説明

画像形成装置

【課題】像担持体ベルトから転写案内部材先端へのトナー付着を防止し、転写紙の先端、コバ面の汚れを防止するようにした画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像を担持する像担持ベルト51と、自らの表面を該像担持ベルトに当接させて転写ニップを形成する当接部材56と、記録紙Pを該転写ニップに向けて送り込む送込手段71と、該送込手段から送られる記録体Pを、ニップへ向けて案内する案内部材65とを備え、案内部材65は、片持ちされた平板状の可撓性部材からなり、且つ案内部材と像担持ベルトとの間には、記録紙とは常時非接触であるトナー遮蔽部材67を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタなどにおいて静電転写プロセスを利用した電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置においては、潜像担持体として用いられる感光体上にトナー像を形成し、そのトナー像を紙やOHPシートあるいはトレーシングペーパなどの記録媒体に静電転写し、転写されたトナー像が定着されることにより複写出力として得られるようになっている。
複写出力として得られる画像には、単一色だけでなくフルカラーを含む複数色の画像があり、複数色の画像を形成する構成の一つとして、フルカラーを得る際にもモノクロ並みのスピードが得られる利点を有するタンデム型が知られている。
【0003】
この構成では、感光体およびこれに対する画像形成処理を行う装置の一部を含む色毎の作像部を並置し、各作像部間を移動するベルトに順次画像転写を行い、あるいはベルトにより搬送されるシートなどの記録媒体に対して順次画像を転写して重畳することによりカラー画像を得るようになっている。
タンデム型の画像形成装置には、各感光体上の画像を一次転写装置により、中間転写体として用いられる中間転写ベルトに順次転写した後、その中間転写ベルト上の画像を二次転写装置によりシートなどの転写紙等の記録媒体に一括転写する中間転写方式のものと、各感光体上の画像を転写装置により搬送ベルトで搬送された転写紙等の記録媒体に順次、直接転写する直接転写方式のものとがある。
【0004】
タンデム型の画像形成装置において、中間転写ベルトあるいは搬送ベルトの内部には、画像転写の際の転写バイアス印加部材としてバックアップローラが配置されており、バックアップローラは、ベルト裏面に当接した状態で転写バイアスを印加するようになっている。
一方、中間転写ベルトに対して各色の画像を順次転写する工程を1次転写工程とすると、重畳されたカラートナー像は、2次転写工程において転写紙に対して一括転写されるようになっている。
【0005】
2次転写工程が行われる2次転写位置に向けて搬送される記録媒体(以下、転写紙と表現する)は、中間転写ベルトをバックアップローラに向け加圧する2次転写ローラとバックアップローラで構成される転写ニップ部の位置、ニップ部に向けて給送する転写紙のレジストタイミングを設定するレジストローラの位置、給紙装置から繰り出される転写紙の搬送路に位置する搬送ローラとでそれぞれ挟持搬送される。
転写ニップ部に至る転写紙は、転写ニップ部に進入する向きを規定するために案内部材(入口ガイド部材)などによって方向規定を行うのが一般的である。
【0006】
案内部材は、その精度、構造、配置等の条件次第で、転写ブレ等の不具合をもたらす原因となる為、画像品質を維持する為に、転写案内部材を精度良く適切に設計することが求められている。
このような転写位置に対設される案内部材に要求される機能は2つに大別できる。
1つ目の機能は転写紙(画像形成媒体)が像担持体と接触する位置の規制機能である。
即ち、転写位置に供給される転写紙は、転写部材からの転写電界がかかる前に像担持体と接触させる必要が有り、転写紙が像担持体に接触する前に転写電界が転写紙にかかると、中間転写ベルト上の粉体画像が空隙を介して転写紙に対して転写し、いわゆるチリ画像となる。
【0007】
これを防止するために転写電界が加わる位置より前の段階で中間転写ベルトに対して転写紙を進入、接触させることが通常行われている。しかし、転写ニップ前中間転写ベルトと接触する部分が長いと転写紙と中間転写ベルトとの微少な線速差により画像こすれが発生してしまうため、紙と中間転写ベルトとの接触位置を規制する機能が要求される。
2つ目の機能は、転写紙後端が転写案内部材を抜ける際に発生するショックを弱める機能である。
【0008】
第1の機能で説明したように、案内部材は、転写ニップの前では紙がベルトとの接触を規制する位置に配置しなければならず、転写紙がニップに入っている間は、転写入口ガイド板が転写紙を支えているが、最後に紙後端がこの転写入口ガイド板を離れる場合、転写ベルトに向かって接触する。この接触する力は、特に厚紙(坪量90kg紙以上)のような剛性の強い転写紙の場合は大きなものとなり、この時の衝撃で画像がブレを生じてしまうという問題を引き起こしていた。
【0009】
即ち、案内部材に規制されていた転写紙が、案内部材から離れる際に、中間転写ベルトに向かって移動し、接触する。この接触する力は、紙の剛性が高い厚紙になるほど大きく、中間転写ベルト上のトナーを乱してしまうため、接触力を弱める機能である。接触力を弱めるために、案内部材の先端位置は中間転写ベルトと近接した位置に配置している。これは、案内部材と中間転写ベルトとの距離が広すぎると転写紙後端が案内部材から離れる際の転写ベルトに接触変位する際の衝撃も大きくなるので、先端位置は近接させておかなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述の案内部材には次のような問題がある。
転写紙は案内部材と対向する間、常時接触して移動するため、転写紙と案内部材との間の摩擦により案内部材が帯電することでトナーと逆極性に帯電し電荷が保持される。摩擦帯電による案内部材の帯電現象は、主にコート紙で発生しやすく、コート剤の材料によってはより発生してしまう。この案内部材に保持される電荷が増えると、転写ベルト上のトナーを引き付けるように作用してしまい、転写ベルトとの近接部である案内部材にトナーを付着させて汚してしまう。
