説明

画像投射装置

画像投射装置(1)において、画像データ(PD)に基づいて光を発生する電気光学装置(10)によって投射表面(3)に画像(2)が投射される。投射モード設定段(32)は、投射モードパラメータに基づいて種々の投射モードの設定を担う。各投射モードパラメータにつき、変数作用装置(11,13,21,22,28)は、投射モード設定段(32)により制御されることが可能であり、投射モードの少なくともいずれかが投射表面(3)において投射画像(2)の異なる画像サイズにより少なくとも特徴づけられる。投射モード選択装置(30)が投射モード選択信号(PMS)を投射モード設定段(32)に出力することによって、可能性のある投射モードからの投射モードの選択を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色々な投射モードで投射表面上に画像を投射する装置に関し、特に、当該投射画像を表す画像データに基づいて光を発生し出力する電気光学装置を有し、当該投射画像の画像サイズを変えるための光学変更手段を有し、またいずれも当該装置において生じる少なくとも1つの物理的変数に制御可能にして作用を及ぼすための制御可能型変数作用手段を有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投射表面上に画像を投射するこのような装置は、例えば、米国特許第5,658,062号から知られている。この既知の文献に記載されているのは、電気機械的に作動させられることの可能なズーム光学系によりある連続した範囲内で投射画像の画像サイズを変更することができるプロジェクタであり、かかるズーム光学系は、光源により発せられた光を投射壁上へ投射している。知られた態様では、当該投射画像の異なる輝度又は光強度は、当該ズーム光学系の位置によって得られる。この既知のプロジェクタにおいては、光源から発せられる光は、投射壁上に投射された画像においてほぼ同じ輝度が得られるようにズーム光学系の位置の関数としてその強度につき制御される。
【0003】
最近では、ホームシアタの目的でプロジェクタが益々頻繁に用いられてきており、例えばDVDプレーヤにより出力されたビデオ映画画像がリビングルームの壁に投射されることが普通となっている。投射すべき画像データは、同様にTVチューナから得ることができるので、TV番組は、このようなプロジェクタによって示すことができる。ホームシアタ目的のプロジェクタのこのような使用においては、ユーザは、しばしば異なる画像サイズで異なる番組内容を見たいと思うものである。例示すると、ビデオ映画の場合は出来るだけ大きなすなわち最大の画像サイズで映画を観ることができるように再生されるのが好ましいと考えられるのに対し、他の番組例えばニュース放送などの場合は、より小さな画像サイズが望ましい場合がある。当該既知のプロジェクタの使用は、制限された程度においてそうした目的についてのみ可能であるに過ぎない。種々の画像サイズを設定することは可能であるものの、これは、当該プロジェクタの動作素子の比較的複雑な取り扱い又は操作によってのみ行うことができるにすぎず、不利である。さらに、所望の画像サイズを素早く設定し常に与えられた目的の同じサイズを設定することも難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、投射表面上に画像を投射する装置であって上述した不利な点を回避するものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、次のように特徴づけることのできる装置を提供する。
【0006】
すなわち、種々の投射モードにより投射表面に画像を投射する装置であって、 当該投射画像を表す画像データ源からの画像データに基づいて光を発生する電気光学装置を有し、前記投射画像の画像サイズを変える変更手段を有し、当該装置において生じる少なくとも1つの物理的変数にいずれの場合も制御可能に作用を及ぼす制御可能型変数作用手段を有し、投射モードパラメータに基づいて種々の投射モードの設定を行うことのできる投射モード設定段を有し、各投射モードパラメータにつき、変数作用手段は、前記投射モード設定段により制御されることが可能であり、前記変数作用手段の少なくともいずれかは、前記投射モードの少なくともいずれかにおいて前記投射画像の少なくとも異なる画像サイズが前記投射表面において得ることができように構成され、当該装置は、可能性のある複数の異なる投射モードから投射モードを選択することができ当該選択された投射モードに応じて投射モード選択信号を発生することができる投射モード選択手段を有し、その投射モード選択信号は、当該選択された投射モードを設定する目的で前記投射モード設定段に出力可能とされる、装置である。
【0007】
したがって、本発明による装置においては、非常に簡単かつ都合の良い形態で、多数の投射モードから投射モードを迅速に設定することができ、所望の画像サイズが素早く、常に当該投射モード又は用途に応じた目的の同じサイズに設定することができる。
【0008】
