説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置本体に着脱可能に装着されるエア供給源が、画像形成時に適切な状態となっていない場合に対応できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、エア供給源からエア供給流路を介して供給された圧縮空気をエア作用部に吐出する構成を有する画像形成装置であって、圧縮空気をエア作用部に向けて吐出するエア吐出部と、エア吐出部の上流側に配置され、エア供給流路の開閉を行う開閉弁と、開閉弁の上流側に配置され、エア供給流路における開閉弁の上流側の圧力を検出する圧力検出部と、圧力検出部の上流側に配置され、エア供給源を着脱可能に装着するためのコネクタ部と、圧力検出部による検出結果に基づいて、圧縮空気の供給状態を監視する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア供給源から供給された圧縮空気をエア作用部に吐出する構成を有する画像形成装置に関し、特に、エア供給源が着脱可能に装着される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成し、この静電潜像に着色粒子であるトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。そして、このトナー像を直接又は間接的に用紙に転写させた後、定着器において加熱、加圧して定着させることにより用紙に画像を形成する。
【0003】
定着器は、用紙の画像形成面に当接する定着面側部材(定着ローラー又は定着ベルト)と、定着面側部材に対して所定の荷重で押圧され、用紙の裏面(画像形成面の反対面)に当接する裏面側支持部材(加圧ローラー又は加圧ベルト)を備えた構成を有する。定着面側部材に対して裏面側支持部材が押圧されることにより、用紙を狭持して搬送するニップ部が形成される。
【0004】
このような定着器においては、トナー像を用紙に定着させる際、溶融したトナーの粘着性により用紙が定着面側部材に巻き付いて、紙詰まり等の定着不良が生じてしまうことがある。
そこで、定着面側部材に巻き付いた用紙を分離させるために、ニップ部を通過した用紙の先端に向けてエアを吹き付けるエア分離部を備えた定着器が提案されている。エア分離部としては、コンプレッサー(圧縮機)からなるエア供給源を備えたコンプレッサー式のものが知られている(例えば特許文献1、2)。
【0005】
特許文献1には、エアの吐出圧が低下することにより定着不良(用紙の分離不良)が生じるのを防止するために、定着器の動作中、エア供給源に接続された電磁弁とオリフィス(エア吐出口)とを結ぶ流体経路内の圧力を検出し、流体経路におけるエア漏れを検出するようにした画像形成装置が開示されている。
特許文献2には、コンプレッサーが動作することにより画像形成部に振動が伝搬し、画像品質が劣化するのを防止するために、画像形成中はコンプレッサーを動作させない(圧縮空気を生成させない)ようにした画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−197654号公報
【特許文献2】特開2010−169856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、コンプレッサー式のエア分離部は、圧縮空気を生成するコンプレッサー(圧縮機)本体と、コンプレッサー本体により生成された圧縮空気を貯留する空気タンク(圧力容器)を備えている。この空気タンクの仕様は、安全性の観点から、各国における法規に従わなければならない。画像形成装置を製造する国と、画像形成装置を設置する国とが異なる場合には、それぞれの国で空気タンクに関する法規が異なる虞があるため、注意を要する。
【0008】
画像形成装置において、エア供給源を着脱可能な構成とし、画像形成装置が設置される国でエア供給源を調達して、画像形成装置本体に後付けで装着できるようにすることは、各国の法規を考慮して空気タンクの設計を行う必要がなくなるため、画像形成装置の製造者にとって有用である。
【0009】
しかしながら、画像形成装置本体に対してエア供給源が着脱可能に装着される場合、画像形成時にエア供給源が適切な状態となっているか確認する必要がある。例えば、画像形成装置本体に対してエア供給源が正常に装着されていなかったり、エア供給源の電源が投入されていなかったりすると、エア分離部が正常に機能せず、定着不良が生じてしまうためである。
従来の画像形成装置は、画像形成装置本体に対してエア供給源が予め正常に装着された構成となっており、また、エア供給源と画像形成装置本体の電源系統は同じとなっているので、上述した不具合が生じることはない。そのため、従来の像形成装置においては、上述した不具合を解消するための対策は講じられていない。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、画像形成装置本体に着脱可能に装着されるエア供給源が、画像形成時に適切な状態となっていない場合に対応できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、エア供給源からエア供給流路を介して供給された圧縮空気をエア作用部に吐出する構成を有する画像形成装置であって、
前記圧縮空気を前記エア作用部に向けて吐出するエア吐出部と、
前記エア吐出部の上流側に配置され、前記エア供給流路の開閉を行う開閉弁と、
前記開閉弁の上流側に配置され、前記エア供給流路における前記開閉弁の上流側の圧力を検出する圧力検出部と、
