説明

画像形成装置

【課題】無端ベルトにカール癖が付いた状態においても、センサによる各種調整用パターンの読み取り時の誤検知や補正ばらつきが生じない画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体と、少なくとも2本のローラに掛け回された回転可能な無端ベルトと、像担持体上のトナー像を無端ベルト表面上に転写させる転写手段と、ローラにより形成される無端ベルトのカール部、無端ベルト表面上の位置調整用パターン及び/又は濃度調整用パターンを検出する検出手段とを有する画像形成装置において、無端ベルトを少なくとも1回転させて検出手段によるカール部の検出動作を行い、カール部が検出された場合、カール部に重ならないように位置調整用パターン及び/又は濃度調整用パターンを作成し、無端ベルトの停止時には、カール部とこれを形成したローラの位置が一致するように無端ベルトを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ及びこれらの機能を少なくとも2つ備えたデジタル複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真式のカラー画像形成装置としては、中間転写ベルトを用いたものが主流となってきている。その中でも、色毎に感光体を有し中間転写ベルト上に順次重ねていく「タンデム方式」は、中間転写ベルト上に各色の一次転写画像をそれぞれ転写し、その後転写材とタイミングを合わせながら中間転写ベルト上から一次転写画像を記録紙上に二次転写画像を転写させる方式であり、非常に生産性の高い方式である。
【0003】
しかしながら、フルカラー画像を一度に中間転写ベルト上に重ねて、しかも各色のトナー像を色ずれ無く正確な位置に載せなければならないため、特に中間転写ベルトの搬送速度や表面のうねりには非常に高い精度が要求される。中間転写ベルトの搬送速度を一定に保つには、中間転写ベルトの内部に設けられた支持ローラや駆動ローラの外径精度、摩擦係数、中間転写ベルト自体のベルトテンションを一定に保つこと、更には高精度駆動のための回転制御技術、寄り防止技術等が必要となる。また、中間転写ベルトの表面のうねりを抑えるために、中間転写ベルトを中間転写ユニットにテンションを掛けた状態で静置することによって、内部のローラ形状に沿ったままベルトが固まってしまう「カール癖」の発生の抑制が大きな課題となっていた。
【0004】
2本以上のローラに掛け回された無端ベルトがテンションを掛けた状態で長時間放置されると、ローラにかかっている無端ベルト部分にはローラの曲率によってカール癖が付くが、その大きさ・状態(レベル)は、使用する無端ベルトの材質、ローラ径、ローラへの巻き付け角度などによって異なる。特にタンデム型のカラー画像形成装置では、無端ベルトの表面を利用して色合わせのために各色の位置調整用のパターンを作成して色ずれを補正したり、画像濃度調整用のパターンを作成して用紙上のトナー濃度を調整したりするが、無端ベルトに大きなカール癖が発生し、作成したパターン位置とカール部が一致した状態でパターンをセンサで読み取った場合、カール部による各種調整用パターンの誤検知が生じ、結果的に各種補正精度が悪化し、色ずれや濃度ばらつきが生じる恐れがある。
【0005】
このカール癖の発生を防止する方法として、例えば特許文献1は、画像非形成時において複数のローラに掛け回された無端ベルトを画像形成時とは逆回転可能に構成するとともに、戻り規制位置を画定する逆回転不可能に構成された別なローラを設けることにより、戻し駆動位置から戻り規制位置までの間の無端ベルトのテンションを低減させる方法を開示している。しかしながら、無端ベルトのテンションを多少低減できたとしても、ベルト材質によっては無端ベルトが長期間放置されたり、小径ローラが用いられたりした場合にはカール癖の発生を完全には防止できない。また、大掛かりなテンション低減機構を設ける場合は、機構が複雑になり、製造コストが増大し、装置の小型化が図れなくなる。
【0006】
また、特許文献2の画像形成装置では、カール癖を矯正するカール矯正ローラが、中間転写ベルトを静置した後の所定時間のみ中間転写ローラに外側から当接・加圧し、カール癖の矯正を行うことを特徴とする。しかし、カール癖が複数個所に存在する場合、全てのカール癖を短時間で矯正することは困難である。また、ソレノイドにより駆動されるカール矯正ローラを中間転写ベルトの外側に設ける必要があるため、製造コストが増大する。
【0007】
特許文献3では、カール癖の発生を抑制するために、2次転写ベルトの長期の放置時には2次転写ローラを2次転写ベルトから離間させる方法を提案しており、これにより、特に2次転写ローラとその近傍の2次転写ベルト内の従動ローラにより生じる2次転写ベルトのカール癖の発生が抑制される。しかし、この方法では、特許文献2と同様に、他の従動ローラの部分により生じ得る2次転写ベルトのカール癖に関しては考慮されていない。また、2次転写ローラの近接離間機構を設ける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、これら従来技術を鑑みて、無端ベルトにカール癖が付いた状態においても、センサによる各種調整用パターンの読み取り時の誤検知や補正ばらつきが生じない画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明によれば、トナー像形成手段により作成される色合わせのための位置調整用パターンや濃度調整用パターンなどのトナー像を担持する像担持体と、少なくとも2本のローラに掛け回された回転可能な無端ベルトと、前記像担持体上のトナー像を前記無端ベルト表面上に転写させる転写手段と、前記ローラにより形成される前記無端ベルトのカール部、前記転写手段により前記無端ベルト表面上に転写された前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンを検出する検出手段と、を有する画像形成装置において、前記無端ベルトを少なくとも1回転させて前記検出手段による前記カール部の検出動作を行い、前記カール部が検出された場合、前記カール部に重ならないように前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンを作成し、前記無端ベルトの停止時には、前記カール部とこれを形成した前記ローラの位置が一致するように前記無端ベルトを停止させることにより解決される。
