説明

画像形成装置

【課題】コストの増加を招くことなく、転写ローラや帯電ローラに印加するバイアス(電圧)を高精度に制御することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像の形成又は転写に関連する部材に電圧を印加することによって部材に流れる電流を検出する電流検出部の検出結果に基づいて、電圧印加部を制御する制御部とを有し、制御部は、転写部位に画像が形成されていない複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて、部材に異なる電圧値の電圧を印加するように電圧印加部を制御して、転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおける電流検出部の検出結果から部材のインピーダンス特性を算出すると共に、インピーダンス特性に基づいて、転写部位に画像が形成されている画像領域が位置するタイミングにおいて電圧印加部が部材に印加する電圧の電圧値を決定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いる画像形成装置に関する。本発明は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの画像形成装置の普及に伴って、かかる画像形成装置には高画質化やコストの低下がますます要求されるようになってきている。画像形成装置は、感光体を一様に帯電させる1次帯電器と、感光体に形成されたトナー像を中間転写ベルトに転写する1次転写部と、中間転写ベルト上のトナー像を記録紙に転写する2次転写部とを有する。
【0003】
1次転写部や2次転写部の構成としては、近年では、転写ローラに代表される接触転写方式の転写部材(接触転写部材)が主流となっている。接触転写部材は、コロナ帯電器等と比較して、電源容量の小型化や放電生成物(オゾンなど)の発生量の低減を実現することができる。転写ローラは、例えば、芯金と、芯金の周りに形成される中抵抗の弾性層とで構成され、所定の押圧力で中間転写ベルト又は記録紙に圧接して転写部位(転写ニップ部)を形成する。また、トナー像が転写部位を通過する間(即ち、トナー像が転写部位に到達してから抜けるまでの間)、転写ローラの芯金には、転写バイアス印加手段から所定の転写バイアス(転写電圧)が印加される。なお、転写ローラの特性は環境変化や経時変化等によって変化するため、転写ローラ(芯金)に印加する転写バイアスを転写ローラの特性に応じて適切に制御する必要がある。
【0004】
そこで、転写ローラの特性に応じて転写ローラに印加する転写バイアスを制御する画像形成装置が従来から提案されている(特許文献1参照)。かかる画像形成装置は、転写部位に非画像領域が位置するタイミングにおいて、転写ローラに流れる電流が所定値となるように制御(定電流制御)し、この時に印加した電圧に基づいて画像領域での転写バイアスを制御(定電圧制御)する。なお、ここでの非画像領域とは、感光体や中間転写ベルト上での1枚分の画像の先端よりも前側及び画像の後端よりも後ろ側の画像が形成されない領域のことを示す。また、転写部位に1つの非画像領域が位置する間に異なる複数の電圧を印加して転写ローラのインピーダンスを求め、転写ローラに流れる電流が所定値となる電圧を算出し、かかる電圧を画像領域での転写バイアスとする画像形成装置も提案されている。
【0005】
一方、一次帯電器としても、帯電ローラに代表される接触帯電方式の帯電部材が主流となっている。帯電ローラは、感光体の表面に接触して帯電バイアス(例えば、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧)を印加し、感光体の表面を帯電させる。この際、交流電圧を放電開始電圧以上にすることで感光体の帯電を均す効果があり、感光体を均一に帯電させることができる。
【0006】
但し、交流電圧を重畳して感光体に印加する場合、直流電圧のみを感光体に印加する場合と比較して、感光体への放電量が増えるため、感光体の劣化(削れ等)を促進してしまうと共に、放電生成物による高温高湿環境での画像流れ等を発生させてしまう。従って、直流電圧に重畳する交流電圧を最小限にして放電を抑える必要があるが、帯電ローラに印加する電圧と放電との関係は常に一定ではなく、放電量は環境変化や経時変化等によって変化する。
【0007】
そこで、帯電ローラに印加する帯電バイアスを制御して、環境変化や経時変化等による放電量の増減を抑制する画像形成装置が提案されている(特許文献2参照)。かかる画像形成装置は、画像を形成する前に、未放電領域と放電領域とでそれぞれ異なる複数の交流電圧を印加して帯電ローラのインピーダンスや放電量を求める。そして、画像を形成している間は、非画像領域において未放電領域の1つの値の交流電圧を印加し、この時に帯電ローラに流れる電流、及び、画像を形成する前に求めた帯電ローラのインピーダンスや放電量に基づいて、帯電バイアスを決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−95581号公報
【特許文献2】特開2001−201920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された画像形成装置は、転写バイアスを発生する回路に対して、転写部位に非画像領域が位置する間は定電流制御を行い、画像領域が位置する間は定電圧制御を行っている。そのため、定電流制御回路と定電圧制御回路の両方を備えなければならない。従って、画像形成装置のコストが増加してしまう。
【0010】
また、上述したように、転写ローラのインピーダンスを求める場合、転写部位に1つの非画像領域が位置する間は非常に短時間であるため、転写ローラに印加する電圧値を高速に変えることができる転写バイアス印加手段が必要となる。従って、高速応答性の高圧電源を画像形成装置に搭載しなければならず、画像形成装置のコスト増加につながってしまう。
【0011】
一方、特許文献2に開示された画像形成装置は、非画像領域で1つの値のみの交流電圧を印加して予測した帯電ローラのインピーダンスや放電量に基づいて、画像領域で印加する電圧を決定しているため、帯電バイアスを高精度に制御することが非常に困難である。
【0012】
