説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置(の筐体)の外部及び内部の少なくとも一方に任意で装着されて使用される任意装置が装着された場合であっても、その装着後における筐体の内部を冷却手段により適切に冷却することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像を形成する機器が内部に設置された筐体10と、筐体の内部の温度を計測する計測手段15と、筐体の内部の温度の上昇を冷却して抑制する冷却手段6と、計測手段が計測する計測温度と温度閾値に基づいて冷却手段の動作を制御する制御手段16と、筐体の外部及び内部の少なくとも一方に任意で装着されて使用される任意装置(102、105,107)の装着の有無を検出する検出手段18とを有し、制御手段16は、温度閾値として複数の温度閾値を予め備えており、温度閾値を検出手段の検出情報に応じて初期設定の温度閾値Sxとは異なる温度閾値Syに変更して冷却手段の動作を制御するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙、厚紙、封筒等の被記録材に所要の画像記録方式にて画像を形成するプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置においては、その装置本体の内部(機内、筐体の内部)の温度が上昇することを抑制するために送風機等の冷却手段を設けて装置本体の内部の温度を管理しているものがある。
【0003】
従来、このような冷却手段を設けた画像形成装置としては、例えば以下のものが知られている。
【0004】
1つは、機内の温度を検出する温度検出手段を設け、その温度検出手段によって検出された機内温度に対応して冷却ファンの回転速度を制御する画像形成装置がある(特許文献1)。この画像形成装置は、温度検出手段が冷却ファンに組み込まれた回転数制御回路に直接連結されたサーミスタで構成され、その検出した温度情報をフィードバックすることによって冷却ファンの回転数を制御するものであることが示されている。
【0005】
また、中間転写体の内部又は表面周辺の温度を検知する第1の温度検知手段と、第1の検知温度に基づいて冷却手段の駆動動作を制御する制御手段を備えた画像形成装置がある(特許文献2)。この画像形成装置は、画像形成装置内又は画像形成装置外の温度を検知する第2の温度手段を更に備え、制御手段が、第1の検知温度と第2の検知温度とに基づいて冷却手段の動作を制御するものであることが示されている。この場合、制御手段が、第1の検知温度と第1の基準温度とを比較するとともに第2の検知温度と第2の基準温度とを比較し、その各比較結果に基づいて冷却手段の動作を制御することも示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−272147号公報
【特許文献2】特開2004−117732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、画像形成装置(の筐体)の外部及び内部の少なくとも一方に任意で装着されて使用される任意装置が装着された場合であっても、その装着後における筐体の内部を冷却手段により適切に冷却することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明(A1)の画像形成装置は、
画像を形成する機器が内部に設置された筐体と、
前記筐体の内部の温度を計測する計測手段と、
前記筐体の内部の温度の上昇を冷却して抑制する冷却手段と、
前記計測手段が計測する計測温度と温度閾値に基づいて前記冷却手段の動作を制御する制御手段と、
前記筐体の外部及び内部の少なくとも一方に任意で装着されて使用される任意装置の装着の有無を検出する検出手段と
を有し、
前記制御手段は、前記温度閾値として複数の温度閾値を予め備えており、前記温度閾値を前記検出手段の検出情報に応じて初期設定の温度閾値とは異なる温度閾値に変更して前記冷却手段の動作を制御するものである。
【0009】
この発明(A2)の画像形成装置は、上記発明A1の画像形成装置において、前記任意装置は、それを装着しないときに比べてそれを装着したときの方が、同じ条件下での前記筐体の内部温度の上昇の速度が速まる影響を及ぼすことになる装置であるものである。
【0010】
この発明(A3)の画像形成装置は、上記発明A1又はA2の画像形成装置において、前記制御手段は、前記検出情報が任意装置の装着有りという情報である場合、前記温度閾値を初期設定の温度閾値よりも低い温度の温度閾値に変更するものである。
【0011】
この発明(A4)の画像形成装置は、上記発明A1からA3のいずれかの画像形成装置において、前記検出手段は、前記任意装置の有無及びその種類を判別する手段であるものである。
【0012】
この発明(A5)の画像形成装置は、上記発明A4の画像形成装置において、前記冷却手段は、前記筐体の互いに異なる位置に配置されるとともに個別に作動するように制御される複数の冷却手段で構成されており、
前記制御手段は、前記温度閾値として前記複数の冷却手段ごとに対応してそれぞれ用意された個別の温度閾値を備えており、前記温度閾値を前記検出手段の検出情報から判明する前記任意装置の種類及び組み合わせ情報に応じて前記個別の閾値の一部又は全部を異なる温度閾値に変更して前記複数の冷却手段の動作を制御するものである。
【0013】
この発明(A6)の画像形成装置は、上記発明A1からA5のいずれかの画像形成装置において、前記制御手段は、前記計測手段が計測する計測温度と予め設定される異常な温度上昇時の温度閾値に基づいて、前記画像を形成する機器の動作を停止させるとともに前記冷却手段を作動させる強制冷却の制御を実行し、
かつ、前記異常な温度上昇時の温度閾値として複数の温度閾値を予め備えており、前記温度閾値を前記検出手段の検出情報に応じて初期設定の異常な温度上昇時の温度閾値とは異なる異常な温度上昇時の温度閾値に変更して前記強制冷却の制御を実行するものである。
【0014】
この発明(A7)の画像形成装置は、上記発明A1からA6のいずれかの画像形成装置において、前記任意装置は、画像を形成する対象の被記録材を供給する供給装置、画像が形成された後の被記録材を所要の状態に処理する後処理装置、及び空気の流れる部分に取り付けるフィルタ部材の少なくとも1つであるものである。
【発明の効果】
【0015】
上記発明A1の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、画像形成装置を構成する筐体の外部及び内部の少なくとも一方に任意で装着されて使用される任意装置が装着された場合であっても、その装着後における筐体の内部を冷却手段により適切に冷却することができる。
【0016】
上記発明A2の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、任意装置が装着されて筐体の内部温度の上昇の速度が速まる場合であっても、その装着後における筐体の内部を冷却手段により適切に冷却することができ、有効である。
【0017】
上記発明A3の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、任意装置が装着された場合であっても、その装着後における筐体の内部を冷却手段により確実に冷却することができる。
【0018】
上記発明A4の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、装着される任意装置の種類に応じて筐体の内部を冷却手段により更に適切に冷却することができる。
【0019】
上記発明A5の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、装着される任意装置の種類及び組合せに応じて筐体の内部を複数の冷却手段の一部又は全部により適切に冷却することができる。
【0020】
