説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、送風手段によるトナー粉煙の機内での浮遊を効果的に抑えること。
【解決手段】一方向に配列された感光体11を中心とする複数の作像ユニット10と、感光体11上に形成されたトナー像が転写される中間転写体21を含む中間転写ユニット20と、作像ユニット10を冷却するための送風ユニット40と、を備えた画像形成装置。送風ユニット40と中間転写ユニット20と複数の作像ユニット10のうち画像形成順の最上流側に配置されている作像ユニット10yとが交わる部分に、空気の流通を遮蔽する遮蔽部材50が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式による複写機やプリンタなどの画像形成装置は、感光体上に形成された静電潜像を現像器からトナーを供給することにより可視像化し、トナー像を中間転写体を介してあるいは直接に用紙上に転写している。近年では、装置全体のコンパクト化、高速化が進み、定着器からの放熱、両面印字の際の用紙からの放熱、各種電気部品からの放熱、ローラなどの回転体の摺動熱などにより、機内に熱気が滞留しやすい。それゆえ、エアーフロー設計には十分留意する必要があり、性能のよい送風(冷却)システムを構築することが望まれている。
【0003】
また、従来より、感光体を中心として構成されている作像ユニットには、トナーの粉煙に起因する画像異常を防止するため、発生した粉煙を吸引し、フィルタを介して機外へ排出する送風機構を設けている。また、画像露光ユニットを作像ユニットに突出させた機種においては、突出させた画像露光ユニットの表面に浮遊トナーが付着しないように気流遮断手段を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
前述した送風(冷却)システムの性能の向上に伴い、従来は問題には至らなかったトナー粉煙の機内への拡散、電気ハーネスを引き回すための開口部や電気部品の接合用の開口部を通じて作像ユニットで発生したトナー粉煙が気流に乗って機内を浮遊し、画像露光ユニットの光照射窓を汚損するといった問題点を生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−84632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、送風手段によるトナー粉煙の機内での浮遊を効果的に抑えることのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の形態である画像形成装置は、
一方向に配列された感光体を中心とする複数の作像ユニットと、該感光体上に形成されたトナー像が転写される中間転写体を含む中間転写ユニットと、前記作像ユニットを冷却するための送風ユニットと、を備えた画像形成装置において、
前記送風ユニットと、前記中間転写ユニットと、前記複数の作像ユニットのうち画像形成順の最上流側に配置されている作像ユニットとが交わる部分に、空気の流通を遮蔽する遮蔽部材が配置されていること、
を特徴とする。
【0008】
前記第1の形態である画像形成装置においては、送風ユニットと、中間転写ユニットと、複数の作像ユニットのうち画像形成順の最上流側に配置されている作像ユニットとが交わる部分に、空気の流通を遮蔽する遮蔽部材が配置されているため、作像ユニットで発生したトナー粉煙が送風ユニットを通じて機外に漏れたり、機内に循環して画像露光ユニットなどを汚染することが防止される。
【0009】
本発明の第2の形態である画像形成装置は、
一方向に配列された感光体を中心とする複数の作像ユニットと、該感光体上に形成されたトナー像が転写される中間転写体を含む中間転写ユニットと、前記作像ユニットを冷却するための送風ユニットと、を備えた画像形成装置において、
前記送風ユニットは、外気を導入するファンと画像形成装置内部の空気を外部に排出するファンとを含み、
前記導入ファンと前記排出ファンとの間に仕切りプレートが配置され、該仕切りプレートに形成された開口部は第2の遮蔽部材によって塞がれていること、
を特徴とする。
【0010】
前記第2の形態である画像形成装置においては、導入ファンと排出ファンとの間に配置された仕切りプレートに形成された開口部が第2の遮蔽部材によって塞がれているため、作像ユニットで発生したトナー粉煙が排出ファンの配置領域から導入ファンの配置領域を通じて機内に循環し、画像露光ユニットなどを汚染することが防止される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、送風手段によるトナー粉煙の機内での浮遊を効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】送風機構による気流(対策前)を示す説明図である。
【図3】第1実施例を示す説明図である。
【図4】第1実施例における遮蔽部材を示す説明図である。
【図5】第1実施例における遮蔽部材の動作説明図であり、(A)は作像ユニットの装着時を示し、(B)は作像ユニットの離脱時を示している。
【図6】第2実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。各図においては、同じ部材、部分について共通する符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1に示す画像形成装置1は、タンデム方式の電子写真複写機であり、概略、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色のトナー画像を形成するための作像ユニット10(10y,10m,10c,10k)と、中間転写ユニット20にて構成されている。
【0015】
