説明

画像形成装置

【課題】選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させるとともに、選択されたエラーモードに対応する復旧操作手順を出力して表示させることによって、ユーザは、エラーの種類に応じた復旧操作手順を正確に、かつ、短時間で適切に学習することができ、実際にエラーが発生した場合に要する復旧時間を短縮することができるようにする。
【解決手段】媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、複数のエラーモードの情報を格納する記憶手段と、前記複数のエラーモードの中から1つのエラーモードを選択するエラーモード選択手段と、選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させるエラー発生手段と、前記選択されたエラーモードに対応した復旧操作手順を報知する復旧操作手順報知手段と、前記画像形成装置の装置状態に基づいてメッセージを表示するメッセージ表示手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータから印刷データを受信して、印刷を行うプリンタ等の画像形成装置においては、印刷中にインク切れ、紙詰まり等のエラーが発生すると、表示灯としてのLED(Light Emitting Diode)の点灯点滅のパターンの変化、警報装置としてのブザーの警報音のパターンの変化、LEDの点灯点滅のパターンとブザーの警報音のパターンとの組み合わせの変化等によって、各種のエラーの状態をユーザに報知するようになっている。すると、ユーザは、報知されたエラーの状態を把握し、操作マニュアル等を参照して、エラーの状態に応じて適切なエラー解除操作を実行することができる。
【0003】
もっとも、不慣れなユーザの場合には、操作マニュアル等を参照しても、報知されたエラーの状態を的確に把握したり、エラーの状態に応じて適切なエラー解除操作を即座に実行することが困難である。そこで、ホストコンピュータ上で選択されたエラーの状態に応じ、画像形成装置におけるLEDの点灯点滅のパターンやブザーの警報音のパターンを変化させて各種のエラーの状態をユーザに報知するシミュレーションを実行する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
これにより、ユーザは、あらかじめ、報知されたエラーの状態の的確な把握や、エラーの状態に応じた適切なエラー解除操作の実行を学習することができるので、実際にエラーが発生した場合であっても、適切に対処することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−54094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の画像形成装置においては、報知されたエラーの状態の把握や、エラーの状態に応じたエラー解除操作の実行を学習するために、依然として、ユーザは、操作マニュアル等を参照する必要がある。そして、操作マニュアル等の記載内容は、不慣れなユーザにとっては理解が困難である。そのため、実行されたシミュレーションに従って学習を繰り返しても、エラーの状態に応じた適切なエラー解除操作を実行することは、不慣れなユーザにとっては、依然として困難である。
【0007】
本発明は、前記従来の画像形成装置の問題点を解決して、選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させるとともに、選択されたエラーモードに対応する復旧操作手順を出力して表示させることによって、ユーザは、エラーの種類に応じた復旧操作手順を正確に、かつ、短時間で適切に学習することができ、実際にエラーが発生した場合に要する復旧時間を短縮することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像形成装置においては、媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、複数のエラーモードの情報を格納する記憶手段と、前記複数のエラーモードの中から1つのエラーモードを選択するエラーモード選択手段と、選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させるエラー発生手段と、前記選択されたエラーモードに対応した復旧操作手順を報知する復旧操作手順報知手段と、前記画像形成装置の装置状態に基づいてメッセージを表示するメッセージ表示手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置は、選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させるとともに、選択されたエラーモードに対応する復旧操作手順を出力して表示させるようになっている。