上記発明A6の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、任意装置が装着された場合であっても、その装着後における筐体の内部を適切に強制冷却することができる。
【0021】
上記発明A7の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、任意装置として被記録材の供給装置、後処理装置、及びフィルタ部材の少なくとも1つが装着された場合であっても、その装着後における筐体の内部を冷却手段により適切に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図2】図1の画像形成装置における画像形成部を拡大して示す説明図である。
【図3】筐体の構成と送風機の設置状態を斜視概念図である。
【図4】筐体と送風機の構成を示し平面概念図である。
【図5】画像形成装置における制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】筐体内部の温度管理(オプション品を装着しない場合)の制御内容を示すフローチャートである。
【図7】図1の画像形成装置にオプション品を装着したときの状態を示す説明図である。
【図8】筐体の内部の計測温度と現像装置の計測温度との経過状況を示す測定データのグラフ図であり、(a)はオプション品を装着しない場合、(b)はオプション品を装着した場合を示す。
【図9】オプション品の装着の有無及びその種類に応じて設定される各閾値温度の一例を示す図表である。
【図10】オプション品の装着の有無に応じた筐体内部の温度管理の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】オプション品の装着の有無に応じた筐体内部の強制冷却の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は実施の形態に係る画像形成装置の概要を示し、図2はその画像形成装置の画像形成部を示している。
【0025】
この実施の形態に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものであり、筐体10の内部空間に、公知の電子写真方式、静電記録方式等の画像記録方式を利用して入力画像情報に基づいて現像剤としてのトナー(着色等がされた微粉体)で現像されるトナー像を形成する複数の作像装置2と、作像装置2で形成されたトナー像を保持して最終的に被記録材としての記録用紙9に転写する中間転写装置3と、中間転写装置3に供給すべき所要の記録用紙を収容して搬送する給紙装置4と、中間転写装置3でトナー像が転写された記録用紙9を通過させてトナー像の定着を行う定着装置5等が設置されている。図中の矢付き一点鎖線は、記録用紙9の主な搬送経路を示す。
【0026】
筐体10は、画像形成装置1の骨組み部を構成する支持フレーム、支持プレート等の支持部材や、外装カバー等を用いて形成される構造部分である(後述するオプション品の筐体も同様とする。)。筐体10は、図1〜図4に示すように、その内部空間が、作像装置2、中間転写装置3、定着装置5等で構成される画像形成部となる上部空間域10Aと、給紙部となる下部空間域10Bと、上部空間域10A及び下部空間域10Bの裏面(後部)側に配置されて駆動・電源部となる後部空間域10Cとで構成されている。各空間域どうしは、一部が支持プレート等の存在で遮断された状態になっているが、それ以外の部分では開放されてつながった状態になっている。図中の符号19はキャスター、符号90は画像形成装置1を設置する床を示す。
【0027】
作像装置2は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(黒:K)の4色のトナー像を専用に形成することができる4つの作像装置(2Y,2M,2C,2K)で構成されている。4つの作像装置2(Y,M,C,K)は、筐体10の上部空間域10A内において直列に並べた状態となるよう配置されている。また、各作像装置2(Y,M,C,K)は、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
【0028】
各作像装置2(Y,M,C,K)は、図2等に示すように、回転する感光ドラム21を備えており、この感光ドラム21の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光ドラム21の像保持面(トナー像を保持する表面部分)を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光ドラム21の帯電された像保持面に画像情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)のトナーで現像して可視像であるトナー像とする現像装置24(Y,M,C,K)と、そのトナー像を中間転写装置3(の中間転写ベルト)に転写する一次転写装置25と、転写後の感光ドラム12の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物をかき取って除去する図示しない清掃装置とである。
【0029】
感光ドラム21は、接地処理される円筒又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものであり、図示しない回転駆動装置から動力を受けて矢印で示す方向に回転するようになっている。帯電装置22は、感光ドラム21の像保持面に接触しない状態又は接触した状態で配置されるとともに帯電用電圧が印加される、コロナ放電型の帯電装置や帯電ロール等の接触部材を備えた接触型の帯電装置である。帯電用電圧としては、現像装置24が反転現像を行うものである場合、その現像装置から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧が印加される。
【0030】
露光装置23は、画像形成装置1に入力される画像情報に応じて構成される光を、帯電された後の感光ドラム21の像保持面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置22としては、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型のものを使用しているが、その他にも、例えば、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置を使用してもよい。また、露光装置22は、この実施の形態では複数の作像装置2に対して2つの筐体に分けて1つの筐体から必要な数の光を出光させるように構成したものを使用しているが、これ以外にも、例えば複数の作像装置2に対して個別の筐体で構成したものや1つに筐体に集約して必要な数の光を出光させるように構成したものなどを使用することもできる。
【0031】
現像装置24は、現像剤(例えば非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤など)を収容する現像剤収容部を有し、その現像剤収容部に収容されている現像剤を回転しながら保持して感光ドラム21と対向する現像領域に搬送する現像ロール24aや、その収容されている現像剤を回転して攪拌しながら現像ロール24aに搬送する攪拌搬送部材24bを有している。また、現像装置24は、その現像ロール24aに交流成分が重畳された直流成分からなる現像用電圧が印加されるとともに、その現像ロール24a及び攪拌搬送部材24bが所要の方向に回転させられる。現像剤のトナーは、現像剤収容部内において攪拌搬送部材24bにより攪拌されることでキャリアと擦れ合って所要の極性(この実施形態ではマイナス極性)に摩擦帯電される。
【0032】
一次転写装置25は、感光ドラム21の像保持面に接触して回転するとともに一次転写用電圧が印加される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。この一次転写装置は、一次転写ロールに一次転写用電圧として直流成分の電圧(トナーの帯電極性と逆極性の直流電圧)が印加される。
