説明

画像検査装置、画像検査システム、画像検査方法及び画像検査プログラム

【課題】生産性を落とさずに画像検査を行うことができる画像検査装置、システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】抽出部167は、印刷データに含まれる各オブジェクト情報を参照して、当該各オブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別し、該当するオブジェクトのオブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出する。選択部169は、抽出された各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定し、優先度の順に閾値を超えない範囲に収まるオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する。検査部173は、選択された各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを検査領域に設定し、当該各検査領域で、印刷データから生成された印刷画像データと印刷画像データが印刷された印刷物を読み取った読取画像データとを比較して読取画像データを検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像検査システム、画像検査方法及び画像検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷物の生成元となった印刷画像データと当該印刷物を読み取った読取画像データとを比較することで、印刷物の濃度変動や画像欠陥を検査する画像検査システムが知られている。ところで、このような画像検査システムでは、印刷画像データと読取画像データとの比較を画像データ全体で行うと検査時間が長くなり、生産性が落ちてしまう。
【0003】
このため、例えば特許文献1には、基準画像及び被検査画像を小領域に分割して小領域毎に特徴量を比較し、特徴量の差が許容値を超過した場合には、更に詳細検査を行うことで、検査を高速化する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術では、分割した全ての小領域を一度検査するため、検査の高速化には限界がある。また、許容値を超過した小領域の数が多い場合には、検査時間が長くなり、生産性が落ちてしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、生産性を落とさずに画像検査を行うことができる画像検査装置、画像検査システム、画像検査方法及び画像検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる画像検査装置は、複数のオブジェクトそれぞれのオブジェクト情報が記述された印刷データを取得する印刷データ取得手段と、前記印刷データから生成され、前記複数のオブジェクトを含む印刷画像データを取得する印刷画像データ取得手段と、前記印刷データに含まれる前記各オブジェクト情報を参照して、当該各オブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別し、該当するオブジェクトのオブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出する抽出手段と、抽出された前記各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定し、前記優先度の順に閾値を超えない範囲に収まるオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する選択手段と、前記印刷画像データが印刷された印刷物を読み取った前記複数のオブジェクトを含む読取画像データを取得する読取画像データ取得手段と、選択された前記各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを検査領域に設定し、当該各検査領域で前記印刷画像データと前記読取画像データとを比較して前記読取画像データを検査する検査手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の態様にかかる画像検査システムは、上記画像検査装置と印刷装置とを備える画像検査システムであって、前記印刷装置は、前記印刷データを受信する通信部と、前記印刷データを解析して前記印刷画像データを生成し、前記印刷データ及び前記印刷画像データを前記画像検査装置に出力する制御部と、前記印刷画像データを印刷して前記印刷物を生成する印刷部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別の態様にかかる画像検査方法は、印刷データ取得手段が、複数のオブジェクトそれぞれのオブジェクト情報が記述された印刷データを取得する印刷データ取得ステップと、印刷画像データ取得手段が、前記印刷データから生成され、前記複数のオブジェクトを含む印刷画像データを取得する印刷画像データ取得ステップと、抽出手段が、前記印刷データに含まれる前記各オブジェクト情報を参照して、当該各オブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別し、該当するオブジェクトのオブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出する抽出ステップと、選択手段が、抽出された前記各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定し、前記優先度の順に閾値を超えない範囲に収まるオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する選択ステップと、読取画像データ取得手段が、前記印刷画像データが印刷された印刷物を読み取った前記複数のオブジェクトを含む読取画像データを取得する読取画像データ取得ステップと、検査手段が、選択された前記各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを検査領域に設定し、当該各検査領域で前記印刷画像データと前記読取画像データとを比較して前記読取画像データを検査する検査ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の態様にかかる画像検査プログラムは、複数のオブジェクトそれぞれのオブジェクト情報が記述された印刷データを取得する印刷データ取得ステップと、前記印刷データから生成され、前記複数のオブジェクトを含む印刷画像データを取得する印刷画像データ取得ステップと、前記印刷データに含まれる前記各オブジェクト情報を参照して、当該各オブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別し、該当するオブジェクトのオブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出する抽出ステップと、抽出された前記各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定し、前記優先度の順に閾値を超えない範囲に収まるオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する選択ステップと、前記印刷画像データが印刷された印刷物を読み取った前記複数のオブジェクトを含む読取画像データを取得する読取画像データ取得ステップと、選択された前記各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを検査領域に設定し、当該各検査領域で前記印刷画像データと前記読取画像データとを比較して前記読取画像データを検査する検査ステップと、をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生産性を落とさずに画像検査を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1実施形態の画像検査システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、検査候補領域判定情報例を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態の優先度設定条件例を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態の画像検査処理例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第1実施形態の抽出処理例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第1実施形態の選択処理例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第2実施形態の画像検査システムの構成例を示すブロック図である。
