画像形成装置
【課題】読み取りデータのS/N比特性を改善する。
【解決手段】テストパターンを用紙に印刷し、用紙上のテストパターンを複数のラインセンサチップC1〜C26から構成されるカラーラインイメージセンサ70により読み取り、読み取られたテストパターンの読み取りデータに基づいて印刷におけるキャリブレーションを行う画像形成装置において、複数のラインセンサチップC1〜C26の中からテストパターンが印刷されている領域に対応するラインセンサチップを選択してテストパターンを読み取らせる。テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合には、その変化に応じて読み取らせるラインセンサチップの選択を切り替える。また、テストパターンの種類によって、各ラインセンサチップC1〜C26が備える光源の光量を制御する。
【解決手段】テストパターンを用紙に印刷し、用紙上のテストパターンを複数のラインセンサチップC1〜C26から構成されるカラーラインイメージセンサ70により読み取り、読み取られたテストパターンの読み取りデータに基づいて印刷におけるキャリブレーションを行う画像形成装置において、複数のラインセンサチップC1〜C26の中からテストパターンが印刷されている領域に対応するラインセンサチップを選択してテストパターンを読み取らせる。テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合には、その変化に応じて読み取らせるラインセンサチップの選択を切り替える。また、テストパターンの種類によって、各ラインセンサチップC1〜C26が備える光源の光量を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー画像形成装置では、用紙上にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の単色の階調パッチや、C、M、Y混色のパッチを形成し、用紙上のパッチの濃度又は色度を検知するカラーセンサの検知結果に基づいて、画像形成におけるキャリブレーションを行っている(特許文献1参照)。例えば、カラーセンサの検知結果を、画像形成部の露光量等のプロセス条件、濃度−階調特性を補正するためのキャリブレーションテーブル等へフィードバックすることで、用紙上に形成される最終出力画像の濃度又は色度制御を行うことができる。
【0003】
カラーセンサがRGB等の異なる3種以上の出力を得るためには、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)等の発光スペクトルが異なる3種以上の光源が用いられるか、又は、白色光源と、R、G、B等の分光透過率が異なる3種以上のフィルタが形成された受光素子とが用いられる。
【0004】
また、用紙上の画像を主走査方向に亘って一度に読み取るカラーラインイメージセンサを用いる画像処理装置が提案されている(特許文献2参照)。カラーラインイメージセンサを用いることにより、パッチの位置が規制されず、カラーバランスや濃度の他に、主走査濃度ムラ等の補正データが一度に読み取り可能となる。また、読み取り分解能が高いので、印刷位置や縦筋ノイズの補正データが取得可能となる。このように、さらなる画質の安定及び向上を目指すことができる。
【0005】
また、出力画像とは別の用紙にチャートやパッチ等のテストパターンを出力することなく、出力画像とともに出力画像領域の余白部分にテストパターンを印刷し、それをカラーラインイメージセンサで読み取ることで、用紙や印刷材料(トナー、インク等)、テストパターンの読み取り時間を節約することができる。また、出力画像を印刷しながら補正データを取得するので、略リアルタイムに補正結果を反映することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−202028号公報
【特許文献2】特開2001−45295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、出力画像とテストパターンとが同一の用紙に印刷された場合等、用紙に補正用のテストパターン以外の部分がある場合には、テストパターン以外の部分から読み取られたデータは、キャリブレーションには不要なデータとなる。この不要なデータは、テストパターンから読み取られたデータと並列に信号処理されるので、読み取りデータのノイズ源となり、読み取りデータのS/N比特性を悪化させるという問題があった。すなわち、テストパターン以外の部分から読み取られたデータの存在により、キャリブレーションに用いる読み取りデータの品質が悪化し、高画質を維持することが困難となるおそれがあった。
【0008】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、読み取りデータのS/N比特性を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、予め記憶されているテストパターンを画像形成部により用紙に印刷し、当該印刷されたテストパターンを複数のラインセンサチップから構成されるラインイメージセンサにより読み取り、当該読み取られたテストパターンの読み取りデータに基づいて前記画像形成部による印刷におけるキャリブレーションを行う画像形成装置において、前記複数のラインセンサチップの中から前記テストパターンが印刷されている領域に対応するラインセンサチップを選択して前記テストパターンを読み取らせる読取制御部を備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記読取制御部は、前記テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合には、その変化に応じて読み取らせるラインセンサチップの選択を切り替える。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記複数のラインセンサチップのそれぞれは、前記用紙を照明する光源を備える。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記読取制御部は、前記テストパターンの種類によって、前記光源の光量を制御する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、テストパターンが印刷されている領域以外から読み取られるデータを減らすことにより、ノイズを低減させるので、読み取りデータのS/N比特性を改善することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合に、読み取りデータのS/N比特性を改善することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、光源についても、ラインセンサチップ単位で選択することができ、省電力化を図ることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、光源をテストパターンの種類に応じた光量になるよう制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】カラーラインイメージセンサの構成を示す図である。
【図3】各ラインセンサチップのチップ内構成を示す図である。
【図4】RAFEの構成を示す図である。
【図5】光量調整回路の例を示す図である。
【図6】順電流と相対光度との関係を示す図である。
【図7】画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図8】読取制御部の構成を示すブロック図である。
【図9】信号処理回路の構成を示すブロック図である。
【図10】カラーラインイメージセンサの画素出力タイミング図である。
【図11】各色チャンネルの並列→時系列変換部における信号の出力タイミング図である。
【図12】テストパターンの例を示す図である。
【図13】(a)は、図12のA−Aの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す図である。(b)は、図12のB−Bの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、選択されるラインセンサチップ、及び、光源光量が上げられるラインセンサチップを示す図である。(c)は、図12のC−Cの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す図である。
【図14】テストパターンの他の例を示す図である。
【図15】(a)は、図14のD−Dの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す図である。(b)は、図14のE−Eの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、選択されるラインセンサチップ、及び、光源光量が上げられるラインセンサチップを示す図である。(c)は、図14のF−Fの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す図である。
【図16】通常時のアンプゲインの設定処理を示すフローチャートである。
【図17】アンプゲインの設定方法を説明するための図である。
【図18】光量を上げる場合のアンプゲインの設定処理を示すフローチャートである。
【図19】テストチャートの読み取り処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明する。
図1は、画像形成装置100の概略構成図である。図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部30、用紙収納部90、カラーラインイメージセンサ70等を備える。画像形成装置100は、予め記憶されているテストパターンを画像形成部30により用紙に印刷し、当該印刷されたテストパターンをカラーラインイメージセンサ70により読み取り、当該読み取られたテストパターンの読み取りデータに基づいて画像形成部30による印刷におけるキャリブレーションを行う。
【0019】
画像形成部30は、感光体ドラム31Y,31M,31C,31K、帯電部32Y,32M,32C,32K、露光部33Y,33M,33C,33K、現像部34Y,34M,34C,34K及びトナーカートリッジ35Y,35M,35C,35K、中間転写ベルト36、定着装置37等を備える。
【0020】
帯電部32Yは、感光体ドラム31Yを一様に帯電させる。露光部33Yは、画像データ(Yデータ)に基づいて、帯電された感光体ドラム31Yを露光し、静電潜像を形成する。現像部34Yは、感光体ドラム31Yにイエローのトナーを付着させ、イエローのトナー像を形成する。トナーカートリッジ35Yは、現像部34Yにイエローのトナーを補給する。
【0021】
帯電部32Mは、感光体ドラム31Mを一様に帯電させる。露光部33Mは、画像データ(Mデータ)に基づいて、帯電された感光体ドラム31Mを露光し、静電潜像を形成する。現像部34Mは、感光体ドラム31Mにマゼンタのトナーを付着させ、マゼンタのトナー像を形成する。トナーカートリッジ35Mは、現像部34Mにマゼンタのトナーを補給する。
【0022】
帯電部32Cは、感光体ドラム31Cを一様に帯電させる。露光部33Cは、画像データ(Cデータ)に基づいて、帯電された感光体ドラム31Cを露光し、静電潜像を形成する。現像部34Cは、感光体ドラム31Cにシアンのトナーを付着させ、シアンのトナー像を形成する。トナーカートリッジ35Cは、現像部34Cにシアンのトナーを補給する。
【0023】
帯電部32Kは、感光体ドラム31Kを一様に帯電させる。露光部33Kは、画像データ(Kデータ)に基づいて、帯電された感光体ドラム31Kを露光し、静電潜像を形成する。現像部34Kは、感光体ドラム31Kにブラックのトナーを付着させ、ブラックのトナー像を形成する。トナーカートリッジ35Kは、現像部34Kにブラックのトナーを補給する。
【0024】
中間転写ベルト36には、感光体ドラム31Y,31M,31C,31K上に形成された各色のトナー像が転写され(1次転写)、カラートナー像が形成される。中間転写ベルト36上のカラートナー像は、2次転写ローラ52により、用紙上に一括して転写される(2次転写)。
