説明

画像描画装置及びリライタブルペーパーに対する画像描画方法

【課題】画像描画装置において、(1)安価な構成とすること(2)筆記面に書き込まれた文字等を読み易い(見易い)ように編集できることを課題とする。
【解決手段】リライタブルペーパー2と、リライタブルペーパー2の表面に貼られた透明コーティング部材20と、透明コーティング部材20上に着色剤を付けて書き込みを行う筆記具3と、透明コーティング部材20上の書き込みを走査しながら読み取る読取手段5と、読み取った書き込みを認識して清書変換する認識手段96と、使用者識別情報と認識用パターンとを対応付けて記憶する認識用パターン記憶手段98と、透明コーティング部材20上の書き込みを消去する着色剤消去手段6と、清書変換された書込データに基づく位置座標に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上に熱書き込みを行う熱書込消去手段7と、を備えた画像描画装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り返し書き込み消去が可能なリライタブルペーパーに対して画像を描画する画像描画装置及び画像描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子黒板装置等の筆記ボード装置が知られており、この技術は、例えば、特許文献1、2に開示されている。
【0003】
特許文献1には、色別の筆記具の使い分けが不要で、背の低い人でも複雑で精密な操作をすることができる電子黒板装置が開示されており、この電子黒板装置は、筆記具と、筆記面の背後に埋め込まれ、筆記具によって筆記面において書かれる文字等の軌跡を検出する多数のセンサと、このセンサが検出した軌跡を座標データ列から成る画像データとして記憶する第1の記憶手段と、この第1の記憶手段に記憶された画像データに基づき筆記面に書かれた文字および図形を認識するとともに、特定の軌跡に関する画像データが予め定めた複数の編集コマンドのうちいずれに相当するかを認識する認識手段と、認識された文字、図形、編集コマンドを記憶する第2の記憶手段と、この第2の記憶手段に記憶された編集コマンドに従って前記認識された文字、図形を編集するコマンド実行手段と、編集された文字、図形を電子黒板の筆記面に投射表示するとともに、筆記面の下部に縮小して投射表示する投射表示手段とを設け、縮小投射表示領域および非縮小投射表示領域において書かれる文字、図形、編集コマンドを逐次認識し、筆記面の表示内容を逐次更新するように構成されている。
【0004】
また、特許文献2には、手元で文字訂正や編集を容易に行えるとともに大画面上でも文字訂正や編集を行うことができる電子黒板装置が開示されており、この電子黒板装置は、液晶表示部と座標検出手段とを含む大型入出力液晶パネルと、液晶表示部と座標検出手段とを含む小型入出力液晶パネルと、小型入出力液晶パネル又は大型入出力液晶パネルに書かれた文字や図形を小型入出力液晶パネル及び大型入出力液晶パネルに表示する制御を行うとともに、入力されたコマンドに応じて画面編集を行う本体装置とを備えた構成で、本体装置は、書かれた文字を認識して書体を整える文字認識部を有する。
【特許文献1】特開平5−330289号公報
【特許文献2】特開2000−177293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1、2に開示されている電子黒板装置は、どちらも大型のパネル(特許文献1の図1の電子黒板1と、特許文献2の図1の大型入出力液晶パネル3)と小型のパネル(特許文献1の図1の表示装置4と、特許文献2の図1の小型入出力液晶パネル2)とを備えており、これらのパネルは液晶パネル等で構成されていて殊に大型のパネルの方は非常に高価で、コスト的にも不利である。
【0006】
また、特許文献1、2に開示されている電子黒板装置は会議などに使われるが、書き込む人によって字の特徴が異なり、楷書、行書、草書のほか、漫画字や、癖のある字を書く人もあって、人によってはそのままでは読み難いという点が指摘されている。
【0007】
そこで、本発明では、このような点を鑑み、(1)安価な構成であること、(2)筆記面に書き込まれた字を読み易い字に編集できることを、課題として、これらの課題のうち少なくとも1つの課題を解決する画像描画装置及びリライタブルペーパーに対する画像描画方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
まず、請求項1に記載のように、熱による物性変化を利用して画像の書き込み消去が可能なリライタブルペーパーと、前記リライタブルペーパー上に形成された可視画像に対応する画像データを出力する画像出力手段と、前記リライタブルペーパー上に着色剤を付けて書き込まれた画像を消去する着色剤消去手段と、発熱可能な複数の熱ヘッドを備え、必要な熱ヘッドを発熱させることにより、前記リライタブルペーパー上に画像を書き込む熱書込手段と、発熱可能な複数の熱ヘッドを備え、必要な熱ヘッドを発熱させることにより、前記リライタブルペーパー上に熱書き込みされた画像を消去する熱消去手段と、を備えた画像描画装置とする。
【0009】
また、請求項2に記載のように、前記熱書込手段による熱書き込みと前記熱消去手段による熱消去とは共通の熱ヘッドを利用し、熱書き込みを行う場合には熱ヘッドを第1の温度領域に発熱させ、熱消去を行う場合には熱ヘッドを第2の温度領域に発熱させる温度制御手段を備えた構成とする。
【0010】
そして、請求項3に記載のように、前記熱書込手段及び前記熱消去手段を搭載し、前記リライタブルペーパーの面に沿って移動自在な移動体を備え、該移動体を移動させながら熱書き込み及び熱消去を行う。
【0011】
さらに、請求項4に記載のように、前記画像出力手段は、前記リライタブルペーパー上に形成された画像を光学的に読み取る読取手段であって、前記熱書込手段及び前記熱消去手段が搭載された前記移動体に搭載された構成とする。
【0012】
また、請求項5に記載のように、前記着色剤消去手段は、前記熱書込手段及び前記熱消去手段が搭載された前駆移動体に搭載された構成とする。
【0013】
そして、請求項6に記載のように、前記画像データを清書変換した清書変換データを受信する受信手段と、該受信手段で受信した清書変換データを前記リライタブルペーパーに対して熱書き込みするように前記熱書込手段を制御する制御手段を備えた構成とする。
【0014】
さらに、請求項7に記載のように、リライタブルペーパー上に筆記具を用いて着色剤により画像を書き込む着色剤書込ステップと、リライタブルペーパー上に着色剤書き込みされた可視画像に対応する画像データを出力する出力ステップと、出力ステップで出力された画像データについて文字及び/又は図形の認識を行い、文字コードデータ及び/又は図形コードデータを生成する認識ステップと、認識ステップで生成された文字コードデータ及び/又は図形コードデータを可視的に表示する表示ステップと、表示ステップで表示された画像に対して編集を受け付ける編集受付ステップと、編集受付ステップで入力された編集内容に応じて、文字コードデータ及び/又は図形コードデータを更新する更新ステップと、更新ステップで更新された文字コードデータ及び/又は図形コードデータに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みするための熱書込データを生成する生成ステップと、着色剤書込ステップで書き込まれた画像を消去する着色剤書込消去ステップと、生成ステップで生成された熱書込データに基づいて、リライダブルペーパー上に熱書き込みを行う熱書込ステップと、熱書込ステップで熱書き込みされた画像を熱消去する熱消去ステップと、を備えるリライタブルペーパーに対する画像描画方法とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のように構成したことにより、次のような効果を奏する。
まず、請求項1に記載の発明では、画像描画装置の筆記面はリライタブルペーパーで構成されており、筆記面に液晶パネルを用いた電子黒板装置等に比べて遥かに安価で、コスト的に有利である。この画像描画装置は、筆記具を用いて着色剤でリライタブルペーパー上に手書きで書き込むことができ、また、熱書込手段によって熱を用いて書き込むべき書き込みの書込データに基づきリライタブルペーパー上に所定のフォントで読み易い字で自動で書き込みを行うことができるようになっている。
また、この画像描画装置は画像出力手段を備えており、例えば、次のような使い方もできる。画像出力手段により筆記具を用いて手書きで着色剤によりリライタブルペーパー上に書き込まれた書き込みを読み取って、そのデータを所定のフォントに清書変換を行った後、その清書変換したデータを書込データとして熱書込手段に送り、着色剤消去手段によってリライタブルペーパー上に着色剤で書き込まれた書き込みを消去して、熱書込手段により前記清書変換された書込データでリライタブルペーパー上に熱書き込みを行い、リライタブルペーパー上の書き込みを所定のフォントで書き直して読み易くすることができる。なお、この熱書込手段によりリライタブルペーパー上に熱書き込みされた画像は、熱消去手段によって消去することができるように構成されている。
【0016】
また、請求項2に記載の発明では、前記熱書込手段による熱書き込みと前記熱消去手段による熱消去とは共通の熱ヘッドを利用したことで、部品点数が削減されて、コスト削減を図ることができ、温度制御手段により、熱書き込みを行う場合には熱ヘッドを第1の温度領域に発熱させ、熱消去を行う場合には熱ヘッドを第2の温度領域に発熱させるように構成されている。
【0017】
そして、請求項3に記載の発明では、使用者が筆記具を用いて着色剤でリライタブルペーパー上に書き込みを行っているときには、移動体を退避位置に退避させておき、熱書込時又は熱消去時に移動体を退避位置から書込領域に移動させることで、使用者が筆記具を用いて着色剤でリライタブルペーパー上に書き込みを行っているときに、熱書込手段及び熱消去手段が邪魔になることはない。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、使用者が筆記具を用いて着色剤でリライタブルペーパー上に書き込みを行っているときには、移動体を退避位置に退避させておき、読取時に移動体を退避位置から書込領域に移動させることで、使用者が筆記具を用いて着色剤でリライタブルペーパー上に書き込みを行っているときに、読取手段が邪魔になることはない。
また、読取手段を熱書込手段及び熱消去手段が搭載された移動体に搭載したことで、読取手段専用の移動体を省くことができて構成がより一層簡単になり、部品点数を削減することができ、コスト削減を図ることができる。
【0019】
そして、請求項5に記載の記載の発明では、使用者が筆記具を用いて着色剤でリライタブルペーパー上に書き込みを行っているときには、移動体を退避位置に退避させておき、着色剤消去時に移動体を退避位置から書込領域に移動させることで、使用者が筆記具を用いて着色剤でリライタブルペーパー上に書き込みを行っているときに、着色剤消去手段が邪魔になることはない。
また、着色剤消去手段を熱書込手段及び熱消去手段が搭載された移動体に搭載したことで、着色剤消去手段専用の移動体を省くことができて構成がより一層簡単になり、部品点数を削減することができ、コスト削減を図ることができる。
【0020】
さらに、請求項6に記載の発明では、画像出力手段によりリライタブルペーパー上に手書きで書き込まれた着色剤書き込みを読み取り、この読み取った画像データを清書変換して、この清書変換した清書変換データを受信手段で受信し、制御手段により熱書込手段を制御することで、着色剤消去手段によってリライタブルペーパー上に書き込まれた着色剤書き込みを消去した後に、受信手段で受信した清書変換データをリライタブルペーパー上に熱書き込みしていき、リライタブルペーパー上の書き込みを清書し直して読み易くすることができる。
【0021】
そうして、請求項7に記載の発明では、リライタブルペーパー上に手書きでも自動でも書き込むことができ、着色剤書込ステップで筆記具を用いて着色剤によりリライタブルペーパー上に手書きで画像を書き込むことができるとともに、熱書込ステップで熱を用いて書き込むべき書き込みの書込データに基づきリライタブルペーパー上に所定のフォントで読み易い字で自動で書き込みを行うことができるようになっている。