これにより、ユーザは、エラーの種類に応じた復旧操作手順を正確に、かつ、短時間で適切に学習することができ、実際にエラーが発生した場合に要する復旧時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧トレーニングモードプログラムのプログラム構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のエラーモード選択画面の表示例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の紙詰まりが発生した状態を示す概略図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧作業中のメッセージ表示画面の第1の表示例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧作業中のメッセージ表示画面の第2の表示例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧作業終了メッセージ表示画面の表示例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧トレーニングモードプログラムのプログラム構成を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置のエラーモード選択画面の表示例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧作業中のメッセージ表示画面の表示例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示す概略図、図2は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧トレーニングモードプログラムのプログラム構成を示す図である。
【0013】
図において、10は本実施の形態における画像形成装置であり、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、各種の機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類のものであってもよい。ここでは、前記画像形成装置10が、電子写真方式によって媒体上に画像を形成する電子写真式プリンタであるものとして説明する。なお、前記画像形成装置10は、モノクロ画像を形成するものであってもよいし、カラー画像を形成するものであってもよいが、本実施の形態においては、カラー画像を形成するカラープリンタであるものとして説明する。
【0014】
この場合、ブラック(B)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色画像形成ユニットが、媒体としての記録用紙21を搬送する媒体搬送路としての搬送路12に沿って、搬送方向(図1における右から左へ向かう方向)に順次並ぶように配設される。なお、前記搬送路12は、例えば、2つのローラに張設された搬送ベルトを備え、該搬送ベルトが回転することによって、該搬送ベルト上の記録用紙21を搬送する。また、前記画像形成装置10の内部には、前記搬送路12及び4つの画像形成ユニットに加えて、定着器11が配設されている。
【0015】
そして、図示されないトレイ内に積層されてセットされた記録用紙21は、給紙ローラによって1枚ずつ分離された状態で給紙された後、レジストローラによって所定のタイミングで送り出され、搬送路12に沿って搬送される間に、各画像形成ユニットによって形成されたトナー像が転写される。そして、記録用紙21が定着器11に送り込まれると、該定着器11の定着ローラと加圧ローラとによって定着プロセスが行われ、高温で加熱されて融解し、圧接されたトナー像が記録用紙21上に定着される。続いて、トナー像が定着された記録用紙21は、画像形成装置10内から排出され、画像形成装置10の筐(きょう)体の上面に形成された排紙トレイ上に載置される。
【0016】
また、前記画像形成装置10の内部状態を検出するためのセンサとして、記録用紙21が搬送路12上に存在するか否かを検出する用紙出力検出センサ18、搬送路12に供給される記録用紙21を検出する用紙入力検出第1センサ15a及び用紙入力検出第2センサ15b、筐体のカバーの開閉状態を検出するカバーオープン検出センサ16、並びに、定着器11が画像形成装置10にセットされているか否かを検出する定着器検出センサ17が配設されている。
【0017】
さらに、前記画像形成装置10は、該画像形成装置10を使用するユーザとのインターフェイスとして機能する操作パネル13と、画像形成装置10の動作を制御する制御装置14とを有する。そして、前記操作パネル13は、CRT、LCD(Liquid Crystal Display)パネル、LEDパネル等の表示手段、キーボード、タッチセンサ等の入力手段、スピーカ等の音声出力手段等を備える。また、前記制御装置14は、演算手段としてのCPU22、記憶手段としてのメモリ23、図示されない通信インターフェイス等を備える一種のコンピュータであり、前記操作パネル13、用紙出力検出センサ18、用紙入力検出第1センサ15a、用紙入力検出第2センサ15b、カバーオープン検出センサ16、定着器検出センサ17等と接続され、搬送路12、画像形成ユニット等を含む画像形成装置10の各部の動作を統合的に制御する。具体的には、前記CPU22は、メモリ23に格納されたプログラムを実行するとともに、操作パネル13と通信を行い、用紙出力検出センサ18、用紙入力検出第1センサ15a、用紙入力検出第2センサ15b、カバーオープン検出センサ16、定着器検出センサ17等のセンサからの検出情報を取得する。
【0018】
さらに、前記画像形成装置10は、パーソナルコンピュータ等の図示されない上位装置としてのホストコンピュータとLAN(Local Area Network)、イントラネット等の図示されない有線又は無線の通信回線を介して接続されている。
【0019】