定着装置37は、用紙上に転写されたトナー像を加熱・加圧により定着させる。
【0025】
用紙収納部90には、所定の紙種・サイズの用紙が収納されている。用紙収納部90から繰り出された用紙は、複数の搬送ローラ51により、画像形成部30に搬送され、画像が形成される。画像形成後の用紙は、複数の搬送ローラ51により、排紙トレイ53上に載置される。
【0026】
カラーラインイメージセンサ70は、定着装置37の後段に設けられている。カラーラインイメージセンサ70は、用紙の搬送方向と直交する方向(主走査方向)において、画像形成装置100で使用される用紙の最大幅以上の幅を有し、用紙上に形成された画像を読み取る用紙密着型のセンサである。
【0027】
カラーラインイメージセンサ70は、図2に示すように、用紙の搬送方向と直交する方向に複数のラインセンサチップC1〜C26が設けられて構成されている。ラインセンサチップC1〜C26の1チップの主走査方向における長さは、13.1976mm(画素間ピッチ42.3μm×312画素)である。カラーラインイメージセンサ70全体の主走査方向における長さは、343.1376mm(13.1976mm×26チップ)であり、A3ワイドサイズ幅(329mm)より長い。
【0028】
図3に、各ラインセンサチップCi(i=1〜26)のチップ内構成を示す。図3に示すように、ラインセンサチップCiは、RAFE(Red Analog Front End)71、GAFE(Green Analog Front End)72、BAFE(Blue Analog Front End)73、A/D変換回路74,75,76、光源77、R受光素子78、G受光素子79、B受光素子80を備える。
【0029】
R受光素子78は、画像の赤(R)成分を読み取る受光素子であり、用紙上の画像から反射された反射光の強さに応じた出力値(R信号)を出力する。R受光素子78は、用紙の搬送方向と直交する方向(主走査方向)にライン状に複数配置され、受光素子群を構成している。本実施の形態では、各ラインセンサチップCiは、312個のR受光素子78を備える。
【0030】
G受光素子79は、画像の緑(G)成分を読み取る受光素子であり、用紙上の画像から反射された反射光の強さに応じた出力値(G信号)を出力する。G受光素子79は、用紙の搬送方向と直交する方向にライン状に複数配置され、受光素子群を構成している。本実施の形態では、各ラインセンサチップCiは、312個のG受光素子79を備える。
【0031】
B受光素子80は、画像の青(B)成分を読み取る受光素子であり、用紙上の画像から反射された反射光の強さに応じた出力値(B信号)を出力する。B受光素子80は、用紙の搬送方向と直交する方向にライン状に複数配置され、受光素子群を構成している。本実施の形態では、各ラインセンサチップCiは、312個のB受光素子80を備える。
【0032】
R受光素子78、G受光素子79、B受光素子80の主走査方向の長さは23μmであり、副走査方向の長さは34μmである。R受光素子78、G受光素子79、B受光素子80の画素間ピッチは42.3μmである。また、R受光素子78とG受光素子79、G受光素子79とB受光素子80の間隔は43μmである。
【0033】
RAFE71は、ラインセンサチップCiに含まれる複数のR受光素子78から出力されるR信号に対して各種処理を施し、A/D変換回路74に出力する。
図4に、RAFE71の構成を示す。RAFE71は、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング回路)81、黒レベルクランプ82、PGA(Programmable Gain Amplifier Circuit)83、DAC(Digital Analog Converter)84,85を含んで構成される。
【0034】
CDS81は、信号ジェネレータ62(図8参照)から出力されたサンプルパルスに応じて、センサ信号のノイズを除去し、光電変換信号のみを抽出する。
黒レベルクランプ82は、信号ジェネレータ62から出力されたクランプパルス、及び、センサ制御I/F(InterFace)回路63(図8参照)から出力されたクランプレベルデータに基づいて、CDS81から出力された画像信号の黒レベルを所定のレベルに設定する回路である。
PGA83は、センサ制御I/F回路63から出力されたゲインデータに基づいて、黒レベルクランプ82から出力された画像信号を増幅する。
DAC84は、センサ制御I/F回路63から出力されたクランプレベルデータを、デジタルデータからアナログデータに変換し、黒レベルクランプ82に出力する。
DAC85は、センサ制御I/F回路63から出力されたゲインデータを、デジタルデータからアナログデータに変換し、PGA83に出力する。
【0035】
GAFE72は、ラインセンサチップCiに含まれる複数のG受光素子79から出力されるG信号に対して各種処理を施し、A/D変換回路75に出力する。GAFE72の構成は、RAFE71と同様であるため、GAFE72を構成する各部についてもRAFE71と同一の符号を用い、説明を省略する。
【0036】
BAFE73は、ラインセンサチップCiに含まれる複数のB受光素子80から出力されるB信号に対して各種処理を施し、A/D変換回路76に出力する。BAFE73の構成は、RAFE71と同様であるため、BAFE73を構成する各部についてもRAFE71と同一の符号を用い、説明を省略する。
【0037】
図3に示すA/D変換回路74は、RAFE71から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換回路75は、GAFE72から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換回路76は、BAFE73から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0038】
光源77は、テストパターンが印刷された用紙を照明するものであり、LED(Light Emitting Diode)やEL(Electro Luminescence)等、高速駆動が可能なものが望ましい。
図5に、光源77における光量調整回路の例を示す。光源77は、例えば、複数のLED1〜LEDnで構成される。D/A変換回路91は、センサ制御I/F回路63(図8参照)から出力された光量データを、デジタルデータからアナログデータに変換し、定電流回路92に出力する。定電流回路92は、光量データ(アナログデータ)に応じた電流が流れるよう制御し、LED1〜LEDnの光量を制御する。
図6に、順電流と相対光度との関係を示す。
【0039】
図7は、画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。図7に示すように、画像形成装置100は、画像形成部30、画像形成制御部40、操作表示部41、通信部42、テストパターン記憶部43、メモリ44、搬送制御部50、読取制御部60、カラーラインイメージセンサ70等から構成されている。図7に示す機能部のうち、図1を参照して説明した部分については、説明を省略する。
【0040】
画像形成制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有しており、CPUにより、ROMに格納されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により画像形成装置100の各部の処理動作を統括的に制御する。
【0041】
画像形成制御部40は、通信部42により受信された画像データに画像処理を施して書込み用の画像データを生成し、画像形成部30の露光部33Y,33M,33C,33Kに画像データ(YMCKデータ)を供給する。
画像形成制御部40は、読取制御部60に画像形成に係る同期信号を出力する。同期信号は、ページの先頭やページの最後等、画像形成時のタイミングを示す信号である。
【0042】
画像形成制御部40は、テストパターン記憶部43に記憶されているテストパターンの画像データに基づいて、画像形成部30にテストパターンを印刷させるとともに、読取制御部60にチャート領域信号及びチャート識別信号を出力する。
チャート領域信号は、主走査方向のライン毎に、当該ラインに含まれるラインセンサチップ単位で、テストパターンが印刷されている領域であるか否かを示す信号である。
チャート識別信号は、主走査方向のライン毎に、当該ラインに含まれるラインセンサチップ単位で、テストパターンが所定のテストパターンであるか否かを示す信号である。本実施の形態では、チャート識別信号が、テストパターンが濃度補正用チャート又は色補正用チャートであるか否かを示す信号である場合を例にして説明する。
【0043】
画像形成制御部40は、読取制御部60の読み取りデータに基づいて画像形成部30による印刷におけるキャリブレーションを行う。具体的には、画像形成制御部40は、読取制御部60から出力されたRGBデータに基づいて、画像形成部30における露光量やバイアス電圧等のプロセス条件、濃度−階調特性を補正するためのキャリブレーションテーブル等を変更する。
【0044】
例えば、画像形成制御部40は、縦筋検出チャートの読み取りデータに基づいて、副走査方向の筋を検出し、筋を解消するように、出力画像の画像データに画像処理を施す。
画像形成制御部40は、主走査濃度傾き検出チャートの読み取りデータに基づいて、主走査方向の濃度ムラを検出し、濃度ムラを解消するように、出力画像の画像データに画像処理を施す。
画像形成制御部40は、濃度補正用チャートの読み取りデータに基づいて、濃度−階調特性を補正するためのキャリブレーションテーブルを変更する。
画像形成制御部40は、色補正用チャートの読み取りデータに基づいて、色変換処理に用いる色変換テーブルを変更する。
【0045】
操作表示部41は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成された表示部を備え、画像形成制御部40から入力される表示信号の指示に従って、各種操作画面や処理結果等を表示する。また、操作表示部41は、ユーザによる操作を受け付ける機能部であり、各種ボタンやタッチパネルを備え、押下されたボタンの押下信号や当接されたタッチパネル上の位置を示す位置信号を画像形成制御部40に出力する。
【0046】
通信部42は、PC(Personal Computer)等の外部機器との間でデータの送受信を行うためのインターフェースである。例えば、通信部42は、印刷用の画像データを受信する。
【0047】
テストパターン記憶部43は、不揮発性メモリやハードディスク等の記憶装置であり、補正用のテストパターンを記憶している。
【0048】
メモリ44は、各種データを記憶するための記憶装置である。メモリ44には、カラーラインイメージセンサ70の読み取りデータ(RGBデータ)、後述する光量L1,L2及びアンプゲインG1,G2が記憶される。また、メモリ44には、各種プロセス条件、キャリブレーションテーブル、色変換テーブルが記憶される。
【0049】
搬送制御部50は、複数の搬送ローラ51を制御し、画像形成装置100内で用紙を搬送する。
【0050】
読取制御部60は、カラーラインイメージセンサ70を制御し、カラーラインイメージセンサ70から出力されたRGBデータに対して各種処理を施して、メモリ44に保存する。読取制御部60は、複数のラインセンサチップC1〜C26の中からテストパターンが印刷されている領域に対応するラインセンサチップを選択してテストパターンを読み取らせる。読取制御部60は、テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合には、その変化に応じて読み取らせるラインセンサチップの選択を切り替える。読取制御部60は、テストパターンの種類によって、光源77の光量を制御する。
【0051】
通常、光源77の劣化を防ぐために、光源77の光量は、最大光量より低めに設定されており、センサ信号に対するアンプ(PGA83)のゲインを調整することによって出力値を調整している。ノイズはほぼ一定であるため、光量を上げてセンサ信号値を大きくし、アンプのゲインを小さくした方がセンサ信号の割合が大きくなり、S/N比が良くなる。