そこで、本発明は、コストの増加を招くことなく、転写ローラや帯電ローラに印加するバイアス(電圧)を高精度に制御することができる画像形成装置を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、前記画像を形成すると共に、形成した画像を転写部位において前記記録媒体に転写する画像形成部と、前記画像の形成又は転写に関連する部材に電圧を印加する電圧印加部と、前記電圧印加部が電圧を印加することによって前記部材に流れる電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部の検出結果に基づいて、前記電圧印加部を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記転写部位に画像が形成されていない複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて前記部材に異なる電圧値の電圧を印加するように前記電圧印加部を制御して、前記転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおける前記電流検出部の検出結果から前記部材のインピーダンス特性を算出すると共に、前記インピーダンス特性に基づいて、前記転写部位に画像が形成されている画像領域が位置するタイミングにおいて前記電圧印加部が前記部材に印加する電圧の電圧値を決定することを特徴とする。
【0014】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば、コストの増加を招くことなく、転写ローラや帯電ローラに印加するバイアス(電圧)を高精度に制御することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一側面としての画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の1次転写ローラに転写バイアスを印加する1次転写バイアス印加機構の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の連続動作時において、転写部位に画像領域が位置するタイミング及び転写部位に非画像領域が位置するタイミングでの1次転写電圧及び1次転写電流を示す図である。
【図4】図1に示す画像形成装置において、1次転写ローラに印加する電圧(電圧値)と1次転写ローラに流れる電流(電流値)との関係を示す図である。
【図5】図1に示す画像形成装置の2次転写外ローラに転写バイアスを印加する2次転写バイアス印加機構の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】図1に示す画像形成装置において、転写部位に画像領域が位置するタイミング及び転写部位に非画像領域が位置するタイミングでの2次転写電圧及び2次転写電流を示す図である。
【図7】図1に示す画像形成装置において、2次転写外ローラに印加する電圧(電圧値)と2次転写外ローラに流れる電流(電流値)との関係を示す図である。
【図8】図1に示す画像形成装置の1次帯電ローラに帯電バイアスを印加する1次帯電バイアス印加機構の構成を示す概略ブロック図である。
【図9】図1に示す画像形成装置の連続動作時において、転写部位に画像領域が位置するタイミング及び転写部位に非画像領域が位置するタイミングでの1次帯電電圧及び1次帯電電流を示す図である。
【図10】図1に示す画像形成装置において、1次帯電ローラに印加する電圧(電圧値)と1次帯電ローラに流れる電流(電流値)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、本発明の一側面としての画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。画像形成装置1は、電子写真方式を用いて、記録媒体PMに画像(カラー画像)を形成する画像形成装置である。画像形成装置1は、本実施形態では、記録媒体PMにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を重畳して転写し、記録媒体PMを加熱及び加圧してトナー像を記録媒体PMに定着させるカラーレーザプリンタとして具現化される。
【0019】
画像形成装置1は、図1に示すように、レーザユニット10と、画像形成部20と、搬送部30と、給紙カセット40と、排紙トレイ50とを有する。また、画像形成装置1は、図2に示す1次転写バイアス印加機構60と、図5に示す2次転写バイアス印加機構70と、図8に示す1次帯電バイアス印加機構80とを更に有する。
【0020】
レーザユニット10は、画像読取装置やコンピュータ等の画像信号発生装置から入力される画像信号に基づいて変調されたレーザ光を生成し、かかるレーザ光で画像形成部20の感光ドラム21を露光する。レーザユニット10は、ON/OFF制御及びPWM制御によって感光ドラム21の露光量を制御し、感光ドラム21の表面に帯電量の分布で静電潜像を形成する。レーザユニット10は、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応して4つのレーザユニット10y、10m、10c及び10bkを含む。
【0021】
画像形成部20は、レーザユニット10によって形成された静電潜像をトナーにより現像して可視像を形成し、かかる可視像を重畳転写してカラー可視像を形成する。更に、画像形成部20は、カラー可視像を転写部位において記録媒体PMに転写し、記録媒体PMに転写されたカラー可視像を定着させて記録媒体PMに画像を形成する。
【0022】
画像形成部20は、感光ドラム21と、1次帯電ローラ22と、現像スリーブ23と、1次転写ローラ24と、中間転写ベルト25と、2次転写内ローラ26と、2次転写外ローラ27と、定着器28とを有する。なお、感光ドラム21は、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応して4つの感光ドラム21y、21m、21c及び21bkを含む。同様に、1次帯電ローラ22は、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応して4つの1次帯電ローラ22y、22m、22c及び22bkを含む。同様に、現像スリーブ23は、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応して4つの現像スリーブ23y、23m、23c及び23bkを含む。同様に、1次転写ローラ24は、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応して4つの1次転写ローラ24y、24m、24c及び24bkを含む。感光ドラム21、1次帯電ローラ22、現像スリーブ23及び1次転写ローラ24は各色で同じ構成を有するため、以下では、イエローに対応する感光ドラム21y、1次帯電ローラ22y、現像スリーブ23y及び1次転写ローラ24yを例として説明する。
【0023】
感光ドラム21yは、イエローの静電潜像を担持する感光ドラムであって、本実施形態では、反時計回りに回転する。