【0010】
また、各ローラ間の距離は、前記無端ベルトの進行方向における前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンの長さよりも大きいと好ましい。
また、前記無端ベルトが1回転する間に前記カール部が検出されなかった場合、前記無端ベルトの任意の位置に前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンを作成し、前記無端ベルトの停止時には、前記無端ベルトを任意の位置で停止させると好ましい。
【0011】
また、前記無端ベルトの停止時には、回転開始前に各ローラに掛け回されていた箇所が各ローラからずれるように、前記無端ベルトを停止させると好ましい。
また、前記カール部の検出動作において、最初のカール部が検出された直後に、当該最初のカール部に重ならないように前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンを作成し、前記無端ベルトの停止時には、前記最初のカール部とこれを形成した前記ローラの位置が一致するように前記無端ベルトを停止させると好ましい。
【0012】
また、前記検出手段と各ローラ間の距離、及び各ローラの線速から、前記無端ベルトが回転し始めてから前記検出手段が各カール部を検知するまでの時間を予め求めておき、当該時間と実際に各カール部が検知されるまでの時間を比較することで、検知された各カール部が各ローラのいずれで付けられたものかを判断すると好ましい。
また、各ローラ間の距離が全て同一であると好ましい。
【0013】
また、前記無端ベルトの停止時には、各カール部又は各カール部に相当する箇所が次に通過する最寄りのローラに一致するように前記無端ベルトを停止させると好ましい。
また、各ローラの直径が全て同一であると好ましい。
【0014】
また、前記無端ベルトが長期間放置されたときの装置の立ち上げ後画像形成前に又は前記無端ベルトが長時間放置されたときの省エネルギーモード移行後画像形成前に、前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンを作成してこれらの調整を行う場合に、前記カール部の検出動作を行うと好ましい。
また、前記カール部の検出動作のオン・オフがユーザーにより切り替え可能であると好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無端ベルトを少なくとも1回転させて検出手段によるカール部の検出動作を行い、カール部が検出された場合、カール部に重ならないように位置調整用パターン及び/又は濃度調整用パターンを作成するため、カール部の影響による検出手段のパターン読み取り値の出力変動も抑制され、パターンの誤検知が防止され、結果的に補正精度が向上される。また、無端ベルトの停止時には、カール部とこれを形成したローラの位置が一致するように無端ベルトを停止させるため、カール部が無端ベルト上の異なる箇所に付くことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置の概略構成図である。
【図2】3本のローラに掛け回された無端ベルトである中間転写体を示す概略図である。
【図3】カール癖が形成された中間転写体でのセンサの出力電圧と時間の関係を示す図である。
【図4】カール癖504とカール癖502を避けてこれらの間に位置調整用のトナーパターンを形成したときのセンサの出力電圧と時間の関係を示す図である。
【図5】4本のローラに掛け回された別の中間転写体を示す概略図である。
【図6】中間転写体の動作開始から中間転写体の動作停止までの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置1の一例を模式的に示しており、先ず、この画像形成装置1について説明する。
当該カラー画像形成装置1では、図示のように給紙テーブル200上に装置本体100が載置されている。その装置本体100の上にはスキャナ300を取り付けると共に、その上に自動原稿給送装置(ADF)400を取り付けている。装置本体100内には、その略中央に無端ベルト状の中間転写体10を有する転写装置を設けており、中間転写体10は、図示しない駆動源により駆動される駆動ローラ14と2つの従動ローラ15,16の間に張架されて図1において時計回りに回動するようになっている。
【0018】
本発明に用いられる中間転写体10は、多層構造でも単層構造でも構わない。多層構造であれば、ベース層を例えば伸びの少ないフッ素樹脂やPVDFシート(ポリフッ化ビニリデンシート)やポリイミド系樹脂で作り、表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被って成るもの、単層であればPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)等の材質を用いるものがある。なお、本発明では、特に中間転写体10の材質を特定する必要は無い。
