説明

画像形成装置

【課題】画像読取を制御することで、消費電力の低減を図りながら生産性を向上させて効率良く装置を稼働させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は印刷部5と、画像読取部30と、通信部60と、それらを用いてコピージョブ、スキャナジョブ、送信ジョブを実行させる指令を受け付ける操作パネル4と、を備え、画像読取部30が通常時と同じ光源43の光量及びスキャンの移動速度で画像読取を実行する生産性優先動作モードと、通常時の光源43の光量及びスキャンの移動速度と比較して所定量に低下させて画像読取を実行する省電力優先動作モードと、の2つの動作モードを有し、印刷部5による印刷実行中に操作パネル4が別の画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、画像読取部30が省電力優先動作モードでそのジョブに係る画像読取を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピーや画像のスキャン、画像データ送信などの複数の機能を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に複合機と呼ばれる画像形成装置はコピーや画像のスキャン、画像データ送信など、画像形成に係る複数のジョブ機能を備えている。そして近年、画像形成装置は装置の能力を最大限に活用するために、印刷を実行中に別のジョブ指令における原稿の画像読取を許可する、所謂並行処理が実行可能なものがある。
【0003】
一方、画像形成装置は装置のすべての構成要素に対して電力を供給する通常運転と、一部の構成要素のみに電力を供給する節電運転との運転方法を備えているものがある。節電運転は画像形成装置の消費電力抑制を図った運転方法であって、画像形成装置に対して一定時間何も操作がなされなかったり、操作パネル等を用いて節電運転に切り替える指示がなされたりするといった移行条件が整うと通常運転から節電運転にする。
【0004】
これらの並行処理や節電運転が実行可能な画像形成装置の例を特許文献1及び2に見ることができる。
【0005】
特許文献1に記載された画像形成装置は画像データ記憶手段と、画像データ記憶手段に書き込むデータを複数の画像データソースから生成する記憶画像データ生成手段と、画像データ記憶手段のデータから書込画像データを生成する書込画像データ生成手段と、記録材に画像を形成する画像形成手段とを備えている。そして、書込画像データ生成手段と画像形成手段とを制御して複数ジョブの画像形成を並行して実行している。
【0006】
特許文献2に記載された画像形成装置は駆動部へ電力を供給するメイン電源と、駆動制御部に電力を供給するサブ電源と、駆動部とメイン電源との間に設けられて駆動制御部によって作動するメイン電源スイッチとを備えている。そして、駆動制御部は、駆動部の作動を停止させてから所定時間経過したとき、メイン電源スイッチを切って節電モード(節電運転)にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−88311号公報
【特許文献2】特開2002−169425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されたような画像形成装置は印刷を実行中に別のジョブ指令における原稿の画像読取を実行する場合、印刷及び画像読取において最大の能力で結果が得られるように運転することがある。これにより、印刷及び画像読取を実行するために消費電力が増大するとともに、装置内温度も上昇する虞がある。装置内温度が上昇すると、温度上昇に起因する装置の不具合の発生を防止するために冷却用のファンを作動させる必要がある。その結果、さらに消費電力が増大して悪循環となる可能性がある。
【0009】
また、特許文献2に記載された画像形成装置のように節電運転を実行しているときにユーザーから画像読取を実行するスキャナジョブや送信ジョブを要求された場合、画像形成装置はそれらジョブの画像読取において最大の能力で結果が得られるように運転することがある。この場合でも、画像読取を実行するためと、装置内温度の上昇を抑制するためとに起因して消費電力が増大する可能性がある。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、画像読取を伴うジョブ指令を受けたときの画像形成装置の動作状態に対応してそのジョブ指令に係る画像読取を制御することで、消費電力の低減を図りながら生産性を向上させて効率良く装置を稼働させることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は、トナー像として形成した画像を用紙に転写、定着させる印刷を実行する印刷部と、原稿に向かって光を照射する光源を移動させることにより前記原稿に描画された画像をスキャンして読み取る画像読取を実行する画像読取部と、他の外部機器との間で互いにデータの送受信を実行する通信部と、前記印刷部、前記画像読取部、前記通信部を用いて、画像読取と印刷とを実行するコピージョブ、または画像読取を実行するスキャナジョブ、または画像読取の実行により得られた画像データの送信を実行する送信ジョブを実行させる指令を受け付ける操作部と、を備え、前記画像読取部が通常時と同じ前記光源の光量及び前記スキャンの移動速度で画像読取を実行する生産性優先動作モードと、通常時の前記光源の光量及び前記スキャンの移動速度と比較して所定量に低下させて画像読取を実行する省電力優先動作モードと、の2つの動作モードを有し、前記印刷部による印刷実行中に前記操作部が別の画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、前記画像読取部が前記省電力優先動作モードでそのジョブに係る画像読取を実行することとした。
【0012】
