説明

画像形成装置

【課題】異常放電エネルギーを抑制しつつ、回路構成の簡素化を実現する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、放電ワイヤ42およびグリッド43を有し、感光体44を帯電させる帯電器41と、グリッド電流Igを検出するグリッド電流検出部80と、制御部51と、帯電器41に発生する異常放電を検出する異常放電検出部70と、異常放電エネルギーを抑制するための抑制抵抗67とを備える。抑制抵抗67は、第1端子67aおよび第2端子67bを有し、第1端子67aがグリッド43に接続され、第2端子67bがグリッド電流検出部80および異常放電検出部70の少なくとも一方に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、詳しくは画像形成装置において異常放電の影響を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、異常放電である火花放電の影響を抑制する技術として、例えば、特許文献1には、転写シートと感光体間の火花放電の発生を抑制する抵抗を設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−005773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術文献に開示されたような抵抗は、放電ワイヤおよびグリッドを有する帯電器、すなわち、スコロトロン帯電器においてワイヤ汚れ等により生じる異常放電を検出する回路をグリッドに接続する構成においても採用することができ、異常放電エネルギーを抑制することができる。
【0005】
本発明は、従来技術からさらに一歩踏み込み、帯電器のグリッドに異常放電検出回路を接続する構成において、異常放電エネルギーを抑制しつつ、回路構成の簡素化を実現する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る画像形成装置は、感光体と、放電ワイヤおよびグリッドを有し、前記感光体を帯電させる帯電器と、帯電電圧を生成し、前記帯電電圧を前記帯電器の放電ワイヤに印加する印加回路と、前記グリッドに流れるグリッド電流を検出するグリッド電流検出部と、前記グリッド電流検出部による検出値に基づいて、前記グリッド電流が一定となるように前記印加回路を制御する制御部と、前記スコロトロン帯電器に発生する異常放電を検出する異常放電検出部と、第1端子および第2端子を有し、異常放電エネルギーを抑制するための抑制抵抗であって、前記第1端子が前記グリッドに接続され、前記第2端子が前記グリッド電流検出部および前記異常放電検出部の少なくとも一方に接続される抑制抵抗とを備える。
【0007】
本構成によれば、帯電器に火花放電等の異常放電が発生した場合、異常放電エネルギーを消費して放電エネルギーを低下させる(抑制する)ための抑制抵抗がグリッド側に接続される。グリッド電圧の定電圧化等を考慮すると、抑制抵抗を帯電器の放電ワイヤ側(印加回路と帯電器の間)に設けることも考えられる、しかしながら、帯電電圧はグリッド電圧と比べてかなり電圧が高いため、グリッド側に抑制抵抗を設ける方が、耐電圧が低く、より小型の抵抗を使用することができる。また、帯電電圧が抑制抵抗の電圧降下によって低下することもない。すなわち、帯電器のグリッドに異常放電検出部を接続する構成において、異常放電エネルギーを抑制しつつ、回路構成の簡素化を好適に実現することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の画像形成装置において、前記抑制抵抗の前記第2端子は、前記異常放電検出部および前記グリッド電流検出部に接続される。
本構成によれば、抑制抵抗が、グリッドと異常放電検出部およびグリッド電流検出部との間に接続される構成となる。そのため、異常放電検出部およびグリッド電流検出部に対して印加される電圧を低減することができる。そのため、異常放電検出部およびグリッド電流検出部において、耐電圧が低く、より小型の電気部品を使用できる。
【0009】
第3の発明は、第2の発明の画像形成装置において、前記異常放電検出部は異常放電に起因する異常放電電流を受け取るカップリングコンデンサを含み、前記グリッド電流検出部は、分圧素子と、前記分圧素子の一端とグランドとの間に接続されるグリッド電流検出抵抗とを含み、前記抑制抵抗の前記第2端子は前記異常放電検出部のカップリングコンデンサおよび前記グリッド電流検出部の分圧素子に接続される。