投射モードパラメータは、例えば赤外線遠隔制御装置によって本発明による装置に伝送されるようにしてもよい。請求項2及び3に記載の方策が本発明による装置に設けられると、特に効果的であり、当該装置の簡単で簡素化された動作を導き、投射モードの選択も当該装置に対し直接行うことができることが判明した。
【0009】
変更される画像サイズが得られるように投射の前に電気的又はディジタル的に画像データを処理するように変更手段を設けてもよい。
【0010】
請求項4及び5に記載の方策を設けると、非常に効果的であることが判明しており、投射画像が解像度に関するクオリティの損失を呈しない、という利点が得られる。さらに、これにより投射画像の輝度が改善する。
【0011】
請求項6の方策において請求されているように、当該用途に応じて投射画像の適切な画像輝度が常に得られるという効果が奏され、結果として装置のサービス寿命が格段に長くなる。
【0012】
請求項7の方策において請求されるように、異なる画像データ源が投射モードに応じて選択可能であるという利点がある。
【0013】
請求項9の方策により、投射モードの自動的な選択を非常に簡単に行うことができるという利点が得られる。これは、これをなすために必要なものは、どの画像データ源がかかわっているかを判定するだけでよく、画像データ源を介して出力される、いわゆるメタデータすなわち付随する付加的情報が追加で用いられる可能性があるからである。
【0014】
請求項10の方策により、非常に高度な状態の自動化が達成可能であり、投射モードが非常に多くの目的及び/又は条件のために設定可能であるという利点が得られる。
【0015】
請求項13に記載のような方策が設けられると非常に効果的にであることが分かっている。それは、結果として、輝度及びコントラスト設定が常にある瞬間においてユーザの状況に適合した状態を維持するからである。例えば、高い周囲輝度の場合、例えば強調させる必要のない小さい画像サイズでかつ画像内容の場合、コントラスト設定値を落とすのが有益である。結果として、(画像輝度を同じままとして)光を発する電気光学装置のランプの電力を減らすことができる。一般に、投射モードの対象とされる使用によって、ランプのパワーを必要最小限の値に常に維持することができる。ランプにより生じた熱は、ファンにより冷まされるのが普通なので、このファンは、当該ランプのパワーの関数として制御されることが可能である。これにより、ファンにより生じるノイズを効果的に減らすことができる。ランプの制御操作によって、装置全体のサービス寿命が効果的に延びる。
【0016】
以下、本発明を図面に示される実施例に基づいてさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、部屋5の壁3の上に投射されるべき画像2を投射する第1の装置1を示しており、当該壁は、装置1から壁面距離D離れて位置づけされている。第1の装置1は以下ではプロジェクタ1と呼ぶが、本例では、それ自体は知られているように部屋5のフロア7上に当該装置を配置するためのベース6を備えた立脚ユニット(standing unit)として構成されている。投射され又は投射予定の画像2は、画像データにより表され、この画像データは、DVDプレーヤ(図1には示していない)からプロジェクタ1へ電子的に伝送される。なお、画像データ及びこれも可能性のあるオーディオデータは、オンラインPC又はCD若しくはDVDプレーヤから、又はインターネット接続を介して直接、プロジェクタ1へ供給可能である。さらにこのビデオ及びオーディオデータは、アンテナ入力を介して無線の態様で供給されることもあり、プロジェクタの電子手段は、チューナなどを伴う従前の形態でオーディオ及びビデオ入力段を有する。こうした装置は、長く知られており、したがって、ここではこれ以上詳しく説明する必要はない。
【0018】
画像を投射するこのような装置又はプロジェクタは、ホームシアタシステムにおいて益々使用されるようになってきており、当該プロジェクタは、画像形成に必要な光ビームを発生する非常に広範な技術すなわちプロジェクションを用いている。本例においては、LDCパネルがプロジェクタ1に用いられて画像データにより変調された光ビームを発生するようにしている。なお、画像データにより変調される光ビームを発生するのに、例えばDMDパネル又は陰極線管などの他のデバイスを用いてもよい。
【0019】
このプロジェクタ1は、内部に、立脚ユニットとしての構成で、垂直ビーム経路すなわち垂直光学主軸14を有し、例えば1.5mから2mぐらいの適切な高さを有して、壁3への画像2の適切な投射を保証している。画像2は、この場合ではプロジェクタ1の光学システムに属する偏向手段により壁面3上に投射され、かかる偏向手段は、反射領域を備えた偏向ミラー8の形態を採っており、図1に示されるアクティブな偏向位置における偏向ミラー8は、水平線16´に対し概して45°の角度をなしうる。この偏向ミラー8は、回動ミラーとして構成され、水平保護位置(図示せず)において、図1に示される偏向位置に対して反時計回りに下向きに回動させられ、カバーとしてプロジェクタ1の頂部に載る。その保護位置においては、偏向ミラー8は、塵などに対してプロジェクタ1内の部品を保護する。一方、その偏向位置において、その反射領域により、壁部3上の画像2の位置の精確な垂直設定を可能とし、スクリーン等を必要に応じてそこに設けることができる。したがって、偏向ミラー8の傾きの角度の細やかな調整によって、壁部3上のこの垂直画像位置づけが行われるので、全体としてプロジェクタ1の高さ調整の必要がない。かかる傾き調整の場合、上述したように、偏向ミラー8の傾きの角度に基づいた補正アルゴリズムによって基本的な補正を実行することも知られている。