【0024】
1次帯電ローラ22yは、感光ドラム21yに高電圧を印加し、1次帯電ローラ22yを通過した感光ドラム21yの表面を均一に帯電(マイナス)する。1次帯電ローラ22yには、後述する1次帯電バイアス印加機構80を介して、−300V乃至−700Vの直流成分の電圧(直流電圧)に1300V乃至2000Vの交流成分の電圧(交流電圧)を重畳した電圧が印加される。これにより、1次帯電ローラ22yは、感光ドラム21yの表面を均一に帯電することができる。
【0025】
1次帯電ローラ22yを通過して均一に帯電された感光ドラム21yの表面は、上述したように、レーザユニット10yから照射されるレーザ光によって露光される。レーザ光によって露光された感光ドラム21yの表面は感光し、インピーダンス(帯電量)が低下する。
【0026】
現像スリーブ23yは、感光ドラム21yに対して間隙(ギャップ)を有して配置される。また、感光ドラム21yと現像スリーブ23yとの間のギャップは高精度に管理されている。現像スリーブ23yには、−150V乃至−500Vの直流成分の電圧に−1000V乃至−2000Vの交流成分の電圧を重畳した電圧が印加される。これにより、感光ドラム21yと現像スリーブ23yとの間に電界が発生する。
【0027】
現像スリーブ23yに電圧を印加する場合においても、感光ドラム21yの帯電プロセスと同様に、直流成分及び交流成分の電圧を生成しており、特に、交流成分の電圧が現像プロセスでの画質に大きく影響する。
【0028】
感光ドラム21yと現像スリーブ23yとの間に発生する電界の向き及び強度は、感光ドラム21yの表面の帯電量に影響される。例えば、帯電量(マイナス)の大きい(即ち、レーザ光で露光されていない)感光ドラム21yの表面の部分においては、現像スリーブ23yから感光ドラム21yに向かう電界が発生する。一方、帯電量の小さい(即ち、レーザ光で強く露光された)感光ドラム21yの表面の部分においては、感光ドラム21yから現像スリーブ23yに向かう電界が発生する。
【0029】
現像スリーブ23y上のマイナスに帯電したイエローのトナーは、感光ドラム21yと現像スリーブ23yとの間に発生する電界の向きと反対方向に力を受ける。従って、感光ドラム21yと現像スリーブ23yとの間に発生する電界の向き及び強弱によって、感光ドラム21yに形成された静電潜像にイエローのトナーが付着してトナー像(可視像)を形成する。換言すれば、現像スリーブ23yは、感光ドラム21yに形成された静電潜像を現像する。なお、現像スリーブ23yは、現像ブレードに置換することも可能である。
【0030】
1次転写ローラ24yは、中間転写ベルト25を挟んで感光ドラム21yの反対側に配置される。また、中間転写ベルト25は、感光ドラム21yの表面に接触して配置される。
【0031】
1次転写ローラ24yには、後述する1次転写バイアス印加機構60を介して、+150V乃至+1500Vの電圧が印加されている。これにより、マイナスに帯電したイエローのトナーは、感光ドラム21yから1次転写ローラ24y側に引き寄せられ、感光ドラム21yに形成されたイエローのトナー像が中間転写ベルト25に転写される。
【0032】
同様にして、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が中間転写ベルト25に転写される。これにより、中間転写ベルト25には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーで形成されたフルカラーのトナー像が形成される。
【0033】
2次転写内ローラ26と2次転写外ローラ27とは、中間転写ベルト25を挟んで対向して配置される。従って、トナー像が形成された中間転写ベルト25は、2次転写内ローラ26と2次転写外ローラ27との間を通過する。この時、搬送部30は、中間転写ベルト25と2次転写外ローラ27との間に記録媒体PMを搬送する。なお、搬送部30は、例えば、搬送ベルトや搬送ローラなどで構成され、給紙カセット40に収納された記録媒体PMを矢印30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g、30h、30iに沿って搬送する。
【0034】
2次転写外ローラ27には、後述する2次転写バイアス印加機構70を介して、+500V乃至+7000Vの電圧が印加されている。これにより、中間転写ベルト25上のマイナスに帯電したトナー像が、記録媒体PMに転写される。
【0035】
定着器28は、記録媒体PMに転写された未定着(即ち、記録媒体PMから容易に剥がれる状態)のトナー像を記録媒体PMに定着させる。定着器28は、例えば、熱ローラで構成され、記録媒体PMを加熱してトナー像を柔らかくすると共に、圧力を加えることでトナー像を記録媒体PMに定着させる。
【0036】
トナー像の定着を受けた(画像が形成された)記録媒体PMは、搬送部30によって搬送され、排紙トレイ50に排紙される。排紙トレイ50は、画像が形成された記録媒体PMを積載する。
【0037】
以下、画像形成装置1において、画像の形成又は画像の転写に関連する部材(即ち、1次転写ローラ24、2次転写外ローラ27及び1次帯電ローラ22)に印加するバイアスの制御について説明する。
【0038】
図2は、1次転写ローラ24に転写バイアスを印加する1次転写バイアス印加機構60の構成を示す概略ブロック図である。1次転写バイアス印加機構60は、図2に示すように、電圧印加部62と、電流検出部64とを有する。
【0039】
電圧印加部62は、制御部90に制御され、画像の転写に関連する部材である1次転写ローラ24に電圧を印加する機能を有する。電圧印加部62は、制御部90から入力される1次転写バイアス制御信号TBC1に基づいて、1次転写ローラ24に印加する電圧(1次転写電圧)を生成して印加する。例えば、電圧印加部62は、高圧トランスを用いて、画像形成装置1のモータ等を動作させるための電圧(例えば、24V)から1次転写ローラ24に印加する電圧を生成する。
【0040】
電流検出部64は、電圧印加部62が電圧を印加することによって1次転写ローラ24に流れる電流を検出する。電流検出部64は、本実施形態では、1次転写ローラ24、中間転写ベルト25、感光ドラム21等を経由して流れる電流(1次転写電流)を検出し、かかる電流の電流値を示す1次転写電流検出信号TCD1を制御部90に出力する。
【0041】
制御部90は、図示しないCPUやメモリを有し、画像形成装置1の動作を制御する。制御部90は、1次転写バイアス印加機構60において、電流検出部64の検出結果(即ち、1次転写ローラ24に流れる電流の電流値)に基づいて、電圧印加部62を制御する。換言すれば、制御部90は、電流検出部64から入力される1次転写電流検出信号TCD1に基づいて、電圧印加部62が1次転写ローラ24に印加するべき電圧の電圧値を示す1次転写バイアス制御信号TBC1を生成して電圧印加部62に出力する。