【0033】
中間転写装置3は、図1や図2に示すように、筐体の下部空間域10A内で直列に並べた状態の各作像装置2(Y,M,C,K)の下方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置3は、感光ドラム21と一次転写装置25(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数の支持ロール32〜34と、支持ロール34に支持されている中間転写ベルト31に所定の圧力で接触して回転する二次転写ロール35と、二次転写ロール35を通過した後に中間転写ベルト31に残留して付着するトナー等を除去するベルト清掃装置36とで主に構成されている。
【0034】
中間転写ベルト31としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボン等の抵抗調整剤を分散した材料を用いて所定の厚さからなる無端状のベルトに形成されたものが使用される。支持ロール32は駆動ロールとして、支持ロール33は張力付与ロールとして構成されている。支持ロール34には、トナーの帯電極性とは同極性(又は逆極性)の直流成分からなる二次転写用電圧が所要の時期に印加される。二次転写用電圧は、二次転写ロール35にトナーの帯電極性とは逆極性の直流成分を印加するようにしても構わない。
【0035】
給紙装置4は、筐体10の下部空間域10B内において中間転写装置3の下方側の位置に存在するように配置される。給紙装置4は、筐体10の正面(使用者が使用時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9を積載した状態で収容する用紙収容体41と、用紙収容体41から記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置42とで主に構成されている。この実施の形態では、用紙収容体41として上面が開口した箱状のものを3つ使用しており、その各用紙収容体41に異なるサイズ、種類等の記録用紙9を配分して収容するとともに所要の記録用紙9を収容された用紙収容体41から選択して送り出すことができるようになっている。
【0036】
給紙装置4の各用紙収容体41における送出装置42と作像装置2の二次転写位置との間には、筐体10の一方の側面部に接近した状態で設置される複数の搬送ロール対45a,45b,45c,45d,45e,…と、搬送ガイド材等で構成される給紙用の用紙搬送路45が設けられている。搬送ロール対45eは、記録用紙9の搬送時期や搬送状態を調整する等の機能を有する送り込みロール対として構成されている。給紙装置4の各用紙収容体41から送り出された記録用紙9は、給紙用の用紙搬送路45を経由して、中間転写装置3の中間転写ベルト31と二次転写ロール35の間となる二次転写位置まで搬送される。また、筐体10の一方の側面部には、用紙導入口11が設けられており、その用紙導入口を通して筐体外部から送り込みロール対45eに向けて供給される記録用紙9を搬送する搬送ロール46や搬送ガイド材等で構成される第二給紙用の用紙搬送路47が配置されている。
【0037】
定着装置5は、二次転写装置3の片側と給紙装置4(最上段の用紙収容体41)との間の空間に配置されている。定着装置5は、筐体51の内部に、矢印方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるように加熱手段によって加熱される加熱ロール52と、この加熱ロール52の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するロール形式、ベルト形式等の加圧用回転体53とを設置したものである。二次転写位置と定着装置5との間には、二次転写後に記録用紙9を定着装置5まで搬送するベルト形式の用紙搬送装置55が配置されている。
【0038】
筐体10の定着装置5に近い側に側面部には、用紙排出口12が設けられており、その用紙排出口12を通して画像が形成された後の記録用紙9が排出されて収容される排出収容体13が筐体10の外部に突出した状態で取り付けられている。また、定着装置5と排出収容体13(用紙排出口12)の間には、用紙搬送ロール対56や搬送ガイド材等で構成される排出用の用紙搬送路57が設けられている。さらに、排出用の用紙搬送路57の下方側の位置には、その用紙搬送路57の途中から枝分かれして筐体10の一側面部に接近した状態で延びる表裏面反転用の用紙搬送路58が設けられている。表裏面反転用の用紙搬送路58は、正反転の回転が可能な用紙搬送ロール対59a,59b,…や、搬送ガイド材、搬送先切替え材等で構成されている。
【0039】
この画像形成装置1による基本的な画像の形成は、以下のようにして行われる。
【0040】
まず、画像形成装置1では、前記4つの作像装置2(Y,M,C,K)をすべて使用して形成する4色(Y,M,C,K)のトナー像で構成されるフルカラー画像を形成するときの動作パターン(フルカラーモード)と、4つの作像装置2(Y,M,C,K)の1つを使用して形成する1色のトナー像で構成される単色画像を形成するときの動作パターン(単色モード)が可能である。この実施の形態における単色モードは、黒色(K)のトナー像で構成される白黒画像を形成する白黒モードとして設定されている。
【0041】
はじめに、フルカラーモードのときの画像形成動作について説明する。
【0042】
まず、4つの作像装置2(Y,M,C,K)において、各感光ドラム21が矢印の方向に回転し、各帯電装置22がその各感光ドラム21の像保持面を所要の極性(この実施の形態では例えばマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。露光装置23は、帯電後の感光ドラム21に対して各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像信号に基づく露光を行い、所定の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。各現像装置24は、感光ドラム21に形成された各色成分の静電潜像に、所定の極性(マイナス極性)に帯電された現像ロール25aを介して各色(Y,M,C,K)のトナーを供給して静電的に付着させることで現像し、これによりトナー像として顕像化する。
【0043】
続いて、各作像装置2(Y,M,C,K)の一次転写位置において、感光ドラム21上に形成された各色のトナー像が、一次転写装置25で形成される転写電界により中間転写装置3の中間転写ベルト31に対し順番に一次転写されて重ね合わされる。中間転写装置3は、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像が、二次転写位置において二次転写ロール35で形成される転写電界により、給紙装置4から給紙用の搬送路45を経由して搬送される記録用紙9に対し一括して二次転写される。
【0044】
二次転写が終了した記録用紙9は、中間転写ベルト31から剥離された後に搬送装置55により搬送されて定着装置5に導入される。定着装置5は、トナー像が転写された記録用紙9を加熱ロール52と加圧用回転体53の接触部を通過させて加熱及び加圧させることでトナー像を形成するトナーを溶融させて用紙9に定着させる。定着が終了した後の記録用紙9は、その片面への画像形成を行うだけの場合には、排出用の用紙搬送路57を経由して筐体10の外部に排出されて排出収容体13に収容される。
【0045】
以上により、1枚の記録用紙9には、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成される。
【0046】
一方、単色(白黒)モードのときの画像形成動作は、まず4つの作像装置のうち黒色(K)の作像装置2Kにおいて感光ドラム21に黒色のトナー像が形成され、続いて、フルカラーモードのときの画像形成動作と同様に、感光ドラム21上のトナー像が中間転写装置3を経て記録用紙9に二次転写された後に定着装置5で定着され、最後に定着後の記録用紙9が排出収容体13に排出されて収容される。これにより、1枚の記録用紙9に、黒色のトナー像で構成される白黒画像が形成される。