そして、前記メモリ23には、他のプログラムとともに図2に示されるようなエラー復旧トレーニングモードプログラム31が格納されている。なお、該エラー復旧トレーニングモードプログラム31は、エラー情報テーブル32を含んでいる。該エラー情報テーブル32は、複数(図に示される例では、1からnまでのn個)のエラーモード情報33を格納し、該エラーモード情報33の各々は、エラー説明情報33a、エラー発生動作アドレス情報33b、復旧完了ステップ数情報33c、復旧状態情報33d及びメッセージ情報33eを含んでいる。
【0020】
前記エラー説明情報33aは、ユーザにシミュレーションの対象となるエラーを選択して貰う際に操作パネル13の表示手段に表示する情報であり、図に示されるように、例えば、「紙詰まり・フロント部」、「紙詰まり・定着部」等のように、どのようなエラーのシミュレーションを実行するかを簡潔に説明したものである。
【0021】
また、前記エラー発生動作アドレス情報33bは、ユーザによって選択されて入力されたエラーモードに対応するエラーを発生させるためにCPU22が実行すべきエラー発生動作プログラムが格納されたアドレスを指すものである。
【0022】
さらに、前記復旧完了ステップ数情報33cは、ユーザによって選択されて入力されたエラーモードに対応するエラーからの復旧操作に要する復旧ステップの数を指すものである。
【0023】
そして、前記復旧状態情報33dには、前記復旧ステップに対応する画像形成装置10の装置状態の期待値が格納されている。該装置状態の期待値は、画像形成装置10が有する各種のセンサ、例えば、用紙出力検出センサ18、用紙入力検出第1センサ15a、用紙入力検出第2センサ15b、カバーオープン検出センサ16、定着器検出センサ17等の検出値として表現される。なお、前記復旧状態情報33dには、装置状態の期待値が前記復旧状態情報33dの値と同じ数だけ格納されている。
【0024】
また、前記メッセージ情報33eには、現在の復旧ステップに対応する画面表示を操作パネル13の表示手段に表示するために必要となる表示情報が格納されている。なお、前記メッセージ情報33eには、画面表示の表示情報が前記復旧状態情報33dの値と同じ数だけ格納されている。
【0025】
さらに、前記エラー復旧トレーニングモードプログラム31は、復旧操作手順に間違いがあった場合に操作パネル13の表示手段に間違いがあったことを表示するために必要となる情報である復旧手順間違い画面情報35と、復旧操作手順が正常に終了した場合に操作パネル13の表示手段に復旧が正常に終了したことを表示するために必要となる情報である復旧終了画面情報36とを含んでいる。
【0026】
本実施の形態における画像形成装置10は、機能の観点から、複数のエラーモードの情報を格納する記憶手段と、複数のエラーモードの中から1つのエラーモードを選択するエラーモード選択手段と、選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させるエラー発生手段と、選択されたエラーモードに対応した復旧操作手順を報知する復旧操作手順報知手段と、画像形成装置10の装置状態に基づいてメッセージを表示するメッセージ表示手段とを有する。具体的には、メモリ23は前記記憶手段として機能し、操作パネル13は前記エラーモード選択手段、復旧操作手順報知手段及びメッセージ表示手段として機能し、CPU22は前記エラー発生手段として機能する。
【0027】
次に、前記構成の画像形成装置10の動作について説明する。
【0028】
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のエラーモード選択画面の表示例を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の紙詰まりが発生した状態を示す概略図、図5は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧作業中のメッセージ表示画面の第1の表示例を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧作業中のメッセージ表示画面の第2の表示例を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧作業終了メッセージ表示画面の表示例を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【0029】
まず、CPU22は、ユーザによる操作パネル13に対する入力操作を監視し、エラー復旧トレーニングモード開始コマンドが入力されたことを検出すると、エラー復旧トレーニングモードを開始する。ここでは、前記操作パネル13の表示手段は、いわゆるタッチパネルであって、ユーザが手指等でタッチすることによって入力が可能な入力手段としての機能をも発揮するものとして説明する。
【0030】
エラー復旧トレーニングモードが開始されると、CPU22は、ユーザにエラーモードの選択を促すためにエラー説明情報33aに基づいてエラー説明の一覧を並べた、図3に示されるようなエラーモード選択画面を作成し、該エラーモード選択画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。
【0031】
続いて、CPU22は、ユーザによる操作パネル13に対する入力操作を監視し、エラーモードが選択されたか否かの判断を繰り返す。そして、CPU22は、ユーザによって特定のエラーモードが選択されたことを検出すると、選択されたエラーモードに関連付けられたエラー復旧トレーニングを開始する。ここでは、図2に示される例におけるエラーモード情報1が選択されたものとして説明を行う。
