説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置全体の生産性の低下を軽減しつつ、画像形成中の定着不良の発生を防止する。
【解決手段】連続通紙しても定着装置の加熱部材を熱定着が可能な温度に維持できる定常状態では、定格電力を超えない範囲内で加熱部材に電力を供給して熱定着動作を行う画像形成装置であって、加熱部材の温度を監視し、印刷ジョブ開始後、当該ジョブの進行に応じて加熱部材の温度が低下する場合に、当該低下量に基づいて当該印刷ジョブが終了すべき時点までに加熱部材の温度が、熱定着可能な温度の下限値を下回るか否かを推定し(S706)、加熱部材の温度が、下限値を下回ると推定される場合に(S707:YES)、印刷ジョブ実行中に加熱部材の温度が下限値を下回る前に、定格電力よりも大きく、自装置において受け入れ可能な電力の許容上限値を超えない範囲内で加熱部材への供給電力を、当該定格電力の超過分だけ増やすように制御する(S706)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置を備えた画像形成装置に関し、特に、ウォームアップ直後の画像形成時における定着装置の加熱部材の温度低下に起因する定着不良の発生を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の分野においては、ウォームアップ時間の短縮化や省エネルギー化を図るため、熱容量の小さい加熱部材を用いて熱定着動作を行う定着装置が利用されるようになってきている。例えば、加熱部材として熱容量が大きい加熱ローラーの代わりに、加熱ベルトを用いることにより、加熱部材の厚みを薄くし、その分、熱容量を小さくし、加熱部材のウォームアップ時間の短縮化及び加熱に要する消費電力の低減化を図ることができる。
【0003】
一方、このような熱容量の小さい加熱部材を用いて短時間で加熱部材のウォームアップが行われると、加熱部材に比べ、熱容量が大きい加圧ローラーが充分に昇温されていない状態で画像形成動作が開始されてしまうことがあり、このような場合には、画像形成中に加熱部材の熱の一部が加圧ローラー側に奪われて、加熱部材の温度が、熱定着が可能な温度よりも低下して定着不良が生じる場合がある。
【0004】
特に、定着装置が、環境温度が低い状態で長時間放置された後に、ウォームアップ動作が行われた場合には、ウォーアップ直後の画像形成動作において、上記のような定着不良が生じやすい。
このような定着不良の発生を防止するため、加熱部材の温度が、熱定着が可能な温度よりも低下した場合には、画像形成動作を中断し、再度ウォームアップを行い、加熱部材の温度が熱定着可能な温度以上になると、画像形成動作を再開したり、印刷速度を遅くして記録シートと加熱部材との接触時間を長くしたりする措置が取られている。
【0005】
或いは、画像形成装置の一部の機能(例えば、スキャン機能や後処理のステープル機能等)を制限して、当該機能を実行するために利用される電力を熱定着動作の方に余分に配分し、余分に配分した分だけ、定着装置へ多くの電力を供給してウォームアップ直後の画像形成動作における加熱部材の温度低下を低減するという措置がとられている。
これにより、ウォーアップ直後の画像形成動作において、画像形成中に定着不良が発生するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−292988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような措置がとられた場合には、画像形成動作が途中で中断されたり、印刷速度が遅くなったり、画像形成装置の一部の機能が制限されたりするので、画像形成装置全体の生産性が低下してしまうという問題が生じる。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、画像形成装置全体の生産性の低下を軽減しつつ、画像形成中の加熱部材の温度低下に起因する定着不良の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る画像形成装置は、記録シートを連続して通紙しても定着装置の加熱部材を熱定着が可能な温度に維持できる定常状態においては、定格電力を超えない範囲内で前記加熱部材に電力を供給し、未定着画像の熱定着動作を行う画像形成装置であって、前記加熱部材の温度を監視する温度監視手段と、印刷ジョブ開始後、当該印刷ジョブの進行に応じて前記加熱部材の温度が低下する場合に、当該低下量に基づいて当該印刷ジョブが終了すべき時点までに前記加熱部材の温度が、熱定着が可能な温度の下限値を下回るか否かを推定する推定手段と、前記加熱部材の温度が、前記下限値を下回ると推定される場合に、前記印刷ジョブ実行中に前記加熱部材の温度が前記下限値を下回る前に、前記定格電力よりも大きく、自装置において受け入れ可能な電力の許容上限値を超えない範囲内で前記加熱部材への供給電力を、当該定格電力を超過する分だけ増やすように制御する電力制御手段と、を備える。
【0009】
前記電力制御手段は、所定期間における平均値において、前記許容上限値を超えないように前記供給電力を制御することとすることができる。
又、前記加熱部材は、無端状の加熱ベルトであり、前記定着装置は、当該加熱ベルトに加圧部材を圧接して定着ニップを形成し、前記加圧部材は、前記加熱ベルトよりも熱容量が大きいこととすることができる。
