部駆動源231の駆動停止までのエンコーダパルス数を算出することによって行われる。記録媒体100がレジストローラ37まで搬送され停止位置に停止したか否かが判定される(S17)。記録媒体100が停止位置に停止されると判定された場合には搬送部駆動源231の動作が停止し(S13)、レジストローラ37への記録媒体100の搬送が終了する(S14)。
【0123】
一方、ステップS9において、封筒100Eが搬送された場合、滑り量並びに本体101の長さL、フラップ102の長さLf及び用紙を重ねた部分1012の長さLgを含む封筒情報に応じて、搬送加減速度制御部803は、搬送部駆動源231の駆動制御を行い、搬送ローラ206を用い搬送の遅れ量又は進み量に応じて封筒100Eの加減速度の制御を行う(S10)。引き続き、搬送加減速度制御部803は、搬送部駆動源231の停止位置を算出する(S11)。封筒100Eがレジストローラ37まで搬送され停止位置に停止したか否かが判定される(S12)。封筒100Eが停止位置に停止されると判定された場合には搬送部駆動源231の動作が停止し(S13)、レジストローラ37への封筒100Eの搬送が終了する(S14)。
【0124】
[実施例の特徴]
前述の一実施例に係る画像形成装置1においては、搬送センサ285を用いて検出された封筒100Eの搬送位置並びに封筒情報格納部810に格納された封筒情報に基づき、搬送加減速度制御部803は、封筒100Eの本体101の厚さ及び腰の強弱を含む搬送条件に対して相違する搬送条件を有するフラップ102及び用紙を重ねた部分1012において搬送ローラ285を用いて一定搬送速度(基準搬送速度V)を維持し、搬送条件の基準となり最も長く搬送条件が変化しない本体101において搬送ローラ285を用いて搬送速度の加減速の制御を行うので、封筒100Eのレジストローラ37への到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる。画像形成装置1においては、封筒100Eの送り過ぎを抑制することができるので、封筒100Eの損傷を減少することができる。
【0125】
更に、一実施例に係る画像形成装置1においては、給紙経路RSに搬送される封筒100Eの片面印刷の場合、反転搬送経路RRに搬送される封筒100Eの両面印刷の場合のいずれの場合においても、搬送加減速度制御部803を用いて搬送速度の加減速の制御を行うことができるので、封筒100Eのレジストローラ37への到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる。
【0126】
更に、一実施例に係る画像形成装置1においては、封筒情報検出手段(ここでは、封筒形状検出部27及び媒体厚検出部26)を用いて検出され封筒形状情報取得部802に格納された封筒情報と封筒情報格納部810に格納された封筒情報とに基づき封筒形状判断手段801を用いて判断された封筒情報によって、搬送加減速度制御部803は封筒100Eの加減速の制御を行うので、正確な加減速の制御を行うことができ、かつ封筒100Eの搬送方向に対応する操作をユーザが行うことなく自動的に加減速の制御を行うことができる。
【0127】
更に、一実施例に係る画像形成装置1においては、封筒形状検出部27を用いて封筒100Eの搬送方向の長さを検出し、媒体厚検出部26を用いて封筒100Eの部位の厚さを検出することができるので、正確な封筒情報を検出することができ、結果として適正な封筒100Eの加減速の制御を行うことができる。
【0128】
更に、一実施例に係る画像形成装置1においては、搬送加減速度制御部803を用いて、レジストローラ37に封筒100Eを搬送する搬送時間が一定搬送時間に満たないとき封筒100Eの搬送速度を加速する制御を行い、搬送時間が一定搬送時間を越えるとき搬送速度を減速する制御を行うので、封筒100Eのレジストローラ37への到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる。
【0129】
更に、一実施例に係る画像形成装置1においては、搬送加減速度制御部803を用いて、封筒100Eのフラップ102及び用紙を重ねた部分1012において搬送速度の加減速の制御を行わないとともに、封筒100Eのフラップ102と本体101との切り替わり並びに本体101と用紙を重ねた部分1012との切り替わりにおいて搬送速度の加減速の制御を行わないので、封筒100Eの厚さの変化並びに封筒の腰の強さの変化に加減速の制御を追従させることなく、レジストローラへの封筒100Eの到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる。
【0130】
(その他の実施例)
上記のように、本発明を一実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものでない。本発明は様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術に適用することができる。例えば、本発明は、インクジェットプリンタに限定されるものではなく、レーザプリンタ等、封筒を印刷可能な画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、厚さや腰が搬送方向に変化する封筒のレジストローラへの到達タイミングのばらつきを減少することができ、生産性を安定化することができる画像形成装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0132】