【0020】
図2は、機能的アセンブリ又はブロックの形態でプロジェクタ1の概略構成を示している。プロジェクタ1は、以下により詳細に説明するように、画像データに基づいて光を発生するよう構成される電気光学装置10を有している。電気光学装置10は、光源11、LCDパネル12及び光学システム13を有し、光学システム13は、以下により詳細に説明するように、投射される画像の画像サイズを変えるための変更手段13を形成する。光源11は、本例では白熱灯により形成されており、光学システム13は、対物レンズ16を有する。
【0021】
プロジェクタ1はさらに、A/V信号入力20を有し、このA/V信号入力に多数の画像信号源が接続され、またこのA/V信号入力20を介して多数のオーディオ/ビデオ(A/V)信号が受信されA/V入力モジュール21に出力されることが可能である。A/V入力モジュール21は、例えばA/D変換段、復号段、同期段及びビデオ信号の画像データを処理するための処理段といった一連の機能段(個別には示していない)を形成する。A/V入力モジュール21はさらに、ユーザが入力手段により多数のA/V信号からA/V信号を選択するために設けられた選択回路(図示せず)を形成する。かかる入力手段は、本例では、プロジェクタ1に配された方向キー(図示せず)により形成され、この方向キーによりいわゆるオンスクリーン表示(OSD)メニュー内で選択することにより従来の方法でメニュー誘導を行うことができる。A/V入力モジュール21はさらに、恐らくは処理されたディジタルA/V信号をA/V信号処理回路22へ出力するように構成される。A/V信号処理回路22は、受信したA/V信号に対応する画像データPDに基づいて、それ自体は従来の態様で、LCDパネル駆動回路23を介してLCDパネル12を制御するように構成されている。A/V入力モジュール21において形成され、信号処理回路22に種々のA/V信号を出力することのできる選択回路によって、各投射モードにつき画像信号源を選択するために用いられることのできるように画像信号源選択装置が形成されて投射モード毎にどの場合でも最も適した画像信号源が選択できる。
【0022】
LCDパネル12は、画像データPDの関数として光源11により発せられた光を変調するための光変調器(ライトバルブ)として構成される。LCDパネル12により変調された光は、光学システム13により光学主軸14に沿って壁部3上へ投射され、この結果、壁部3に投射される画像2が得られる。さらに、受信したA/V信号から得られたオーディオ信号は、ラウドスピーカ25にオーディオ信号出力24を介してA/V信号処理回路22により出力可能であり、本例では、当該5.1マルチチャネル規格に準じたサラウンドシステムを制御することができる。
【0023】
なお、電気光学装置10の光学特性を改良するのに必要な光学素子は、当該ビーム経路又は光学主軸14に含まれうる。例えば、インテグレータ、偏光子、赤外線フィルタ、UVフィルタの他、いわゆるビームスプリッタ、アナライザ及びプリズムが挙げられる。
【0024】
さらにプロジェクタ1は、中央制御ユニット26を有する。この中央制御ユニット26は、マイクロコンピュータにより形成される。このマイクロコンピュータは、CPU(これ以上の詳細は示さない)及び既知の目的の従来のROM及びRAMを有する。中央制御ユニット26は、多数のタスクを実行するため、すなわちメモリROMに記憶されたプログラムのプログラム命令を実行しバス27を介してA/V入力モジュール21及びA/V信号処理回路22を制御し、以下により詳しく説明されるように他の機能ブロックを制御するように設けられる。
【0025】
中央制御ユニット26に接続されるのは、投射モード選択手段30であり、この投射モード選択手段30は、本例ではキーブロック31を有する。キーブロック31は、第1モードキー31a、第2モードキー31b及び第3モードキー31cを有する。投射モード選択手段30は、いずれの場合も当該所望され選択された投射モードに割り当てられた投射モード選択信号PMSを中央制御ユニット26に出力するように構成される。それぞれの投射モード出力信号PMSのこのような出力は、本例の場合、遠隔制御レシーバ29を介して付加的に又はオプションとして実行可能であり、遠隔制御レシーバ29は、RC規格に準じて赤外線遠隔制御信号を受信するよう構成され遠隔制御装置(図示せず)から当該赤外線遠隔制御信号を受信することができる。なお、このような投射モード選択手段30は、音声制御装置により又は投射装置1に接続されたPCによって形成可能である。
【0026】
