説明

画像形成装置

【課題】ワイパ部材に付着した液体が堆積してワイピング性能が低下する。
【解決手段】空吐出受け84のワイパ部材83側には、ワイパ部材83に付着したインクを掻き落して除去するワイパスクレーパ部85が設けられ、ワイパスクレーパ部85は、中空部材であり、ワイパ部材83が押し付けられてワイパ部材83に付着しているインクを掻き取る掻き取り部85aが設けられた開口部85bを有し、ワイパスクレーパ部85の開口部85bと反対側には排出口部85cが設けられ、排出口部85cには可撓性チューブ300を介して吸引ポンプ220が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドの維持回復動作で生じる廃液を収容する廃液タンクを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置が知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような画像形成装置(以下、単に「インクジェット記録装置」ともいう。)においては、記録ヘッドは、インクをノズルから用紙に吐出させて記録を行なう関係上、ノズルからの溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇や、インクの固化、塵埃の付着、さらには気泡の混入などにより吐出不良の状態となり、記録不良を起こすという問題を抱えていることから、記録ヘッドの性能を維持回復する維持回復機構を備えている。
【0005】
例えば、記録ヘッドのノズルを密封するキャップ(キャッピング手段、キャップ部材などとも称する。)を備え、装置の非稼動時には記録ヘッドのキャッピングを行うことで、ノズル内のインクの乾燥、増粘を抑えることができるようにしている。また、記録動作の前後やその最中において、記録動作に寄与しないインク滴の吐出を行い、ノズル内で乾燥、増粘したインクを排出して、吐出性能の回復や維持を図るようにしている。さらに、ノズル面を払拭(ワイピング)する払拭部材(ワイパ、ワイパブレードなどとも称する。)を備え、ノズル面を払拭することでノズル面の清浄化やノズルメニスカスの形成を行うようにしている。
【0006】
ところで、このようなワイパブレードでノズル面をワイピングしたとき、ワイパブレードに付着した(転移した)インクを除去する必要がある。これは、インクをワイパブレード表面に残したままにしておくと、次のワイピングのときに、ノズル面を清掃する性能が低下して、ノズル抜けやノズル曲がり、混色などの画像不良に繋がってしまうためである。
【0007】
そこで、ワイパブレードを常に清浄に保つために、吸収体や掻き落とし部材(いわゆるスクレーパ)などでワイパブレード表面に付着したインクを除去することが行われている。
【0008】
従来、例えば、ワイパブレードを吸引キャップと一体で形成して、ワイピング後に吸引動作を実施してワイパブレードで払拭したインクを除去する構成が知られている(特許文献1)。また、中空構造のワイパ先端に開口部を設けて、ワイピングしたインクを開口部から流し込んで、中空部に流れ込んできたインクを吸引装置で吸引排出する構成が知られている(特許文献2)。さらに、清掃部材の表面に沿って揺動する掻き落とし部材を備えて、ワイパブレードを清掃したときに清掃部材に付着するインクを掻き寄せることにより、清掃部材を清浄に保ってワイパブレードを清掃する機能を保つ構成が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平06−270420号公報
【特許文献2】特開2005−199597号公報
【特許文献3】特許第4233984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の払拭部材を清掃する技術にあっては、粘度の高い液体を使用する場合に払拭部材に液体が堆積して除去できなくなるという課題がある。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、払拭部材を長期にわたり清浄に保てるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面を払拭する払拭部材と、
前記払拭部材に付着している液体を除去する中空の清掃部材と、
前記清掃部材内に除去された前記液体を吸引排出させる吸引手段と、を備えている
構成とした。
【0013】
ここで、前記清掃部材は、前記払拭部材が押し付けられ、前記払拭部材が相対移動されることで、前記払拭部材に付着している液体を掻き落とす掻き落とし部が設けられた開口部を有する構成とできる。
【0014】
また、前記清掃部材の前記開口部は開閉可能である構成とできる。
【0015】
また、前記清掃部材の前記掻き取り部には複数の溝が形成されている構成とできる。
【0016】
また、前記清掃部材の内部には液体を吸収する液体吸収部材が設けられている構成とできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像形成装置によれば、払拭部材に付着している液体を除去する中空の清掃部材と、清掃部材内に除去された記液体を吸引排出させる吸引手段とを備えるので、払拭部材を長期にわたり清浄に保つことができ、ワイピング性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の機構部の概略を示す構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】維持回復機構の模式的概略構成図である。
【図4】同じく要部平面説明図である。
【図5】同じくワイパ関連部分の要部斜視説明図である。
【図6】制御部の全体ブロック説明図である。
【図7】同実施形態のクリーニング動作の説明に供するフロー図である。
【図8】同じくワイピング動作の説明に供する説明図である。
【図9】同じくワイパクリーニング動作の説明に供する説明図である。
【図10】同じく吸引排出動作の説明に供する説明図である。
【図11】本発明の第2実施形態におけるワイパ関連部分の要部説明図である。
【図12】同実施形態におけるクリーニング動作の説明に供するフロー図である。
