説明

画像形成装置

【課題】接点バネの弾発力に抗して行うサブユニットのユニットへの取付を、部品を追加することなく、効率良く行うことを可能とする。
【解決手段】本発明の画像形成装置1は、ユニット25には、第1の係合部44及び第2の係合部32が設けられ、サブユニット20には、第1の被係合部70及び第2の被係合部58が設けられ、第1の係合部44と第1の被係合部70を係合させると、サブユニット20の前後方向の変位が規制されるとともにサブユニット20が回転可能となり、サブユニット20を回転させて第2の係合部32と第2の被係合部58とを係合させると、サブユニット20の左右方向の変位及びユニット25から離間する方向の回転が規制され、接点バネであるコイルスプリング41の弾性力で第2の被係合部58が第2の係合部32に圧接されて、サブユニット20の上下方向の変位が規制されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ・複写機・ファクシミリやこれらを機能的に備えた複合機等のいわゆる電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、画像形成処理を行うためのユニット及びこのユニットに組み付けられるサブユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ・複写機・ファクシミリやこれらを機能的に備えた複合機等のいわゆる電子写真方式の画像形成装置においては、中間転写ユニットのような画像形成処理を行うためのユニットに、クリーニングユニットのような補助的な機能を持つユニット(以下、「サブユニット」と称す。)を組み付ける構成が採用されている。また、上記のユニットとサブユニットの電気的な接続が必要とされる場合には、ユニットに設けられた導電性の接点バネを、サブユニットに設けられた導電性の接点に圧接させる構成が用いられている。このようなバネを用いた接点の例として、特許文献1に示すようなものが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−41610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユニットの接点バネをサブユニットの接点に圧接させると、接点バネが接点を押圧し、サブユニットをユニットから分離する方向に荷重がかかる。そのため、サブユニットをユニットに対して組み付ける際には、上記した分離方向の荷重に抗してサブユニットを適切な位置に保持しつつ作業を行わなければならず、組付作業が困難になるという問題が生じていた。また、例えば、サブユニットのユニットへの最終的な固定をビス等の別部品にて行う場合には、別部品を取り付けるまでサブユニットを適切な位置に仮保持することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、接点バネから接点への荷重に抗して行うサブユニットのユニットへの取付を、部品を追加することなく、効率良く行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、画像形成処理を行うためのユニット及び該ユニットに組み付けられるサブユニットを備え、前記ユニットに設けられた接点バネを前記サブユニットに設けられた接点に当接させることにより前記ユニットと前記サブユニットの電気的な接続を行う画像形成装置であって、前記ユニットには、第1の係合部及び第2の係合部が設けられ、前記サブユニットには、前記第1の係合部と係合可能な第1の被係合部と、前記第2の係合部と係合可能な第2の被係合部と、が設けられ、前記第1の係合部と前記第1の被係合部を係合させると、前記サブユニットの前記ユニットに対する前後方向の変位が規制されるとともに、前記第1の係合部と前記第1の被係合部の係合箇所を支点として前記サブユニットが前記ユニットに対して回転可能となり、前記サブユニットを回転させて前記第2の係合部と前記第2の被係合部とを係合させると、前記ユニットに対する前記サブユニットの左右方向の変位及び前記ユニットから離間する方向の前記サブユニットの回転が規制されるとともに、前記接点バネの弾性力で前記第2の被係合部が前記第2の係合部に圧接されて、前記サブユニットの前記ユニットに対する上下方向の変位が規制されることを特徴とする。
【0007】