印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、現在印刷実行中の出力動作のために、そのジョブについては画像読取が終了しても印刷物を取得することができない場合がある。また、スキャナジョブや送信ジョブはコピージョブに比べて緊急性が低い場合が多い。そのため、印刷実行中であれば、原稿の読取速度を低下させても問題がないと言える。そこで、この構成によれば、画像形成装置では、印刷実行中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、その画像読取時の光源の光量及びスキャンの移動速度を低下させる。したがって、光源の発光や移動に係る消費電力(消費電流)が抑制され、光源自体や光源を移動させるためのモーター等駆動部からの発熱も抑制される。画像読取部における消費電力を抑制することができるので、画像形成装置の電源に与える負担も小さくて済む。
【0013】
なお、ここで記述した「所定量」は画像読取部における光源の光量及びスキャンの移動速度に関する予め設定した任意の値である。この「所定量」は光源の光量及びスキャンの移動速度に関して、消費電力や発熱量の低減に対して効果が高いと判断することができる程度の値である。「所定量」は、例えば通常運転時の光源の光量及びスキャンの移動速度と比較して30%〜70%程度の値とすることが可能であるが、必要に応じて適切に設定できる。したがって、後述する実施形態では「所定量」を「通常運転時の50%」と設定しているが、このような値に限定されるわけではない。また、光源の光量及びスキャンの移動速度各々を具体的な数値で設定しても良い。
【0014】
また、上記構成の画像形成装置において、画像形成装置の運転について、画像形成装置のすべての構成要素に対して電力を供給して画像形成装置を通常運転にし、前記通常運転中に移行条件が整うと画像形成装置の一部の構成要素のみに電力を供給して画像形成装置を節電運転にし、前記節電運転中に復帰条件が整うと画像形成装置を前記通常運転にする電力供給部を備え、前記節電運転で画像形成装置を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、前記画像読取部が前記省電力優先動作モードでそのジョブに係る画像読取を実行することとした。
【0015】
この構成によれば、画像形成装置では、節電運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、その画像読取時の光源の光量及びスキャンの移動速度を低下させる。したがって、光源の発光や移動に係る消費電力(消費電流)が抑制され、光源自体や光源を移動させるためのモーター等駆動部からの発熱も抑制される。また、節電の観点に基づき、システム全体として消費電流が抑制された画像形成装置を提供することができる。
【0016】
また、上記構成の画像形成装置において、前記操作部は、前記印刷部による印刷実行中に前記操作部が別の画像読取を伴うジョブの実行指令を受け付けたとき、または前記節電運転で画像形成装置を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、前記生産性優先動作モードと前記省電力優先動作モードとのいずれを適用するか選択する入力を受け付け、前記画像読取部は、前記操作部が受け付けた入力に基づいて画像読取を実行することとした。
【0017】
この構成によれば、印刷実行中や節電運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたときのその画像読取に対して、生産性優先動作モードと省電力優先動作モードとを適宜設定可能になる。したがって、画像形成装置に対する消費電力の低減を重視した設定と生産性を重視した設定との選択が容易になる。
【0018】
また、上記構成の画像形成装置において、前記操作部は、前記生産性優先動作モードと前記省電力優先動作モードとのいずれを前記コピージョブ時に、または前記スキャナジョブ時に、または前記送信ジョブ時に適用するか選択する入力を受け付け、前記画像読取部は、前記操作部が受け付けた入力に基づいて画像読取を実行することとした。
【0019】
この構成によれば、印刷実行中や節電運転中にコピージョブ、スキャナジョブ、送信ジョブといった画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたときのそれらジョブ各々における画像読取に対して、生産性優先動作モードと省電力優先動作モードとを適宜設定可能になる。したがって、コピージョブ、スキャナジョブ、送信ジョブに対する消費電力の低減を重視した設定と生産性を重視した設定との選択が容易になる。
【0020】
また、上記構成の画像形成装置において、前記画像読取部は、前記省電力優先動作モードにおける画像読取時の前記光源の光量及び前記スキャンの移動速度を、前記印刷部による印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたときと、前記節電運転で画像形成装置を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受けたときとで異ならせることとした。
【0021】
この構成によれば、印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたときと、節電運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受けたときとで、例えばいずれにおいて消費電力の低減を重視するか、いずれにおいて生産性を重視するかの設定が適宜なされる。
【0022】
また、上記構成の画像形成装置において、前記画像読取部は、前記省電力優先動作モードにおける画像読取時の前記光源の光量及び前記スキャンの移動速度を、前記コピージョブ時、前記スキャナジョブ時、前記送信ジョブ時の各々において異ならせることとした。
【0023】
この構成によれば、印刷実行中や節電運転中にコピージョブ、スキャナジョブ、送信ジョブといった画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたときのそれらジョブ各々に対して、例えばいずれにおいて消費電力の低減を重視するか、いずれにおいて生産性を重視するかの設定が適宜なされる。
【0024】