作像ユニット10は、それぞれ、感光体ドラム11を中心として帯電チャージャ(図示せず)、現像器12などを配置したもので、レーザー走査光学ユニット15から照射されるレーザ光によってそれぞれの感光体ドラム11上に描画される静電潜像を現像器12で現像して各色のトナー画像を形成する。中間転写ユニット20は、矢印X方向に回転駆動される無端状の中間転写ベルト21を備え、各感光体ドラム11と対向する1次転写ローラ22から付与される電界にて、各感光体ドラム11上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト21上に1次転写して合成する。中間転写ベルト21には図1の右側に2次転写ローラ25が接触しており、かつ、左側に残留トナーの除去/回収機構26が設置されている。なお、このような電子写真法による画像形成プロセスは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0016】
装置本体の下部には、被転写材(以下、用紙と称する)を1枚ずつ給紙する自動給紙ユニット30が3段に配置され、用紙はそれぞれの給紙ローラ31から縦搬送路へ送り込まれ、タイミングローラ対32を経て、前記中間転写ベルト21と2次転写ローラ25とのニップ部に搬送され、2次転写ローラ25から付与される電界にてトナー画像(合成カラー画像)が2次転写される。その後、用紙は定着ユニット35に搬送されてトナーの加熱定着を施され、装置本体の上面に配置されたトレイ部2に排出される。両面コピーの場合、第1面に画像を形成された用紙は再給紙搬送路33を経て前記タイミングローラ対32へ戻され、再度2次転写ニップ部に搬送される。
【0017】
前記画像形成装置1においては、作像ユニット10、光学ユニット15、中間転写ユニット20などからの発熱を放熱するために、送風ユニット40が設けられている。図2及び図3に示すように、送風ユニット40は、外気を導入するための導入ファン41と機内の空気を機外に排出する排気ファン43とで構成されている。導入ファン41は作像ユニット10のうち画像形成順の最上流側に配置されている作像ユニット10yに対して他の作像ユニット10m,10c,10kとは反対側であって光学ユニット15に近接して配置されている。排気ファン43は導入ファン41の直上であって作像ユニット10yに隣接して配置されている。
【0018】
導入ファン41と排気ファン43は仕切りプレート45によって仕切られている。この仕切りプレート45は、送風ユニット40から図2の右方に延在し、作象ユニット10y,10m,10cから作象ユニット10kまで達している。仕切りプレート45には、中間転写ユニット20、作像ユニット10や光学ユニット15に電力を供給するケーブルや制御信号などを送信するハーネスを引き回すための開口部45aや光学ユニット15から放射されたレーザ光を通すための露光スリットが形成されている。
【0019】
導入ファン41は、導入口42から機外の空気を機内に吸引し、まずは光学ユニット15の周囲に送風する(矢印a参照)。気流は光学ユニット15の直上に配置されている仕切りプレート45の露光スリットを通じて作像ユニット10の周囲を流れる(矢印b参照)。排気ファン43は作像ユニット10の周囲から還流してきた空気流を排気口44を通じて機外に排出する。このような空気流の循環によって光学ユニット15や作像ユニット10が冷却される。また、排気口44には図示しないフィルタが設置され、浮遊トナーなどが機外に排出されないようにしている。
【0020】
このとき、特に対策を施していないと、図2に示すように、作像ユニット10yのケーシング13と中間転写ユニット20のケーシング(具体的には、除去/回収機構26のハウジング27)との間に隙間Cが存在するため、該隙間Cからの空気流(矢印c参照)が発生し、各作像ユニット10の現像領域で発生したトナー粉煙が矢印cで示す空気流に乗って排気ファン43の周囲に浮遊する。さらに、この浮遊トナーは仕切りプレート45の開口部45aを通じて導入ファン41の周囲に流れ込み(矢印d参照)。光学ユニット15を汚染することになる。
【0021】
そこで、第1実施例として、図3に示すように、送風ユニット40と、中間転写ユニット20と、画像形成順の最上流側に配置されている作像ユニット10yとが交わる部分(即ち、前記隙間C)に、空気の流通を遮蔽する遮蔽部材50を設けている。この遮蔽部材50は、中間転写ユニット20のケーシング27の一部と作像ユニット10yのケーシング13の一部に当接することにより、各作像ユニット10の現像領域と送風ユニット40とを遮蔽している。
【0022】
以上のごとく、遮蔽部材50によって作像ユニット10で発生したトナー粉煙が送風ユニット40を通じて機外に漏れたり、機内に循環して光学ユニット15などを汚染することが防止される。
【0023】
ところで、前記遮蔽部材50は、ゴムやスポンジ、ウレタンなどの弾性材からなり、作像ユニット10や中間転写ユニット20の軸方向に延在する長尺状部材又はシート状部材である。このような遮蔽部材50の長さは図4に示す画像形成幅Wと同じかそれ以上であることが好ましい。
【0024】
図4には、導入ファン41と排気ファン43の装置本体の側面から見た位置関係をも示している。即ち、導入ファン41は装置の正面側に配置され、排気ファン43は装置の奥側に配置されている。
【0025】
また、各作像ユニット10は画像形成装置本体に対して一方向(図3の紙面に対して垂直方向)に出し入れ可能に設置されている。前記遮蔽部材50は、図5に示すように、装置本体の図示しないフレームに設けた支軸52を支点として回動自在なレバー51の先端に固定されている。レバー51は、その下部に作像ユニット10yのケーシング13に当接する突起51aが設けられており、かつ、コイルばね53によって矢印e方向に弾性的に付勢されている。
【0026】