【0047】
フルカラーモード及び単色モードのいずれの場合においても、通常は画像が形成された面が上を向いた状態(フェイスアップの状態)で記録用紙9が排出収容体13に排出されて収容される。しかし、記録用紙9を裏返してその画像形成面が下を向いた状態(フェイスダウンの状態)で排出収容体13に排出させるときには、定着後の記録用紙9を表裏面反転用の用紙搬送路58側に送り込んで停止させた後、搬送ロール対59b等を逆回転させることにより、その用紙9の後端部を先頭にした状態で排出ロール対56と排出口12を経由させて排出収容体13に収容させることになる。
【0048】
また、この画像形成装置1においては、上記した画像形成動作が頻繁に又は連続して実行されると、主に定着装置5などの発熱源からの放熱により筐体10の内部の温度が上昇するので、筐体10の内部温度についての管理が行われている。この温度管理をするため画像形成装置1では、筐体10の内部の温度を計測する温度センサ15と、筐体10の内部の温度の上昇を冷却(排熱)して抑制する送風機6と、温度センサ15の計測情報に基づいて送風機6の動作を制御する制御手段16とを装備している。
【0049】
このうち温度センサ15は、筐体の上部空間域10A内においてマゼンタ(M)色の作像装置2Mの上でその裏面側となる位置に1つ設置されている。この位置に設置しているのは、筐体の上部空間域10Aにおいて最も熱を発する定着装置5の斜め上方側の位置に当たり、定着装置5からの放熱により温度が上昇しやすい場所の1つであると推測されるためである。また、温度センサが1つであるのは、コスト低減と制御系の簡素化のためである。
【0050】
送風機6は、図1〜図4に示すように、筐体の後部空間域10Cの底面部に取り付ける排気ブロワー61と、筐体の後部空間域10Cの正面左側の側面に取り付ける第一排気ファン62と、筐体の上部空間域10Aの正面右側の側面に取り付ける吸気ファン63と、筐体の後部空間域10Cの正面右側の背面に取り付ける第二(定着装置用)排気ファン64とで構成されている。
【0051】
排気ブロワー61は、図4に示すように、各作像装置2(Y,M,C,K)の裏面側でそれぞれ対向して存在する吸気口65a〜65dが形成された収集ダクト65と接続されている。これにより、排気ブロワー61は、各作像装置2の裏面側における空気(熱気)を、矢付き点線で示すように収集ダクト65により吸引して集めたうえで、その収集した空気を最後に筐体の後部空間域10Cの底面部から画像形成装置1の設置床に向けて排出する。吸気ファン63は、筐体10の外部の空気を上部空間域10A内に取り入れ、その空気が矢付き点線で示すように各作像装置2(Y,M,C,K)にそれぞれ到達して通過するようにしている。第一排気ファン62は、筐体の後部空間域10Cの上部に集まる熱気を筐体10の外部に排出するようにしている。第二排気ファン64は、主に、定着装置5から放出される熱気を(図示しない収集ダクトを介して)収集して筐体10の背面側から外部に排出する。以上の排気ブロワー61、第一排気ファン62、吸気ファン63及び第二排気ファン64はいずれも、モータの回転動力により羽根車が回転することで排気又は吸気する機能を発揮する。
【0052】
制御手段16は、図5及び図6に示すように、温度センサ15が計測する計測温度と予め用意された温度閾値に基づいて送風機6(61〜64)の動作について制御するものである。送風機6の動作の制御は、羽根車(モータ)の回転を始動又は停止させることと、その回転速度を変更させることである。この実施の形態における制御手段16は、画像形成装置1の全体の動作について総括して制御する中央制御装置14と連係して動作する送風機駆動制御部(制御回路)として構成されている。しかし、この制御手段16は、中央制御装置14とは独立した制御手段として構成しても構わない。中央制御装置14は、演算処理装置、記憶装置(ROM,RAMなど)、入出力装置等から構成されている。
【0053】
中央制御装置14には、画像情報、画像形成動作指示情報等の画像形成関連情報が入力される画像形成関連情報入力部(画像情報入力部、入力操作部など)17や温度計測部(温度センサ)15等が接続されており、制御動作に必要な情報が入力されるようになっている。また、中央制御装置14には、作像装置2、中間転写装置3、定着装置5等で構成される画像形成部の動作について制御する画像形成部制御部20や、給紙装置4や各用紙搬送路等で構成される用紙搬送部の動作について制御する用紙搬送部制御部40や、送風機駆動制御部16等が接続されており、各制御部における制御動作に必要な制御信号等を送信するようになっている。そして、中央制御装置14では、画像形成装置1における各動作を制御するために必要な制御プログラムが記憶装置(記憶部14a)に予め格納されており、画像形成関連情報入力部17からの入力情報や温度センサ15の計測情報や各種センサの検出情報などに基づいて制御プログラムを演算処理装置で実行することにより所要の制御信号を生成する。
【0054】
送風機駆動制御部16は、送風機6の動作について以下のように制御する。
【0055】
まず、図6に示すように、送風機駆動制御部16は、温度センサ15で計測した計測温度Tの情報を入手し(ステップ:S10)、その計測温度Tが予め用意されて駆動制御部16の記憶部16aに格納されている温度閾値Sxを超えているか否かを判断する(S11)。
【0056】
ここで、温度閾値Sxは、温度の上昇による悪影響を受けやすい要冷却対象品(例えば現像装置24など)の限界温度を基準にして設定される。また、この実施の形態における温度閾値Sxは、送風機6を構成する排気ブロワー61、第一排気ファン62、吸気ファン63及び第二排気ファン64ごとに専用の温度閾値Sx1〜Sx4として設定される。ちなみに、現像装置24では、周囲の温度が高くなるにつれて、その収容している現像剤(トナー)が熱の影響により凝集する現象(いわゆるトナーブロッキング)が発生してしまうという不具合が発生しやすくなる。
【0057】
この際、計測温度Tが温度閾値Sx1〜4を超えていないと判断された送風機6(61〜64)については、予め設定される平常時の速度(平常速)V1で回転駆動するように制御される(S12)。
【0058】
この場合、計測温度Tが自己の温度閾値Sx1〜4を超えていない送風機6はいずれも平常速V1で回転する。これにより、筐体10の内部空間(主に上部空間域10Aと後部空間域10C)は、点線矢印で例示されるように吸気と排気とで形成される気流により冷却(排熱)され、しばらくの間は筐体10の内部温度が温度閾値Sxを超えない温度に保たれるようになる。この平常速V1での回転は、その判断を行ったとき(S10)からの経過時間が予め定める所要の設定時間t1を超えない間は原則として(停止せざるを得ない指令が要求されない限りは)(以後も同様である。)続行されるが、その経過時間が設定時間t1を超えた場合は停止する(S13)。設定時間t1は、例えば、上昇した要冷却対象品の温度を十分に下げるために要する時間を考慮して設定される。また、この設定時間t1は、要求された一連の画像形成動作の開始から終了するまでの時間に設定することも可能である。
【0059】
一方、計測温度Tが温度閾値Sx1〜4を超えたと判断された送風機6(61〜64)については、予め設定される平常速V1よりも高回転となる高速V2(>V1)で回転駆動するように制御される(S14)。
【0060】
