説明

画像形成装置

【課題】 クリーニングブレードを通過した再転写トナーが帯電ローラによって帯電され、再度中間転写体に転写される事により、雨降りといった画像弊害が発生する。
【解決手段】 再転写したトナーが帯電位置を通過する際に帯電バイアスを調整する事によって画像弊害を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の現像装置を用いるカラー電子写真画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機、プリンターなどの画像形成装置においては、静電記録方式や電子写真記録方式等が多く用いられている。その一つに、感光体ドラム上にトナー像を形成し、そのトナー像を一旦中間転写体上に順次重ね合わせるように一次転写してから、一括して転写材に二次転写する中間転写方式が知られている。中間転写方式は、各色のトナー像を感光体ドラムから転写材に順次転写する多重転写方式に対して、種々の転写材において、安定した画像転写が可能であるという利点を有している。
【0003】
中間転写方式の画像形成装置において、感光体ドラム上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を、それぞれベルト状あるいはドラム状の中間転写体上に順次一次転写する。中間転写体上で重ね合わせた4色のトナー像を最後に一括して転写材に二次転写する。しかし、トナー像を中間転写体から転写材に二次転写する際の転写効率を100%にする事が出来ないため、トナー像を二次転写した後は、中間転写体上に微量のトナーが残る事になる。この二次転写残トナーは、中間転写体上でクリーニングブレードによって掻き取る、もしくは、転写同時クリーニングを用いて、感光体ドラム上のクリーニングブレードによって回収するといった手段を用いる(特許文献1参照)。
【0004】
4色のトナー像を中間転写体に転写した後に二次転写を行う装置において、転写材に厚紙等の特殊紙を使用する場合には、効率良く転写を行うために、普通紙に対して、中間転写体と二次転写の速度を遅くするといった、二次転写条件を変えて動作を行う必要がある。このような場合、スループットを低下させないようにするために、一次転写までは通常速度で動作を行い、中間転写体に形成したトナー像の先端が二次転写部に到達する前に中間転写体の速度を下げるようにする。
【0005】
最近では、画像形成装置の小型化のために、一次転写部と二次転写部の距離が画像の送り方向の長さよりも短い構成のものもある。この場合に、4色目のトナー像が中間転写体に一次転写し終えた時には、トナー像の先端は二次転写部を通過している事となる。したがって、速度を変更した後二次転写を行うために、形成したトナー像は、一次転写部で転写を行わない状態で一次転写部を通過させる。この時に、中間転写体に形成したトナー像が一次転写部を通過する際に、一次転写部の電界により地汚れや逆転写を発生することがある。これを防止するために、中間転写体上のトナー像が一次転写部を通過する際に、画像作像時よりも電界が低くなるようにすることが知られている(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−116130公報
【特許文献2】特開平7−225520公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、トナー像が形成された中間転写体が、一次転写部を通過する際に、中間転写体の上のトナーが感光体ドラムに再転写することがある。そして再転写したトナーが、感光体ドラムのクリーニング手段により回収できなかった場合に、感光体ドラムの帯電手段に到達する。ここで、帯電手段による放電を受けたトナーは、再び中間転写体に転写され、雨降りや感光体ドラムピッチドットのような画像不良を引き起こすことが解かった。従来技術では、再転写を起こさないようにすることの開示はあるが、再転写したトナーが引き起こす画像不良を抑えることまでは考慮していなかった。
【0008】
本出願に係る発明の目的は、トナー像が形成された中間転写体が、一次転写部を通過するような画像形成装置において、帯電手段に印加される電圧を調整し、画像弊害を抑制する画像形成装置を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本出願に係る第1の発明は、像担持体と、帯電バイアスを印加することで前記像担持体表面を一様に帯電する帯電装置と、前記像担持体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、前記像担持体と当接することで一次転写部を形成する中間転写体と、前記一次転写部に一次転写バイアスを印加して前記像担持体上のトナー像を前記中間転写体上に一次転写する一次転写手段と、前記像担持体に当接し、一次転写部で一次転写されず像担持体に残った転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、前記中間転写体と当接し、前記中間転写体と当接することで二次転写部を形成し、前記中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する二次転写手段と、一次転写と二次転写を行うプロセススピードを変更する切り替え手段とを有する画像形成装置において、前記中間転写体上の一次転写部から二次転写部間の距離が画像副走査距離より短く、画像形成時に一次転写と二次転写でのプロセススピードを変える場合、二次転写部を通過済みの前記中間転写体上のトナー像が一次転写部を再度通過する際に、前記帯電装置に印加する帯電バイアスを放電開始電圧以下とする事を特徴とする。
【0010】