【0010】
又、前記温度推定手段は、電源オン後、ウォームアップ終了後、スリープモードからの復帰後の何れかの後の最初の印刷ジョブである場合であって、当該印刷ジョブの実行により前記加熱部材の温度が低下する場合に当該印刷ジョブが終了すべき時点における前記加熱部材の温度を推定することとすることができる。
又、前記許容上限値は、前記定格電力の110%に相当する値であることとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を備えることにより、印刷ジョブが終了すべき時点までに加熱部材の温度が、熱定着が可能な温度の下限値を下回ると推定される場合に、当該印刷ジョブの実行中に当該加熱部材の温度が前記下限値を下回る前に、定格電力よりも大きく、自装置において受け入れ可能な電力の許容上限値を超えない範囲内で当該加熱部材への供給電力が、定格電力を超過する分だけ増加するように制御されるので、加熱部材の温度が印刷ジョブの実行中に前記下限値まで低下しにくくすることができ、その分、画像形成動作の途中中断や印刷速度の低速化等の定着不良を防ぐための動作を印刷ジョブの途中で行う頻度を少なくすることができ、その結果、画像形成装置の生産性の低下を軽減しつつ、画像形成中の加熱部材の温度低下に起因する定着不良の発生を有効に防止することができる。
【0012】
さらに、定格電力分の電力供給を維持しつつ、定格電力を超過する分の電力を利用して加熱部材への供給電力が増加されるように制御されるので、定格電力を利用する、定着装置以外の他の電気機器への供給電力に影響を与えないようにすることができ、印刷ジョブ実行中にこれらの電気機器の機能が、供給電力の不足により停止されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係るプリンター1の構成を示す図である。
【図2】定着装置5の構成を示す断面図である。
【図3】制御部60の構成と制御部60の制御対象となる主構成要素との関係を示す図である。
【図4】電力制御部606と電源部700と電源部700からの電力供給の対象となる主要構成要素との関係を示す図である。
【図5】ブレーカーを流れる電流量とブレーカー402が動作するまでの動作時間との対応関係を示すグラフ(動作特性曲線)である。
【図6】プリンター1の電源をオンし、ウォームアップ処理が完了した後に、連続印刷処理を実行した場合における、定着装置5の加熱ベルト52の表面温度の経時変化の例を示す。
【図7】制御部60が行う電力制御処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】制御部60が行うジョブ終了時加熱ベルト温度推定処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】制御部60が行う供給電力制御処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る一形態の画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンター(以下、単に「プリンター」という。)に適用した場合を例にして説明する。
[1]プリンターの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンター1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るプリンター1の構成を示す図である。同図に示すように、このプリンター1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60を備えている。
【0015】
プリンター1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)や図示しない表示部を有する操作パネルから印刷指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを記録シートへ多重転写してフルカラーの画像を形成することにより、記録シートへの印刷処理を実行する。以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成要素の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
【0016】
画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部10、中間転写ベルト11、二次転写ローラー45などを有している。作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。
作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、一次転写ローラー34Y、感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナー35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。現像器33Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラー12と従動ローラー13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。又、従動ローラー13の近傍には、中間転写ベルト11上に残留するトナーを除去するためのクリーナー21が配置されている。