【図8】図8は、第2実施形態の画像検査処理例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第2実施形態の選択処理例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第3実施形態の画像検査システムの構成例を示すブロック図である。
【図11】図11は、第3実施形態の画像検査処理例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、変形例の優先度設定条件例を示す図である。
【図13】図13は、オブジェクトの位置の判別手法の説明図である。
【図14】図14は、イメージオブジェクトを分割した状態を示す図である。
【図15】図15は、各実施形態及び各変形例の画像検査装置及び印刷装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる画像検査装置、画像検査システム、画像検査方法及び画像検査プログラムの実施形態を詳細に説明する。以下の各実施形態の画像検査システムでは、画像データ中の複数の領域のうち優先度の高い領域を検査領域に選択して画像検査を行うことで、検査時間を短縮化し、生産性の低下を防止する。なお、以下の各実施形態では、1ページ分の画像データに対して画像検査を行う場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではなく、複数ページ分の画像データに対する画像検査を行う場合には、以下の各実施形態で説明する処理を繰り返し行えばよい。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態では、画像データ中の複数の領域のうち優先度の高い順にユーザにより指定された数以下の領域を検査領域として画像検査を行う例について説明する。
【0014】
まず、第1実施形態の画像検査システムの構成について説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態の画像検査システム100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、画像検査システム100は、印刷装置110と、画像検査装置120とを備える。印刷装置110及び画像検査装置120は、互いに接続されている。
【0016】
印刷装置110は、LAN(Local Area Network)などの図示せぬネットワークを介して、PC(Personal Computer)などの外部端末10と接続されている。印刷装置110は、通信部111と、記憶部113と、制御部115と、出力画像処理部117と、印刷部119とを、備える。
【0017】
通信部111は、外部端末10などの外部装置と通信するものであり、例えば、NIC(Network Interface Card)などの既存の通信装置により実現できる。通信部111は、外部端末10から印刷対象の画像の印刷内容が記述された印刷データを受信する。印刷データは、例えばPostScript(登録商標)などのページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたデータであり、画像要素である複数のオブジェクトそれぞれのオブジェクト情報が記述されている。なお、オブジェクト情報は、オブジェクトの種類、色、サイズ、及び位置を含む情報である。
【0018】
記憶部113は、印刷装置110で実行される各種プログラムや印刷装置110で行われる各種処理に使用される各種データなどを記憶するものであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの既存の不揮発性の記憶装置により実現できる。
【0019】
制御部115は、印刷装置110の各部を制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するコントローラなどの既存の制御装置により実現できる。制御部115は、通信部111により受信された印刷データを解析し、複数のオブジェクトを含むRGB各色8bitの印刷画像データをメモリ上にビットマップ展開する。制御部115は、メモリ上にビットマップ展開した印刷画像データを随時記憶部113に書き込むとともに、出力画像処理部117へ出力する。また、制御部115は、印刷データ及び印刷画像データを画像検査装置120へ出力する。
【0020】
出力画像処理部117は、制御部115から入力された印刷画像データに各種画像処理を施すものであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの既存の画像処理装置により実現できる。具体的には、出力画像処理部117は、RGBデータをCMYKデータに変換する色補正処理、プロッタの階調特性の補正を行うプリンタγ補正処理、及び誤差拡散やディザ処理を用いてCMYK各色8bitをプロッタの階調数(例えば、2bit)に変換する中間調処理などを行う。
【0021】
印刷部119は、印刷画像データを印刷するものであり、例えば、プロッタやプリンタなどの既存の印刷装置により実現できる。本実施形態の印刷部119は、レーザビーム書き込みプロセスを用いた転写紙印字ユニットであり、2bitの画像データを感光体に潜像として描画し、トナーによる作像・転写処理後、転写紙にプリント画像を形成(印刷)する。
【0022】
画像検査装置120は、操作部130と、表示部140と、記憶部150と、制御部160と、読取部180と、入力画像処理部190とを、備える。
【0023】
操作部130は、ユーザが各種操作の入力を行うものであり、タッチパネルやキースイッチなどの既存の入力装置により実現できる。
【0024】
表示部140は、各種画面を表示するものであり、タッチパネル式ディスプレイや液晶ディスプレイなどの既存の表示装置により実現できる。なお、操作部130及び表示部140は、タッチパネル式ディスプレイなどにより一体的に実現してもよい。
【0025】
記憶部150は、画像検査装置120で実行される各種プログラムや画像検査装置120で行われる各種処理に使用される各種データなどを記憶するものであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの既存の不揮発性の記憶装置により実現できる。記憶部150は、検査候補領域判定情報記憶部151と、優先度設定条件記憶部153とを、含む。なお、これらの記憶部の詳細については後述する。
【0026】
制御部160は、画像検査装置120の各部を制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するコントローラなどの既存の制御装置により実現できる。制御部160は、入力受付部161と、印刷画像データ取得部163と、印刷データ取得部165と、抽出部167と、選択部169と、読取画像データ取得部171と、検査部173と、表示制御部175とを、含む。