また、上記構成の画像形成装置において、前記画像読取部は、前記光源が原稿に向かって照射した光の反射光を受光する撮像素子と、前記撮像素子の出力に基づき画像処理を行って画像データを出力する画像処理部と、を備えることとした。
【0025】
電気回路は処理速度が速いほど消費電力(消費電流)が増加する傾向にあるところ、この構成よれば、省電力優先動作モードで原稿の読取速度を低下させることで、撮像素子や画像処理部の処理速度(動作速度)も低下することになる。したがって、処理速度を低下させることにより、撮像素子や画像処理部における消費電力を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の構成によれば、画像読取を伴うジョブ指令を受けたときの画像形成装置の動作状態に対応してそのジョブ指令に係る画像読取を制御することで、消費電力の低減を図りながら生産性を向上させて効率良く装置を稼働させることが可能な画像形成装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の画像読取部の模型的垂直断面正面図である。
【図4】画像読取を伴うジョブ指令を受けたときのそのジョブに係る画像読取時の制御に係る動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4に基づき説明する。
【0029】
最初に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図1及び図2を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の模型的垂直断面正面図、図2は画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1中の、実線矢印は用紙の搬送経路及び搬送方向を、一点鎖線矢印はレーザ光Lを示す。なお、ここで説明する画像形成装置はコピージョブ、スキャナジョブ、送信ジョブが実行可能な所謂複合機であるものとする。
【0030】
図1に示すように、画像形成装置1は本体2の上面に原稿搬送装置3を、その下方の本体2内部に画像読取部30を備えている。ユーザーが画像形成装置1にコピージョブ、スキャナジョブ、送信ジョブを実行させる場合、文字や図形、模様などの画像が描かれた原稿を原稿搬送装置3に積載したり、画像読取部30上面のコンタクトガラス31(図3参照)上に載置したりする。原稿搬送装置3では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、画像読取部30によってその画像が読み取られる。コンタクトガラス31上の原稿に対しては画像読取部30内で光を走査させることによって画像が読み取られる。
【0031】
ユーザーが画像形成装置1にコピージョブ、スキャナジョブ、送信ジョブを実行させる指令は、本体2の上部であって画像読取部30の正面側に備えられた操作部である操作パネル4を用いて受け付けられる。さらに、操作パネル4は、例えばユーザーによる印刷に使用する用紙Pの種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などの設定を受け付けたり、エラー状態やその表示の解除を受け付けたりする。また、操作パネル4は、例えば装置の状態や注意事項、エラーメッセージなどを表示することによりそれらをユーザーに対して報知するための報知部としての役割も果たす。
【0032】
一方、画像形成装置1は本体2の画像読取部30より下方の箇所に印刷部5を備えている。印刷部5は給紙部6、用紙搬送部7、転写部8、露光部9、画像形成部10、トナーコンテナー11及び定着部12を備えている。
【0033】
給紙部6は給紙カセット6aを備え、本体2の内部下方に配置されている。給紙カセット6aはその内部に記録媒体である印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは図1において給紙カセット6aの左上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット6aは本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0034】
用紙搬送部7は本体2内部の給紙部6の左方に備えられ、本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、用紙搬送部7は給紙部6から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って略垂直上方に転写部8まで搬送する。
【0035】
露光部9は給紙部6の上方であって、本体2の略中央部に配置されている。原稿の画像データの印刷を行う場合、画像データの情報は後述する主制御部や画像処理部を経由して画像処理が施された後、この露光部9に送られる。露光部9により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが画像形成部10に向かって照射される。
【0036】
用紙搬送部7の上方であって露光部9の左方には画像形成部10及び転写部8が備えられている。画像形成部10では露光部9によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナーは露光部9の上方に備えられたトナーコンテナー11から画像形成部10に補給される。画像形成部10で形成されたトナー像は用紙搬送部7によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに転写部8にて転写される。
【0037】
転写部8の上方には定着部12が備えられている。転写部8にて未定着トナー像を担持した用紙Pは定着部12へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0038】
定着部12の上方には分岐部13が備えられている。定着部12から排出された用紙Pは両面印刷を行わない場合、分岐部13から画像形成装置1の上部胴内に設けられた胴内用紙排出部14に排出される。
【0039】