そこで、このような先端やコバ面汚れに問題に関して下記の特許文献1においては、転写案内部材を導電性部材で形成するとともに、案内部材にトナーと同極性の反発バイアスを印加する技術が開示されている。
【0011】
しかしながら、当該特許文献1に開示された技術では、導電性部材にバイアスを印加する電源や制御手段が必要であることから装置が複雑化するとともに、装置の大型化・高コスト化を招いてしまうという不具合がある。
特許文献2においては、ニップ手前で中間転写ベルトの背面にトナー像と逆極性の電圧を印可する電圧印加手段を備え、トナーと逆極性の電圧を与えることにより、転写ニップ手前でトナー像を中間転写ベルトに引き付ける電界が生じるので、転写入口ガイド板へのトナー飛散がなくなる技術が開示されている。
しかしながら、当該特許文献2に開示された技術でも同様にバイアスを印加する電源や制御手段が必要であることから装置が複雑化するとともに、装置の大型化・高コスト化を招く。
【0012】
特許文献3においては、案内部材上に導電性の非接触トナー捕集部材を設け、トナー捕集部材と中間転写ベルトとの電位差が大きくなるようにして、トナー捕集部材に集中的にトナーが付着するようにして案内部材の先端部へのトナーが付着しないようにすることで、転写紙の汚れを防止する技術が開示されている。
ベルト上のトナーを捕集部材に集中的に付着させることで、案内部材への付着は防止できるが、すぐに捕集部材上にトナーが積もり、積もったトナーが中間転写ベルトと接触し画像を乱すため、頻繁に案内部材を交換しなければならない不具合があった。
【0013】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、コスト的に負担の少なく、像担持体ベルトから転写案内部材先端へのトナー付着を防止し、転写紙の先端、コバ面の汚れを防止することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、無端移動する自らの表面にトナー像を担持する無端状の像担持ベルトと、無端移動する自らの表面を該像担持ベルトに当接させて転写ニップを形成する当接部材と、記録体を該転写ニップに向けて送り込む送込手段と、該送込手段から送られる記録体を、ニップへ向けて案内する案内部材とを備えた画像形成装置において、上記案内部材は支持部材に片持ち支持された平板状の弾性変形可能な可撓性部材からなり、且つ、上記案内部材と像担持ベルトとの間に上記記録体と常時非接触であるトナー遮蔽部材を配置したことを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、上記案内部材は、上記支持部材の像担持体に対向する側と反対面に片持ち支持され、上記トナー遮蔽部材を像担持体に対向する側の面に配置したことを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、上記案内部材と上記トナー遮蔽部材との支持部材からの突出し長さを同じ長さにしたことを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項4の発明は、請求項1〜3記載の画像形成装置において、上記トナー遮蔽部材は、金属部材であることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項1〜3記載の画像形成装置において、上記トナー遮蔽部材は、弾性変形可能な可撓性部材であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、転写紙をニップに案内させる案内部材を平板状の可撓性部材からなり、且つ上記案内部材と像担持ベルトとの間にトナー遮蔽部材を配置することにより、トナー汚像担持ベルト上のトナーが案内部材の先端に付着するのを防止することができるため、転写紙の先端、コバ面の汚れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る画像形成装置としての複写機の全体構成を示す側面図である。
【図2】図1の複写機の画像形成部の全体側面図である。
【図3】図1の複写機の画像形成部の部分拡大側面説明図である。
【図4】図1の複写機の画像形成部の転写位置における部分拡大側面説明図である。
【図5】図1の複写機の画像形成部の転写位置の底面視での概略説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態での画像形成部の転写位置における部分拡大側面説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態のカラーデジタル複写機の全体構成を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した画像形成装置について説明する。
この画像形成装置は、片持ちされた案内部材がその揺動端を像担持ベルトに近接させるように撓んだ上で、記録体後端部を像担持ベルトに受け渡すことで、記録体後端部が像担持ベルトに接触する勢いを低減させることを実現した。
図1は、実施形態1に係る電子写真方式の画像形成装置としての複写機Mを示す概略構成図である。複写機Mは記録体としての記録紙Pに画像を形成するプリンタ部1、プリンタ部1に対して記録紙Pを供給する給紙装置200、原稿画像を読み取るスキャナ300、このスキャナ300に原稿を自動給紙する原稿自動搬送装置(以下、ADFという)400等を備えている。
【0022】
スキャナ300では、原稿照明用光源やミラーなどを搭載した第1走行体303と、複数の反射ミラーを搭載した第2走行体304とが往復移動するのに伴って、コンタクトガラス301上に載置された図示しない原稿の読取り走査が行われる。第2走行体304から送り出される走査光は、結像レンズ305によってその後方に設置されている読取センサ306の結像面に集光せしめられた後、読取センサ306によって画像信号として読込まれる。
プリンタ部1の筺体1の側面には、筺体1内に給紙する記録紙Pを手差しで載置する手差しトレイ2や、筐体内から排出された画像形成済みの記録紙Pをスタックする排紙トレイ3が設けられる。
【0023】