【0017】
露光部10は、レーザーダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザー光Lを発し、作像部3Y、3M、3C、3Kの各感光体ドラムを露光走査する。この露光走査により、帯電器32Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
【0018】
各感光体ドラム上に形成された静電潜像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの
各現像器により現像されて各感光体ドラム上に対応する色のトナー像が形成され
る。形成されたトナー像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各一次転写ローラー(図1では、作像部3Yに対応する一次転写ローラーのみ符号34Yを付し、他の一次転写ローラーについては、符号を省略している。)により、中間転写ベルト11上の同じ位置で重ね合わされるように、中間転写ベルト11上にタイミングをずらして順次一次転写された後、二次転写ローラー45による静電力の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に二次転写される。
【0019】
トナー像が二次転写された記録シートは、さらに定着装置5に搬送され、記録シート上のトナー像(未定着画像)が、定着装置5において加熱及び加圧されて記録シートに熱定着された後、排出ローラー71により排紙トレイ72に排出される。
給紙部4は、記録シート(図1の符号Sで表す)を収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラー42と、繰り出された記録シートを二次転写位置46に送り出すタイミングをとって記録シートを搬送するタイミングローラー44などを備えている。
【0020】
給紙カセットは、1つに限定されず、複数であってもよい。記録シートとしては、大きさや厚さの異なる用紙(普通紙、厚紙)やOHPシートなどのフィルムシートを利用できる。給紙カセットが複数ある場合には、大きさ又は厚さ又は材質の異なる記録シートを複数の給紙カセットに収納することとしてもよい。
タイミングローラー44は、中間転写ベルト11上の同じ位置で重ね合わされるように中間転写ベルト11上に一次転写されたトナー像が二次転写位置46に搬送されるタイミングに合わせて、記録シートをニ次転写位置46に搬送する。そして、二次転写位置46において、二次転写ローラー45により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に二次転写される。
【0021】
繰り出しローラー42、タイミングローラー44等の各ローラーは、搬送モーター(不図示)を動力源とし、歯車ギヤーやベルトなどの動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。この搬送モーターとしては、例えば、高精度の回転速度の制御が可能なステッピングモーターが使用される。
[2]定着装置の構成
次に定着装置5の構成について説明する。図2は、定着装置5の構成を示す断面図である。同図の符号Sは、未定着画像が形成された記録シートを示す。同図に示すように、定着装置5は、定着ローラー51、加熱ローラー53、定着ローラー51と加熱ローラー53とによって張架される加熱ベルト52と、加熱ベルト52を介して定着ローラー51を押圧して定着ニップを形成する加圧ローラー54等から構成される。
【0022】
加圧ローラー54が、加圧ローラー駆動モーター55により矢印A方向に回転駆動されることにより、定着ローラー51、加熱ベルト52、加熱ローラー53が矢印B方向に従動回転する。加圧ローラー駆動モーター55の駆動は、制御部60により制御され、これにより、加圧ローラー54の回転速度が制御される。
加熱ベルト52の近傍には、加熱ベルト52の温度を検出する温度センサー534が配置されており、制御部60は、温度センサー534の検出する検出温度に応じて加熱ローラー53の温度を制御(後述するヒーター533のオンオフを制御することにより、加熱ローラー53の温度を制御)し、加熱ベルト52の温度が所定温度(例えば、180℃)になるように制御する。温度センサー534としては、非接触型の温度センサー、例えばサーミスタを用いることができる。
【0023】
定着ローラー51は、円筒状の金属製の芯金511の外周面を、弾性層512で被覆して構成される。定着ローラー51は、例えば、肉厚2〜5mmの円柱状の芯金511の外周面に厚さ2〜10mmの弾性層512を形成し、外径20〜50mmのローラーとして構成することができる。芯金511に用いる金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、SUS(ステンレス)等の金属を使用することができる。弾性層512としては、シリコーンゴム、シリコーンスポンジ等の弾性体を使用することができる。
【0024】