縦筋検出チャート、主走査濃度傾き検出チャートについては、筋の位置や濃度ムラの位置がわかればよいが、濃度補正用チャート、色補正用チャートについては、濃度や色味を正確に測定する必要がある。そこで、読取制御部60は、濃度補正用チャート又は色補正用チャートを読み取る際には、光源77の光量を上げ、アンプ(PGA83)のゲインを下げるよう制御する。チャート識別信号に応じて、通常の光量で光源77を発光させ、かつ、アンプのゲインを通常の値とするか、あるいは、光量を上げた状態で光源77を発光させ、かつ、アンプのゲインを下げるかが決まる。
【0052】
図8に、読取制御部60の構成を示す。図8に示すように、読取制御部60は、制御回路61、信号ジェネレータ62、センサ制御I/F回路63、信号処理回路64を備える。
【0053】
制御回路61は、CPU等から構成され、信号ジェネレータ62、センサ制御I/F回路63、信号処理回路64を制御する。
制御回路61は、カラーラインイメージセンサ70の前段の用紙の搬送経路に設けられた用紙検知センサ(図示せず)から出力された先端検知信号に応じて、1ページ分の読取制御を開始する。
【0054】
制御回路61は、画像形成制御部40から出力されるチャート領域信号、チャート識別信号及び同期信号に基づいて、センサ制御信号、信号処理制御信号を生成する。
センサ制御信号は、カラーラインイメージセンサ70を制御するための信号であり、主走査方向のライン毎に、テストパターンが印刷されている領域であるか否かを示す信号、及び、テストパターンが所定のテストパターンであるか否かを示す信号を含む。
信号処理制御信号は、信号処理回路64を制御するための信号である。
制御回路61は、センサ制御信号をセンサ制御I/F回路63に出力し、信号処理制御信号を信号処理回路64に出力する。
【0055】
信号ジェネレータ62は、画像形成制御部40から出力されるチャート領域信号及び同期信号に基づいて、AFE処理信号(サンプルパルス、クランプパルス、A/D変換クロック)、センサ駆動信号(センサクロック、主走査同期信号)及び信号処理信号を生成する。主走査同期信号は、主走査方向のライン毎に同期を取るための信号である。信号ジェネレータ62は、AFE処理信号及びセンサ駆動信号をカラーラインイメージセンサ70に出力し、信号処理信号を信号処理回路64に出力する。
【0056】
センサ制御I/F回路63は、制御回路61から出力されるセンサ制御信号に基づいて、チップ単位でラインセンサチップC1〜C26を制御する。具体的に、センサ制御I/F回路63は、センサ制御信号に基づいて、チップ選択信号及び各種設定データ(光量データ、ゲインデータ、クランプレベルデータ)を生成し、ラインセンサチップC1〜C26に出力する。
【0057】
チップ選択信号は、カラーラインイメージセンサ70を構成する複数のラインセンサチップC1〜C26のうち、動作させるラインセンサチップを有効にする信号である。
光量データは、ラインセンサチップC1〜C26のそれぞれに含まれる光源77の光量を示すデータである。具体的に、光量データは、ラインセンサチップ毎に、通常の光量L1、又は、光量を上げた時の光量L2(L2>L1)を示すものである。
ゲインデータは、ラインセンサチップC1〜C26のそれぞれに含まれるRAFE71、GAFE72、BAFE73のPGA83(アンプ)のゲインを示すデータである。具体的に、ゲインデータは、各ラインセンサチップのRGB毎に、通常のアンプゲインG1、又は、ゲインを下げた時のアンプゲインG2(G2<G1)を示すものである。
クランプレベルデータは、ラインセンサチップC1〜C26のそれぞれに含まれるRAFE71、GAFE72、BAFE73の黒レベルクランプ82で固定される黒レベル値を示すデータである。
【0058】
信号処理回路64は、制御回路61から出力された信号処理制御信号、信号ジェネレータ62から出力された信号処理信号に基づいて、ラインセンサチップC1〜C26のそれぞれから出力されたRGBデータに対して信号処理を施し、処理後の読み取りデータを出力する。
【0059】
図9に、信号処理回路64の構成を示す。信号処理回路64は、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65B、Rチャンネル画像補正回路66R、Gチャンネル画像補正回路66G、Bチャンネル画像補正回路66Bから構成される。
【0060】
各ラインセンサチップC1〜C26のR受光素子78から出力されたセンサ信号は、RAFE71及びA/D変換回路74を経て、Rチャンネル並列→時系列変換部65Rに出力される。
各ラインセンサチップC1〜C26のG受光素子79から出力されたセンサ信号は、GAFE72及びA/D変換回路75を経て、Gチャンネル並列→時系列変換部65Gに出力される。
各ラインセンサチップC1〜C26のB受光素子80から出力されたセンサ信号は、BAFE73及びA/D変換回路76を経て、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bに出力される。
【0061】
図10は、カラーラインイメージセンサ70の画素出力タイミング図である。主走査同期信号が図10において1回目のLowの間に、1番〜26番目のラインセンサチップC1〜C26のそれぞれから1ライン目の1〜312画素のセンサ出力値がRチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bに出力される。
【0062】
Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bでは、並列に入力された各ラインセンサチップC1〜C26に対応する312画素ずつのデータが1ライン分連続したデータに変換される。主走査同期信号が図10において2回目のLowの間に、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bから1ライン目の1番〜26番チップのセンサ出力値(312画素×26チップ分)がRチャンネル画像補正回路66R、Gチャンネル画像補正回路66G、Bチャンネル画像補正回路66Bに出力される。
2ライン目、3ライン目についても、同様に繰り返される。
【0063】
図11に、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bにおける信号の出力タイミングを示す。図11に示す数字は、ラインセンサチップC1〜C26のチップ番号(312画素分)である。
【0064】
主走査方向において全領域を読み取る場合には、全領域に対応する全てのラインセンサチップC1〜C26が選択されるので、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bでは、主走査同期信号に応じて、ラインセンサチップC1〜C26から出力されたデータが1ライン分のデータとして出力される。
【0065】
主走査方向においてA3領域を読み取る場合には、A3領域に対応するラインセンサチップC3〜C24が選択されるので、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bでは、主走査同期信号に応じて、ラインセンサチップC3〜C24から出力されたデータが1ライン分のデータとして出力される。
【0066】
主走査方向においてA3の余白領域を読み取る場合には、A3の余白領域に対応するラインセンサチップC1,C2,C25,C26が選択されるので、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bでは、主走査同期信号に応じて、ラインセンサチップC1,C2,C25,C26から出力されたデータが1ライン分のデータとして出力される。
【0067】
図12に、テストパターンの例を示す。このテストパターンは、A3ワイドサイズ(329mm×530mm)の用紙に、出力画像(実際に印刷物として使用される画像)とともに用紙に印刷されるものである。すなわち、このテストパターンは、出力画像が形成される画像領域の主走査方向又は副走査方向における余白領域に形成される。テストパターンが形成された用紙には、縦筋検出チャートが印刷された縦筋検出チャート領域P1、主走査濃度傾き検出チャートが印刷された主走査濃度傾き検出チャート領域P2、濃度補正用チャートが印刷された濃度補正用チャート領域P3、色補正用チャートが印刷された色補正用チャート領域P4が含まれる。また、印刷後に裁断される位置を示すトンボパターンT1〜T4が出力画像の四隅に印刷される。
【0068】
縦筋検出チャートは、副走査方向の筋を検出するためのチャートである。縦筋検出チャートは、用紙の主走査方向の印刷幅を有し、副走査方向に所定の長さを有する帯状のパターンである。色は、グレー色が用いられることが多く、比較的明るいグレー色が筋の検出に適している。
主走査濃度傾き検出チャートは、主走査方向の画像有効幅を有し、副走査方向に所定の長さを有する帯状のパターンである。主走査方向の濃度傾斜を検出するためのチャートであり、中間濃度のグレー色が用いられることが多い。
濃度補正用チャートは、主走査方向に所定の幅を有し、副走査方向に白(ハイライト)から最高濃度まで段階的に濃度が変化するように複数のパッチが配置されたパターンである。シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色毎に設けられている。
色補正用チャートは、主走査方向に所定の幅を有し、副走査方向にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの単色又は混色のパッチが複数配置されたパターンである。
【0069】
図13(a)に、図12のA−Aの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す。縦筋検出チャートは、主走査方向の全領域に亘って印刷されるので、全領域に対応する全てのラインセンサチップC1〜C26が選択される。また、チャート識別信号(Low Enable)がHighのままであるので、縦筋検出チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC1〜C26の光源77は通常の光量L1で発光される。
【0070】
図13(b)に、図12のB−Bの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、選択されるラインセンサチップ、及び、光源光量が上げられるラインセンサチップを示す。濃度補正用チャート又は色補正用チャートは、主走査方向におけるA3の余白領域に印刷されるので、A3の余白領域に対応するラインセンサチップC1,C2,C25,C26が選択される。また、主走査方向におけるA3の余白領域でチャート識別信号がLowとなるので、濃度補正用チャート又は色補正用チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC1,C2,C25,C26の光源77は光量L2で発光される。また、光量が上げられるタイミングに応じて、ラインセンサチップC1,C2,C25,C26のRAFE71、GAFE72、BAFE73のPGA83のゲインが下げられる(アンプゲインG2)。
【0071】
図13(c)に、図12のC−Cの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す。主走査濃度傾き検出チャートは、主走査方向においてA3領域に印刷されるので、A3領域に対応するラインセンサチップC3〜C24が選択される。また、チャート識別信号がHighのままであるので、主走査濃度傾き検出チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC3〜C24の光源77は通常の光量L1で発光される。
【0072】
図14に、テストパターンの他の例を示す。このテストパターンは、A3ワイドサイズ(329mm×530mm)の用紙に印刷されるものである。テストパターンが形成された用紙には、縦筋検出チャートが印刷された縦筋検出チャート領域P11、主走査濃度傾き検出チャートが印刷された主走査濃度傾き検出チャート領域P12、シアン濃度補正用チャートが印刷されたシアン濃度補正用チャート領域P13、マゼンタ濃度補正用チャートが印刷されたマゼンタ濃度補正用チャート領域P14、イエロー濃度補正用チャートが印刷されたイエロー濃度補正用チャート領域P15、ブラック濃度補正用チャートが印刷されたブラック濃度補正用チャート領域P16が含まれる。また、トンボパターンT11〜T14が用紙の四隅に印刷される。なお、各色の濃度補正用チャートは、色補正にも用いられる。