また、この画像描画方法は出力ステップ等を備えており、例えば、次のような使い方もできる。出力ステップではリライタブルペーパー上に着色剤書き込みされた可視画像に対応する画像データを出力し、認識ステップでは出力ステップで出力された画像データについて文字及び/又は図形の認識を行って、文字コードデータ及び/又は図形コードデータを生成し、表示ステップでは認識ステップで生成された文字コードデータ及び/又は図形コードデータを可視的に表示して、編集受付ステップでは表示ステップで表示された画像に対して編集を受け付け、更新ステップでは編集受付ステップで入力された編集内容に応じて、文字コードデータ及び/又は図形コードデータを更新して、生成ステップでは更新ステップで更新された文字コードデータ及び/又は図形コードデータに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みするための熱書込データを生成し、そして、着色剤書込消去ステップでは着色剤書込ステップで書き込まれた画像を消去して、熱書込ステップでは生成ステップで生成された熱書込データに基づいて、リライダブルペーパー上に熱書き込みを行い、リライタブルペーパー上の書き込みを読み易く書き直すことができる。なお、この熱書込ステップによりリライタブルペーパー上に熱書き込みされた画像は、熱消去ステップによって消去することができるように構成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、図面を参照しながら本発明の画像描画装置を説明する。
本発明に係る画像描画装置は、筆記ボード装置1と、情報処理装置8とから成り、図1、図2に示すように、筆記ボード装置1は、第1の温度領域の熱が加えられると発色してその発色した状態に保たれ、第2の温度領域の熱が加えられるとその発色した部分が消色される、熱による物性変化を利用して画像の書き込み消去が可能なリライタブルペーパー2と、リライタブルペーパー2の表面に貼られた透明コーティング部材20と、使用者が把持可能であって、透明コーティング部材20上に着色剤を付けて書込み(以下、「着色剤書き込み」という)を行い画像を描画するための筆記具3と、透明コーティング部材20の縦横一辺方向(図1では縦方向)にその一辺長さにわたって配置された消去部61を有し、透明コーティング部材20に沿ってその縦横他辺方向(図1では横方向)に移動しながら透明コーティング部材20上に着色剤を付けて書き込まれた着色剤書き込みを消去していく着色剤消去手段6と、透明コーティング部材20の縦横一辺方向(図1では縦方向)にその一辺長さにわたって列置された多数の熱源ヘッド71・71・・・を有し、透明コーティング部材20に沿ってその縦横他辺方向(図1では横方向)に移動しながら多数の熱源ヘッド71・71・・・のうち書き込むべき書き込みの書込データに基づく位置座標に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上に熱で書き込み(以下、「熱書き込み」という)を行い、透明コーティング部材20に沿ってその縦横他辺方向(図1では横方向)に移動しながら多数の熱源ヘッド71・71・・・のうち全部又は一部を第2の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上の熱書き込みを消去していく熱書込消去手段7と、を備え、筆記ボード装置1のボード本体11は2本の脚部12・12に支持されて、該ボード本体11の表面の一面にはリライタブルペーパー2が貼られて、該リライタブルペーパー2の上からリライタブルペーパー2を保護するための透明コーティング部材20が貼られている。
【0023】
筆記ボード装置1のボード本体11は有線又は無線によって情報処理装置8と通信可能に接続されており、該筆記ボード装置1と該情報処理装置8とで画像描画装置が構成されている。なお、この情報処理装置は筆記ボード装置1のボード本体11内に内蔵する構成としてもよい。
【0024】
前記リライタブルペーパー2は、例えば、フルオラン化合物に代表されるロイコ染料を含む可逆発色材料で構成されており、該ロイコ染料が酸性化合物(顕色剤)と反応することにより発色するように構成されている。このリライタブルペーパー2は座標センサ10と同面積の大きさの白色の地肌のシート状部材で、第1の温度領域の熱(例えば、170℃以上)が加えられるとコントラストの高い黒色に発色して電源なしにその発色した状態が安定的に保たれ、第2の温度領域の熱(例えば、120℃〜140℃)が加えられると発色部が消色される。
【0025】
前記透明コーティング部材20は、熱書込消去手段7の熱源ヘッド71・71・・・からの熱がリライタブルペーパー2に伝わり易い伝熱性の良い透明な素材で構成されており、筆記ボード装置1の表面側から透明コーティング部材20を介して熱書込消去手段7によりリライタブルペーパー2に書き込まれた熱書き込みが見えるように構成されている。ここで、この透明コーティング部材20は、無色透明に限らず、リライタブルペーパー2に書き込まれた熱書き込みが見えれば、淡い水色等有色透明であってもよい。
なお、表面に透明シートを含むリライタブルペーパーが用いられるときは、この透明コーティング部材は無くてもよく、表面に透明シートを含むリライタブルペーパー上に直接着色剤を付けて書き込むように構成される。
【0026】
前記筆記具3は、水生の着色剤により書き込みを行う先端部31と、使用者を特定するための使用者識別情報を入力するための入力手段34と、入力された使用者識別情報を筆記ボード装置1のボード本体11へ送信する使用者識別情報送信手段36と、を備え、前記筆記ボード装置1のボード本体11は、筆記具3の使用者識別情報送信手段36から送信された使用者識別情報を受信する使用者識別情報受信手段16と、筆記ボード装置1を制御する制御手段15と、を備え、制御手段15は、読取手段5で読み取った画像データ(第2実施形態にあっては、座標検出手段10で検出した画像データ)を一時記憶する画像データ記憶手段13と、使用者識別情報を記憶する使用者識別情報記憶手段17と、使用者識別情報受信手段16で受信した使用者識別情報が使用者識別情報記憶手段17に記憶されている使用者識別情報の何れか一つに一致するか否かを照合する照合手段18と、照合手段18による照合で使用者識別情報受信手段16で受信した使用者識別情報が使用者識別情報記憶手段17に記憶されているどの使用者識別情報にも一致しない場合に、その旨を報知する報知手段14と、を有している。
【0027】
この報知手段14は、ランプ等の表示手段で構成されて、点滅又は点灯することで、筆記者に視覚を通じて照合エラーが報知されるように構成されている。なお、報知手段は、ブザー音や音声ガイダンスによるアナウンスにより筆記者に聴覚を通じて照合エラーを報知するように構成してもよく、その構成は特に限定はしない。また、この報知手段は筆記具3側に設けてもよい。
【0028】
また、本実施の形態では、筆記具3の使用者識別情報送信手段36とボード本体11の使用者識別情報受信手段16との間で無線で通信を行うように構成しているが、筆記具3の使用者識別情報送信手段36とボード本体11の使用者識別情報受信手段16とを通信線を介して接続し、有線で通信を行うように構成してもよい。
【0029】
なお、筆記具3の使用者識別情報送信手段36から送信された使用者識別情報を受信する使用者識別情報受信手段と、使用者識別情報を記憶する使用者識別情報記憶手段と、使用者識別情報受信手段で受信した使用者識別情報が使用者識別情報記憶手段に記憶されている使用者識別情報の何れか一つに一致するか否かを照合する照合手段と、を情報処理装置8の装置本体81の制御部に設けてもよい。
【0030】
この筆記具3は、入力手段34に使用者識別情報を入力して認証された人のみが透明コーティング部材20上に書き込みを行うことができ、権限なき人による書き込みが防止されて、勝手に誰でも書き込めないように構成されている。この使用者識別情報は、例えば、指紋情報(指紋データ)やパスワードなどであり、本実施の形態では、使用者識別情報は指紋データとして、入力手段34はこの指紋データを読み取るCCDセンサを備えており、筆記具3の入力手段34に指先で触れるだけで手間隙が掛からずに簡単且つ速やかに指紋データを入力することができ、利便性の向上が図られている。
【0031】
前記熱書込消去手段7の熱源ヘッド71・71・・・は所定間隔を開けて透明コーティング部材20の縦方向に列置されており、熱書込消去手段7による熱書き込みと熱消去とは共通の熱ヘッド71・71・・・が利用されている。図3に示すように、熱書込消去手段7は熱書き込みを行う場合には熱ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させ、熱消去を行う場合には熱ヘッド71・71・・・を第2の温度領域に発熱させる温度制御手段75を備え、該温度制御手段75を含む熱書込消去手段7の制御手段15は情報処理装置8と通信可能に接続されている。
【0032】
なお、熱書込消去手段は、発熱可能な複数の熱ヘッドを備え、必要な熱ヘッドを第1の温度領域に発熱させることにより、リライタブルペーパー2上に画像を書き込む熱書込手段と、発熱可能な複数の熱ヘッドを備え、必要な熱ヘッドを第2の温度領域に発熱させることにより、リライタブルペーパー2上に熱書き込みされた画像を消去する熱消去手段と、で構成してもよい。
【0033】
前記着色剤消去手段6の消去部61は、透明コーティング部材20の縦方向一端から他端にかけて配置されており、移動体4が透明コーティング部材20の縦横他辺方向(図1では横方向)に移動することで透明コーティング部材20に書き込まれた着色剤書き込みを拭き取って消すように構成されている。
【0034】
リライタブルペーパー2上に形成された可視画像に対応する画像データを検出して(読み取って)情報処理装置8へ出力する画像出力手段としては、(1)透明コーティング部材20の縦横一辺方向にその一辺長さにわたって配置された読取部51を有し、透明コーティング部材20に沿ってその縦横他辺方向に移動しながら透明コーティング部材20上に着色剤を付けて書き込まれた着色剤書き込み又はリライタブルペーパー2上の熱書き込みを読み取っていく読取手段5、(2)リライタブルペーパー2の裏面側に配置されて、透明コーティング部材20上に着色剤を付けて書き込まれた着色剤書き込みの位置座標又はリライタブルペーパー2上に熱で書き込まれた書き込み(以下、「熱書き込み」という)の位置座標を検出する座標検出手段10、等の実施形態があり、まず、画像出力手段として読取手段5を用いた実施形態(第1実施形態)から説明する。
【0035】
前記読取手段5の読取部51は透明コーティング部材20の縦横一辺方向(図1では縦方向)に列置された多数のフォトダイオードから成るCCDセンサで構成されており、筆記具3を用いて透明コーティング部材20上に着色剤を付けて手書きで書き込まれた着色剤書き込みを透明コーティング部材20の縦横他辺方向(図1では横方向)に走査しながら光学的に読み取って、そのデータを筆記ボード装置1を制御する情報処理装置8に出力するように構成されている。
【0036】
前記読取手段5と前記着色剤消去手段6と前記熱書込消去手段7とは、読取手段5の読取部51と着色剤消去手段6の消去部61と熱書込消去手段7の熱源ヘッド71・71・・・とが搭載される共通の移動体4と、この移動体4を透明コーティング部材20(リライタブルペーパー2)の縦横他辺方向(図1では横方向)の一端側と他端側との間で移動させる移動手段40(図3参照)と、で構成されて、移動手段40により移動体4がリライタブルペーパー2の面に沿って移動自在に構成されている。
この第1実施形態では、読取手段5の読取部51が搭載される移動体と着色剤消去手段6の消去部61が搭載される移動体と熱書込消去手段7の熱源ヘッド71・71・・・が搭載される移動体とが共通の移動体4で構成されており、これにより部品点数が削減されて、コスト削減が図られている。
【0037】
この読取手段5の読取部51と着色剤消去手段6の消去部61と熱書込消去手段7の熱源ヘッド71・71・・・とは、移動体4の透明コーティング部材20と対向する側の面に設けられていて、該熱源ヘッド71・71・・・は透明コーティング部材20の横方向一端側(図1では左側)に配置され、該読取部51は透明コーティング部材20の横方向他端側(図1では右側)に配置されて、該消去部61は該熱源ヘッド71・71・・・と該読取部51との間に配置されている。
【0038】
前記移動体4は側面視「コ」字型の形状で、その上端部と下端部の突出部が互いに対向する面には案内輪が設けられており、また、ボード本体11の上端面と下端面には案内レールが形成されていて、該案内輪を該案内レールに係合させて、移動体4がボード本体11の横方向に摺動するように構成している。
【0039】