また、前記第1の係合部と前記第1の被係合部は、一方を係合溝とし、他方を該係合溝に挿入可能な突起とし、前記第2の係合部と前記第2の被係合部は、一方を嵌合穴とし、他方を該嵌合穴に嵌合可能なボスとしても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置は、接点バネから接点への荷重に抗して行うサブユニットのユニットへの取付を、部品を追加することなく、効率良く行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の内部を示す側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において、中間転写ユニットの分解斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において、中間転写ユニットの斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において、中間転写ユニットの平面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において、ボス及び嵌合穴の形状を示す正面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において、本体フレームを示す正面側からの斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において、配線板を示す背面側からの斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において、クリーニングユニットを回転させる前の状態を示す断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において、クリーニングユニットを回転させた後、嵌合穴をボスの上面に当接させる前の状態を示す断面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において、嵌合穴をボスの上面に当接させた状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置において、ボスと嵌合穴の嵌合部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタについて、図1〜図12を参照して説明する。以下、図1における手前側の面を、カラープリンタの前面とした場合について説明する。なお、図2では図面左側がカラープリンタの前側に対応しているが、図3〜図6及び図10〜図12では、図面右側がカラープリンタの前側に対応しており、図2と図3〜図6及び図10〜図12では各部材の位置関係が左右反転している。また、図10〜図12は、図5のB−B線断面を基準としている。
【0011】
まず、図1及び図2を用いて、カラープリンタ1の全体の構成について説明する。カラープリンタ1は、直方体形状のプリンタ本体2の内部に、プリンタ本体2の下部に設けられてプリンタ本体2の前面から引き出し可能な給紙トレイ3と、給紙トレイ3内に配置された給紙カセット4と、プリンタ本体2の前面に開閉可能に取り付けられた手差しトレイ5と、給紙カセット4又は手差しトレイ5にセットされた転写紙が搬送される搬送経路6と、給紙カセット4にセットされた転写紙を搬送経路6に供給する給紙部7と、手差しトレイ5にセットされた転写紙を搬送経路6に供給する手差し給紙部8と、補給用トナーを収納した複数のトナーコンテナ10と、この複数のトナーコンテナ10の下方に配置された中間転写ベルト11と、中間転写ベルト11の下方に配置された複数の感光体ドラム12と、各感光体ドラム12の表面を所定の電圧に帯電させる複数の帯電器17と、各帯電器17によって帯電させた各感光体ドラム12の表面にビーム光束を出射して、所定の静電潜像を形成する露光器13と、露光器13が形成した静電潜像をトナーによりトナー像に現像する複数の現像器14と、そのトナー像を各感光体ドラム12と協働して中間転写ベルト11に一次転写する複数の一次転写ローラ15と、感光体ドラム12の表面に残留したトナーを除去する複数のクリーニングデバイス16と、感光体ドラム12の電荷を除去する複数の除電デバイス(図示せず)と、一次転写ローラ15により一次転写されたトナー像を、搬送経路6の中途部において中間転写ベルト11から転写紙に二次転写する二次転写ローラ18と、二次転写後に中間転写ベルト11の表面に残留したトナーを除去するクリーニングユニット20と、転写紙に二次転写したトナー像を搬送経路6の下流側において転写紙に定着させる定着手段21と、搬送経路6の下流端に設けられてトナー像が定着された転写紙を排出する排出口22と、定着済みの転写紙を両面印刷のために搬送経路6の上流側へと反転搬送する反転経路23と、を備えている。なお、中間転写ベルト11、一次転写ローラ15及びクリーニングユニット20を含む中間転写ユニット24の構成については、後述する。
【0012】