本構成によれば、抑制抵抗をグリッド電流検出部のさらなる分圧素子として兼用できるので、グリッド電流検出部を構成する分圧素子として耐電圧の低い分圧素子、例えば、分圧抵抗を使用することができる。また、グリッド電圧が抑制抵抗とカップリングコンデンサによって分圧されるため、カップリングコンデンサにかかるストレス(電圧負荷)が低減される。
【0010】
第4の発明は、第3の発明の画像形成装置において、前記分圧素子は定電圧素子によって構成され、前記定電圧素子と前記グリッド電流検出抵抗との接続点において前記グリッド電流が検出される。
本構成によれば、グリッド電流を定電流制御しつつ、定電圧素子によってグリッド電圧をある程度(抑制抵抗による影響の範囲内で)、定電圧化することができる。
【0011】
第5の発明は、第1の発明の画像形成装置において、前記抑制抵抗の第1端子は前記グリッドおよび前記グリッド電流検出部に接続され、前記抑制抵抗の前記第2端子は前記異常放電検出部に接続される。
本構成によれば、グリッド電流検出部に影響をほとんど与えずに、抑制抵抗をグリッド側に設けることができる。
【0012】
第6の発明は、第5の発明の画像形成装置において、前記異常放電検出部は異常放電に起因する異常放電電流を受け取るカップリングコンデンサを含み、前記抑制抵抗の前記第2端子は前記カップリングコンデンサに接続される。
【0013】
本構成によれば、グリッド電圧が抑制抵抗とカップリングコンデンサによって分圧されるため、カップリングコンデンサにかかるストレス(電圧負荷)が低減される。
【0014】
第7の発明は、第1の発明の画像形成装置において、前記異常放電検出部は異常放電に起因する異常放電電流を受け取るカップリングコンデンサを含み、前記グリッド電流検出部は、分圧素子と、前記分圧素子の一端とグランドとの間に接続されるグリッド電流検出抵抗とを含み、前記抑制抵抗の前記第2端子は前記グリッド電流検出部の前記分圧素子の他端に接続され、前記分圧素子の一端と前記グリッド電流検出抵抗との接続点において前記グリッド電流が検出されるとともに、前記接続点に前記カップリングコンデンサが接続される。
本構成によれば、カップリングコンデンサを、グリッド電流を平均化するグリッド電流検出部のコンデンサとして共通化することができるので、グリッド電流検出部のコンデンサを削減でき、回路構成をより簡素化できる。
【0015】
第8の発明は、第7の発明の画像形成装置において、前記分圧素子は定電圧素子によって構成される。
本構成によれば、グリッド電流を定電流制御しつつ、定電圧素子によってグリッド電圧を、ある程度(抑制抵抗による電圧降下の影響下で)、定電圧化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係るプリンタの内部構成を表す概略断面図
【図2】実施形態1の高圧電源装置に係る概略的な回路図
【図3】実施形態2の高圧電源装置に係る概略的な回路図
【図4】実施形態3の高圧電源装置に係る概略的な回路図
【図5】別の高圧電源装置に係る概略的な回路図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1〜図2を参照しつつ説明する。
1.プリンタの全体構成
図1は、実施形態1のカラープリンタ1(画像形成装置の一例)の内部構成を表す概略断面図である。以下の説明では、各構成要素について、色毎に区別する場合は各部の符号にY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の添え字を付し、区別しない場合は添え字を省略する。なお、画像形成装置は、カラープリンタに限られず、例えば、FAXおよびコピー機能を有する複合機であってもよい。
【0018】
カラープリンタ(以下、単に「プリンタ」という)1は、給紙部3、画像形成部5、搬送機構7、定着部9、および高圧電源装置50を含む。プリンタ1は、例えば外部から入力される画像データに応じた1または複数色(本実施形態ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色)のトナー(現像剤)からなるトナー像を、シート15(用紙、OHPシートなど)に形成する。