この場合、計測温度Tが自己の温度閾値Sx1〜4を超えた送風機6はいずれも高速で回転する。これにより、筐体10の内部空間は、平常速V1で回転駆動するときに比べて強い(又は速い)気流が生成されて強力に冷却(排熱)されることとなり、温度閾値Sx1〜4の一部又は全部を超えた筐体10の内部温度をその超えた温度閾値Sxの温度以下の温度に下げるための冷却動作が実行される。この高速V2での回転は、その判断を行ったとき(S10)からの経過時間が予め定める所要の設定時間t2を超えない間は原則として続行されるが、その経過時間が設定時間t2を超えた場合は停止する(S14)。設定時間t2は、例えば、前記した設定時間t1の場合と同様の要素を考慮して設定される。なお、設定時間t1と設定時間t2は、異なった時間に設定されることが多いが、同じ時間であってもよい。
【0061】
さらに、この画像形成装置1は、図7に示すように、オプション品である大容量給紙装置102や後処理装置105を、筐体10の外部に対して任意に装着して使用することができるようになっている。
【0062】
大容量給紙装置102は、画像形成装置1の給紙装置4に加えて、さらに大量の記録用紙9に対する画像形成を可能にするために記録用紙9等を画像形成装置1の画像形成部に別途供給する機能を有するものである。この実施の形態における大容量給紙装置102は、例えば、大容量の給紙部120と手差し給紙部130とで構成されている。
【0063】
大容量の給紙部120は、箱形状の筐体121の内部に、100枚を超える大量の記録用紙9を積載収容するとともに上下方向に昇降移動する大容量の用紙収容体122と、その用紙収容体122に積載収容される記録用紙9のうちの最上位の記録用紙から1枚ずつ順次送り出す送出装置123と、用紙収容体122に収容される記録用紙9を加熱して含水量を低下させる加熱乾燥器124等を設置したものである。筐体121の送出装置123が配置されている側の側面部には、送り出される記録用紙9を通過させる通過口125が設けられている。
【0064】
手差し給紙部130は、画像形成装置1の筐体10の高さとほぼ同じ高さの筐体131の上部に、その外部に斜め上方に向けて突出した状態で取り付けられる手差し用紙収容体132と、手差し用紙収容体132の下方側の端部に収容体132に積載収容される記録用紙9のうちの最上位の記録用紙9から1枚ずつ順次送り出す送出装置133と、大容量の給紙部120から送り出される記録用紙9を画像形成装置1の用紙導入口11まで搬送する第一搬送路134と、手差し用紙収容体132から送り出される記録用紙9を画像形成装置1の用紙導入口11まで搬送する第二搬送路135等を配置したものである。第一搬送路134と第二搬送路135はいずれも、複数の搬送ロール対134a,135aや搬送ガイド材等で構成されている。筐体131の送出装置133が配置されている側の側面部には、給紙部120の通過口125と対向して記録用紙9を通過させる通過口136や送出装置133から送り出される記録用紙9を通過させる通過口137が設けられている。また、筐体131の送出装置133が配置されている側の側面部には、画像形成装置1の用紙導入口11と対向して記録用紙9を通過させる通過口138が設けられている。
【0065】
後処理装置105は、画像形成装置1で画像が形成された後の記録用紙9について所要の後処理(排出収容先の仕分け処理や、綴じ処理、孔開け処理など)を施す機能を有するものである。この実施の形態における後処理装置105は、例えば、冷却処理部140と、冷却処理後の通常排出又は綴じ処理排出部150とで構成されている。後処理装置105は、画像形成装置1の排出収容体13(図1)を取り外した後に装着される。
【0066】
冷却処理部140は、画像形成装置1の筐体10の高さとほぼ同じ高さの筐体141の内部に、画像形成装置1の用紙排出口12から排出される記録用紙9を通常排出又は綴じ処理排出部150に向けて搬送する搬送路142と、この搬送路142の上方側及び下方側の離れた位置にそれぞれ配置される送風機(送風ファン)143,144等が設置されているものである。
【0067】
搬送路142は、複数の搬送ロール対142aと点線で示す搬送ガイド材142b等で構成されている。送風機143,144は、定着装置5の熱定着により高温になっている記録用紙9を冷却(空冷)するためのものであり、この実施の形態では搬送路142の搬送ガイド材142bに風を吹き付けて搬送ガイド142bを直接冷却し、それにより搬送路142を通過する記録用紙9を間接的に冷却するようにしている。筐体141の画像形成装置1と対向する側の側面部には、その排出口12と対向して記録用紙9を通過(導入)させる通過口145が設けられている。また、筐体141の通常排出又は綴じ処理排出部150と対向する側の側面部には、冷却処理後の記録用紙9を排出させる排出口146が設けられている。
【0068】
通常排出又は綴じ処理排出部150は、画像形成装置1の筐体10の高さとほぼ同じ高さの筐体151の一側面部に、後処理後の記録用紙9を収容するとともに収容位置が固定された固定型の排出収容体152と、後処理後の記録用紙9を収容するとともに収容位置が用紙の収容量に応じて筐体151の側面部を斜めに下降移動する移動型の排出収容体153と、複数枚の記録用紙9を綴じる処理をする綴じ処理機154と、冷却処理部140から送り出される記録用紙9を固定型の排出収容体152に排出するように搬送する第一搬送路155と、第一搬送路155の途中で分岐して記録用紙9を綴じ処理機154に搬入するか又は移動型の排出収容体153に排出するように搬送する第二搬送路156等が設置されている。
【0069】
筐体151の冷却処理部140と対向する側の側面部には、冷却処理部140の排出口146と対向して記録用紙9を通過(導入)させる通過口157が設けられている。また、筐体151の排出収容体152,153が取り付けられている側の側面部には、第一搬送路155により搬送される記録用紙9を固定型の排出収容体152に排出させる第一排出口158と、第二搬送路156により搬送される記録用紙9を移動型の排出収容体153に排出させる第二排出口159が設けられている。第一搬送路155と第二搬送路156の分岐地点には、記録用紙9の搬送先を切り替える図示しない搬送先切替え爪が配置されている。
【0070】
画像形成装置1は、大容量給紙装置102を装着した場合、画像を形成するための記録用紙9を、その筐体10内の給紙装置4に代えて又は加えて、大容量給紙装置102の大容量給紙部120と手差し給紙部130の一方又は双方から供給することができる。大容量給紙装置102から供給される記録用紙9は、画像形成装置1の筐体10内に搬入されると、第二給紙用の用紙搬送路47を経由して二次転写位置に向けて搬送される。これにより、画像形成装置1では、大量の枚数の記録用紙9に対する画像形成動作を連続して又は断続的に行うことが可能になる。
【0071】
また、画像形成装置1は、後処理装置105を装着した場合、まず画像を形成した後の記録用紙9を、後処理装置105の冷却処理部140において搬送ガイド材142bを介して冷却した状態にすることができる。次に、その冷却処理された記録用紙9を、後処理装置105の通常排出又は綴じ処理排出部150において、第一搬送路141で搬送することにより固定型の排出収容体152にそのまま排出させて収容するか、あるいは、第一搬送路141から第二搬送路142に送り込んで搬送することにより綴じ処理機154で綴じ処理を行った後又は綴じ処理を行わない状態で移動型の排出収容体153に排出させて収容することができる。これにより、画像形成装置1では、画像を形成した後の記録用紙5に所要の後処理を施したり、あるいは画像を形成した後の記録用紙9を所望の排出収容先に収容させることが可能になる。
【0072】
この他にも、画像形成装置1では、例えば、図3に示すように、オプション品である臭気除去フィルタ107を、筐体10の内部における排気ブロワー61内又はブロワー61と排気ダクト65との接続部に対して任意に装着して使用することができるようになっている。画像形成装置1は、この臭気除去フィルタ107を装着した場合、排気ブロワー61から筐体10の外部に排気される空気(熱気)を、そのなかに含まれる臭気(成分)を臭気除去フィルタ107で吸収、分解等をして低減又は消失させた状態で排出させることが可能になる。
【0073】
ところで、この画像形成装置1では、オプション品である後処理装置105を装着して使用した場合、以下の現象が発生する。