上記の構成において、カラープリンタ1に電源が投入されると、各種パラメータが初期化され、定着手段21の温度設定を行うなどの初期設定が実行される。そして、カラープリンタ1に接続されたコンピュータ等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0013】
まず、各帯電器17によって各感光体ドラム12の表面が帯電された後、各露光器13により各感光体ドラム12に対して画像データに対応した露光が行われ、各感光体ドラム12に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、各現像器14がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、トナーの極性と逆極性(−)の電圧を各一次転写ローラ15に印加することにより、中間転写ベルト11に一次転写される。以上の動作を各色ごとに順次繰り返すことによって、中間転写ベルト11上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0014】
このフルカラーのトナー像は、二次転写ローラ18にトナーと逆極性(−)の電圧を印加することにより、搬送経路6を通って二次転写ローラ18に搬送されてきた転写紙に二次転写される。この転写紙に二次転写されたフルカラーのトナー像は、定着手段21で転写紙に定着され、トナー像が定着した転写紙が、排出口22から排出される。また、二次転写ローラ18での二次転写の完了後、中間転写ベルト11の表面に残留したトナーは、クリーニングユニット20によって除去される。
【0015】
次に、主に図3〜図7を用いて、本実施形態の中間転写ユニット24の構成について説明する。中間転写ユニット24は、平面視長方形状のユニットとしてのベルトユニット25と、このベルトユニット25の前端部に取り付けられるサブユニットとしてのクリーニングユニット20と、を備えている。
【0016】
図6に最も良く示されているように、ベルトユニット25は、底面が開口された空洞状のベルト保持部材27と、このベルト保持部材27の前端部の左右方向に軸支される従動ローラ28と、ベルト保持部材27の後端部の左右方向に軸支される駆動ローラ30と、従動ローラ28及び駆動ローラ30に巻き掛けられてベルト保持部材27の内部に水平に支持される無端状の中間転写ベルト11と、ベルト保持部材27内の下部に中間転写ベルト11と当接するように等間隔で複数個設けられた一次転写ローラ15と、を備えている。
【0017】
図3に最も良く示されているように、ベルト保持部材27の前端部には、左右方向に長い平板状の前端板31が、鉛直姿勢で固定されている。前端板31の前面の左端部及び右側部には、円柱状の第2の係合部としてのボス32a、32bが前方に向かって突設されている。また、ボス32a、32bの内側部分の前端板31には、ビス穴34a、34bが前面から後面まで穿設されており、左側のビス穴34aの内側部分の前端板31には、4個の挿通穴35が、左右方向に沿って等間隔に穿設されている。
【0018】
前端板31のボス32a、ビス穴34a及び4個の挿通穴35を設けた部分の後方には、前端板31で前面を覆われるようにして、収納体36が取り付けられている。収納体36は、上面及び背面を被覆する段差状のカバー37と、このカバー37の両側に設けられる両側板38と、により構成されている。図6に示されるように、収納体36の内部の空間には、各挿通穴35の後方位置にそれぞれ収納空間40が設けられており、各収納空間40には、高圧又はGNDの接点バネとしてのコイルスプリング41が、前方に向かって僅かに下方に傾斜した姿勢で配置されている。各コイルスプリング41の前端部は、前端板31の各挿通穴35を介して前端板31の前方に突出している。各コイルスプリング41の後端部は、線材42を介して各一次転写ローラ15の左端部と接続されている(図5参照)。
【0019】
ベルト保持部材27の前端部には、前端板31の左右に突出片43が前方に向かって突設されている。各突出片43の底面の前部には、上部を湾曲させたU字状の第1の係合部としての係合溝44が設けられており、左側の突出片43の係合溝44の後方には、上方に向かって半円弧状に湾曲する挿入溝45が設けられている。ベルト保持部材27の上面には、左右方向に複数のコンテナ載置部46が設けられており、各コンテナ載置部46に各色のトナーコンテナ10を載置可能となっている。
【0020】
中間転写ベルト11は、ベルトユニット25をカラープリンタ1内に装着した状態で、各感光体ドラム12の上端が中間転写ベルト11の下面に当接するように設けられている。
【0021】