前記圧力検出部の上流側に配置され、前記エア供給源を着脱可能に装着するためのコネクタ部と、
前記圧力検出部による検出結果に基づいて、前記圧縮空気の供給状態を監視する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、エア供給流路における開閉弁の上流側の圧力、すなわち、装着されるエア供給源側の圧力を、圧力検出部によって検出し、常時監視することができるので、画像形成時にエア供給源が適切な状態となっていない場合に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【図3】実施の形態に係る定着部の構成を示す図である。
【図4】エア供給源を接続する接続部の具体例を示す図である。
【図5】エア供給状態監視処理(電源投入時)の一例を示すフローチャートである。
【図6】エア供給状態監視処理(画像形成時)の一例を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る定着部の他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示すである。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0015】
図1、2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、搬送部50、定着部60、及び制御部100を備えている。
【0016】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0017】
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0018】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置(スキャナー)12等を備える。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0019】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0020】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0021】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、及び中間転写ユニット42等を備える。
【0022】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0023】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0024】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0025】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
【0026】
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーと磁性体とからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0027】
中間転写ユニット42は、中間転写体となる中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、二次転写ローラー423、駆動ローラー424、従動ローラー425、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0028】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、駆動ローラー424及び従動ローラー425に張架される。中間転写ベルト421は、駆動ローラー424の回転により矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラー422によって、中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接されると、中間転写ベルト421に各色トナー像が順次重ねて一次転写される。そして、中間転写ベルト421に二次転写ローラー423が圧接されることにより形成されたニップ部(転写ニップ)を用紙Sが通過する際、中間転写ベルト421に一次転写されたトナー像が用紙Sに二次転写される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0029】
定着部60は、搬送されてきた用紙Sをニップ部(定着ニップ)Nで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。本実施の形態では、定着部60として、定着ユニット61とエア分離ユニット62を備えたエア分離方式の定着器が採用されている。定着ユニット61及びエア分離ユニット62は筐体ケースに収容され、画像形成装置1の他の構成要素と隔離される。定着ベルト611の温度を安定して保持するためである。定着部60の詳細な構成については後述する。
【0030】
搬送部50は、給紙部51、搬送機構52、及び排紙部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、用紙の坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)Sが予め設定された種類ごとに収容される。