【0042】
ここで、図3及び図4を参照して、画像形成装置1の連続動作時(画像を形成している時)における1次転写バイアス印加機構60の転写バイアス制御について説明する。
【0043】
図3は、画像形成装置1の連続動作時において、転写部位に画像領域が位置するタイミング及び転写部位に非画像領域が位置するタイミングでの1次転写電圧及び1次転写電流を示す図である。なお、図3において、転写部位とは、1次転写ローラ24と中間転写ベルト25とが接触している部位である。画像領域とは、感光ドラム21上の1枚分の画像の先端から後端までトナー像が形成されうる領域であり、非画像領域とは、感光ドラム21上の1枚分の画像の先端よりも前及び後端よりも後のトナー像が存在しない領域である。
【0044】
図3を参照するに、転写部位に画像領域が位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部62が電圧値Voの電圧(通常の1次転写電圧)を1次転写ローラ24に印加するように、電圧印加部62を制御している。
【0045】
転写部位に非画像領域a及び非画像領域bが位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部62が電圧値Vaの電圧を1次転写ローラ24に印加するように、電圧印加部62を制御する。この際、制御部90は、転写部位に非画像領域a及び非画像領域bが位置するタイミングにおいて、電圧印加部62が電圧値Vaの電圧を印加することによって1次転写ローラ24に流れる電流の電流値Ia及びIbを電流検出部64を介して取得する。また、制御部90は、電流値Iaと電流値Ibの平均である平均電流値Iabを算出する。
【0046】
更に、転写部位に非画像領域c及び非画像領域dが位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部62が電圧値Vcの電圧を1次転写ローラ24に印加するように、電圧印加部62を制御する。この際、制御部90は、転写部位に非画像領域c及び非画像領域dが位置するタイミングにおいて、電圧印加部62が電圧値Vcの電圧を印加することによって1次転写ローラ24に流れる電流の電流値Ic及びIdを電流検出部64を介して取得する。また、制御部90は、電流値Icと電流値Idの平均である平均電流値Icdを算出する。
【0047】
図4は、1次転写ローラ24に印加する電圧(電圧値)Vと1次転写ローラ24に流れる電流(電流値)Iとの関係を示す図である。図4では、横軸に1次転写ローラ24に印加する電圧Vを、縦軸に1次転写ローラ24に流れる電流Iを採用する。図4を参照するに、制御部90は、電圧印加部62が電圧値Va及びVcの電圧を1次転写ローラ24に印加した時に1次転写ローラ24に流れる電流平均値Iab及びIcdから、以下の数式1に従って、直線L1の式を求める。換言すれば、制御部90は、電圧値Va、Vc、及び、平均電流値Iab、Icdから1次転写ローラ24のインピーダンス特性(直線L1)を算出する。
(数1)
V−Va={(Vc−Va)/(Icd−Iab)}・(I−Iab)
次に、制御部90は、1次転写ローラ24のインピーダンス特性を示す直線L1に基づいて、1次転写ローラ24に流れる電流が所定の電流値Ioとなる電圧値Voを算出し、電圧値Voを電圧印加部62が1次転写ローラ24に印加する電圧値として決定する。そして、制御部90は、転写部位に画像領域が位置するタイミングにおいて、電圧印加部62が電圧値Voの電圧を1次転写ローラ24に印加するように、電圧印加部62を制御する。
【0048】
このように、制御部90は、転写部位に複数の非画像領域のうち第1の非画像領域(非画像領域a及びb)が位置するタイミングにおいて1次転写ローラ24に第1の電圧値(Va)の電圧を印加するように、電圧印加部62を制御する。また、制御部90は、転写部位に複数の非画像領域のうち第2の非画像領域(非画像領域c及びd)が位置するタイミングにおいて1次転写ローラ24に第2の電圧値(Vc)の電圧を印加するように、電圧印加部62を制御する。この際、制御部90は、第1の電圧値の電圧を印加することによって1次転写ローラ24に流れる第1の電流値(Ia及びIb)及び第2の電圧値の電圧を印加することによって1次転写ローラ24に流れる第2の電流値(Ic及びId)を取得する。そして、制御部90は、第1の電流値の平均電流値(Iab)及び第2の電流値の平均電流値(Icd)から1次転写ローラ24のインピーダンス特性を算出する。更に、制御部90は、インピーダンス特性に基づいて、転写部位に画像領域が位置するタイミングにおいて1次転写ローラ24に流れる電流の電流値が所定値(Io)となるように1次転写ローラ24に印加する電圧の電圧値(Vo)を決定する。
【0049】
1次転写ローラ24のインピーダンス特性は急激に変化することはないため、転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて取得される電流値から1次転写ローラ24のインピーダンスを求めることは可能である。そこで、本実施形態では、転写部位に1つの非画像領域が位置するタイミングにおいて1次転写ローラ24に複数の異なる電圧を印加するのではなく、転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて1次転写ローラ24に異なる電圧を印加する。換言すれば、転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて、互いに異なる電圧を1次転写ローラ24に印加した時の電流値を合成して1次転写ローラ24のインピーダンス特性を算出する。これにより、画像形成装置1は、1次転写バイアス印加機構60において、定電流制御回路や電圧値を高速に変えることができる転写バイアス印加回路を必要とせず、コスト増加を防止することができる。また、1次転写ローラ24に流れる複数の電流値から1次転写ローラ24のインピーダンス特性を算出しているため、1つの電流値からインピーダンス特性を算出する場合よりも、1次転写ローラ24に印加する電圧を高精度に制御することができる。但し、転写部位に非画像領域が位置する時間に応じて、転写部位に1つの非画像領域が位置するタイミングにおいて1次転写ローラ24に電圧を印加した時の電流値から1次転写ローラ24のインピーダンス特性を算出することも可能である。
【0050】