図2は、プリンタ部1の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。プリンタ部1には、像担持ベルトとしての無端状の中間転写ベルト51を複数の張架ローラによって張架(ベルトを複数のローラ間に張り状態で架け渡す状態とする)している転写手段たる転写ユニット50が筐体1に支持された状態で配設されている。中間転写ベルト51は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ52、2次転写バックアップローラ53、従動ローラ54、4つの1次転写ローラ55Y,C,M,Kによって張架されながら、駆動ローラ52の回転によって図中時計回り方向に無端移動される。なお、1次転写ローラ55Y,C,M,Kの符号の末端に付しているY,C,M,Kという添字は、イエロー,シアン,マゼンタ,黒用の部材であることを示している。以下、符号の末端に付しているY,C,M,Kという添字は、同様である。
【0024】
中間転写ベルト51は、駆動ローラ52、2次転写バックアップローラ53、従動ローラ54に対する掛け回し箇所でそれぞれ大きく湾曲していることで、底辺を鉛直方向上側に向ける逆三角形状の姿勢で張架されている。この逆三角形状の底辺にあたるベルト上部の張架面(一対のローラ間に張り状態で架け渡したベルトの面とする)は水平方向に延在しており、そのベルト上部張架面の上側には、4つのプロセスユニット10Y,C,M,Kが上部張架面の延在方向に沿って水平方向に並ぶように配設されている。
【0025】
先に示した図1において、4つのプロセスユニット10Y,C,M,Kの上方には、光書込ユニット68が配設されている。光書込ユニット68は、スキャナ300によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、図示しないレーザー制御部によって4つの半導体レーザー(図示せず)を駆動して4つの書込光Lを出射する。そして、プロセスユニット10Y,C,M,Kの潜像担持体たるドラム状の感光体11Y,C,M,Kをそれぞれ書込光Lによって暗中にて走査して、感光体11Y,C,M,Kの表面にY,C,M,K用の静電潜像を書き込む。
【0026】
本実施形態では、光書込ユニット68として、半導体レーザーから出射したレーザー光を図示しないポリゴンミラーによって偏向せしめながら、図示しない反射ミラーで反射させたり光学レンズに通したりすることで光走査を行うものを用いている。かかる構成のものに代えて、LEDアレイによって光走査を行うものを用いてもよい。
図3は、Y,C用のプロセスユニット10Y,Cのみを中間転写ベルト51とともに示す部分拡大構成図である。Y用のプロセスユニット10Yは、ドラム状の感光体11Yの周囲に、帯電部材12Y、除電装置13Y、ドラムクリーニング装置14Y、現像手段たる現像装置20Y、電位センサ49Y等を有している。そして、これらを共通の保持体たるケーシングで保持しながらプリンタ部1に対して1つのユニットとして一体的に着脱されるようになっている。
【0027】
図3に示すように、帯電部材12Yは、感光体11Yに当接しながら、図示しない軸受けによって回転自在に支持されるローラ状の部材である。図示しないバイアス供給手段によって帯電バイアスが印加されながら感光体11Yに対して接触回転することで、感光体11Yの表面を例えばYトナーの帯電極性と同極性に一様帯電せしめる。かかる構成の帯電部材12Yに代えて、感光体11Yに対して非接触で一様帯電処理を施すスコロトロンチャージャなどを採用することもできる。
図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有するY現像剤をケーシング21Yに内包(内部に収容保持する状態とする)している現像装置20Yは、現像剤搬送装置22Yと現像部23Yとを有している。現像部23Yでは、図示しない駆動手段によって回転駆動されることで表面を無端移動させる現像剤担持体としての現像スリーブ24Yがその周面の一部をケーシング21Yに設けられた開口から外部に露出させている。これにより、感光体11Yと現像スリーブ24Yとが所定の間隙を介して対向する現像領域が形成されている。
【0028】
非磁性の中空パイプ状の部材からなる現像スリーブ24Yの内部には、周方向に並ぶ複数の磁極を具備する図示しないマグネットローラが現像スリーブ24Yに連れ回らないようにケーシング21Y側に固定されている。現像スリーブ24Yは、後述する現像剤搬送装置22Y内のY現像剤をこのマグネットローラの発する磁力によって表面に吸着させながら回転駆動することで、Y現像剤を現像剤搬送装置22Y内から汲み上げる。そして、現像スリーブ24Yの回転に伴って上記現像領域に向けて搬送されるY現像剤は、現像スリーブ24Yの表面に対して所定の間隙を介して先端を対向させているドクタブレード25Yと、スリーブ表面との間に形成されているドクタギャップに進入する。この際、スリーブ上における層厚がドクタギャップとほぼ同じ厚みに規制される。そして、現像スリーブ24Yの回転に伴って感光体11Yと対向する現像領域の付近まで搬送されると、上記マグネットローラの図示しない現像磁極の磁力を受けてスリーブ上で穂立ちして磁気ブラシとなる。
【0029】
現像スリーブ24Yには、図示しないバイアス供給手段によって例えばトナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加されている。これにより、現像領域では、現像スリーブ24Y表面と感光体11Yの非画像部(一様帯電部位=地肌部)との間に、Yトナーを非画像部側からスリーブ側に静電移動させる非現像ポテンシャル(トナーをそれと同極性の静電気力で排斥する電界状態の場)が作用する。また、現像スリーブ24Y表面と感光体11Y上の静電潜像との間に、Yトナーをスリーブ側から静電潜像に向けて静電移動させる現像ポテンシャル(トナーをそれと逆極性の静電気力で吸引する電界状態の場)が作用する。この現像ポテンシャルの作用によってY現像剤中のYトナーが静電潜像に転移することで、感光体11Y上の静電潜像がYトナー像に現像される。
【0030】