分岐部13から胴内用紙排出部14に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分はスイッチバック部15としての機能を果たす。両面印刷を行う場合にはこのスイッチバック部15において定着部12から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは分岐部13を通過し、定着部12の左方及び転写部8の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路16を通して下方に送られ、再度用紙搬送部7を経て転写部8へと送られる。
【0040】
また、画像形成装置1は装置全体の動作制御のため、図2に示すようにその本体2内にCPU18やその他の図示しない電子部品で構成された主制御部17を備えている。主制御部17は中央演算処理装置であるCPU18と画像処理部19とを利用し、記憶部20に記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取部30や印刷部5などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作を実現する。なお、画像処理部19は画像読取部30に設けられた画像処理部33と分担して、画像読取部30で読み取られた原稿の画像データに対して画像処理を施す。また、記憶部20は画像読取部30で読み取られた原稿の画像データを保存することもできる。
【0041】
画像読取部30や印刷部5はそれぞれ、主制御部17からの制御指令を受けて画像読取や印刷を実行するための制御部を個別に備えている。例えば、印刷部5は印刷制御部5aを備えている。印刷制御部5aは図示しないICなどの電子部品で構成され、主制御部17からの指令に基づき印刷部5を制御する制御装置である。印刷制御部5aは主制御部17からの制御指令により給紙部6、用紙搬送部7、転写部8、露光部9、画像形成部10、トナーコンテナー11及び定着部12を駆動制御することで印刷動作を実現する。画像読取部30の読取制御部32については後に詳述する。
【0042】
また、画像形成装置1は電話回線やネットワーク回線などの通信回線で接続された他の装置との間で互いにデータの送受信を実行する通信部60を備えている。通信部60は通信制御部61、ファクシミリ通信部62及びネットワークインターフェイス(I/F)部63を備えている。
【0043】
通信制御部61は図示しないICなどの電子部品で構成され、主制御部17からの指令に基づき通信部60を制御する制御装置である。通信制御部61は主制御部17からの制御指令や画像データ等を受けて、ファクシミリ通信部62或いはネットワークインターフェイス部63を介して外部の他の装置に向けてデータを送信する。また、通信制御部61はファクシミリ通信部62或いはネットワークインターフェイス部63を介して外部の他の装置から受信した制御指令や画像データ等を主制御部17に伝達する。
【0044】
ファクシミリ通信部62とネットワークインターフェイス部63とはFAXモデムカードやネットワークインターフェイスカード(NIC)といった外部通信装置で構成されている。ファクシミリ通信部62は電話回線を利用して通信し、ネットワークインターフェイス部63はネットワーク回線を利用して通信する。
【0045】
ここで、上記構成の画像形成装置1は装置のすべての構成要素に対して電力を供給する通常運転と、装置の一部の構成要素のみに電力を供給する節電運転との2つの運転方法を備えている。節電運転は画像形成装置1の消費電力抑制を図った運転方法であって、通常運転中に例えば画像形成装置1に対して一定期間何も操作がなされなかったり、操作パネル4等を用いて節電運転に切り替える指示がなされたりするといった移行条件が整うと画像形成装置1は節電運転になる。また、節電運転中に例えば通信部60を介して外部の他の装置等から画像データやジョブ指令を受信したり、操作パネル4から操作入力を受け付けたりするといった復帰条件が整うと画像形成装置1は通常運転になる。
【0046】
このような通常運転から節電運転への移行時、及び節電運転から通常運転への復帰時における電力供給の切り替えを実行するため、画像形成装置1は電力供給部21を備えている。
【0047】
通常運転から節電運転への移行条件が整うと、電力供給部21は画像形成装置1の一部の構成要素を除外した各構成要素への電力供給を停止させる。電力供給の停止から除外される構成要素としては、例えば主制御部17や操作パネル4、通信部60などが該当する。通常運転から節電運転への移行は、例えば前述のように画像形成装置1に対して一定期間何も操作がなされなかったり、操作パネル8等を用いて節電運転に切り替える指示がなされたりすることを条件としている。
【0048】
一方、節電運転から通常運転への復帰条件が整うと、電力供給部21は画像形成装置1のすべての構成要素への電力供給を開始させる。節電運転から通常運転への復帰は、例えば前述のように通信部60を介して外部の他の装置等から画像データやジョブ指令を受信したり、操作パネル4から操作入力を受け付けたりすることを条件としている。
【0049】
続いて、画像形成装置1の画像読取部30について、図2に加えて図3を用いてその構造を説明する。図3は画像読取部30の模型的垂直断面正面図である。なお、図3では画像形成装置1の、画像読取部30以外の構成要素の描画を省略している。
【0050】
画像読取部30は、図2及び図3に示すようにコンタクトガラス31、光走査部40、撮像ユニット50、読取制御部32、画像処理部33及び記憶部34を備えている。
【0051】
コンタクトガラス31は画像読取部30の上面に設けられている。コンタクトガラス31は薄い板状の透明ガラスで構成され、原稿の表面全体を一度に光走査できるよう、画像読取部30の前後方向(主走査方向)及び左右方向(副走査方向)に広く延びる矩形形状をなしている。原稿はコンタクトガラス31上面に読取面が下になるように広げて載置される。そして、原稿搬送装置3を画像読取部30に対して閉鎖することで原稿が押圧され、保持される。
【0052】