【0031】
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー52a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構52により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー52aが配設されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。
そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面(画像形成面)に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー53aを備えた排紙部53により機外に排紙される。
【0032】
図3は、定着部60の一例を示す図である。
図3に示すように、定着部60は、用紙Sにトナー像を定着させる定着ユニット61、定着面側部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニット62を備える。
【0033】
定着ユニット61は、いわゆるベルト加熱方式を適用した定着ユニットであり、加熱ローラー612と定着ローラー613に無端状の定着ベルト611が所定のベルト張力(例えば200N)で張架されて構成される上側加圧部と、加圧ローラー615で構成される下側加圧部を有する。加圧ローラー615が定着ベルト611を介して定着ローラー613に所定の定着荷重(例えば2000N)で押圧されることにより、用紙Sを狭持して搬送するニップ部Nが形成される。
【0034】
本実施の形態では、定着ベルト611が、用紙Sの画像形成面と当接する定着面側部材となり、加圧ローラー615が、定着面側部材である定着ベルト611に対して押圧され、用紙Sの裏面(画像形成面の反対側の面)と当接する裏面側支持部材となる。
【0035】
定着ベルト611は、トナー像が形成された用紙Sに接触して、この用紙Sを定着温度(例えば160〜200℃)で加熱する。定着温度とは、用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度であり、画像形成される用紙の紙種等によって異なる。
定着ベルト611は、例えば耐熱性のポリイミドからなるフィルム基材(例えば厚さ:70μm)の外周面に、シリコーンゴム等からなる弾性層(例えば厚さ:200μm、JIS−A硬度:15°)が積層形成され、さらに、弾性層の外周面に、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂からなる表層が積層形成される。
【0036】
加熱ローラー612は、用紙Sが定着ベルト611によって定着温度で加熱されるように、すなわち定着ベルト611の温度が定着温度となるように定着ベルト611を加熱する。加熱ローラー612は、例えばアルミニウム等からなる円筒状の芯金の外周面に、PTFE等からなる樹脂層が形成された構成を有する。
【0037】
加熱ローラー612には、ハロゲンヒーター等の加熱源614が内蔵される。加熱源614の出力制御は、制御部100によって行われる。加熱源614によって加熱ローラー612が加熱され、その結果、定着ベルト611が加熱される。なお、定着ベルト611が、電磁誘導加熱(IH:Induction Heating)により加熱されるようになっていてもよい。
【0038】
定着ローラー613は、例えば鉄等からなる円柱状の芯金(例えば外径:56mm)の外周面に、シリコーンゴム等からなる弾性層(例えば厚さ:17mm、JIS−A硬度:10°)と、PTFE等のフッ素系樹脂からなる表層(例えば厚さ:50μm)が順に積層形成された構成を有する。定着ローラー613の駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、回転数等)は、制御部100によって行われる。
【0039】
加圧ローラー615は、例えば鉄等からなる円柱状の芯金(例えば外径:90mm)の外周面に、シリコーンゴム等からなる弾性層(例えば厚さ:2mm、JIS−A硬度:10°)と、PFAチューブからなる表層(例えば厚さ:30μm)が順に積層形成された構成を有する。加圧ローラー615は、圧接/離間部616により定着ベルト611を介して定着ローラー613に押圧される。加圧ローラー615の駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、回転数等)、及び圧接/離間部616の駆動制御は、制御部100によって行われる。
【0040】
加圧ローラー615には、ハロゲンヒーター等の加熱源617が内蔵される。加圧ローラー615は、ブリスターなどの画像ノイズの発生を防止するために、加熱源617によって所定の温度(例えば80〜120℃)に保持される。また、加圧ローラー615の温度が高くなることを防止するためのファン等による冷却機構を用意してもよい。加熱源617の出力制御は、制御部100によって行われる。
【0041】
エア分離ユニット62は、ファン式送風部621、及び圧縮空気吐出部80を備える。ファン式送風部621及び圧縮空気吐出部80は、それぞれ予め設定されたエアの吹き付けポイント(ニップ部Nの用紙排出側端部(ニップ端)から定着ローラー613の周方向に沿って所定の位置)に対して、エアを送風する。
なお、図3では、圧縮空気吐出部80(エア吐出ノズル81)がファン式送風部621より上方に配置されているが、上下逆の配置としてもよい。