【0073】
図15(a)に、図14のD−Dの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す。縦筋検出チャートは、主走査方向の全領域に亘って印刷されるので、全領域に対応する全てのラインセンサチップC1〜C26が選択される。また、チャート識別信号がHighのままであるので、縦筋検出チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC1〜C26の光源77は通常の光量L1で発光される。
【0074】
図15(b)に、図14のE−Eの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、選択されるラインセンサチップ、及び、光源光量が上げられるラインセンサチップを示す。各色濃度補正用チャートが印刷される領域に対応するラインセンサチップC4,C5,C8,C9,C18,C19,C22,C23が選択される。また、各色濃度補正用チャートの領域でチャート識別信号がLowとなるので、各色濃度補正用チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC4,C5,C8,C9,C18,C19,C22,C23の光源77は光量L2で発光される。また、光量が上げられるタイミングに応じて、ラインセンサチップC4,C5,C8,C9,C18,C19,C22,C23のRAFE71、GAFE72、BAFE73のPGA83のゲインが下げられる(アンプゲインG2)。
【0075】
図15(c)に、図14のF−Fの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す。主走査濃度傾き検出チャートは、主走査方向においてA3領域に印刷されるので、A3領域に対応するラインセンサチップC3〜C24が選択される。また、チャート識別信号がHighのままであるので、主走査濃度傾き検出チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC3〜C24の光源77は通常の光量L1で発光される。
【0076】
次に、各ラインセンサチップC1〜C26に含まれるRAFE71、GAFE72、BAFE73のアンプ(PGA83)のゲインの設定方法について説明する。図16は、通常時のアンプゲインG1の設定処理を示すフローチャートである。
まず、制御回路61により、初期設定として、出力目標値Gt=250、光源光量=L1、アンプゲインG1=jに設定される(ステップS1)。出力目標値Gt、光量L1の値は、予めメモリ44に記憶されている。光量L1は、通常の光量として予め定められており、最大光量より小さい値に設定されている。
【0077】
次に、制御回路61によりセンサ制御I/F回路63が制御され、全てのラインセンサチップC1〜C26の光源77が光量L1で点灯される(ステップS2)。この状態でカラーラインイメージセンサ70により白基準板が撮像され(ステップS3)、1ライン分のセンサ出力値が信号処理回路64に出力される。
白基準板とは、カラーラインイメージセンサ70が読み取り可能な位置に配置され、分光特性が可視光内において均一であり、通常の用紙より反射率の高い白色の板である。白基準板は、ハイライトレベルの検出に用いられる。
【0078】
ここで、制御回路61により、信号処理回路64から1ライン分のセンサ出力値が取得され、出力目標値Gtが最大出力値以下であるか否かが判断される(ステップS4)。最大出力値とは、1ライン分の画素のセンサ出力値のうち最大値をA/D変換した値である。出力目標値Gtが最大出力値以下でない場合(ステップS4;NO)、すなわち、出力目標値Gtが最大出力値より大きい場合には、アンプゲインG1の値が1だけ大きくなるよう調整される(ステップS5)。そして、ステップS3に戻り、出力目標値Gtが最大出力値以下になるまで同様の処理が繰り返される。
【0079】
ステップS4において、出力目標値Gtが最大出力値以下となった場合には(ステップS4;YES)、制御回路61により、この時のアンプゲインG1がメモリ44に記憶される(ステップS6)。そして、制御回路61によりセンサ制御I/F回路63が制御され、ラインセンサチップC1〜C26の光源77が消灯される(ステップS7)。
【0080】
図17に、カラーラインイメージセンサ70の各受光素子から出力される出力レベルの例を示す。各受光素子から出力されるアナログ信号(光量L1でのセンサ出力レベル)が、A/D変換回路74,75,76の分解可能な入力電圧範囲となるように、すなわち、図17に示す疑似黒レベル(A/D変換回路74,75,76の最下位ビット)と飽和光量レベル(A/D変換回路74,75,76の最上位ビット)との間となるように、増幅される(増幅後の出力レベル)。
1ライン内で光量L1でのセンサ出力レベルの最大値が出力目標値Gtとなるように、アンプゲインG1が設定される。出力目標値Gtは、飽和光量レベルより所定値だけ小さい値に予め設定されている。
【0081】
図18は、光量を上げる場合のアンプゲインG2の設定処理を示すフローチャートである。
まず、制御回路61により、先に設定された光量L1とアンプゲインG1から光量L2が算出される(ステップS11)。例えば、光量L1での出力レベルと、光量L1をアンプゲインG1で増幅させた場合の出力レベルの間の出力レベルとなるような光量L2が算出される。
【0082】
次に、制御回路61により、初期設定として、出力目標値Gt=250、光源光量=L2、アンプゲインG2=kに設定される(ステップS12)。
ステップS13〜ステップS18の処理については、扱う値が光量L2及びアンプゲインG2であることを除き、図16のステップS2〜ステップS7の処理と同様であるため、説明を省略する。
1ライン内で光量L2でのセンサ出力レベルの最大値が出力目標値Gtとなるように、アンプゲインG2が設定される(図17参照)。
【0083】
アンプゲインG1の設定処理(図16参照)及びアンプゲインG2の設定処理(図18参照)は、所定の時間が経過した場合、又は、所定の枚数が印刷された場合等、定期的に行われる。
Rチャンネル画像補正回路66R、Gチャンネル画像補正回路66G、Bチャンネル画像補正回路66Bにおいて、増幅後の出力レベルが飽和光量レベル(ハイライトレベル)となるように、受光素子1個1個のバラツキが補正される(シェーディング補正)。
【0084】
次に、図19を参照して、テストチャートの読み取り処理について説明する。
まず、読取制御部60により、画像形成制御部40からページ内のチャート領域信号、チャート識別信号が取得される(ステップS21)。
次に、読取制御部60により、メモリ44から光量L1,L2及びアンプゲインG1,G2が取得される(ステップS22)。
次に、用紙検知センサにより用紙の先端が検知されると(ステップS23)、読取制御部60により、1ページ分の読み取りが開始される(ステップS24)。
【0085】
次に、読取制御部60により、ステップS21、ステップS22において取得されたデータに基づいてテストパターンが読み取られ、読み取りデータがメモリ44に保存される(ステップS25)。
具体的には、制御回路61により、チャート領域信号及びチャート識別信号に応じたセンサ制御信号がセンサ制御I/F回路63に出力され、センサ制御I/F回路63により、センサ制御信号に応じたチップ選択信号、光量データ、ゲインデータ等がカラーラインイメージセンサ70(ラインセンサチップC1〜C26)に出力される。
【0086】
チップ選択信号(チャート領域信号に対応する信号)に基づいて、複数のラインセンサチップC1〜C26の中からテストパターンが印刷されている領域に対応するラインセンサチップが選択され、テストパターンが読み取られる。テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合には、その変化に応じて選択されるラインセンサチップが切り替えられる(図12〜図15参照)。
また、光量データ(チャート識別信号に対応するデータ)に基づいて、通常光量(光量L1)、又は、光量を上げた時の光量(光量L2)で発光するよう光源77が制御される。
また、ゲインデータ(チャート識別信号に対応するデータ)に基づいて、通常ゲイン(アンプゲインG1)、又は、ゲインを下げた時のゲイン(アンプゲインG2)で増幅するようRAFE71、GAFE72、BAFE73のPGA83が制御される。
【0087】
ページの読み取りが終了すると(ステップS26)、当該ページに対する処理が終了する。
そして、画像形成制御部40により、読み取りデータに基づいて画像形成部30による印刷におけるキャリブレーションが行われる。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置100によれば、テストパターンが印刷されている領域以外から読み取られるデータを減らすことにより、不要なデータの転送を抑えることができ、不要なデータによるラインセンサチップ間における干渉を防ぐことができる。したがって、ノイズを低減させるので、読み取りデータのS/N比特性を改善することができる。
【0089】
特に、テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合に、その変化に応じて読み取らせるラインセンサチップの選択を切り替えるので、読み取りデータのS/N比特性を改善することができる。
【0090】
また、各ラインセンサチップC1〜C26が光源77を備えるので、光源77についても、ラインセンサチップ単位で選択することができ、省電力化を図ることができる。
【0091】
また、光源77をテストパターンの種類に応じた光量になるよう制御することができる。具体的には、濃度補正用チャート、色補正用チャートを読み取る際には、光源77の光量を上げ、アンプ(PGA83)のゲインを下げることにより、S/N比が上がるので、読み取りデータの信頼度が上がる。
【0092】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0093】
例えば、上記実施の形態では、テストパターンの種類によって、光源77の光量を制御する際に、光量L1,L2の2段階で制御する場合について説明したが、光量のレベルを3段階以上設けて制御することとしてもよい。この場合には、光源77の光量に応じて、PGA83(アンプ)のゲインについても、3段階以上設けて制御すればよい。
【符号の説明】
【0094】
30 画像形成部
40 画像形成制御部
43 テストパターン記憶部
44 メモリ
60 読取制御部
61 制御回路
62 信号ジェネレータ
63 センサ制御I/F回路
64 信号処理回路
65R Rチャンネル並列→時系列変換部
65G Gチャンネル並列→時系列変換部
65B Bチャンネル並列→時系列変換部
66R Rチャンネル画像補正回路
66G Gチャンネル画像補正回路
66B Bチャンネル画像補正回路
70 カラーラインイメージセンサ
71 RAFE
72 GAFE
73 BAFE
74,75,76 A/D変換回路
77 光源
78 R受光素子
79 G受光素子
80 B受光素子
81 CDS
82 黒レベルクランプ
83 PGA
91 D/A変換回路
92 定電流回路
100 画像形成装置
C1〜C26 ラインセンサチップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー画像形成装置では、用紙上にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の単色の階調パッチや、C、M、Y混色のパッチを形成し、用紙上のパッチの濃度又は色度を検知するカラーセンサの検知結果に基づいて、画像形成におけるキャリブレーションを行っている(特許文献1参照)。例えば、カラーセンサの検知結果を、画像形成部の露光量等のプロセス条件、濃度−階調特性を補正するためのキャリブレーションテーブル等へフィードバックすることで、用紙上に形成される最終出力画像の濃度又は色度制御を行うことができる。
【0003】