【図13】本発明の第3実施形態におけるワイパ関連部分の要部斜視説明図である。
【図14】本発明の第4実施形態におけるワイパ関連部分の要部斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図2で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0020】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0021】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0022】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット5によって各色の供給チューブ36を介して、各色のインクが補充供給される。
【0023】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0024】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0025】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図2のベルト搬送方向に周回移動する。
【0026】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0027】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0028】
さらに、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするための払拭部材であるワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための交換されない廃液タンク100を、維持回復機構81の側方側には装置本体の前面側から交換可能な廃液タンク101を、それぞれ備えている。
【0029】
また、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0030】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0031】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0032】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0033】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0034】
次に、この画像形成装置における維持回復機構81について図3ないし図5を参照して説明する。なお、図3は同維持回復機構の模式的概略構成図、図4は同じく要部平面説明図、図5は同じくワイパ関連部分の要部斜視説明図である。
この維持回復機構81は、維持装置フレーム211に、キャップホルダ212に保持されたキャップ82a、82bと、ワイパホルダ223に保持されたワイパ部材83と、第1ワイパ清掃手段であるワイパクリーナ86とがそれぞれ昇降可能(進退可能)に保持されている。
【0035】
キャップ82は、記録ヘッド34のノズル面と対向する側に開口を有する箱型の部材である。このキャップ82はその開口上面部に弾性部分を有しており、前記弾性部分をノズル面に当接し、密着させることでノズルの開口を封止(キャッピング)することができる。また、キャップ82内には多孔質のスポンジ状部材である図示しない吸収部材が配設されている。
【0036】
そして、ワイパ部材83と吸引用となるキャップ82aとの間には筒状の空吐出受け84が配置されている。
【0037】
この空吐出受け84のワイパ部材83側には、図5にも示すように、ワイパ部材83に付着したインクを掻き落して除去する第2ワイパ清掃手段(部材)としてワイパスクレーパ部85が設けられている。ワイパスクレーパ部85は、中空部材であり、ワイパ部材83が押し付けられてワイパ部材83に付着しているインクを掻き取る掻き取り部85aが設けられた開口部85bを有している。また、ワイパスクレーパ部85の開口部85bと反対側(これの例では下側)には排出口部85cが設けられ、排出口部85cには可撓性チューブ300を介して後述する吸引手段である吸引ポンプ220が接続されている。
【0038】
ワイパ部材83のクリーニングを行うときには、ワイパクリーナ86でワイパ部材83をワイパスクレーパ部85の掻き取り部85aに押し付けた状態で、ワイパ部材83を相対的に移動(これの例では下降)させることにより、ワイパ部材83に付着したインクをワイパスクレーパ部85内に掻き落し、吸引手段である吸引ポンプ220によってワイパスクレーパ部85内に掻き落されたインクを廃液タンク100に吸引排出する。
【0039】
ワイパクリーナ86は、ワイパ部材83に当接してワイパ部材83をワイパスクレーパ部85側に押し付けるクリーナコロ241を、クリーナホルダ242の上端部に回転自在に装着している。このクリーナホルダ242は支軸244によってフレーム211に揺動自在に装着し、図示しない引っ張りスプリングでワイパ部材83に当接しない退避位置側に揺動付勢している。また、クリーナホルダ242を揺動させるためにリンク部材245を設けている。
【0040】
また、印字領域に最も近い側のキャップ82aにはチューブ部材である弾性部材からなる可撓性チューブ219を介して吸引手段であるチュービングポンプ(吸引ポンプ)220を接続し、キャップ82aのみを吸引(回復)及び保湿用キャップ(以下単に「吸引用キャップ」という。)とし、キャップ82bは単なる保湿用キャップとしている。したがって、記録ヘッド34の回復動作を行うときには、回復動作を行う記録ヘッド34を吸引用キャップ82aによってキャッピング可能な位置に選択的に移動させる。
【0041】
吸引ポンプ220は、吸引チューブ219に対して複数の加圧部材による加圧と移動を繰り返すことによってチューブ210に吸引力を発生させる。
【0042】