なお、1次転写バイアス印加機構60における転写バイアス制御は、所定の時間毎(例えば、5分毎)、或いは、記録媒体PMの出力枚数毎(例えば、200枚毎)に実施することが好ましい。また、1次転写バイアス印加機構60における転写バイアス制御は、濃度補正制御やその他の補正制御とは異なるタイミングで実施することが好ましい。
【0051】
次に、2次転写外ローラ27に転写バイアスを印加する2次転写バイアス印加機構70について説明する。図5は、2次転写バイアス印加機構70の構成を示す概略ブロック図である。2次転写バイアス印加機構70は、図5に示すように、電圧印加部72と、電流検出部74とを有する。
【0052】
電圧印加部72は、制御部90に制御され、画像の転写に関連する部材である2次転写外ローラ27に電圧を印加する機能を有する。電圧印加部72は、制御部90から入力される2次転写バイアス制御信号TBC2に基づいて、2次転写外ローラ27に印加する電圧(2次転写電圧)を生成して印加する。
【0053】
電流検出部74は、電圧印加部72が電圧を印加することによって2次転写外ローラ27に流れる電流を検出する。電流検出部74は、本実施形態では、2次転写外ローラ27、中間転写ベルト25、2次転写内ローラ26等を経由して流れる電流(2次転写電流)を検出し、かかる電流の電流値を示す2次転写電流検出信号TCD2を制御部90に出力する。
【0054】
制御部90は、2次転写バイアス印加機構70において、電流検出部74の検出結果(即ち、2次転写外ローラ27に流れる電流の電流値)に基づいて、電圧印加部72を制御する。換言すれば、制御部90は、電流検出部74から入力される2次転写電流検出信号TCD2に基づいて、電圧印加部72が2次転写外ローラ27に印加するべき電圧の電圧値を示す2次転写バイアス制御信号TBC2を生成して電圧印加部72に出力する。
【0055】
ここで、図6及び図7を参照して、画像形成装置1の連続動作時(画像を形成している時)における2次転写バイアス印加機構70の転写バイアス制御について説明する。
【0056】
図6は、画像形成装置1の連続動作時において、転写部位に画像領域が位置するタイミング及び転写部位に非画像領域が位置するタイミングでの2次転写電圧及び2次転写電流を示す図である。なお、図6において、転写部位とは、2次転写外ローラ27と中間転写ベルト25(記録媒体PM)とが接触している部位である。画像領域とは、中間転写ベルト25上の1枚分の画像の先端から後端までのトナー像が存在しうる領域であり、非画像領域とは、中間転写ベルト25上の1枚分の画像の先端よりも前及び後端よりも後のトナー像が存在しない領域である。
【0057】
図6を参照するに、転写部位に画像領域が位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部72が電圧値Vpの電圧(通常の2次転写電圧)を2次転写外ローラ27に印加するように、電圧印加部72を制御している。
【0058】
転写部位に非画像領域e及び非画像領域fが位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部72が電圧値Veの電圧を2次転写外ローラ27に印加するように、電圧印加部72を制御する。この際、制御部90は、転写部位に非画像領域e及び非画像領域fが位置するタイミングにおいて、電圧印加部72が電圧値Veの電圧を印加することによって2次転写外ローラ27に流れる電流の電流値Ie及びIfを電流検出部74を介して取得する。また、制御部90は、電流値Ieと電流値Ifの平均である平均電流値Iefを算出する。
【0059】
更に、転写部位に非画像領域g及び非画像領域hが位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部72が電圧値Vgの電圧を2次転写外ローラ27に印加するように、電圧印加部72を制御する。この際、制御部90は、転写部位に非画像領域g及び非画像領域hが位置するタイミングにおいて、電圧印加部72が電圧値Vgの電圧を印加することによって2次転写外ローラ27に流れる電流の電流値Ig及びIhを電流検出部74を介して取得する。また、制御部90は、電流値Igと電流値Ihの平均である平均電流値Ighを算出する。
【0060】
図7は、2次転写外ローラ27に印加する電圧(電圧値)Vと2次転写外ローラ27に流れる電流(電流値)Iとの関係を示す図である。図7では、横軸に2次転写外ローラ27に印加する電圧Vを、縦軸に2次転写外ローラ27に流れる電流Iを採用する。図7を参照するに、制御部90は、電圧印加部72が電圧値Ve及びVgの電圧を2次転写外ローラ27に印加した時に2次転写外ローラ27に流れる電流平均値Ief及びIghから、以下の数式2に従って、直線L2の式を求める。換言すれば、制御部90は、電圧値Ve、Vg、及び、平均電流値Ief、Ighから2次転写外ローラ27のインピーダンス特性(直線L2)を算出する。
(数2)
V−Ve={(Vg−Ve)/(Igh−Ief)}・(I−Ief)
次に、制御部90は、2次転写外ローラ27のインピーダンス特性を示す直線L2に基づいて、2次転写外ローラ27に流れる電流が所定の電流値Ipとなる電圧値Vpを算出する。また、制御部90は、電圧値Vpを電圧印加部72が2次転写外ローラ27に印加する電圧値として決定する。そして、制御部90は、転写部位に画像領域が位置するタイミングにおいて、電圧印加部72が電圧値Vpの電圧を2次転写外ローラ27に印加するように、電圧印加部72を制御する。
【0061】
このように、制御部90は、転写部位に複数の非画像領域のうち第1の非画像領域(非画像領域e及びf)が位置するタイミングにおいて2次転写外ローラ27に第1の電圧値(Ve)の電圧を印加するように、電圧印加部72を制御する。また、制御部90は、転写部位に複数の非画像領域のうち第2の非画像領域(非画像領域g及びh)が位置するタイミングにおいて2次転写外ローラ27に第2の電圧値(Vg)の電圧を印加するように、電圧印加部72を制御する。この際、制御部90は、第1の電圧値の電圧を印加することによって2次転写外ローラ27に流れる第1の電流値(Ie及びIf)及び第2の電圧値の電圧を印加することによって2次転写外ローラ27に流れる第2の電流値(Ig及びIh)を取得する。そして、制御部90は、第1の電流値の平均電流値(Ief)及び第2の電流値の平均電流値(Igh)から2次転写外ローラ27のインピーダンス特性を算出する。更に、制御部90は、インピーダンス特性に基づいて、転写部位に画像領域が位置するタイミングにおいて2次転写外ローラ27に流れる電流の電流値が所定値(Ip)となるように2次転写外ローラ27に印加する電圧の電圧値(Vp)を決定する。
【0062】