【0027】
入力受付部161は、操作部130から、後述の選択部169による選択に用いられる閾値として検査オブジェクト数(検査領域の上限数)の入力を受け付ける。
【0028】
印刷画像データ取得部163は、印刷装置110から印刷画像データを取得する。
【0029】
印刷データ取得部165は、印刷装置110から印刷データを取得する。なお、印刷データ取得部165は、外部端末10から直接印刷データを受信するようにしてもよい。
【0030】
ここで、検査候補領域判定情報記憶部151について説明する。検査候補領域判定情報記憶部151は、印刷データ取得部165により取得された印刷データに含まれる複数のオブジェクト情報の中から検査候補領域に該当するオブジェクトのオブジェクト情報である検査候補オブジェクト情報を抽出するための検査候補領域該当条件をオブジェクトの種類毎に定めた検査候補領域判定情報を記憶する。
【0031】
図2は、検査候補領域判定情報の一例を示す図であり、後述の検査部173が画像検査として画像データの濃度変動を検査する場合の検査候補領域判定情報の一例を示している。図2に示す検査候補領域判定情報では、オブジェクトの種類として、グラフィックオブジェクト(線)、グラフィックオブジェクト(線以外の図形)、イメージオブジェクト、テキストオブジェクトが定められている。グラフィックオブジェクト(線)の検査候補領域該当条件は、線幅が1cm以上に設定されている。グラフィックオブジェクト(線以外の図形)の検査候補領域該当条件は、幅・高さが1cm以上に設定されている。イメージオブジェクトの検査候補領域該当条件は、エッジ画素が所定割合以下、かつ幅・高さが1cm以上に設定されている。テキストオブジェクトの検査候補領域該当条件は、テキスト(文字)サイズが100ポイント以上に設定されている。画像データの濃度変動を検査する場合、ある程度広い面積の領域を検査することが望ましいため、図2に示す例では、ある程度広い面積のオブジェクトが検査候補領域となるように検査候補領域該当条件が設定されている。但し、各オブジェクトの検査候補領域該当条件は、これに限定されるものではない。
【0032】
抽出部167は、印刷データ取得部165により取得された印刷データに含まれる各オブジェクト情報を参照して、当該各オブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別し、該当するオブジェクトのオブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出する。これにより、画像検査の検査候補領域に該当するオブジェクトのオブジェクト情報が検査候補オブジェクト情報として抽出される。
【0033】
具体的には、抽出部167は、印刷データ取得部165により取得された印刷データに含まれる各オブジェクト情報と検査候補領域判定情報記憶部151に記憶されている検査候補領域判定情報とを比較して、当該各オブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別する。なお、オブジェクト情報には、オブジェクトの位置(位置座標)や、グラフィックオブジェクト、イメージオブジェクト、又はテキストオブジェクトのいずれであるかを示すオブジェクトの種類が含まれている。オブジェクト情報には、更に、グラフィックオブジェクトの場合には、図形の種類(円や線など)、サイズ、塗潰しパターンなどが含まれており、イメージオブジェクトの場合には、ビットマップデータやサイズなどが含まれており、テキストオブジェクトの場合には、サイズ(文字のポイント数)や色などが含まれている。抽出部167は、オブジェクト情報に含まれる上述したような情報と、図2に示すような検査候補領域判定情報とを比較することで、当該オブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別する。そして抽出部167は、検査候補領域に該当するオブジェクトのオブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出し、リストに追加していく。
【0034】
例えば、オブジェクト情報のオブジェクトの種類がイメージオブジェクトを示す場合、抽出部167は、当該オブジェクト情報が示すオブジェクトのエッジ画素が所定の割合以下、かつ幅・高さが1cm以上であるか否かを判定する。そして抽出部167は、これらの条件を満たせば、当該オブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出し、リストに追加する。なお、エッジ画素が所定の割合以下であるか否かは、抽出部167がイメージオブジェクトのビットマップデータに対してエッジ検出を行うことで判別できる。エッジ検出には、例えばエッジ抽出フィルタ等を用いる公知の手法が適用できる。
【0035】
ここで、優先度設定条件記憶部153について説明する。優先度設定条件記憶部153は、オブジェクトの種類、色、及びサイズの組み合わせで、抽出部167により抽出された複数の検査候補オブジェクト情報の中から検査領域に該当するオブジェクトの検査候補オブジェクト情報である検査オブジェクト情報を選択するための選択基準となる優先度の高低を定めた優先度設定条件を記憶する。
【0036】
図3は、第1実施形態の優先度設定条件の一例を示す図であり、後述の検査部173が画像検査として画像データの濃度変動を検査する場合の優先度設定条件の一例を示している。図3に示す優先度設定条件では、塗潰し色が黒又はグレーのグラフィックオブジェクトの優先度が最も高く設定され、以下、塗潰し色が黒及びグレー以外のグラフィックオブジェクト、イメージオブジェクト、テキストオブジェクトの順に優先度が低くなるように設定されている。これは、1色で塗潰されているグラフィックオブジェクトは濃度変動が目に付きやすいためであり、特に、黒やグレーはグレーバランスが崩れた場合(グレーが色付いた場合)に違和感が大きいためである。また、テキストオブジェクトはポイント数の大きな文字であっても濃度変動の検査にあまり適さないためである。更に、同一条件のオブジェクトが複数ある場合には、オブジェクトのサイズ(面積又はテキストのポイント数)が大きい順に優先度を高くする。これは、サイズが大きいオブジェクト内で濃度変動が起こる程、ユーザの目に付きやすいためである。なお、同一条件は、グラフィックオブジェクトにおいてはオブジェクトの種類及び塗潰し色が同一の場合であり、イメージオブジェクト及びテキストオブジェクトにおいてはオブジェクトの種類が同一の場合となる。但し、優先度設定条件は、これに限定されるものではなく、例えば、人物の写真を優先するために肌色(詳細には、肌色と呼べる範囲の色)を所定割合以上含むイメージオブジェクトの優先度を最も高く設定するようにしてもよい。また例えば、優先度設定条件を簡易化するためにオブジェクトの種類及びサイズのみで優先度を設定するようにしてもよい。
【0037】
選択部169は、抽出部167により抽出された各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定し、優先度の順に閾値を超えない範囲に収まるオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する。これにより、画像検査の検査領域に該当するオブジェクトの検査候補オブジェクト情報が検査オブジェクト情報として選択される。
【0038】