【0019】
給紙部3は、プリンタ1の最下部に設けられており、シート15を収容するトレイ17と、ピックアップローラ19とを含む。トレイ17に収容されたシート15は、ピックアップローラ19により1枚ずつ取り出され、搬送ローラ11,レジストレーションローラ12を介して搬送機構7に送られる。
【0020】
搬送機構7は、シート15を搬送するためのものであり、例えば、プリンタ1内に形成された所定の装着部(図示せず)に着脱自在に装着される。搬送機構7は、駆動ローラ31、従動ローラ32、およびベルト34を含み、ベルト34は、駆動ローラ31と従動ローラ32との間に架け渡されている。駆動ローラ31が回動すると、ベルト34は、感光ドラム44と対向する側の表面が、図1中の右方向から左方向へ移動する。これにより、レジストレーションローラ12から送られてきたシート15が、画像形成部5へと搬送される。また、搬送機構7は、4つの転写ローラ33を含む。
【0021】
画像形成部5は、4個のプロセスユニット40Y,40M,40C,40Kおよび4個の露光装置45を含む。各プロセスユニット40は、スコロトロン帯電器41、感光ドラム(感光体の一例)44、ユニットケース46、現像ローラ47、および供給ローラ48を含む。各プロセスユニット40Y,40M,40C,40Kは、プリンタ1内に形成された所定の装着部(図示せず)に着脱自在に着される。
【0022】
感光ドラム44は、例えば、アルミニウム製の基材上に、正帯電性の感光層が形成されたものであり、アルミニウム製の基材が、例えば、導電性の軸44aを介してプリンタ1のグランドラインに接続されている。スコロトロン帯電器(以下、単に「帯電器」という)41はスコロトロン型の帯電器であり、放電ワイヤ42およびグリッド43を有する。放電ワイヤ42に帯電電圧CHGが印加され、グリッド43のグリッド電圧GRIDは、感光ドラム44の表面がほぼ同電位(例えば、+700V)になるように制御される。
【0023】
露光装置45は、例えば、感光ドラム44の回転軸方向に沿って一列状に並んだ複数の発光素子(例えばLED)を有し、複数の発光素子を、外部より入力される画像データに応じて発光制御することにより、感光ドラム44の表面に静電潜像を形成する。なお、露光装置45は、プリンタ1内に固定設置される。露光装置45はレーザを使用したものであってもよい。
【0024】
ユニットケース46は、各色のトナー(本実施形態では、例えば正帯電性の非磁性1成分トナー)を収納するとともに、現像ローラ47および供給ローラ48を有する。トナーは、供給ローラ48の回転により現像ローラ47に供給され、供給ローラ48と現像ローラ47との間で正に摩擦帯電される。さらに、現像ローラ47が、トナーを均一な薄層として感光ドラム44上へ供給することによって静電潜像を現像して、感光ドラム44上にトナー象を形成する。
【0025】
各転写ローラ33は、各感光ドラム44との間でベルト34を挟む位置に配置されている。各転写ローラ33は、感光ドラム44との間にトナーの帯電極性とは逆極性(ここでは、負極性)の転写電圧が印加されることで、感光ドラム44上に形成されたトナー像をシート15に転写する。その後、シート15は、搬送機構7により定着部9へと搬送され、定着部9にてトナー像が熱定着され、プリンタ1の上面に排出される。
【0026】
2.高圧電源装置の構成
次に、図2を参照して、プリンタ1の本発明に関連する電気的構成を説明する。図2は、回路基板(図示せず)に実装される高圧電源装置50の概略的なブロック図および高圧電源装置50に関連する接続構成を示す。
【0027】
高圧電源装置50は、CPU(制御部の一例)51、CPU51に接続された高圧電源回路52を含む。CPU51は、高圧電源回路52の制御の他に、プリンタ全体の制御を司る。なお、制御部はCPUに限られず、例えば、ASIC(特定用途向けIC)であってもよい。
【0028】
高圧電源回路52は、帯電電圧生成回路(印加回路の一例)60、抑制抵抗67、異常放電検出回路(異常放電検出部の一例)70、およびグリッド電流検出回路(グリッド電流検出部の一例)80を含む。なお、高圧電源回路52は、各帯電器(41K〜41C)に対してそれぞれ設けられが、構成が同一のため、図2には一個の高圧電源回路52のみが示される。
【0029】