カラーセンサがRGB等の異なる3種以上の出力を得るためには、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)等の発光スペクトルが異なる3種以上の光源が用いられるか、又は、白色光源と、R、G、B等の分光透過率が異なる3種以上のフィルタが形成された受光素子とが用いられる。
【0004】
また、用紙上の画像を主走査方向に亘って一度に読み取るカラーラインイメージセンサを用いる画像処理装置が提案されている(特許文献2参照)。カラーラインイメージセンサを用いることにより、パッチの位置が規制されず、カラーバランスや濃度の他に、主走査濃度ムラ等の補正データが一度に読み取り可能となる。また、読み取り分解能が高いので、印刷位置や縦筋ノイズの補正データが取得可能となる。このように、さらなる画質の安定及び向上を目指すことができる。
【0005】
また、出力画像とは別の用紙にチャートやパッチ等のテストパターンを出力することなく、出力画像とともに出力画像領域の余白部分にテストパターンを印刷し、それをカラーラインイメージセンサで読み取ることで、用紙や印刷材料(トナー、インク等)、テストパターンの読み取り時間を節約することができる。また、出力画像を印刷しながら補正データを取得するので、略リアルタイムに補正結果を反映することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−202028号公報
【特許文献2】特開2001−45295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、出力画像とテストパターンとが同一の用紙に印刷された場合等、用紙に補正用のテストパターン以外の部分がある場合には、テストパターン以外の部分から読み取られたデータは、キャリブレーションには不要なデータとなる。この不要なデータは、テストパターンから読み取られたデータと並列に信号処理されるので、読み取りデータのノイズ源となり、読み取りデータのS/N比特性を悪化させるという問題があった。すなわち、テストパターン以外の部分から読み取られたデータの存在により、キャリブレーションに用いる読み取りデータの品質が悪化し、高画質を維持することが困難となるおそれがあった。
【0008】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、読み取りデータのS/N比特性を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、予め記憶されているテストパターンを画像形成部により用紙に印刷し、当該印刷されたテストパターンを複数のラインセンサチップから構成されるラインイメージセンサにより読み取り、当該読み取られたテストパターンの読み取りデータに基づいて前記画像形成部による印刷におけるキャリブレーションを行う画像形成装置において、前記複数のラインセンサチップの中から前記テストパターンが印刷されている領域に対応するラインセンサチップを選択して前記テストパターンを読み取らせる読取制御部を備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記読取制御部は、前記テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合には、その変化に応じて読み取らせるラインセンサチップの選択を切り替える。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記複数のラインセンサチップのそれぞれは、前記用紙を照明する光源を備える。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記読取制御部は、前記テストパターンの種類によって、前記光源の光量を制御する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、テストパターンが印刷されている領域以外から読み取られるデータを減らすことにより、ノイズを低減させるので、読み取りデータのS/N比特性を改善することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合に、読み取りデータのS/N比特性を改善することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、光源についても、ラインセンサチップ単位で選択することができ、省電力化を図ることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、光源をテストパターンの種類に応じた光量になるよう制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】カラーラインイメージセンサの構成を示す図である。
【図3】各ラインセンサチップのチップ内構成を示す図である。
【図4】RAFEの構成を示す図である。
【図5】光量調整回路の例を示す図である。
【図6】順電流と相対光度との関係を示す図である。
【図7】画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図8】読取制御部の構成を示すブロック図である。
【図9】信号処理回路の構成を示すブロック図である。
【図10】カラーラインイメージセンサの画素出力タイミング図である。
【図11】各色チャンネルの並列→時系列変換部における信号の出力タイミング図である。
【図12】テストパターンの例を示す図である。
【図13】(a)は、図12のA−Aの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す図である。(b)は、図12のB−Bの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、選択されるラインセンサチップ、及び、光源光量が上げられるラインセンサチップを示す図である。(c)は、図12のC−Cの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す図である。
【図14】テストパターンの他の例を示す図である。
【図15】(a)は、図14のD−Dの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す図である。(b)は、図14のE−Eの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、選択されるラインセンサチップ、及び、光源光量が上げられるラインセンサチップを示す図である。(c)は、図14のF−Fの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す図である。
【図16】通常時のアンプゲインの設定処理を示すフローチャートである。
【図17】アンプゲインの設定方法を説明するための図である。
【図18】光量を上げる場合のアンプゲインの設定処理を示すフローチャートである。
【図19】テストチャートの読み取り処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明する。
図1は、画像形成装置100の概略構成図である。図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部30、用紙収納部90、カラーラインイメージセンサ70等を備える。画像形成装置100は、予め記憶されているテストパターンを画像形成部30により用紙に印刷し、当該印刷されたテストパターンをカラーラインイメージセンサ70により読み取り、当該読み取られたテストパターンの読み取りデータに基づいて画像形成部30による印刷におけるキャリブレーションを行う。
【0019】
画像形成部30は、感光体ドラム31Y,31M,31C,31K、帯電部32Y,32M,32C,32K、露光部33Y,33M,33C,33K、現像部34Y,34M,34C,34K及びトナーカートリッジ35Y,35M,35C,35K、中間転写ベルト36、定着装置37等を備える。
【0020】
帯電部32Yは、感光体ドラム31Yを一様に帯電させる。露光部33Yは、画像データ(Yデータ)に基づいて、帯電された感光体ドラム31Yを露光し、静電潜像を形成する。現像部34Yは、感光体ドラム31Yにイエローのトナーを付着させ、イエローのトナー像を形成する。トナーカートリッジ35Yは、現像部34Yにイエローのトナーを補給する。
【0021】
帯電部32Mは、感光体ドラム31Mを一様に帯電させる。露光部33Mは、画像データ(Mデータ)に基づいて、帯電された感光体ドラム31Mを露光し、静電潜像を形成する。現像部34Mは、感光体ドラム31Mにマゼンタのトナーを付着させ、マゼンタのトナー像を形成する。トナーカートリッジ35Mは、現像部34Mにマゼンタのトナーを補給する。
【0022】
帯電部32Cは、感光体ドラム31Cを一様に帯電させる。露光部33Cは、画像データ(Cデータ)に基づいて、帯電された感光体ドラム31Cを露光し、静電潜像を形成する。現像部34Cは、感光体ドラム31Cにシアンのトナーを付着させ、シアンのトナー像を形成する。トナーカートリッジ35Cは、現像部34Cにシアンのトナーを補給する。
【0023】
帯電部32Kは、感光体ドラム31Kを一様に帯電させる。露光部33Kは、画像データ(Kデータ)に基づいて、帯電された感光体ドラム31Kを露光し、静電潜像を形成する。現像部34Kは、感光体ドラム31Kにブラックのトナーを付着させ、ブラックのトナー像を形成する。トナーカートリッジ35Kは、現像部34Kにブラックのトナーを補給する。
【0024】
中間転写ベルト36には、感光体ドラム31Y,31M,31C,31K上に形成された各色のトナー像が転写され(1次転写)、カラートナー像が形成される。中間転写ベルト36上のカラートナー像は、2次転写ローラ52により、用紙上に一括して転写される(2次転写)。
定着装置37は、用紙上に転写されたトナー像を加熱・加圧により定着させる。
【0025】
用紙収納部90には、所定の紙種・サイズの用紙が収納されている。用紙収納部90から繰り出された用紙は、複数の搬送ローラ51により、画像形成部30に搬送され、画像が形成される。画像形成後の用紙は、複数の搬送ローラ51により、排紙トレイ53上に載置される。
【0026】
カラーラインイメージセンサ70は、定着装置37の後段に設けられている。カラーラインイメージセンサ70は、用紙の搬送方向と直交する方向(主走査方向)において、画像形成装置100で使用される用紙の最大幅以上の幅を有し、用紙上に形成された画像を読み取る用紙密着型のセンサである。
【0027】
カラーラインイメージセンサ70は、図2に示すように、用紙の搬送方向と直交する方向に複数のラインセンサチップC1〜C26が設けられて構成されている。ラインセンサチップC1〜C26の1チップの主走査方向における長さは、13.1976mm(画素間ピッチ42.3μm×312画素)である。カラーラインイメージセンサ70全体の主走査方向における長さは、343.1376mm(13.1976mm×26チップ)であり、A3ワイドサイズ幅(329mm)より長い。
【0028】
図3に、各ラインセンサチップCi(i=1〜26)のチップ内構成を示す。図3に示すように、ラインセンサチップCiは、RAFE(Red Analog Front End)71、GAFE(Green Analog Front End)72、BAFE(Blue Analog Front End)73、A/D変換回路74,75,76、光源77、R受光素子78、G受光素子79、B受光素子80を備える。
【0029】
R受光素子78は、画像の赤(R)成分を読み取る受光素子であり、用紙上の画像から反射された反射光の強さに応じた出力値(R信号)を出力する。R受光素子78は、用紙の搬送方向と直交する方向(主走査方向)にライン状に複数配置され、受光素子群を構成している。本実施の形態では、各ラインセンサチップCiは、312個のR受光素子78を備える。
【0030】
G受光素子79は、画像の緑(G)成分を読み取る受光素子であり、用紙上の画像から反射された反射光の強さに応じた出力値(G信号)を出力する。G受光素子79は、用紙の搬送方向と直交する方向にライン状に複数配置され、受光素子群を構成している。本実施の形態では、各ラインセンサチップCiは、312個のG受光素子79を備える。