現像スリーブ24Yの回転に伴って上記現像領域を通過したY現像剤は、図示しないマグネットローラに具備される反発磁極間によって形成される反発磁界の影響を受けて、現像スリーブ24Y上から離脱して現像剤搬送装置22Y内に戻る。
現像剤搬送装置22Yは、2本の第1スクリュウ部材26Y、第2スクリュウ部材32Y、両スクリュウ部材間に介在する仕切壁21w、透磁率センサからなるトナー濃度検知センサ45Yなどを有している。仕切壁21wは、第1スクリュウ部材26Yが収容される現像剤搬送部たる第1搬送室と、第2スクリュウ部材32Yが収容される現像剤搬送部たる第2搬送室とを仕切っているが、両スクリュウ部材の軸線方向における両端部に対向する領域の仕切壁wgには、それぞれ図示しない開口が形成され、同開口を通じて両搬送室を連通させている。
【0031】
撹拌搬送部材としての第1スクリュウ部材26Y、第2スクリュウ部材32Yは、それぞれ図示しない軸受けによって両端部が回転自在に支持される棒状の回転軸部材と、これの周面に螺旋状に突設せしめられた螺旋羽根とを有している。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられるのに伴って、Y現像剤を螺旋羽根によって回転軸線方向に搬送する。
第1スクリュウ部材26Yが収容されている第1搬送室内では、第1スクリュウ部材26Yの回転駆動に伴って、Y現像剤が図紙面に直交する方向の手前側から奥側に向けて搬送される。そして、ケーシング21Yの奥側の端部付近まで搬送されると、仕切壁21wに設けられた図示しない開口を経由して第2搬送室内に進入する。
【0032】
第2スクリュウ部材32Yが収容されている第2搬送室の上方には、上述した現像部23Yが形成されており、第2搬送室と現像部23Yとは互いの対向部の全領域において連通している。これにより、第2スクリュウ部材32Yと、これの斜め上方に配設された現像スリーブ24Yとが、互いに平行な関係を維持しながら対向している。第2搬送室内では、第2スクリュウ部材32Yの回転駆動に伴って、Y現像剤が図紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送される。この搬送の過程において、第2スクリュウ部材32Yの回転方向周囲のY現像剤が現像スリーブ24Yに適宜汲み上げられたり、現像スリーブ24Yから現像後のY現像剤が適宜回収されたりする。そして、第2搬送室の図中手前側の端部付近まで搬送されたY現像剤は、図示しない開口を通って、第1搬送室内に戻る。
【0033】
第1搬送室の下壁には、透磁率センサであるトナー濃度検知センサ45Yが固定されており、第1スクリュウ部材26Yによって搬送されているY現像剤のトナー濃度を下方から検知して検知結果に応じた電圧を出力する。図示しない制御部は、トナー濃度検知センサ45Yからの出力電圧値に基づいて、必要に応じて図示しないYトナー補給装置を駆動することで、適量のYトナーを第1搬送室内に補給する。これにより、現像に伴ってトナー濃度を低下させたY現像剤のトナー濃度が回復する。
感光体11Y上に形成されたYトナー像は、後述するY用の1次転写ニップで中間転写ベルト51上に1次転写される。この1次転写工程を経由した後の感光体11Y表面には、中間転写ベルト51上に1次転写されなかった転写残トナーが付着している。
【0034】
ドラムクリーニング装置14Yは、例えばポリウレタンゴム等からなるクリーニングブレード15Yを片持ち支持(プレートの長手方向での一端のみを支持する状態とする)しており、その自由端側を感光体11Y表面に当接させている。また、図示しない駆動手段によって回転駆動される回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた無数の導電性起毛とを具備するブラシローラ16Yのブラシ先端側を感光体11Yに接触させている。そして、上述の転写残トナーをこのクリーニングブレード15Yやブラシローラ16Yによって感光体11Y表面から掻き取る。
【0035】
ブラシローラ16Yには、これに当接する金属製の電界ローラ17Yを介してクリーニングバイアスが印加されており、電界ローラ17Yにはスクレーパ18Yの先端が押し当てられている。クリーニングブレード15Yやブラシローラ16Yによって感光体11Yから掻き取られた転写残トナーは、ブラシローラ16Yと電界ローラ17Yとを経た後、スクレーパ18Yによって電界ローラ17Yから掻き取られて、回収スクリュウ19Y上に落下する。そして、回収スクリュウ19Yの回転駆動に伴って、ケーシング外に排出された後、図示しないトナーリサイクル搬送手段を介して現像剤搬送装置22Y内に戻される。
【0036】
ドラムクリーニング装置14Yによって転写残トナーがクリーニングされた感光体11Y表面は、除電ランプ等からなる除電装置13Yによって除電された後、帯電部材12Yによって再び一様帯電せしめられる。
また、書込光Lによる光書込位置を通過した感光体11Yの非画像部の電位は、電位センサ49Yによって検知されて、その検知結果が図示しない制御部に送られる。
【0037】
Y用のプロセスユニット10Yについて詳述したが、他色のプロセスユニット(10C,M,K)は、使用するトナーの色が異なる点の他は、Y用のものと同様の構成になっている。
先に示した図2において、プロセスユニット10Y,C,M,Kの感光体11Y,C,M,Kは、時計回り方向に無端移動せしめられる中間転写ベルト51の上部張架面に当接しながら回転してY,C,M,K用の1次転写ニップを形成している。これらY,C,M,K用の1次転写ニップの裏側では、上述した1次転写ローラ55Y,C,M,Kが中間転写ベルト51の裏面に当接している。
【0038】