光走査部40はコンタクトガラス31の下方に設けられ、第1光学系ユニット41と、第2光学系ユニット42とを備えている。
【0053】
光走査部40の第1光学系ユニット41は、光源43と、第1ミラー44とを備えている。光源43は原稿の読取面、すなわち上方に向かって光を照射すべく、コンタクトガラス31のすぐ下方にコンタクトガラス31の下面に対向して配置されている。光源43は例えば複数個の白色LEDが点光源として画像読取部30の前後方向である主走査方向にコンタクトガラス31と略同じ長さで直線状に配列され、細長い形状で構成されている。また、光走査部40は光源43に供給する電流の大きさや光源43に印加する電圧の大きさを変化させて光源43の光量を調整できる光源発光回路45を備えている。
【0054】
第1ミラー44は原稿の読取面で反射した光源43の反射光を受けて、さらに90度の角度で略水平に方向転換させるべく所定の傾きが設定され、コンタクトガラス31の下方に配置されている。これら光源43と第1ミラー44とは図示しない第1光学系支持部材に固定されている。
【0055】
光走査部40の第2光学系ユニット42は、第2ミラー46と、第3ミラー47とを備えている。第2ミラー46は第1光学系ユニット41の第1ミラー44が反射させた光を受けて、さらに90度の角度で略垂直下方に方向転換させるべく所定の傾きが設定され、第1ミラー44と略同じ高さに配置されている。第3ミラー47は第2ミラー46が反射させた光を受けて、さらに90度の角度で略水平に方向転換させるべく、第2ミラー46の略真下に配置されている。これら第2ミラー46と第3ミラー47とは図示しない第2光学系支持部材に固定されている。
【0056】
なお、第1光学系ユニット41及び第2光学系ユニット42に設けられた光源43及び各ミラーは主走査方向にコンタクトガラス31と略同じ長さで延びる細長い形状で構成されている。
【0057】
第1光学系ユニット41及び第2光学系ユニット42はコンタクトガラス31上面に広げて載置された原稿の読取面全体の画像を読み取るべく、コンタクトガラス31上面と平行に副走査方向、すなわち画像読取部30の左右方向に往復移動できるようになっている。このため画像読取部30には走査用モーター48と、この走査用モーター48を駆動させるためのモーター駆動回路49と、図3において左右方向に延びる移動用のレール(図示せず)とが設けられている。そして、読取制御部32からの指令に基づきモーター駆動回路49が制御され、原稿全体に描画された画像をスキャンして読み取るべく、光源43をレールに沿って移動させることが可能である。
【0058】
撮像ユニット50は画像読取部30の内部下部に固定されている。撮像ユニット50は取り付け台51の上部に、光学部材である結像レンズ52と、撮像素子であるラインセンサー53を備えている。第2光学系ユニット42の第3ミラー47によって反射された、原稿の読取面からの反射光は結像レンズ52に入射する。そして、結像レンズ52は光路の下流側に設けられたラインセンサー53の表面上に反射光を結像する。このようにして、画像読取部30はラインセンサー53を用いて原稿の画像を画像データとして読み取ることができる。
【0059】
なお、ラインセンサー53は例えば固体撮像素子であるCCDを画像読取部30の前後方向である主走査方向、すなわち図3において紙面奥行き方向に複数個直線状に一列にして配列され、構成されている。ラインセンサー53と光源43、光走査部40の各ミラーは各々平行に主走査方向に延びている。ラインセンサー53はその受光素子が得る画像情報(光情報)を電気信号に変換し、出力する。そして、原稿の読取面をラインセンサー53で主走査方向に走査させ、光走査部40を駆動して光源43を副走査方向に走査させて得られる情報について画像処理部33で画像処理を実行することにより、原稿の画像を画像データとして得ることが可能である。
【0060】
読取制御部32は図示しないICなどの電子部品で構成され、主制御部17からの指令に基づき画像読取部30を制御する制御装置である。読取制御部32は主制御部17からの制御指令により光走査部40の駆動を制御するとともに、画像処理部33を利用してラインセンサー53からの出力に基づき画像処理を実行して画像データを出力することで画像読取動作を実現する。なお、画像処理は本体2の画像処理部19で実行することとしても構わない。また、このようにして画像読取部30で読み取られた画像データは記憶部34或いは本体2の記憶部20に保存することが可能である。
【0061】
ここで、画像読取部30は画像読取時の光操作部40の制御に関して、生産性優先動作モードと省電力優先動作モードとの2つの動作モードを有している。
【0062】
生産性優先動作モードは通常時と同じ光源43の光量及び光走査部40によるスキャンの移動速度で画像読取を実行する。省電力優先動作モードは通常時の光源43の光量及び光走査部40によるスキャンの移動速度と比較して所定量に低下させて画像読取を実行する。この所定量は光源43の光量及びスキャンの移動速度に関して、消費電力(消費電流)や発熱量の低減に対して効果が高いと判断することができる程度の値である。そこで、この所定量として例えば通常運転時の50%という値が予め設定されて記憶部34または記憶部20に記憶されているが、必要に応じて適切に設定することができる。
【0063】
そして、画像形成装置1は、印刷部5による印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受けたとき、または節電運転で画像形成装置1を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受けたとき、画像読取部30が省電力優先動作モードでそのジョブに係る画像読取を実行することがある。
【0064】
また、印刷部5による印刷実行中に操作パネル4が別の画像読取を伴うジョブの実行指令を受け付けたとき、または節電運転で画像形成装置1を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、生産性優先動作モードと省電力優先動作モードとのいずれを適用するか選択可能であり、その選択が予め設定されて記憶部34または記憶部20に記憶されている。そして、生産性優先動作モードと省電力優先動作モードとのいずれをコピージョブ時に、またはスキャナジョブ時に、または送信ジョブ時に適用するか選択可能であり、その選択が予め設定されて記憶部34または記憶部20に記憶されている。