記憶手段36も、中央制御ユニット26に接続されており、かかる記憶手段36は以下でより詳しく説明する。
【0027】
中央制御ユニット26によって、特に投射モード設定段32が形成され、この投射モード設定段32により、種々の投射モードの設定が投射モードパラメータに基づいて実行可能であり、このために、投射モード設定段32にはそれぞれの投射モード選択信号PMSが供給される。本例では、記憶手段36の記憶領域に投射モードパラメータが記憶され、そこにはズーム位置パラメータ記憶領域36a、光強度パラメータ記憶領域36b、ファン速度パラメータ記憶領域36c及びA/V設定パラメータ記憶領域36dがある。各投射モードパラメータには変数作用手段が割り当てられ、各変数作用手段は、投射モード設定段32により制御可能である。当該変数作用手段の各々は、本例の場合、電気的又は電気機械的な手段として及び/又はパラメータ値が送信されることの可能なソフトウェアアプリケーションとして設けることができる。本例では、4つの変数作用手段が制御可能である。第1の変数作用手段は、光学システム13により形成され、光学システム13は、モータ駆動回路33を介してモータ15により制御可能であり、特に、ズーム位置パラメータ記憶領域36aに記憶される投射モードパラメータに基づいている。この態様において、投射画像の画像サイズを変えることができる。したがって光学システム13は、投射画像の画像サイズを変えるための変更手段13を形成する。第2の変数作用手段は、光源11によって形成され、この光源11は、光源駆動回路34を介して、特に光強度パラメータ記憶領域36bに記憶されている投射モードパラメータに基づいて制御される。この態様において、投射画像の画像輝度を変えることができる。第3の変数作用手段は、ファン28によって形成される。このファン28は、ファン駆動回路35を介して、特にファン速度パラメータ記憶領域36cに記憶されている投射モードパラメータに基づいて制御される。この態様において、冷却効果を変えることができる。第4の変数作用手段は、A/V入力モジュール21及びA/V信号処理回路22により形成され、このA/V入力モジュール21及びA/V信号処理回路22は、バス27を介して、特にA/V設定パラメータ記憶領域36dに記憶されている投射モードパラメータに基づいて制御される。この態様において、A/V信号及びこれから得られるデータに作用することが可能となる。
【0028】
なお、光学システム13は、LCDパネル12に対する対物レンズ16についての位置情報を判定(測定)するための位置センサ(図示せず)を有し、この位置センサは、位置センサ適合回路(図示せず)を介して中央制御ユニット26に位置情報を出力することができる。かかる位置情報は、ズーム位置の設定中にモータ15を作動するためにフィードバックとして用いられる。また、光学システム13は、画像の鮮明度(シャープネス)を設定するためのシャープネス設定装置(図示せず)を有する。
【0029】
下の表1は、3つの投射モードの本例における投射モードパラメータのリストを示している。投射モードパラメータは、記憶手段36のそれぞれの記憶領域において2進形式で記憶される。
【表1】

【0030】
プロジェクタ1のユーザにとっては、非常に簡単かつ便利な態様で所望の投射モードを設定することができるのは有利である。例として、ユーザは、第1モードキー31aを押すことによって第1の投射モードMOD1を設定することができる。第1モードキー31aが押されると、第1投射モード選択信号PMSに起動がかかる。この第1投射モード選択信号PMSは、第1モードキー31aに対応する第1モードキー情報アイテムを有し、この第1モードキー情報アイテムは、投射モード設定段32へ転送される。そして、投射モード設定段32は、特に、第1のモードキー情報アイテムにより規定され記憶手段36のそれぞれの記憶領域に記憶されるそうした投射モードパラメータに基づいて、当該変数作用手段が存在するように動作するようにさせられる。例えば、本例の第1投射モードMOD1の場合、光学システム13のズーム位置は、比較的に小さい画像2が壁部3上に投射されるように第1の変数作用手段によって自動的に設定される。さらに、光源11は、投射画像2が比較的高い輝度を有するように光源駆動回路を介して制御される。この第1の投射モードMOD1において、及び特にこの場合高光強度に設定される光源11の場合において、伴う大量の発生熱を考慮すると、可能な限り効果的に光源11又はプロジェクタ1の冷却を行うために比較的高いファン速度にファン28を制御する必要がある。光源駆動回路34を介して光源11を制御することにより、用途に応じて投射画像の適切な画像輝度が常に得られ、結果として装置1のサービス寿命が格段に長くなる、という利点を奏する。
【0031】