具体的には、選択部169は、抽出部167により抽出された各検査候補オブジェクト情報(抽出部167によりリストに追加された全ての検査候補オブジェクト情報)と優先度設定条件記憶部153に記憶されている優先度設定条件とを比較して、当該各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定する。例えば、選択部169は、優先度設定条件のオブジェクトの種類及び塗潰し色を参照して、リストに含まれる検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトを優先度の高低に応じたグループに分ける。更に、選択部169は、優先度設定条件のオブジェクトのサイズを参照して、優先度の高いグループから順にオブジェクトの順位付けを行うことで、リストに含まれる全ての検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定する。そして選択部169は、優先度の高い順に入力受付部161により入力が受け付けられた検査オブジェクト数を超えない範囲に収まる最大数のオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する。また選択部169は、選択した検査オブジェクト情報(少なくともオブジェクトの位置及びサイズ)を制御部160のメモリ上に蓄積し、蓄積した検査オブジェクト情報を記憶部150に書き込む。
【0039】
ここで、読取部180及び入力画像処理部190について説明する。読取部180は、原稿などの印刷物から画像データを読み取るものであり、スキャナなどの既存の読取装置により実現できる。具体的には、読取部180は、印刷装置110により印刷画像データが印刷された印刷物を読み取り、複数のオブジェクトを含む読取画像データを生成する。そして読取部180は、生成した読取画像データをアナログデータからデジタルデータに変換して入力画像処理部190へ出力する。
【0040】
入力画像処理部190は、読取部180から入力された読取画像データに各種画像処理を施すものであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの既存の画像処理装置により実現できる。具体的には、入力画像処理部190は、γ補正やMTF補正などを行う。
【0041】
読取画像データ取得部171は、入力画像処理部190から読取画像データを取得して、制御部160のメモリ上に蓄積し、蓄積した読取画像データを随時記憶部150に書き込む。
【0042】
検査部173は、選択部169により選択された各検査オブジェクト情報(制御部160のメモリ又は記憶部150に記憶されている各検査オブジェクト情報)が示すオブジェクトを検査領域に設定する。そして検査部173は、当該各検査領域で、印刷データ取得部165により取得された印刷画像データと読取画像データ取得部171により取得された読取画像データ(制御部160のメモリ又は記憶部150に記憶されている読取画像データ)とを比較して、読取画像データを検査する。ここでは検査部173は、印刷画像データを基準画像データとして、検査画像データである読取画像データと比較することで、読取画像データの濃度変動や画像欠陥などを検査する。なお、検査部173による検査手法については、例えば、特開2006−224537号公報に開示されているような公知技術を用いることができる。
【0043】
表示制御部175は、検査部173の検査結果を表示部140に表示させる。
【0044】
なお、画像検査装置120は、上述した各部の全てを必須の構成とする必要はなく、その一部を省略した構成としてもよい。
【0045】
次に、第1実施形態の画像検査装置の動作について説明する。
【0046】
図4は、第1実施形態の画像検査装置120で行われる画像検査処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0047】
まず、入力受付部161は、操作部130から、検査オブジェクト数の入力を受け付ける(ステップS100)。なお、入力受付部161による検査オブジェクト数の入力受け付け後に、印刷装置110による印刷処理(印刷データの受信〜印刷画像データの印刷)が行われる。
【0048】
続いて、印刷画像データ取得部163は、印刷装置110から印刷画像データを取得する(ステップS102)。
【0049】
続いて、印刷データ取得部165は、印刷装置110から印刷データを取得する(ステップS104)。
【0050】
続いて、抽出部167は、印刷データ取得部165により取得された印刷データに含まれる各オブジェクト情報の中から検査候補オブジェクト情報を抽出する抽出処理を行う(ステップS106)。なお、抽出処理の詳細については後述する。
【0051】
続いて、選択部169は、抽出部167により抽出された各検査候補オブジェクト情報の中から検査オブジェクト情報を選択する選択処理を行う(ステップS108)。なお、選択処理の詳細については後述する。
【0052】
続いて、読取部180は、印刷装置110により印刷画像データが印刷された印刷物を読み取り、読取画像データを生成する(ステップS110)。
【0053】
続いて、入力画像処理部190は、読取部180により生成された読取画像データをγ補正やMTF補正などで補正する(ステップS112)。
【0054】
続いて、読取画像データ取得部171は、入力画像処理部190から読取画像データを取得する(ステップS114)。
【0055】
続いて、検査部173は、選択部169により選択された各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを検査領域に設定し、当該各検査領域で、印刷画像データ取得部163により取得された印刷画像データと読取画像データ取得部171により取得された読取画像データとを比較して、読取画像データを検査する(ステップS116)。
【0056】
続いて、表示制御部175は、検査部173の検査結果を表示部140に表示させる(ステップS118)。
【0057】
図5は、図4のステップS106に示す抽出処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
まず、抽出部167は、印刷データ取得部165により取得された印刷データに含まれる複数のオブジェクト情報の中から未処理のオブジェクト情報を選択する。そして抽出部167は、検査候補領域判定情報記憶部151に記憶されている検査候補領域判定情報を参照して、選択したオブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別する(ステップS130)。
【0059】
選択したオブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当する場合(ステップS130でYes)、抽出部167は、選択したオブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出する(ステップS132)。
【0060】
一方、選択したオブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当しない場合(ステップS130でNo)、抽出部167は、ステップS132の処理を行わない。
【0061】
そして、抽出部167は、印刷データ取得部165により取得された印刷データに含まれる全てのオブジェクト情報を処理するまでステップS130〜ステップS132の処理を繰り返し(ステップS134でNo)、全てのオブジェクト情報を処理すると抽出処理を終了する(ステップS134でYes)。
【0062】
図6は、図4のステップS108に示す選択処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0063】
まず、選択部169は、抽出部167により抽出された検査候補オブジェクト情報(検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクト)数が、入力受付部161により受け付けられた検査オブジェクト数を超えているか確認する(ステップS150)。
【0064】
検査オブジェクト数を超えていない場合(ステップS150でNo)、選択部169は、抽出部167により抽出された全ての検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する(ステップS152)。