【0074】
すなわち、画像形成装置1は、その筐体10の内部温度が上昇する速度が、後処理装置105を装着しない場合のそれに比べて速くなる。このため、温度センサ15の計測温度Tが温度閾値Sxに達する前に、特に熱による悪影響を受けやすい現像装置24などの構成部品(要冷却対象品)における温度が限界温度に達してしまう。
【0075】
図8は、後処理装置105を装着しない場合(a)と後処理装置105を装着した場合(b)における筐体10の内部温度を測定した結果を示す。図中の細い方の実線は温度センサ15で計測した計測温度であり、太い方の実線はシアン色の現像装置24Cの後部上面側の部位における温度を温度センサ15とは別の熱電対で計測した温度である。このときの温度測定は、いずれも室温が32℃という同じ実験室内において、画像形成装置1で同じ画像の画像形成動作を同様に連続して実行し、後処理装置105で丁合いのような後処理を実行した条件下で行ったものである。限界温度は、現像装置24におけるトナーブロッキングが発生し始めるおそれのある温度である。図8(b)に示されるように、オプション品(後処理装置105)を装着した場合は、温度センサ15による計測温度と現像装置24Cでの温度との間に差(計測される温度のずれ)が生じるようになる。この差は、オプション品を装着しない場合(図8a)に比べて、駆動時間(ラン時間)の経過と合わせてほぼ比例して大きくなっている。
【0076】
ここで、画像形成装置1の筐体10の内部温度の上昇速度が後処理装置105の装着により速まることになる要因としては、例えば以下の原因が推測される。つまり、筐体10の用紙排出口12が後処理装置105の冷却処理部140における筐体141によって筐体10の外部から塞がれた状態になることで定着装置5から放出される熱が用紙排出口12を通して筐体10の外部に直接排出(排熱)できないことや、後処理装置105の冷却処理部140において送風機143,144から吹き付けられて搬送路142の搬送ガイド材142bを吸収した熱気が画像形成装置1の吸気ファン63によって筐体10内に侵入したことが考えられる。結局のところ、筐体10の内部における気体の流れ(エアーフロー)状況が異なることが主な原因であると推測される。
【0077】
また、温度センサ15の計測温度Tが温度閾値Sxに達する前に、現像装置24における温度がその限界温度に達してしまうのは、温度センサ15が要冷却対象品である4つの現像装置24(Y,M,C,K)の1つずつに専用に配置されておらず、そのうちの1つの現像装置24Mだけに配置されているにすぎないことや、温度センサ15の設置位置が現像装置24と離れた位置になっていることなどが考えられる。
【0078】
さらに、後処理装置105を装着したときに発生する前記の現象は、他のオプション品である大容量給紙装置102と臭気除去フィルタ107をそれぞれ単独で装着した場合においても程度の違いがあるものの、ほぼ同様に発生することも確認されている。この場合も、筐体10の内部温度の上昇速度が大容量給紙装置102の装着により速まることになる要因としては、例えば、第一排気ファン62の排気口が筐体131の存在によって筐体10の外部から塞がれた状態になることや、大容量の給紙部120において加熱乾燥器124で暖められた状態の記録用紙9が筐体10の内部にそのまま搬入されることが考えられる。また、筐体10の内部温度の上昇速度が臭気除去フィルタ107の装着により速まることになる要因としては、例えば、臭気除去フィルタ107が空気抵抗となることで排気ブロワー61等の排気効率(量)が低下することが考えられる。
【0079】
そこで、画像形成装置1は、オプション品である大容量給紙装置102、後処理装置105及び臭気除去フィルタ107の少なくとも1つでも装着して使用した場合に、画像形成装置1の筐体10の内部温度の上昇の速度が装着しない場合に比べて速まることを考慮し、以下の通り筐体10の内部温度を適切に管理するように構成されている。
【0080】
すなわち、画像形成装置1では、図5、図9、図10等に示すように、オプション品の装着の有無(その種類)を検出するオプション品検出部18を設けて制御手段(送風機駆動制御部)16に接続しているとともに、制御閾値となる温度閾値Sとして前記した初期設定の温度閾値Sxに加えてオプション品を装着したときの温度閾値Syを制御手段の記録部16aに予め格納している。そして、制御手段(送風機駆動制御部)16が、オプション品検出部18の検出情報に応じて温度閾値Sを初期設定の温度閾値Sxとは異なる温度閾値Syに変更したうえで、送風機6の動作を制御する構成になっている。
【0081】
オプション品検出部18は、次のように構成されている。まず、大容量給紙装置102及び後処理装置105の装着に対しては、それらの装置102,105を画像形成装置1に装着するときに、画像形成装置1の制御装置14や電源部との接続を行うための図示しない接続部どうしを結合させることにより、それらの装置102,105の装着の有無とその種類に関する情報が制御装置14(さらには送風機駆動制御部16)で認識される構成になっている。また、臭気除去フィルタ107の装着に対しては、そのフィルタ107の取り付けた作業者が画像形成装置1における図示しない操作入力部からフィルタ107の装着とその種類の情報を入力させることにより、そのフィルタ107の装着の有無とその種類に関する情報が制御装置14(さらには送風機駆動制御部16)で認識される構成になっている。臭気除去フィルタ107の装着については、この他にも例えば、フィルタ107の装着と種類を検出できるセンサを設置し、そのセンサの検出情報が制御装置14(さらには送風機駆動制御部16)で認識される構成にしてもよい。
【0082】
オプション品を装着したときにおける温度閾値Syは、例えば、図9に示すような内容のものが用意されている。この温度閾値Syについては、初期設定の温度閾値Sxの設定の場合と同様に、予めオプション品を装着したときの筐体10の内部温度が上昇する状況を調べた結果に基づいて設定される。図9に示す温度閾値Syは、限界温度が「48℃」のときの設定例である。また、初期設定の温度閾値Sxとオプション品を装着したときの温度閾値Syは、送風機駆動制御部16の記憶部16a(図5)に格納される。
【0083】
図9中のオプション品の装着の有無と種類の欄において丸印が付されているものが装着されていることを示し、丸印が付されていないものが装着されていないことを示す。また、図9中の送風機の駆動制御における温度閾値の欄において左端の列に記載の閾値は初期設定の温度閾値Sxになり、その左端の列以外の列に記載の閾値は原則変更後の温度閾値Syとなる(ただし、一部の閾値は、装着されるオプション品の種類や組合せにより初期設定の温度閾値と同じになる。つまり、4種の温度閾値S1〜4のうちの一部のみが異なる場合を示す)。また、温度閾値の欄において小数点以下の数値が記載されていない閾値は、小数点以下の数値が「0」であることを示し、その記載が省略されている。
【0084】
このようにオプション品の装着時における事情を考慮して構成された送風機駆動制御部16は、送風機6の動作について以下のように制御する。
【0085】
まず、図10に示すように、送風機駆動制御部16は、中央制御装置14からオプション品検出部18の検出情報を受け、オプション品の装着情報があるか否かを判断する(S20)。オプション品の装着情報は、画像形成装置1の筐体10の内部温度の上昇温度が速まる影響を及ぼすオプション品の装着の有無とその装着されたオプション品の種類に関する情報である。
【0086】
このとき、オプション品の装着情報がないと判断された場合は、図9に示すように温度閾値についての変更がなく初期設定の温度閾値Sx(1〜4)が適用され、その温度閾値Sxに基づく制御が実行される。このときの制御内容は、図10にステップS21〜S26からなるフローとして示した内容であり、これは前記した図6にステップS10〜S15のフローとして示した内容と同じである。
【0087】