【0019】
また、この中間転写体10は、従動ローラ15の左方に設けられているクリーニング装置17により、その表面に画像転写後に残留する残留トナーが除去されるようになっている。その中間転写体10の駆動ローラ14と従動ローラ15の間に架け渡された直線部分の上方には、その中間転写体10の移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4つのドラム状の感光体40Y,40M,40C,40Bk(以下、特定しない場合には単に感光体40と呼ぶ)が所定の間隔を置いて配設されている。そして、中間転写体10の内側に像担持体としての各感光体40に対向して中間転写体10を挟むように、4個の転写手段としての1次転写ローラ58が設けられている。
【0020】
4個の各感光体40は、それぞれ図1で反時計回りに回転可能であり、その各感光体40の回りには、それぞれ帯電装置、現像装置60、上述した1次転写ローラ58、感光体クリーニング装置、除電装置を設けており、それぞれ作像ユニット18を構成している。そして、その4個の作像ユニット18の上方に、共用の露光装置21を設けている。
そして、その各感光体上に形成された各画像(トナー画像)が、中間転写体10上に直接重ね合わせて順次転写されていくようになっている。
一方、中間転写体10の下側には、その中間転写体10上の画像を記録紙であるシートに転写する転写部からなる2次転写装置22を設けている。その2次転写装置22は、2つのローラ23,23間に無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡したものであり、その2次転写ベルト24が中間転写体10を介して従動ローラ16に押し当たるようになっている。
【0021】
この2次転写装置22は、2次転写ベルト24と中間転写体10との間に送り込まれるシートに、中間転写体10上のトナー画像を一括転写する。
そして、2次転写装置22のシート搬送方向下流側には、シート上のトナー画像を定着する定着装置25があり、そこでは無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられている。
なお、2次転写装置22は、画像転写後のシートを定着装置25へ搬送する機能も果たす。また、この2次転写装置22は、転写ローラや非接触のチャージャを使用した転写装置であってもよい。その2次転写装置22の下側には、シートの両面に画像を形成する際にシートを反転させるシート反転装置28を設けている。
【0022】
このように、この装置本体100は、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置1を構成している。
このカラー画像形成装置1によってカラーコピーをとるときは、自動原稿給送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。また、手動で原稿をセットする場合には、自動原稿給送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、自動原稿給送装置400を閉じてそれを押える。
【0023】
そして、図示していないスタートキーを押すと、自動原稿給送装置4に原稿をセットしたときは、その原稿がコンタクトガラス32上に給送される。また、手動で原稿をコンタクトガラス32上にセットしたときは、直ちにスキャナが駆動し、第1走行体33および第2走行体34が走行を開始する。そして、第1走行体33の光源から光が原稿に向けて照射され、その原稿面からの反射光が第2走行体34に向かうと共に、その光が第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入射して、原稿の内容が読み取られる。
【0024】
また、上述したスタートキーの押下により、中間転写体10が回動を開始する。さらに、それと同時に各感光体40Y,40M,40C,40Kが回転を開始して、その各感光体上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各単色トナー画像を形成する動作を開始する。そして、その各感光体上に形成された各色のトナー画像は、図1で時計回りに回動する中間転写体10上に重ね合わせて順次転写されていき、そこにフルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0025】
一方、上述したスタートキーの押下により、給紙テーブル2内の選択された給紙段の給紙ローラ42が回転し、ペーパーバンク43の中の選択された1つの給紙カセット44からシートが繰り出され、それが分離ローラ45により1枚に分離されて給紙路46に搬送される。そのシートは、搬送ローラ47により装置本体1内の給紙路48に搬送され、レジストローラ49に突き当たって一旦停止する。
【0026】
また、手差し給紙の場合には、手差しトレイ51上にセットされたシートが給紙ローラ50の回転により繰り出され、それが分離ローラ52により1枚に分離されて手差し給紙路53に搬送され、レジストローラ49に突き当たって一旦停止状態になる。
そのレジストローラ49は、中間転写体10上の合成カラー画像に合わせた正確なタイミングで回転を開始し、一旦停止状態にあったシートを中間転写体10と2次転写装置22との間に送り込む。そして、そのシート上に2次転写装置22でカラー画像が転写される。
【0027】