【0042】
ファン式送風部621は、例えば、前向きの羽根が円周上に多数立設された円筒状の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)で構成される。ファン式送風部621は、定着ローラー613の軸方向と平行に送風口が形成されたエア送風ダクト621aを有する。エア送風ダクト621aは、定着ローラー613の軸方向に複数個並設された構成としてもよい。
ファン式送風部621は、エア送風ダクト621aから定着ベルト611の表面に対して、エアを軸方向一様に連続して送風する。ファン式送風部621による送風タイミング(ファンの回転のオン/オフ)や風量(ファンの回転数)等は、制御部100によって制御される。
【0043】
圧縮空気吐出部80は、エア吐出ノズル81、電磁弁82、圧力センサー83、レギュレーター84、及びエア供給源85が、エア供給流路86により接続された構成を有する。
【0044】
エア吐出ノズル81は、定着ローラー613の軸方向と平行に形成された吐出口を有し、所定の分離ポイントに向けてエアが吹き付けられるように配置される。エア吐出ノズル81は、定着ローラー613の軸方向に複数個並設された構成としてもよい。また、エア吐出ノズル81は、例えばアクチュエーター(図示略)に接続され、エアの送風態様(送風方向、送風位置など)を変化できるようになっていてもよい。
エア吐出ノズル81は、定着ベルト611の表面に対して、圧縮空気を軸方向一様に吐出する。
【0045】
電磁弁82は、エア吐出ノズル81の上流側に配置される。電磁弁82は、エア吐出ノズル81から圧縮空気を所定のタイミングで吐出させるために、エア供給流路86の開閉を行う開閉弁である。電磁弁82の開閉制御は、制御部100によって行われる。
【0046】
圧力センサー83は、電磁弁82の上流側に配置される。圧力センサー83は、エア供給流路86内の圧力を検出する。圧力センサー83による検出結果に基づいて、制御部100が圧縮空気の供給状態、すなわちエア供給源85の接続状態(電源の投入状態を含む)や、エア供給源85のコンプレッサー本体851の動作状態等を監視する。
【0047】
レギュレーター(圧力調整部)84は、電磁弁82とコネクタ部87の間に配置される。本実施の形態では、レギュレーター84は、圧力センサー83の上流側に配置されている。レギュレーター84は、レギュレーター84の下流側における圧力を、使用に適した一定圧に調整する。エア供給流路86内の圧縮空気の圧力は、レギュレーター84により、例えば0.2MPaに調整される。
電磁弁82とコネクタ部87の間にレギュレーター84を配置することにより、エア吐出ノズル81から吐出される圧縮空気の吐出量、及び吐出圧を容易に制御することができる。
【0048】
また、圧力センサー83とレギュレーター84は、エア供給流路86を介して接続されない、一体型の構成とすることもできる。例えば、SMC社製のレギュレーターACGシリーズに、圧力スイッチIS1000Mを装着した構成が考えられる。
この場合、圧力センサー83とレギュレーター84間のエア供給流路86が省略されるので、配管の簡易化、及び省スペース化を図ることができる。
【0049】
エア供給源85は、画像形成装置1本体とは別体で構成され、画像形成装置1本体にコネクタ部87を介して装着される。具体的には、図4に示すように、エア供給源85に接続されたエア供給流路861の端部861aには、雄ねじが形成される。一方、レギュレーター84に接続されたエア供給流路862の端部862aには、エア供給流路861の端部861aに螺合される雌ねじが形成される。なお、エア供給流路861の端部861aに雌ねじ、エア供給流路862の端部862aに雄ねじを形成するようにしてもよい。
【0050】
エア供給流路861の端部861aとエア供給流路862の端部862aを螺合させることにより、エア供給源85は画像形成装置1本体に装着される。このとき、エア供給流路861の端部861aとエア供給流路862の端部862aとの間に、エアパッキン等のシール部材861bを介在させることが望ましい。さらには、コネクタ部87にシールテープを巻き付けて補強するようにしてもよい。これにより、エア供給流路861、862が気密に接続されるので、コネクタ部87でエア漏れが生じるのを防止できる。
【0051】
エア吐出ノズル81、電磁弁82、圧力センサー83、及びレギュレーター84は、画像形成装置1に予め装着され、制御部100により制御可能となっているのに対して、エア供給源85は、画像形成装置1本体とは独立した制御系統を有する。また、エア供給源85の電気系統も画像形成装置1本体の電気系統から独立している。すなわち、画像形成装置1は、画像形成装置1を設置する国でエア供給源85を調達して、これを後付けで装着できるようになっている。
【0052】
エア供給源85は、例えば、導入した空気を圧縮比2以上で圧縮可能なコンプレッサー(圧縮機)で構成される。具体的には、エア供給源85は、コンプレッサー本体851、空気タンク852、及び圧力スイッチ853等を備える。
【0053】
コンプレッサー本体851は、例えば、圧縮室、圧縮室内で往復運動して空気を圧縮するピストン、ピストンを往復運動させるモーター(何れも図示略)等を有する圧縮空気生成部である。コンプレッサー本体851は、吸気口から導入した空気を高圧に圧縮し、生成された圧縮空気を空気タンク852に送出する。コンプレッサー本体851のオン/オフ制御は、圧力スイッチ853によって行われる。
【0054】