【0031】
B受光素子80は、画像の青(B)成分を読み取る受光素子であり、用紙上の画像から反射された反射光の強さに応じた出力値(B信号)を出力する。B受光素子80は、用紙の搬送方向と直交する方向にライン状に複数配置され、受光素子群を構成している。本実施の形態では、各ラインセンサチップCiは、312個のB受光素子80を備える。
【0032】
R受光素子78、G受光素子79、B受光素子80の主走査方向の長さは23μmであり、副走査方向の長さは34μmである。R受光素子78、G受光素子79、B受光素子80の画素間ピッチは42.3μmである。また、R受光素子78とG受光素子79、G受光素子79とB受光素子80の間隔は43μmである。
【0033】
RAFE71は、ラインセンサチップCiに含まれる複数のR受光素子78から出力されるR信号に対して各種処理を施し、A/D変換回路74に出力する。
図4に、RAFE71の構成を示す。RAFE71は、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング回路)81、黒レベルクランプ82、PGA(Programmable Gain Amplifier Circuit)83、DAC(Digital Analog Converter)84,85を含んで構成される。
【0034】
CDS81は、信号ジェネレータ62(図8参照)から出力されたサンプルパルスに応じて、センサ信号のノイズを除去し、光電変換信号のみを抽出する。
黒レベルクランプ82は、信号ジェネレータ62から出力されたクランプパルス、及び、センサ制御I/F(InterFace)回路63(図8参照)から出力されたクランプレベルデータに基づいて、CDS81から出力された画像信号の黒レベルを所定のレベルに設定する回路である。
PGA83は、センサ制御I/F回路63から出力されたゲインデータに基づいて、黒レベルクランプ82から出力された画像信号を増幅する。
DAC84は、センサ制御I/F回路63から出力されたクランプレベルデータを、デジタルデータからアナログデータに変換し、黒レベルクランプ82に出力する。
DAC85は、センサ制御I/F回路63から出力されたゲインデータを、デジタルデータからアナログデータに変換し、PGA83に出力する。
【0035】
GAFE72は、ラインセンサチップCiに含まれる複数のG受光素子79から出力されるG信号に対して各種処理を施し、A/D変換回路75に出力する。GAFE72の構成は、RAFE71と同様であるため、GAFE72を構成する各部についてもRAFE71と同一の符号を用い、説明を省略する。
【0036】
BAFE73は、ラインセンサチップCiに含まれる複数のB受光素子80から出力されるB信号に対して各種処理を施し、A/D変換回路76に出力する。BAFE73の構成は、RAFE71と同様であるため、BAFE73を構成する各部についてもRAFE71と同一の符号を用い、説明を省略する。
【0037】
図3に示すA/D変換回路74は、RAFE71から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換回路75は、GAFE72から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換回路76は、BAFE73から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0038】
光源77は、テストパターンが印刷された用紙を照明するものであり、LED(Light Emitting Diode)やEL(Electro Luminescence)等、高速駆動が可能なものが望ましい。
図5に、光源77における光量調整回路の例を示す。光源77は、例えば、複数のLED1〜LEDnで構成される。D/A変換回路91は、センサ制御I/F回路63(図8参照)から出力された光量データを、デジタルデータからアナログデータに変換し、定電流回路92に出力する。定電流回路92は、光量データ(アナログデータ)に応じた電流が流れるよう制御し、LED1〜LEDnの光量を制御する。
図6に、順電流と相対光度との関係を示す。
【0039】
図7は、画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。図7に示すように、画像形成装置100は、画像形成部30、画像形成制御部40、操作表示部41、通信部42、テストパターン記憶部43、メモリ44、搬送制御部50、読取制御部60、カラーラインイメージセンサ70等から構成されている。図7に示す機能部のうち、図1を参照して説明した部分については、説明を省略する。
【0040】
画像形成制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有しており、CPUにより、ROMに格納されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により画像形成装置100の各部の処理動作を統括的に制御する。
【0041】
画像形成制御部40は、通信部42により受信された画像データに画像処理を施して書込み用の画像データを生成し、画像形成部30の露光部33Y,33M,33C,33Kに画像データ(YMCKデータ)を供給する。
画像形成制御部40は、読取制御部60に画像形成に係る同期信号を出力する。同期信号は、ページの先頭やページの最後等、画像形成時のタイミングを示す信号である。
【0042】
画像形成制御部40は、テストパターン記憶部43に記憶されているテストパターンの画像データに基づいて、画像形成部30にテストパターンを印刷させるとともに、読取制御部60にチャート領域信号及びチャート識別信号を出力する。
チャート領域信号は、主走査方向のライン毎に、当該ラインに含まれるラインセンサチップ単位で、テストパターンが印刷されている領域であるか否かを示す信号である。
チャート識別信号は、主走査方向のライン毎に、当該ラインに含まれるラインセンサチップ単位で、テストパターンが所定のテストパターンであるか否かを示す信号である。本実施の形態では、チャート識別信号が、テストパターンが濃度補正用チャート又は色補正用チャートであるか否かを示す信号である場合を例にして説明する。
【0043】
画像形成制御部40は、読取制御部60の読み取りデータに基づいて画像形成部30による印刷におけるキャリブレーションを行う。具体的には、画像形成制御部40は、読取制御部60から出力されたRGBデータに基づいて、画像形成部30における露光量やバイアス電圧等のプロセス条件、濃度−階調特性を補正するためのキャリブレーションテーブル等を変更する。
【0044】
例えば、画像形成制御部40は、縦筋検出チャートの読み取りデータに基づいて、副走査方向の筋を検出し、筋を解消するように、出力画像の画像データに画像処理を施す。
画像形成制御部40は、主走査濃度傾き検出チャートの読み取りデータに基づいて、主走査方向の濃度ムラを検出し、濃度ムラを解消するように、出力画像の画像データに画像処理を施す。
画像形成制御部40は、濃度補正用チャートの読み取りデータに基づいて、濃度−階調特性を補正するためのキャリブレーションテーブルを変更する。
画像形成制御部40は、色補正用チャートの読み取りデータに基づいて、色変換処理に用いる色変換テーブルを変更する。
【0045】
操作表示部41は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成された表示部を備え、画像形成制御部40から入力される表示信号の指示に従って、各種操作画面や処理結果等を表示する。また、操作表示部41は、ユーザによる操作を受け付ける機能部であり、各種ボタンやタッチパネルを備え、押下されたボタンの押下信号や当接されたタッチパネル上の位置を示す位置信号を画像形成制御部40に出力する。
【0046】
通信部42は、PC(Personal Computer)等の外部機器との間でデータの送受信を行うためのインターフェースである。例えば、通信部42は、印刷用の画像データを受信する。
【0047】
テストパターン記憶部43は、不揮発性メモリやハードディスク等の記憶装置であり、補正用のテストパターンを記憶している。
【0048】
メモリ44は、各種データを記憶するための記憶装置である。メモリ44には、カラーラインイメージセンサ70の読み取りデータ(RGBデータ)、後述する光量L1,L2及びアンプゲインG1,G2が記憶される。また、メモリ44には、各種プロセス条件、キャリブレーションテーブル、色変換テーブルが記憶される。
【0049】
搬送制御部50は、複数の搬送ローラ51を制御し、画像形成装置100内で用紙を搬送する。
【0050】
読取制御部60は、カラーラインイメージセンサ70を制御し、カラーラインイメージセンサ70から出力されたRGBデータに対して各種処理を施して、メモリ44に保存する。読取制御部60は、複数のラインセンサチップC1〜C26の中からテストパターンが印刷されている領域に対応するラインセンサチップを選択してテストパターンを読み取らせる。読取制御部60は、テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合には、その変化に応じて読み取らせるラインセンサチップの選択を切り替える。読取制御部60は、テストパターンの種類によって、光源77の光量を制御する。
【0051】
通常、光源77の劣化を防ぐために、光源77の光量は、最大光量より低めに設定されており、センサ信号に対するアンプ(PGA83)のゲインを調整することによって出力値を調整している。ノイズはほぼ一定であるため、光量を上げてセンサ信号値を大きくし、アンプのゲインを小さくした方がセンサ信号の割合が大きくなり、S/N比が良くなる。
縦筋検出チャート、主走査濃度傾き検出チャートについては、筋の位置や濃度ムラの位置がわかればよいが、濃度補正用チャート、色補正用チャートについては、濃度や色味を正確に測定する必要がある。そこで、読取制御部60は、濃度補正用チャート又は色補正用チャートを読み取る際には、光源77の光量を上げ、アンプ(PGA83)のゲインを下げるよう制御する。チャート識別信号に応じて、通常の光量で光源77を発光させ、かつ、アンプのゲインを通常の値とするか、あるいは、光量を上げた状態で光源77を発光させ、かつ、アンプのゲインを下げるかが決まる。
【0052】
図8に、読取制御部60の構成を示す。図8に示すように、読取制御部60は、制御回路61、信号ジェネレータ62、センサ制御I/F回路63、信号処理回路64を備える。
【0053】
制御回路61は、CPU等から構成され、信号ジェネレータ62、センサ制御I/F回路63、信号処理回路64を制御する。
制御回路61は、カラーラインイメージセンサ70の前段の用紙の搬送経路に設けられた用紙検知センサ(図示せず)から出力された先端検知信号に応じて、1ページ分の読取制御を開始する。
【0054】
制御回路61は、画像形成制御部40から出力されるチャート領域信号、チャート識別信号及び同期信号に基づいて、センサ制御信号、信号処理制御信号を生成する。
センサ制御信号は、カラーラインイメージセンサ70を制御するための信号であり、主走査方向のライン毎に、テストパターンが印刷されている領域であるか否かを示す信号、及び、テストパターンが所定のテストパターンであるか否かを示す信号を含む。
信号処理制御信号は、信号処理回路64を制御するための信号である。
制御回路61は、センサ制御信号をセンサ制御I/F回路63に出力し、信号処理制御信号を信号処理回路64に出力する。
【0055】
信号ジェネレータ62は、画像形成制御部40から出力されるチャート領域信号及び同期信号に基づいて、AFE処理信号(サンプルパルス、クランプパルス、A/D変換クロック)、センサ駆動信号(センサクロック、主走査同期信号)及び信号処理信号を生成する。主走査同期信号は、主走査方向のライン毎に同期を取るための信号である。信号ジェネレータ62は、AFE処理信号及びセンサ駆動信号をカラーラインイメージセンサ70に出力し、信号処理信号を信号処理回路64に出力する。
【0056】