A/V設定パラメータは、本例では3つのA/V設定サブパラメータにより形成され、バス(低音部)の設定のため、5.1サラウンド設定のため、及び画像データ源のための1つのサブパラメータは、投射モード毎に記憶される。第1の投射モードMOD1において、バス設定のためのA/V信号処理回路22は、バス信号が出力されないように設定される。さらに、5.1サラウンド設定は、いわゆる2×5ミックスに設定される。A/V入力モジュール21によって、TVチューナは、画像データ源として設定される。第1の投射モードMOD1は、通常、TV番組を介して伝送されるニュースを見るためにユーザにより用いられる。大抵は、このようなニュース番組を見るのに、より小さい画像サイズで十分であるので、投射画像の小さい画像サイズが適切なものとして推奨されることになる。
【0032】
なお、変数作用手段を異なる順序で作動してもよく、また変数作用手段は同時に作動されるものとしてもよい。
【0033】
また、表1に挙げられた投射モードパラメータに加え、投射モード毎の他のパラメータとしてもよい。例えば画像コントラスト、色特性又は色温度のパラメータがあり、これらの他のパラメータは、投射モード設定段32によって他の変数作用手段を制御するために用いられる。また、投射画像の画像位置に関するパラメータも可能であり、変数作用手段は、その後に偏向ミラー8の電気的駆動により形成され、もって投射画像2の異なる画像位置が設定可能となる。この接続において、上述した装置1に対し改変された構成を有する本発明による第2の装置は、互いに垂直又は少しの傾斜をもって延びるのが好ましい2つの異なる部屋の壁部上に、又は2つを超える数の異なる投射表面、例えば3つ又は4つの投射表面上に画像を投射するよう構成されるようにしてもよい。必要に応じて、台形補正のための投射モードパラメータとしてもよい。かかる台形補正は、特に画像位置を調整する場合に必要となることがある。
【0034】
上述した装置1に対し変形した構成を有する本発明による第3の構成(図示せず)においては、画像データ源判定手段が中央制御ユニット26によって形成され、かかる画像データ源判定手段は、活性化又は設定された画像データ源、すなわち画像データを出力している画像データ源を判定するように構成され、投射モード設定段32に接続される。そして、投射モードの設定は、当該第3の構成の、すなわちこのようなプロジェクタのユーザが活性化された画像データ源を選択するだけで済むという有利な形で行われ、その上で、特に選択された画像データ源に基づいて投射モードの自動設定が行われる。表1の投射モードパラメータは、画像データ源のパラメータを除き、これに応じて用いることができる。画像データ源判定手段はさらに、いわゆるメタデータを評価するよう構成可能であり、かかるメタデータは、画像データ源により画像データと共に出力され、投射モードを設定するために用いられうる。画像データに関連するこのようなメタデータは、専門家の間で広く知られているので、ここではこれ以上詳しく説明しないことにする。
【0035】
本発明による第4の装置1(図示せず)において、画像データ源判定手段に代え又は画像データ源判定手段と組み合わせて、画像データ分析手段を設けるようにしてもよい。かかる画像データ分析手段は、意味論又はセマンティックな内容に関して当該画像データを分析するように設けられ、投射モードの自動的選択を当該分析された画像データの関数として実行することができる。
【0036】
上述した第1の装置1に対し変形した構成を有する本発明による第5の構成(図示せず)においては、当該第5の構成が少なくとも1つの投射モードパラメータに作用を及ぼすためのパラメータ作用手段を付加的に有する。本例におけるこのパラメータ作用手段は、プロジェクタ1の周囲輝度を測定する測定手段を有し、少なくとも1つの投射モードパラメータが、測定された周囲輝度の関数としてパラメータ作用手段により作用可能となる。この場合、周囲輝度を測定する測定手段は、フォトレジスタにより形成され、このフォトレジスタが適合回路を介して中央制御ユニット26に輝度信号を出力する。なお、当該周囲輝度を測定する測定手段は、例えばフォトダイオード又はフォトトランジスタなどの他の素子によっても形成することができる。
【0037】
本実施例では、投射モードパラメータとしてパラメータ作用手段によってコントラストパラメータを変更することができる。当該フォトレジスタが高周囲輝度に対応する信号を供給すると、コントラストパラメータは、小さな画像サイズ及びあまり目立たせる必要のない画像内容の場合に減少させられる。結果として、(画像輝度は同じままで)光を発する光源11の電力を減らすことができる。光源11により発生する熱は、ファン28により冷まされ、当該ファンはその速度を減らすことができる。これにより、ファン28により発生したノイズを減らすので有利である。
【0038】
なお、温度センサをプロジェクタ1に、好ましくは電気光学装置10の近傍に取り付けてもよい。これにより、温度センサの温度情報が中央制御ユニット26に温度センサ適合回路を介して出力可能である。このような温度情報も、当該パラメータ作用手段によって少なくとも1つの投射モードパラメータに作用を及ぼすのに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】部屋の壁に画像を投射するための本発明による装置であって据付型ユニットとして構成されたものを概略的に示す図。