加熱ベルト52は、周回駆動される無端状のベルトであり、加熱ローラー53により加熱され、熱定着動作時に記録シートSと接触して記録シート上の未定着画像を熱溶融させる。加熱ベルト52は、基層、弾性層、離型層が、この順に積層されて構成される。加熱ベルト52としては、例えば、外径60〜120mmで、基層の厚さが40〜150μm、弾性層の厚さが100〜300μm、離型層の厚さが30〜50μmのものを用いることができる。
【0025】
基層としては、ニッケル(Ni)等の金属、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性の樹脂を用いることができる。弾性層としては、シリコーンゴムなどの耐熱弾性材料を用いることができる。離型層としては、例えば、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(四フッ化エチレン)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化エチレン共重合体)、PFEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)等のフッ素樹脂を使用することができる。
【0026】
加熱ローラー53は、中空円筒状の金属製の芯金531と、その外周面を被覆するコート層532とを有し、芯金531の内部(中空部)には、ヒーター533が配置されている。加熱ローラー53としては、例えば、外径約25mm(芯金531の厚さ約1mm、コート層532の厚さ約20μm)のローラーを用いることができる。芯金531に用いる金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、SUS(ステンレス)等の金属を使用することができる。コート層532は、加熱ベルト52との磨耗による劣化防止のために設けられ、一般的なテフロン(登録商標)コートと同等の役割をする。コート層532としては、例えば、PTFEを用いることができる。又、ヒーター533としては、例えば、999W、発光長290mmのハロゲンヒーターランプを用いることができる。
【0027】
加圧ローラー54は、中空円筒状の金属製の芯金541と、その外周面を被覆する弾性層542と、弾性層542の外周面を被覆する離型層543とから構成される。加圧ローラー54としては、例えば、外径35mm(芯金541の厚さ2mm、弾性層542の厚さ4mm、離型層543の厚さ約30μm)のローラーを用いることができる。
芯金541に用いる金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、SUS(ステンレス)等の金属を使用することができる。弾性層542としては、例えば、シリコーンゴム、シリコーンスポンジ、フッ素ゴム等の弾性材料を用いることができる。離型層543としては、加熱ベルト52の離型層と同様の材料を用いることができる。
【0028】
なお、図示していないが、定着装置5には、定着ローラー51、加熱ローラー53、加圧ローラー54の長手方向両端部を支え、かつ、これらの部材を覆っているフレームが設けられている。このフレームには、記録シートの出入口部や、定着ローラー51、加熱ローラー53、加圧ローラー54の長手方向両端部を支えている付近において、必要に応じて隙間が設けられている。
[3]制御部の構成
図3は、制御部60の構成と制御部60の制御対象となる主構成要素との関係を示す図である。制御部60は、所謂コンピュータであって、同図に示されるように、CPU(Central Processing Unit)601、通信インターフェース(I/F)部602、ROM(Read Only Memory)603、RAM(Random Access Memory)604、画像データ記憶部605、電力制御部606、閾値記憶部607などを備える。
【0029】
通信I/F部602は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。ROM603には、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、画像読取部6、操作パネル7、温度センサー534、後述する電流センサー403等を制御するためのプログラム及び後述する電力制御処理を制御するためのプログラムなどが格納されている。
【0030】
RAM604は、CPU601のプログラム実行時のワークエリアとして用いられる。
画像データ記憶部605は、通信I/F部602や画像読取部6を介して入力された、印刷用の画像データを記憶している。電力制御部606は、後述する電源部700へ制御信号を出力することにより、電源部700から定着装置5や、定着装置5以外の後述する負荷群404への供給電力を制御する。
【0031】
図4は、電力制御部606と電源部700と電源部700からの電力供給の対象となる主要構成要素との関係を示す図である。同図に示すように、電源部700は、ブレーカー402、電流センサー403を介して商用電源(例えばAC100V)401と接続され、電力制御部606から出力される制御信号に応じて定着装置5及び負荷(電力供給の対象となる電気機器)群404への供給電力が制御される。ここで、負荷群404には、定着装置以外の負荷(画像プロセス部3の駆動系、給紙部4の駆動系、画像読取部6、操作パネル7等)が含まれる。
【0032】