また、前記移動体4を移動させる移動手段40は、正逆回転可能な駆動源であるステッピングモータ41(図3参照)と、該ステッピングモータ41のモータ軸が取り付けられる駆動プーリと、該駆動プーリに従動する従動プーリと、該駆動プーリと該従動プーリに巻回されるタイミングベルトと、を備え、該ステッピングモータ41と該従動プーリとはボード本体11の背面側における横方向両側端部に配置されて、該タイミングベルトが移動体4の上端部又は下端部の突出部に取り付けられている。このような構成で、ステッピングモータ41からの正転回転駆動又は逆転回転駆動が駆動プーリを介してタイミングベルトに伝達されると、該タイミングベルトとともに移動体4がボード本体11の横方向に往復移動するように構成されている。
【0040】
この移動体4がボード本体11の横方向一側端部(図1では左端部)にあるときを原点位置とし、ボード本体11の横方向他側端部(図1では右端部)にあるときを終点位置として、ボード本体11の背面側には移動体4が原点位置にあるか否かを検出する位置検出手段が設けられており、移動体4は通常原点位置で待機している。
【0041】
この移動体4が原点位置にあるときは、読取手段5の読取部51はボード本体11上の透明コーティング部材20の横方向一端部(図1では左端部)よりも横方向一端側(図1では左側)に位置し、移動体4が終点位置にあるときは、熱書込消去手段7の熱源ヘッド71・71・・・はボード本体11上の透明コーティング部材20の横方向他端部(図1では右端部)よりも横方向他端側(図1では右側)に位置するように構成されている。
【0042】
前記読取手段5による透明コーティング部材20上の着色剤書き込みの読み取りと前記着色剤消去手段6による透明コーティング部材20上の着色剤書き込みの消去と前記熱書込消去手段7によるリライタブルペーパー2上への熱書き込みについて説明すると、前記移動体4を原点位置から終点位置へ向けて移動させるときに、読取手段5の読取部51により透明コーティング部材20上の着色剤書き込みを読み取っていき、この読み取りを行ったすぐ後から、着色剤消去手段6の消去部61により透明コーティング部材20上の着色剤書き込みを拭き取って消していく。そして、終点位置へ移動した移動体4を終点位置から原点位置へ向けて移動させるときに、書き込むべき書き込みの書込データに基づく位置座標に対応する熱書込消去手段7の熱源ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上に熱書き込みを行っていくように構成されている。
【0043】
なお、この移動体4を原点位置から終点位置へ向けて移動させるときに、読取手段5の読取部51により透明コーティング部材20上の着色剤書き込みを読み取っていき、該移動体4を終点位置から原点位置へ向けて移動させるときに、着色剤消去手段6により透明コーティング部材20上の着色剤書き込みを拭き取って消去していき、この着色剤書き込みを消していったすぐ後から、熱書込消去手段7によりリライタブルペーパー2上に熱書き込みを行うように構成してもよい。この構成の場合、着色剤消去手段6の消去部61は、アクチュエータを用いて、透明コーティング部材20の表面と接触する接触位置と、透明コーティング部材20の表面から離間する離間位置との間で、移動可能に構成されて、移動体4を原点位置から終点位置へ向けて移動させるときには離間位置に位置させ、移動体4を終点位置から原点位置へ向けて移動させるときには接触位置に位置させるように構成される。
【0044】
以上のような構成で、筆記者が筆記具3を用いて着色剤を付けてリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に書き込みを行っているときには、移動体4を退避位置となる原点位置に退避させておき、読み取り時、熱書き込み時又は熱消去時に移動体4を原点位置から書込領域に移動させることで、筆記者が筆記具3を用いて着色剤を付けてリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に書き込みを行っているときに、読取手段5、着色剤消去手段6、熱書込消去手段7が邪魔になることはない。
【0045】
前記筆記ボード装置1を制御する情報処理装置8は、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、パソコン)80であり、該パソコン80は、装置本体81と、表示手段であるディスプレイ82と、入力手段であるキーボード83と、を備えている。
【0046】
図3に示すように、パソコン80の装置本体81の制御部は、筆記ボード装置1から受信した画像データを記憶する画像データ記憶手段95と、読取手段5から出力された画像データについて文字及び/又は図形を認識して、文字コードデータ及び/又は図形コードデータを生成する認識手段96と、使用者識別情報と認識用パターンとを対応付けて記憶する認識用パターン記憶手段98と、を備えている。
【0047】
この認識用パターンは、使用者毎に、使用者が実際に書く文字及び/又は図形と、文字コードデータ及び/又は図形コードデータを含む清書変換データとが対応付けされた癖字パターンであり、認識手段96による認識で、その使用者の文字及び/又は図形に癖がある場合にもその使用者の認識用パターンを参照することで精確に認識できるように構成されている。この文字コードデータには、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字等が含まれ、図形コードデータには、「△、□、¥、%、・・・」等の図形、記号等が含まれている。
【0048】
そして、パソコン80の装置本体81は、筆記ボード装置1から読取手段5で読み取った読取画像データを受信するとともに清書変換した清書変換データを筆記ボード装置1へ送信する送受信手段99を備え、筆記ボード装置1のボード本体11は、読取手段5で読み取った読取画像データをパソコン80へ送信するとともにパソコン80から清書変換した清書変換データを受信する送受信手段19と、該送受信手段19で受信した清書変換データをリライタブルペーパー2に対して熱書き込みするように熱書込消去手段7を制御する制御手段15と、を備えている。
【0049】
この制御手段15には前記温度制御手段75が含まれ、ステッピングモータ41の回転速度を制御して移動体4の移動速度を制御するとともに、移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうち送受信手段19で受信した清書変換データに基づく位置座標に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上に熱書き込みを行うように構成されている。
【0050】
次に、画像出力手段として読取手段5を備えた画像描画装置による画像描画について幾つかの実施例を説明する。
まず、画像描画装置による画像描画の第1実施例について図4を参照しながら説明する。
第1実施例に係る画像描画方法は、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に筆記具3を用いて着色剤により画像を書き込む着色剤書込ステップと、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に着色剤書き込みされた可視画像を読取手段5で光学的に読み取って該可視画像に対応する画像データを出力する出力ステップと、出力ステップで出力された画像データについて文字及び/又は図形の認識を行い、清書変換データを生成する認識ステップと、認識ステップで生成された清書変換データを可視的に表示する表示ステップと、表示ステップで表示された画像に対して編集を受け付ける編集受付ステップと、編集受付ステップで入力された編集内容に応じて、清書変換データを更新する更新ステップと、更新ステップで更新された清書変換データに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みするための熱書込データを生成する生成ステップと、着色剤書込ステップで書き込まれた画像を消去する着色剤書込消去ステップと、生成ステップで生成された熱書込データに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みを行う熱書込ステップと、熱書込ステップで熱書込みされた画像を熱消去する熱消去ステップと、を含み、個人認証を行わずに、次のような流れで構成されている。
【0051】
まず、筆記者は筆記具3を用いて、筆記ボード装置1のリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に着色剤を付けて着色剤書き込みを行う(ステップA1)。
筆記者は着色剤を付けての手書きの書き込みを終了すると、筆記ボード装置1のボード本体11に設けた清書変換指示ボタンを押して手書きの書き込みの清書変換を指示し(ステップA2)、これにより手書きの書き込みの読取処理並びに清書変換処理が実行される。なお、この清書変換の指示に係る操作手段は、パソコン80のキーボード83上のキーに対応付けて設けてもよい。
【0052】
そして、清書変換が指示されると、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により原点位置から終点位置へ向けて移動し始め、移動体4に搭載された読取手段5の読取部51によって透明コーティング部材20上の着色剤書き込みが光学的に読み取られていくとともに、この読み取りが行われたすぐ後から、読み取られた着色剤書き込みが着色剤消去手段6の消去部61により消去されていき(ステップA3)、読取手段5により読み取られた読取画像データはビットマップ形式等のイメージデータで、筆記ボード装置1の送受信手段19からパソコン80の装置本体81の送受信手段99へ送信される(ステップA4)。
【0053】
なお、この読取画像データの送信は、読取手段5による読み取りを完全に終えて透明コーティング部材20上の全領域の読取画像データを一旦揃えてから送信するように構成してもよく、あるいは、読取手段5による読み取りを行いながら読み取った領域の読取画像データの送信を行い、読取手段5による読み取りと読み取った領域の読取画像データの送信とを並行して行うように構成してもよい。
【0054】
パソコン80の装置本体81では、前記認識手段96を含む対応アプリケーションを起動した状態で、筆記ボード装置1からの読取画像データの受信を監視しており、パソコン80の装置本体81で筆記ボード装置1からの読取画像データを受信すると(ステップA5)、認識手段96で文字コードデータ及び/又は図形コードデータへの清書変換に係る標準認識用パターンが参照されながらこの読取画像データの文字及び/又は図形が認識されて(ステップA6)、文字コードデータ及び/又は図形コードデータによる清書変換データが生成されるとともに、この生成された清書変換データがパソコン80のディスプレイ82上に表示される(ステップA7)。
【0055】
ここで、筆記者はディスプレイ82上に表示された清書変換データを確認して、誤変換されている文字及び/又は図形があれば、ディスプレイ82を見ながらキーボード83上のキー操作により修正、追加等の入力を行って(ステップA8)、正しい文字及び/又は図形に修正した清書変換データに更新して、ディスプレイ82上に表示する(ステップA7)。
【0056】
一方、誤変換されている文字及び/又は図形がなければ、修正、追加等の入力は行わずに(ステップA8)、キーボード83上の所定のキー(清書変換確定キー)を操作して清書変換データを確定し(ステップA9)、これにより確定された清書変換データがビットマップ形式等のイメージデータで、パソコン80の装置本体81の送受信手段99から筆記ボード装置1の送受信手段19へ送信される(ステップA10)。
【0057】
そして、筆記ボード装置1の送受信手段19で、読取手段5で読み取られた読取画像データが清書変換された清書変換データを受信すると(ステップA11)、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により終点位置から原点位置(ステップA3での読取手段5による読取後に移動体4を原点位置に復帰させるように制御している場合は、原点位置から終点位置)へ向けて移動させながら、移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうちこの受信した清書変換データに基づく位置座標に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上に熱書き込みが行われる(ステップA12)。
【0058】
なお、この熱書込消去手段7による熱書き込みは、リライタブルペーパー2に書き込むべき全領域の清書変換データを一旦全て受信してから熱書込消去手段7により熱書き込みを開始するように構成してもよく、あるいは、清書変換データを小単位で受信しながら熱書き込みを行い、清書変換データの受信と熱書込消去手段7による熱書き込みとを並行して行うように構成してもよい。