【0065】
一方、検査オブジェクト数を超えている場合(ステップS150でYes)、選択部169は、抽出部167により抽出された各検査候補オブジェクト情報と優先度設定条件記憶部153に記憶されている優先度設定条件とを比較して、当該各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定する(ステップS154)。
【0066】
続いて、選択部169は、優先度の高い順に入力受付部161により入力が受け付けられた検査オブジェクト数を超えない範囲に収まる最大数のオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する(ステップS156)。
【0067】
以上のように第1実施形態によれば、画像データ中の複数の領域のうち優先度の高い順にユーザにより指定された数以下の領域を検査領域として画像検査を行うので、検査時間を短縮化し、生産性の低下を防止することができる。つまり、生産性を落とさずに画像検査を行うことができる。特に第1実施形態では、画像データ中の複数の領域のうち優先度の高い領域から順に検査領域にしているので、画像データ中の一部の領域しか検査を行わなくても比較的高い検査精度を保つことができる。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態では、画像データ中の複数の領域のうち優先度の高い順にユーザにより指定された検査時間内に収まる領域を検査領域として画像検査を行う例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図7は、第2実施形態の画像検査システム200の構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態では、画像検査装置220における制御部260の入力受付部261及び選択部269が、第1実施形態と相違する。以下では、これらの各部について説明する。
【0070】
入力受付部261は、操作部130から、後述の選択部269による選択に用いられる閾値として検査許容時間の入力を受け付ける。
【0071】
選択部269は、優先度の高い順にオブジェクトの検査時間を算出し、算出した検査時間の合計検査時間が入力受付部261により入力が受け付けられた検査許容時間を超えない範囲に収まる最大数のオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する。なお、オブジェクトの検査時間とは、検査部173が当該オブジェクト(検査領域)の検査に要する処理時間である。選択部269は、オブジェクトの検査時間を、当該オブジェクトの検査候補オブジェクト情報に含まれるオブジェクトのサイズから算出する。具体的には、オブジェクトの検査時間はオブジェクトのサイズに比例して長くなるため、所定の基準サイズに対する検査時間を予め算出しておき、選択部269は、オブジェクトのサイズが当該基準サイズの何倍であるかを算出することで、オブジェクトの検査時間を算出する。
【0072】
図8は、第2実施形態の画像検査装置220で行われる画像検査処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0073】
まず、入力受付部261は、操作部130から、検査許容時間の入力を受け付ける(ステップS200)。
【0074】
以下、ステップS202〜S218までの処理は、図4に示す画像検査処理のステップS102〜S118までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
図9は、図8のステップS208に示す選択処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
まず、選択部269は、抽出部167により抽出された各検査候補オブジェクト情報と優先度設定条件記憶部153に記憶されている優先度設定条件とを比較して、当該各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定する(ステップS250)。
【0077】
続いて、選択部269は、未処理のオブジェクトの中から優先度の最も高いオブジェクトを選択し、選択したオブジェクトの検査時間を算出する(ステップS252)。
【0078】
続いて、選択部269は、算出した検査時間の合計検査時間(処理済みのオブジェクトの合計検査時間)を算出し、算出した合計検査時間が入力受付部261により入力が受け付けられた検査許容時間を超えたか否か確認する(ステップS254)。
【0079】
検査許容時間を超えていない場合には(ステップS254でNo)、選択部269は、ステップS252で検査時間を算出したオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択し(ステップS256)、ステップS252に戻る。
【0080】
一方、検査許容時間を超えている場合には(ステップS254でYes)、選択部269は、処理を終了する。
【0081】
以上のように第2実施形態によれば、画像データ中の複数の領域のうち優先度の高い順にユーザにより指定された検査時間内に収まる領域を検査領域として画像検査を行うので、第1実施形態同様、検査時間を短縮化し、生産性の低下を防止することができる。また第2実施形態においても、画像データ中の複数の領域のうち優先度の高い領域から順に検査領域にしているので、画像データ中の一部の領域しか検査を行わなくても比較的高い検査精度を保つことができる。
【0082】
(第3実施形態)
第3実施形態では、検査領域をユーザが修正し、修正した修正検査領域で画像検査を行う例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
図10は、第3実施形態の画像検査システム300の構成の一例を示すブロック図である。第3実施形態では、画像検査装置320における制御部360の入力受付部361、検査部373、及び表示制御部375が、第1実施形態と相違する。以下では、これらの各部について説明する。
【0084】
表示制御部375は、抽出部167により抽出された各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクト、選択部169により選択された各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを、それぞれ検査候補領域、検査領域として表示部140に表示させる。なお、表示制御部375は、印刷画像データ取得部163により取得された印刷画像データ上で検査候補領域及び検査領域を表示させる。これにより、ユーザは、検査候補領域及び検査領域を把握でき、検査領域を修正するか否か(例えば検査候補領域を検査領域に修正するか否か)を判断できる。
【0085】
入力受付部361は、操作部130から、複数の検査候補領域の範囲内で検査領域を修正する修正入力を受け付ける。入力受付部361は、例えば、操作部130から検査候補領域を検査領域に修正する修正入力を受け付ける。
【0086】
検査部373は、入力受付部361により修正入力が受け付けられ、修正された修正検査領域で、印刷画像データ取得部163により取得された印刷画像データと読取画像データ取得部171により取得された読取画像データとを比較して、読取画像データを検査する。
【0087】
図11は、第3実施形態の画像検査装置320で行われる画像検査処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0088】
まず、ステップS300〜S308までの処理は、図4に示す画像検査処理のステップS100〜S108までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0089】