一方、オプション品の装着情報があると判断された場合は、その装着情報の内容に応じて初期設定の温度閾値Sxの一部又は全部が図9に示すような温度閾値Sy(1〜4)に変更される(S27)。
【0088】
例えば、大容量給紙装置102が装着されたときには、図9に示すように、排気ブロワー61の初期設定の温度閾値Sx1が少し低い温度の閾値温度Sy1に変更されるとともに、第一排気ファン62の初期設定の温度閾値Sx2が少し低い温度の閾値温度Sy2に変更される。また、後処理装置105が装着されたときには、排気ブロワー61と第一排気ファン62に加えて吸気ファン62の初期設定の温度閾値Sx3が少し低い温度の閾値温度Sy3に変更される。臭気除去フィルタ107が装着されたときには、第二排気ファン64の初期設定の温度閾値Sx4だけが少し低い温度の閾値温度Sy4に変更される。さらに、大容量給紙装置102及び後処理装置105が装着されたときには、第二排気ファン64を除く他の送風機(61〜63)の初期設定の温度閾値Sx1〜3が少し低い温度の温度閾値Sy1〜4に変更される。さらにまた、後処理装置105及び臭気除去フィルタ107が装着されたときと大容量給紙装置102、後処理装置105及び臭気除去フィルタ107のすべてが装着されたときには、そのいずれの場合も初期設定の閾値温度Sx1〜4のすべてが異なる閾値温度Sy1〜4に変更される。
【0089】
変更する閾値温度Syについては、実際のオプション品の種類や組合せを代えて画像形成装置1に実際に装着し、同じ条件(環境条件や動作条件)の下での筐体10の内部温度の変化状況や、いずれの送風機6をどのような内部温度のときに高速で回転駆動させると適切で効率のよい冷却ができるかを調べたうえで設定される。
【0090】
閾値温度を変更した後は、適用する閾値温度が異なることを除けば、初期設定の閾値温度Sxを適用した場合の制御内容(図6にステップS10〜S15のフローとして示した内容)と同じである。
【0091】
すなわち、送風機駆動制御部16は、図10に示すように、温度センサ15で計測した計測温度Tの情報を入手し(S31)、その計測温度Tが駆動制御部16の記憶部16aに格納されている温度閾値Syを超えているか否かが判断される(S32)。
【0092】
この際、計測温度Tが温度閾値Sy1〜4を超えていないと判断された送風機6(61〜64)については、予め設定される平常速V1で回転駆動するように制御される(S33)。この平常速V1での回転駆動は、その判断を行ったとき(S32)からの経過時間が予め定める所要の設定時間t1を超えない間は原則として続行されるが、その経過時間が設定時間t1を超えた場合は停止する(S34)。
【0093】
一方、計測温度Tが温度閾値Sy1〜4を超えたと判断された送風機6(61〜64)については、予め設定される平常速V1よりも高回転となる高速V2で回転駆動するように制御される(S35)。この平常速V2での回転駆動は、その判断を行ったとき(S32)からの経過時間が予め定める所要の設定時間t2を超えない間は原則として続行されるが、その経過時間が設定時間t2を超えた場合は停止する(S36)。ちなみに、装着されていたオプション品が取り外されて使用されることになった場合には、閾値温度が初期設定の閾値温度Sxに戻されるように設定されている。
【0094】
画像形成装置1では、このように装着するオプション品の種類や組合せに応じて冷却効果を早めに高める必要がある送風機6(61〜64)の初期設定の閾値温度Sxがそれよりも低い温度の閾値温度Syに変更される。
【0095】
これにより、画像形成装置1では、オプション品が装着された場合であっても、その装着後における筐体10の内部を冷却手段である送風機6(61〜64の一部又は全部)により適切に冷却することができ、この結果、筐体10の内部温度の不要な上昇を抑制することができる。また、装着するオプション品の種類や組合せに応じて必要な閾値温度だけが変更されて適切な冷却を行うことができ、必要以上に早いタイミングで送風機6の回転速度が高めることがなくなり、この結果、消費電力な無駄な上昇(悪化)や騒音の無駄な増大を招くことなく低減することができる。
【0096】
さらに、この画像形成装置1においては、送風機駆動制御部16による送風機6の動作の制御による温度管理に加えて、筐体10の内部温度が何らかの事情により異常な上昇をしたときの対策として、図11に示すように、中央制御装置14により強制冷却を実行するという温度管理が併せて行われるようになっている。
【0097】
つまり、中央制御装置14は、その記憶部14aに強制冷却の制御における(異常な温度上昇時の)閾値温度Qが格納されて用意されており、温度センサ15の計測温度Tと閾値温度Qとに基づいて、画像形成部を構成する作像装置2、中間転写装置3及び定着装置5の動作と給紙装置4(搬送路を含む)の動作を強制的に終了させて停止させ、しかも、その状態で送風機6を動作させる強制冷却を実行する制御を行う。
【0098】
具体的には、中央制御装置14は、図11の左下の部分に示すように、温度センサ15で計測した計測温度Tの情報を入手し(S41)、その計測温度Tが記憶部14aに格納されている初期設定の温度閾値Qxを超えているか否かを判断(監視)する(S42)。
【0099】
この際、計測温度Tが温度閾値Qxを超えたと判断されたときには、画像形成部制御部20及び用紙搬送部制御部40に対して動作停止の制御信号を送信し、画像形成部の作像装置2、中間転写装置3及び定着装置5の動作と給紙装置4(搬送路を含む)の動作を強制的に終了させて停止させる(S43)。続いて、送風機駆動制御部16に制御信号を送信して送風機6(61〜64のすべて)を高速V2で回転駆動させる(S44)。この強制冷却の動作は、測定温度Tが温度閾値Qxよりも低い温度になるまで続行される(S45)。
【0100】
これにより、筐体10の内部温度が異常に上昇するという事態を防止することができる。なお、この強制冷却の動作が終了した後は、画像形成部等の動作の強制終了状態が解除され、他の異常がない限りは残りの画像形成動作が行われる。
【0101】
そして、画像形成装置1は、前記したオプション品の装着時における温度上昇に関する事情を考慮して、図9及び図11に示すように、中央制御装置14が、オプション品が装着された場合には強制冷却の制御における閾値温度Qについて初期設定の閾値温度Qxとは異なる閾値温度Qyに変更したうえで、その閾値温度Qyに基づく制御を実行するように構成されている。
【0102】
変更する閾値温度Qyについては、実際のオプション品の種類や組合せを代えて画像形成装置1に実際に装着し、同じ条件(環境条件や動作条件)の下での筐体10の内部温度の変化状況や、送風機6をどのような内部温度のときに高速で回転駆動させると迅速な冷却ができるかを調べたうえで設定される。
【0103】
このようにオプション品の装着時における事情を考慮した強制冷却は、以下のようにようにして行われる。
【0104】
まず、図11に示すように、中央制御装置14は、オプション品検出部18の検出情報を受け、オプション品の装着情報があるか否かを判断する(S20)。このとき、オプション品の装着情報がないと判断された場合は、図9に示すように温度閾値についての変更がなく初期設定の温度閾値Qxが適用され、その温度閾値Qxに基づく制御が実行される。このときの制御内容は、既述したとおり図11にステップS41〜S45のフローで示した内容になる。
【0105】
一方、オプション品の装着情報があると判断された場合は、その装着情報の内容に応じて初期設定の温度閾値Qxが図9に示すような温度閾値Qxよりも低い温度の温度閾値Qyに変更される(S46)。閾値温度を変更した後は、適用する閾値温度が異なることを除けば、初期設定の閾値温度Qxを適用した場合の制御内容(図11にステップS41〜S45のフローとして示した内容)と同じである。
【0106】
すなわち、中央制御装置14は、図11に示すように、温度センサ15で計測した計測温度Tの情報を入手し(S51)、その計測温度Tが記憶部14aに格納されている温度閾値Qyを超えているか否かを判断する(S52)。