各一次転写ローラ15は、各感光体ドラム12の上方に、中間転写ベルト11を挟んで設けられている。各一次転写ローラ15の上方には押圧スプリング47が設けられており、この押圧スプリング47により、各一次転写ローラ15が下方に押圧されている。これにより、各一次転写ローラ15の下方の中間転写ベルト11が下方に押圧されて各感光体ドラム12に圧接し、各感光体ドラム12と中間転写ベルト11の間に一次転写ニップ48が形成されている。
【0022】
図6に最も良く示されるように、クリーニングユニット20は、後面が開口された横長形状のケーシング50と、このケーシング50の下部後側の左右方向に、中間転写ベルト11と当接するように設けられたファーブラシ51と、このファーブラシ51の上部前方にファーブラシ51と当接するように設けられた金属ローラ52と、この金属ローラ52の上部前方に金属ローラ52と当接するように設けられたクリーニングブレード53と、このクリーニングブレード53の下方に設けられたトナー回収スクリュー54と、を備えている。
【0023】
ケーシング50の上端部には、ベルトユニット25の前端板31と対応する位置に、上端板55が設けられている。上端板55は、略鉛直方向に設けられた下側部分56と、上方に向かって僅かに前方に傾斜するように設けられた上側部分57と、を備えている(図10、図11参照)。上端板55の下側部分56の左端部及び右側部には、ベルトユニット25の各ボス32a、32bと対応する位置に、第2の被係合部としての嵌合穴58a、58bが穿設されている。図7(a)に示されるように、嵌合穴58aは、左右方向の幅がボス32aと略同一であり、縦長な長円状を成している。図7(b)に示されるように、嵌合穴58bは、左右方向の幅がボス32bよりも大きく、正円状を成している。各嵌合穴58a、58bの内側部分の上端板55には、ベルトユニット25のビス穴34と対応する位置に貫通穴60が穿設されている。
【0024】
上端板55の上側部分57には、ベルトユニット25の前端板31の4個の挿通穴35と対応する位置に4個の穴61が設けられており、ケーシング50の前面側には、4個の穴61を覆うようにして連結体62が取り付けられている。連結体62の内部には、各穴61の後方部分にそれぞれ配置空間63が設けられており、各配置空間63は、連結体62の上下方向に設けられた複数の仕切板64によって相互に仕切られている。各配置空間63の下端には、位置決め突起65が前方に向かって突設されている(図10〜図12参照)。
【0025】
各配置空間63内には、板バネ67が上下方向に配置されている。各板バネ67の上端部は、各穴61に挿通されて上端板55の背面側に位置しており、この上端板55の背面側の板バネ67には、平板状の第1接点68が形成されている。第1接点68は、上端板55の上側部分57の背面に当接されており、クリーニングユニット20をベルトユニット25に対して取り付けた状態で、コイルスプリング41の先端が第1接点68に当接するように設けられている。また、各板バネ67には鉛直方向に沿って下方に延伸して第2接点66が形成されており、その下部で位置決め突起65に嵌合して固定されている。
【0026】
ケーシング50の左右両端面には、ベルトユニット25のU字状の係合溝44と対応する位置に、円柱状の第1の被係合部としての突起70が設けられている。各突起70は、その前後方向の幅を、係合溝44の前後方向の幅と略同一としている。
【0027】
中間転写ユニット24の前方には、配線板71が配置されている。図8に最も良く示されているように、配線板71は、プリンタ本体2の本体フレーム72の前面に鉛直姿勢で固定されている。この配線板71には、クリーニングユニット20に設けられた各板バネ67の第2接点66と対応する位置に基板側出力接点73が設けられている(図9参照)。各基板側出力接点73は、各線材を凸形状に屈曲させて配線板71の背面から突出している。各基板側出力接点73を構成する線材は、配線板71に沿って配線され、他端側はコイルスプリング形状となっており、本体フレーム72の右側面の上部に取り付けられた高圧基板74上に形成された高圧出力端子に接続する基板側入力接点77がそれぞれ形成されている。高圧基板74は、高圧基板74の下方に設けられた電源基板75と、図示しない配線を介して接続されている。
【0028】
ベルトユニット25とクリーニングユニット20が一体化された中間転写ユニット24は、本体フレーム72に対して上方の開口部から着脱される。中間転写ユニット24を本体フレーム72に装着すると、駆動ローラ30およびクリーニングユニット20の駆動部材が本体フレーム72に設けられた駆動手段と連結し、クリーニングユニット20に設けられた第2接点66が配線板71の基板側出力接点73と接触する。これにより、中間転写ユニット24に駆動力と高圧電力を供給して適切に動作させることが可能である。
【0029】