続くステップS310では、表示制御部375は、抽出部167により抽出された各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクト、選択部169により選択された各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを、それぞれ検査候補領域、検査領域として表示部140に表示させる(ステップS310)。
【0090】
続いて、入力受付部361は、操作部130から、複数の検査候補領域の範囲内で検査領域を修正する修正入力を受け付ける(ステップS312)。
【0091】
続いて、ステップS314〜S318までの処理は、図4に示す画像検査処理のステップS110〜S114までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
続くステップS320では、検査部373は、入力受付部361により修正入力が受け付けられ、修正された修正検査領域で、印刷画像データ取得部163により取得された印刷画像データと読取画像データ取得部171により取得された読取画像データとを比較して、読取画像データを検査する(ステップS320)。
【0093】
以降の、ステップS322の処理は、図4に示す画像検査処理のステップS118の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0094】
以上のように第3実施形態によれば、ユーザが検査領域を修正できるので、ユーザが注目している領域を検査領域に含むことができ、画像検査の精度を高めることができる。特に第3実施形態によれば、検査候補領域の中から修正する検査領域を選ぶだけで検査領域を修正できるのでユーザ負担を少なくすることができる。
【0095】
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0096】
(変形例1)
上記第1実施形態では、入力受付部161がユーザにより入力される検査オブジェクト数を直接受け付ける例について説明したが、入力受付部161がユーザにより入力される検査モード(高精度/普通/高速)を受け付け、選択部169が検査モードに応じた検査オブジェクト数で検査オブジェクト情報を選択するようにしてもよい。この場合、検査モードと検査オブジェクト数との対応テーブルを記憶部150に記憶しておけばよい。同様に第2実施形態においても、入力受付部261がユーザにより入力される検査許容時間を直接受け付ける例について説明したが、入力受付部261がユーザにより入力される検査モード(高精度/普通/高速)を受け付け、選択部269が検査モードに応じた検査許容時間で検査オブジェクト情報を選択するようにしてもよい。この場合、検査モードと検査許容時間との対応テーブルを記憶部150に記憶しておけばよい。
【0097】
(変形例2)
上記第2実施形態では、入力受付部261がユーザにより入力される検査許容時間を直接受け付ける例について説明したが、制御部260が、画像検査装置220に接続されている印刷装置110から印刷速度情報を取得し、選択部269が、取得した印刷速度情報に応じた検査許容時間で検査オブジェクト情報を選択するようにしてもよい。この場合、印刷速度情報と検査許容時間との対応テーブルを記憶部150に記憶しておけばよい。なお、印刷装置110で1ページ分の画像を印刷するのに要する時間よりも1ページ分の画像の検査時間が長いと、印刷装置110の印刷速度が速くても検査までを含めた画像検査システム全体の生産性は低下してしまう。このため、画像検査システム全体の生産性を落とさないよう、1ページ分の画像の検査許容時間は、1ページ分の画像を印刷するのに要する時間以下にするものとする。なお、第2実施形態のユーザが検査許容時間を直接入力するモードと変形例2の検査許容時間を自動的に決定するモードとを並存させるようにしてもよい。
【0098】
(変形例3)
上記第1実施形態では、優先度設定条件は、オブジェクトの種類、色、及びサイズの組み合わせで優先度の高低を定めたが、更にオブジェクトの位置を加えた組み合わせで優先度の高低を定めてもよい。ここで、オブジェクトの位置とは、位置座標を指し、例えば円であれば中心座標、線であれば始点及び終点座標が該当する。
【0099】
図12は、変形例の優先度設定条件の一例を示す図である。図12に示す優先度設定条件では、グラフィックオブジェクトの位置が中央であると優先度が高く、グラフィックオブジェクトの位置が端部であると優先度が低くなっている。これは、画像の端部に重要な絵柄が配置されることは少ないと考えられ、また、ユーザが画像を見る場合に画像の端部の濃度変動にはあまり敏感ではないためである。
【0100】
この場合、選択部169は、抽出部167により抽出された検査候補オブジェクト情報に含まれるグラフィックオブジェクトの位置座標(円であれば中心座標、線であれば始点及び終点座標)が図13に示す印刷画像データの中央部401に含まれているか端部402に含まれているか判定する。そして、選択部169は、中央部401に含まれていれば、オブジェクトの位置は中央であると判定し、端部402に含まれていればオブジェクトの位置は端部であると判定して、検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトの優先度を設定する。
【0101】
このようにすれば、優先度を詳細に設定することができ、検査精度の向上に繋げることができる。なお、本変形例3では、グラフィックオブジェクトの場合にのみオブジェクトの位置を利用したが、グラフィックオブジェクト以外のオブジェクトであってもオブジェクトの位置を利用して優先度の高低を定めることができる。また、優先度設定条件を簡易化するためにオブジェクトの種類、サイズ及び位置のみで優先度を設定するようにしてもよい。
【0102】
(変形例4)
上記第1実施形態では、オブジェクトがイメージオブジェクトであってもそのまま検査候補領域に該当するか否かを判別したが、抽出部167は、オブジェクトがイメージオブジェクトである場合、オブジェクトを複数に分割し、分割した各オブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別するようにしてもよい。この場合、抽出部167は、イメージオブジェクトを濃度変動検査に適さない領域(小さ過ぎる領域)に分割しないことが必要であり、分割した領域が所定サイズ以上(例えば、幅・高さが1cm以上)となるように分割する。
【0103】
図14は、イメージオブジェクトを4×4で16個のオブジェクトに分割した状態を示す図である。図14に示す例の場合、抽出部167は、分割した各オブジェクト501〜516に対して検査候補領域に該当するか否かを判別し、平均値が所定値以上、かつ、エッジ画素が所定の割合以下の場合に検査候補領域に該当すると判定する。ここで、平均値が所定値以上という条件は、オブジェクト501〜508のように、ほぼ全てが白画素である領域を除外するためのものである。なお、図14に示す例では、抽出部167は、オブジェクト512〜516が検査候補領域に該当すると判別し、これら5つのオブジェクトのオブジェクト情報を独立して抽出してリストに追加する。
【0104】
このようにイメージオブジェクトについては、分割して検査候補領域に該当するか否かを判別することで、サイズの大きいイメージオブジェクトに対しても、優先度の高い領域のみを画像検査することが可能となる。
【0105】
(変形例5)
なお、上述した各実施形態及び各変形例は適宜組み合わせることができる。
【0106】
(ハードウェア構成)
図15は、上記各実施形態及び各変形例の画像検査装置120、220、320、及び印刷装置110のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0107】