そのカラー画像が転写されたシートは、搬送装置としての機能も有する2次転写装置22により定着装置25へ搬送され、そこで熱と加圧力が加えられることにより転写されたカラー画像が定着される。その後、そのシートは、切換爪55により排出側に案内され、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出されて、そこにスタックされる。
また、両面コピーモードが選択されているときには、片面に画像を形成したシートを切換爪55によりシート反転装置28側に搬送し、そこで反転させて再び転写位置へ導き、今度は裏面に画像を形成した後に、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体10は、クリーニング装置17により画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去され、タンデム画像形成装置による再度の画像形成に備える。
【0028】
前述したコピー動作に加えて、画像形成装置内では安定した出力画像を維持するための様々な調整を行っている。これらの調整は従来行われているものであるため詳述しないが、例えば、各色のトナー像の色ずれに関しては、各色の位置調整用パターン形成手段である感光体40により中間転写体10上に各色の位置調整用パターンを作成し、位置調整用パターンに対向して配置された検出手段である光学式反射型センサ(図示せず)によってこれらを検出し、センサの出力に基づいてその間隔が理想に対してどの程度ずれているかを計算し、補正している。色合わせのための各色の位置調整用パターンは、光学式反射型センサの出力電圧がある値を超えたときにパターンとして認識される。また、画像濃度調整に関しても、各色の濃度調整用パターン形成手段である感光体40により中間転写体10上に各色の濃度調整用パターンを作成し、同一の又は異なる光学式反射型センサにより読み取り、センサの出力に基づいて濃度に関する各条件の補正が行われ、安定した濃度が維持できるようになっている。特許文献3は、濃度補正パターンと位置ずれ補正パターンを利用してプロセスコントロールを行う方法を詳述している。
【0029】
このような光学式反射型センサとして、数種類の光学センサが知られており、発光素子としてのLEDと、受光素子としてのフォトダイオード(PD)またはフォトトランジスタ(PTr)とを組み合わせた反射型センサが一般的に知られている。そのセンサ構成としては、正反射光のみを検出するタイプ(特許文献4参照)、拡散反射光のみを検出するタイプ(特許文献5,6参照)、両者を検出するタイプ(特許文献7参照)の3つのタイプがある。
【0030】
ところで、使用するベルト材質や、無端ベルトの内側及び外側の支持ローラによる無端ベルトの張力などにより、また無端ベルトにテンションが掛かった状態で長時間放置されることにより、中間転写体10にはローラに掛った箇所でカール癖が生じてしまう。なお、長時間放置の場合とは、例えば1週間以上放置される場合をいう。図3に示すように、カール癖が付いた無端ベルトの箇所を光学式反射型センサで読み取るとき、この箇所ではベルト面が曲面状になっているため、この箇所での反射光の向きがセンサの受光素子からずれてセンサで受光される反射光が減る。従って、この箇所における出力電圧は、平坦な中間転写体10の地肌部分に比べて低下する。この場合、カール部をパターンとして誤検知してしまい、適切な色ずれ補正ができない可能性がある。
【0031】
また、画像濃度調整時は無端ベルト上に濃度が段階的に異なるトナーパッチを作成し、それをセンサで読み取ったときの出力電圧を付着量に換算する方法が用いられることが多いが、トナーパッチが出力電圧の変動しているカール癖の部分に重なってしまうと、下地の変動分が上乗せされた出力電圧が得られてしまうため、この場合もトナー付着量の誤検知に繋がる可能性がある。
【0032】
そこで、カール癖の対策として、無端ベルトの内側に抑え部材を配置したり、ローラを設けたりする方法があるが、固定の押さえ部材を用いると無端ベルト内側に傷やカスが発生して、製品寿命が短くなり、また、無端ベルトに対向する抑え部材の振動で異音が発生する可能性もある。曲面のローラの場合は、センサの発光・受光の位置関係を保つために、高い精度でローラを取り付ける必要がある。また、ローラを設けたとしても、大きいカール癖の場合には十分矯正できない場合もある。
【0033】
そこで本発明では、中間転写体10にカール癖が付いた場合でも、その影響を受けずに位置調整用パターンや濃度調整用パターンを用いた各種の調整を安定的且つ確実に行う構成を発案した。本発明の本質は、カール癖が付いている箇所にはパターンを形成せず、また中間転写体の回転停止時には、カール癖を元のローラに一致させて中間転写体を停止させ、他の箇所にカール癖を付けないことにある。これにより、カール癖の影響を受けることなく、センサによるパターンの読み取り値の出力変動を抑制し、パターンの誤検知を防止することができる。
【0034】
図2は、3本のローラ15,14,16に掛け回された無端ベルトである中間転写体10を示す概略図である。ここで、ローラ15とローラ14の軸心間の距離をA(mm)、ローラ14とローラ16の軸心間の距離をB(mm)、ローラ16とローラ15の軸心間の距離をC(mm)としており、各距離A,B,Cはそれぞれ異なっている。各距離A,B,Cは、中間転写体10の進行方向における各種調整用のトナーパターン群の長さよりも大きい。また、ローラ14とローラ16の間であってローラ16の軸心からD(mm)だけ離れた位置にはローラ14の近傍に、カール癖を検出するための光学式反射型センサ501が配置されている。このセンサ501は、位置調整用パターンや濃度調整用パターンを検出する機能も有している。このように、3本のローラ14,15,16に掛け回されている中間転写体10には、各ローラに掛け回された領域でカール癖が付くことがある。ここで、502は、ローラ14により付けられたカール癖であり、503は、ローラ15により付けられたカール癖であり、504は、ローラ16により付けられたカール癖である。