1…画像形成装置、100…記録媒体、100E…封筒、101…本体、102…フラップ、1013…表面画像、1014…裏面画像、1014A…裏面画像の一部、1014B…裏面画像の他の一部、103…折り返し領域、2…給紙部、21〜24…給紙トレイ、25…媒体サイズ検出部、26…媒体厚検出部、27…封筒形状検出部、28…記録媒体搬送量検出部、286…レジストセンサ、287、288…トップエッジセンサ、291…上面搬送入口センサ、292…フリッパセンサ、293…フェイスダウン排紙センサ、294…上面搬送出口センサ、295…スイッチバックセンサ、296…再給紙センサ、220…駆動回路、210…給紙搬送部駆動源、211…レジストローラ駆動源、212…排紙搬送部駆動源、230…ベルト駆動源、231…搬送部駆動源、232…反転搬送部駆動源、281〜283、285…搬送センサ、3…搬送手段、31…給紙搬送部、32…印刷搬送部、33…上昇搬送部、34…水平搬送部、35…排紙搬送部、36…反転搬送部、4、5…排紙部、6…印刷部、61…プリントヘッド、610…ヘッドギャップ駆動部、611…ヘッドギャップ調整部、6101…インク吐出タイミング調整部、62…インク循環ユニット、63…プラテンプレート、65…ベルトプラテンユニット、66…下降機構、7…吸引装置、8…制御部、80…制御用IC、801…封筒形状判断手段、802…印刷スケジュール生成管理部、803…搬送加減速度制御部、81…画像情報格納部、810…封筒情報格納部、8101…封筒形状情報格納部、8102…封筒印刷画像情報格納部、811…画像情報展開部、812…封筒画像情報展開部、82…封筒形状情報取得部、83…インターフェイス部、84…操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒に印刷を行う印刷部と、
搬送経路に搬送される前記封筒の前記印刷部への送出タイミングを調整するレジストローラと、
前記搬送経路の前記レジストローラの搬送方向の前段に配設され、前記レジストローラに前記封筒を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラを駆動する搬送部駆動源と、
前記搬送経路に配設され、前記搬送経路に搬送される前記封筒の搬送位置を検出する搬送センサと、
前記封筒の本体、フラップ及び用紙を重ねた部分のサイズを含む封筒情報を格納する封筒情報格納部と、
前記搬送センサを用いて検出された前記封筒の搬送位置及び前記封筒情報格納部に格納された前記封筒情報に基づき、前記本体の前記搬送ローラを用いた前記封筒の搬送速度の加減速度を制御し、前記封筒の搬送開始から前記レジストローラに至る一定搬送時間において前記レジストローラに前記封筒を搬送するように前記搬送部駆動源を制御する搬送加減速度制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送経路に配設され、前記封筒の本体、フラップ及び用紙を重ねた部分のサイズ並びに前記封筒の搬送方向の情報を含む封筒情報を検出する封筒情報検出手段と、
この封筒情報検出手段を用いて検出された前記封筒情報を格納する封筒形状情報取得部と、
前記封筒形状情報取得部に格納された前記封筒情報と前記封筒情報格納部に格納された前記封筒情報とに基づき前記封筒の本体、フラップ及び用紙を重ねた部分のサイズ並びに前記封筒の搬送方向を判断する封筒形状判断手段と、を備え、
前記搬送加減速度制御部は、前記封筒形状判断手段において判断された前記封筒の本体、フラップ及び用紙を重ねた部分のサイズ並びに前記封筒の搬送方向に基づき、前記搬送経路において搬送される前記封筒の加減速の制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送加減速度制御部は、前記レジストローラに前記封筒を搬送する搬送時間が前記一定搬送時間に満たないとき前記封筒の搬送速度を加速する制御を行い、前記搬送時間が前記一定搬送時間を越えるとき前記搬送速度を減速する制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送加減速度制御部は、前記封筒の前記フラップ及び前記用紙を重ねた部分において搬送速度の加減速の制御を行わないとともに、前記封筒の前記フラップと前記本体との切り替わり並びに前記本体と前記用紙を重ねた部分との切り替わりにおいて搬送速度の加減速の制御を行わないことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−232832(P2012−232832A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102940(P2011−102940)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】