【0065】
また、画像読取部30は、省電力優先動作モードにおける画像読取時の光源43の光量及びスキャンの移動速度を、印刷部5による印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受けたときと、節電運転で画像形成装置1を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受けたときとで異ならせることも可能である。例えば、印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受けたときの光源43の光量及びスキャンの移動速度を通常運転時の50%とし、節電運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受けたときの光源43の光量及びスキャンの移動速度を通常運転時の30%としても良い。
【0066】
また、画像読取部30は、省電力優先動作モードにおける画像読取時の光源43の光量及びスキャンの移動速度を、コピージョブ時、スキャナジョブ時、送信ジョブ時の各々において異ならせることも可能である。例えば、画像読取時の光源43の光量及びスキャンの移動速度を、コピージョブ時には通常運転時の50%とし、スキャナジョブ時には通常運転時の40%とし、送信ジョブ時には通常運転時の30%としても良い。
【0067】
なお、上記のような生産性優先動作モードと省電力優先動作モードとに係る設定は操作部である操作パネル4を用いて適宜ユーザーが行うことが可能である。そして、画像読取部30は操作パネル4が受け付けた入力に基づいて画像読取を実行する。
【0068】
続いて、印刷実行時、または節電運転時に画像読取を伴うジョブ指令を受けたときのそのジョブに係る画像読取時の光源43の光量及びスキャンの移動速度の制御に係る動作について、図4に示すフローに沿って説明する。図4は画像読取を伴うジョブ指令を受けたときのそのジョブに係る画像読取時の制御に係る動作を示すフローチャートである。
【0069】
なおここでは、例えば印刷部5による印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受けたとき、省電力優先動作モードを適用する設定がなされているものとする。また、例えば節電運転で画像形成装置1を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受けたとき、且つそのジョブが例えばスキャナジョブや送信ジョブといった印刷を伴わないジョブであるとき、省電力優先動作モードを適用する設定がなされているものとする。そして、例えば省電力優先動作モードの設定はいずれのジョブに対しても画像読取時の光源43の光量及びスキャンの移動速度を例えば通常運転時の50%とされているものとする。
【0070】
画像形成装置1がジョブ指令を受けると(図4のスタート)、主制御部17はそのジョブが画像読取を伴うジョブが否かを判定する(図4のステップ#101)。画像読取を伴うジョブではない場合(ステップ#101のNo)、光源43の光量及びスキャンの移動速度の設定に係る動作フローを終了する(図4のエンド)。この後、画像形成装置1は受けたジョブ指令に従って画像形成等の動作を実行する。
【0071】
画像読取を伴うジョブである場合(ステップ#101のYes)、主制御部17は印刷部5による印刷実行中であるか否かを判定する(ステップ#102)。印刷実行中でないとき(ステップ#102のNo)、主制御部17は節電運転中であるか否かを判定する(ステップ#103)。さらに、節電運転中ではなく通常運転中であるとき(ステップ#103のNo)、主制御部17は読取制御部32に指令を送り、光源43の光量及びスキャンの移動速度を通常運転時と同じ(通常運転時の100%)に設定させる(ステップ#104、#105)。
【0072】
そして、主制御部17は光源43の光量及びスキャンの移動速度の設定に係る動作フローを終了する(図4のエンド)。この後、画像読取部30はステップ#104、#105でなされた設定に基づき受けたジョブ指令に従って画像読取動作を実行する。
【0073】
一方、印刷実行中であるとき(ステップ#102のYes)、または節電運転中であるとき(ステップ#103のYes)、主制御部17は省電力優先動作モードが設定されているか否かを判定する(ステップ#106)。ここで前述のように、印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受けたとき、または節電運転中に画像読取を伴い且つ印刷を伴わないジョブ指令を受けたとき、省電力優先動作モードを適用する設定がなされているので、これらの条件に該当するか否かが判定される。
【0074】
省電力優先動作モードが設定されていとき(ステップ#106のYes)、主制御部17は読取制御部32に指令を送り、光源43の光量及びスキャンの移動速度を通常運転時の50%に設定させる(ステップ#107、#108)。そして、主制御部17は光源43の光量及びスキャンの移動速度の設定に係る動作フローを終了する(図4のエンド)。この後、画像読取部30はステップ#107、#108でなされた設定に基づき受けたジョブ指令に従って省電力優先動作モードで画像読取動作を実行する。
【0075】
省電力優先動作モードが設定されていない、すなわち生産性優先動作モードが設定されているとき(ステップ#106のNo)、主制御部17は読取制御部32に指令を送り、光源43の光量及びスキャンの移動速度を通常運転時と同じ(通常運転時の100%)に設定させる(ステップ#104、#105)。そして、主制御部17は光源43の光量及びスキャンの移動速度の設定に係る動作フローを終了する(図4のエンド)。この後、画像読取部30はステップ#104、#105でなされた設定に基づき受けたジョブ指令に従って生産性優先動作モードで画像読取動作を実行する。