帯電電圧生成回路60は、トランス駆動回路61および昇圧回路62を含む。帯電電圧生成回路60は、帯電器41の放電ワイヤ42に印加する帯電電圧CHGを生成する。帯電電圧CHGの放電ワイヤ42への印加に伴って、放電ワイヤ42からグリッド43に対する放電が発生する。その放電によって、グリッド43にはグリッド電圧GRIDが生成される。帯電電圧CHGは、例えば、5.5kV〜8kVであり、グリッド電圧GRIDは、例えば、約700Vである。
【0030】
トランス駆動回路61は、例えば、CPU51のポートPWM1からのPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)信号を受けて、PWM信号を平滑し、平滑されたPWM信号に基づいて、昇圧回路62のトランス63の1次側巻線63aに発振電流を流す。そして、ここでは、PWM信号のデューティ比に応じて、帯電電圧CHGの値が制御される。例えば、PWM信号のデューティ比が大きくなるほど昇圧回路62によって生成される帯電電圧CHGが大きくなるように制御される。
【0031】
昇圧回路62は、例えば、トランス63、整流ダイオード64、平滑コンデンサ65を含む。このような構成により、トランス63の1次側巻線63aの電圧は、2次側巻線63bを介して昇圧され、整流ダイオード64および平滑コンデンサ65によって整流・平滑され、帯電電圧CHGが生成される。帯電電圧CHGは、帯電器41の放電ワイヤ42に印加される。
【0032】
異常放電検出回路70は、帯電器41において火花放電(異常放電の一例)が発生したことを、火花放電に起因して帯電器41に瞬間的に流れる異常放電電流を検出することによって検出する。異常放電検出回路70は、種々の公知回路で構成することが可能であり、図2にはその一例が示されている。
【0033】
異常放電検出回路70は、例えば、カップリングコンデンサ71、コンデンサ72,77、抵抗73,76、バイアス抵抗74,75、およびトランジスタQ1等を含む。
【0034】
カップリングコンデンサ71は、帯電器41での火花放電に起因する異常放電電流を受け取る。すなわち、放電ワイヤ42とグリッド43との間で火花放電が発生すると、グリッド43に流れるグリッド電流Igが断続的に大きく変化する。そして、カップリングコンデンサ71により、グリッド電流Igの交流成分が取り出され、その交流成分に応じてトランジスタQ1がオンオフする。すなわち、放電ワイヤ42とグリッド43との間に所定レベル以上の火花放電が発生する毎にトランジスタQ1がオンする。CPU51は、トランジスタQ1からのオフ信号を入力ポートIP1から読み取り、火花放電の発生を検知する。
【0035】
グリッド電流検出回路80は、分圧抵抗(分圧素子の一例)81、グリッド電流検出抵抗82およびコンデンサ83を含み、グリッド43に流れるグリッド電流を検出する。グリッド電流検出抵抗82の一端が分圧抵抗81に接続され、その他端がグランドに接続される。そして、分圧抵抗81とグリッド電流検出抵抗82との接続点P1における電圧値が、グリッド電流Igの検出信号としてCPU51のポートA/D1に供給される。なお、コンデンサ83は、グリッド電流Igを平均化する機能を有する。
【0036】
CPU51は、グリッド電流検出回路80による検出値に基づいて、グリッド電流Igが一定となるように帯電電圧生成回路60を制御する。それによって、感光ドラム44の帯電が安定して行われる。グリッド電流Igは、グリッド電流検出抵抗82による検出値(検出電圧値)と、グリッド電流検出抵抗82の抵抗値によって検出される。
【0037】
抑制抵抗67は第1端子67aおよび第2端子67bを有し、帯電器41において火花放電が発生した場合に異常放電エネルギーを抑制するために設けられる。その抵抗値は、例えば、1MΩである。第1端子67aが帯電器41のグリッド43に接続され、第2端子67bがグリッド電流検出回路80および異常放電検出回路70の少なくとも一方に接続される。本実施形態では、第2端子67bは、グリッド電流検出回路80および異常放電検出回路70に接続される。詳しくは、第2端子67bは、グリッド電流検出回路80の分圧抵抗81および異常放電検出回路70のカップリングコンデンサ71に接続される。
【0038】
3.実施形態1の効果