【0032】
そして、CPU22は、エラー発生動作アドレス情報33bに示されるアドレスに格納されているエラー発生動作プログラムの内容を実行する。すなわち、ユーザによって選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させる。
【0033】
エラーモード情報1に対応するエラー発生動作プログラムは、通常の印刷と同じように記録用紙21の搬送を行うが、用紙入力検出第1センサ15aと用紙入力検出第2センサ15bとが記録用紙21を検出したタイミングで、画像形成装置10の有するすべてのモータの動作を停止させるように組まれたプログラムである。これにより、図4に示されるように、トレイから給紙された記録用紙21は、その先端が用紙入力検出第2センサ15bを通過した状態で搬送が停止させられるので、画像形成装置10のフロント部での紙詰まり状態を再現することができる。なお、用紙出力検出センサ18が記録用紙21を検出したタイミングですべてのモータの動作を停止させるようにすれば、画像形成装置10の定着部での紙詰まりを再現することが可能である。
【0034】
続いて、CPU22は、内部変数である復旧ステップカウントを初期化し、復旧ステップカウント=1とする。
【0035】
続いて、CPU22は、エラーモード情報1におけるメッセージ情報33eに基づいて、現在の復旧ステップカウントに対応する、図5に示されるようなメッセージ表示画面である復旧方法画面を作成し、該復旧方法画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。すると、ユーザは、前記復旧方法画面に示された復旧操作手順に従ってエラー解除操作を実行する。
【0036】
続いて、CPU22は、画像形成装置10の装置状態が変化したか否かの判断を繰り返し、装置状態が変化するまで待機する。前記装置状態が変化したか否かの判断は、画像形成装置10が有する各種のセンサの検出値が変化したか否かに基づいて行われる。
【0037】
そして、画像形成装置10の装置状態が変化すると、CPU22は、現在のセンサ検出値が、復旧状態情報33dにおける現在の復旧ステップカウントに対応したセンサ期待値と一致しているか否かの比較を行う。すなわち、前記装置状態は期待値と等しいか否かを判断する。
【0038】
ここで、比較を行った結果が不一致である場合、すなわち、前記装置状態が期待値と等しくない場合、CPU22は、復旧操作が期待通りに進んでいないものとみなす。例えば、図5に示される例では、センサ期待値は、カバーオープン検出センサ16の検出値が筐体のカバーが開いている状態を示す「1」であるから、現在のカバーオープン検出センサ16の検出値が「1」でない場合には、比較を行った結果が不一致である、すなわち、前記装置状態が期待値と等しくなく、復旧操作が期待通りに進んでいないこととなる。すると、CPU22は、復旧手順間違い画面情報35に基づいて、図6に示されるようなメッセージ表示画面である復旧手順間違い画面を作成し、該復旧手順間違い画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。そして、CPU22は、エラー復旧トレーニングモードを終了する。これにより、画像形成装置10は、通常状態に復帰する。
【0039】
また、比較を行った結果が一致である場合、すなわち、前記装置状態が期待値と等しい場合、CPU22は、復旧操作が期待通りに進んでいるものとみなす。例えば、図5に示される例では、センサ期待値は、カバーオープン検出センサ16の検出値が筐体のカバーが開いている状態を示す「1」であるから、現在のカバーオープン検出センサ16の検出値が「1」である場合には、比較を行った結果が一致である、すなわち、前記装置状態が期待値と等しく、復旧操作が期待通りに進んでいることとなる。すると、CPU22は、現在の復旧ステップカウントと復旧完了ステップ数情報33cとの比較を行い、復旧ステップカウントが復旧完了ステップ数情報33c以上であるか否かを判断する。
【0040】
ここで、比較を行った結果、復旧ステップカウントが復旧完了ステップ数情報33c以上である場合、CPU22は、復旧終了画面情報36に基づいて、図7に示されるようなメッセージ表示画面である復旧終了画面を作成し、該復旧終了画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。そして、CPU22は、エラー復旧トレーニングモードを終了する。これにより、画像形成装置10は、通常状態に復帰する。
【0041】
また、比較を行った結果、復旧ステップカウントが復旧完了ステップ数情報33cより小さい場合、CPU22は、復旧ステップカウントを1だけインクリメントする。すなわち、現在の復旧ステップカウントに1を加算した値を復旧ステップカウントとして設定する。そして、CPU22は、再度、図5に示されるようなメッセージ表示画面である復旧方法画面を作成し、該復旧方法画面を操作パネル13の表示手段に表示させ、以降の動作を繰り返す。
【0042】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 エラーモードの選択画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。
ステップS2 エラーモードが選択されたか否かを判断する。エラーモードが選択された場合はステップS3に進み、エラーモードが選択されなかった場合は判断を繰り返し行う。