2次転写外ローラ27のインピーダンス特性は急激に変化することはないため、転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて取得される電流値から2次転写外ローラ27のインピーダンスを求めることは可能である。本実施形態では、転写部位に1つの非画像領域が位置するタイミングにおいて2次転写外ローラ27に複数の異なる電圧を印加するのではなく、転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて2次転写外ローラ27に異なる電圧を印加する。換言すれば、転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて、互いに異なる電圧を2次転写外ローラ27に印加した時の電流値を合成して2次転写外ローラ27のインピーダンス特性を算出する。これにより、画像形成装置1は、2次転写バイアス印加機構70において、定電流制御回路や電圧値を高速に変えることができる転写バイアス印加回路を必要とせず、コスト増加を防止することができる。また、2次転写外ローラ27に流れる複数の電流値から2次転写外ローラ27のインピーダンス特性を算出しているため、1つの電流値からインピーダンス特性を算出する場合よりも、2次転写外ローラ27に印加する電圧を高精度に制御することができる。但し、転写部位に非画像領域が位置する時間に応じて、転写部位に1つの非画像領域が位置するタイミングにおいて2次転写外ローラ27に電圧を印加した時の電流値から2次転写外ローラ27のインピーダンス特性を算出することも可能である。
【0063】
次に、1次帯電ローラ22に帯電バイアスを印加する1次帯電バイアス印加機構80について説明する。図8は、1次帯電バイアス印加機構80の構成を示す概略ブロック図である。1次帯電バイアス印加機構80は、図8に示すように、電圧印加部82と、電流検出部84とを有する。
【0064】
電圧印加部82は、制御部90に制御され、画像の形成に関連する部材である1次帯電ローラ22に電圧(直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)を印加する機能を有する。電圧印加部82は、制御部90から入力される1次帯電バイアス制御信号CBC1に基づいて、1次帯電ローラ22に印加する電圧(1次帯電電圧)を生成して印加する。
【0065】
電流検出部84は、電圧印加部82が電圧を印加することによって1次帯電ローラ22に流れる電流を検出する。電流検出部84は、本実施形態では、1次帯電ローラ22、感光ドラム21等を経由して流れる電流(1次帯電電流)を検出し、かかる電流の電流値を示す1次帯電電流検出信号CCD1を制御部90に出力する。
【0066】
制御部90は、1次帯電バイアス印加機構80において、電流検出部84の検出結果(即ち、1次帯電ローラ22に流れる電流の電流値)に基づいて、電圧印加部82を制御する。換言すれば、制御部90は、電流検出部84から入力される1次帯電電流検出信号CCD1に基づいて、電圧印加部82が1次帯電ローラ22に印加するべき電圧の電圧値を示す1次帯電バイアス制御信号CBC1を生成して電圧印加部82に出力する。
【0067】
ここで、図9及び図10を参照して、画像形成装置1の連続動作時(画像を形成している時)における1次帯電バイアス印加機構80の制御について説明する。
【0068】
図9は、画像形成装置1の連続動作時において、転写部位に画像領域が位置するタイミング及び転写部位に非画像領域が位置するタイミングでの1次帯電電圧及び1次帯電電流を示す図である。なお、図9において、転写部位とは、1次転写ローラ24と中間転写ベルト25とが接触している部位である。画像領域とは、感光ドラム21上の1枚分の画像の先端から後端までのトナー像が形成される予定の領域である。非画像領域とは、感光ドラム21上の1枚分の画像の先端よりも前及び後端よりも後のトナー像が形成されない予定の領域である。
【0069】
図9を参照するに、転写部位に画像領域が位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部82が電圧値Vqの電圧(通常の1次帯電電圧)を1次帯電ローラ22に印加するように、電圧印加部82を制御している。
【0070】
転写部位に非画像領域iが位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部82が未放電領域の電圧値Viを印加するように、電圧印加部82を制御する。この際、制御部90は、転写部位に非画像領域iが位置するタイミングにおいて、電圧印加部82が電圧値Viの電圧を印加することによって1次帯電ローラ22に流れる電流の電流値Iiを電流検出部84を介して取得する。
【0071】
また、転写部位に非画像領域jが位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部82が未放電領域の電圧値Vjを印加するように、電圧印加部82を制御する。この際、制御部90は、転写部位に非画像領域jが位置するタイミングにおいて、電圧印加部82が電圧値Vjの電圧を印加することによって1次帯電ローラ22に流れる電流の電流値Ijを電流検出部84を介して取得する。
【0072】
また、転写部位に非画像領域kが位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部82が放電領域の電圧値Vkを印加するように、電圧印加部82を制御する。この際、制御部90は、転写部位に非画像領域kが位置するタイミングにおいて、電圧印加部82が電圧値Vkの電圧を印加することによって1次帯電ローラ22に流れる電流の電流値Ikを電流検出部84を介して取得する。
【0073】
また、転写部位に非画像領域lが位置するタイミングでは、制御部90は、電圧印加部82が放電領域の電圧値Vlを印加するように、電圧印加部82を制御する。この際、制御部90は、転写部位に非画像領域lが位置するタイミングにおいて、電圧印加部82が電圧値Vlの電圧を印加することによって1次帯電ローラ22に流れる電流の電流値Ilを電流検出部84を介して取得する。
【0074】
図10は、1次帯電ローラ22に印加する電圧(電圧値)Vと1次帯電ローラ22に流れる電流(電流値)Iとの関係を示す図である。図10では、横軸に1次帯電ローラ22に印加する電圧Vを、縦軸に1次帯電ローラ22に流れる電流Iを採用する。
【0075】
図10を参照するに、制御部90は、電圧印加部82が未放電領域の電圧値Vi及びVjの電圧を1次帯電ローラ22に印加した時に1次帯電ローラ22に流れる電流値Ii及びIjから、以下の数式3に従って、直線L3の式を求める。換言すれば、制御部90は、電圧値Vi、Vj、及び、電流値Ii、Ijから1次帯電ローラ22の第1のインピーダンス特性(直線L3)を算出する。