このように、実施形態1では、抑制抵抗67が、グリッド43と、異常放電検出回路70およびグリッド電流検出回路80との間に接続される。すなわち、
帯電器41に火花放電等の異常放電が発生した場合、異常放電エネルギーを消費して放電エネルギーを低下させる(抑制する)ための抑制抵抗67が、グリッド側に接続される。なお、抑制抵抗67の配置に関して、グリッド電圧GRIDの定電圧化等を考慮すると、抑制抵抗67を帯電器41の放電ワイヤ側(帯電電圧生成回路60と帯電器41との間)に設けることも考えられる、しかしながら、帯電電圧CHG(5.5kV〜8kV)はグリッド電圧GRID(約700V)と比べてかなり電圧が高い。そのため、グリッド側に抑制抵抗67を設ける方が、抑制抵抗67として、耐電圧が低く、より小型の抵抗を使用することができる。また、放電ワイヤ側に設けられる場合と比べて、帯電電圧CHGが抑制抵抗67の電圧降下によって低減されることもない。
【0039】
また、抑制抵抗67による電圧降下のため、異常放電検出回路70およびグリッド電流検出回路80に印加されるグリッド電圧GRIDを低減することができる。すなわち、抑制抵抗67をグリッド電流検出回路80のさらなる分圧素子として兼用できるので、耐電圧のより低い分圧抵抗81を使用することができる。また、グリッド電圧GRIDが抑制抵抗67とカップリングコンデンサ71とによって分圧されるため、カップリングコンデンサ71にかかるストレス(電圧負荷)が低減される。
【0040】
すなわち、スコロトロン帯電器41のグリッド43に異常放電検出回路70を接続する構成において、異常放電エネルギーを抑制しつつ、回路構成の簡素化を好適に実現することができる。
【0041】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図3を参照しつつ説明する。実施形態1とは、高圧電源回路52Aにおける抑制抵抗67の接続構成のみが相違する。そのため、実施形態1の高圧電源回路52と同一の構成には同一の符号を符し、その説明を省略する。
【0042】
すなわち、図3に示されるように、実施形態2においては、抑制抵抗67の第1端子67aがグリッド43およびグリッド電流検出回路80に接続され、抑制抵抗67の第2端子67bが異常放電検出回路70に接続される。詳しくは、第1端子67aは、グリッド43およびグリッド電流検出回路80の分圧抵抗81に接続され、第2端子67bは、異常放電検出回路70のカップリングコンデンサ71に接続される。
【0043】
この抑制抵抗67の接続構成によれば、グリッド電流検出回路80に影響をほとんど与えずに、抑制抵抗67をグリッド側に設けることができる。また、グリッド電圧GRIDが抑制抵抗67とカップリングコンデンサ71によって分圧されるため、カップリングコンデンサ71にかかるストレス(電圧負荷)が低減される。
【0044】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を、図4を参照しつつ説明する。実施形態1とは、高圧電源回路52Bにおける異常放電検出回路70の接続に係る構成のみが相違する。そのため、実施形態1の高圧電源回路52と同一の構成には同一の符号を符し、その説明を省略する。
【0045】
実施形態3の高圧電源回路52Bでは、異常放電検出回路70のカップリングコンデンサ71が、グリッド電流検出回路80の分圧抵抗81の一端とグリッド電流検出抵抗82の一端との接続点P1に接続される。また、グリッド電流検出回路80において、図2に示されるコンデンサ83が省略されている。
【0046】
すなわち、異常放電検出回路70Aのカップリングコンデンサ71を、グリッド電流検出回路80の接続点P1に接続する構成では、異常放電検出回路70Aのカップリングコンデンサ71およびコンデンサ72が、コンデンサ83の機能(グリッド電流Igの平均化)を兼用できる。そのため、グリッド電流検出回路80のコンデンサ83を削減でき、回路構成をより簡素化できる。
【0047】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0048】