図15に示すように、画像検査装置120、220、320、及び印刷装置110は、コントローラ910とエンジン部(Engine)960とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ910は、画像検査装置120、220、320、及び印刷装置110の全体の制御、描画、通信、及び操作表示部920からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、印刷装置110であれば、例えば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、又は4ドラムカラープロッタ等のプリンタエンジンなどであり、画像検査装置120、220、320であれば、例えばスキャナユニットなどである。エンジン部960には、エンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。
【0108】
コントローラ910は、CPU911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM−P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM−C)917と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)916と、ハードディスクドライブ(HDD)918とを有し、ノースブリッジ(NB)913とASIC916との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス915で接続した構成となる。また、MEM−P912は、ROM912aと、RAM912bとをさらに有する。
【0109】
CPU911は、画像検査装置120、220、320、及び印刷装置110の全体制御を行うものであり、NB913、MEM−P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0110】
NB913は、CPU911とMEM−P912、SB914、AGP915とを接続するためのブリッジであり、MEM−P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0111】
MEM−P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0112】
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0113】
ASIC916は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP915、PCIバス、HDD918およびMEM−C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部960との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC916には、PCIバスを介してUSB(Universal Serial Bus)940、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース950が接続される。操作表示部920はASIC916に直接接続されている。
【0114】
MEM−C917は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0115】
AGP915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0116】
なお、画像検査装置120、220、320で実行される画像検査プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0117】
画像検査装置120、220、320で実行される画像検査プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0118】
さらに、画像検査装置120、220、320で実行される画像検査プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、画像検査装置120、220、320で実行される画像検査プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0119】
画像検査装置120、220、320で実行される画像検査プログラムは、上述した各部をコンピュータ上で実現させるためのモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしてはCPU911がROM912aからプログラムをRAM912b上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現されるようになっている。
【符号の説明】
【0120】
10 外部端末
100、200、300 画像検査システム
110 印刷装置
111 通信部
113 記憶部
115 制御部
117 出力画像処理部
119 印刷部
120、220、320 画像検査装置
130 操作部
140 表示部
150 記憶部
151 検査候補領域判定情報記憶部
153 優先度設定条件記憶部
160、260、360 制御部
161、261、361 入力受付部
163 印刷画像データ取得部
165 印刷データ取得部
167 抽出部
169、269 選択部
171 読取画像データ取得部
173、373 検査部
175、375 表示制御部
180 読取部
190 入力画像処理部
910 コントローラ
911 CPU
912 システムメモリ
912a ROM
912b RAM
913 ノースブリッジ
914 サウスブリッジ
915 AGPバス
916 ASIC
917 ローカルメモリ
918 ハードディスクドライブ
920 操作表示部
940 USB
950 IEEE1394インタフェース
960 エンジン部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0121】
【特許文献1】特開2000−172844号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオブジェクトそれぞれのオブジェクト情報が記述された印刷データを取得する印刷データ取得手段と、
前記印刷データから生成され、前記複数のオブジェクトを含む印刷画像データを取得する印刷画像データ取得手段と、
前記印刷データに含まれる前記各オブジェクト情報を参照して、当該各オブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別し、該当するオブジェクトのオブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出する抽出手段と、
抽出された前記各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定し、前記優先度の順に閾値を超えない範囲に収まるオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する選択手段と、
前記印刷画像データが印刷された印刷物を読み取った前記複数のオブジェクトを含む読取画像データを取得する読取画像データ取得手段と、
選択された前記各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを検査領域に設定し、当該各検査領域で前記印刷画像データと前記読取画像データとを比較して前記読取画像データを検査する検査手段と、
を備えることを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記閾値は、検査オブジェクト数であり、