(数3)
I−Ii={(Ij−Ii)/(Vj−Vi)}・(V−Vi)
同様に、制御部90は、電圧印加部82が放電領域の電圧値Vk及びVlの電圧を1次帯電ローラ22に印加した時に1次帯電ローラ22に流れる電流値Ik及びIlから、以下の数式4に従って、直線L4の式を求める。換言すれば、制御部90は、電圧値Vk、Vl、及び、電流値Ik、Ilから1次帯電ローラ22の第2のインピーダンス特性(直線L4)を算出する。
(数4)
I−Ik={(Il−Ik)/(Vl−Vk)}・(V−Vk)
次に、制御部90は、1次帯電ローラ22の第1のインピーダンス特性を示す直線L3及び1次帯電ローラ22の第2のインピーダンス特性を示す直線L4に基づいて、1次転写ローラ24に流れる電流が所定の電流値Iqとなる電圧値Vqを算出する。また、制御部90は、電圧値Vqを電圧印加部82が1次転写ローラ24に印加する電圧値として決定する。そして、制御部90は、転写部位に画像領域が位置するタイミングにおいて、電圧印加部82が電圧値Vqの電圧を1次帯電ローラ22に印加するように、電圧印加部82を制御する。
【0076】
このように、制御部90は、転写部位に複数の非画像領域のうち第1の非画像領域(非画像領域i)が位置するタイミングにおいて1次帯電ローラ22に未放電領域の第1の電圧値(Vi)の電圧を印加するように、電圧印加部82を制御する。この際、制御部90は、第1の電圧値の電圧を印加することによって1次帯電ローラ22に流れる第1の電流値(Ii)を取得する。また、制御部90は、転写部位に複数の非画像領域のうち第2の非画像領域(非画像領域j)が位置するタイミングにおいて1次帯電ローラ22に未放電領域の第2の電圧値(Vj)の電圧を印加するように、電圧印加部82を制御する。この際、制御部90は、第2の電圧値の電圧を印加することによって1次帯電ローラ22に流れる第2の電流値(Ij)を取得する。また、制御部90は、転写部位に複数の非画像領域のうち第3の非画像領域(非画像領域k)が位置するタイミングにおいて1次帯電ローラ22に放電領域の第3の電圧値(Vk)の電圧を印加するように、電圧印加部82を制御する。この際、制御部90は、第3の電圧値の電圧を印加することによって1次帯電ローラ22に流れる第3の電流値(Ik)を取得する。また、制御部90は、転写部位に複数の非画像領域のうち第4の非画像領域(非画像領域l)が位置するタイミングにおいて1次帯電ローラ22に放電領域の第4の電圧値(Vl)の電圧を印加するように、電圧印加部82を制御する。この際、制御部90は、第4の電圧値の電圧を印加することによって1次帯電ローラ22に流れる第4の電流値(Il)を取得する。そして、制御部90は、第1の電流値及び第2の電流値から1次帯電ローラ22の第1のインピーダンス特性を算出し、第3の電流値及び第4の電流値から1次帯電ローラ22の第2のインピーダンス特性を算出する。更に、制御部90は、第1及び第2のインピーダンス特性に基づいて、転写部位に画像領域が位置するタイミングにおいて1次帯電ローラ22に流れる電流の電流値が所定値(Iq)となるように1次帯電ローラ22に印加する電圧の電圧値(Vq)を決定する。
【0077】
1次帯電ローラ22のインピーダンス特性は急激に変化することはないため、転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて取得される電流値から1次帯電ローラ22のインピーダンスを求めることは可能である。そこで、本実施形態では、転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて1次帯電ローラ22に異なる未放電領域と放電領域の電圧を印加する。換言すれば、転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて、互いに異なる未放電領域と放電領域の電圧を1次帯電ローラ22に印加した時の電流値を合成して1次帯電ローラ22のインピーダンス特性を算出する。これにより、画像形成装置1は、1次帯電バイアス印加機構80において、定電流制御回路や電圧値を高速に変えることができる転写バイアス印加回路を必要とせず、コスト増加を防止することができる。また、1次帯電ローラ22に流れる複数の電流値から1次帯電ローラ22のインピーダンス特性を算出しているため、1つの電流値からインピーダンス特性を算出する場合よりも、1次帯電ローラ22に印加する電圧を高精度に制御することができる。但し、転写部位に非画像領域が位置する時間に応じて、転写部位に1つの非画像領域が位置するタイミングにおいて1次帯電ローラ22に電圧を印加した時の電流値から1次帯電ローラ22のインピーダンス特性を算出することも可能である。
【0078】
このように、画像形成装置1によれば、コストの増加を招くことなく、転写ローラや帯電ローラに印加するバイアス(電圧)を高精度に制御することができる。また、画像形成装置1は、本実施形態では、1次転写バイアス印加機構60、2次転写バイアス印加機構70、1次帯電バイアス印加機構80を別々に有している。但し、画像形成装置1は、1次転写バイアス印加機構60、2次転写バイアス印加機構70及び1次帯電バイアス印加機構80の機能を兼ね備える1つのバイアス印加機構を有してもよい。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記画像を形成すると共に、形成した画像を転写部位において前記記録媒体に転写する画像形成部と、
前記画像の形成又は転写に関連する部材に電圧を印加する電圧印加部と、
前記電圧印加部が電圧を印加することによって前記部材に流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部の検出結果に基づいて、前記電圧印加部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記転写部位に画像が形成されていない複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて前記部材に異なる電圧値の電圧を印加するように前記電圧印加部を制御して、前記転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおける前記電流検出部の検出結果から前記部材のインピーダンス特性を算出すると共に、前記インピーダンス特性に基づいて、前記転写部位に画像が形成されている画像領域が位置するタイミングにおいて前記電圧印加部が前記部材に印加する電圧の電圧値を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記部材は、転写ローラであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第1の非画像領域が位置するタイミングにおいて前記転写ローラに第1の電圧値の電圧を印加するように、且つ、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第2の非画像領域が位置するタイミングにおいて前記転写ローラに第2の電圧値の電圧を印加するように前記電圧印加部を制御する手段と、