ステップS3 選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させる。
ステップS4 復旧ステップカウントを1にする。
ステップS5 復旧方法画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。
ステップS6 装置状態が変化したか否かを判断する。装置状態が変化した場合はステップS7に進み、装置状態が変化しなかった場合は待機する。
ステップS7 装置状態が期待値と等しいか否かを判断する。装置状態が期待値と等しい場合はステップS9に進み、装置状態が期待値と等しくない場合はステップS8に進む。
ステップS8 復旧手順間違い画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。
ステップS9 復旧ステップカウントが復旧完了ステップ数情報33c以上であるか否かを判断する。復旧ステップカウントが復旧完了ステップ数情報33c以上である場合はステップS11に進み、復旧ステップカウントが復旧完了ステップ数情報33cより小さい場合はステップS10に進む。
ステップS10 復旧ステップカウントに1を加算した値を復旧ステップとして設定する。
ステップS11 復旧終了画面を操作パネル13の表示手段に表示させて処理を終了する。
【0043】
このように、本実施の形態においては、エラー復旧トレーニングモードが開始され、ユーザによって、例えば、紙詰まりが、エラーモードとして選択されると、画像形成装置10が紙詰まりのエラー状態を意図的に発生させ、ユーザが実行するエラー解除操作が、復旧方法画面に表示された紙詰まりのエラー状態に対する復旧操作手順に従って正しく実行されているか否かを、各種センサの検出値の期待値と、各種センサの実際の検出値とを比較することによって判別する。
【0044】
これにより、ユーザが実行するエラー解除操作が本来の復旧操作手順に従って正しく実行されていない場合には、復旧手順間違い画面を表示して、エラー解除操作の手順に誤りがある旨をユーザに報知することができるので、ユーザは、エラーの種類に応じた復旧操作手順を正確に、かつ、短時間で適切に学習することができ、実際にエラーが発生した場合に要する復旧時間を短縮することができる。
【0045】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0046】
図9は本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の構成を示す概略図、図10は本発明の第2の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧トレーニングモードプログラムのプログラム構成を示す図である。
【0047】
図9においては、ブラック(B)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色に対応する4つの画像形成ユニットが、それぞれ、40B、40Y、40M及び40Cとして描かれている。なお、4つの画像形成ユニット40B、40Y、40M及び40Cは、基本的に同一の構造を有するので、ここでは、そのうちの1つについて、画像形成ユニット40として説明する。また、他の部材についても、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色に対応するものとして識別する必要がある場合にはB、Y、M及びCの符号を付与して説明し、そうでない場合にはそのうちの1つについて、B、Y、M及びCの符号を付与せずに、説明する。
【0048】
各画像形成ユニット40は、像担持体としての感光体ドラム、並びに、該感光体ドラムの周囲に配設された感光体ドラムの表面を帯電させる帯電ローラ、感光体ドラムの表面を露光する露光装置、現像剤としてのトナーを感光体ドラムの表面に供給する現像剤担持体としての現像ローラ、及び、感光体ドラムの表面のトナー像を記録用紙21に転写する転写ローラを備える。さらに、各画像形成ユニット40は、各色のトナーを収容する現像剤収容容器としての着脱可能なトナーカートリッジ42、及び、該トナーカートリッジ42が画像形成ユニット40に取り付けられているか否かを検出するトナーカートリッジ検出センサ41を備える。
【0049】
なお、本実施の形態におけるCPU22は、前記第1の実施の形態と同様に、メモリ23に格納されたプログラムを実行するとともに、操作パネル13と通信を行い、用紙出力検出センサ18、用紙入力検出第1センサ15a、用紙入力検出第2センサ15b、カバーオープン検出センサ16、定着器検出センサ17等のセンサからの検出情報を取得するとともに、トナーカートリッジ検出センサ41からの検出情報も取得する。
【0050】
また、本実施の形態におけるメモリ23に格納されるエラー復旧トレーニングモードプログラム31は、図10に示されるようなプログラム構成を有する。すなわち、エラー情報テーブル32は、前記第1の実施の形態と同様に、複数のエラーモード情報33を格納するとともに、複数(例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの4つ)のトナー交換エラーモード情報34を格納する。該トナー交換エラーモード情報34の各々は、エラー説明情報34a、復旧完了ステップ数情報34c、復旧状態情報34d及びメッセージ情報34eを含んでいる。
