説明

画像形成装置

【課題】ユーザーにとっての利便性を図りつつ、消費電力の低減を図ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】電力供給部は、画像形成部40及びUSB I/F101を動作させる動作電力を供給する。設定制御部131は、USB I/F101に通信端末装置B(2)が接続されたとき、継続設定情報を記憶部に記憶させる。電力制御部181は、スリープモードで記憶部105に継続設定情報が記憶されていれば、電力供給部181によるUSB I/F101への動作電力の供給を継続させ、スリープモードで記憶部105に継続設定情報が記憶されていなければ、電力供給部181によるUSB I/F101への動作電力の供給を停止させ、第1切替制御部132は、スリープモードにおいてUSB I/F101が通信情報を取得したとき、電力制御部181に通常モードを実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、用紙に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク対応型の複合機、コピー機、プリンターなどの画像形成装置には、通信ネットワークを通じて、パーソナルコンピューターなどの通信デバイスと通信を行うネットワークインターフェースが設けられている。
【0003】
また、この種の画像形成装置では、さらにUSB(Universal Serial Bus)規格に従って通信デバイスと通信を行うUSBインターフェースが設けられたものがある。
【0004】
このような画像形成装置では、当該画像形成装置の消費電力を抑制させるスリープモードが備えられている。画像形成装置は、ユーザーの利便性のために、スリープモードにおいて、ネットワークインターフェースとUSBインターフェースとに動作電力を供給することが好ましい。そして、ネットワークインターフェースとUSBインターフェースとのうちいずれかが印刷ジョブを受け付けると、画像形成装置の消費電力を抑制させない通常モードに移行して、画像形成を行うことが好ましい。
【0005】
しかしながら、USBインターフェースは、例えばイーサネット(登録商標)等のネットワークインターフェースよりも、通信デバイスと通信を行う頻度が高いので、ネットワークインターフェースよりも消費電力が大きい。具体的には、USBインターフェースのシステムは、自動的に、定期的に接続先の通信デバイスと通信を行うことによって、通信デバイスの接続確認等の処理を実行する。そのため、USBインターフェースは、例えば印刷データの送受信等のユーザーの要求を実行するための通信を実行しない場合であっても、システムが自動的に通信を実行する。その結果、USBインターフェースの消費電力は、ネットワークインターフェースよりも大きい。
【0006】
また、一般に、USBインターフェースよりも、ネットワークインターフェースのほうがユーザーの使用頻度が高い。そのため、USBインターフェースよりも、ネットワークインターフェースのほうが、スリープモードにおいて動作可能な状態にしておく必要性が高い。また、アメリカ環境保護局(EPA)が推進する省電力に関する規格であるエナジースター(ENERGY STAR:登録商標)のTEC(Typical Electricity Consumption)測定法により、スリープモードのときに、ネットワークインターフェースへ動作電力を供給することが定められている。
【0007】
そのため、スリープモードのときには、ネットワークインターフェースには動作電力を供給する一方でUSBインターフェースへの動作電力の供給を停止する画像形成装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−228444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、スリープモードのときにUSBインターフェースへ動作電力を供給しないと、USBインターフェースは、スリープモード中は、停止状態になっているため印刷ジョブを受信することができない。そのため、スリープモード中に、ユーザーがUSBインターフェースに接続された通信デバイスを用いて画像形成装置に印刷ジョブを実行させようとしても、画像形成装置を印刷実行可能な通常モードへ移行させることができない。
【0010】
このようなことでは、画像形成装置は、通常モードに復帰して画像形成を行うことができないので、USBインターフェースに接続された通信デバイスを用いて画像形成装置に画像形成させたいユーザーにとっては、利便性が悪かった。
【0011】
スリープモードのときに、ネットワークインターフェースとUSBインターフェースとの双方に動作電力を供給すれば、ユーザーの利便性は向上するが、上述したようにUSBインターフェースは消費電力が大きいので、消費電力の抑制という観点で問題がある。
【0012】
本開示の目的は、上記の問題を解決するためになされたものであり、ユーザーにとっての利便性を保ちながら、消費電力を低減できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、通信デバイスが接続可能な画像形成装置であって、画像形成を実行する画像形成部と、前記画像形成部に供給される電力を制御し、消費電力を抑制するスリープモードと、消費電力を抑制しない通常モードとがある電力制御部と、前記通信デバイスと通信を行い、且つ前記通信に関する第1通信関連情報を取得する第1通信インターフェースと、前記画像形成部及び前記第1通信インターフェースを動作させる動作電力を供給する電力供給部と、記憶部と、予め設定された設定条件が満たされたとき、継続設定情報を前記記憶部に記憶させる設定制御部と、前記電力制御部の前記通常モードと前記スリープモードとを切り換える制御を行う切替制御部とを備え、前記電力制御部は、前記通常モードのとき、前記電力供給部により前記第1通信インターフェースへ前記動作電力を供給させ、前記スリープモードで前記記憶部に前記継続設定情報が記憶されていれば、前記電力供給部による前記第1通信インターフェースへの前記動作電力の供給を継続させ、前記スリープモードで前記記憶部に前記継続設定情報が記憶されていなければ、前記電力供給部による前記第1通信インターフェースへの前記動作電力の供給を停止させ、前記切替制御部は、前記スリープモードにおいて、前記電力供給部による前記動作電力の供給がされている前記第1通信インターフェースが前記第1通信関連情報を取得したとき、前記電力制御部に前記通常モードを実行させる。
【0014】
この構成によれば、設定条件が満たされた後にスリープモードに移行したときには、記憶部に継続設定情報が記憶されているから、スリープモードで第1通信インターフェースへの動作電力の供給が継続される。この状態では、第1通信インターフェースは通電されているので、第1通信インターフェースが第1通信関連情報を取得したとき、電力制御部は通常モードとなる。すなわち、画像形成部に供給される電力が抑制されることなく画像形成可能になるので、ユーザーの利便性が確保される。
【0015】
一方、電力制御部は、設定条件が満たされず、記憶部に継続設定情報が記憶されていなければ、スリープモードで第1通信インターフェースへの動作電力の供給を停止させる。これにより、スリープモードにおいて消費電力の低減を図ることができる。
【0016】
その結果、ユーザーにとっての利便性を向上しつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0017】