前記第1の電圧値の電圧を印加することによって前記転写ローラに流れる第1の電流値及び前記第2の電圧値の電圧を印加することによって前記転写ローラに流れる第2の電流値から前記転写ローラのインピーダンス特性を算出する手段と、
を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記部材は、帯電ローラであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第1の非画像領域が位置するタイミングにおいて前記帯電ローラに未放電領域の第1の電圧値の電圧を印加するように、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第2の非画像領域が位置するタイミングにおいて未放電領域の第2の電圧値の電圧を印加するように、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第3の非画像領域が位置するタイミングにおいて放電領域の第3の電圧値の電圧を印加するように、且つ、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第4の非画像領域が位置するタイミングにおいて放電領域の第4の電圧値の電圧を印加するように前記電圧印加部を制御する手段と、
前記第1の電圧値の電圧を印加することによって前記帯電ローラに流れる第1の電流値及び前記第2の電圧値の電圧を印加することによって前記帯電ローラに流れる第2の電流値から前記帯電ローラの第1のインピーダンス特性を算出し、前記第3の電圧値の電圧を印加することによって前記帯電ローラに流れる第3の電流値及び前記第4の電圧値の電圧を印加することによって前記帯電ローラに流れる第4の電流値から前記帯電ローラの第2のインピーダンス特性を算出する手段と、
を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像を形成すると共に、形成した画像を転写部位において記録媒体に転写する画像形成部と、前記画像の形成又は転写に関連する部材に電圧を印加する電圧印加部と、前記電圧印加部が電圧を印加することによって前記部材に流れる電流を検出する電流検出部とを有する画像形成装置の制御方法であって、
前記転写部位に画像が形成されていない複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおいて前記部材に異なる電圧値の電圧を印加するように前記電圧印加部を制御するステップと、
前記転写部位に複数の非画像領域の各々が位置するタイミングにおける前記電流検出部の検出結果から前記部材のインピーダンス特性を算出するステップと、
前記インピーダンス特性に基づいて、前記転写部位に画像が形成されている画像領域が位置するタイミングにおいて前記電圧印加部が前記部材に印加する電圧の電圧値を決定するステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
前記部材は、転写ローラであることを特徴とする請求項6記載の制御方法。
【請求項8】
前記制御ステップは、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第1の非画像領域が位置するタイミングにおいて前記転写ローラに第1の電圧値の電圧を印加するように、且つ、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第2の非画像領域が位置するタイミングにおいて前記転写ローラに第2の電圧値の電圧を印加するように前記電圧印加部を制御し、
前記算出ステップは、前記第1の電圧値の電圧を印加することによって前記転写ローラに流れる第1の電流値及び前記第2の電圧値の電圧を印加することによって前記転写ローラに流れる第2の電流値から前記転写ローラのインピーダンス特性を算出することを特徴とする請求項7記載の制御方法。
【請求項9】
前記部材は、帯電ローラであることを特徴とする請求項6記載の制御方法。
【請求項10】
前記制御ステップは、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第1の非画像領域が位置するタイミングにおいて前記帯電ローラに放電領域の第1の電圧値の電圧を印加するように、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第2の非画像領域が位置するタイミングにおいて放電領域の第2の電圧値の電圧を印加するように、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第3の非画像領域が位置するタイミングにおいて未放電領域の第3の電圧値の電圧を印加するように、且つ、前記転写部位に前記複数の非画像領域のうち第4の非画像領域が位置するタイミングにおいて未放電領域の第4の電圧値の電圧を印加するように前記電圧印加部を制御し、
前記算出ステップは、前記第1の電圧値の電圧を印加することによって前記帯電ローラに流れる第1の電流値及び前記第2の電圧値の電圧を印加することによって前記帯電ローラに流れる第2の電流値から前記帯電ローラの第1のインピーダンス特性を算出し、前記第3の電圧値の電圧を印加することによって前記帯電ローラに流れる第3の電流値及び前記第4の電圧値の電圧を印加することによって前記帯電ローラに流れる第4の電流値から前記帯電ローラの第2のインピーダンス特性を算出することを特徴とする請求項9記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−8048(P2013−8048A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193569(P2012−193569)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【分割の表示】特願2007−205847(P2007−205847)の分割
【原出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】