【0059】
以上のようにして、筆記ボード装置1の透明コーティング部材20上に書き込まれた手書きの文字及び/又は図形がリライタブルペーパー2上に所定のフォントで書き直されて読み易くなる。
【0060】
なお、この清書変換データはパソコン80の装置本体81の記憶手段又は筆記ボード装置1のボード本体11の記憶手段に保存しておくことができ、一旦熱書き込みを消去した後も、必要に応じて呼び出して、リライタブルペーパー2上に再度熱書き込みを行い、再表示することもできる。
【0061】
そうして、このリライタブルペーパー2上に熱書き込みされた文字及び/又は図形を消去するには、筆記ボード装置1のボード本体11に設けた熱消去処理指示ボタンを押して熱消去処理を指示し(ステップA13)、これにより熱書込消去手段7による熱消去処理が実行される。なお、この熱書込消去手段7による熱消去処理の指示に係る操作手段は、パソコン80のキーボード83上のキーに対応付けて設けてもよい。
【0062】
そして、この熱消去処理の指示により、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により原点位置から終点位置(ステップA12での熱書込消去手段7による熱書込みで移動体4を原点位置から終点位置に移動させて終点位置で待機させるように制御している場合は、終点位置から原点位置)へ向けて移動させながら、移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうちリライタブルペーパー2上に熱書き込みされた領域(例えば、上半分の領域や全領域等)に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第2の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上の熱書き込みを消去していく(ステップA14)。
【0063】
次に、画像描画装置による画像描画の第2実施例について図5、図6を参照しながら説明する。
第2実施例に係る画像描画方法は、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に筆記具3を用いて着色剤により画像を書き込む着色剤書込ステップと、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に着色剤書き込みされた可視画像を読取手段5で光学的に読み取って該可視画像に対応する画像データを出力する出力ステップと、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に着色剤書き込みを行った使用者を特定する特定ステップと、特定ステップで特定された使用者に対応する認識用パターンを読み出し、その認識用パターンを用いて、出力ステップで出力された画像データについて文字及び/又は図形の認識を行い、清書変換データを生成する認識ステップと、認識ステップで生成された清書変換データを可視的に表示する表示ステップと、表示ステップで表示された画像に対して編集を受け付ける編集受付ステップと、編集受付ステップで入力された編集内容に応じて、清書変換データを更新する更新ステップと、更新ステップで更新された清書変換データに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みするための熱書込データを生成する生成ステップと、着色剤書込ステップで書き込まれた画像を消去する着色剤書込消去ステップと、生成ステップで生成された熱書込データに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みを行う熱書込ステップと、熱書込ステップで熱書込みされた画像を熱消去する熱消去ステップと、を含み、この第2実施例では個人認証を行い、次のような流れで構成されている。
【0064】
以下では、一人の筆記者が透明コーティング部材20上に手書きで書き込みを行ってその書き込みを終えると、続けて次の人が書き込みを行うことなく、ここで読取処理並びに清書変換処理を実行し、その一人の筆記者の字の特徴に関する認識用パターンを参照しながら清書変換を行って、リライタブルペーパー2上に熱書き込みを行うものとする。
【0065】
筆記ボード装置1のボード本体11に設けられた制御手段15では、使用者識別情報受信手段16での指紋データの受信の有無を定期的に監視しており、リライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に書き込みを行おうとする筆記者が、筆記具3の入力手段34を所定の指(例えば、人指し指)で触れて指紋データを入力すると、該指紋データは筆記具3の使用者識別情報送信手段36から筆記ボード装置1のボード本体11の使用者識別情報受信手段16へ無線送信されて、これにより指紋データをボード本体11の使用者識別情報受信手段16で受信すると(ステップB1)、該指紋データが使用者識別情報記憶手段17に記憶される(ステップB1)。
【0066】
そして、筆記者は筆記具3を用いて、筆記ボード装置1のリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に着色剤を付けて着色剤書き込みを行い(ステップB3)、書き込みを終了すると、筆記ボード装置1のボード本体11に設けた清書変換指示ボタンを押して手書きの書き込みの清書変換を指示し(ステップB4)、これにより手書きの書き込みの読取処理並びに清書変換処理が実行される。なお、この清書変換の指示に係る操作手段は、パソコン80のキーボード83上のキーに対応付けて設けてもよい。
【0067】
そして、清書変換が指示されると、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により原点位置から終点位置へ向けて移動し始め、移動体4に搭載された読取手段5の読取部51によって透明コーティング部材20上の着色剤書き込みが光学的に読み取られていくとともに、この読み取りが行われたすぐ後から、読み取られた着色剤書き込みが着色剤消去手段6の消去部61により消去されていき(ステップB5)、筆記ボード装置1の送受信手段19から読取手段5により読み取られた読取画像データ(ビットマップ形式等のイメージデータ)とステップB4で清書変換指示がなされる直前まで使用されていた筆記者の指紋データとが、パソコン80の装置本体81の送受信手段99へ送信される(ステップB6)。
【0068】
パソコン80の装置本体81では、前記認識手段96を含む対応アプリケーションを起動した状態で、筆記ボード装置1からの読取画像データと指紋データとの受信を監視しており、パソコン80の装置本体81で筆記ボード装置1からの読取画像データと指紋データとを受信すると(ステップB7)、認識用パターン記憶手段98で該指紋データが照合されて(ステップB8)、該認識用パターン記憶手段98に該指紋データに対応付けて記憶されているその筆記者専用の認識用パターンが登録されていれば(ステップB9)、該専用の認識用パターンが選択され(ステップB10)、該認識用パターン記憶手段98に該指紋データに対応付けて記憶されているその筆記者専用の認識用パターンが登録されていなければ(ステップB9)、標準認識用パターンが選択されて(ステップB11)、認識手段96ではその筆記者専用の認識用パターン又は標準認識用パターンに基づいて読取画像データの文字及び/又は図形が認識されて(ステップB12)、文字コードデータ及び/又は図形コードデータによる清書変換データが生成されるとともに、この生成された清書変換データがパソコン80のディスプレイ82上に表示される(ステップB13)。
【0069】
なお、前記ステップB9で、認識用パターン記憶手段98にその筆記者の指紋データに対応付けて記憶されているその筆記者専用の認識用パターンが登録されていない場合、その筆記者専用の認識用パターンの新規登録を促すように構成してもよく、この構成の場合、パソコン80のディスプレイ82上にその筆記者専用の認識用パターンの新規登録を行うか否かが表示されて、その筆記者専用の認識用パターンが新規登録されれば、該専用の認識用パターンが選択され、その筆記者専用の認識用パターンが新規登録されなければ、標準認識用パターンが選択されて、以下の認識が行われる。なお、この認識用パターンの新規登録については後述することとする。
【0070】
そして、筆記者はディスプレイ82上に表示された清書変換データを確認して、誤変換されている文字及び/又は図形があれば、ディスプレイ82を見ながらキーボード83上のキー操作により修正、追加等の入力を行って(ステップB14)、正しい文字及び/又は図形に修正した清書変換データに更新して、ディスプレイ82上に表示する(ステップB13)。
【0071】
一方、誤変換されている文字及び/又は図形がなければ、修正、追加等の入力は行わずに(ステップB14)、キーボード83上の所定のキー(清書変換確定キー)を操作して清書変換データを確定し(ステップB15)、これにより確定された清書変換データがビットマップ形式等のイメージデータで、パソコン80の装置本体81の送受信手段99から筆記ボード装置1の送受信手段19へ送信される(ステップB16)。
【0072】
そして、筆記ボード装置1の送受信手段19で、読取手段5で読み取られた読取画像データが清書変換された清書変換データを受信すると(ステップB17)、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により終点位置から原点位置(ステップB5での読取手段5による読取後に移動体4を原点位置に復帰させるように制御している場合は、原点位置から終点位置)へ向けて移動させながら、移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうちこの受信した清書変換データに基づく位置座標に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上に熱書き込みが行われる(ステップB18)。
【0073】
なお、この熱書込消去手段7による熱書き込みは、リライタブルペーパー2に書き込むべき全領域の清書変換データを一旦全て受信してから熱書込消去手段7により熱書き込みを開始するように構成してもよく、あるいは、清書変換データを小単位で受信しながら熱書き込みを行い、清書変換データの受信と熱書込消去手段7による熱書き込みとを並行して行うように構成してもよい。
【0074】
以上のようにして、筆記ボード装置1の透明コーティング部材20上に書き込まれた手書きの文字及び/又は図形がリライタブルペーパー2上に所定のフォントで書き直されて読み易くなる。
【0075】
なお、この清書変換データはパソコン80の装置本体81の記憶手段又は筆記ボード装置1のボード本体11の記憶手段に保存しておくことができ、一旦熱書き込みを消去した後も、必要に応じて呼び出して、リライタブルペーパー2上に再度熱書き込みを行い、再表示することもできる。
【0076】
そうして、このリライタブルペーパー2上に熱書き込みされた文字及び/又は図形を消去するには、筆記ボード装置1のボード本体11に設けた熱消去処理指示ボタンを押して熱消去処理を指示し(ステップB19)、これにより熱書込消去手段7による熱消去処理が実行される。なお、この熱書込消去手段7による熱消去処理の指示に係る操作手段は、パソコン80のキーボード83上のキーに対応付けて設けてもよい。
【0077】
そして、この熱消去処理の指示により、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により原点位置から終点位置(ステップB18での熱書込消去手段7による熱書込みで移動体4を原点位置から終点位置に移動させて終点位置で待機させるように制御している場合は、終点位置から原点位置)へ向けて移動させながら、移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうちリライタブルペーパー2上に熱書き込みされた領域(例えば、上半分の領域や全領域等)に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第2の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上の熱書き込みを消去していく(ステップB20)。
【0078】
次に、前記認識用パターンの新規登録について、その一例を説明する。