センサ制御I/F回路63は、制御回路61から出力されるセンサ制御信号に基づいて、チップ単位でラインセンサチップC1〜C26を制御する。具体的に、センサ制御I/F回路63は、センサ制御信号に基づいて、チップ選択信号及び各種設定データ(光量データ、ゲインデータ、クランプレベルデータ)を生成し、ラインセンサチップC1〜C26に出力する。
【0057】
チップ選択信号は、カラーラインイメージセンサ70を構成する複数のラインセンサチップC1〜C26のうち、動作させるラインセンサチップを有効にする信号である。
光量データは、ラインセンサチップC1〜C26のそれぞれに含まれる光源77の光量を示すデータである。具体的に、光量データは、ラインセンサチップ毎に、通常の光量L1、又は、光量を上げた時の光量L2(L2>L1)を示すものである。
ゲインデータは、ラインセンサチップC1〜C26のそれぞれに含まれるRAFE71、GAFE72、BAFE73のPGA83(アンプ)のゲインを示すデータである。具体的に、ゲインデータは、各ラインセンサチップのRGB毎に、通常のアンプゲインG1、又は、ゲインを下げた時のアンプゲインG2(G2<G1)を示すものである。
クランプレベルデータは、ラインセンサチップC1〜C26のそれぞれに含まれるRAFE71、GAFE72、BAFE73の黒レベルクランプ82で固定される黒レベル値を示すデータである。
【0058】
信号処理回路64は、制御回路61から出力された信号処理制御信号、信号ジェネレータ62から出力された信号処理信号に基づいて、ラインセンサチップC1〜C26のそれぞれから出力されたRGBデータに対して信号処理を施し、処理後の読み取りデータを出力する。
【0059】
図9に、信号処理回路64の構成を示す。信号処理回路64は、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65B、Rチャンネル画像補正回路66R、Gチャンネル画像補正回路66G、Bチャンネル画像補正回路66Bから構成される。
【0060】
各ラインセンサチップC1〜C26のR受光素子78から出力されたセンサ信号は、RAFE71及びA/D変換回路74を経て、Rチャンネル並列→時系列変換部65Rに出力される。
各ラインセンサチップC1〜C26のG受光素子79から出力されたセンサ信号は、GAFE72及びA/D変換回路75を経て、Gチャンネル並列→時系列変換部65Gに出力される。
各ラインセンサチップC1〜C26のB受光素子80から出力されたセンサ信号は、BAFE73及びA/D変換回路76を経て、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bに出力される。
【0061】
図10は、カラーラインイメージセンサ70の画素出力タイミング図である。主走査同期信号が図10において1回目のLowの間に、1番〜26番目のラインセンサチップC1〜C26のそれぞれから1ライン目の1〜312画素のセンサ出力値がRチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bに出力される。
【0062】
Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bでは、並列に入力された各ラインセンサチップC1〜C26に対応する312画素ずつのデータが1ライン分連続したデータに変換される。主走査同期信号が図10において2回目のLowの間に、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bから1ライン目の1番〜26番チップのセンサ出力値(312画素×26チップ分)がRチャンネル画像補正回路66R、Gチャンネル画像補正回路66G、Bチャンネル画像補正回路66Bに出力される。
2ライン目、3ライン目についても、同様に繰り返される。
【0063】
図11に、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bにおける信号の出力タイミングを示す。図11に示す数字は、ラインセンサチップC1〜C26のチップ番号(312画素分)である。
【0064】
主走査方向において全領域を読み取る場合には、全領域に対応する全てのラインセンサチップC1〜C26が選択されるので、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bでは、主走査同期信号に応じて、ラインセンサチップC1〜C26から出力されたデータが1ライン分のデータとして出力される。
【0065】
主走査方向においてA3領域を読み取る場合には、A3領域に対応するラインセンサチップC3〜C24が選択されるので、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bでは、主走査同期信号に応じて、ラインセンサチップC3〜C24から出力されたデータが1ライン分のデータとして出力される。
【0066】
主走査方向においてA3の余白領域を読み取る場合には、A3の余白領域に対応するラインセンサチップC1,C2,C25,C26が選択されるので、Rチャンネル並列→時系列変換部65R、Gチャンネル並列→時系列変換部65G、Bチャンネル並列→時系列変換部65Bでは、主走査同期信号に応じて、ラインセンサチップC1,C2,C25,C26から出力されたデータが1ライン分のデータとして出力される。
【0067】
図12に、テストパターンの例を示す。このテストパターンは、A3ワイドサイズ(329mm×530mm)の用紙に、出力画像(実際に印刷物として使用される画像)とともに用紙に印刷されるものである。すなわち、このテストパターンは、出力画像が形成される画像領域の主走査方向又は副走査方向における余白領域に形成される。テストパターンが形成された用紙には、縦筋検出チャートが印刷された縦筋検出チャート領域P1、主走査濃度傾き検出チャートが印刷された主走査濃度傾き検出チャート領域P2、濃度補正用チャートが印刷された濃度補正用チャート領域P3、色補正用チャートが印刷された色補正用チャート領域P4が含まれる。また、印刷後に裁断される位置を示すトンボパターンT1〜T4が出力画像の四隅に印刷される。
【0068】
縦筋検出チャートは、副走査方向の筋を検出するためのチャートである。縦筋検出チャートは、用紙の主走査方向の印刷幅を有し、副走査方向に所定の長さを有する帯状のパターンである。色は、グレー色が用いられることが多く、比較的明るいグレー色が筋の検出に適している。
主走査濃度傾き検出チャートは、主走査方向の画像有効幅を有し、副走査方向に所定の長さを有する帯状のパターンである。主走査方向の濃度傾斜を検出するためのチャートであり、中間濃度のグレー色が用いられることが多い。
濃度補正用チャートは、主走査方向に所定の幅を有し、副走査方向に白(ハイライト)から最高濃度まで段階的に濃度が変化するように複数のパッチが配置されたパターンである。シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色毎に設けられている。
色補正用チャートは、主走査方向に所定の幅を有し、副走査方向にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの単色又は混色のパッチが複数配置されたパターンである。
【0069】
図13(a)に、図12のA−Aの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す。縦筋検出チャートは、主走査方向の全領域に亘って印刷されるので、全領域に対応する全てのラインセンサチップC1〜C26が選択される。また、チャート識別信号(Low Enable)がHighのままであるので、縦筋検出チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC1〜C26の光源77は通常の光量L1で発光される。
【0070】
図13(b)に、図12のB−Bの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、選択されるラインセンサチップ、及び、光源光量が上げられるラインセンサチップを示す。濃度補正用チャート又は色補正用チャートは、主走査方向におけるA3の余白領域に印刷されるので、A3の余白領域に対応するラインセンサチップC1,C2,C25,C26が選択される。また、主走査方向におけるA3の余白領域でチャート識別信号がLowとなるので、濃度補正用チャート又は色補正用チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC1,C2,C25,C26の光源77は光量L2で発光される。また、光量が上げられるタイミングに応じて、ラインセンサチップC1,C2,C25,C26のRAFE71、GAFE72、BAFE73のPGA83のゲインが下げられる(アンプゲインG2)。
【0071】
図13(c)に、図12のC−Cの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す。主走査濃度傾き検出チャートは、主走査方向においてA3領域に印刷されるので、A3領域に対応するラインセンサチップC3〜C24が選択される。また、チャート識別信号がHighのままであるので、主走査濃度傾き検出チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC3〜C24の光源77は通常の光量L1で発光される。
【0072】
図14に、テストパターンの他の例を示す。このテストパターンは、A3ワイドサイズ(329mm×530mm)の用紙に印刷されるものである。テストパターンが形成された用紙には、縦筋検出チャートが印刷された縦筋検出チャート領域P11、主走査濃度傾き検出チャートが印刷された主走査濃度傾き検出チャート領域P12、シアン濃度補正用チャートが印刷されたシアン濃度補正用チャート領域P13、マゼンタ濃度補正用チャートが印刷されたマゼンタ濃度補正用チャート領域P14、イエロー濃度補正用チャートが印刷されたイエロー濃度補正用チャート領域P15、ブラック濃度補正用チャートが印刷されたブラック濃度補正用チャート領域P16が含まれる。また、トンボパターンT11〜T14が用紙の四隅に印刷される。なお、各色の濃度補正用チャートは、色補正にも用いられる。
【0073】
図15(a)に、図14のD−Dの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す。縦筋検出チャートは、主走査方向の全領域に亘って印刷されるので、全領域に対応する全てのラインセンサチップC1〜C26が選択される。また、チャート識別信号がHighのままであるので、縦筋検出チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC1〜C26の光源77は通常の光量L1で発光される。
【0074】
図15(b)に、図14のE−Eの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、選択されるラインセンサチップ、及び、光源光量が上げられるラインセンサチップを示す。各色濃度補正用チャートが印刷される領域に対応するラインセンサチップC4,C5,C8,C9,C18,C19,C22,C23が選択される。また、各色濃度補正用チャートの領域でチャート識別信号がLowとなるので、各色濃度補正用チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC4,C5,C8,C9,C18,C19,C22,C23の光源77は光量L2で発光される。また、光量が上げられるタイミングに応じて、ラインセンサチップC4,C5,C8,C9,C18,C19,C22,C23のRAFE71、GAFE72、BAFE73のPGA83のゲインが下げられる(アンプゲインG2)。
【0075】
図15(c)に、図14のF−Fの部分の印刷時におけるチップ選択信号、チャート識別信号、及び、選択されるラインセンサチップを示す。主走査濃度傾き検出チャートは、主走査方向においてA3領域に印刷されるので、A3領域に対応するラインセンサチップC3〜C24が選択される。また、チャート識別信号がHighのままであるので、主走査濃度傾き検出チャートを読み取る際には、ラインセンサチップC3〜C24の光源77は通常の光量L1で発光される。
【0076】