【0035】
調整動作に入る前に、カール癖の検出動作として、先ず中間転写体10を図中時計回りに線速V(mm/s)で1回転させ、センサ501によるカール癖の検出を行う。このとき、カール癖は、ローラ14により付けられたカール癖502、ローラ15により付けられたカール癖503、ローラ16により付けられたカール癖504の順で、センサ501を通過する。すると、図3に示すように、カール癖部分を検知したセンサ501の出力電圧は変化するので、出力電圧の変化からカール癖の発生が確認でき、またセンサ501によるカール癖部分の検知若しくは中間転写体10の回転開始からの経過時間からカール癖部分の位置を把握することができる。
【0036】
図2において、最初のカール癖502がセンサ501の下方に到達したときには、これがセンサ501で検知され、ローラ14でカール癖502が形成されていたことが確認される。また、ローラ14でカール癖502が形成されておらず、ローラ15のカール癖503が最初に検知されたとしても、中間転写体10の回転開始からの経過時間に基づいて、これが中間転写体10上のどのローラにより付けられたカールであるか判別することができる。同様に、ローラ16のカール癖504が最初に検知されたとしても、経過時間からこれがローラ16のカール癖504であると判別することができる。
【0037】
本発明では、中間転写体10を1回転させるので、どのカール癖が形成されているのか、いないのかを把握することができる。従って、各カール癖502,503,504の位置情報に基づいて、カール癖502,503,504を避けるようにして、中間転写体10上に、各色の位置調整用パターンや各色の濃度調整用パターンを作成し、位置や濃度の補正を行うことができる。例えば、1番目のカール癖が検知され、2番目・3番目のカール癖は検知されなかった場合、1番目のカール癖さえ避けてパターンを形成すればよいため、2番目・3番目のカール癖に対応する部分にもパターンを形成することができ、パターン形成の自由度が広がり、ユーザーの待ち時間を短縮することができる。
【0038】
また、中間転写体10を必ず1回転させるのではなく、センサ501でカール癖502,503,504のいずれか1つが検知された直後に、このカール癖を避けるようにして中間転写体10上に各種の調整用パターンを作成してもよい。この場合、最初に検知されたカール癖と、次の場合によっては存在するカール癖の間にパターンを形成することになるが、中間転写体10を1回転させる必要が無いため、ユーザーの待ち時間を短縮することができる。
【0039】
そして、各種調整動作とプリント動作終了後の中間転写体10の回転停止時には、経過時間及び/又はカール癖の位置情報に基づいて、各カール癖502,503,504が、各カール癖を付けた同一のローラ14,15,16上に再度停止するように中間転写体10を制御する。これにより、カール癖が中間転写体10上の異なる箇所に付くことを回避することができ、確実にカール癖とカール癖の間に各種調整用パターンを作成することが可能となる。従って、中間転写体10のカール癖と各種調整用パターンが重なることが防止され、中間転写体10のカール癖の影響によるセンサの読み取り値の出力変動も抑制され、各種調整用パターンの誤検知が防止され、結果的に補正精度が向上される。
【0040】
また、各ローラ14,15,16の直径を同一に構成してもよい。これにより、形成されるカール癖の大きさも一様になるため、センサでのカール癖の検出と、中間転写体10の回転停止時におけるカール癖とローラの重ね合わせの精度が高められる。
【0041】
また、各ローラ14,15,16間の距離A,B,C(mm)、ローラ16からセンサ501までの距離D(mm)及び各ローラの線速V(mm/s)から、中間転写体10が回転し始めてからセンサ501が各カール癖を検知するまでの時間を予め算出することができ、この時間と実際にカール癖が検知されるまでの時間を比較することで、検知されたカール癖がどのローラで付けられたものかを確実に判断することができる。
【0042】
一方、各ローラ14,15,16間の距離A,B,C(mm)、ローラ16からセンサ501までの距離D(mm)及び各ローラの線速V(mm/s)から、中間転写体10が回転し始めてからの経過時間のみを観測することで、場合によっては存在する各カール癖があるべき位置を把握することができる。従って、センサ501によるカール癖の検知の有無にかかわらず、すなわちセンサ501を使用せずに、カール癖502とカール癖503の間、カール癖503とカール癖504の間又はカール癖504とカール癖502の間に、各種調整用パターンを作成することが可能となる。そして、中間転写体10の回転停止時には、経過時間にのみ基づいて、場合によっては存在する各カール癖502,503,504の部分が、元のローラ14,15,16上に再度停止するように中間転写体10を制御すればよい。
【0043】
また、中間転写体10が1回転する間にカール癖が検知されない場合、カール癖による誤検知の恐れは無いので、1回転後に任意の位置に調整用パターンの作成を開始することで、調整動作が正常に実行されて高品位な画像を維持し続けることが可能となる。この場合、中間転写体10の停止時には中間転写体10を任意の位置で停止させることができ、ユーザーの待ち時間が短縮される。さらに、この停止時には、回転開始からの経過時間に基づいて、中間転写体10の回転開始前にローラに巻き付けられていた箇所がローラからずれるように、中間転写体10を停止させてもよく、これにより中間転写体10上の特定の箇所におけるカール癖の形成を回避することができる。