図5は、ブレーカー402を流れる電流量とブレーカー402が動作するまでの動作時間との対応関係を示すグラフ(動作特性曲線)である。同図において縦軸は、動作時間を、横軸は、ブレーカー402を流れる電流量の、定格電流に対する百分率(%)をそれぞれ表し、両軸は、対数目盛で示されている。同図に示すように、ブレーカー402の動作時間は、ブレーカー402を流れる電流量の増加とともに、急減する傾向を示す。例えば、定格電流(ここでは、15A)に対する百分率が125%の電流量(18.75A)の場合、ブレーカー402は、当該電流量に達してから、30秒後に動作し、当該百分率が300%の電流量(45A)の場合、ブレーカー402は、当該電流量に達してから、1秒後に動作する。電力制御部606は、電流量を検出する電流センサー403を介して、電源部700に供給される電流量を監視し、ブレーカー402が動作して、定着装置5や負荷群404への電力供給が停止されないように、両者への供給電力を制御する。
【0033】
図6は、プリンター1の電源をオンし、ウォームアップ処理が完了した後に、連続印刷処理を実行した場合における、定着装置5の加熱ベルト52の表面温度の経時変化の例を示す。
同図においては、定着装置5への供給電力をそれぞれ、900W、1000W、1100Wとし、各供給電力を用いて加熱ベルト52の表面温度を定着温度(ここでは、180℃)に維持する温度調整を行った場合における加熱ベルト52の表面温度の経時変化が示されている。同図の符号61は、供給電力が900Wの場合の経時変化を、符号62は、供給電力が1000Wの場合の経時変化を、符号63は、供給電力が1100Wの場合の経時変化をそれぞれ表し、縦軸は、加熱ベルト52の表面温度(℃)を、横軸は、連続印刷処理開始後の経過時間(秒)をそれぞれ表す。
【0034】
なお、上記の経時変化の試験において、プリンター1は、電源オン前に室温(25℃)状態で1日放置されたものを用い、印刷処理は、カラー印刷処理を用い、記録シートは、A4サイズの普通紙を用い、印刷速度は60枚/分、連続印刷枚数は、80枚とした。
同図に示すように、定着装置5への供給電力が符号61の900W、符号62の1000Wの場合には、連続印刷処理の途中で(900Wの場合は、連続印刷処理の開始後14秒(14枚目)、1000Wの場合には、連続印刷処理の開始後26秒(26枚目)を超えたとき)加熱ベルト52の表面温度が、符号64で示す熱定着が可能な温度(ここでは、170℃)を下回った。
【0035】
一方、定着装置5への供給電力が符号63の1100Wの場合には、加熱ベルト52の表面温度が、連続印刷中に熱定着が可能な温度を下回ることはなかった。一般的に商用電源(AC100V)で供給可能な最大電流(定格電流)は、15Aであり、商用電源を用いた場合にプリンター1が利用できる最大電力(定格電力)は、1500Wである。負荷群404の機能を維持するために、500W〜600Wの電力が必要となることを考慮すると、定格電力を使用した場合に定着装置5に供給できる電力は、900W〜1000Wとなり、電源オン後のウォームアップ直後の印刷処理において、定着不良が生じないようにするには、供給電力が不足することになる。
【0036】
このため、本実施の形態では、印刷ジョブの実行に応じて加熱ベルト52の表面温度が低下し、印刷ジョブを終了する時点までに加熱ベルト52の表面温度が、熱定着が可能な温度を下回る可能性がある場合に、後述する電力制御処理を行うことにより、電気用品安全法で定められている最大電流量(定格電流の110%)を超えない範囲で、定格電力を超える電力をプリンター1に供給し、超過した電力分に相当する分だけ、定着装置5への供給電力を増やす制御を行っている。
【0037】
これにより、電源オン直後等の加熱ベルト52の表面温度が低下しやすい環境下での連続印刷処理において、定格電力の内から電力が配分される負荷群404への供給電力を確保しつつ、超過分の電力を利用することにより印刷ジョブの途中での加熱ベルト52の表面温度低下に起因する定着不良の発生を未然に防ぎ、供給電力の不足によりプリンター1の一部の機能が制限され、プリンター1全体の生産性が低下するのを有効に防止することができる。
【0038】
図3の説明に戻って、閾値記憶部607は、後述する電力制御処理において使用される各種の閾値を記憶している。
[4]電力制御処理
図7は、制御部60が行う電力制御処理の動作を示すフローチャートである。プリンター1の電源がオンされると(ステップS701)、制御部60は、電力制御部606を介して定着装置5へウォームアップ処理を実行するのに必要な電力を供給し、ウォームアップ処理を実行させる(ステップS702)。
【0039】
ウォームアップ処理終了後、制御部60は、電力制御部606を介して、定着装置5と負荷群404に必要な電力を配分する(ここでは、定格電力1500Wの内、900Wを定着装置5に、残り600Wを負荷群404に配分するものとする。)(ステップS703)。
通信I/F部602又は操作パネル7を介して印刷ジョブの実行指示を受取ると(ステップS704)、制御部60は、印刷ジョブを開始し(ステップS705)、後述するジョブ終了時加熱ベルト温度推定処理を行う(ステップS706)。
【0040】
ステップS706の処理において推定された、実行指示された印刷ジョブの終了時における加熱べルト52の表面温度(te)が、定着温度の下限閾値温度(tm)を下回る場合には(ステップS707:YES)、制御部60は、後述する供給電力制御処理を行う(ステップS708)。