【0076】
上記のように、画像形成装置1は、画像読取部30が通常時と同じ光源43の光量及びスキャンの移動速度で画像読取を実行する生産性優先動作モードと、通常時の光源43の光量及びスキャンの移動速度と比較して所定量に低下させて画像読取を実行する省電力優先動作モードと、の2つの動作モードを有し、印刷部5による印刷実行中に操作パネル4が別の画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、画像読取部30が省電力優先動作モードでそのジョブに係る画像読取を実行する。印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、現在印刷実行中の出力動作のために、そのジョブについては画像読取が終了しても印刷物を取得することができない場合がある。また、スキャナジョブや送信ジョブはコピージョブに比べて緊急性が低い場合が多い。そのため、印刷実行中であれば、原稿の読取速度を低下させても問題がないと言える。そこで、この構成によれば、画像形成装置1では印刷実行中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、その画像読取時の光源43の光量及びスキャンの移動速度を低下させる。したがって、光源43の発光や移動に係る消費電力(消費電流)が抑制され、光源43自体や光源43を移動させるための走査用モーター48からの発熱も抑制される。画像読取部30における消費電力を抑制することができるので、画像形成装置1の電源に与える負担も小さくて済む。
【0077】
さらに、画像形成装置1は、画像形成装置1の運転について、画像形成装置1のすべての構成要素に対して電力を供給して画像形成装置1を通常運転にし、通常運転中に移行条件が整うと画像形成装置1の一部の構成要素のみに電力を供給して画像形成装置1を節電運転にし、節電運転中に復帰条件が整うと画像形成装置1を通常運転にする電力供給部21を備え、節電運転で画像形成装置1を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、画像読取部30が省電力優先動作モードでそのジョブに係る画像読取を実行する。これにより、画像形成装置1では節電運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、その画像読取時の光源43の光量及びスキャンの移動速度を低下させる。したがって、光源43の発光や移動に係る消費電力(消費電流)が抑制され、光源43自体や光源を移動させるための走査用モーター48からの発熱も抑制される。また、節電の観点に基づき、システム全体として消費電流が抑制された画像形成装置1を提供することができる。
【0078】
また、操作パネル4は、印刷部5による印刷実行中に操作パネル4が別の画像読取を伴うジョブの実行指令を受け付けたとき、または節電運転で画像形成装置1を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、生産性優先動作モードと省電力優先動作モードとのいずれを適用するか選択する入力を受け付け、画像読取部30は、操作パネル4が受け付けた入力に基づいて画像読取を実行する。これにより、印刷実行中や節電運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたときのその画像読取に対して、生産性優先動作モードと省電力優先動作モードとを適宜設定可能になる。したがって、画像形成装置1に対する消費電力の低減を重視した設定と生産性を重視した設定との選択を容易にすることが可能である。
【0079】
さらに、操作パネル4は、生産性優先動作モードと省電力優先動作モードとのいずれをコピージョブ時に、またはスキャナジョブ時に、または送信ジョブ時に適用するか選択する入力を受け付け、画像読取部30は、操作パネル4が受け付けた入力に基づいて画像読取を実行する。これにより、印刷実行中や節電運転中にコピージョブ、スキャナジョブ、送信ジョブといった画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたときのそれらジョブ各々における画像読取に対して、生産性優先動作モードと省電力優先動作モードとを適宜設定可能になる。したがって、コピージョブ、スキャナジョブ、送信ジョブに対する消費電力の低減を重視した設定と生産性を重視した設定との選択を容易にすることが可能である。
【0080】
また、画像読取部30が、省電力優先動作モードにおける画像読取時の光源43の光量及びスキャンの移動速度を、印刷部5による印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受けたときと、節電運転で画像形成装置1を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受けたときとで異ならせることができるので、いずれにおいて消費電力の低減を重視するか、いずれにおいて生産性を重視するかの設定を自由に行うことが可能である。
【0081】
そして、画像読取部30が、省電力優先動作モードにおける画像読取時の光源43の光量及びスキャンの移動速度を、コピージョブ時、スキャナジョブ時、送信ジョブ時の各々において異ならせることができるので、それらジョブ各々に対していずれにおいて消費電力の低減を重視するか、いずれにおいて生産性を重視するかの設定を自由に行うことが可能である。
【0082】
また、画像読取部30は、光源43が原稿に向かって照射した光の反射光を受光する撮像素子であるラインセンサー53と、ラインセンサー53の出力に基づき画像処理を行って画像データを出力する画像処理部33と、を備えている。電気回路は処理速度が速いほど消費電力(消費電流)が増加する傾向にあるところ、この構成よれば、省電力優先動作モードで原稿の読取速度を低下させることで、ラインセンサー53や画像処理部33の処理速度(動作速度)も低下させることが可能である。したがって、処理速度を低下させることにより、ラインセンサー53や画像処理部33における消費電力を抑制することができる。