また、前記電力供給部は、さらに、前記記憶部に動作電力を供給し、前記記憶部は、前記動作電力が供給されている間、情報を記憶する揮発性の記憶素子であり、前記電力制御部は、さらに、前記通常モードのとき、前記電力供給部に前記記憶部へ前記動作電力を供給させ、前記スリープモードで前記記憶部に前記継続設定情報が記憶されていれば、前記電力供給部による前記記憶部への前記動作電力の供給を継続させ、前記スリープモードで前記記憶部に前記継続設定情報が記憶されていなければ、前記電力供給部による前記記憶部への前記動作電力の供給を停止させることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、一度でも設定条件が満たされて記憶部に継続設定情報が記憶されると、記憶部による継続設定情報の記憶がスリープモードでも保持されるので、スリープモードに繰り返し移行した場合であっても継続設定情報が継続的に記憶される。
【0019】
また、前記電力供給部は、さらに前記記憶部に動作電力を供給し、前記記憶部は、前記動作電力が供給されなくても情報の記憶を維持する不揮発性の記憶素子であり、前記電力制御部は、前記通常モードのとき、前記電力供給部に前記記憶部へ前記動作電力を供給させ、前記スリープモードのとき、前記電力供給部による前記記憶部への前記動作電力の供給を停止させる。
【0020】
この構成によれば、一度でも設定条件が満たされて記憶部に継続設定情報が記憶されると、記憶部による継続設定情報の記憶がスリープモードでも保持されるので、スリープモードに繰り返し移行した場合であっても継続設定情報が継続的に記憶される。さらに、スリープモードのとき、電力供給部による記憶部への動作電力の供給が停止されるので、スリープモードにおける消費電力が低減される。
【0021】
また、前記第1通信関連情報は、前記第1通信インターフェースに前記通信デバイスが接続されたことを示す情報を含むことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、スリープモードのときに、第1通信インターフェースへ通信デバイスが接続されたときには、電力制御部は通常モードに復帰する。これにより、ユーザーは、第1通信インターフェースに通信デバイスを接続するだけで、電力制御部を通常モードに復帰させることができるので、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【0023】
また、前記設定条件は、前記第1通信インターフェースが、前記第1通信インターフェースに前記通信デバイスが接続されたことを示す情報を取得したことであることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、第1通信インターフェースに通信デバイスが接続されたとき、設定条件が満たされて記憶部に継続設定情報が記憶される。これにより、ユーザーが、通常モードのときに、第1通信インターフェースに通信デバイスを接続すると、その後のスリープモードにおいて第1通信インターフェースを動作可能にできるので、ユーザーにとっての利便性をより向上させることができる。
【0025】
また、前記第1通信関連情報は、前記第1通信インターフェースが、前記通信デバイスから受信した、通信に関する通信情報を含むことが好ましい。
【0026】
この構成によれば、記憶部に継続設定情報が記憶され、かつ電力制御部がスリープモードのときに、第1通信インターフェースへ通信デバイスから通信に関する通信情報が送信されたときには、電力制御部は通常モードに復帰する。
【0027】
これにより、ユーザーは、通信デバイスに、通信に関する通信情報として、例えば印刷ジョブを第1通信インターフェースに送信させることにより、電力制御部を通常モードに復帰させて画像形成させることができるので、利便性が向上する。
【0028】
また、前記設定条件は、前記第1通信インターフェースが、前記通信デバイスから前記通信情報を受信したことであることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、第1通信インターフェースが通信デバイスから通信情報を受信することにより、記憶部に継続設定情報が記憶されるので、ユーザーの利便性が向上する。
【0030】
また、前記第1通信インターフェースは、USB(Universal Serial Bus)規格に従って前記通信デバイスと通信を行うことが好ましい。
【0031】
USB規格に従って通信デバイスと行う通信インターフェースは、通信デバイスとの間で、頻繁に(例えば125μsec毎に)相互通信を行っているので、消費電力が大きい。
【0032】
この構成によれば、記憶部に継続設定情報が記憶されていないときには、電力制御部がスリープモードのときに、消費電力が大きな第1通信インターフェースの動作電力の供給を停止させるので、消費電力の抑制を好適に図ることができる。
【0033】
また、前記通信デバイスと通信ネットワークを通じて通信を行い、且つ前記通信に関する第2通信関連情報を取得し、前記第1通信インターフェースよりも消費電力が小さい第2通信インターフェースを備え、前記電力供給部は、さらに前記第2通信インターフェースへの動作電力を供給し、前記切替制御部は、さらに、前記スリープモードにおいて前記第2通信インターフェースが前記第2通信関連情報を取得したとき、前記電力制御部に前記通常モードを実行させることが好ましい。
【0034】
この構成によれば、電力制御部がスリープモードのときには、通信デバイスと通信ネットワークを通じて通信を行う第2通信インターフェースに動作電力が供給され、第2通信インターフェースが第2通信関連情報を取得したとき、通常モードに復帰する。
【0035】
また、先述のように、設定受付部が継続設定を受け付けたか否かによって、制御部がスリープモードのときに第1通信インターフェースにおいて復帰要因が発生したときの通常モードへの復帰の有無が決まる。
【0036】
これにより、消費電力が第2通信インターフェースよりも大きな第1通信インターフェースが使用されたときについては、ユーザーの所望に応じて、通常モードに復帰させ、第1通信インターフェースよりも消費電力が小さな第2通信インターフェースが使用されたときに通常モードに復帰することをデフォルトとすることができる。その結果、ユーザーの利便性を図りつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0037】
また、前記第2通信関連情報は、前記第2通信インターフェースが、前記通信デバイスから受信した、通信に関する通信情報であることが好ましい。
【0038】
この構成によれば、電力制御部がスリープモードのときに、第2通信インターフェースが通信デバイスから通信情報を受信したときには、電力制御部は通常モードに復帰する。これにより、ユーザーは、通信デバイスに、通信に関する通信情報として、例えば印刷ジョブを第2通信インターフェースに送信させることにより、電力制御部を通常モードに復帰させて画像形成させることができるので、利便性が向上する。
【0039】
また、前記第2通信インターフェースは、イーサネット(登録商標)の通信回路であることが好ましい。
【0040】
イーサネット(登録商標)の通信回路は、低消費電力なので、スリープモードで動作する第2通信インターフェースとして好適である。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、ユーザーにとっての利便性を図りつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本開示の一実施形態に係る画像形成装置を含む画像形成システムの一例を示したブロック図である。
【図2】本開示の一実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を模式的に示した縦断面図である。