空気タンク852は、コンプレッサー本体851から送出された圧縮空気を貯留する圧力容器である。空気タンク852の仕様は、安全性の観点から、各国における法規(例えば、空気タンク852の内容積と圧力により規定された構造、検査、設置等に関する安全規則)により規制される。画像形成装置1に装着されるエア供給源85には、画像形成装置1が設置される国で調達されたものを適用できるので、画像形成装置1の製造者が設計に際してその国の法規を考慮する必要はない。
【0055】
圧力スイッチ853は、空気タンク852に貯留されている空気の圧力を検出するとともに、検出圧力に基づいてコンプレッサー本体851の動作を制御する圧力制御部である。空気タンク852内の圧力が上限の設定圧力(例えば0.8MPa)になると、圧力スイッチ853内の接点が開いてコンプレッサー本体851の電気回路が遮断される。これに伴い、コンプレッサー本体851の動作は自動的に停止する。また、空気タンク852内の圧力が下限の設定圧力(例えば0.3MPa)になると、圧力スイッチ853内の接点が閉じて、コンプレッサー本体851の電気回路が閉状態となる。これに伴い、コンプレッサー本体851は再び動作し、圧縮空気を生成する。
これにより、空気タンク852内の圧力は上下限の設定圧力の範囲で一定に保持される。なお、空気タンク852の下限の設定圧力は、画像形成装置1において必要とされる圧力(後述する基準圧P2)よりも高く設定される。
【0056】
エア供給源85において、電源が投入されると、コンプレッサー本体851が動作して圧縮空気が生成され、空気タンク852に貯留される。また、空気タンク852内の圧力が一定に保持されるように、圧力スイッチ853によりコンプレッサー本体811のオン/オフ制御が行われる。
空気タンク852に貯留された圧縮空気は、画像形成装置1本体側に常時供給され、レギュレーター84で一定圧に調整される。そして、この圧縮空気は、電磁弁82の開閉動作により、所定の吐出量、吐出圧でエア吐出ノズル81から吐出される。
【0057】
定着部60において、定着ユニット61のニップ部Nを通過した用紙Sは、以下のようにして定着ベルト611から分離される。すなわち、まずエア圧の高い圧縮空気吐出部80から用紙Sの先端に向けてエアが吐出されることにより、定着ベルト611から用紙Sの先端部が分離される。その後、風量の大きいファン式送風部621から用紙Sと定着ベルト611の間にエアが送風されることにより、用紙Sの全体が定着ベルト611から分離される。エア分離ユニット62によれば、定着ベルト611から用紙Sを効率よく分離させることができる。
【0058】
このように、画像形成装置1は、エア供給源85からエア供給流路86を介して供給された圧縮空気をエア作用部(本実施の形態では定着ベルト611の表面、具体的には定着ベルト611に巻き付いた用紙Sの先端部)に吐出する構成を有する。
【0059】
画像形成装置1においては、上述したようにエア供給源85が画像形成装置1と別体で構成されている、すなわち画像形成装置1の制御部100によってエア供給源85を制御できる構成となっていないため、画像形成に際して正常に圧縮空気が供給される状態となっているかを監視する必要がある。
そこで、画像形成装置1においては、制御部100が、圧力センサー83による検出結果に基づいて、圧縮空気の供給状態、すなわちエア供給源85の接続状態(電源の投入状態を含む)や、エア供給源85のコンプレッサー本体851の動作状態等を監視するようになっている。
【0060】
すなわち、画像形成装置1は、圧縮空気をエア作用部に向けて吐出するエア吐出ノズル81(エア吐出部)と、エア吐出ノズル81の上流側に配置され、エア供給流路86の開閉を行う電磁弁82(開閉弁)と、電磁弁82の上流側に配置され、エア供給流路86内の圧力を検出する圧力センサー83(圧力検出部)と、圧力センサー83の上流側に配置され、エア供給源85を着脱可能に装着するためのコネクタ部87と、圧力センサー83による検出結果に基づいて、圧縮空気の供給状態を監視する制御部100と、を備えている。
【0061】
画像形成装置1によれば、エア供給流路86における電磁弁82の上流側の圧力、すなわち、装着されるエア供給源85側の圧力を、圧力センサー83によって検出し、常時監視することができるので、画像形成時にエア供給源85が適切な状態となっていない場合に容易に対応することができる。具体的には、図5、6に示すフローチャートに従って、圧縮空気の供給状態が監視される。
【0062】
図5は、画像形成装置1の電源投入時のエア供給源85による圧縮空気の供給状態を監視するためのエア供給状態監視処理の一例を示すフローチャートである。図5に示すエア供給状態監視処理は、例えば画像形成装置1において電源が投入されることに伴い、CPU101がROM102に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0063】
ステップS101において、制御部100は、圧力センサー83による検出結果(検出圧力)を取得する。画像形成装置1に対してエア供給源85が正常に装着されていなかったり、エア供給源85の電源が投入されていなかったりすると、検出圧力はほぼ0(大気圧)となるはずである。
【0064】
ステップS102において、制御部100は、ステップS101で取得した検出圧力が基準圧P1以上であるか否かを判定する。ここで、基準圧P1は、エア供給源85が正常に接続され、正常に動作しているかの判断基準となる圧力値(第1の圧力値)であり、0(大気圧)より若干大きい値(例えば0.05MPa)に設定される。