まず、筆記者は筆記具3でリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に平仮名(50音)を書き込む。なお、この平仮名50音は一括して書き込んでも、あ行、か行等と幾つかの単位に分けて書き込んでもよい。書き込みを終えると、パソコン80のキーボード83上の所定のキー(清書変換指示キー)を操作してこの書き込みの清書変換を指示すると、読取手段5が走査してこの書き込みが読み取られ、清書変換が行われて、ディスプレイ82上に表示される。
【0079】
このとき正しく清書変換されていない平仮名もあり、字に癖があるほど正しく清書変換されていないことが多く、その場合は、ディスプレイ82を見ながらキーボード83を操作して正しい字に修正を行う。以上のようにして、筆記者が自ら書き込んだ平仮名と、それに対応する平仮名コードデータとの対応付けがなされて、正しく清書変換されていない平仮名の修正を全て終えれば、キーボード83上の所定のキー(清書変換確定キー)を操作し、これにより筆記者が自ら書き込んだ平仮名と、それに対応する平仮名コードデータとを対応付けた認識用パターンが作成され、認識用パターン記憶手段98にその筆記者の指紋データに関連付けして記憶される。
【0080】
以上のようにして、全ての平仮名について、筆記者が自ら書き込んだ平仮名と、それに対応する平仮名コードデータとを対応付けた認識用パターンを作成して、認識用パターン記憶手段98にその筆記者の指紋データに関連付けして記憶させる。同様にして、片仮名、アルファベットの大文字、小文字、数字、使用頻度の高い記号(「¥」、「%」、「?」など)、漢字の部首(「木」偏や「言」偏等の偏や、「之繞」等の作りなど)などについても、筆記者が自ら書き込んだ文字/及び又は図形と、それに対応する文字コードデータ/及び又は図形コードデータとを対応付けた認識用パターンを作成して、認識用パターン記憶手段98にその筆記者の指紋データに関連付けして記憶させる。以上のようにして、筆記者の認識用パターンがその筆記者の指紋データに関連付けて新規登録される。
【0081】
以上、画像描画装置による画像描画について2つの実施例を説明したが、筆記者がリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に書き込みを行うときに、次のようなセキュリティを付設して、権限なき人が書き込みを行うことができないように構成してもよい。
【0082】
筆記具3の入力手段34を所定の指(例えば、人指し指)で触れて指紋データを入力すると、該指紋データは筆記具3の使用者識別情報送信手段36から筆記ボード装置1のボード本体11の使用者識別情報受信手段16へ無線送信されて、これにより指紋データをボード本体11の使用者識別情報受信手段16で受信すると、照合手段18でこの受信した使用者識別情報が使用者識別情報記憶手段17に予め記憶されている使用者識別情報の何れか一つに一致するか否かが照合されて、一致すれば、前記第1実施例においてはステップA1に進み、前記第2実施例においてはステップB3に進んで、以下のフローを実行する。
【0083】
一方、照合手段18による照合で使用者識別情報受信手段16で受信した使用者識別情報が使用者識別情報記憶手段17に記憶されているどの使用者識別情報にも一致しない場合には、報知手段14によってその旨が報知されて、セキュリティが働き、ここで、所定の手順に従って、指紋データを新規登録すれば、前記第1実施例においてはステップA1に進み、前記第2実施例においてはステップB3に進んで、以下のフローの実行が可能となる。
【0084】
次に、リライタブルペーパー2上に形成された可視画像に対応する画像データを検出して情報処理装置8へ出力する画像出力手段として、座標検出手段10を用いた実施形態(第2実施形態)を説明する。
図7、図8に示すように、この第2実施形態では、画像出力手段として、上記の第1実施形態で用いた読取手段5の替わりに、座標検出手段10が用いられており、該座標検出手段10は筆記ボード装置1のボード本体11の一面に取り付けられ、該座標検出手段10の上に座標検出手段10と同面積の大きさのリライタブルペーパー2が貼られて、該リライタブルペーパー2の上からリライタブルペーパー2を保護するための透明コーティング部材20が貼られている。
【0085】
前記座標検出手段10はリライタブルペーパー2の裏面に配置されたセンサマトリクスで、筆記具3を用いて透明コーティング部材20上に手書きで書き込まれた着色剤書き込みの位置座標を検出して、そのデータを筆記ボード装置1を制御する情報処理装置8に出力するように構成されている。
【0086】
この第2実施形態では、画像出力手段として読取手段5の替わりに座標検出手段10を用いて、移動体4には、着色剤消去手段6の消去部61と熱書込消去手段7の熱源ヘッド71・71・・・とが搭載される構成となり、該熱源ヘッド71・71・・・は透明コーティング部材20の横方向一端側(図1では左側)に配置され、該消去部61は透明コーティング部材20の横方向他端側(図1では右側)に配置されている。
他の構成については、画像出力手段として読取手段5を用いた第1実施形態と同様であり(図7、図9参照)、その説明を省略する。
【0087】
前記着色剤消去手段6による透明コーティング部材20上の着色剤書き込みの消去と前記熱書込消去手段7によるリライタブルペーパー2上への熱書き込みについて説明すると、前記移動体4を原点位置から終点位置へ向けて移動させるときに、着色剤消去手段6の消去部61により透明コーティング部材20上の着色剤書き込みを拭き取って消していき、この着色剤書き込みを消していったすぐ後から、書き込むべき書き込みの書込データに基づく位置座標に対応する熱書込消去手段7の熱源ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上に熱書き込みを行っていくように構成されている。
【0088】
なお、この移動体4を原点位置から終点位置へ向けて移動させるときに、着色剤消去手段6により透明コーティング部材20上の着色剤書き込みを消去し、該移動体4を終点位置から原点位置へ向けて移動させるときに、熱書込消去手段7によりリライタブルペーパー2上に熱書き込みを行うように構成してもよい。
【0089】
あるいは、移動体4を原点位置から終点位置へ向けて移動させて、着色剤消去手段6により透明コーティング部材20上の着色剤書き込みを消去した後、一旦、移動体4を原点位置に戻して、もう一度移動体4を原点位置から終点位置へ向けて移動させ、この2回目の移動で、熱書込消去手段7によりリライタブルペーパー2上に熱書き込みを行うように構成してもよい。
【0090】
以上のような構成で、筆記者が筆記具3を用いて着色剤を付けてリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に書き込みを行っているときには、移動体4を退避位置となる原点位置に退避させておき、熱書き込み時又は熱消去時に移動体4を原点位置から書込領域に移動させることで、筆記者が筆記具3を用いて着色剤を付けてリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に書き込みを行っているときに、着色剤消去手段6、熱書込消去手段7が邪魔になることはない。
【0091】
次に、画像出力手段として座標検出手段10を備えた画像描画装置による画像描画について幾つかの実施例を説明する。
まず、画像描画装置による画像描画の第1実施例について図10を参照しながら説明する。
第1実施例に係る画像描画方法は、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に筆記具3を用いて着色剤により画像を書き込む着色剤書込ステップと、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に着色剤書き込みされた可視画像を座標検出手段10で検出して該可視画像に対応する画像データを出力する出力ステップと、出力ステップで出力された画像データについて文字及び/又は図形の認識を行い、清書変換データを生成する認識ステップと、認識ステップで生成された清書変換データを可視的に表示する表示ステップと、表示ステップで表示された画像に対して編集を受け付ける編集受付ステップと、編集受付ステップで入力された編集内容に応じて、清書変換データを更新する更新ステップと、更新ステップで更新された清書変換データに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みするための熱書込データを生成する生成ステップと、着色剤書込ステップで書き込まれた画像を消去する着色剤書込消去ステップと、生成ステップで生成された熱書込データに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みを行う熱書込ステップと、熱書込ステップで熱書込みされた画像を熱消去する熱消去ステップと、を含み、個人認証を行わずに、次のような流れで構成されている。
【0092】
まず、筆記者は筆記具3を用いて、筆記ボード装置1のリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に着色剤を付けて着色剤書き込みを行うと(ステップC1)、座標検出手段10ではその書き込みの位置座標を検出して(ステップC2)、画像データ(ビットマップ形式等のイメージデータ)を生成する(ステップC3)。座標検出手段10では書き込みがある都度、その書き込みの位置座標を検出して、次のステップC4での清書変換指示がなされない限り、画像データを更新していく。
筆記者は着色剤を付けての手書きの書き込みを終了すると、筆記ボード装置1のボード本体11に設けた清書変換指示ボタンを押して手書きの書き込みの清書変換を指示し(ステップC4)、これにより手書きの書き込みの読取処理並びに清書変換処理が実行される。なお、この清書変換の指示に係る操作手段は、パソコン80のキーボード83上のキーに対応付けて設けてもよい。
【0093】
そして、清書変換が指示されると、座標検出手段10によって検出された画像データはビットマップ形式等のイメージデータで、筆記ボード装置1の送受信手段19からパソコン80の装置本体81の送受信手段99へ送信される(ステップC5)。
【0094】
パソコン80の装置本体81では、前記認識手段96を含む対応アプリケーションを起動した状態で、筆記ボード装置1からの画像データの受信を監視しており、パソコン80の装置本体81で筆記ボード装置1からの画像データを受信すると(ステップC6)、認識手段96で文字コードデータ及び/又は図形コードデータへの清書変換に係る標準認識用パターンが参照されながらこの読取画像データの文字及び/又は図形が認識されて(ステップC7)、文字コードデータ及び/又は図形コードデータによる清書変換データが生成されるとともに、この生成された清書変換データがパソコン80のディスプレイ82上に表示される(ステップC8)。
【0095】
ここで、筆記者はディスプレイ82上に表示された清書変換データを確認して、誤変換されている文字及び/又は図形があれば、ディスプレイ82を見ながらキーボード83上のキー操作により修正、追加等の入力を行って(ステップC9)、正しい文字及び/又は図形に修正した清書変換データに更新して、ディスプレイ82上に表示する(ステップC8)。
【0096】
一方、誤変換されている文字及び/又は図形がなければ、修正、追加等の入力は行わずに(ステップC9)、キーボード83上の所定のキー(清書変換確定キー)を操作して清書変換データを確定し(ステップC10)、これにより確定された清書変換データがビットマップ形式等のイメージデータで、パソコン80の装置本体81の送受信手段99から筆記ボード装置1の送受信手段19へ送信される(ステップC11)。
【0097】
そして、筆記ボード装置1の送受信手段19で、読取手段5で読み取られた読取画像データが清書変換された清書変換データを受信すると(ステップC12)、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により原点位置から終点位置へ向けて移動させながら、着色剤消去手段6による着色剤書き込みの消去と熱書込消去手段7による熱書き込みとを並行して行い、すなわち、移動体4に搭載された着色剤消去手段6によってリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20の表面に書き込まれた着色剤書き込みを消去していきながら、この消去が行われたすぐ後から、同移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうちこの受信した清書変換データに基づく位置座標に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上に熱書き込みが行われていく(ステップC13)。