【図3】図2に示す画像形成装置における電気的構成の要部の一例を示したブロック図である。
【図4】図2に示す画像形成装置が通常モードからスリープモードに移行する動作の概要の一例について示したフローチャートである。
【図5】スリープモードにおいてスイッチがオフとされた後に通常モードに復帰する動作の概要の一例を示したフローチャートである。
【図6】スリープモードにおいて第1電源供給部がオフとされた後に通常モードに復帰する動作の概要の一例を示したフローチャートである。
【図7】記憶部が不揮発性メモリーで構成されている場合の利点について説明するための説明図である。(a)は、USBインターフェースに通信端末装置が接続された場合に、継続設定可能な場合を説明するための説明図である。(b)は、USBインターフェースに通信端末装置が接続された場合に、継続設定ができない場合を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面に基づいて、本開示の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る画像形成装置Aを用いて構成した画像形成システムSの一例を示したブロック図である。
【0044】
画像形成システムSは、例えば複数の画像形成装置Aと、通信端末装置B(1)と、複数の通信端末装置B(2)とを、通信デバイスとして含む。
【0045】
画像形成装置Aは、ネットワーク対応型の、プリンター、複写機、ファクシミリ装置等である。通信端末装置B(1)は、ネットワーク対応型のパーソナルコンピューター等である。画像形成装置A及び通信端末装置B(1)は、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワークNに接続されている。
【0046】
通信端末装置B(2)は、USB対応型のパーソナルコンピューター等である。各通信端末装置B(2)は、各画像形成装置Aに、USB規格に準拠したUSBケーブルCを通じて接続されている。
【0047】
画像形成装置Aは、例えば自身でスキャンした原稿の画像データに基づき用紙に画像を形成する。また画像形成装置Aは、例えばスキャンした画像データを、通信ネットワークNを介して通信端末装置B(1)へ送信したり、USBケーブルCを介して通信端末装置B(2)へ送信したりする。また、画像形成装置Aは、通信端末装置B(1)から通信ネットワークNを介して送信された画像形成の要求を受け付ける。また、画像形成装置Aは、通信端末装置B(2)からUSBケーブルCを介して送信された画像形成の要求を受け付ける。そして、画像形成装置Aは、受け付けられた画像形成の要求に応じて用紙に画像を形成する。
【0048】
通信端末装置B(1)は、画像データを、通信ネットワークNを通じて、複数の画像形成装置Aのうちのいずれかに送信することによって、当該画像データの画像形成の要求を行う。通信端末装置B(2)は、画像データを、当該通信端末装置B(2)が接続されている画像形成装置Aに、USBケーブルCを通じて送信することによって、画像データの画像形成の要求を行う。
【0049】
図2は、本開示の一実施形態に係る画像形成装置Aの構成の一例を模式的に示した縦断面図である。
【0050】
画像形成装置Aは、USBインターフェース(I/F)101(第1通信インターフェース)と、ネットワークインターフェース(I/F)102(第2通信インターフェース)とを備える。USBインターフェース101は、USBケーブルCを通じて、通信端末装置B(2)との間で通信を行うインターフェース回路である。
【0051】
USBインターフェース101は、USBインターフェース101と通信端末装置B(2)とが接続されたとき、USBケーブルCのデータラインを通じて、通信端末装置B(2)との間で、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠した相互通信を行う。
【0052】
USBインターフェース101は、USBケーブルCを介して通信端末装置B(2)が接続されたことを検出する。具体的には、USBインターフェース101は、以下のようにして通信端末装置B(2)が接続されたことを検出する。
【0053】
USBケーブルCには、通信端末装置B(2)が所定の電源電圧(例えば5V)の電源供給を行うための電源ラインが含まれている。そのため、USBインターフェース101に、USBケーブルCを介して通信端末装置B(2)が接続されると、通信端末装置B(2)からUSBインターフェース101へ電源電圧が印加される。そこで、USBインターフェース101は、USBケーブルCから電源電圧が印加されたことを示す信号を、USBインターフェース101に通信端末装置B(2)が接続されたことを示す情報として取得する。USBインターフェース101に通信端末装置B(2)が接続されたことを示す情報は、第1通信関連情報の一例に相当する。
【0054】
USBインターフェース101は、USBインターフェース101に通信端末装置B(2)が接続されたことを示す情報を取得したとき、すなわちUSBインターフェース101に通信端末装置B(2)が接続されたことを検出したとき、接続検出信号を後述するメインコントローラー103へ送信する。
【0055】
また、USBインターフェース101と通信端末装置B(2)とが接続されたときには、USBインターフェース101は、通信端末装置B(2)との間で、USBケーブルCのデータラインを通じてネゴシエーションのための通信を実行する。
【0056】
また、USBインターフェース101は、通信端末装置B(2)からデータラインを通じて、通信に関する情報である通信情報が送信されてきたときには、これを受信する。そして、USBインターフェース101は、受信された通信情報を後述するメインコントローラーへ送信する。尚、通信情報としては、例えば、印刷ジョブの要求を示す情報や、上述のネゴシエーションのための情報が挙げられる。通信情報は、第1通信関連情報の一例に相当する。
【0057】
USBインターフェース101は、例えば通信端末装置B(2)の接続確認等のために、通信端末装置B(2)との間で頻繁に(例えば125μsec毎に)通信を行う。
【0058】
ネットワークインターフェース102は、通信ネットワークNを通じて通信端末装置B(1)や他の画像形成装置Aと通信を行うインターフェース回路である。ネットワークインターフェース102としては、例えば、イーサネット(登録商標)の通信インターフェース回路が用いられる。ネットワークインターフェース102は、通信ネットワークNを通じて通信端末装置B(1)から通信に関する情報である通信情報が送信されてきたときに、これを受信する。尚、通信情報としては、例えば、印刷ジョブの要求を示す情報が挙げられる。ネットワークインターフェース102が受信した通信情報は、第2通信関連情報の一例に相当している。
【0059】
このネットワークインターフェース102は、USBインターフェース101よりも、消費電力が小さい。
【0060】
画像形成装置Aは、本体筐体2と、本体筐体2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体筐体2の上部に配設された原稿読取部200と、原稿読取部200の上方に配設された原稿給送部6と、を有している。また、画像形成装置Aのフロント部には、略長方形のユーザーインターフェース部100が設けられている。
【0061】