そして、制御部100は、検出圧力が基準圧P1以上であると判定した場合には、画像形成装置1に対してエア供給源85が正常に接続されていると判断できるので、ステップS103の処理に移行する。一方、制御部100は、検出圧力が基準圧P1未満であると判定した場合には、画像形成装置1に対してエア供給源85が正常に接続されていない(電源が投入されていない場合を含む)と判断できるので、ステップS104の処理に移行する。
【0065】
ステップS103において、制御部100は、ウォームアップ処理を開始させた後、エア供給状態監視処理を終了する。つまり、エア供給源85が正常に接続されている場合は、画像形成時にエア分離ユニット62(圧縮空気吐出部80)が正常に動作すると考えられるので、画像形成処理を開始することが許可され、いつでも画像形成を開始できる待機状態となる。
【0066】
ステップS104において、制御部100は、エア供給源85が正常に接続されていない旨のアラートを報知した後、エア供給状態監視処理を終了する。このアラートの報知は、例えば、操作表示部20の表示部21によって行われる。つまり、エア供給源85が正常に接続されていない場合は、画像形成処理を開始させることが許可されず、ウォームアップ処理も行われることなく待機状態となる。
【0067】
なお、アラートが報知された後、利用者によってエア供給源85が正常に接続され直された場合は、例えば利用者によるリセット操作に伴い図5に示すエア供給状態監視処理が再度実行されるようにしてもよい。
【0068】
このように、画像形成装置1において、制御部100は、圧力センサー83(圧力検出部)による検出結果と、予め設定された第1の圧力値P1を比較することにより、エア供給源85が正常に接続されているか否かを判定する(図5のステップS102)。
そして、制御部100は、エア供給源85が正常に接続されていると判定した場合には画像形成処理を開始することを許可し(図5のステップS103)、エア供給源85が正常に接続されていないと判定した場合には画像形成処理を開始させない(図5のステップS104)。
これにより、エア供給源85が正常に接続されていないにも関わらず画像形成処理が開始されて、エア分離ユニット62が正常に動作しないことにより定着不良(用紙Sの分離不良)が生じてしまうのを未然に防止することができる。また、エア供給源85が正常に接続されていない場合には、ウォームアップ処理も行われないので、無駄な電力消費を抑制することができる。
【0069】
また、制御部100は、エア供給源85が正常に接続されていないと判定した場合には、その旨を表示部21(報知部)に報知させる。
これにより、画像形成装置1の利用者は、画像形成装置1本体に対してエア供給源85が正常に接続されていないことを容易に知得することができる。したがって、画像形成を開始させる前に、エア供給源85を装着したり、エア供給源85の電源を投入したりする等して適切に対処することができる。
【0070】
図6は、画像形成装置1の画像形成時のエア供給源85による圧縮空気の供給状態を監視するためのエア供給状態監視処理の一例を示すフローチャートである。図6に示すエア供給状態監視処理は、例えば画像形成に係る印刷ジョブを画像形成装置1が受信したことに伴い、CPU101がROM102に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
なお、画像形成装置1の電源投入時に、図5に示すエア供給状態監視処理(電源投入時)が実行されることにより、画像形成装置1本体に対してエア供給源85は正常に接続されているものとする。
【0071】
ステップS201において、制御部100は、圧力センサー83による検出結果(検出圧力)を取得する。
【0072】
ステップS202において、制御部100は、ステップS201で取得した検出圧力が基準圧P2以上であるか否かを判定する。ここで、基準圧P2は、定着工程において、適切な吐出量、吐出圧で圧縮空気を吐出できるかの判断基準となる圧力値(第2の圧力値)であり、レギュレーター84による調整圧力とほぼ同等の値(例えば0.20MPa)に設定される。そして、制御部100は、検出圧力が基準圧P2以上であると判定した場合には、エア供給源85から十分な圧縮空気が供給されていると判断できるので、ステップS203の処理に移行する。
【0073】
一方、制御部100は、ステップS202において検出圧力が基準圧P2未満であると判定した場合には、エア供給源85から十分な圧縮空気が供給されていないこととなるので、ステップS201の処理に移行する。そして、制御部100は、圧力センサー83による検出圧力が基準圧P2以上となるまで、ステップS201、S202の処理を繰り返す。例えば、エア供給源85の電源を投入してからすぐの場合、又はコンプレッサー本体851の動作異常により圧縮空気が生成されていない場合に、検出圧力が基準圧P2未満になると考えられる。
所定時間経過しても検出圧力が基準圧P2以上とならない場合は、コンプレッサー本体851の動作異常である可能性が高いので、その旨を表示部21に表示して、図6に示すエア供給状態監視処理を終了するようにしてもよい。
【0074】
ステップS203において、制御部100は、1枚の画像形成処理を開始させる。つまり、エア供給源85から十分な圧縮空気が供給されている場合は、定着工程において定着不良(用紙Sの分離不良)が生じる可能性は低いので、画像形成処理(給紙部51からの用紙Sの供給)が開始される。
【0075】