なお、かかる本発明に従う前記帯電装置に印加する望ましい態様の帯電バイアスの一つは、前記像担持体上の一次転写後表面電位以下とする事を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、トナー像が形成された中間転写体が、一次転写部を通過するような画像形成装置において、帯電手段に印加される電圧を調整し、画像弊害を抑制する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】実施例1における画像形成装置の一次転写部の概略構成図である。
【図3】従来の中間転写ベルト5周目におけるメカニズム図である。
【図4】従来の中間転写ベルト5周目のバイアス印加タイミングチャートである。
【図5】実施例1における中間転写ベルト5周目のバイアス印加タイミングチャートである。
【図6】実施例1、2における中間転写ベルト5周目のメカニズム図である。
【図7】実施例4の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図8】実施例4における中間転写ベルト5周目のバイアス印加タイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施例1]
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0014】
図1を参照して、本発明の該1の実施の形態にかかる画像形成装置、現像装置について説明する。
図1は本発明を適用した画像形成装置100の概略断面図である。
本実施の形態では、画像形成装置として、ロータリー方式のカラーレーザープリンターを用いている。
【0015】
まず、画像形成手段による画像形成動作について説明する。
カラーレーザープリンターは、回転可能な感光体ドラム2(像担持体)を備えている。
図1において、感光体ドラム2は、図中の矢印αの方向に回転しながら、帯電装置である帯電ローラ3によって一様に帯電される。その後、露光手段であるレーザー光学装置4からのレーザー光により露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0016】
また、感光体ドラム2の表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して現像する手段として、各現像剤の色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)ごとに現像装置20a〜20dが設けられている。
各々の現像装置20a〜20dは、感光体ドラム2の回転方向に対して順方向に回転可能な略円形のロータリー102(現像装置支持体)に一体に支持されている。なお、各々の現像装置20a〜20dをロータリー102に対して着脱可能な構成としても良い。そのような構成とする事で、現像装置ごとに現像器の補給、メンテナンスを行う事が出来る。
【0017】
そして、静電潜像を、例えばイエローの現像装置20aによって現像し、トナー像として可視化する。
また、静電潜像を形成する前に、ロータリー102を不図示の駆動伝達機構により駆動し、イエローの現像装置20aを感光体ドラム2と対向する位置(現像位置)まで回転移動させておく。可視化された感光体ドラム2上のトナー像は、一次転写ローラ5によって中間転写体たる中間転写ベルト16に転写される。一次転写されずに感光体ドラム2上に残存した転写残トナーは、クリーニング部材であるクリーニングブレード71により掻き取られ、廃トナー容器70に収納される。クリーニングされた感光体ドラム2は上述作用を繰り返し、画像形成を行う。そして、各々の現像装置20が感光体ドラム2に対向する現像位置に位置決めされた後、イエローの場合と同様にして、マゼンタ、シアン、ブラックの各色について、現像、1次転写が順次行われる。その結果、中間転写ベルト16上には4色の現像剤像が重ね合わされて転写される事となる。
上述のように、トナー像を転写された中間転写ベルト16は、二次転写動作に移る。
【0018】
二次転写部では、搬送されて来た転写材S上に画像を転写する。転写後の転写材Sは定着器92に送られる。
定着器92においては、上記転写材Sが熱圧され、そのトナー像が転写材S上に定着される。これにより、転写材S上には画像が形成される事になり、この転写材Sは、定着器92から装置外部の上カバーの排紙部93へ排出される。
【0019】
一方、二次転写ニップにて転写材Sに二次転写しきれずに中間転写ベルト16上に残った二次転写残トナーも存在する。大半は中間転写ベルト16上の転写クリーニング装置61にて回収を行うが、クリーニングしきれず一次転写部まで到達する転写残トナーは、感光体ドラム2下流のクリーニングブレード71にて回収される。
【0020】
次に、本実施例における画像形成動作について、図1を用いて説明する。感光体ドラム2を、中間転写ベルト16の回転と同期させて、図1の矢印α方向に回転させる。この時、二次転写ローラ90と中間転写ベルト16は離隔状態にある。そして、帯電ローラ3に高圧電源31により−1100Vのバイアスを印加することで、感光体ドラム2表面を均一に−570Vに帯電すると共に、レーザー光学装置4によって光照射を行い、感光体ドラム2上に静電潜像を形成する。本実施例では、感光体ドラム2の外径はΦ30とし、中間転写ベルト16長を377cmとした。
【0021】
この静電潜像形成前に、現像装置20を不図示の駆動伝達機構により駆動して、感光体ドラム2上にトナー像として可視化する。現像中は、現像装置20内のマイナスに帯電したトナー(ネガトナー)に対し、不図示の高圧電源により現像ローラ22にトナーと同極性となる−300Vのバイアスが印加される。現像ローラ22と感光体ドラム2との電位差によりトナーにとって現像ローラ22から感光体ドラム2へ移動する電界が生じ、感光体ドラム2上の静電潜像にトナーを付着させて現像する。その後、中間転写ベルト16の内側に配置された一次転写ローラ5に、高圧電源51により800Vの一次転写バイアスを印加して、感光体ドラム2上のトナー像を中間転写ベルト16上に一次転写する。