【0044】
また、図示しないが、各ローラの間隔を同一に設定して3つのローラを正三角形の頂点の位置に配置してもよい。この場合、中間転写体を1回転させて各カール癖をセンサで検知した後、又は3つのカール癖の内のいずれか1つのカール癖をセンサで検知した後、又はカール癖の検知を行わなくても経過時間のみに基づいて、カール癖とカール癖の間に調整用パターンを作成して、調整を行えばよい。この場合、中間転写体の停止時には、各カール癖をそれを形成した各ローラに一致させる必要はなく、各カール癖が次に通過する最寄りのローラに一致するように中間転写体10を停止させればよい。このとき、場合によっては存在する全てのカール癖が3つのローラ位置に一致して停止することになる。これにより、中間転写体10を回転させる時間が短縮され、ユーザーの待ち時間が短縮される。
【0045】
図4は、カール癖504とカール癖502を避けてこれらの間に位置調整用のトナーパターンを形成したときのセンサの出力電圧と時間の関係を示す図である。
図示しないが、位置調整用のトナーパターンとして、中間転写体10上には、その進行方向に直交する方向に延びるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4本の横線と、進行方向から45°の角度で延びるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4本の斜め線が、所定間隔で形成されている。カール癖504とカール癖502の間に形成された各色の4本の横線(図示せず)の部分では、中間転写体10の地肌部分よりも反射光がかなり少なくなるため、図示のように出力電圧も地肌部分よりかなり小さくなり、これによりこれらの部分がパターンとして検知される。また、各色の4本の斜め線(図示せず)の部分では、4本の横線程ではないが出力電圧が小さくなっている。
【0046】
一方、センサ501により又はセンサ501によらずとも経過時間により、カール癖504,502の位置を把握できるため、これらを避けるようにトナーパターン群を形成することができる。このとき、前述したように、各距離A,B,Cは中間転写体10の進行方向における各種調整用のトナーパターン群の長さよりも大きいため、8本のトナーパターン群がカール癖504,502に重なることはない。また、図示の例では、位置調整用のトナーパターンの出力電圧とカール癖の出力電圧を分かり易く示してあるが、カール癖の間に濃度調整用のトナーパターンを形成し、又は位置調整用及び濃度調整用のトナーパターンを形成してもよい。
【0047】
図5は、4本のローラ602,603,604,605に掛け回された別の中間転写体10を示す概略図である。ここで、ローラ603とローラ602の軸心間の距離をA(mm)、ローラ602とローラ605の軸心間の距離をB(mm)、ローラ605とローラ604の軸心間の距離をC(mm)、ローラ604とローラ603の軸心間の距離をD(mm)としており、各距離A,B,C,Dはそれぞれ異なっている。各距離A,B,C,Dは、中間転写体10の進行方向における各種調整用のトナーパターン群の長さよりも大きい。また、ローラ602とローラ605の間であってローラ605の軸心からE(mm)だけ離れた位置にはローラ602の近傍に、カール癖を検出するための光学式反射型センサ601が配置されている。このセンサ601は、位置調整用パターンや濃度調整用パターンを検出する機能も有している。ここで、606は、ローラ602により付けられたカール癖であり、607は、ローラ603により付けられたカール癖であり、608は、ローラ604により付けられたカール癖であり、609は、ローラ605により付けられたカール癖である。
【0048】
この場合も、調整動作に入る前に、カール癖の検出動作として、先ず中間転写体10を図中時計回りに線速V(mm/s)で1回転させ、センサ601によるカール癖の検出を行う。このとき、カール癖は、ローラ602により付けられたカール癖606、ローラ603により付けられたカール癖607、ローラ604により付けられたカール癖608、ローラ605により付けられたカール癖609の順で、センサ601を通過する。すると、図3と同様に、カール癖部分を検知したセンサ601の出力電圧は変化するので、出力電圧の変化からカール癖部分の発生が確認でき、またセンサ601によるカール癖部分の検知若しくは中間転写体10の回転開始からの経過時間からカール癖部分の位置を把握することができる。また、図2の実施形態と同様に、各ローラ間の距離A,B,C,Dやローラ605からのセンサの距離Eなどの各ローラ及びセンサの位置関係と、ベルト線速Vを把握しておくことで、中間転写体10の位置及び各カール癖の位置を把握することができる。従って、中間転写体10の回転開始からの経過時間を把握することにより、検出されたカール癖がどのローラで付けられたカールであるか判別することができる。
【0049】
従って、中間転写体10を1回転させて各カール癖606,607,608,609をセンサで検知した後、又は4つのカール癖の内のいずれか1つのカール癖をセンサで検知した後、又はカール癖の検知を行わなくても経過時間のみに基づいて、各カール癖の位置情報からカール癖を避けるようにして、中間転写体10上に調整用パターンを作成し、位置や濃度の補正を行えばよい。
【0050】