次に制御部60が行うジョブ終了時加熱ベルト温度推定処理の動作について説明する。図8は、上記動作を示すフローチャートである。制御部60は、ステップS705において印刷ジョブを開始すると、温度センサー534から、印刷ジョブ開始直後の加熱ベルト52の表面温度(t0)を取得し(ステップS801)、さらに、t0取得時から所定時間(S1秒)経過後、温度センサー534から加熱ベルト52の表面温度(t1)を再度取得する(ステップS802:YES、ステップS804)。
【0041】
又、t0取得時から所定時間(S1秒)経過する前に、印刷ジョブが終了した場合には(ステップS802:NO、ステップS803:YES)、制御部60は、電力制御処理の動作を終了する。
なお、ステップS802におけるS1秒の計測は、例えば、タイマーを用いて行うことができる。S1秒は、記録シートを加熱ベルト52に連続通紙した場合における加熱ベルト52の表面温度の低下速度を推定するための時間であり、推定した低下速度に基づいて、加熱ベルト52の表面温度が、印刷ジョブが終了すべき時点までに熱定着が可能な温度を下回るか否かの推定を迅速に行えるようにするため、当該時間は、なるべく短時間であることが望ましい。S1は、予め閾値記憶部607に記憶されている。ここでは、S1秒を例えば、5秒とする。
【0042】
次に制御部60は、t0とt1の大小比較を行うことにより、印刷ジョブの進行により、加熱ベルト52の表面温度が低下しているか否かを判定し(ステップS805)、低下している場合に(ステップS805:YES)、t1が下限閾値温度(tm)以下まで低下しているか否かを判定する(ステップS806)。
ここで、「下限閾値温度(tm)」とは、定着不良を起こすことなく、未定着画像の熱定着を行うことが可能な加熱ベルト52の表面温度の下限値(ここでは、例えば、定着温度(180℃)より10℃低い170℃とする。)のことをいい、予め閾値記憶部607に記憶されている。下限閾値温度(tm)は、予め製造者によって、実験等の実施により、熱定着温度と定着性の関係が調べられ、その結果に基づいて決定される。
【0043】
下限閾値温度(tm)は、印刷形式(例えば、カラー印刷か、モノクロ印刷か)、記録シートの種類(普通紙か、厚紙)等によって異なる値を定め、閾値記憶部607に記憶させておくこととし、印刷ジョブの印刷条件に対応する下限閾値温度(tm)を用いることとしてもよい。
ステップS806の判定結果が否定的である場合(ステップS806:NO)、制御部60は、取得したt0、t1及びS1、tmの値から、下記の計算式1により加熱ベルト52の表面温度が、下限閾値温度(tm)に達するまでの時間(S2秒(t0取得時からtmに達するまでの時間))を算出する(ステップS807)。
【0044】
S2=(t0−tm)/(t0−t1)×S1 (計算式1)
ここでは、加熱ベルト52の表面温度(t)が、下限閾値温度(tm)に達するまで、一定の温度低下速度(単位時間(秒)当たり(t0−t1)/S1の温度低下速度)で低下すると擬制してS2秒を算出している。
そして、制御部60はさらに、プリンター1の印刷速度A(枚/秒)、及び算出したS2の値から、下記の計算式2により、印刷ジョブ開始後、S2秒経過するまでに印刷可能な枚数(P1)を算出する(ステップS808)。
【0045】
P1=A×S2 (計算式2)
次に制御部60は、実行指示された印刷ジョブにおける印刷枚数(P0)と算出したP1の大小を比較することにより、当該印刷ジョブの終了時における加熱ベルト52の表面温度(te)と下限閾値温度(tm)との大小を推定する(ステップS809)。
すなわち、P0>P1の場合には、加熱ベルト52の表面温度(t)が、下限閾値温度(tm)まで低下したときに、実行指示された印刷ジョブの印刷処理が完了していないことになり、その後、未完了の印刷処理が実行されることにより、
当該印刷ジョブの終了時における加熱ベルト52の表面温度(te)は、下限閾値温度(tm)よりもさらに低下することになる。一方、P0≦P1の場合には、加熱ベルト52の表面温度(t)が、下限閾値温度(tm)まで低下するまでに、実行指示された印刷ジョブの印刷処理が終了していることになり、当該印刷ジョブの終了時における加熱ベルト52の表面温度(te)は、下限閾値温度(tm)以上となる。
【0046】
なお、ステップS807及びステップS808の処理を行う代わりに、下記の計算式3により印刷ジョブ終了時における加熱ベルト52の表面温度(te)を算出することとし、ステップS809においてtmとの大小を直接比較することとしてもよい。
te=t0−(t0−t1)/S1×(P0/A) (計算式3)
又、ステップS805の判定結果が否定的である場合(ステップS805:NO)、ステップS806の判定結果が肯定的である場合(ステップS806:YES)、制御部60は、電力制御処理の動作を終了する。
【0047】
次に制御部60が行う供給電力制御処理の動作について説明する。図9は、上記動作を示すフローチャートである。制御部60は、電力制御部606を介して、定格電力(1500W)を超える所定の電力(1800W)が自装置に供給されるように供給電力を増やす制御をして負荷群404への供給電力の配分(600W)を維持しつつ、超過電力分を定着装置5へ供給して定着装置5への供給電力を1200Wに増大する(ステップS901)。
【0048】