上述のようにして静電潜像の形成、現像、一次転写が順次行われ、中間転写ベルト16上にトナー像形成させる。
この時、中間転写ベルト16上にはモノクロトナーのみ転写しても、フルカラー4色を重ねても良い。
【0022】
以下、中間転写ベルト16の構成ならびに二次転写手段について詳細に説明する。
図2に、中間転写ベルト16近傍の詳細図を示した。なお、図の簡略化のため、現像装置20、ロータリー102は省略し、感光体ドラム2に対向する現像ローラ22だけ図示して説明する。感光体ドラム2の下部には、中間転写ベルト16が複数のローラ(16a、16b、16c)に架張されて、図2のβ方向に回動するように配置されている。感光体ドラム2と中間転写ベルト16が押圧・接触する一次転写部には、中間転写ベルト16を感光体ドラム2と挟むように、一次転写ローラ5が配置されている。中間転写ベルト16を架張しているローラの1つ16bには、中間転写ベルト16を挟むように二次転写ローラ90が配置されている。二次転写ローラ90は中間転写ベルト16に対し、当接/離隔出来るように構成されている。16bは二次転写ローラ90に対して二次転写対向ローラと呼ばれる。二次転写ローラ90が当接/離隔される位置は、二次転写部と呼ばれる。
【0023】
転写材Sが二次転写部へ到達するタイミングで、二次転写ローラ90が当接離隔機構により中間転写ベルト16との当接状態に移行する。当接状態への移行と共に、二次転写ローラ90には高圧電源91により二次転写バイアスとして1500Vが印加され、前述の中間転写ベルト16上のトナー像は、搬送されてきた転写材Sの表面に一括して二次転写する。
【0024】
転写材Sは、給紙ローラ81によって一枚ずつ分離給送され、レジストローラ対82に給紙する。レジストローラ対82は、給紙された転写材Sを、二次転写ローラ90が中間転写ベルト16を介して対向ローラ16bと形成する二次転写ニップに送り出す。
【0025】
二次転写部に対し、中間転写ベルト16の移動方向下流には転写クリーニング装置61が設置され、クリーニング装置61に付属のブレード62が、中間転写ベルト16上のトナーが掻き落とせるように、中間転写ベルト16に接触配置されている。感光体ドラム2に対しても同様に、一次転写部に対して感光体ドラム2の移動方向下流には感光体クリーニング装置7が設置され、付属のブレード71が感光体ドラム2上のトナーを掻き落とせるように接触配置されている。
制御手段であるCPUは、1次転写ローラ5に印加される1次転写バイアス、2次転写ローラ90に印加される2次転写バイアス、帯電ローラ3に印加される帯電バイアスを制御する。
【0026】
4色のトナー像を中間転写ベルト16に転写した後、二次転写を行う際に、転写材Sとして特殊紙を使用する場合について説明する。特殊紙とは、普通紙より厚さのあるはがき等の厚紙やOHPシート、あるいは封筒などの特殊形状の紙を指す。特殊紙を使用する場合は、効率良く二次転写、熱定着を行うために、中間転写ベルト16ならびに二次転写ローラ90、定着ローラ92の速度を、普通紙に転写する速度に対して遅くする必要がある。
【0027】
また、特殊紙を使用する場合には、ユーザーが印字モードを選択し、その用紙に合ったスピードを選択する事が出来る。例えば、印字モードをユーザーに選択可能にするための、モード選択手段(操作パネル)を備えるようにする。操作パネルにより特殊紙を用いるモードが選択された場合には、制御手段により後述するような5周中間転写ベルト16を回転させる。それにより、紙によって転写、定着を最適な条件に設定する事が出来る。また、このように、ユーザーが選択する以外にも、被転写体の種類を判断するメディアセンサー(被転写体検知手段)を設け、メディアセンサの検知結果に応じて制御手段がモードを自動的に選択するようにしても良い。例えば、メディアセンサで厚紙と判断された場合は、中間転写ベルトを5周まわすようにしてもよい。
【0028】
特殊紙を使用する本実施例では、普通紙上に転写する中間転写ベルト16のスピードに対して、一次転写を行う時は普通紙と同様のスピード(1/1速)、二次転写を行う時は普通紙の2/5速に切り変えて二次転写の転写性を上げている。
なお、普通紙を使用する際の中間転写体のスピードは約102mm/secとした。
このような場合、一次転写までは普通紙を用いる時と同様の動作を行うため、中間転写ベルト16上にはトナー像を形成している状態のまま、二次転写するタイミングで速度を切り替える事になる。
【0029】
この時に、一次転写部から二次転写部の距離よりトナー像の送り方向長さが長いと、4色目のブラックを中間転写ベルト16に一次転写し終える時には、画像先端は二次転写部を通過していることになる。
したがって、速度変更後、二次転写を行うために、改めて中間転写ベルト16上のトナー像が一次転写部を通過しなければならない。
なお、4色のトナー像を中間転写体に転写した状態で、中間転写体は4周要している。そして、二次転写以降の速度を遅くするために、中間転写体がトナー像を形成した状態で、改めて一次転写部を通過する時には中間転写体が5周目の時である。そこで、トナー像を載せた中間転写体が、感光体ドラムからトナー像を転写されずに、一次転写部を通過する時を、「5周目」として説明する。
【0030】