原稿読取部200は、CCD(Charge Coupled Device)や露光ランプ等からなるスキャナ部201と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台202及び原稿読取スリット203とを備える。スキャナ部201は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台202に載置された原稿を読み取るときは、原稿台202に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査する。
【0062】
また、スキャナ部201は、原稿給送部6により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット203と対向する位置に移動され、原稿読取スリット203を介して原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得する。
【0063】
原稿給送部6は、原稿を載置するための原稿載置部61と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部62と、原稿搬送機構63を備える。原稿搬送機構63は、給紙ローラー(図略)、搬送ローラー(図略)等を含む。給紙ローラー(図略)及び搬送ローラー(図略)は、原稿載置部61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット203に対向する位置へ搬送し、原稿排出部62へ排出する。原稿搬送機構63は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット203と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図略)を備え、原稿の両面の画像を、原稿読取スリット203を介してスキャナ部201から読取可能にしている。
【0064】
また、原稿給送部6は、その前面側が上方に移動可能となるように本体筐体2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部6の前面側を上方に移動させて原稿台202上面を開放することにより、原稿台202の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等をユーザーが載置できるようになっている。
【0065】
本体筐体2は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から用紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送するピックアップローラー462と、給紙カセット461から搬出されてきた用紙に画像を形成する画像形成部40と、転写ローラー49及び感光体ドラム43による用紙への画像転写のための所定のタイミングで、給紙カセット461の用紙を送り出すレジストローラー対17と、を備える。
【0066】
各給紙カセット461には、それぞれ、サイズの異なる用紙が収容される。例えば、上段の給紙カセット461にはA4サイズの用紙が収容され、中段の給紙カセット461にはB5サイズの用紙が収容され、下段の給紙カセット461にはA3サイズの用紙が収容される。
【0067】
画像形成部40は、感光体ドラム43、除電装置421、帯電装置422、露光装置423、現像装置44、転写ローラー49、定着装置45、及び搬送ローラー19を備える。除電装置421は、感光体ドラム43の表面を除電する。帯電装置422は、感光体ドラム43の表面を帯電させる。露光装置423は、スキャナ部201で取得された画像データ、或いは、通信ネットワークNやUSBケーブルCを通じて受信した画像データに基づきレーザ光等を出力して感光体ドラム43を露光する。現像装置44は、感光体ドラム43表面にトナーを供給する。転写ローラー49は、感光体ドラム43上のトナー像を用紙に転写する。
【0068】
定着装置45は、例えばヒーターを備えている。そして、定着装置45は、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる。搬送ローラー19は、用紙をスタックトレイ3又は胴内排紙部48まで搬送する。
【0069】
ユーザーインターフェース部100は、表示部5と操作部18とを備える。操作部18は、例えば、自機でスキャンされた画像データを画像形成させたい他の画像形成装置Aを選択可能にされている。操作部18は、ユーザーによって選択された画像形成装置Aに画像形成させる指示操作を受け付ける。表示部5には、前記指示操作のための画像(例えばガイド画像)が表示される。ユーザーインターフェース部100は、操作部18が前記指示操作を受け付けると、前記選択された画像形成装置Aに画像形成させる指示を受け付ける。
【0070】
図3は、画像形成装置Aの電気的構成の一例について、要部を示したブロック図である。
【0071】
画像形成装置Aは、画像形成部40と、USBインターフェース(I/F)101と、ネットワークインターフェース(I/F)102と、メインコントローラー103と、画像処理部104と、原稿読取部200と、記憶部105と、第1電源供給部106と、第2電源供給部107と、サブコントローラー108と、FAX部109と、サブコントローラー108によりオンオフ制御されるスイッチSWと、を備える。尚、画像形成部40、USBインターフェース101、ネットワークインターフェース102、原稿読取部200については、先述の通りであるため、説明を省略する。
【0072】
メインコントローラー103は、画像形成部40の動作や用紙の搬送等、画像形成装置Aを統括的に制御するデバイスである。メインコントローラー103は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、前記CPUの動作クロックを出力するクロック出力部などで構成されている。そして、例えばCPUが、所定の制御プログラムを実行することにより、設定制御部131、及び第1切替制御部132を構成する。
【0073】
メインコントローラー103は、第1電源供給部106から供給された動作電力によって動作する。そして、メインコントローラー103は、画像形成装置Aと、画像形成部40と、USBインターフェース101と、画像処理部104と、記憶部105と、FAX部109と、サブコントローラー108と、原稿読取部200と、を制御する。メインコントローラー103は、例えば原稿読取部200により原稿の画像データを読み取らせる。そして、メインコントローラー103は、その画像データに基づき、画像形成部40によって用紙に画像を形成させる。
【0074】
また、メインコントローラー103は、例えばユーザーインターフェース部100が、ユーザーに選択された他の画像形成装置Aに画像形成させる指示を受け付けたときには、サブコントローラー108により、当該画像データを通信ネットワークNに向けて送信させる。これにより、メインコントローラー103は、ユーザーが選択した他の画像形成装置Aに画像形成を指示する。
【0075】
設定制御部131は、USBインターフェース101から上述の接続検出信号を受信したとき、すなわちUSBインターフェース101が通信端末装置B(2)の接続を検出したとき、継続設定を受け付ける。そして、設定制御部131は、継続設定を示す情報である継続設定情報を記憶部105に記憶させる。継続設定は、第1電源供給部106によるUSBインターフェース101への動作電力の供給をスリープモードにおいて継続させる設定である。
【0076】
USBインターフェース101が、USBインターフェース101に通信端末装置B(2)が接続されたことを検出することが、設定条件の一例に相当する。
【0077】