(1)上記第1および第3実施形態おいて、グリッド電流検出回路80の分圧素子を分圧抵抗81によって構成する例を示したがこれに限られない。例えば、分圧素子を定電圧素子によって構成するようにしてもよい。例えば、図5に示されるように、分圧素子をツェナーダイオードZD1によって構成するようにしてもよい。この場合、グリッド電流Igを定電流制御しつつ、ツェナーダイオードZD1によってグリッド電圧GRIDを、ある程度(すなわち、抑制抵抗67による電圧降下の影響下で)、定電圧化することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…プリンタ
41…スコロトロン帯電器
42…放電ワイヤ
43…グリッド
44…感光ドラム
51…CPU
60…帯電電圧生成回路
67…抑制抵抗
70…異常放電検出回路
71…カップリングコンデンサ
80…グリッド電流検出回路
81…分圧抵抗
ZD1…ツェナーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
放電ワイヤおよびグリッドを有し、前記感光体を帯電させる帯電器と、
帯電電圧を生成し、前記帯電電圧を前記帯電器の放電ワイヤに印加する印加回路と、
前記グリッドに流れるグリッド電流を検出するグリッド電流検出部と、
前記グリッド電流検出部による検出値に基づいて、前記グリッド電流が一定となるように前記印加回路を制御する制御部と、
前記帯電器に発生する異常放電を検出する異常放電検出部と、
第1端子および第2端子を有し、異常放電エネルギーを抑制するための抑制抵抗であって、前記第1端子が前記グリッドに接続され、前記第2端子が前記グリッド電流検出部および前記異常放電検出部の少なくとも一方に接続される抑制抵抗と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記抑制抵抗の前記第2端子は、前記異常放電検出部および前記グリッド電流検出部に接続される、画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記異常放電検出部は異常放電に起因する異常放電電流を受け取るカップリングコンデンサを含み、
前記グリッド電流検出部は、分圧素子と、前記分圧素子の一端とグランドとの間に接続されるグリッド電流検出抵抗とを含み、
前記抑制抵抗の前記第2端子は前記異常放電検出部のカップリングコンデンサおよび前記グリッド電流検出部の分圧素子に接続される、画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記分圧素子は定電圧素子によって構成され、
前記定電圧素子と前記グリッド電流検出抵抗との接続点において前記グリッド電流が検出される、画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記抑制抵抗の第1端子は前記グリッドおよび前記グリッド電流検出部に接続され、
前記抑制抵抗の前記第2端子は前記異常放電検出部に接続される、画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記異常放電検出部は異常放電に起因する異常放電電流を受け取るカップリングコンデンサを含み、
前記抑制抵抗の前記第2端子は前記カップリングコンデンサに接続される、画像形成装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記異常放電検出部は異常放電に起因する異常放電電流を受け取るカップリングコンデンサを含み、
前記グリッド電流検出部は、分圧素子と、前記分圧素子の一端とグランドとの間に接続されるグリッド電流検出抵抗とを含み、
前記抑制抵抗の前記第2端子は前記グリッド電流検出部の前記分圧素子の他端に接続され、
前記分圧素子の一端と前記グリッド電流検出抵抗との接続点において前記グリッド電流が検出されるとともに、前記接続点に前記カップリングコンデンサが接続される、画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記分圧素子は定電圧素子によって構成される、画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−53168(P2012−53168A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194139(P2010−194139)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】