前記検査オブジェクト数の入力を受け付ける入力受付手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記優先度の高い順に前記検査オブジェクト数を超えない範囲に収まる最大数のオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、前記検査オブジェクト情報として選択することを特徴とする請求項2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記閾値は、検査許容時間であり、
前記検査許容時間の入力を受け付ける入力受付手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記閾値は、検査許容時間であり、
前記読取画像データの検査モードの入力を受け付ける入力受付手段を更に備え、
前記選択手段は、前記優先度の順に前記検査モードに応じた前記検査許容時間を超えない範囲に収まるオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、前記検査オブジェクト情報として選択することを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記選択手段は、前記優先度の高い順にオブジェクトの検査時間を算出し、算出した検査時間の合計検査時間が前記検査許容時間を超えない範囲に収まる最大数のオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、前記検査オブジェクト情報として選択することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記オブジェクト情報は、オブジェクトの種類、色、及びサイズを含む情報であり、
オブジェクトの種類、色、及びサイズの組み合わせで前記優先度の高低を定めた優先度設定条件を記憶する優先度設定条件記憶手段を更に備え、
前記選択手段は、抽出された前記各検査候補オブジェクト情報と前記優先度設定条件とを比較して、抽出された前記各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに前記優先度を設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記オブジェクト情報は、更にオブジェクトの位置を含む情報であり、
前記優先度設定条件記憶手段は、更にオブジェクトの位置を加えた組み合わせで前記優先度の高低を定めた優先度設定条件を記憶することを特徴とする請求項7に記載の画像検査装置。
【請求項9】
前記抽出手段は、前記オブジェクト情報が示すオブジェクトがイメージオブジェクトである場合に当該オブジェクトを分割し、前記オブジェクト情報を参照して、分割した各オブジェクトが前記検査候補領域に該当するか否かを判別し、該当するオブジェクトのオブジェクト情報を前記検査候補オブジェクト情報として抽出することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像検査装置。
【請求項10】
オブジェクトの種類毎に検査候補領域該当条件を定めた検査候補領域判定情報を記憶する検査候補領域判定情報記憶手段を更に備え、
前記抽出手段は、前記印刷データに含まれる前記各オブジェクト情報と前記検査候補領域判定情報とを比較して、当該各オブジェクト情報が示すオブジェクトが前記検査候補領域に該当するか否かを判別し、該当するオブジェクトのオブジェクト情報を前記検査候補オブジェクト情報として抽出することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載の画像検査装置。
【請求項11】
前記各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクト、前記各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを、それぞれ前記検査候補領域、前記検査領域として表示する表示手段を更に備え、
前記入力受付手段は、前記複数の検査候補領域の範囲内で前記検査領域を修正する修正入力を更に受け付け、
前記検査手段は、修正された修正検査領域で前記印刷画像データと前記読取画像データとを比較して前記読取画像データを検査することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の画像検査装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1つに記載の画像検査装置と印刷装置とを備える画像検査システムであって、
前記印刷装置は、
前記印刷データを受信する通信部と、
前記印刷データを解析して前記印刷画像データを生成し、前記印刷データ及び前記印刷画像データを前記画像検査装置に出力する制御部と、
前記印刷画像データを印刷して前記印刷物を生成する印刷部と、
を備えることを特徴とする画像検査システム。
【請求項13】
印刷データ取得手段が、複数のオブジェクトそれぞれのオブジェクト情報が記述された印刷データを取得する印刷データ取得ステップと、
印刷画像データ取得手段が、前記印刷データから生成され、前記複数のオブジェクトを含む印刷画像データを取得する印刷画像データ取得ステップと、
抽出手段が、前記印刷データに含まれる前記各オブジェクト情報を参照して、当該各オブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別し、該当するオブジェクトのオブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出する抽出ステップと、
選択手段が、抽出された前記各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定し、前記優先度の順に閾値を超えない範囲に収まるオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する選択ステップと、
読取画像データ取得手段が、前記印刷画像データが印刷された印刷物を読み取った前記複数のオブジェクトを含む読取画像データを取得する読取画像データ取得ステップと、
検査手段が、選択された前記各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを検査領域に設定し、当該各検査領域で前記印刷画像データと前記読取画像データとを比較して前記読取画像データを検査する検査ステップと、
を含むことを特徴とする画像検査方法。
【請求項14】
複数のオブジェクトそれぞれのオブジェクト情報が記述された印刷データを取得する印刷データ取得ステップと、
前記印刷データから生成され、前記複数のオブジェクトを含む印刷画像データを取得する印刷画像データ取得ステップと、
前記印刷データに含まれる前記各オブジェクト情報を参照して、当該各オブジェクト情報が示すオブジェクトが検査候補領域に該当するか否かを判別し、該当するオブジェクトのオブジェクト情報を検査候補オブジェクト情報として抽出する抽出ステップと、
抽出された前記各検査候補オブジェクト情報が示すオブジェクトに優先度を設定し、前記優先度の順に閾値を超えない範囲に収まるオブジェクトの検査候補オブジェクト情報を、検査オブジェクト情報として選択する選択ステップと、
前記印刷画像データが印刷された印刷物を読み取った前記複数のオブジェクトを含む読取画像データを取得する読取画像データ取得ステップと、
選択された前記各検査オブジェクト情報が示すオブジェクトを検査領域に設定し、当該各検査領域で前記印刷画像データと前記読取画像データとを比較して前記読取画像データを検査する検査ステップと、
をコンピュータに実行させるための画像検査プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−3335(P2012−3335A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135358(P2010−135358)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】