【0051】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0052】
次に、本実施の形態における画像形成装置10の動作について説明する。
【0053】
図11は本発明の第2の実施の形態における画像形成装置のエラーモード選択画面の表示例を示す図、図12は本発明の第2の実施の形態における画像形成装置のエラー復旧作業中のメッセージ表示画面の表示例を示す図、図13は本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【0054】
まず、CPU22は、ユーザによる操作パネル13に対する入力操作を監視し、エラー復旧トレーニングモード開始コマンドが入力されたことを検出すると、エラー復旧トレーニングモードを開始する。
【0055】
エラー復旧トレーニングモードが開始されると、CPU22は、ユーザにエラーモードの選択を促すためにエラー説明情報33aに基づいてエラー説明の一覧を並べた、図11に示されるようなエラーモード選択画面を作成し、該エラーモード選択画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。
【0056】
続いて、CPU22は、ユーザによる操作パネル13に対する入力操作を監視し、エラーモードが選択されたか否かの判断を繰り返す。そして、CPU22は、ユーザによって特定のエラーモードが選択されたことを検出すると、トナー交換エラーモードが選択されたか否かを判断する。
【0057】
そして、トナー交換エラーモードが選択されなかった場合、CPU22は、選択されたエラーモードに関連付けられたエラー復旧トレーニングを開始し、エラー発生動作アドレス情報33bに示されるアドレスに格納されているエラー発生動作プログラムの内容を実行する。すなわち、ユーザによって選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させる。続いて、CPU22は、内部変数である復旧ステップカウントを初期化し、復旧ステップカウント=1とする。
【0058】
一方、トナー交換エラーモードが選択されたか否かを判断してトナー交換エラーモードが選択された場合、CPU22は、選択されたトナー交換エラーモードが複数のトナー交換エラーモード情報34のいずれに対応するかを判断し、エラー復旧トレーニングを開始する。すなわち、ユーザによって選択されたトナー交換エラーモードに対応するエラーを発生させる。続いて、CPU22は、内部変数である復旧ステップカウントを初期化し、復旧ステップカウント=1とする。
【0059】
ここでは、ユーザによって、シアンのトナー交換エラーモードが選択されたものとして説明を行う。
【0060】
続いて、CPU22は、シアンのトナー交換エラーモード情報34におけるメッセージ情報34eに基づいて、現在の復旧ステップカウントに対応する、図12に示されるようなメッセージ表示画面である復旧方法画面を作成し、該復旧方法画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。すると、ユーザは、前記復旧方法画面に示された復旧操作手順に従ってエラー解除操作を実行する。
【0061】
続いて、CPU22は、画像形成装置10の装置状態が変化したか否かの判断を繰り返し、装置状態が変化するまで待機する。前記装置状態が変化したか否かの判断は、画像形成装置10が有する各種のセンサの検出値が変化したか否かに基づいて行われる。
【0062】
そして、画像形成装置10の装置状態が変化すると、CPU22は、現在のセンサ検出値が、復旧状態情報34dにおける現在の復旧ステップカウントに対応したセンサ期待値と一致しているか否かの比較を行う。すなわち、前記装置状態は期待値と等しいか否かを判断する。
【0063】
ここで、比較を行った結果が不一致である場合、すなわち、前記装置状態が期待値と等しくない場合、CPU22は、復旧操作が期待通りに進んでいないものとみなす。例えば、図12に示される例では、センサ期待値は、トナーカートリッジ検出センサ41の検出値がトナーカートリッジ42が取り外されている状態を示す「1」であるから、現在のトナーカートリッジ検出センサ41の検出値が「1」でない場合には、比較を行った結果が不一致である、すなわち、前記装置状態が期待値と等しくなく、復旧作業が期待通りに進んでいないこととなる。すると、CPU22は、復旧手順間違い画面情報35に基づいて、前記第1の実施の形態において説明した図6に示されるようなメッセージ表示画面である復旧手順間違い画面を作成し、該復旧手順間違い画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。そして、CPU22は、エラー復旧トレーニングモードを終了する。これにより、画像形成装置10は、通常状態に復帰する。
【0064】
また、比較を行った結果が一致である場合、すなわち、前記装置状態が期待値と等しい場合、CPU22は、復旧操作が期待通りに進んでいるものとみなす。例えば、図12に示される例では、センサ期待値は、トナーカートリッジ検出センサ41の検出値がトナーカートリッジ42が取り外されている状態を示す「1」であるから、現在のトナーカートリッジ検出センサ41の検出値が「1」である場合には、比較を行った結果が一致である、すなわち、前記装置状態が期待値と等しく、復旧操作が期待通りに進んでいることとなる。すると、CPU22は、現在の復旧ステップカウントと復旧完了ステップ数情報33cとの比較を行い、復旧ステップカウントが復旧完了ステップ数情報33c以上であるか否かを判断する。