【図2】図1の装置の電子的光学的手段をブロック図で示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々の投射モードにより投射表面に画像を投射する装置であって、
当該投射画像を表す画像データ源からの画像データに基づいて光を発生する電気光学装置を有し、
前記投射画像の画像サイズを変える変更手段を有し、
当該装置において生じる少なくとも1つの物理的変数にいずれの場合も制御可能に作用を及ぼす制御可能型変数作用手段を有し、
投射モードパラメータに基づいて種々の投射モードの設定を行うことのできる投射モード設定段を有し、
各投射モードパラメータにつき、変数作用手段は、前記投射モード設定段により制御されることが可能であり、前記変数作用手段の少なくともいずれかは、前記投射モードの少なくともいずれかにおいて前記投射画像の少なくとも異なる画像サイズが前記投射表面において得ることができるように構成され、
当該装置は、可能性のある複数の異なる投射モードから投射モードを選択することができ当該選択された投射モードに応じて投射モード選択信号を発生することができる投射モード選択手段を有し、その投射モード選択信号は、当該選択された投射モードを設定する目的で前記投射モード設定段に出力可能とされる、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記投射モード選択手段は、ユーザがマニュアルで前記投射モードを選択することが可能なように構成されている、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、記憶手段が設けられ、この記憶手段において前記投射モードパラメータが記憶可能である、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記変更手段は、調整可能に保持された光学システムによって形成される、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記変更手段を形成する光学システムは、電気的に活性化可能なモータにより調整可能である、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記変数作用手段の少なくともいずれかは、前記投射モードの少なくともいずれかにおいて前記投射画像の異なる画像輝度を付加的に得ることができるように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、複数の画像信号源から画像信号源を選択する画像信号源選択装置が付加的に設けられ、画像信号源が前記画像信号源選択装置により各投射モードにつき選択可能である、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記投射モード選択手段は、可能性のある複数の投射モードから投射モードの自動的選択を行うよう構成されている、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、画像データ源判定手段が設けられ、この画像データ源判定手段は、活性化された画像データ源を判定するように構成され、前記投射モードの自動的選択は、当該判定された活性化された画像データ源及び場合によっては前記画像データ源に付帯するメタデータに基づいて行うことができる、装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置であって、セマンティックな内容に関して前記画像データを分析するための画像データ分析手段が設けられ、前記投射モードの前記自動的選択は、当該分析された画像データの関数として行うことができる、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、少なくとも1つの投射モードパラメータに作用を及ぼすパラメータ作用手段が設けられている装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記パラメータ作用手段は、前記装置の周辺輝度を測定する測定手段を有し、少なくとも1つの投射モードパラメータは、当該測定された周囲輝度の関数として前記パラメータ作用手段により作用されうる、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記パラメータ作用手段は、コントラスト設定につき決定的なパラメータに作用を及ぼすよう構成されている、装置。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−508732(P2007−508732A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530918(P2006−530918)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051865
【国際公開番号】WO2005/031424
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】