次に、ベルトユニット25に対してクリーニングユニット20を取り付ける方法について、主に図10〜図12を用いて説明する。
【0030】
まず、ベルトユニット25に対してクリーニングユニット20を接近させる。そして、ベルトユニット25の挿入溝45にクリーニングユニット20の金属ローラ52の両端部を下方から挿入しつつ、図10に示されるように、ベルトユニット25の係合溝44にクリーニングユニット20の突起70を下方から係合させ、突起70を係合溝44の上端部に当接させる。このように突起70を係合溝44に係合させると、クリーニングユニット20のベルトユニット25に対する前後方向の変位が規制されて、前後方向の位置決めがなされる。また、突起70と係合溝44の係合箇所を支点としてクリーニングユニット20がベルトユニット25に対して回転可能となる。
【0031】
次に、図10に矢印で示されるように、突起70と係合溝44の係合箇所を支点として、クリーニングユニット20をベルトユニット25側に回転させる。これにより、図11に示されるように、ボス32a、32bが嵌合穴58a、58bに嵌合する。このようにボス32a、32bと嵌合穴58a、58bを嵌合させると、クリーニングユニット20のベルトユニット25に対する左右方向の変位が規制されて、左右方向の位置決めがなされる。同時に、コイルスプリング41が第1接点68に圧接し、ベルトユニット25とクリーニングユニット20の電気的な接続が可能となる。なお、このようにコイルスプリング41を第1接点68に圧接させた状態では、コイルスプリング41によりクリーニングユニット20がベルトユニット25から離間する方向に押圧されている。
【0032】
この状態で、クリーニングユニット20から手を離すと、図12に示す如く、クリーニングユニット20が自重により下方に変位する。これに伴って、突起70が係合溝44内において下方に変位するとともに、嵌合穴58a、58bがボス32a、32bに対して下方に変位し、ボス32a、32bの上面33a、33bに嵌合穴58a、58bの上端部が当接する。これにより、嵌合穴58a、58bの内周部分のクリーニングユニット20がボス32a、32bによって係止され、ベルトユニット25から離間する方向へのクリーニングユニット20の回転が規制される。
【0033】
また、嵌合穴58a、58bの内周部分のクリーニングユニット20に対して、ボス32a、32bの上面33a、33bに食い込む方向(本実施形態では斜め下方向)にコイルスプリング41の弾性力が作用し、嵌合穴58a、58bがボス32a、32bの上面33a、33bに圧接される。これにより、クリーニングユニット20のベルトユニット25に対する上下方向の変位が規制され、クリーニングユニット20がベルトユニット25に対して仮保持状態となる。
【0034】
そして、この仮保持状態で、貫通穴60及びビス穴34a、34bにビス69を貫挿させ、電気ドライバーで締め付ける。これにより、クリーニングユニット20がベルトユニット25に対して完全に固定される。なお、クリーニングユニット20をベルトユニット25から取り外す際には、ビス69を取り外した後、クリーニングユニット20を少し持ち上げて、ボス32a、32bの上面33a、33bを嵌合穴58a、58bの上端部から分離させ、取付の際とは逆方向にクリーニングユニット20を回転させれば良い。
【0035】
上記のような方法で、ベルトユニット25の対するクリーニングユニット20の取付が完了した中間転写ユニット24を本体フレーム72に上方から取り付けて、クリーニングユニット20に固定された板バネ67の第2接点66と配線板71の基板側出力接点73を当接させる。これにより、電源基板75から供給される電力を、高圧基板74、配線板71、クリーニングユニット20の板バネ67、ベルトユニット25のコイルスプリング41、及びベルトユニット25の線材42を介して、各一次転写ローラ15に供給することが可能となる。
【0036】
本実施の形態では上述の如く、係合溝44と突起70を係合させてクリーニングユニット20をベルトユニット25側に回転させるだけで、前後上下左右の各方向におけるクリーニングユニット20のベルトユニット25に対する変位と、クリーニングユニット20から離間する方向へのベルトユニット25の回転とを規制し、クリーニングユニット20をベルトユニット25に仮保持させることができる。従って、コイルスプリング41から第1接点68への荷重に抗して行うクリーニングユニット20のベルトユニット25への取付を、新たな部品を追加することなく、簡易な方法により効率良く行うことが可能となる。
【0037】