そして、これら1次転写ローラ55Y,C,M,Kには、それぞれ図示しないバイアス供給手段によってトナーの帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスが印加されている。この1次転写バイアスにより、Y,C,M,K用の1次転写ニップには、トナーを感光体側からベルト側に静電移動させる1次転写電界が形成される。感光体11Y,C,M,K上に形成されたY,C,M,Kトナー像は、感光体11Y,C,M,Kの回転に伴ってY,C,M,K用の1次転写ニップに進入すると、この1次転写電界やニップ圧の作用によって中間転写ベルト51上に順次重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト51のおもて面(ループ外周面)には、4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。なお、1次転写ローラ55Y,C,M,Kに代えて、1次転写バイアスが印加される導電性ブラシや、非接触方式のコロナチャージャなどを採用してもよい。
【0039】
K用のプロセスユニット10Kの図中右側方には、光学センサユニット69(図2参照)が中間転写ベルト51のおもて面に対して所定の間隙を介して対向するように配設されている。この光学センサユニット69は、中間転写ベルト51のベルト幅方向の一端部において、ベルト周方向に所定のピッチで付された図示しないマークを検知する。個々のマークの検知時間間隔に基づいて、中間転写ベルト51の移動速度を測定することができる。
図2に示すように、中間転写ベルト51の下方には当接部材としての2次転写ローラ56が配設されており、これは図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられ、無端移動する自らの表面を中間転写ベルト51のおもて面に当接して2次転写ニップを形成している。そして、この2次転写ニップの裏側では、2次転写バックアップローラ53が中間転写ベルト51を掛け回し(ローラに架けられたベルトを回転移動させる状態とする)ている。
【0040】
2次転写バックアップローラ53には、図示しない2次転写電源により、トナーの帯電極性と同極性の2次転写バイアスが印加される。これに対し、ベルトのおもて面に当接して2次転写ニップを形成している当接部材たる2次転写ローラ56は接地されている。これにより、2次転写バックアップローラ53と2次転写ローラ56との間に2次転写電界が形成されている。中間転写ベルト51のおもて面に形成された4色トナー像は、中間転写ベルト51の無端移動(環状体が複数の支持体にわたって回転移動する状態とする)に伴って2次転写ニップに進入する。
【0041】
先に示した図1において、給紙装置200は、記録紙Pを収納する給紙カセット201、これらの給紙カセット201に収納された記録紙Pをカセット外に送り出す給紙ローラ202、送り出された記録紙Pを一枚ずつ分離する分離ローラ対203、分離後の記録紙Pを送り出し路204に沿って搬送する搬送ローラ対205などがそれぞれ複数配設されている。給紙装置200は、図示のようにプリンタ部1の直下に配設されている。そして、給紙装置200の送り出し路204は、プリンタ部1の給紙路70に連結している。これにより、給紙装置200の給紙カセット201から送り出された記録紙Pは、送り出し路204を経由してプリンタ部1の給紙路70内に送られる。
【0042】
この給紙路70の末端付近には、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り込む送込手段としてのレジストローラ対71が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト51上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り込む。
そして、2次転写ニップ内では、中間転写ベルト51上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップから排出されると中間転写ベルト51から離間する。
なお、中間転写ベルト51を掛け回した2次転写バックアップローラ53と2次転写ローラ56か形成する2次転写ニップが存在する転写位置の構成は更に後述する。
【0043】
2次転写ニップの図中左側方には、無端状の紙搬送ベルト76を複数の張架ローラによって張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる搬送ベルトユニット75が配設されている。中間転写ベルト51から分離した記録紙Pは、この紙搬送ベルト76の上部張架面に受け渡されて、定着装置80に向けて搬送される。
定着装置80内に送られた記録紙Pは、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ81と、これに向けて押圧される加圧ローラ82とによる定着ニップ内に挟み込まれる。そして、加圧されつつ加熱されるともでフルカラー画像が表面に定着させしめられながら、定着装置80外に向けて送られる。
図2に示すように、2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト51表面には、記録紙Pに転写されなかった若干量の2次転写残トナーが付着している。この2次転写残トナーは、中間転写ベルト51の表面に当接しているベルトクリーニング装置57によってベルトから除去される。
【0044】
定着装置80の下方には、スイッチバック装置85が配設されている。定着装置80から排出された記録紙Pは、揺動可能な切替爪86による搬送路切替位置までくると、切替爪86の揺動停止位置に応じて、排紙ローラ対87、あるいはスイッチバック装置85に向けて送られる。そして、排紙ローラ対87に向けて送られた場合には、機外へと排出された後に、排紙トレイ3上にスタックされる。
一方、スイッチバック装置85に向けて送られた場合には、スイッチバック装置85によるスイッチバック搬送によって上下反転せしめられた後、再びレジストローラ対71に向けて搬送される。そして、2次転写ニップに再び進入して、もう片面にもフルカラー画像が形成される。
なお、プリンタ部1の筺体1の側面に設けられた手差しトレイ2上に手差しされた記録紙Pは、手差し供給ローラ72と、手差し分離ローラ対73とを経由した後、レジストローラ対71に向けて送られる。
【0045】