中間転写ベルト16が5周目に突入した時に、帯電バイアスならびに一次転写バイアスともに、画像形成時と同様のバイアスが印加されていると、一次転写部における中間転写ベルト16と、感光体ドラム2との間の電位差が大きくなる。そのため、中間転写ベルト16の5周目に中間転写ベルト16上のトナーの中で、帯電の極性が逆転してしまったプラスに帯電したトナー(ポジトナー)が、電界により感光体ドラム2に再転写する。このようなポジトナーは、1次転写により放電を受けて逆極性に帯電した場合に発生する。また、中間転写ベルト16上に居る弱ネガ成分のトナーも電位差が大きくなると、感光体ドラム2表面に戻る可能性がある。
【0031】
通常では、再転写されたトナーは、感光体ドラム2のクリーニングブレード71で回収されるが、クリーニングしきれないトナーが存在する事もある。その結果、クリーニングブレード71を通過したトナーは、感光体ドラム2の回転により帯電ローラ3に到達する。帯電ローラに到達した再転写トナー(ポジトナー)は、帯電ローラ3により放電を受け、再帯電されネガ化する。ネガ化されたトナーは、感光体ドラム2の回転により1次転写部に到達し、ポジに帯電されている中間転写ベルト16に再度一次転写される。再度一次転写されると、クリーニングブレードをすり抜けたトナーがそのまま画像上に印字される雨降り画像が発生する。
特に、トナーのすり抜けは、感光体ドラム表面上の凹凸に沿って発生することが多い。感光体ドラム表面上の凹凸は、感光体ドラム表面上に傷が存在した場合や、トナーの遊離外添剤が感光体ドラム表面上に融着核として付着した場合に発生し得る。
【0032】
この時の推定メカニズムを図3に示した。図3のように、再転写されたトナーはポジの電荷を持ったまま、クリーニングブレード71に突入してくる(A)。しかし、感光体ドラム2上に融着核のような凹凸がある場合、クリーニングブレード71が感光体ドラム2面上を追従する事が出来ず、すり抜けてしまう事がある(B)。クリーニングブレード71をすり抜けたトナーは、帯電ローラ3まで達し、放電によりポジからネガに再帯電され(C、D)、一次転写部で再度転写される(E)と考えられる。
【0033】
以上のような現象が発生するのは、二次転写通過後の中間転写ベルト16上のトナー像が一次転写に突入する際に、感光体ドラム2に画像形成と同等の帯電バイアスが印加されている事が原因であると考えられる。この時、一次転写バイアスと感光体ドラム2の表面間の電位差(一次転写コントラストとする)が広がると、再転写に不利な方向になる。
【0034】
従来例として、中間転写ベルト16が5周目の動作を行う時のタイミングチャートを図4に示す。従来では、S1で示したタイミングで4色目のブラックの印字動作が終了、一次転写した後、中間転写ベルト16の5周目に特殊紙(2/5速)用の一次転写バイアスを印加し、二次転写を行うために、二次転写ローラ90を当接させる。中間転写ベルト16上から、トナー像を二次転写するタイミングS2で、二次転写バイアスを印加する。この一連の流れ中、感光体ドラム2には、画像形成時と同一の帯電バイアスが印加されている。さらに、感光体ドラム2表面電位を下げるための前露光装置が無い、本実施例のような系では、感光体ドラム2表面上に電荷が残り、一次転写コントラストが下がりにくいという不利な面もある。
【0035】
そこで、本実施例では、クリーニングブレードをすり抜けたトナーを再放電させない事を目的として、中間転写ベルト16の5周目に印加する帯電バイアスを、感光体ドラム2に対して放電が起こらないような放電開始電圧より弱くした。つまり、すり抜けたトナーを放電により帯電させない帯電バイアスを選択したという事である。本実施例の感光体ドラム2の放電開始電圧は約−550Vである。放電開始電圧より弱くするという事は、放電させない事により、感光体ドラム2表面電位の絶対値を下げる事も目的としている。なお、先述した−550Vの放電開始電圧は、感光体ドラム2の電位が0Vの時の放電開始電圧である。帯電ローラ3と感光体ドラム2との間で放電が起こるか否かは、もともとの感光体ドラム2の電位によって変わるものである。例えば、感光体ドラム2の帯電前電位が−200Vである場合には、−200V+(−550V)=−750Vから、−750Vよりも絶対値で大きいマイナスの電圧を帯電ローラ3に印加しなければ放電は発生しない。
【0036】
ここで、中間転写ベルト16の5周目の帯電バイアスを変更した時の、一次転写コントラストと画像評価の結果を表1に示した。ここで、中間転写ベルト16の5周目の一次転写バイアスは360V、感光体ドラム2へ印加する帯電バイアスは、従来法で−1100Vとした。そのため、5周目にトナー像が一次転写部に来た時の感光体ドラム2の非露光部電位(白部電位)は−570Vであり、転写コントラストは930Vとなっていた。実施例1−1では放電開始電圧より弱いバイアスを選択している。具体的には、−300Vを選択した。そのため、5周目にトナー像が一次転写部に来た時の感光体ドラム2の非露光部電位(白部電位)は0Vであり、転写コントラストは360Vとなっていた。
評価方法としては、画像上に雨降り画像が見受けられ、特にレベルが悪い場合を××、雨降り画像が見受けられた場合は×、画像上に雨降り画像の発生が無い場合を○とした。
【0037】
【表1】

【0038】
この結果から、画像形成時と同じような放電が起こる帯電バイアスを印加した場合は、画像上すり抜けトナーが見受けられた。これに対して、帯電バイアスを放電開始電圧より弱いバイアスとした時には、画像上のすり抜けトナーの発生を抑制する事が出来た。この事から、帯電バイアスを放電させないバイアスとした時には、一次転写コントラストが狭くなり再転写するトナーが少なくなったためだと思われる。また、再転写したトナーがあったとしても、帯電ローラ3により再転写したトナーが放電により帯電され、再び一次転写されて画像に出てしまうという現象が発生しなかったためだと思われる。その結果、画像上の雨降りを抑制する事が出来た。
【0039】
次に、帯電ローラの放電によるトナーの帯電の影響をみるために次のような実験を行った。