【0098】
なお、この着色剤消去手段6による着色剤書き込みの消去は、ステップC5からステップC12までの間に、行う構成としてもよく、この場合、ステップC12での清書変換データの受信後、熱書込消去手段7による熱書き込みのみが行われる。
【0099】
以上のようにして、筆記ボード装置1の透明コーティング部材20上に書き込まれた手書きの文字及び/又は図形がリライタブルペーパー2上に所定のフォントで書き直されて読み易くなる。
【0100】
なお、この清書変換データはパソコン80の装置本体81の記憶手段又は筆記ボード装置1のボード本体11の記憶手段に保存しておくことができ、一旦熱書き込みを消去した後も、必要に応じて呼び出して、リライタブルペーパー2上に再度熱書き込みを行い、再表示することもできる。
【0101】
そうして、このリライタブルペーパー2上に熱書き込みされた文字及び/又は図形を消去するには、筆記ボード装置1のボード本体11に設けた熱消去処理指示ボタンを押して熱消去処理を指示し(ステップC14)、これにより熱書込消去手段7による熱消去処理が実行される。なお、この熱書込消去手段7による熱消去処理の指示に係る操作手段は、パソコン80のキーボード83上のキーに対応付けて設けてもよい。
【0102】
そして、この熱消去処理の指示により、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により終点位置から原点位置へ向けて移動させながら、移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうちリライタブルペーパー2上に熱書き込みされた領域(例えば、上半分の領域や全領域等)に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第2の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上の熱書き込みを消去していく(ステップC15)。
【0103】
次に、画像描画装置による画像描画の第2実施例について図11を参照しながら説明する。
第2実施例に係る画像描画方法は、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に筆記具3を用いて着色剤により画像を書き込む着色剤書込ステップと、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に着色剤書き込みされた可視画像を座標検出手段10で検出して該可視画像に対応する画像データを出力する出力ステップと、出力ステップで出力された画像データについて文字及び/又は図形の認識を行い、清書変換データを生成する認識ステップと、認識ステップで生成された清書変換データを可視的に表示する表示ステップと、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に筆記具3を用いて書き込んだ内容を確定する確定ステップと、確定ステップで確定されたリライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上の書き込みに対応する画像に対して編集を受け付ける編集受付ステップと、編集受付ステップで入力された編集内容に応じて、清書変換データを更新する更新ステップと、更新ステップで更新された清書変換データに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みするための熱書込データを生成する生成ステップと、着色剤書込ステップで書き込まれた画像を消去する着色剤書込消去ステップと、生成ステップで生成された熱書込データに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みを行う熱書込ステップと、熱書込ステップで熱書込みされた画像を熱消去する熱消去ステップと、を含み、個人認証を行わずに、次のような流れで構成されている。
【0104】
まず、筆記者は筆記具3を用いて、筆記ボード装置1のリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に着色剤を付けて着色剤書き込みを行うと(ステップD1)、座標検出手段10ではその書き込みの位置座標を検出して(ステップD2)、画像データ(ビットマップ形式等のイメージデータ)を生成する(ステップD3)。座標検出手段10では書き込みがある度、その書き込みの位置座標を検出して画像データを生成し、該画像データは筆記ボード装置1の送受信手段19からパソコン80の装置本体81の送受信手段99へ送信される(ステップD4)。
【0105】
さらに、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に書き込みが行われる場合は、上記ステップD1からステップD4のフローが繰り返され、書き込みを一段落終了すると、筆記ボード装置1のボード本体11に設けた書込内容確定指示ボタンを押してリライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上の書込内容の確定を指示し(ステップD5)、これにより書込内容確定コマンドが筆記ボード装置1の送受信手段19からパソコン80の装置本体81の送受信手段99へ送信される(ステップD6)。なお、この書込内容確定の指示に係る操作手段は、パソコン80のキーボード83上のキーに対応付けて設けてもよい。
【0106】
パソコン80の装置本体81では、前記認識手段96を含む対応アプリケーションを起動した状態で、筆記ボード装置1からの画像データの受信を監視していて、パソコン80の装置本体81で筆記ボード装置1からの画像データを受信する度に、その画像データの文字及び/又は図形認識が試みられ、すなわち、パソコン80の装置本体81で筆記ボード装置1からの画像データを受信すると(ステップD7)、認識手段96で文字コードデータ及び/又は図形コードデータへの清書変換に係る標準認識用パターンが参照されながらこの読取画像データの文字及び/又は図形が認識されて(ステップD8)、文字コードデータ及び/又は図形コードデータによる清書変換データが生成されるとともに、この生成された清書変換データがパソコン80のディスプレイ82上に表示される(ステップD9)。
【0107】
パソコン80の装置本体81の送受信手段99で、筆記ボード装置1の送受信手段19から書込内容確定コマンドを受信していなければ(ステップD10)、パソコン80の装置本体81で筆記ボード装置1からの画像データを受信する度に、上記ステップD7からステップD9のフローが繰り返され、パソコン80のディスプレイ82上では、その表示が最新の清書変換データに更新されて、リアルタイムでリライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上への書込内容が反映されるように構成されている。
【0108】
一方、パソコン80の装置本体81の送受信手段99で、筆記ボード装置1の送受信手段19から書込内容確定コマンドを受信していれば(ステップD10)、筆記者はディスプレイ82上に表示された清書変換データを確認して、誤変換されている文字及び/又は図形があれば、ディスプレイ82を見ながらキーボード83上のキー操作により修正、追加等の入力を行って(ステップD11)、正しい文字及び/又は図形に修正した清書変換データに更新して、ディスプレイ82上に表示し(ステップD12)、キーボード83上の所定のキー(清書変換確定キー)を操作して清書変換データを確定する(ステップD13)。
【0109】
一方、誤変換されている文字及び/又は図形がなければ、修正、追加等の入力は行わずに(ステップD11)、キーボード83上の清書変換確定キーを操作して清書変換データを確定する(ステップD13)。この清書変換確定キーの操作により確定された清書変換データはビットマップ形式等のイメージデータで、パソコン80の装置本体81の送受信手段99から筆記ボード装置1の送受信手段19へ送信される(ステップD14)。
【0110】
なお、前記ステップD5での書込内容確定の指示は、パソコン80側で行うように構成してもよく、その場合、前記のステップD5、D6のフローをなくして、前記ステップD10で書込内容確定コマンドを受信しているか否かを監視する替わりに、パソコン80のキーボード83上の所定のキー(書込内容確定キー)の操作により書込内容確定の指示が入力されたか否かを監視し、入力されていなければステップD7に戻り、入力されればステップD12に進むように構成する。
【0111】
そして、ステップD14での清書変換データの送信により、筆記ボード装置1の送受信手段19で清書変換データを受信すると(ステップD15)、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により原点位置から終点位置へ向けて移動させながら、着色剤消去手段6による着色剤書き込みの消去と熱書込消去手段7による熱書き込みとを並行して行い、すなわち、移動体4に搭載された着色剤消去手段6によってリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20の表面に書き込まれた着色剤書き込みを消去していきながら、この消去が行われたすぐ後から、同移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうちこの受信した清書変換データに基づく位置座標に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上に熱書き込みが行われていく(ステップD16)。
【0112】
なお、この着色剤消去手段6による着色剤書き込みの消去は、ステップD7からステップD15までの間に、行う構成としてもよく、この場合、ステップD15での清書変換データの受信後、熱書込消去手段7による熱書き込みのみが行われる。
【0113】
以上のようにして、筆記ボード装置1の透明コーティング部材20上に書き込まれた手書きの文字及び/又は図形がリライタブルペーパー2上に所定のフォントで書き直されて読み易くなる。
【0114】
なお、この清書変換データはパソコン80の装置本体81の記憶手段又は筆記ボード装置1のボード本体11の記憶手段に保存しておくことができ、一旦熱書き込みを消去した後も、必要に応じて呼び出して、リライタブルペーパー2上に再度熱書き込みを行い、再表示することもできる。
【0115】
そうして、このリライタブルペーパー2上に熱書き込みされた文字及び/又は図形を消去するには、筆記ボード装置1のボード本体11に設けた熱消去処理指示ボタンを押して熱消去処理を指示し(ステップD17)、これにより熱書込消去手段7による熱消去処理が実行される。なお、この熱書込消去手段7による熱消去処理の指示に係る操作手段は、パソコン80のキーボード83上のキーに対応付けて設けてもよい。
【0116】
そして、この熱消去処理の指示により、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により終点位置から原点位置へ向けて移動させながら、移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうちリライタブルペーパー2上に熱書き込みされた領域(例えば、上半分の領域や全領域等)に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第2の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上の熱書き込みを消去していく(ステップD18)。
【0117】
次に、画像描画装置による画像描画の第3実施例について図12、図13を参照しながら説明する。