本実施形態1に係る複写機によって原稿のコピーをとる場合、まず、原稿自動搬送装置400の原稿台401に原稿をセットする。あるいは、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス301上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じて押さえる。その後、図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときには、原稿がコンタクトガラス301内に送られる。そして、スキャナ300が駆動して第1走行体303及び第2走行体304による読取走査が開始する。これとほぼ同時に、転写ユニット50や各色プロセスユニット10Y,C,M,Kの駆動が開始する。更には、給紙装置200からの記録紙Pの送り出しも開始する。なお、給紙カセット201にセットされていない記録紙Pを使用する場合には、手差しトレイ2にセットされた記録紙Pの送り出しが行われる。
【0046】
図4は、中間転写ベルト51を掛け回した2次転写バックアップローラ53と2次転写ローラ56か形成する2次転写ニップとその周囲構成とを示す拡大構成図である。
同図において、2次転写電源59によってトナーと同極性(図示の例では負極性)の2次転写バイアスが印加される2次転写バックアップローラ53と、接地されている2次転写ローラ56との間には、中間転写ベルト51を介して2次転写電流が流れる。この2次転写電流は、両ローラの軸間を結ぶ経路、即ち、図中白抜きの矢印を付した位置で主に流れる。よって、中間転写ベルト51から記録紙Pへのトナー像の2次転写は、軸間を結ぶ位置(以下、軸間位置という)で行われる。この軸間位置よりも僅かにベルト移動方向上流側において、中間転写ベルト51のおもて面と、2次転写ローラ56との間にギャップが形成されていると、ギャップ間で放電が発生する。これにより、2次転写ニップに進入する前のベルト領域にたるトナー像中のトナーが散って転写チリを引き起こしてしまう。
【0047】
そこで、本複写機Mにおいては、白抜き矢印で示した軸間位置よりも比較的離れた位置p1でギャップを形成するように、軸間位置よりもベルト移動方向上流側の位置p1でベルトを2次転写ローラ56に強制的に巻き掛けるようにしている。この強制的な巻き掛けは、中間転写ベルト51のループ内側において2次転写バックアップローラ53よりもベルト移動方向上流側に配設された押し下げローラ58によって行われている。押し下げローラ58が、ベルトループ内側からベルトを2次転写ローラ56に向けて押し下げることで、ベルトを2次転写ローラ56に強制的に巻き掛けているのである。かかる巻き掛けにより、2次転写電流の及ばない位置までギャップを遠ざけることで、転写チリの発生を有効に抑えている。
押下げローラ58は、金属からなる円筒状の芯金58aとこれの外周面に被覆された樹脂部58bとを形成している。中間転写ベルト51との接触面は電気的に絶縁の樹脂部58bで形成することにより、2次転写バックアップローラ53に印加された2次転写電流が中間転写ベルトの裏面を通じて、押下げローラ58に流れこむことで、2次転写ローラ56に流れ込む転写電流が減少するのを防止している。
【0048】
2次転写バックアップローラ53は、金属からなる円筒状の芯金53aと、これの外周面に被覆された導電性の弾性層53bとを有している。A5サイズなどといった小サイズ紙を用いる際には、2次転写ニップ内において、ベルト幅方向におけるベルトと小サイズ紙との接触面積が比較的少なくなる。そして、小サイズ紙がニップ内に進入しているにもかかわらず、ベルトと2次転写ローラ56との直接接触領域が比較的大きな面積で形成される。このような場合において、2次転写電流が電気抵抗の大きな小サイズ紙を避けるようにして前述の直接接触領域に集中的に流れてしまうと、小サイズ紙の領域で必要とする実効転写電界が得られなくなって転写不良を引き起こしてしまう。そこで、本複写機では、2次転写バックアップローラ53の弾性層53bの弾性材料として、イオン導電剤の添加量を適切に調整したものを使用して、2次転写バックアップローラ53の体積固有抵抗率で10[Ω・cm]以上にしている。これにより、紙の抵抗よりも大きな電気抵抗をバックアップローラ53に発揮させることで、上記直接接触領域への2次転写電流の集中を回避している。
【0049】
2次転写ローラ56は、金属からなる円筒状の芯金56aと、これの外周面に被覆された導電性の弾性層56bと、これの外周面に被覆された導電性樹脂からなる表面層56cとを有している。芯金としては、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料からなるものを例示することができる。
2次転写ローラ56の弾性層56bとしては、ゴム材料に導電性材料あるいはイオン導電剤を添加した導電性ゴム材料からなるものを例示することができる。弾性層56bの柔軟な変形によって中間転写ベルト51に幅広く密着し得る2次転写ローラ56とするために、弾性層56bとしては、JIS−A硬度が70[°]以下であるものを採用することが望ましい。但し、2次転写ローラ56に対しては、後述するクリーニングブレード60を当接させていることから、弾性層56bが軟らか過ぎると、その柔軟すぎる変形によってクリーニングが困難になる。よって、弾性層56bのJIS−A硬度については、40[°]以上にすることが望ましい。本複写機では、JIS−A硬度を50[°]に調整したエピクロルヒドリンゴムからなる弾性層56bを採用している。
【0050】
2次転写ローラ56の表面層56cとしては、電気抵抗調整のためのカーボン粉末を分散させたエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)やSiゴムからなるものを例示することができる。また、イオン導電機能を有するニトリルゴム(NBR)やウレタンゴム等からなるものでもよい。表面層56cは、2次転写ローラ56の表面に対するトナー固着を抑える役割を担っているので、当然ながらトナー離型性が弾性層56bよりも優れている。
本複写機は、2次転写ローラ56と中間転写ベルト51が形成する2次転写ニップよりもベルト移動方向の上流側の位置に、レジストローラ対71から送られる記録紙Pを、2次転写ニップの入口へ向けて案内する平板状の可撓性部材からなる案内部材(ガイド板)65(図4、図5参照)を配設している。この案内部材(ガイド板)65については後述する。