【0107】
この際、計測温度Tが温度閾値Qyを超えていると判断したときには、画像形成部の作像装置2、中間転写装置3及び定着装置5の動作と給紙装置4の動作が強制的に停止させられる(S53)。続いて、送風機6(61〜64のすべて)が高速V2で回転駆動させられる(S54)。このときの強制冷却の動作は、測定温度Tが温度閾値Qyよりも低い温度になるまで続行される(S55)。ちなみに、装着されていたオプション品が取り外されて使用されることになった場合には、閾値温度が初期設定の閾値温度Qxに戻されるように設定されている。
【0108】
画像形成装置1では、このように装着するオプション品の種類や組合せに応じて強制冷却の制御における初期設定の閾値温度Sxがそれよりも低い温度の閾値温度Syに変更される。これにより、画像形成装置1では、オプション品が装着された場合であっても、その装着後における筐体10の内部温度の異常な上昇に対して適切な強制冷却を実行することができ、この結果、オプション品装着後における筐体10の内部温度の異常な上昇を抑制することができる。
【0109】
[他の実施の形態]
通常の温度管理の制御における閾値温度Sは、オプション品として装着により同じ条件下での筐体10の内部温度の上昇の速度が速まる影響を及ぼすことになる装置(部品)が装着されたときに、必要に応じて初期設定の閾値温度Sxとは異なる閾値温度Syに変更されるが、その影響を及ぼすことがないオプション品が装着されたときには変更されない。これは、強制冷却の制御における閾値温度Qの場合も同様である。
【0110】
また、前記した実施の形態においては、閾値温度Sと閾値温度Qのいずれも、筐体10の内部温度の上昇の速度が速まる影響を及ぼすことになるオプション品が装着されたことを前提として、初期設定の閾値温度Sx,Qxよりも低い温度の閾値温度Sy,Qyに変更する場合について例示した。しかし、オプション品がその装着により筐体10の内部温度の上昇の速度が装着しないときよりも遅くなる影響を及ぼすことになる装置である場合には、必要であれば、閾値温度Sと閾値温度Qを初期設定の閾値温度Sx,Qxよりも高い温度の閾値温度Sy,Qyに変更するように構成しても構わない。
【0111】
さらに、同じ種類のオプション品(例えば後処理装置)であっても、その実際の構成内容によって筐体10の内部温度の上昇の速度が速まる特性が異なることもある。このため、変更する閾値温度Syとしては、同じ種類のオプション品であっても実際の温度上昇の実態に適合したものを個々に用意しておくとともに、その各閾値温度Syの対象となるオプション品であることが認識できるようにオプション品検出部18などを構成しておくことが必要である。
【0112】
また、温度センサ15については、複数設置することも可能である。この場合であっても、例えば、その設置数が要冷却対象品の数よりも少ない数になったり、あるいは、その設置する位置が冷却対象品から離れた位置になることがあっても差し支えない。筐体10の内部温度の上昇を冷却して抑制する冷却手段としては、送風機6に代えて又は送風機6と併せて、他の形式の冷却手段を適用してもよい。
【0113】
この他、前記した実施の形態では、画像形成装置として、画像形成部について中間転写装置3(中間転写方式)を適用するものを例示したが、作像装置2で形成したトナー像を記録用紙9に直接転写する方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置としては、単色画像を形成する画像形成装置であってもよい。さらに、画像形成装置としては、電子写真方式や静電記録方式を採用したものに限らず、他の記録方式(例えば、インクジェット記録方式、感熱記録方式など)を採用したものであってもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 …画像形成装置
2 …作像装置(画像を形成する機器の一部)
3 …中間転写装置(画像を形成する機器の一部)
5 …定着装置(画像を形成する機器の一部)
6 …送風機(冷却手段)
10…筐体
14…中央制御部(制御手段の一部)
16…送風機駆動制御部(制御手段)
15…温度センサ(計測手段)
18…オプション品検出部(検出手段)
61…排気ブロワー(冷却手段の1つ)
62…第一排気ファン(冷却手段の1つ)
63…吸気ファン(冷却手段の1つ)
64…第二排気ファン(冷却手段の1つ)
T …計測温度
Sx…初期設定の閾値温度
Sy…異なる閾値温度
Qx…初期設定の閾値温度(異常な温度上昇時の閾値温度)
Qy…異なる閾値温度(異常な温度上昇時の異なる閾値温度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する機器が内部に設置された筐体と、
前記筐体の内部の温度を計測する計測手段と、
前記筐体の内部の温度の上昇を冷却して抑制する冷却手段と、
前記計測手段が計測する計測温度と温度閾値に基づいて前記冷却手段の動作を制御する制御手段と、
前記筐体の外部及び内部の少なくとも一方に任意で装着されて使用される任意装置の装着の有無を検出する検出手段と
を有し、
前記制御手段は、前記温度閾値として複数の温度閾値を予め備えており、前記温度閾値を前記検出手段の検出情報に応じて初期設定の温度閾値とは異なる温度閾値に変更して前記冷却手段の動作を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記任意装置は、それを装着しないときに比べてそれを装着したときの方が、同じ条件下での前記筐体の内部温度の上昇の速度が速まる影響を及ぼすことになる装置である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出情報が任意装置の装着有りという情報である場合、前記温度閾値を初期設定の温度閾値よりも低い温度の温度閾値に変更する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記任意装置の有無及びその種類を検出する手段である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、前記筐体の互いに異なる位置に配置されるとともに個別に作動するように制御される複数の冷却手段で構成されており、
前記制御手段は、前記温度閾値として前記複数の冷却手段ごとに対応してそれぞれ用意された個別の温度閾値を備えており、前記温度閾値を前記検出手段の検出情報から判明する前記任意装置の種類及び組み合わせ情報に応じて前記個別の閾値の一部又は全部を異なる温度閾値に変更して前記複数の冷却手段の動作を制御する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記計測手段が計測する計測温度と予め設定される異常な温度上昇時の温度閾値に基づいて、前記画像を形成する機器の動作を停止させるとともに前記冷却手段を作動させる強制冷却の制御を実行し、
かつ、前記異常な温度上昇時の温度閾値として複数の温度閾値を予め備えており、前記温度閾値を前記検出手段の検出情報に応じて初期設定の異常な温度上昇時の温度閾値とは異なる異常な温度上昇時の温度閾値に変更して前記強制冷却の制御を実行する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記任意装置は、画像を形成する対象の被記録材を供給する供給装置、画像が形成された後の被記録材を所要の状態に処理する後処理装置、及び空気の流れる部分に取り付けるフィルタ部材の少なくとも1つである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−8295(P2012−8295A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143326(P2010−143326)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】