なお、USBインターフェース101は、USBインターフェース101と通信端末装置B(2)とが接続された直後に上述のネゴシエーションを実行するから、USBインターフェース101が通信端末装置B(2)からネゴシエーションのための通信情報を受信した場合にも、設定制御部131は、USBインターフェース101に通信端末装置B(2)が接続されたことを速やかに判断できる。
【0078】
そこで、設定制御部131は、USBインターフェース101が通信端末装置B(2)から通信情報を受信した場合に、所定の継続設定情報を記憶部105に記憶させてもよい。この場合、USBインターフェース101が通信端末装置B(2)から通信情報を受信することが、設定条件の一例に相当する。
【0079】
第1切替制御部132は、後述する電力制御部181の通常モードとスリープモードとを切り換える制御を行う。
【0080】
画像処理部104は、原稿読取部200で読み取られた原稿の画像データを画像処理する。記憶部105は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶素子である。
【0081】
第1電源供給部106と第2電源供給部107は、本開示における電力供給部を構成する。第1電源供給部106及び第2電源供給部107は、例えばスイッチング電源回路等の電源回路である。第1電源供給部106は、USBインターフェース101と、メインコントローラー103と、記憶部105とへ、これらの負荷回路を動作させるための動作電力を供給する。また、第1電源供給部106は、スイッチSWを介して、画像形成部40と、画像処理部104と、原稿読取部200と、FAX部109とへ、これらの負荷回路を動作させるための動作電力を供給する。図3においては、第1電源供給部106による動作電力の供給経路を破線で示している。
【0082】
なお、第1電源供給部106は、負荷回路がそれぞれ必要とする電圧を生成する複数の電源回路を含んでいてもよい。また、第1電源供給部106は、必ずしもスイッチSWを介して画像形成部40と接続されている必要はない。例えば、第1電源供給部106は、画像形成部40に含まれる各部に対して、それぞれ、電力供給のオン、オフを制御可能であってもよい。あるいは、画像形成部40の一部、例えば定着装置45のヒーターへ供給する電力を調節可能であってもよい。
【0083】
第2電源供給部107は、ネットワークインターフェース102とサブコントローラー108との動作電力を供給する。図3においては、第2電源供給部107による動作電力の供給経路を二点鎖線で示している。
【0084】
FAX部109は、図示しない公衆回線網に接続されたファクシミリ装置とファクシミリ通信を行うデバイスである。
【0085】
サブコントローラー108は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、前記CPUの動作クロックを出力するクロック出力部などで構成されている。そして、例えばCPUが、所定の制御プログラムを実行することにより、電力制御部181、及び第2切替制御部182を構成する。
【0086】
サブコントローラー108は、第2電源供給部107から供給された動作電力によって動作する。そして、サブコントローラー108は、ネットワークインターフェース102と、記憶部105と、第1電源供給部106と、第2電源供給部107と、スイッチSWと、を制御する。
【0087】
電力制御部181は、第1電源供給部106を制御する。電力制御部181には、画像形成装置Aの消費電力を抑制させるスリープモードと、画像形成装置Aの消費電力を抑制させることなく画像形成装置Aの全機能を実行可能とする通常モードとがある。
【0088】
具体的には、電力制御部181は、通常モードでは、スイッチSWをオンする。そして、電力制御部181は、第1電源供給部106から、メインコントローラー103、画像形成部40、FAX部109、原稿読取部200、画像処理部104、記憶部105、及びUSBインターフェース101へ、これらの動作電力を供給する。
【0089】
また、電力制御部181は、スリープモードで記憶部105に継続設定情報が記憶されていれば、第1電源供給部106によるUSBインターフェース101、メインコントローラー103、及び記憶部105への動作電力の供給を継続させつつ、スイッチSWをオフし、画像形成部40、FAX部109、原稿読取部200、及び画像処理部104への電力供給を停止させる。
【0090】
また、電力制御部181は、スリープモードで記憶部105に継続設定情報が記憶されていなければ、第1電源供給部106を停止(オフ)させ、メインコントローラー103、画像形成部40、FAX部109、原稿読取部200、画像処理部104、記憶部105、及びUSBインターフェース101への動作電力の供給を停止させる。
【0091】
なお、画像形成部40を、スイッチSWを介さずに直接第1電源供給部106に接続し、電力制御部181は、画像形成部40への電力供給を停止する代わりに、例えば第1電源供給部106による画像形成部40の定着装置45への電力供給を減少させてもよい。
【0092】
また、第2切替制御部182は、スリープモードにおいて、ネットワークインターフェース102によって、例えば印刷ジョブ等の通信情報が受信されたとき、電力制御部181を通常モードに切り替える。
【0093】
以下、電力制御部181をスリープモードから通常モードに切り替える要因を復帰要因と称する。ネットワークインターフェース102が印刷ジョブ等の通信情報を受信することは、復帰要因の一例である。
【0094】
以下に、このような構成の画像形成装置Aの動作の概要について説明する。まず、通常モードからスリープモードに移行する動作について説明する。図4は、画像形成装置Aが通常モードからスリープモードに移行する動作の概要の一例について示したフローチャートである。
【0095】
電力制御部181は、通常モードでは、第1電源供給部106及びスイッチSWをオンするとともに、第2電源供給部107をオンして、図3に示す全ての構成要素の動作電力を供給する。そして、設定制御部131によって、USBインターフェース101が、通信端末装置B(2)の接続を検出したか否か、すなわち設定条件が成立したか否かが確認される(ステップS1)。
【0096】
そして、設定条件が成立しない場合(ステップS1でNO)、設定制御部131は、ステップS3へ移行する。一方、設定条件が成立した場合(ステップS1でYES)、設定制御部131は、記憶部105によって継続設定情報を記憶させ(ステップS2)、ステップS3へ移行する。
【0097】
具体的には、電力制御部181が通常モードのときには、メインコントローラー103、USBインターフェース101、及び記憶部105の動作電力が供給されているので、USBインターフェース101が前記接続を検出したときに、設定制御部131が継続設定情報を記憶部105に記憶させることができる。
【0098】
なお、設定条件は、操作部18が上述の継続設定を要求する操作を受け付けることであってもよい。
【0099】
また、設定条件は、USBインターフェース101が、上述の継続設定を要求する継続設定コマンドを、USBケーブルCを通じて通信端末装置B(2)から受け付けることであってもよい。
【0100】
或いは、設定条件は、ネットワークインターフェース102が、上述の継続設定を要求する継続設定コマンドを、通信ネットワークNを通じて通信端末装置B(1)から受け付けることであってもよい。
【0101】
ネットワークインターフェース102を利用するユーザーは、USBインターフェース101を全く利用しない場合が少なくない。一方、USBインターフェース101を利用するユーザーは、繰り返しUSBインターフェース101を利用する可能性が高い。
【0102】