これにより、定着装置5への供給電力が定格電力(1500W)を超過した分(300W)だけ増大されるように制御される。自装置への供給電力の増大は、自装置に供給される電流量を増加させる(ここでは、電流量を15Aから18Aに20%増加させる)ことにより実現される。
制御部60は、上記の制御を開始後、定格電力(1500W)を超える電力が供給される定格電力超過時間(So秒)の計測を開始し(ステップS902)、So秒が許容時間に到達したか否かを判定する(ステップS903)。
【0049】
ここで、「許容時間」とは、自装置に供給される供給電力が定格電力の許容範囲(定格電力の110%)を超えないように、予め製造者によって定められている、Soの上限値のことをいい、閾値記憶部607に記憶されている。ここでは、10秒とする。なお、定格電力超過時間(So秒)の計測は、例えば、タイマーを用いて計測することができる。
定格電力の許容範囲は、電気用品安全法(電気用品の技術上の基準を定める省令第2項の規定に基づく基準J60950 の総則1.6.2)で定められている定格電流の110%以下という基準を充足するように定められている。ここでは、所定時間(本実施の形態では、20秒としている。)内の電流量の平均値が定格電流(ここでは、15A)の110%(16.5A)を超えないように定められている。
【0050】
本供給電力制御処理の動作においては、後述するように、10秒単位で、定格電力(1500W)の120%(1800w)の供給電力と定格電力(1500W)の供給電力とが交互に切替えられるように自装置に対する供給電力の制御が行われ、所定時間(ここでは、20秒とする。)における平均値においては、供給電力が定格電力の110%(1650W)を超えないように(すなわち、定格電流の110%を超えないように)自装置に対する供給電力の制御が行われる。
【0051】
Soが許容時間に到達すると(ステップS903:YES)、制御部60は、自装置への供給電力を定格電力に戻し、定着装置5への供給電力を、ウォームアップ終了時の900Wに制御し(ステップS904)、定格電力を供給する供給時間である定格電力供給時間(Sp)の計測を開始し(ステップS905)、Spが電力調整終了時間に到達したか否かを判定する(ステップS906)。
【0052】
ここで、「電力調整終了時間」とは、定格電力超過時間(So)に供給された超過電力により、所定時間(ここでは、20秒)における供給電力の平均値が、定格電力の許容範囲(定格電力の110%)を超えないように調整するのに要する
定格電力での電力供給時間のことをいい、閾値記憶部607に記憶されている。ここでは、電力調整終了時間を10秒とする。なお、定格電力供給時間(Sp)の計測は、例えば、タイマーを用いて計測することができる。
【0053】
Spが電力調整終了時間に到達すると(ステップS906:YES)、制御部60は、温度センサー534から加熱ベルト52の表面温度(t1)を取得し(ステップS907)、t1が下限閾値温度(tm)以上か否かを判定する(ステップS908)。
t1が下限閾値温度(tm)を下回っている場合には(ステップS908:NO)、制御部60は、ステップS901の処理に移行し、t1が下限閾値温度(tm)以上であれば(ステップS908:YES)、制御部60は、実行指示された印刷ジョブが終了する(ステップS909:YES)まで、ステップS905〜ステップS908の処理を繰り返す。
【0054】
又、ステップS903の判定結果が否定的であり(ステップS903:NO)、Soが許容時間に到達するまでに実行指示された印刷ジョブが終了した場合には(ステップS910:YES)、制御部60は、制御部60は、自装置への供給電力を定格電力に戻し、定着装置5への供給電力を、ウォームアップ終了時の900Wに制御した後(ステップS911)、電力制御処理を終了する。
【0055】
このように、本実施の形態の電力制御処理においては、印刷ジョブが終了すべき時点における加熱ベルト52の表面温度(te)が下限閾値温度(tm)よりも低下し、印刷ジョブの実行途中で定着不良が生じるおそれがある場合に、加熱ベルト52の表面温度(t)が下限閾値温度(tm)に達する前に、許容範囲内(定格電力の110%以内)で一時的に定格電力を超える電力を自装置に供給し、超過分の電力を定着装置5に余分に供給することで加熱ベルト52の表面温度(t)が下限閾値温度(tm)を下回らないように供給電力が制御される。
【0056】
このため、電源オン直後等の加熱ベルト52の表面温度が低下しやすい環境下での印刷ジョブの実行処理において、加熱ベルト52の表面温度が印刷ジョブの実行中に下限閾値温度(tm)まで低下しにくくすることができ、その分、画像形成動作の途中中断や印刷速度の低速化等の画像形成中の定着不良を防ぐための動作を印刷ジョブの途中で行う頻度を少なくすることができる。
【0057】
さらに、印刷ジョブ実行中、負荷群404への供給電力が維持され、定着装置以外の他の電気機器への供給電力に影響を与えないようにすることができ、印刷ジョブ実行中にこれらの電気機器の機能が、供給電力の不足により停止されないようにすることができる。
このように、本電力制御処理を実行することにより、プリンター1全体の生産性の低下を軽減しつつ、印刷ジョブの途中での加熱ベルト52の表面温度の低下に起因する定着不良の発生を防止することができる。
【0058】