第一に、トナー像が形成された中間転写ベルト16の5周目の領域が1次転写部を通過した時の感光体ドラム2の領域を第一の領域とする。第一の領域が1次転写部にいる時の転写コントラストを従来例と比較例とでほぼ同じ条件とする。即ち、再転写されるトナーの量をほぼ同じようにする。具体的には、転写コントラストを930Vとした。そして、第一の領域が帯電ローラ3の位置に来た時に帯電ローラ3へ印加する帯電バイアスをそれぞれ変更する。この時の比較例を比較例1とする。従来例と比較例1を比較する事により、再転写量の影響を見る事が出来る。
【0040】
実施例1−1と実施例1−2では、帯電ローラに印加するバイアスを−300Vとして、感光体ドラム2と帯電ローラ3との間に放電が発生しないようにした。
【0041】
一方、続いての比較例では、従来例と同じように帯電ローラに印加するバイアスを−1100Vとして、感光体ドラム2と帯電ローラ3との間に放電が発生するようにした。
上述の比較を行う事により、トナーの帯電の影響を見る事が出来る。
そして、帯電ローラ3を通過した第一の領域が再び一次転写部に来た時に、転写コントラストを実施例1−1、実施例1−2、比較例をそれぞれ360V、930V、1500Vとして、雨降り画像の発生が起こるかどうかを見た。
結果を以下に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
実施例1−1と実施例1−2の結果を見ると、両者とも画像上の雨降りの発生は抑制されている事が分かる。これは、トナーを再放電させなかったために起こった現象である。しかし、一次転写バイアスが高い実施例1−2では、5周目の再転写量が多くなり、印字画像自体のレベルが悪くなってしまうという問題がある。
したがって、画像上雨降りを効果的に抑制するためには、放電させない帯電バイアスを選択し、かつ、一次転写コントラストを出来るだけ狭める事が重要となる。
【0044】
以上の結果から、一次転写コントラストを狭めることにより、再転写するトナーを少なくすることができる。また、一次転写コントラストを狭めたとしても、トナーが再転写してしまい、さらにクリーニングブレードをすり抜けてしまう場合もある。そのような場合であっても、再転写したトナーがある領域(第一の領域)が帯電ローラ3の位置に来ているときに、帯電ローラ3と感光体ドラム2との間で放電を起こさないようなバイアスを帯電ローラ3に印加する。このようにすることで、再転写したトナーは、ポジ化したままであるので、1次転写部で中間転写部に転写され雨降り画像を発生させてしまうという問題はない。なお、1次転写されなかった再転写トナーは再びクリーニング手段との摺擦によりクリーニングされることとなり、弊害を及ぼさない。
【0045】
続いて、実施例1における帯電バイアスの印加タイミングについて記述する。
本実施例において、再転写トナーを放電により帯電させないためには、帯電ローラ3に印加する帯電バイアスを放電開始電圧より小さいバイアスに設定する事が有効であると述べた。その時のタイミングチャートを図5に示す。図5に示した通り、帯電バイアスを放電開始電圧より小さいバイアスに設定するタイミングは、S1で示した4色目のブラックが一次転写を終えた時である。具体的には、S1のタイミングで−1100Vから、−300Vに変更した。そのタイミングで帯電バイアスを変える事により、二次転写部を通過したトナーが一次転写により再転写され、クリーニングブレード71によりクリーニングされなかったとしても、再転写トナーは、帯電ローラにより帯電されることはない。その上、再度一次転写部に到達するまでに感光体ドラム2表面上の表面電位は減衰を始めるために、一次転写コントラストが狭くなる。この時、帯電ローラから一次転写部の距離より、二次転写を通過したトナー像の先頭から一次転写部の距離の方が長い事が望ましい。このようにすることで、二次転写を通過したトナー像の先頭が一次転写部に到達する前に、放電開始電圧以下の帯電バイアスが印加されている時に、帯電ローラの位置を通過した感光体ドラム2の領域が1次転写部に到達することになる。
【0046】
表1の結果から、帯電バイアスを放電しないバイアスとした場合には、一次転写部を通過した後、感光体ドラム2の回転により再び1次転写部に到達する時には、感光体ドラム2の表面電位はほぼ0Vに落ちる事が分かっている。したがって、5周目のトナー像が1次転写部に到達した時の一次転写コントラストは狭くなり、画像先端から再転写の発生を抑制する事が可能となる。
【0047】
また、S1のタイミングで、転写バイアスを中間転写ベルト16の5周目の特殊紙(2/5速)用の一次転写バイアスに変更する。具体的には、360Vとした。
そして、5周目の中間転写ベルト16上のトナー像の後端が二次転写部を通過した後、且つトナー像の先端が一次転写部を通過し、二次転写部に到達する前に二次転写ローラ90が当接し、二次転写バイアスを印加する(S2)。
【0048】
以上の方法を用いる事により、再転写トナーの放電による再帯電を抑える事が出来、その上、中間転写ベルト16の5周目の再転写トナーの発生を抑制する事が出来るため、ドラム融着起因の画像弊害を抑制する事が出来る。
【0049】
[実施例2]
実施例2では、画像形成装置及びこの画像形成装置を構成する部材に関し、実施例1と同じ部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0050】
実施例1において、帯電ローラ3に印加する帯電バイアスを、放電開始電圧より弱い、放電させないバイアスとする事により、すり抜けたトナーを再放電させず、中間転写ベルト16から再転写されるトナーを再度一次転写させずに回収させる手段を記述した。
【0051】