【0065】
なお、以降の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 エラーモードの選択画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。
ステップS22 エラーモードが選択されたか否かを判断する。エラーモードが選択された場合はステップS23に進み、エラーモードが選択されなかった場合は判断を繰り返し行う。
ステップS23 トナー交換エラーモードが選択されたか否かを判断する。トナー交換エラーモードが選択された場合はステップS25に進み、トナー交換エラーモードが選択されなかった場合はステップS24に進む。
ステップS24 選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させる。
ステップS25 復旧ステップカウントを1にする。
ステップS26 復旧方法画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。
ステップS27 装置状態が変化したか否かを判断する。装置状態が変化した場合はステップS28に進み、装置状態が変化しなかった場合は待機する。
ステップS28 装置状態は期待値と等しいか否かを判断する。装置状態が期待値と等しい場合はステップS30に進み、装置状態が期待値と等しくない場合はステップS29に進む。
ステップS29 復旧手順間違い画面を操作パネル13の表示手段に表示させる。
ステップS30 復旧ステップカウントが復旧完了ステップ数情報33c以上であるか否かを判断する。復旧ステップカウントが復旧完了ステップ数情報33c以上である場合はステップS32に進み、復旧ステップカウントが復旧完了ステップ数情報33cより小さい場合はステップS31に進む。
ステップS31 復旧ステップカウントに1を加算した値を復旧ステップとして設定する。
ステップS32 復旧終了画面を操作パネル13の表示手段に表示させて処理を終了する。
【0067】
このように、本実施の形態においては、トナーカートリッジ交換エラー状態を意図的に発生させることができ、ユーザが実行するエラー解除操作が、復旧方法画面に表示されたトナーカートリッジ交換のエラー状態に対する復旧操作手順に従って正しく実行されているか否かを、トナーカートリッジ検出センサ41の検出値の期待値と、トナーカートリッジ検出センサ41の実際の検出値とを比較することによって判別する。
【0068】
これにより、ユーザが実行するトナーカートリッジ交換のエラー解除操作が本来の復旧操作手順に従って正しく実行されていない場合には、復旧手順間違い画面を表示して、トナーカートリッジ交換のエラー解除操作の手順に誤りがある旨をユーザに報知することができるので、ユーザは、復旧操作手順を正確に、かつ、短時間で適切に学習することができ、実際にエラーが発生した場合に要する復旧時間を短縮することができる。
【0069】
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、画像形成装置10がプリンタである場合について説明したが、MFP(複合型プリンタ:Multi Function Printer)、ファクシミリ機、複写機等にも適用することができる。
【0070】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 画像形成装置
12 搬送路
13 操作パネル
15a 用紙入力検出第1センサ
15b 用紙入力検出第2センサ
16 カバーオープン検出センサ
17 定着器検出センサ
18 用紙出力検出センサ
21 記録用紙
22 CPU
23 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
(b)複数のエラーモードの情報を格納する記憶手段と、
(c)前記複数のエラーモードの中から1つのエラーモードを選択するエラーモード選択手段と、
(d)選択されたエラーモードに対応するエラーを発生させるエラー発生手段と、
(e)前記選択されたエラーモードに対応した復旧操作手順を報知する復旧操作手順報知手段と、
(f)前記画像形成装置の装置状態に基づいてメッセージを表示するメッセージ表示手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記エラー発生手段は、前記選択されたエラーモードに対応するエラーが紙詰まりである場合、媒体搬送路上に媒体を停止させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記メッセージ表示手段は、前記装置状態と前記復旧操作手順との比較結果に応じたメッセージを表示する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置状態は、センサの検出情報に基づいて判断される請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数のエラーモードは、トナーカートリッジ交換エラーを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−24952(P2013−24952A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157421(P2011−157421)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】