[6] 変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1)本実施の形態では、記録シート上の未定着画像を熱定着させるための、定着装置5の加熱部材として加熱ベルト52を使用したが、本実施の形態の適用対象となる加熱部材は、加熱ベルトに限定されず、他の加熱部材であってもよい。例えば、加熱部材として、加熱ローラーを用いることとしてもよい。
【0059】
又、本実施の形態では、定着装置5の加熱方式として、ヒーター加熱方式を用いたが、本実施の形態の適用対象となる加熱方式は、ヒーター加熱方式に限定されず、他の加熱方式であってもよい。例えば、電誘導加熱方式であってもよい。
(2)本実施の形態では、供給電力制御処理において、実行指示された印刷ジョブの終了時における加熱べルト52の表面温度(te)が、定着温度の下限閾値温度(tm)を下回ると推定される場合に、自装置に定格電力を超える電力を供給する定格電力超過時間の許容時間を10秒としたが、ブレーカー402が動作を開始するまでの時間の範囲内で、許容時間を長くすることとしてもよい。例えば、図9の供給電力制御処理の動作において、許容時間及び定格電力供給時間をそれぞれ30秒とすることとしてもよい。図5に示すブレーカー402の動作特性曲線より、定格電力の125%の場合のブレーカー402の動作時間が30秒であるので、定格電力の120%の電力を自装置に供給しても、ブレーカー402は、少なくとも30秒間は動作しない。
【0060】
又、上記のように供給電力を制御しても、1分間の平均値において、自装置への供給電力が、定格電力の110%(1650W)を超えないように制御(すなわち、定格電流の110%を超えないように制御)することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、定着装置を備えた画像形成装置に関し、特に、ウォームアップ直後の画像形成時における定着装置の加熱部材の温度低下に起因する定着不良の発生を抑制する技術として利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 プリンター
3 画像プロセス部
4 給紙部
5 定着装置
6 画像読取部
7 操作パネル
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラー
13 従動ローラー
21、35Y クリーナー
31Y 感光体
32Y 帯電器
33Y 現像器
41 給紙カセット
42 繰り出しローラー
43 搬送路
44 タイミングローラー
45 二次転写ローラー
46 二次転写位置
51 定着ローラー
52 加熱ベルト
53 加熱ローラー
54 加圧ローラー
55 駆動モーター
60 制御部
71 排出ローラー
72 排紙トレイ
401 商用電源
402 ブレーカー
403 電流センサー
404 負荷群
534 温度センサー
700 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートを連続して通紙しても定着装置の加熱部材を熱定着が可能な温度に維持できる定常状態においては、定格電力を超えない範囲内で前記加熱部材に電力を供給し、未定着画像の熱定着動作を行う画像形成装置であって、
前記加熱部材の温度を監視する温度監視手段と、
印刷ジョブ開始後、当該印刷ジョブの進行に応じて前記加熱部材の温度が低下する場合に、当該低下量に基づいて当該印刷ジョブが終了すべき時点までに前記加熱部材の温度が、熱定着が可能な温度の下限値を下回るか否かを推定する推定手段と、
前記加熱部材の温度が、前記下限値を下回ると推定される場合に、前記印刷ジョブ実行中に前記加熱部材の温度が前記下限値を下回る前に、前記定格電力よりも大きく、自装置において受け入れ可能な電力の許容上限値を超えない範囲内で前記加熱部材への供給電力を、当該定格電力を超過する分だけ増やすように制御する電力制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電力制御手段は、所定期間における平均値において、前記許容上限値を超えないように前記供給電力を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記加熱部材は、無端状の加熱ベルトであり、前記定着装置は、当該加熱ベルトに加圧部材を圧接して定着ニップを形成し、
前記加圧部材は、前記加熱ベルトよりも熱容量が大きい
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記温度推定手段は、電源オン後、ウォームアップ終了後、スリープモードからの復帰後の何れかの後の最初の印刷ジョブである場合であって、当該印刷ジョブの実行により前記加熱部材の温度が低下する場合に当該印刷ジョブが終了すべき時点における前記加熱部材の温度を推定する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記許容上限値は、前記定格電力の110%に相当する値である
ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−113867(P2013−113867A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257144(P2011−257144)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】