しかし、実施例1の方法で、すり抜けトナーを再放電させず、クリーニングブレード71で回収しようとしても、1回の通過で掻き取れるとは限らず、やはりすり抜けるトナーが存在する可能性がある。すると、感光体ドラム2上の表面電位によっては、すり抜けたトナーが帯電ローラ3に電気的に引き寄せられ、帯電ローラ3を汚すという現象が生じる事が考えられる。それを抑制するためには、追加で帯電ローラ3を清掃する部材を付けなくてはならない。帯電ローラ3が汚れると、汚れた部分で帯電バイアスが変わり、画像上に縦スジなどの弊害をもたらす事がある。電気的にトナーが帯電ローラ3に引き寄せられる現象を説明した図を図6に示す。図6の(A)、(B)に示したように、クリーニングブレード71をすり抜けたトナーは、帯電ローラ3まで達する。実施例1のように、帯電バイアスを放電させないバイアスにする事ですり抜けトナーの再放電は抑制する事が出来る。しかし、(C)に示したように、感光体ドラム2表面上の電位が、帯電ローラ3が印加しているバイアスに比べてプラス側に帯電されていると、放電を受けないトナーは帯電ローラ側に引き寄せられる(C)。(ex.帯電ローラ3印加バイアス:−400V、感光体ドラム2表面電位:−300V)。
【0052】
実施例1に記述した通り、画像形成時の感光体ドラム2上の白部には−570V、黒部にはレーザー露光する事により−100Vの電位を均一に乗せている。なお、白部は非画像部であり非露光部である。黒部は、画像部であり露光部である。現像装置20によって現像された後、一次転写に突入する前には、多少の減衰があるものの、前述の表面電位を保っていると考えられる。しかし、一次転写後には、転写バイアスにより正の放電を受けて、多少表面電位が低下する(正の方向に電位が動く)と考えられる。これは、一次転写バイアスの強さによっても変わる。一方、中間転写ベルト16から再転写されたトナーは、中間転写ベルト16上でポジトナーとなっている。そのため、一次転写を受けた感光体ドラム2の表面電位(以下転写後電位と記す)によっては、前述のように帯電バイアスを放電させないバイアスとした帯電ローラ3側に引き付けられる事が示唆される。そこで、帯電ローラ3に印加するバイアスを転写後電位の絶対値以下とする事により、帯電ローラ3側にトナーが移動しないようにする事が出来ると考えられる(図6の(C’))。したがって、帯電バイアスを調整する事によって、中間転写ベルト16上からの再転写トナーを再放電させず、且つ、追加部材を必要とせず、帯電ローラ3を汚さないようにする事が可能であると考えられる。
【0053】
そこで、実際に白部と黒部の転写後電位を測定した。
転写後電位は、表面電位計(トレックジャパン株式会社 製)にプローブを接続して測定した。感光体ドラム2下流に表面電位測定用のプローブを、感光体ドラム2に対して垂直方向に設置した。感光体ドラム2とプローブの距離を5mmとし、検知部開口直径は0.5mmとした。感光体ドラム2の表面電位は、白部を−570V、黒部を−100Vに設定し、一次転写バイアスを変化させながら、転写後電位を測定した。その結果を表3に示す。表3(A)が白部、表3(B)が黒部の転写後電位である。
【0054】
【表3】

【0055】
実施例2では、実際に画像形成を行う時に印加する一次転写バイアスの範囲は、環境にも依るが500Vから1200Vの間とした。それを踏まえると、実施例2における転写後電位の範囲は、白部ではおよそ−450Vから−150V、黒部では−100Vからー60Vの間である。
【0056】
以上から、実施例2においては、中間転写ベルト16の5周目には、帯電ローラ3に印加するバイアスを表3の転写後電位以下、特に黒部の電位以下に設定する事が望ましい。実際には、転写後電位のテーブルを予め本体内に記憶させておき、環境と一次転写バイアスによって、帯電ローラ3に印加させるバイアスを決定すれば良い。また、感光体ドラム2と帯電ローラ3の間に、直接転写後電位を測定する手段を設けても良い。
【0057】
[実施例3]
実施例2では、中間転写ベルト16が5周目の動作を必要とする時に、感光体ドラム2の転写後電位より、帯電バイアスを低くして放電を発生させないようにすることで、画像弊害を抑制する事が出来ると記した。
【0058】
したがって、この関係性を満たせば、帯電ローラ3にバイアスを印加させなくても良い。実施例1のように、帯電バイアスを印加させない場合に画像上にトナーのすり抜けが発生するかどうかを確認したところ、画像弊害が発生しない事が確認されている。また、放電を起こさない程度に、帯電ローラ3にプラスのバイアスを印加してもよい。
【0059】
[実施例4]
実施例1においては、転写クリーニング装置61はブレードを用いていた。これに変えて、転写同時クリーニング方式を採用しても良い。図7を用いて簡単に説明をする。
【0060】
転写同時クリーニング方式とは、二次転写残トナーを中間転写ベルト上に設けられた帯電ローラによってトナーの帯電極性とは逆極性のプラスに帯電させておくものである。これにより、一次転写部においてプラスに帯電した転写残トナーは感光体ドラム2に回収し、同時に感光体ドラム2上のトナー像の一次転写も行うというものである。
【0061】
一次転写部では、感光体ドラム2上に存在するトナーはマイナスに帯電されているため、このトナーには中間転写ベルト16に向かう力が作用する。一方、二次転写残トナーはプラスに帯電されているため感光体ドラム2に戻る力が作用する。したがって、転写同時クリーニングプロセスが可能になる。このように、二次転写残トナーは感光体ドラム2を経て、感光体ドラム2のクリーニングブレード71に回収されるため、中間転写ベルト16上に廃トナー回収容器を設ける必要が無い。以上のように、比較的簡単な構成で転写残トナーを回収出来て、廃トナー回収容器が余分に必要無いため、小型化にも有利となる。
【0062】