従って、一度でもUSBインターフェース101に通信端末装置B(2)が接続されることは、再びUSBインターフェース101が利用される可能性が高いことを示している。
【0103】
また、ユーザーが、操作部18を用いて上述の継続設定を要求する操作を行った場合や、USBインターフェース101やネットワークインターフェース102によって継続設定コマンドが受信された場合には、ユーザーが明示的にUSBインターフェース101を使用する意思を表していると考えられるから、再びUSBインターフェース101が利用される可能性が高い。
【0104】
このように、再びUSBインターフェース101が利用される可能性が高いと判断できる条件が、予め設定条件として設定されている。
【0105】
USBインターフェース101が、通信端末装置B(2)の接続を検出したことを設定条件とする場合、ユーザーは、USBインターフェース101に通信デバイスを接続するだけで、継続設定情報を記憶部105に記憶させることができる。従って、ユーザーは、継続設定情報を記憶部105に記憶させる指示操作を行う必要がないので、ユーザーの利便性が向上する。
【0106】
また、USBインターフェース101によって印刷ジョブの要求を示す情報などの通信情報が検出されたことを設定条件とする場合、ユーザーは、通信デバイスによって、通信に関する通信情報として例えば印刷ジョブを、USBインターフェース101に送信させることにより、継続設定情報を記憶部105に記憶させることができる。従って、ユーザーは、継続設定情報を記憶部105に記憶させる指示操作を行う必要がないので、ユーザーの利便性が向上する。
【0107】
そして、スリープモードに移行すべきタイミングが到来したときには(ステップS3のYES)、メインコントローラー103の第1切替制御部132は、サブコントローラー108の電力制御部181に、スリープモードに移行することを指示するスリープ指示コマンドを出力する(ステップS4)。
【0108】
スリープモードへの移行条件としては、例えば、所定時間の間、FAX部109及びネットワークインターフェース102が印刷ジョブを受け付けず、且つUSBインターフェース101が当該USBインターフェース101への通信端末装置B(2)の接続や印刷ジョブの送信を受け付けず、且つ操作部18が操作されないことが挙げられる。
【0109】
電力制御部181は、スリープ指示コマンドを受け付けたときには、スリープモードに移行する(ステップS5)。
【0110】
電力制御部181は、スリープモードに移行すると、以下のように動作する。すなわち、電力制御部181は、記憶部105を参照して、記憶部105に継続設定情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS6)。継続設定情報が記憶されているときには(ステップS6のYES)、電力制御部181は、スイッチSWをオフする(ステップS7)。一方、継続設定情報が記憶されていないときには(ステップS6のNO)、電力制御部181は、第1電源供給部106をオフする(ステップS8)。
【0111】
以上のように、設定制御部131が継続設定を受け付けた後に電力制御部181がスリープモードに移行したときには、第1電源供給部106はオンされたままスイッチSWがオフされる。これにより、画像形成部40、FAX部109、原稿読取部200、及び画像処理部104の動作電力が遮断されるが、USBインターフェース101、及びネットワークインターフェース102の動作電力の供給が継続される。
【0112】
このため、スリープモードにおいて、消費電力が通常モードよりも抑制される。また、スリープモードにおいてもUSBインターフェース101及びネットワークインターフェース102へ動作電力が供給されるので、スリープモードにおいてUSBインターフェース101及びネットワークインターフェース102が動作可能にされている。その結果、スリープモードにおいて、USBインターフェース101及びネットワークインターフェース102が、電力制御部181が通常モードに復帰するための復帰要因を検出することができるので、ユーザーにとっての利便性の向上を図りつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0113】
また、設定条件が満たされなかった場合すなわち、ユーザーが再びUSBインターフェース101を利用する可能性が低い場合は、記憶部105に継続設定情報が記憶されない。記憶部105に継続設定情報が記憶されないと、電力制御部181がスリープモードに移行したときには、第1電源供給部106がオフされる。これにより、画像形成装置Aの構成要素のうち、ネットワークインターフェース102、及びサブコントローラー108以外の構成要素の動作電力が遮断される。その結果、ユーザーが再びUSBインターフェース101を利用する可能性が低い場合は、ユーザーが再びUSBインターフェース101を利用する可能性が高い場合よりも消費電力の抑制を図ることができる。
【0114】
ステップS6,S8の処理によれば、電力制御部181がスリープモードのときに、ネットワークインターフェース102より消費電力が大きなUSBインターフェース101への動作電力の供給が停止されるので、消費電力の抑制を好適に図ることができる。
【0115】
さらにまた、継続設定情報が記憶部105に記憶されている場合、スリープモードで第1電源供給部106から記憶部105へ動作用電力が供給されるので、記憶部105に記憶された継続設定情報は、スリープモードに移行しても記憶が消えることがない。従って、一度継続設定情報が記憶部105に記憶されると、何度スリープモードに移行しても、スリープモードにおいてUSBインターフェース101が動作可能にされる。従って、ユーザーは、スリープモードにおいてUSBインターフェース101を動作させたい場合には、画像形成装置Aが通常モードのときに、画像形成装置Aに通信端末装置B(2)を一度でも接続すればよい。これにより、ユーザーの利便性が向上する。
【0116】
尚、本実施形態では、継続設定情報を記憶部105に記憶させているが、メインコントローラー103内のRAM(図示せず)に記憶させてもよい。この場合、RAMを電力制御部181がアクセスすることにより、電力制御部181がRAM内の継続設定情報の有無を判断することができるので、継続設定情報を記憶部105に記憶させた場合と同様の効果を奏することができる。
【0117】
また、この場合でも、RAMに継続設定情報が記憶されている限り、何度スリープモードに移行しても、RAMに継続設定情報が記憶されていると判断できるので、スリープモードにおいてUSBインターフェース101を動作させることができ、上述の効果を奏することができる。
【0118】
次に、図4のステップS7においてスイッチSWがオフとされた後に通常モードに復帰する動作について説明する。図5は、スリープモードにおいてスイッチSWがオフとされた後に通常モードに復帰する動作の概要の一例を示したフローチャートである。
【0119】
USBインターフェース101が、通信端末装置B(2)の接続を検出したとき、或いは、USBインターフェース101が、通信端末装置B(2)からの印刷ジョブを受信したとき、第1切替制御部132は、復帰要因を検出したと判断する。USBインターフェース101が、通信端末装置B(2)の接続を検出すること、及びUSBインターフェース101が、通信端末装置B(2)からの印刷ジョブを受信することは、復帰要因の一例である。
【0120】
USBインターフェース101において復帰要因が生じた場合(ステップS10のYES)、第1切替制御部132は、電力制御部181に通常モードへの切り替えを指示する通常指示コマンドを出力する(ステップS11)。すると、電力制御部181は、通常モードに移行する(ステップS12)。