なお、ステップS202において、ステップS201で取得した検出圧力が基準圧P2を下回っていても、用紙Sがニップ部Nに到達するまでに基準圧P2まで回復可能な程度であれば、画像形成処理を開始させても構わない。すなわち、ニップ部Nに用紙が到達する前に、圧力センサー83による検出圧力が基準圧P2以上となっていればよい。
【0076】
ステップS204において、制御部100は、印刷ジョブで指定された印刷枚数の画像形成が終了したか否かを判定する。そして、制御部100は、指定枚数の画像形成が終了したと判定した場合にはエア供給状態監視処理を終了し、指定枚数の画像形成が終了していないと判定した場合にはステップS201の処理に移行する。
【0077】
1枚の画像形成処理においてエア吐出ノズル81から圧縮空気が吐出されると、一時的にエア供給流路86内の圧力が低下し、圧力センサー83による検出圧力が基準圧P2を下回ることがありうる。この場合、次の画像形成処理時の定着工程において、定着不良が生じる虞がある。
そこで、1枚の画像形成処理を行う前に、確認的にエア供給状態が監視されるようになっている。これにより、定着工程において定着不良(用紙Sの分離不良)が生じるのを確実に防止することができる。
【0078】
このように、画像形成装置1において、制御部100は、圧力センサー83(圧力検出部)による検出結果と、予め設定された第2の圧力値P2を比較することにより、定着ベルト611(定着面側部材)の表面に適切な圧縮空気を吐出できるか否かを判定する(図6のステップS202)。
そして、制御部100は、定着ベルト611の表面に適切な圧縮空気を吐出できると判定した場合には画像形成処理を開始(再開)することを許可し(図6のステップS203)、定着ベルト611の表面に適切な圧縮空気を吐出できないと判定した場合には、画像形成処理を開始させずに待機する(図6のステップS202→S201)。
【0079】
これにより、エア供給源85から十分な圧縮空気が供給されていないにも関わらず画像形成処理が開始されて、エア分離ユニット62が正常に動作しないことにより定着不良(用紙Sの分離不良)が生じてしまうのを未然に防止することができる。
【0080】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0081】
例えば、実施の形態では、定着工程において定着ベルト611に巻き付こうとする用紙Sを分離させるために、エア供給源85から供給された圧縮空気を、エア作用部である定着ベルト611(定着面側部材)の表面に吐出させるようにしているが、エア作用部としては様々な箇所が考えられる。
例えば、画像形成に用いられる用紙Sを薄紙に切り替える場合、より低い温度で定着させなければ、過加熱による画像荒れが発生する。しかし、定着温度が自然に下がるまでには、相当の時間を要する。この場合、定着ベルト611に圧縮空気を吹き付ける(定着ベルト611がエア作用部となる)ことで、適切な定着温度に短時間で移行させることができる。
【0082】
また、エア供給源85としては、本実施の形態で説明するものに限定されず、エア供給源として市販されている一般的なエア供給源を適用することができる。例えば、空気タンク852内の圧力が上限の設定圧力になると圧縮室を開放してコンプレッサー本体851で空運転が行われ、下限の設定圧力になると圧縮室を閉塞してコンプレッサー本体851で圧縮運転が行われる構成としてもよい。また、エア供給源85は、空気タンク852内の圧力が上限の設定圧力になると、自動的に逃がし弁が開く構成としてもよい。
さらには、画像形成時に必要となる圧縮空気の吐出圧が0.15MPa以下の場合には、エア供給源85として、電磁ポンプを適用することもできる。
【0083】
また、圧力センサー83の配置は、電磁弁82(開閉弁)よりも上流側であればよく、レギュレーター84の上流側であってもよい(図7参照)。この場合、エア供給源85から供給される圧縮空気の圧力が直接圧力センサー83に加わる(レギュレーター84の下流側に配置した場合に比較して圧力センサー83に加わる圧力が大きい)ため、これに対応しうる圧力レンジのものが適用される。
【0084】
また、実施の形態では、定着ユニット61をベルト加熱方式の定着ユニットで構成した場合について説明したが、定着ユニット61の構成はこれに限定されない。例えば、定着ユニット61をローラー加熱方式の定着ユニットで構成してもよい。また、エア分離ユニット62において、ファン式送風部621を省略してもよい。
【0085】
また、定着工程において、定着ベルト611から用紙Sを分離させるのに必要な圧縮空気の吐出圧は、画像形成に用いられる用紙Sの紙種によって異なる。例えば、坪量が大きい用紙の場合は、圧縮空気を吐出させなくても定着ベルト611から容易に分離する。そこで、図6に示すエア供給状態監視処理において、画像形成に用いられる紙種(サイズ、坪量、紙厚)に応じて、制御部100が基準圧P2を変更するようになっていてもよい(表1参照)。表1に従うと、用紙Sの坪量が大きくなるに伴い、基準圧P2は小さく設定されることとなる。
これにより、画像形成に用いられる用紙Sの紙種に適した吐出圧が得られるエア供給状態であれば、画像形成処理が行われるようになる。したがって、圧力センサー83の検出圧力が基準圧P2に満たないことによる待機時間(ダウンタイム)が最小限に抑制されるので、効率よく画像形成を行うことができる。
【0086】
【表1】

【0087】