以下においては、このような方式を「転写同時クリーニング方式」と称する。また、二次転写残トナーのトナー帯電手段60をベルト帯電手段と、ベルト帯電手段に帯電ローラを用いた場合にはこれをベルト帯電ローラ63と称する。ベルト帯電ローラ63は、中間転写ベルトの回転方向において二次転写部よりも下流側で、且つ一次転写部より上流側に設けられる。実施例4のベルト帯電手段60は、中間転写ベルト16上の二次転写残トナーをトナーの帯電極性とは逆極性に帯電させるためのベルト帯電ローラ63と、ベルト帯電ローラ63にバイアスを印加する高圧電源とで構成される。ここで、より効果的に転写同時クリーニングを行うために、中間転写ベルト16と摺擦することで中間転写ベルト16上の付着物を塞き止めるための摺動部材をベルト帯電ローラ63よりも、中間転写ベルト16の移動方向の上流側に設けても良い。摺動部材には、耐磨耗性に優れた繊維をブラシ状にしたものが適している。
【0063】
二次転写ローラ90とベルト帯電手段60はそれぞれ不図示の当接離間機構を有しており、任意のタイミングで二次転写ローラ90とベルト帯電手段60をそれぞれ中間転写ベルト16と当接・離間状態にすることが可能である。
【0064】
次に本実施例における画像形成動作について説明する。まず、感光体ドラム2を、中間転写ベルト16の回転と同期させて、図6の矢印β方向(反時計回り)に回転させる。この時、2次転写ローラ90と中間転写ベルト16、ベルト帯電手段60と中間転写ベルト16とはそれぞれ離間状態にある。そして、実施例1と同様に画像形成プロセス、一次転写に移る。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で画像形成プロセスならびに一次転写が終了した後、二次転写が開始される前に、中間転写ベルト16の5周目の動作が行われる。転写同時クリーニング方式を用いた時の画像形成からのタイミングチャートを図8に示す。実施例1と同様に、第4ステーションのブラックが一次転写し終えたタイミングをS1とする。
【0065】
転写同時クリーニング方式を採用した場合、S1以降では、実施例1と同じように5周目に所望の帯電、一次転写バイアスを印加する。二次転写が開始される前に、二次転写ローラ90ならびにベルト帯電ローラ63を当接させる(S2)。このタイミングは、5周目での中間転写ベルト16上の画像の先端が、二次転写部に到達する直前である。
【0066】
その後、二次転写を行うために二次転写バイアスを印加し、二次転写を行う(S3)。二次転写を行った後に、中間転写ベルト16上に残存した二次転写残トナーは、ベルト帯電ローラ63で正帯電させられる(S4)。正帯電された二次転写残トナーは、中間転写ベルト16に移動により感光体ドラム2(一次転写部)に到達する。ここで、一次転写部と接触する感光体ドラム2表面は帯電ローラ3によって帯電された面が到達している必要がある。この時の帯電バイアスは、画像形成時と同じであり、感光体ドラム2表面を負極性に帯電させるものである。これは、一次転写部で正極性に帯電した二次転写残トナーを感光ドラム1に移動するような電界を形成するためである。先に説明したように、5周目のベルト上のトナーが帯電部に到達した時には、帯電ローラ3は放電しないようなバイアスとなっている。そのため、所定のタイミングで、転写同時クリーニングを実行するためのバイアスが帯電ローラ3に印加される(S5)。
【0067】
実施例4においては、感光体ドラム2上の帯電ローラ3から一次転写部までの距離が57mmとした。したがって、負極性の帯電バイアスを印加開始した後、少なくとも、57mm分は負極性に帯電されていない感光体ドラム2表面が一次転写部を通過する。この57mmの領域が1次転写部に存在する時に、二次転写残トナーが一次転写部に到達していると、一次転写コントラストが狭い。そのために、効率良く二次転写残トナーを感光体ドラム2上に回収する事が出来ない。よって、二次転写残を回収するために、帯電バイアスを印加するタイミングS5は、二次転写された後にベルト上に残ったトナー像の先端位置が1次転写部に到達する前である。
【0068】
図7において、ベルト帯電手段60から一次転写部までのγ方向の距離は132mmである(矢印βの方向とは逆向きをγ方向とする)。
したがって、ベルト帯電手段60によって、正に帯電された二次転写残トナーが、一次転写部に到達するまでの距離が132mmという事になる。時間にして約1.2秒である。二次転写残トナーが一次転写部に到達した時には、感光体ドラム2表面は負に帯電されている必要がある。帯電ローラ3に印加されるバイアスを変更するタイミングは、帯電ローラ3から一次転写部までの距離である57mm、時間にして約0.5秒を考慮する必要がある。したがって、ベルト帯電ローラ63により正帯電したトナーが、ベルト帯電ローラ63の位置を通過してから、約0.7秒を経過する前に帯電バイアスは感光体ドラム2を負に帯電するようなバイアスに変更する事が望ましい。
【0069】
また、帯電バイアスを印加し、負に帯電された感光体ドラム1表面が一次転写に到達した時に、中間転写ベルト16上のトナー像の後端は既に一次転写部を通過している状態とする。
【0070】
二次転写を終了した時点で、中間転写ベルトの速度を、メインモータにより特殊紙用(2/5速)から普通紙と同様のスピード(1/1速)に切り替え、一次転写バイアスを画像形成中のバイアスに戻し、二次転写バイアスをOFFにする(S6)。
【0071】