そして、各種調整動作とプリント動作終了後の中間転写体10の回転停止時には、経過時間及び/又はセンサによるカール癖の位置情報に基づいて、各カール癖606,607,608,609が、各カール癖を付けた同一のローラ602,603,604,605上に再度停止するように中間転写体10を制御すればよい。
【0051】
なお、各ローラ602,603,604,605の直径を同一に構成すれば、形成されるカール癖の大きさも一様になるため、センサでのカール癖の検出と、中間転写体10の停止時におけるカール癖とローラの重ね合わせの精度が高められる。
【0052】
また、中間転写体10が1回転する間にカール癖が検知されない場合、カール癖による誤検知の恐れは無いので、1回転後に任意の位置に調整用パターンの作成を開始することで確実に画像品質を維持し続けることが可能となる。この場合、中間転写体10の停止時には中間転写体10を任意の位置で停止させることができ、ユーザーの待ち時間が短縮される。さらに、この停止時には、回転開始からの経過時間に基づいて、中間転写体10の回転開始前にローラに巻き付けられていた箇所がローラからずれるように、中間転写体10を停止させてもよく、これにより中間転写体10上の特定の箇所におけるカール癖の形成を回避することができる。
【0053】
また、図示しないが、各ローラの間隔を同一に設定して4つのローラを正方形の頂点の位置に配置してもよい。この場合、中間転写体を1回転させて各カール癖を検知した後、又は4つのカール癖の内のいずれか1つのカール癖をセンサで検知した後、又はカール癖の検知を行わずに経過時間のみに基づいて、カール癖とカール癖の間に調整用パターンを作成して、調整を行えばよい。そして、中間転写体の停止時には、各カール癖をそれを形成した各ローラに一致させる必要はなく、各カール癖が次に通過する最寄りのローラに一致するように中間転写体10を停止させればよい。このとき、場合によっては存在する全てのカール癖が4つのローラ位置に一致して停止することになる。これにより、中間転写体10を回転させる時間が短縮され、ユーザーの待ち時間が短縮される。
【0054】
本発明のカール癖の検出動作は、中間転写体が例えば1週間以上の長期間の間放置されたときに、画像形成装置の立ち上げ後画像形成前に必ず各種の調整が実行される場合や、中間転写体が長時間放置された省エネルギーモード移行後画像形成前に調整を行う場合に実行されると、特に有効である。しかし、装置の使用頻度が高く、放置期間が短いときはカール癖は形成されないと予想されるため、このような場合は、このカール癖検知自体を切り替え可能なモードとし、ユーザーが、例えば画像形成装置の操作パネルから切り替えて実行しないようにしてもよい。これにより、ユーザーの待ち時間がさらに低減され得る。
【0055】
図6は、本発明における中間転写体の動作開始から動作停止までの処理手順を示すフローチャートである。
先ず、中間転写体の1回転分以上の時間が経過するまで中間転写体を回転させ、センサによりどの位置にカール癖が存在するかを確認する(ステップS1)。次に、中間転写体の回転開始からの経過時間やセンサによるカール癖部分の検知から各カール癖の位置が把握できるため、検出されたカール癖に重ならないように各種調整用のパターンを作成する(ステップS2)。結局カール癖が1つも検知されなかった場合は、回転開始前にローラに巻き付けられていた箇所を避ける必要はなく、中間転写体上の任意の位置にパターンが作成される。なお、中間転写体の1回転分の時間t(s)は中間転写体の長さ(mm)とローラの線速(mm/s)から求められる。なお、このステップS1,S2に代えて、いずれか1つのカール癖が検知された直後に、このカール癖と次の場合によっては存在するカール癖との間にパターンを作成してもよい。さらには、このステップS1,S2に代えて、センサによるカール癖の検知を行わずに、中間転写体を1回転させることなく、場合によっては存在する全てのカール癖の位置を避けるようにパターンを作成してもよい。
【0056】
次いで、パターンの読み取り完了後に各種の補正が行われ(ステップS3)、プリント動作が行われる(ステップS4)。このとき、プリント動作が行われない場合もある。プリント動作後は、ステップS1において1又は複数のカール癖が検知された場合、検知された各カール癖が元のローラに一致するまで中間転写体を回転させ、そこで停止させる(ステップS5)。一方、ステップS1においてカール癖が検知されずに中間転写体の一回転分以上の時間が経過した後にパターンを作成していた場合、中間転写体上にカール癖は無いので、中間転写体を任意の位置で速やかに停止させる(ステップS6)。
【0057】
また、ステップS1,S2に代えて、いずれか1つのカール癖が検知された直後に、このカール癖と次の場合によっては存在するカール癖との間にパターンを作成していた場合も、検知されたカール癖が元のローラに一致するまで中間転写体を回転させ、そこで停止させればよい。さらには、ステップS1,S2に代えて、センサによるカール癖の検知を行わずに、中間転写体を1回転させることなく、場合によっては存在する全てのカール癖の位置を避けるようにパターンを作成していた場合も、経過時間に基づいて、場合によっては存在する全てのカール癖の位置が元のローラに一致するまで中間転写体を回転させ、そこで停止させればよい。
【0058】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光学式反射型センサは異なる箇所に取り付けてもよいし、中間転写体が5本以上のローラに掛け回されていてもよい。画像形成装置の各部構成も任意であり、例えばタンデム式に限らず、リボルバ方式などの任意の作像方式を採用可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としては複写機に限らず、プリンターやファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