一方、キャップ82a、82b、ワイパ部材83などの下方にはフレーム211に回転自在に支持したカム軸221を配置し、このカム軸221には、キャップホルダ212を昇降させるためのキャップカム222と、ワイパ部材83を昇降させるためのワイパカム224、空吐出受け84内で空吐出される液滴がかかる回転体としてのコロ226と、ワイパクリーナ86を揺動させるためのクリーナカム228と、キャリッジロック87を昇降させるためのキャリッジロックカム229をそれぞれ設けている。
【0043】
そして、吸引ポンプ220及びカム軸221を回転駆動するために、維持回復用モータ231の回転をモータ軸231aに設けたモータギヤ232に、吸引ポンプ220のポンプ軸220aに設けたポンプギヤ233を噛み合わせ、更にこのポンプギヤ233と一体の中間ギヤ234に中間ギヤ235を介して一方向クラッチ237付きの中間ギヤ236を噛み合わせ、この中間ギヤ236と同軸の中間ギヤ238に中間ギヤ239を介してカム軸221に固定したカムギヤ240を噛み合わせている。なお、クラッチ237付きの中間ギヤ236、238の回転軸である中間軸241はフレーム211にて回転可能に保持している。
【0044】
この維持回復機構81においては、記録ヘッド34のノズルを形成した面(ノズル面)に付着したインクや不純物を取り除くときには、モータ231を駆動して、ワイパカム224を介してワイパ部材83を上昇させる。この状態で、キャリッジ33を主走査方向に移動させることにより、ワイパ部材83によって記録ヘッド34のノズル面をワイピングして、不純物などを払拭する。
【0045】
また、記録ヘッド34のノズルを外気に露呈した状態のまま放置すると、内部のインクが乾燥して増粘、固着し、インク吐出性能が低下してしまうことから、これを防ぐために、記録ヘッド34のノズル面をキャップ82で覆うときには、モータ231を回転させ、キャップカム213を介してキャップ82を上昇させ、記録ヘッド34のノズル面をキャッピングする。
【0046】
また、記録動作の前後やその最中において、キャップ82aに対して記録動作に寄与しないインク滴の吐出(予備吐出)を行ってノズル吐出性能維持を図る。
【0047】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。なお、図6は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU511と、CPU511が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0048】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ551、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ552、維持回復機構81の維持回復モータ231を駆動するためのモータ駆動部512と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511などを備えている。
【0049】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0050】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0051】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0052】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0053】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0054】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。また、環境条件(温度及び湿度)を検知する温湿度センサ516からの検知信号、廃液タンク101の満タンを検知する満タン検知センサの検知信号も入力される。
【0055】
次に、この画像形成装置におけるクリーニング動作について図7のフロー図を参照して説明する。
まず、クリーニング動作を開始すると、ワイパ部材83が上昇し、キャリッジ33がワイパ部材83に対して相対的に移動することで、ワイパ部材83で記録ヘッド34のノズル面が払拭され、その後、ワイパ部材83が下降する。
【0056】
そして、ワイパクリーナ86が閉じてワイパ部材83がワイパクリーナ86のクリーナコロ241とワイパスクレーパ部85の掻き落とし部85aとの間に挟まれて、ワイパ部材83に付着したインクがワイパスクレーパ部85内に掻き落とされ、ワイパ部材83の下降が終了すると、ワイパクリーナ86が開く。
【0057】
その後、吸引ポンプ220が駆動されて、ワイパスクレーパ部85内に掻き落とされたインクが吸引排出される。
【0058】
つまり、図8に示すように、記録ヘッド34のノズル面をワイパ部材83でワイピング(払拭)することで、ワイパ部材83の表面にインク400が付着する。
【0059】
そこで、ワイパ部材83に付着したインクを除去してワイパ部材83を清掃するときには、図9(a)に示す状態から、図9(b)に示すように、ワイパ部材83が矢示D方向に下がり始めると同時に、クリーナカム228でリンク245を介してワイパクリーナ86が矢示C方向に揺動され、クリーナコロ241によってワイパ部材83をワイパスクレーパ部85の掻き落とし部85aに押し付ける。
【0060】
このまま、図10(a)に示すように、ワイパ部材83が下降すると、ワイパ部材83の表面に付着していたインク400がワイパスクレーパ部85の掻き落とし部85aによって掻き落とされ、中空構造のワイパスクレーパ部85の開口部85aから内部に掻き落とされて導入される。
【0061】
この状態で、吸引ポンプ220を動作させることで、図10(b)に示すように、ワイパスクレーパ部85内に導入されたインク400を吸引して、排出側の排出口部85cから廃液タンク100に排出する。
【0062】
以上の動作により、ワイパ部材83の表面全域に付着したインク400を除去でき、除去した先のワイパスクレーパ部85内にインクを残留させることが無いため、長期間ワイパ部材83を清浄に保つことができ、ワイピング性能の耐久性を高めることができる。