【0121】
USBインターフェース101が、通信端末装置B(2)の接続を検出したことを復帰要因とする場合、ユーザーは、USBインターフェース101に通信デバイスを接続するだけで、電力制御部181を通常モードに復帰させることができるので、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【0122】
また、USBインターフェース101によって印刷ジョブの要求を示す情報などの通信情報が受信されたことを復帰要因とする場合、ユーザーは、通信デバイスによって、通信に関する通信情報として例えば印刷ジョブを、USBインターフェース101に送信させることにより、電力制御部181を通常モードに復帰させて画像形成装置Aに画像形成させることができるので、利便性が向上する。
【0123】
或いは、ネットワークインターフェース102で復帰要因が発生したとき、例えば、ネットワークインターフェース102が印刷ジョブを受信したときには(ステップS10のNO、ステップS13のYES)、第2切替制御部182は、電力制御部181を、通常モードに移行させる(ステップS12)。
【0124】
電力制御部181は、通常モードでは、スイッチSWをオンする(ステップS14)。これにより、通常モードでは、画像形成部40、FAX部109、原稿読取部200、及び画像処理部104への動作電力の供給が再開される。そして、メインコントローラー103が、前記印刷ジョブを実行し、画像データを画像形成する。
【0125】
ネットワークインターフェース102によって印刷ジョブの要求などの通信情報が受信されたことを復帰要因とする場合、ユーザーは、通信デバイスからネットワークインターフェース102へ、通信情報として例えば印刷ジョブを送信させることにより、電力制御部181を通常モードに復帰させて画像形成装置Aに画像形成させることができるので、利便性が向上する。
【0126】
次に、図4のステップS8において第1電源供給部106がオフとされた後に通常モードに復帰する動作について説明する。図6は、スリープモードにおいて第1電源供給部106がオフとされた後に通常モードに復帰する動作の概要の一例を示したフローチャートである。
【0127】
ネットワークインターフェース102で復帰要因が発生、例えば、ネットワークインターフェース102が印刷ジョブを受信したときには(ステップS20でYES)、第2切替制御部182は、電力制御部181を、通常モードに移行させる(ステップS21)。
【0128】
電力制御部181は、通常モードでは、第1電源供給部106をオンする(ステップS22)。これにより、通常モードでは、画像形成装置Aが画像形成を実行可能な状態となる。そして、メインコントローラー103が、前記印刷ジョブを実行し、画像データを画像形成する。
【0129】
尚、本実施形態において、USBインターフェース101に代えて、FAX部109や、無線LANボードなどのオプションボードを第1通信インターフェースとして配置してもよい。この場合、ネットワークインターフェース102で復帰要因が発生したときに通常モードに復帰することをデフォルトとする一方で、オプションボードで復帰要因が発生したときに通常モードに復帰することを、ユーザーの所望に応じて設定することができる。
【0130】
また、記憶部105は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性記憶素子で構成されていることが好ましい。図7は、記憶部105が不揮発性記憶素子で構成されている場合の利点について説明するための説明図である。
【0131】
まず、画像形成装置Aと通信端末装置B(2)とは、ケーブルCで接続された状態で電源オフされている。この状態で、例えば、図7(a)に示すように、画像形成装置Aと通信端末装置B(2)とが電源オンされて起動された場合(タイミングT1)、画像形成装置A(電力制御部181)は、起動後の一定期間、通常モードになっている。この場合、USBインターフェース101が動作しているので、USBインターフェース101は、通信端末装置B(2)が起動されたことによりUSBケーブルCから供給される電源電圧を検出することによって、通信端末装置B(2)の接続を検出する。
【0132】
これにより、設定条件が満たされて(ステップS1でYES)、設定制御部131が継続設定情報を記憶部105に記憶させる(ステップS2、タイミングT2)。その結果、画像形成装置A(電力制御部181)がスリープモードに移行した後もUSBインターフェース101、メインコントローラー103、及び記憶部105への電力供給が行われるので(ステップS6でYES)、通信端末装置B(2)から印刷ジョブの要求がUSBインターフェース101へ送信された場合、USBインターフェース101によって復帰要因が検出され(ステップS10でYES)、第1切替制御部132によって通常モードへの切り替えが実行される(ステップS11、タイミングT3)。これにより、画像形成装置Aは通常モードに復帰して、印刷ジョブの要求に応じた画像形成を行うことができる。
【0133】
次に、上述の図7(a)に示す動作の後、画像形成装置Aと通信端末装置B(2)の電源がオフされ、かつ記憶部105が揮発性の記憶素子であった場合に、スリープモード中にUSBインターフェース101で受信された印刷ジョブを実行できなくなる場合について、図7(b)を用いて説明する。まず、画像形成装置Aの電源がオフされると記憶部105に記憶されていた継続設定情報が消えてしまう。
【0134】
この状態で、図7(b)に示すタイミングT4で画像形成装置Aが電源オンされて起動し、画像形成装置A(電力制御部181)が通常モードになる。しかしながら、所定時間、画像形成装置Aの操作等がされないと、第1切替制御部132によって、画像形成装置A(電力制御部181)がスリープモードに切り替えられる(タイミングT5)。この場合、記憶部105に継続設定情報が記憶されていないので(ステップS6でNO)、電力制御部181によって、第1電源供給部106がオフされる(ステップS8)。
【0135】
この状態で、通信端末装置B(2)が電源オンされて起動された場合、画像形成装置A(電力制御部181)はすでにスリープモードになっており、USBインターフェース101は動作していないので、USBインターフェース101は通信端末装置B(2)の接続を検出することができない。従って、記憶部105に継続設定情報を記憶させることができない(タイミングT6)。
【0136】
さらに、通信端末装置B(2)から印刷ジョブの要求がUSBインターフェース101へ送信された場合、USBインターフェース101が停止しているためにUSBインターフェース101は印刷ジョブの要求を受信することができない。その結果、第1切替制御部132は復帰要因を検出することができないから、第1切替制御部132は電力制御部181を通常モードへ切り替えることができない。従って、画像形成装置Aは、印刷ジョブを実行することができない(タイミングT7)。
【0137】
ところが、記憶部105が不揮発性記憶素子で構成されている場合、電源スイッチがオフされても記憶部105内の継続設定情報が消去されない。従って、タイミングT5において、画像形成装置A(電力制御部181)がスリープモードに切り替えられたとき、記憶部105には図7(a)のタイミングT2で記憶された継続設定情報が記憶されているので(ステップS6でYES)、画像形成装置A(電力制御部181)がスリープモードに移行した後もUSBインターフェース101、メインコントローラー103、及び記憶部105への電力供給が行われる。
【0138】