【0051】
本複写機は、高速プリントを安定的に可能にすべく、紙間にトナー濃度調整パターンを作成しているため、そのトナーは、2次転写ローラ56に付着するようになる。そこで、図4に示すように、2次転写ローラ56に付着したトナーを機械的に掻き取るクリーニングブレード60を2次転写ローラ56に当接させている。また、潤滑剤塗布手段62による潤滑剤の塗布で、2次転写ローラ56のトナー離型性をより向上させている。
この潤滑剤塗布手段62は、ステアリン酸亜鉛塊などの固形潤滑剤63と2次転写ローラ56との両方に接触して回転駆動することで、固形潤滑剤63から掻き取って得た潤滑剤粉末を2次転写ローラ56に塗布する塗布ブラシローラ621や、固形潤滑剤63を塗布ブラシローラ621に向けて付勢するコイルバネ64等を有している。また、クリーニングブレード60の上流には、紙粉を取り除くために、紙粉除去ブラシ61が配置されている。
【0052】
図示のように、2次転写ローラ56には、様々な部材を当接させているので、中間転写ベルト51の表面移動に伴う従動回転を行うことはできない。また、高速に記録紙Pを2次転写ニップに通すには、2次転写ローラ56を回転駆動した方が有利である。このような理由から、2次転写ローラ56については、図示しない駆動系によって回転駆動するようになっている。かかる構成では、既に説明したように、2次転写ニップの入口近傍における記録紙Pの搬送が、2次転写ニップ内で記録紙Pの先端側に圧接する2次転写ローラ56の回転駆動力に支配されるようになる。そして、2次転写ニップの入口近傍では、記録紙Pが2次転写ローラの線速とほぼ同じ速度で移動する。
【0053】
ところで、2次転写ローラ56は、製造時の加工精度の限界から、±0.5[%]の外径誤差がどうしても発生してしまう。このため、中間転写ベルト51の移動速度と2次転写ローラ56の線速とを同じにする設計にしたとしても、僅かな線速差がどうしても発生してしまう。更には、2次転写ローラ56の外周に対して回転中心が僅かに偏心することから、一周あたりにおいても2次転写ローラ56の線速は微妙に変化する。これらの結果、2次転写ニップのベルト51と記録紙Pとの接触領域において、記録紙Pの移動速度とベルトの移動速度との速度差をなくすことはできない。そして、この速度差により、トナー像の擦れによる画像乱れが少なからず発生してしまう。
【0054】
なお、本複写機では、レジストローラ対71による記録紙Pの送り込み速度を、2次転写ローラ56による記録紙Pの搬送速度よりも少しだけ速くしている。これは、先端側を2次転写ニップ内に挟み込みつつ、後端側をレジストローラ対71のレジストニップに挟み込んだ状態の記録紙Pを、2次転写ニップとレジストニップとの間で過剰なテンションで引き延ばしているからである。
このような速度設定では、記録紙Pの搬送に伴って、2次転写ニップとレジストニップとの間で記録紙Pを徐々に撓ませていくが、この撓みは、厳密には、案内部材(ガイド板)65による記録紙Pの支持点(先端位置)sと、レジストニップの出口との間で発生する。そして、支持点sと2次転写ニップ入口との間では記録紙Pの撓みが殆ど発生しないことから、記録紙Pは2次転写ニップの入口近傍で2次転写ローラ56の線速で移動する。
【0055】
これに対し、案内部材65の先端位置(支持点s)が2次転写ニップから離れた位置に配置された場合には、記録紙Pは、2次転写ニップ入口と案内部材65との間で撓みが発生してしまい、ニップ入口前で中間転写ベルトと記録紙Pは接触してしまう。2次転写ニップ入口前の領域では、記録紙Pは、僅かな線速差をもって中間転写ベルト51とが接触しながら移動するため、トナー像が擦れて画像を乱すことになる。このような問題を発生させないように案内部材65はその先端を配置する必要がある。
このように、記録紙Pと中間転写ベルト51との接触時の2次転写ニップ入口と支持点sとの距離を適正値に規制しているが、この際、記録紙Pは案内部材65と常時接触して移動する。このため、記録紙Pと案内部材65との間の摩擦により案内部材65はトナーと逆極性に帯電し、電荷が保持され、転写ベルト51上のトナーを引き付けるように作用し、トナーによる汚れが発生するという問題がある。
【0056】
更に、図4に示すように、案内部材(ガイド板)65はその一端が転写ユニット50の不図示の枠体に支持されたカバー部材(支持部材)66に片持ち支持され、記録紙Pを案内目標点に向けて案内する可撓性部材からなる。ここでカバー部材66はその中間転写ベルト51に対向する側とは反対側の面に案内部材65の基端を固定し、案内部材65の先端(支持点)sを自由端として支持する。
このため、コシの強い厚紙を通紙した場合、紙のコシにより案内部材65が変形する(図4中の符号qの変位参照)ため中間転写ベルトと近接することで、トナー汚れが発生する問題がある。
【0057】
そこで、本複写機では、転写ユニット50の不図示の枠体に支持されたカバー部材(支持部材)66に対し、図4に示すように、中間転写ベルト(像担持体)51に対向する面に同ベルト51に対し所定量離れて金属板からなるトナー遮蔽部材67を取り付けている。即ち、カバー部材66はその中間転写ベルト51に対向する側の面にトナー遮蔽部材67を片持ち支持し、中間転写ベルト51に対向する側の面と反対側の面に案内部材(ガイド板)65を片持ち支持する。
トナー遮蔽部材67はその基端がカバー部材(支持部材)66に片持ち支持され、案内部材65と並列配備され、カバー部材66からの突出し長さL1を同じ長さにし、互いの先端は定常状態で隙間t1を介し対向配備される。なお、図5に示すようにトナー遮蔽部材67とカバー部材66は共に平板状で、記録紙搬送方向と直交する方向である紙幅方向(搬送直交方向)がほぼ同幅で形成される。
【0058】
このように、カバー部材66の中間転写ベルト51に対向する側の面に、金属板からなるトナー遮蔽部材67が片持ち支持配置されることで、中間転写ベルト51上のトナーが直接、案内部材65に対向せず、案内部材65に付着しないように覆うような構成をとることができる。
さらに、ここでカバー部材66からの案内部材65とトナー遮蔽部材67との突き出し長さL1を同じ長さに設定した理由は以下のようである。