第3実施例に係る画像描画方法は、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に筆記具3を用いて着色剤により画像を書き込む着色剤書込ステップと、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に着色剤書き込みされた可視画像を座標検出手段10で検出して該可視画像に対応する画像データを出力する出力ステップと、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に着色剤書き込みを行った使用者を特定する特定ステップと、特定ステップで特定された使用者に対応する認識用パターンを読み出し、その認識用パターンを用いて、出力ステップで出力された画像データについて文字及び/又は図形の認識を行い、清書変換データを生成する認識ステップと、認識ステップで生成された清書変換データを可視的に表示する表示ステップと、表示ステップで表示された画像に対して編集を受け付ける編集受付ステップと、編集受付ステップで入力された編集内容に応じて、清書変換データを更新する更新ステップと、更新ステップで更新された清書変換データに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みするための熱書込データを生成する生成ステップと、着色剤書込ステップで書き込まれた画像を消去する着色剤書込消去ステップと、生成ステップで生成された熱書込データに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みを行う熱書込ステップと、熱書込ステップで熱書込みされた画像を熱消去する熱消去ステップと、を含み、この第3実施例では個人認証を行い、次のような流れで構成されている。
【0118】
以下では、一人の筆記者が透明コーティング部材20上に手書きで書き込みを行ってその書き込みを終えると、続けて次の人が書き込みを行うことも可能で、ここで読取処理並びに清書変換処理を実行し、各筆記者の字の特徴に関する認識用パターンを参照しながら清書変換を行って、リライタブルペーパー2上に熱書き込みを行うものとする。
【0119】
筆記ボード装置1のボード本体11に設けられた制御手段15では、使用者識別情報受信手段16での指紋データの受信の有無を定期的に監視しており、リライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に書き込みを行おうとする筆記者が、筆記具3の入力手段34を所定の指(例えば、人指し指)で触れて指紋データを入力すると、該指紋データは筆記具3の使用者識別情報送信手段36から筆記ボード装置1のボード本体11の使用者識別情報受信手段16へ無線送信されて、これにより指紋データをボード本体11の使用者識別情報受信手段16で受信すると(ステップE1)、該指紋データが使用者識別情報記憶手段17に記憶される(ステップE2)。
【0120】
そして、筆記者は筆記具3を用いて、筆記ボード装置1のリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に着色剤を付けて着色剤書き込みを行うと(ステップE3)、座標検出手段10ではその書き込みの位置座標を検出して(ステップE4)、画像データ(ビットマップ形式等のイメージデータ)を生成する(ステップE5)。座標検出手段10では書き込みがある度、その書き込みの位置座標を検出して画像データを生成し、該画像データと該画像データを書き込んだ筆記者の指紋データとが筆記ボード装置1の送受信手段19からパソコン80の装置本体81の送受信手段99へ送信される(ステップE6)。
ここで、ステップE1での指紋データの受信とステップE6での画像データと指紋データの送信は、一連の書き込みに対して1回でよいものとする。
【0121】
さらに、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に書き込みが行われる場合は、上記ステップE1からステップE6のフローが繰り返される。
【0122】
なお、本実施例では、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に一連の書き込みがある度に、座標検出手段10でその書き込みの位置座標が認識されるとともに、画像データ記憶手段13にその一連の書き込みの画像データと該画像データの筆記者の指紋データとを対応付けて記憶するように構成されている。
【0123】
すなわち、筆記者Xが筆記具3の入力手段34に指紋データを入力して、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に書き込みを行うと、座標検出手段10でその書き込みの位置座標が認識されるとともに、画像データ記憶手段13にこの書き込みの画像データと該画像データの筆記者の指紋データとを対応付けて記憶するように構成されている。このように、筆記具3の入力手段34に筆記者Xの指紋データが入力されて、該筆記具3の入力手段34に筆記者X以外の指紋データが入力されるまでの間は、この間に書き込まれた書き込みは筆記者Xによるものとして、座標検出手段10で検出されたその書き込みの画像データが筆記者Xの指紋データに対応付けて記憶され、これにより誰がどの座標位置(領域)に書き込んだかが認識できるように構成されている。そして、前記ステップE6での送信では、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に書き込まれた画像データと該画像データの書き主(筆記者)の指紋データとの対応関係(どの領域がどの筆記者によって書き込まれたものか)も送信されてパソコン80の装置本体81の画像データ記憶手段95に記憶され、後述の清書変換処理で、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上に書き込まれた画像データを書き込んだ筆記者毎に、その筆記者専用の認識用パターン(その筆記者専用の認識用パターンが登録されていない筆記者に関しては標準認識用パターン)が参照されながら清書変換が実行されるように構成されている。
【0124】
そうして、リライタブルペーパー2の透明コーティング部材20への書き込みを一段落終了すると、筆記ボード装置1のボード本体11に設けた書込内容確定指示ボタンを押してリライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上の書込内容の確定を指示し(ステップE7)、これにより書込内容確定コマンドが筆記ボード装置1の送受信手段19からパソコン80の装置本体81の送受信手段99へ送信される(ステップE8)。なお、この書込内容確定の指示に係る操作手段は、パソコン80のキーボード83上のキーに対応付けて設けてもよい。
【0125】
パソコン80の装置本体81では、前記認識手段96を含む対応アプリケーションを起動した状態で、筆記ボード装置1からの読取画像データと指紋データとの受信を監視しており、パソコン80の装置本体81で筆記ボード装置1からの読取画像データと指紋データとを受信すると(ステップE9)、認識用パターン記憶手段98で該指紋データが照合され(ステップE10)、該認識用パターン記憶手段98に該指紋データに対応付けて記憶されているその筆記者専用の認識用パターンが登録されていれば(ステップE11)、該専用の認識用パターンが選択され(ステップE12)、該認識用パターン記憶手段98に該指紋データに対応付けて記憶されているその筆記者専用の認識用パターンが登録されていなければ(ステップE11)、標準認識用パターンが選択されて(ステップE13)、認識手段96では専用の認識用パターン又は標準認識用パターンに基づいて読取画像データの文字及び/又は図形が認識されて(ステップE14)、文字コードデータ及び/又は図形コードデータによる清書変換データが生成されるとともに、この生成された清書変換データがパソコン80のディスプレイ82上に表示される(ステップE15)。
【0126】
なお、変形例として、指紋データの照合を筆記ボード装置1の制御手段15で行い、使用者識別情報として筆記者のIDのみをパソコン80の装置本体81へ送信して、パソコン80の装置本体81ではその筆記者のIDに基づき、その筆記者のIDに対応する認識用パターンが選択されて、清書変換が実行されるように構成してもよい。あるいは、他の変形例として、筆記ボード装置1の制御手段15に、指紋データとその筆記者専用の認識用パターンとを対応付けて記憶(登録)しておき、筆記具3の入力手段34で指紋データが入力されると、該指紋データを筆記ボード装置1で受信してその制御手段15で該指紋データの筆記者に対応する認識用パターンが選択されて、筆記ボード装置1から座標検出手段10で検出した画像データと該指紋データの筆記者に対応する認識用パターンとがパソコン80の装置本体81に送信されるように構成してもよい。
【0127】
なお、前記ステップE11で、認識用パターン記憶手段98にその筆記者の指紋データに対応付けて記憶されているその筆記者専用の認識用パターンが登録されていない場合、その筆記者専用の認識用パターンの新規登録を促すように構成してもよく、この構成の場合、パソコン80のディスプレイ82上にその筆記者専用の認識用パターンの新規登録を行うか否かが表示されて、その筆記者専用の認識用パターンが新規登録されれば、該専用の認識用パターンが選択され、その筆記者専用の認識用パターンが新規登録されなければ、標準認識用パターンが選択されて、以下の認識が行われる。なお、この認識用パターンの新規登録については後述することとする。
【0128】
そして、パソコン80の装置本体81の送受信手段99で、筆記ボード装置1の送受信手段19から書込内容確定コマンドを受信していなければ(ステップE16)、パソコン80の装置本体81で筆記ボード装置1からの画像データを受信する度に、上記ステップE9からステップE15のフローが繰り返され、パソコン80のディスプレイ82上では、その表示が最新の清書変換データに更新されて、リアルタイムでリライタブルペーパー2の透明コーティング部材20上への書込内容が反映されるように構成されている。
【0129】
一方、パソコン80の装置本体81の送受信手段99で、筆記ボード装置1の送受信手段19から書込内容確定コマンドを受信していれば(ステップE16)、筆記者はディスプレイ82上に表示された清書変換データを確認して、誤変換されている文字及び/又は図形があれば、ディスプレイ82を見ながらキーボード83上のキー操作により修正、追加等の入力を行って(ステップE17)、正しい文字及び/又は図形に修正した清書変換データに更新して、ディスプレイ82上に表示し(ステップE18)、キーボード83上の所定のキー(清書変換確定キー)を操作して清書変換データを確定する(ステップE19)。
【0130】
一方、誤変換されている文字及び/又は図形がなければ、修正、追加等の入力は行わずに(ステップE17)、キーボード83上の清書変換確定キーを操作して清書変換データを確定する(ステップE19)。この清書変換確定キーの操作により確定された清書変換データはビットマップ形式等のイメージデータで、パソコン80の装置本体81の送受信手段99から筆記ボード装置1の送受信手段19へ送信される(ステップE20)。
【0131】
なお、前記ステップE7での書込内容確定の指示は、パソコン80側で行うように構成してもよく、その場合、前記のステップE7、E8のフローをなくして、前記ステップE16で書込内容確定コマンドを受信しているか否かを監視する替わりに、パソコン80のキーボード83上の所定のキー(書込内容確定キー)の操作により書込内容確定の指示が入力されたか否かを監視し、入力されていなければステップE9に戻り、入力されればステップE17に進むように構成する。
【0132】
そして、ステップE20での清書変換データの送信により、筆記ボード装置1の送受信手段19で清書変換データを受信すると(ステップE21)、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により原点位置から終点位置へ向けて移動させながら、着色剤消去手段6による着色剤書き込みの消去と熱書込消去手段7による熱書き込みとを並行して行い、すなわち、移動体4に搭載された着色剤消去手段6によってリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20の表面に書き込まれた着色剤書き込みを消去していきながら、この消去が行われたすぐ後から、同移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうちこの受信した清書変換データに基づく位置座標に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第1の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上に熱書き込みが行われていく(ステップE22)。
【0133】
なお、この着色剤消去手段6による着色剤書き込みの消去は、ステップD7からステップD15までの間に、行う構成としてもよく、この場合、ステップD15での清書変換データの受信後、熱書込消去手段7による熱書き込みのみが行われる。
【0134】
以上のようにして、筆記ボード装置1の透明コーティング部材20上に書き込まれた手書きの文字及び/又は図形がリライタブルペーパー2上に所定のフォントで書き直されて読み易くなる。
【0135】