次に、各ラインセンサチップC1〜C26に含まれるRAFE71、GAFE72、BAFE73のアンプ(PGA83)のゲインの設定方法について説明する。図16は、通常時のアンプゲインG1の設定処理を示すフローチャートである。
まず、制御回路61により、初期設定として、出力目標値Gt=250、光源光量=L1、アンプゲインG1=jに設定される(ステップS1)。出力目標値Gt、光量L1の値は、予めメモリ44に記憶されている。光量L1は、通常の光量として予め定められており、最大光量より小さい値に設定されている。
【0077】
次に、制御回路61によりセンサ制御I/F回路63が制御され、全てのラインセンサチップC1〜C26の光源77が光量L1で点灯される(ステップS2)。この状態でカラーラインイメージセンサ70により白基準板が撮像され(ステップS3)、1ライン分のセンサ出力値が信号処理回路64に出力される。
白基準板とは、カラーラインイメージセンサ70が読み取り可能な位置に配置され、分光特性が可視光内において均一であり、通常の用紙より反射率の高い白色の板である。白基準板は、ハイライトレベルの検出に用いられる。
【0078】
ここで、制御回路61により、信号処理回路64から1ライン分のセンサ出力値が取得され、出力目標値Gtが最大出力値以下であるか否かが判断される(ステップS4)。最大出力値とは、1ライン分の画素のセンサ出力値のうち最大値をA/D変換した値である。出力目標値Gtが最大出力値以下でない場合(ステップS4;NO)、すなわち、出力目標値Gtが最大出力値より大きい場合には、アンプゲインG1の値が1だけ大きくなるよう調整される(ステップS5)。そして、ステップS3に戻り、出力目標値Gtが最大出力値以下になるまで同様の処理が繰り返される。
【0079】
ステップS4において、出力目標値Gtが最大出力値以下となった場合には(ステップS4;YES)、制御回路61により、この時のアンプゲインG1がメモリ44に記憶される(ステップS6)。そして、制御回路61によりセンサ制御I/F回路63が制御され、ラインセンサチップC1〜C26の光源77が消灯される(ステップS7)。
【0080】
図17に、カラーラインイメージセンサ70の各受光素子から出力される出力レベルの例を示す。各受光素子から出力されるアナログ信号(光量L1でのセンサ出力レベル)が、A/D変換回路74,75,76の分解可能な入力電圧範囲となるように、すなわち、図17に示す疑似黒レベル(A/D変換回路74,75,76の最下位ビット)と飽和光量レベル(A/D変換回路74,75,76の最上位ビット)との間となるように、増幅される(増幅後の出力レベル)。
1ライン内で光量L1でのセンサ出力レベルの最大値が出力目標値Gtとなるように、アンプゲインG1が設定される。出力目標値Gtは、飽和光量レベルより所定値だけ小さい値に予め設定されている。
【0081】
図18は、光量を上げる場合のアンプゲインG2の設定処理を示すフローチャートである。
まず、制御回路61により、先に設定された光量L1とアンプゲインG1から光量L2が算出される(ステップS11)。例えば、光量L1での出力レベルと、光量L1をアンプゲインG1で増幅させた場合の出力レベルの間の出力レベルとなるような光量L2が算出される。
【0082】
次に、制御回路61により、初期設定として、出力目標値Gt=250、光源光量=L2、アンプゲインG2=kに設定される(ステップS12)。
ステップS13〜ステップS18の処理については、扱う値が光量L2及びアンプゲインG2であることを除き、図16のステップS2〜ステップS7の処理と同様であるため、説明を省略する。
1ライン内で光量L2でのセンサ出力レベルの最大値が出力目標値Gtとなるように、アンプゲインG2が設定される(図17参照)。
【0083】
アンプゲインG1の設定処理(図16参照)及びアンプゲインG2の設定処理(図18参照)は、所定の時間が経過した場合、又は、所定の枚数が印刷された場合等、定期的に行われる。
Rチャンネル画像補正回路66R、Gチャンネル画像補正回路66G、Bチャンネル画像補正回路66Bにおいて、増幅後の出力レベルが飽和光量レベル(ハイライトレベル)となるように、受光素子1個1個のバラツキが補正される(シェーディング補正)。
【0084】
次に、図19を参照して、テストチャートの読み取り処理について説明する。
まず、読取制御部60により、画像形成制御部40からページ内のチャート領域信号、チャート識別信号が取得される(ステップS21)。
次に、読取制御部60により、メモリ44から光量L1,L2及びアンプゲインG1,G2が取得される(ステップS22)。
次に、用紙検知センサにより用紙の先端が検知されると(ステップS23)、読取制御部60により、1ページ分の読み取りが開始される(ステップS24)。
【0085】
次に、読取制御部60により、ステップS21、ステップS22において取得されたデータに基づいてテストパターンが読み取られ、読み取りデータがメモリ44に保存される(ステップS25)。
具体的には、制御回路61により、チャート領域信号及びチャート識別信号に応じたセンサ制御信号がセンサ制御I/F回路63に出力され、センサ制御I/F回路63により、センサ制御信号に応じたチップ選択信号、光量データ、ゲインデータ等がカラーラインイメージセンサ70(ラインセンサチップC1〜C26)に出力される。
【0086】
チップ選択信号(チャート領域信号に対応する信号)に基づいて、複数のラインセンサチップC1〜C26の中からテストパターンが印刷されている領域に対応するラインセンサチップが選択され、テストパターンが読み取られる。テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合には、その変化に応じて選択されるラインセンサチップが切り替えられる(図12〜図15参照)。
また、光量データ(チャート識別信号に対応するデータ)に基づいて、通常光量(光量L1)、又は、光量を上げた時の光量(光量L2)で発光するよう光源77が制御される。
また、ゲインデータ(チャート識別信号に対応するデータ)に基づいて、通常ゲイン(アンプゲインG1)、又は、ゲインを下げた時のゲイン(アンプゲインG2)で増幅するようRAFE71、GAFE72、BAFE73のPGA83が制御される。
【0087】
ページの読み取りが終了すると(ステップS26)、当該ページに対する処理が終了する。
そして、画像形成制御部40により、読み取りデータに基づいて画像形成部30による印刷におけるキャリブレーションが行われる。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置100によれば、テストパターンが印刷されている領域以外から読み取られるデータを減らすことにより、不要なデータの転送を抑えることができ、不要なデータによるラインセンサチップ間における干渉を防ぐことができる。したがって、ノイズを低減させるので、読み取りデータのS/N比特性を改善することができる。
【0089】
特に、テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合に、その変化に応じて読み取らせるラインセンサチップの選択を切り替えるので、読み取りデータのS/N比特性を改善することができる。
【0090】
また、各ラインセンサチップC1〜C26が光源77を備えるので、光源77についても、ラインセンサチップ単位で選択することができ、省電力化を図ることができる。
【0091】
また、光源77をテストパターンの種類に応じた光量になるよう制御することができる。具体的には、濃度補正用チャート、色補正用チャートを読み取る際には、光源77の光量を上げ、アンプ(PGA83)のゲインを下げることにより、S/N比が上がるので、読み取りデータの信頼度が上がる。
【0092】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0093】
例えば、上記実施の形態では、テストパターンの種類によって、光源77の光量を制御する際に、光量L1,L2の2段階で制御する場合について説明したが、光量のレベルを3段階以上設けて制御することとしてもよい。この場合には、光源77の光量に応じて、PGA83(アンプ)のゲインについても、3段階以上設けて制御すればよい。
【符号の説明】
【0094】
30 画像形成部
40 画像形成制御部
43 テストパターン記憶部
44 メモリ
60 読取制御部
61 制御回路
62 信号ジェネレータ
63 センサ制御I/F回路
64 信号処理回路
65R Rチャンネル並列→時系列変換部
65G Gチャンネル並列→時系列変換部
65B Bチャンネル並列→時系列変換部
66R Rチャンネル画像補正回路
66G Gチャンネル画像補正回路
66B Bチャンネル画像補正回路
70 カラーラインイメージセンサ
71 RAFE
72 GAFE
73 BAFE
74,75,76 A/D変換回路
77 光源
78 R受光素子
79 G受光素子
80 B受光素子
81 CDS
82 黒レベルクランプ
83 PGA
91 D/A変換回路
92 定電流回路
100 画像形成装置
C1〜C26 ラインセンサチップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め記憶されているテストパターンを画像形成部により用紙に印刷し、当該印刷されたテストパターンを複数のラインセンサチップから構成されるラインイメージセンサにより読み取り、当該読み取られたテストパターンの読み取りデータに基づいて前記画像形成部による印刷におけるキャリブレーションを行う画像形成装置において、
前記複数のラインセンサチップの中から前記テストパターンが印刷されている領域に対応するラインセンサチップを選択して前記テストパターンを読み取らせる読取制御部を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記読取制御部は、前記テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合には、その変化に応じて読み取らせるラインセンサチップの選択を切り替える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数のラインセンサチップのそれぞれは、前記用紙を照明する光源を備える、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記読取制御部は、前記テストパターンの種類によって、前記光源の光量を制御する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項1】
予め記憶されているテストパターンを画像形成部により用紙に印刷し、当該印刷されたテストパターンを複数のラインセンサチップから構成されるラインイメージセンサにより読み取り、当該読み取られたテストパターンの読み取りデータに基づいて前記画像形成部による印刷におけるキャリブレーションを行う画像形成装置において、
前記複数のラインセンサチップの中から前記テストパターンが印刷されている領域に対応するラインセンサチップを選択して前記テストパターンを読み取らせる読取制御部を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記読取制御部は、前記テストパターンが印刷されている領域が1枚の用紙内で変化する場合には、その変化に応じて読み取らせるラインセンサチップの選択を切り替える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数のラインセンサチップのそれぞれは、前記用紙を照明する光源を備える、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記読取制御部は、前記テストパターンの種類によって、前記光源の光量を制御する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−237780(P2012−237780A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104867(P2011−104867)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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