図5に示す構成において、遮蔽部材50は、作像ユニット10yの出し入れ動作に連動し、挿入されるとケーシング13に対する当接位置に移動し、離脱する際にはケーシング13に対する解除位置に移動する。即ち、作像ユニット10yが装置本体に挿入されると、図5(A)に示すように、ケーシング13によって突起51aが左方に付勢され、コイルばね53に抗してレバー51が支軸52を支点として時計回り方向に回動することにより、遮蔽部材50が隙間Cを遮蔽する。一方、作像ユニット10yが装置本体から引き抜かれる際に、図5(B)に示すように、レバー51がコイルばね53に付勢されて支軸52を支点として反時計回り方向に回動し、遮蔽部材50がケーシング13,27との当接を解除される。これにて、遮蔽部材50に干渉されることなく作像ユニット10yを装置本体に着脱することができる。
【0027】
次に、第2実施例について図6を参照して説明する。本第2実施例は、導入ファン41と排気ファン43との間に配置した仕切りプレート45に形成された開口部45aを第2の遮蔽部材46によって塞ぐように構成している。第2の遮蔽部材46としては樹脂シートを用いることが好ましい。
【0028】
仕切りプレート45に形成された開口部45aは、前述のように電気ハーネスなどを引き回すためのものであり、ハーネスは第2の遮蔽部材(樹脂シート)46に形成したスリットに挿通される。開口部45aが第2の遮蔽部材46によって塞がれているため、作像ユニット10の現像領域で発生したトナー粉煙が機内に循環することが防止される。それゆえ、光学ユニット15などが浮遊トナーで汚染されることがない。
【0029】
なお、本発明に係る画像形成装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0030】
特に、遮蔽部材の材質、細部の構成、形状は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明は、電子写真方式による画像形成装置に有用であり、特に、送風手段によるトナー粉煙の機内での浮遊を効果的に抑えることができる点で優れている。
【符号の説明】
【0032】
10…作像ユニット
11…感光体ドラム
20…中間転写ユニット
21…中間転写ベルト
40…送風ユニット
41…導入ファン
43…排気ファン
45…仕切りプレート
45a…開口部
46…第2の遮蔽部材(樹脂シート)
50…遮蔽部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配列された感光体を中心とする複数の作像ユニットと、該感光体上に形成されたトナー像が転写される中間転写体を含む中間転写ユニットと、前記作像ユニットを冷却するための送風ユニットと、を備えた画像形成装置において、
前記送風ユニットと、前記中間転写ユニットと、前記複数の作像ユニットのうち画像形成順の最上流側に配置されている作像ユニットとが交わる部分に、空気の流通を遮蔽する遮蔽部材が配置されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記中間転写ユニットの一部と前記最上流側に配置されている作像ユニットの一部とに当接していること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記作像ユニットは画像形成装置本体に対して一方向に出し入れ可能に設置されており、
前記遮蔽部材は画像形成装置本体に取り付けられ、かつ、前記作像ユニットの引出し方向に延在していること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、前記最上流側に配置されている作像ユニットの出し入れ動作に連動し、挿入されると該作像ユニットに対する当接位置に移動し、離脱する際には解除位置に移動すること、を特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材は弾性材からなる長尺状部材又はシート状部材であること、を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記遮蔽部材の長さは画像形成幅と同じかそれ以上であること、を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記送風ユニットは外気を導入するファンを含み、該ファンは前記最上流側に配置されている作像ユニットに対して他の作像ユニットとは反対側に設置されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記送風ユニットは画像露光ユニットへの送風を行うこと、を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
一方向に配列された感光体を中心とする複数の作像ユニットと、該感光体上に形成されたトナー像が転写される中間転写体を含む中間転写ユニットと、前記作像ユニットを冷却するための送風ユニットと、を備えた画像形成装置において、
前記送風ユニットは、外気を導入するファンと画像形成装置内部の空気を外部に排出するファンとを含み、
前記導入ファンと前記排出ファンとの間に仕切りプレートが配置され、該仕切りプレートに形成された開口部は第2の遮蔽部材によって塞がれていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記第2の遮蔽部材は樹脂シートであること、を特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−97011(P2013−97011A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236717(P2011−236717)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】