二次転写終了後、二次転写残トナーを正帯電させていたベルト帯電ローラ63には負帯電のトナーが二次転写残トナーが回収されている。そのトナーを吐き出すために、ベルト帯電ローラに印加するバイアスを、正バイアスから負バイアスに切り替える(S7)。S7後、負に帯電された二次転写残トナーを効率良く回収するためには、負に帯電された二次転写残トナーが一次転写部に到達した時、感光ドラム1表面電位は、0に近い事が望ましい。そのために、帯電バイアスを印加からOFFに切り替える。このタイミングS8は、ベルト帯電ローラ63から吐き出されたトナーが一次転写に到達するまでの時間(約1.2秒)と、帯電ローラ3のバイアスを切り替えてから、その感光ドラム1表面が一次転写部に到達するまでの時間、約0.5秒を考慮する。即ち、ベルト帯電ローラ63からトナーが吐き出されてから約0.7秒(約1.2秒−約0.5秒)を経過するまでの間に帯電バイアスはOFFにしておく必要がある。負バイアスによって二次転写残トナーを吐き出した後、感光ドラム1に移動しなかったトナーも一部存在する。そこで、回収されなかったトナーをベルト帯電ローラ63で再び正に帯電させるようにする。そのため、ベルト帯電ローラ63に印加されるバイアスは、負バイアスから正バイアスに切り替えられる(S9)。ここで、効率良く二次転写残トナーを回収させるために、帯電ローラに再度負のバイアスを印加して、感光体ドラム2を負極性に帯電する。S5のタイミングと同様の思想で、ベルト帯電ローラ63に負バイアスから正バイアスに切り替えたタイミングから、約0.7秒後までに再度帯電バイアスを印加する。この動作によって、転写同時クリーニングに伴う、ICLクリーニング動作が完了する。
【0072】
〔その他〕
なお、上記実施例では、ロータリー102を用いて複数の現像装置を順次感光体ドラム2に対向させて現像を行う、所謂ロータリー型の画像形成装置で説明を行った。それ以外にも、複数の感光体ドラム2にトナー像を形成し、中間転写ベルト16に順次画像を転写する所謂タンデム型の画像形成装置であっても適用可能である。タンデム型の場合、中間転写ベルト16の最下流側の感光体ドラム2との1次転写部と二次転写部との距離よりも、トナー像の送り方向長さが長い場合に、トナー像がのった状態で2次転写を行わず、中間転写ベルトをもう一周回す動作を行なうことになる。
【符号の説明】
【0073】
2 感光体ドラム
3 帯電ローラ
4 レーザー光学装置
5 一次転写ローラ
7 クリーニング装置
16 中間転写ベルト
20 現像装置
61 転写クリーニング装置
71 クリーニングブレード
90 二次転写ローラ
S 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電手段と、
前記像担持体に形成されたトナー像を転写される中間転写体と、
前記像担持体に担持されたトナー像を一次転写部において前記中間転写体に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体に転写されたトナー像を二次転写部において被転写体に二次転写する二次転写手段と、を備え、
前記一次転写部において前記像担持体から前記中間転写体にトナー像が転写されることなく、前記中間転写体に形成されたトナー像が一次転写部を通過するモードを備える画像形成装置であって、
前記モードにおいて、前記トナー像が前記一次転写部を通過している時に、前記一次転写部を通過した前記像担持体の領域を第一の領域として、
前記第一の領域が前記帯電手段の位置に到達した時に、前記像担持体と前記帯電手段との間で放電を起こさないように前記帯電手段に印加する電圧を制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第一の領域が前記帯電手段の位置に到達した時に、前記帯電手段に印加される電圧は、前記像担持体の電位よりも絶対値で低い電圧であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一の領域が前記帯電手段の位置に到達した時に、前記帯電手段には電圧を印加しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記モードをユーザーにより選択可能にする、モード選択手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
被転写体の種類を検知する被転写体検知手段を備え、
前記被転写体検知手段の検知結果に応じて前記モードが選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記被転写体検知手段の検知結果により、被転写体が厚紙であると判断された時に、前記モードが選択されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記モードにおいて、一次転写部を通過したトナー像は二次転写手段により被転写体に転写され、
前記中間転写体の回転方向において二次転写部よりも下流側で、且つ一次転写部より上流側に、中間転写体の上のトナーを帯電するためのトナー帯電手段を備え、
前記トナー帯電手段は、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧を印加されて、二次転写された後のトナーを帯電し、
前記トナー帯電手段により帯電されたトナーは、前記一次転写部において前記像担持体に移動して前記像担持体のクリーニング手段により回収され、
前記制御手段は、トナー帯電手段により帯電された後のトナーの先端が一次転写部に到達するよりも前に、前記帯電手段によりトナーの帯電極性と同極性に帯電した前記像担持体の領域が一次転写部に到達するように、前記帯電手段に印加する電圧を、放電しないような電圧から前記トナーの帯電極性と同極性に帯電させる電圧に変更させることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−42802(P2012−42802A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185089(P2010−185089)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】