また、係合溝44と突起70の係合により、クリーニングユニット20とベルトユニット25の前後方向の位置決めがなされ、ボス32a、32bと嵌合穴58a、58bの係合により、クリーニングユニット20とベルトユニット25の左右方向の位置決めがなされる。そのため、クリーニングユニット20のベルトユニット25に対する位置決めを別途行う必要が無く、クリーニングユニット20のベルトユニット25に対する取付作業の作業性を向上させることが可能となる。
【0038】
なお、上述したクリーニングユニット20のベルトユニット25への取付を円滑に行うためには、各突起70と係合溝44の係合位置は、嵌合穴58a、58bとボス32a、32bの係合位置よりも後方に位置するのが好ましい。また、本実施の形態では、コイルスプリング41で第1接点68を斜め下方に押圧しているが、他の異なる実施形態では、コイルスプリング41で第1接点68を水平方向に押圧することも可能である。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、ボス32a、32bを横向きの円柱状としたが、第2の実施形態では、図13に示す如く、ボス32a、32bの上面33a、33bの先端部に、上方に向かって突出する係止片76を設けてボス32a、32bを断面L字型に形成している。このような構成を採用することにより、ボス32a、32bと嵌合穴58a、58bの嵌合状態を、一層確実に保持することが可能となる。
【0039】
なお、第1、第2の実施形態では、ベルトユニット25にボス32a、32bを設け、クリーニングユニット20に嵌合穴58a、58bを設けたが、他の異なる実施形態では、これとは逆に、ベルトユニット25に嵌合穴58a、58bを設け、クリーニングユニット20にボス32a、32bを設けることもできる。また、第1、第2の実施形態では、ベルトユニット25に係合溝44を設け、クリーニングユニット20に突起70を設けたが、他の異なる実施形態では、これとは逆に、ベルトユニット25に突起70を設け、クリーニングユニット25に係合溝44を設けることも可能である。
【0040】
また、第1、第2の実施形態では、メインユニットとしてベルトユニット25、サブユニットとしてクリーニングユニット20を用いる場合について説明したが、メインユニットとサブユニットの組み合わせはこれに限定されず、画像形成装置内に配置されるあらゆる部材を、メインユニット又はサブユニットとすることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
20 クリーニングユニット(サブユニット)
25 ベルトユニット(ユニット)
32 ボス(第2の係合部)
41 コイルスプリング(接点バネ)
44 係合溝(第1の係合部)
58 嵌合穴(第2の被係合部)
68 第1接点
70 突起(第1の被係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成処理を行うためのユニット及び該ユニットに組み付けられるサブユニットを備え、前記ユニットに設けられた接点バネを前記サブユニットに設けられた接点に当接させることにより前記ユニットと前記サブユニットの電気的な接続を行う画像形成装置であって、
前記ユニットには、第1の係合部及び第2の係合部が設けられ、
前記サブユニットには、前記第1の係合部と係合可能な第1の被係合部と、前記第2の係合部と係合可能な第2の被係合部と、が設けられ、
前記第1の係合部と前記第1の被係合部を係合させると、前記サブユニットの前記ユニットに対する前後方向の変位が規制されるとともに、前記第1の係合部と前記第1の被係合部の係合箇所を支点として前記サブユニットが前記ユニットに対して回転可能となり、
前記サブユニットを回転させて前記第2の係合部と前記第2の被係合部とを係合させると、前記ユニットに対する前記サブユニットの左右方向の変位及び前記ユニットから離間する方向の前記サブユニットの回転が規制されるとともに、前記接点バネの弾性力で前記第2の被係合部が前記第2の係合部に圧接されて、前記サブユニットの前記ユニットに対する上下方向の変位が規制されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の係合部と前記第1の被係合部は、一方を係合溝とし、他方を該係合溝に挿入可能な突起とし、
前記第2の係合部と前記第2の被係合部は、一方を嵌合穴とし、他方を該嵌合穴に嵌合可能なボスとすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−47977(P2012−47977A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190077(P2010−190077)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】