10 中間転写体(無端ベルト)
14,15,16,602,603,604,605 ローラ
40 感光体(像担持体)
58 1次転写ローラ(転写手段)
501,601 センサ(検出手段)
502,503,504,606,607,608,609 カール癖(カール部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2001−215809号公報
【特許文献2】特開2010−66521号公報
【特許文献3】特開2009−300682号公報
【特許文献4】特開2001−324840号明細書
【特許文献5】特開平5−249787号明細書
【特許文献6】特許第315555号明細書
【特許文献7】特開2006−139179号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像形成手段により作成される色合わせのための位置調整用パターンや濃度調整用パターンなどのトナー像を担持する像担持体と、
少なくとも2本のローラに掛け回された回転可能な無端ベルトと、
前記像担持体上のトナー像を前記無端ベルト表面上に転写させる転写手段と、
前記ローラにより形成される前記無端ベルトのカール部、前記転写手段により前記無端ベルト表面上に転写された前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンを検出する検出手段と、を有する画像形成装置において、
前記無端ベルトを少なくとも1回転させて前記検出手段による前記カール部の検出動作を行い、前記カール部が検出された場合、前記カール部に重ならないように前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンを作成し、前記無端ベルトの停止時には、前記カール部とこれを形成した前記ローラの位置が一致するように前記無端ベルトを停止させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
各ローラ間の距離は、前記無端ベルトの進行方向における前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンの長さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記無端ベルトが1回転する間に前記カール部が検出されなかった場合、前記無端ベルトの任意の位置に前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンを作成し、前記無端ベルトの停止時には、前記無端ベルトを任意の位置で停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記無端ベルトの停止時には、回転開始前に各ローラに掛け回されていた箇所が各ローラからずれるように、前記無端ベルトを停止させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カール部の検出動作において、最初のカール部が検出された直後に、当該最初のカール部に重ならないように前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンを作成し、前記無端ベルトの停止時には、前記最初のカール部とこれを形成した前記ローラの位置が一致するように前記無端ベルトを停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検出手段と各ローラ間の距離、及び各ローラの線速から、前記無端ベルトが回転し始めてから前記検出手段が各カール部を検知するまでの時間を予め求めておき、当該時間と実際に各カール部が検知されるまでの時間を比較することで、検知された各カール部が各ローラのいずれで付けられたものかを判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
各ローラ間の距離が全て同一であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記無端ベルトの停止時には、各カール部又は各カール部に相当する箇所が次に通過する最寄りのローラに一致するように前記無端ベルトを停止させることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
各ローラの直径が全て同一であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記無端ベルトが長期間放置されたときの装置の立ち上げ後画像形成前に又は前記無端ベルトが長時間放置されたときの省エネルギーモード移行後画像形成前に、前記位置調整用パターン及び/又は前記濃度調整用パターンを作成してこれらの調整を行う場合に、前記カール部の検出動作を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記カール部の検出動作のオン・オフがユーザーにより切り替え可能であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−88639(P2012−88639A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237251(P2010−237251)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】