また、定着工程において、定着ベルト611から用紙Sを分離させるのに必要な圧縮空気の吐出圧は、用いられるトナー種、すなわち画像形成モードによって異なる。例えば、用いられるトナー種が多くなると、用紙Sが定着ベルト611に巻き付く可能性が高くなるため、用紙分離に必要な圧縮空気の吐出圧は高くなる。そこで、図6に示すエア供給状態監視処理において、画像形成モード(モノクロ/カラー/特色付加)に応じて、制御部100が基準圧P2を変更するようになっていてもよい(表2参照)。表2に従うと、モノクロモード、カラーモード、特色付加モードの順に、基準圧P2は大きく設定されることとなる。
これにより、画像形成モードに適した吐出圧が得られるエア供給状態であれば、画像形成処理が行われるようになる。したがって、圧力センサー83の検出圧力が基準圧P2に満たないことによる待機時間(ダウンタイム)が最小限に抑制されるので、効率よく画像形成を行うことができる。
【0088】
【表2】

【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
1 画像形成装置
10 画像読取部
20 操作表示部
30 画像処理部
40 画像形成部
50 搬送部
60 定着部
61 定着ユニット
62 エア分離ユニット
80 圧縮空気吐出部
81 エア吐出ノズル
82 電磁弁
83 圧力センサー
84 レギュレーター
85 エア供給源
851 コンプレッサー本体
852 空気タンク
853 圧力スイッチ
86 エア供給流路
87 コネクタ部
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エア供給源からエア供給流路を介して供給された圧縮空気をエア作用部に吐出する構成を有する画像形成装置であって、
前記圧縮空気を前記エア作用部に向けて吐出するエア吐出部と、
前記エア吐出部の上流側に配置され、前記エア供給流路の開閉を行う開閉弁と、
前記開閉弁の上流側に配置され、前記エア供給流路内の圧力を検出する圧力検出部と、
前記圧力検出部の上流側に配置され、前記エア供給源を着脱可能に装着するためのコネクタ部と、
前記圧力検出部による検出結果に基づいて、前記圧縮空気の供給状態を監視する制御部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記圧力検出部による検出結果と、予め設定された第1の圧力値を比較することにより、前記エア供給源が正常に接続されているか否かを判定し、
前記エア供給源が正常に接続されていると判定した場合には画像形成処理を開始することを許可し、
前記エア供給源が正常に接続されていないと判定した場合には画像形成処理を開始させないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記エア供給源が正常に接続されていないと判定した場合には、その旨を報知部に報知させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉弁と前記コネクタ部の間に配置され、前記開閉弁に接続される前記エア供給流路内の圧力を一定に保持する圧力調整部を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記圧力検出部と前記圧力調整部が一体型であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記エア供給源が、吸気口から導入した空気を圧縮して前記圧縮空気を生成する圧縮空気生成部と、
前記圧縮空気生成部から送出された圧縮空気を貯留する空気タンクと、
前記空気タンク内の圧力が一定に保持されるように前記圧縮空気生成部の動作を制御する圧力制御部と、を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記圧縮空気生成部が、圧縮比2以上で空気を圧縮することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成部によってトナー像が形成された用紙の画像形成面に当接する定着面側部材と、
前記定着面側部材に対して押圧され、前記用紙の裏面に当接する裏面側支持部材と、
前記用紙に前記定着面側部材を介して熱を供給する加熱源と、
前記エア供給源から前記エア供給流路を介して供給された圧縮空気を、前記定着面側部材の表面に吐出することにより、前記定着面側部材から前記用紙を分離させるエア分離部を備えることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部が、前記圧力検出部による検出結果と、予め設定された第2の圧力値を比較することにより、前記エア作用部に適切な圧縮空気を吐出できるか否かを判定し、
前記定着面側部材の表面に適切な圧縮空気を吐出できると判定した場合には画像形成処理を開始することを許可し、
前記定着面側部材の表面に適切な圧縮空気を吐出できないと判定した場合には、画像形成処理を開始させずに待機させることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部が、画像形成に用いられる用紙の紙種に応じて前記第2の圧力値を設定することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部が、画像形成条件に応じて前記第2の圧力値を設定することを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−88637(P2013−88637A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229410(P2011−229410)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】