従って、記憶部105が不揮発性記憶素子で構成されている場合は、タイミングT7において、USBインターフェース101が、通信端末装置B(2)から印刷ジョブの要求を受信したとき、図7(a)に示すタイミングT3と同様、画像形成装置Aは、印刷ジョブの要求に応じた画像形成を行うことができる。
【0139】
また、記憶部105を不揮発性記憶素子とした場合、電力制御部181は、スリープモードにおいて、記憶部105に継続設定情報が記憶されていた場合においても、第1電源供給部106による記憶部105への動作電力の供給を停止させてもよい。これにより、スリープモードにおける消費電力を低減できる。
【0140】
以上、ステップS1〜S22の処理により、消費電力がネットワークインターフェース102よりも大きなUSBインターフェース101で復帰要因が発生したときについては、ユーザーの所望に応じて、通常モードに復帰させる。一方、USBインターフェース101よりも消費電力が小さなネットワークインターフェース102で復帰要因が発生したときに通常モードに復帰することをデフォルトとすることができる。その結果、ユーザーの利便性を図りつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0141】
なお、切替制御部が、第1切替制御部132及び第2切替制御部182によって構成される例を示したが、サブコントローラー108をUSBインターフェース101にアクセス可能に構成し、第1切替制御部132及び第2切替制御部182が一体にされた切替制御部を、サブコントローラー108に備えてもよい。
【0142】
また、メインコントローラー103とサブコントローラー108とが分離される例を示したが、メインコントローラー103とサブコントローラー108とを一体にしたコントローラーを備えてもよい。そして、スリープモードにおいてもコントローラーへ動作電力を供給する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0143】
A 画像形成装置
B(1),B(2) 通信端末装置
N 通信ネットワーク
101 USBインターフェース
102 ネットワークインターフェース
103 メインコントローラー
104 画像処理部
105 記憶部
106 第1電源供給部
107 第2電源供給部
108 サブコントローラー
131 設定制御部
132 第1切替制御部
181 電力制御部
182 第2切替制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信デバイスが接続可能な画像形成装置であって、
画像形成を実行する画像形成部と、
前記画像形成部に供給される電力を制御し、消費電力を抑制するスリープモードと、消費電力を抑制しない通常モードとがある電力制御部と、
前記通信デバイスと通信を行い、且つ前記通信に関する第1通信関連情報を取得する第1通信インターフェースと、
前記画像形成部及び前記第1通信インターフェースを動作させる動作電力を供給する電力供給部と、
記憶部と、
予め設定された設定条件が満たされたとき、継続設定情報を前記記憶部に記憶させる設定制御部と、
前記電力制御部の前記通常モードと前記スリープモードとを切り換える制御を行う切替制御部とを備え、
前記電力制御部は、
前記通常モードのとき、前記電力供給部により前記第1通信インターフェースへ前記動作電力を供給させ、
前記スリープモードで前記記憶部に前記継続設定情報が記憶されていれば、前記電力供給部による前記第1通信インターフェースへの前記動作電力の供給を継続させ、
前記スリープモードで前記記憶部に前記継続設定情報が記憶されていなければ、前記電力供給部による前記第1通信インターフェースへの前記動作電力の供給を停止させ、
前記切替制御部は、
前記スリープモードにおいて、前記電力供給部による前記動作電力の供給がされている前記第1通信インターフェースが前記第1通信関連情報を取得したとき、前記電力制御部に前記通常モードを実行させる画像形成装置。
【請求項2】
前記電力供給部は、さらに、前記記憶部に動作電力を供給し、
前記記憶部は、前記動作電力が供給されている間、情報を記憶する揮発性の記憶素子であり、
前記電力制御部は、さらに、
前記通常モードのとき、前記電力供給部に前記記憶部へ前記動作電力を供給させ、
前記スリープモードで前記記憶部に前記継続設定情報が記憶されていれば、前記電力供給部による前記記憶部への前記動作電力の供給を継続させ、
前記スリープモードで前記記憶部に前記継続設定情報が記憶されていなければ、前記電力供給部による前記記憶部への前記動作電力の供給を停止させる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電力供給部は、さらに前記記憶部に動作電力を供給し、
前記記憶部は、前記動作電力が供給されなくても情報の記憶を維持する不揮発性の記憶素子であり、
前記電力制御部は、
前記通常モードのとき、前記電力供給部に前記記憶部へ前記動作電力を供給させ、
前記スリープモードのとき、前記電力供給部による前記記憶部への前記動作電力の供給を停止させる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1通信関連情報は、前記第1通信インターフェースに前記通信デバイスが接続されたことを示す情報を含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記設定条件は、前記第1通信インターフェースが、前記第1通信インターフェースに前記通信デバイスが接続されたことを示す情報を取得したことである請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1通信関連情報は、前記第1通信インターフェースが、前記通信デバイスから受信した、通信に関する通信情報を含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記設定条件は、前記第1通信インターフェースが、前記通信デバイスから前記通信情報を受信したことである請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1通信インターフェースは、USB(Universal Serial Bus)規格に従って前記通信デバイスと通信を行う請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
さらに、前記通信デバイスと通信ネットワークを通じて通信を行い、且つ前記通信に関する第2通信関連情報を取得し、前記第1通信インターフェースよりも消費電力が小さい第2通信インターフェースを備え、
前記電力供給部は、さらに前記第2通信インターフェースへの動作電力を供給し、
前記切替制御部は、さらに、
前記スリープモードにおいて前記第2通信インターフェースが前記第2通信関連情報を取得したとき、前記電力制御部に前記通常モードを実行させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2通信関連情報は、前記第2通信インターフェースが、前記通信デバイスから受信した、通信に関する通信情報である請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2通信インターフェースは、
イーサネット(登録商標)の通信回路である請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−46993(P2013−46993A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137572(P2012−137572)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】