これは、例えば、案内部材長さ>トナー遮蔽部材長さ)の場合であると、トナー遮蔽部材67で覆われていない案内部材65先端にトナー汚れが発生し、(案内部材長さ<トナー遮蔽部材長さ)の場合は、記録紙Pとトナー遮蔽部材67とが接触し、トナー遮蔽部材67の汚れが付着する。このような理由より、ここでは案内部材65とトナー遮蔽部材67との突き出し長さL1を同じ長さに設定し、記録紙Pのトナー汚れ、コバ面汚れを防止している。
【0059】
図1の複写機においては、記録紙Pをニップに案内する案内部材65が平板状の可撓性部材からなり、且つ案内部材65と像担持ベルト51との間にトナー遮蔽部材67を配置することにより、ベルト51上のトナーがトナー遮蔽部材67に付着するとしても、記録紙Pと接触している案内部材65のトナー汚れを防止できるため、先端汚れ、コバ面汚れを防止できる。
上述の第1実施形態のところでは、トナー遮蔽部材67をカバー部材66の中間転写ベルト51に対向する側の面に重ねて支持し、同面に沿うようにトナー遮蔽部材67を片持ち支持している場合について説明したが、この構成部分のみを、第2実施形態として、図6に示すように代えても良い。この第2実施形態では、トナー遮蔽部材67aをカバー部材66aに対し、その中間転写ベルト51に対向する側の面より所定量はなれ、同面に対し傾いた状態で取り付け支持するよう配備する。
【0060】
ここで、案内部材65aを支持するカバー部材66aの近傍に第2のカバー部材68が配備され、両カバー部材68は転写ユニット50の不図示の枠体に支持される。ここで、第2のカバー部材68にトナー遮蔽部材67aが片持ち支持され、案内部材65aとは傾斜した状態で中間転写ベルト51の傾きに近い状態で支持される。この場合も、案内部材65aとトナー遮蔽部材67aは突き出し長さL2を同じに設定し、互いの先端は定常状態で隙間t2を介し対向配備される。この場合も、第1実施形態と同様の効果に加えて、トナー遮蔽部材67aの配置自由度が増し、より的確に、記録紙Pと接触している案内部材65aのトナー汚れを防止でき、先端汚れ、コバ面汚れを防止できる。
【0061】
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上述の各実施形態の具体的構成に限らず、特許請求の範囲で記載した範囲内で様々な構成とすることができる。
たとえば、第2実施形態としてのカラーデジタル複写機M1を構成してもよい。この場合、図7に示すように、転写ユニット50bを構成する成す各画像形成ユニット10Y、10C、10M(第1実施形態中の同一機能部材に付したものと同様の符号を付した)を転写ベルト51bよりも左側に鉛直方向に配置し、中間転写ベルト51bの下部を突き出すようなループ状に張架し、下部に突き出す位置に2次転写バックアップローラ53b(像担持体ベルトの内側に配備)と第2転写ローラ56b(像担持体ベルトの外表面に対向配備)により形成される第2中間転写部を構成する。この第2中間転写部の下方に第1実施形態で用いたと同様に、案内部材65bと像担持ベルト51bとの間にトナー遮蔽部材67bを配置することにより、ベルト51上のトナーがトナー遮蔽部材67bに付着するとしても、記録紙Pと接触している案内部材65bのトナー汚れを防止できるため、先端汚れ、コバ面汚れを防止できるとの第1実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0062】
上述のところでは、像担持ベルトとして、中間転写ベルトを用いる複写機の例について説明したが、像担持ベルトを用いる他のプリンタや、ファクシミリに適用してもよく、またはそれらを含む複合機からなる他の画像形成装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
51 像担持ベルト(中間転写ベルト)
56 2次転写ローラ(当接部材)
65、65a 案内部材(ガイド板)
67 トナー遮蔽部材
71 レジストローラ対(送込手段)
L1 長さ
M,Ma 複写機(画像形成装置)
P 記録紙(記録体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開平11−338276号公報
【特許文献2】特開2004−61908号公報
【特許文献3】特開2008−003449号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端移動する自らの表面にトナー像を担持する無端状の像担持ベルトと、無端移動する自らの表面を該像担持ベルトに当接させて転写ニップを形成する当接部材と、記録体を該転写ニップに向けて送り込む送込手段と、該送込手段から送られる記録体を、ニップへ向けて案内する案内部材とを備えた画像形成装置において、上記案内部材は支持部材に片持ち支持された平板状の弾性変形可能な可撓性部材からなり、且つ、上記案内部材と像担持ベルトとの間に上記記録体と常時非接触であるトナー遮蔽部材を配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記案内部材は、上記支持部材の像担持体に対向する側と反対面に片持ち支持され、上記トナー遮蔽部材を像担持体に対向する側の面に配置したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記案内部材と上記トナー遮蔽部材との支持部材からの突出し長さを同じ長さにしたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記トナー遮蔽部材は、金属部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
上記トナー遮蔽部材は、弾性変形可能な可撓性部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−247577(P2012−247577A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118465(P2011−118465)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】