【0063】
このように、払拭部材に付着している液体を除去する中空の清掃部材と、清掃部材内に除去された記液体を吸引排出させる吸引手段とを備えることで、払拭部材を長期にわたり清浄に保つことができ、ワイピング性能を維持することができる。
【0064】
次に、本発明の第2実施形態について図11を参照して説明する。なお、図11は同実施形態におけるワイパ関連部分の要部説明図である。
ここで、ワイパスクレーパ部85の開口部85b側に、開口部85bを開閉するフラップ形状部85dを設けている。このフラップ形状部85dは、軸85eに揺動可能に軸支されている。そして、フラップ形状部85dは、フランジ形状部85fを備え、維持フレーム211に形成した支柱部188とフランジ形状部85fに設けられた支柱部85g間に引っ張りバネ187が介装されて、フラップ形状部85dは常にワイパスクレーパ85の掻き落とし部85a側に付勢され、開口部85bを閉じている。
【0065】
また、ワイパ部材83を支えるワイパホルダ223の側面にボス223aが設けられ、ワイパ部材83が上昇したときには、図11(a)に示すように、ボス223aがフランジ形状部85fを押し上げ、フラップ形状部85dが開いて開口部85bが大きく開放した位置となり、ワイパ部材83が下降すると、図11(b)に示すように、ボス223aはフランジ形状部85fから離間して、フラップ形状部85dが閉じた状態となる。
【0066】
したがって、印刷動作やメンテナンス動作以外の待機中には、ワイパスクレーパ部85の開口部85bが閉じられるので、内部の中空内壁にわずかに残ったインクの乾燥速度を遅らせることができ、より耐久性を向上できる。
【0067】
この第2実施形態におけるクリーニング動作について図12のフロー図を参照して説明する。
このクリーニング動作は前記第1実施形態と同様であるので、ワイパスクレーパ部85の開口部85bを開閉状態について説明する。フラップ形状部85dは、上述したように、ワイピング動作時にワイパ部材83が上昇するに従って開口部85bを開放していく。そして、ワイピング動作が終了し、ワイパ部材83bが下降するに従って徐々に開口部85bを閉じていく。
【0068】
そして、ワイパ部材83の天面がワイパスクレーパ部85の上端より低い位置に来て、ワイパ部材83に付着したインクがワイパスクレーパ部85内に掻き落とされたところで、ワイパ部材83は下降を一旦停止する。この時点でフラップ形状部85dは、完全に閉じていないため、吸引ポンプ220の動作によりインクを吸引除去するときの妨げにならない。
【0069】
吸引ポンプ220の動作を一定時間実施した後、ワイパ部材83の下降を再開する。そして、ワイパ部材83を一旦停止した位置よりさらに若干低い位置に来たところでワイパ部材83の下降が終了して、フラップ形状部85dが完全に閉じ、ワイパクリーナ86が開き、ワイパ部材83がワイパスクレーパ部85のエッジ(掻き落とし部85a)から離れる。
【0070】
次に、本発明の第3実施形態について図13を参照して説明する。なお、図13は同実施形態におけるワイパ関連部分の要部斜視説明図である。
ここでは、ワイパスクレーパ部85の内部に、複数の溝形状185aを形成している。これにより、吸引除去時の吸引圧を均一にでき、吸引効率を向上できる。
【0071】
次に、本発明の第4実施形態について図14を参照して説明する。なお、図14は同実施形態におけるワイパ関連部分の要部斜視説明図である。
ここでは、ワイパスクレーパ部85のワイパ部材83と接触する掻き落とし部85a側に、インクを吸収する吸収部材189を配置している。これにより、吸引除去時に、ワイパスクレーパ部85で掻き落としたインクをすばやく吸収するため、ワイパ部材の清浄効果を向上できる。
【0072】
なお、本発明に係る画像形成装置は、インクジェットプリンタ以外にも、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機などにも適用することができる。さらに、インク以外の液体(記録液)、例えばレジスト、医療分野におけるDNA試料などを吐出させる画像形成装置などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
35 サブタンク
81 維持回復機構
82a 吸引及び保湿用キャップ
82b 保湿用キャップ
83 ワイパ部材
84 空吐出受け
85 ワイパスクレーパ部
85a 掻き落とし部
85b 開口部
85c 排出口部
86 ワイクリーナ
100 廃液タンク
220 吸引ポンプ
300 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面を払拭する払拭部材と、
前記払拭部材に付着している液体を除去する中空の清掃部材と、
前記清掃部材内に除去された前記液体を吸引排出させる吸引手段と、を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記清掃部材は、前記払拭部材が押し付けられ、前記払拭部材が相対移動されることで、前記払拭部材に付着している液体を掻き落とす掻き落とし部が設けられた開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記清掃部材の前記開口部は開閉可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃部材の前記掻き取り部には複数の溝が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記清掃部材の内部には液体を吸収する液体吸収部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−35440(P2012−35440A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175447(P2010−175447)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】