なお、この清書変換データはパソコン80の装置本体81の記憶手段又は筆記ボード装置1のボード本体11の記憶手段に保存しておくことができ、一旦熱書き込みを消去した後も、必要に応じて呼び出して、リライタブルペーパー2上に再度熱書き込みを行い、再表示することもできる。
【0136】
そうして、このリライタブルペーパー2上に熱書き込みされた文字及び/又は図形を消去するには、筆記ボード装置1のボード本体11に設けた熱消去処理指示ボタンを押して熱消去処理を指示し(ステップE23)、これにより熱書込消去手段7による熱消去処理が実行される。なお、この熱書込消去手段7による熱消去処理の指示に係る操作手段は、パソコン80のキーボード83上のキーに対応付けて設けてもよい。
【0137】
そして、この熱消去処理の指示により、前記移動体4が移動手段40のステッピングモータ41のステップ制御により終点位置から原点位置へ向けて移動させながら、移動体4に搭載された熱書込消去手段7の多数の熱源ヘッド71・71・・・のうちリライタブルペーパー2上に熱書き込みされた領域(例えば、上半分の領域や全領域等)に対応する熱源ヘッド71・71・・・を第2の温度領域に発熱させてリライタブルペーパー2上の熱書き込みを消去していく(ステップE24)。
【0138】
次に、前記認識用パターンの新規登録について、その一例を説明する。
まず、筆記者は筆記具3でリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に平仮名(50音)を書き込む。なお、この平仮名50音は一括して書き込んでも、あ行、か行等と幾つかの単位に分けて書き込んでもよい。この手書きの書き込みは画像検出手段10によってその位置座標が検出されており、パソコン80のキーボード83上の所定のキー(清書変換指示キー)を操作してこの書き込みの清書変換を指示すると、清書変換が行われて、ディスプレイ82上に表示される。
【0139】
このとき正しく清書変換されていない平仮名もあり、字に癖があるほど正しく清書変換されていないことが多く、その場合は、ディスプレイ82を見ながらキーボード83を操作して正しい字に修正を行う。以上のようにして、筆記者が自ら書き込んだ平仮名と、それに対応する平仮名コードデータとの対応付けがなされて、正しく清書変換されていない平仮名の修正を全て終えれば、キーボード83上の所定のキー(清書変換確定キー)を操作し、これにより筆記者が自ら書き込んだ平仮名と、それに対応する平仮名コードデータとを対応付けた認識用パターンが作成され、認識用パターン記憶手段98にその筆記者の指紋データに関連付けして記憶される。
【0140】
以上のようにして、全ての平仮名について、筆記者が自ら書き込んだ平仮名と、それに対応する平仮名コードデータとを対応付けた認識用パターンを作成して、認識用パターン記憶手段98にその筆記者の指紋データに関連付けして記憶させる。同様にして、片仮名、アルファベットの大文字、小文字、数字、使用頻度の高い記号(「¥」、「%」、「?」など)、漢字の部首(「木」偏や「言」偏等の偏や、「之繞」等の作りなど)などについても、筆記者が自ら書き込んだ文字/及び又は図形と、それに対応する文字コードデータ/及び又は図形コードデータとを対応付けた認識用パターンを作成して、認識用パターン記憶手段98にその筆記者の指紋データに関連付けして記憶させる。以上のようにして、筆記者の認識用パターンがその筆記者の指紋データに関連付けて新規登録される。
【0141】
以上、画像描画装置による画像描画について3つの実施例を説明したが、筆記者がリライタブルペーパー2上の透明コーティング部材20に書き込みを行うときに、次のようなセキュリティを付設して、権限なき人が書き込みを行うことができないように構成してもよい。
【0142】
筆記具3の入力手段34を所定の指(例えば、人指し指)で触れて指紋データを入力すると、該指紋データは筆記具3の使用者識別情報送信手段36から筆記ボード装置1のボード本体11の使用者識別情報受信手段16へ無線送信されて、これにより指紋データをボード本体11の使用者識別情報受信手段16で受信すると、照合手段18でこの受信した使用者識別情報が使用者識別情報記憶手段17に予め記憶されている使用者識別情報の何れか一つに一致するか否かが照合されて、一致すれば、前記第1実施例においてはステップC1に進み、前記第2実施例においてはステップD1に進み、前記第2実施例においてはステップE3に進んで、以下のフローを実行する。
【0143】
一方、照合手段18による照合で使用者識別情報受信手段16で受信した使用者識別情報が使用者識別情報記憶手段17に記憶されているどの使用者識別情報にも一致しない場合には、報知手段14によってその旨が報知されて、セキュリティが働き、ここで、所定の手順に従って、指紋データを新規登録すれば、前記第1実施例においてはステップC1に進み、前記第2実施例においてはステップD1に進み、前記第2実施例においてはステップE3に進んで、以下のフローの実行が可能となる。
【0144】
以上、画像描画装置について2つの実施形態を説明したが、どちらの実施形態の画像描画装置の筆記ボード装置1の筆記面もリライタブルペーパー2で構成されていて、筆記面に液晶パネルを用いた電子黒板装置等に比べて遥かに安価となり、コスト的に有利である。
この筆記ボード装置1は、筆記具3を用いてリライタブルペーパー2の表面に貼られた透明コーティング部材20上に手書きで書き込むことができ、また、熱書込消去手段7によって第1の温度領域の熱を用いて書き込むべき書き込みの書込データに基づきリライタブルペーパー2上に所定のフォントで読み易い字で自動で書き込みを行うことができるようになっている。
【0145】
この熱書込消去手段7による熱書き込みは、上記のように、透明コーティング部材20上に書き込まれた手書きの書き込みを所定のフォントに清書変換して、この清書変換した所定のフォントの書込データで透明コーティング部材20上に書き込まれた手書きの書き込みを書き直して、読み易い字でリライタブルペーパー2上に熱書き込みを行うほか、パソコン80の装置本体81から送られてきた書込データに基づき、リライタブルペーパー2上に書き込みを行うこともできる。
【0146】
例えば、透明コーティング部材20上の手書きで書き込んだ書き込みを所定のフォントに清書変換した議事データを、一旦、パソコン80の装置本体81の記憶手段に記憶しておき、該議事データをパソコン80の装置本体81の記憶手段からいつでも必要なときに呼び出して熱書込消去手段7に送り、移動手段40により移動体4を移動させながら熱書込消去手段7により該議事データをリライタブルペーパー2上に書き込むことができる。
【0147】
以上のように、この筆記ボード装置1によれば、筆記面である透明コーティング部材20上に手書きで書き込まれた字を読み易い字に編集してリライタブルペーパー2上に書き直すことができ、見易さが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】第1実施形態に係る画像描画装置の概略構成を示す正面図。
【図2】図1におけるA−A矢視断面図。
【図3】第1実施形態に係る画像描画装置の制御構成を示すブロック図。
【図4】第1実施形態に係る画像描画装置による画像描画の第1実施例についてその流れを説明するフローチャート。
【図5】第1実施形態に係る画像描画装置による画像描画の第2実施例についてその流れを説明するフローチャート。
【図6】第1実施形態に係る画像描画装置による画像描画の第2実施例についてその流れを説明するフローチャート。
【図7】第2実施形態に係る画像描画装置の概略構成を示す正面図。
【図8】図7におけるB−B矢視断面図。
【図9】第2実施形態に係る画像描画装置の制御構成を示すブロック図。
【図10】第2実施形態に係る画像描画装置による画像描画の第1実施例についてその流れを説明するフローチャート。
【図11】第2実施形態に係る画像描画装置による画像描画の第2実施例についてその流れを説明するフローチャート。
【図12】第2実施形態に係る画像描画装置による画像描画の第3実施例についてその流れを説明するフローチャート。
【図13】第2実施形態に係る画像描画装置による画像描画の第3実施例についてその流れを説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0149】
1 筆記ボード装置
2 リライタブルペーパー
3 筆記具
4 移動体
5 読取手段
6 着色剤消去手段
7 熱書込消去手段
8 情報処理装置
10 座標検出手段
15 制御手段
34 入力手段
51 読取部
61 消去部
71 熱源ヘッド
80 パソコン
81 装置本体
82 ディスプレイ
83 キーボード
96 認識手段
98 認識用パターン記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱による物性変化を利用して画像の書き込み消去が可能なリライタブルペーパーと、
前記リライタブルペーパー上に形成された可視画像に対応する画像データを出力する画像出力手段と、
前記リライタブルペーパー上に着色剤を付けて書き込まれた画像を消去する着色剤消去手段と、
発熱可能な複数の熱ヘッドを備え、必要な熱ヘッドを発熱させることにより、前記リライタブルペーパー上に画像を書き込む熱書込手段と、
発熱可能な複数の熱ヘッドを備え、必要な熱ヘッドを発熱させることにより、前記リライタブルペーパー上に熱書き込みされた画像を消去する熱消去手段と、
を備えたことを特徴とする画像描画装置。
【請求項2】
前記熱書込手段による熱書き込みと前記熱消去手段による熱消去とは共通の熱ヘッドを利用し、熱書き込みを行う場合には熱ヘッドを第1の温度領域に発熱させ、熱消去を行う場合には熱ヘッドを第2の温度領域に発熱させる温度制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像描画装置。
【請求項3】
前記熱書込手段及び前記熱消去手段を搭載し、前記リライタブルペーパーの面に沿って移動自在な移動体を備え、該移動体を移動させながら熱書き込み及び熱消去を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像描画装置。
【請求項4】
前記画像出力手段は、前記リライタブルペーパー上に形成された画像を光学的に読み取る読取手段であって、前記熱書込手段及び前記熱消去手段が搭載された前記移動体に搭載されていることを特徴とする請求項3に記載の画像描画装置。
【請求項5】
前記着色剤消去手段は、前記熱書込手段及び前記熱消去手段が搭載された前駆移動体に搭載されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の画像描画装置。
【請求項6】
前記画像データを清書変換した清書変換データを受信する受信手段と、
該受信手段で受信した清書変換データを前記リライタブルペーパーに対して熱書き込みするように前記熱書込手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうち何れか一項に記載の画像描画装置。
【請求項7】
リライタブルペーパー上に筆記具を用いて着色剤により画像を書き込む着色剤書込ステップと、
リライタブルペーパー上に着色剤書き込みされた可視画像に対応する画像データを出力する出力ステップと、
出力ステップで出力された画像データについて文字及び/又は図形の認識を行い、文字コードデータ及び/又は図形コードデータを生成する認識ステップと、
認識ステップで生成された文字コードデータ及び/又は図形コードデータを可視的に表示する表示ステップと、
表示ステップで表示された画像に対して編集を受け付ける編集受付ステップと、
編集受付ステップで入力された編集内容に応じて、文字コードデータ及び/又は図形コードデータを更新する更新ステップと、
更新ステップで更新された文字コードデータ及び/又は図形コードデータに基づいて、リライタブルペーパー上に熱書き込みするための熱書込データを生成する生成ステップと、
着色剤書込ステップで書き込まれた画像を消去する着色剤書込消去ステップと、
生成ステップで生成された熱書込データに基づいて、リライダブルペーパー上に熱書き込みを行う熱書込ステップと、
熱書込ステップで熱書き込みされた画像を熱消去する熱消去ステップと、
を備えることを特徴とするリライタブルペーパーに対する画像描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−95732(P2006−95732A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281845(P2004−281845)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】