【0083】
そして、上記実施形態の構成によれば、画像読取を伴うジョブ指令を受けたときの画像形成装置1の動作状態に対応してそのジョブ指令に係る画像読取を制御することで、消費電力の低減を図りながら生産性を向上させて効率良く装置を稼働させることが可能な画像形成装置1を提供することが可能である。
【0084】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0085】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置1としてブラックトナーのみを使用したモノクロ印刷用の画像形成装置を例に掲げて説明したが、発明の適用対象となる画像形成装置はこのような機種に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを備え、複数色を重ね合わせて画像形成することが可能なタンデム方式、或いはロータリー方式のカラー印刷用画像形成装置などであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、コピーや画像のスキャン、ファクシミリ送信などの複数の機能を備える画像形成装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 画像形成装置
2 本体
4 操作パネル(操作部)
5 印刷部
5a 印刷制御部
17 主制御部
21 電力供給部
30 画像読取部
32 読取制御部
40 光走査部
43 光源
60 通信部
61 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像として形成した画像を用紙に転写、定着させる印刷を実行する印刷部と、
原稿に向かって光を照射する光源を移動させることにより前記原稿に描画された画像をスキャンして読み取る画像読取を実行する画像読取部と、
他の外部機器との間で互いにデータの送受信を実行する通信部と、
前記印刷部、前記画像読取部、前記通信部を用いて、画像読取と印刷とを実行するコピージョブ、または画像読取を実行するスキャナジョブ、または画像読取の実行により得られた画像データの送信を実行する送信ジョブを実行させる指令を受け付ける操作部と、
を備え、
前記画像読取部が通常時と同じ前記光源の光量及び前記スキャンの移動速度で画像読取を実行する生産性優先動作モードと、通常時の前記光源の光量及び前記スキャンの移動速度と比較して所定量に低下させて画像読取を実行する省電力優先動作モードと、の2つの動作モードを有し、
前記印刷部による印刷実行中に前記操作部が別の画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、前記画像読取部が前記省電力優先動作モードでそのジョブに係る画像読取を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置の運転について、画像形成装置のすべての構成要素に対して電力を供給して画像形成装置を通常運転にし、前記通常運転中に移行条件が整うと画像形成装置の一部の構成要素のみに電力を供給して画像形成装置を節電運転にし、前記節電運転中に復帰条件が整うと画像形成装置を前記通常運転にする電力供給部を備え、
前記節電運転で画像形成装置を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、前記画像読取部が前記省電力優先動作モードでそのジョブに係る画像読取を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記印刷部による印刷実行中に前記操作部が別の画像読取を伴うジョブの実行指令を受け付けたとき、または前記節電運転で画像形成装置を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたとき、前記生産性優先動作モードと前記省電力優先動作モードとのいずれを適用するか選択する入力を受け付け、
前記画像読取部は、前記操作部が受け付けた入力に基づいて画像読取を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記生産性優先動作モードと前記省電力優先動作モードとのいずれを前記コピージョブ時に、または前記スキャナジョブ時に、または前記送信ジョブ時に適用するか選択する入力を受け付け、
前記画像読取部は、前記操作部が受け付けた入力に基づいて画像読取を実行することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像読取部は、前記省電力優先動作モードにおける画像読取時の前記光源の光量及び前記スキャンの移動速度を、前記印刷部による印刷実行中に別の画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたときと、前記節電運転で画像形成装置を運転中に画像読取を伴うジョブ指令を受け付けたときとで異ならせることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像読取部は、前記省電力優先動作モードにおける画像読取時の前記光源の光量及び前記スキャンの移動速度を、前記コピージョブ時、前記スキャナジョブ時、前記送信ジョブ時の各々において異ならせることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像読取部は、前記光源が原稿に向かって照射した光の反射光を受光する撮像素子と、前記撮像素子の出力に基づき画像処理を実行して画像データを出力する画像処理部と、を備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−247624(P2012−247624A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119196(P2011−119196)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】