説明

画像生成装置、プロジェクターおよび画像生成方法

【課題】 プレゼンテーション用画面に対して手書き入力された入力オブジェクトを適切な位置に配置した画像を生成することが可能な画像生成装置等を提供すること。
【解決手段】 プロジェクター100に含まれる画像生成装置102が、プレゼンテーション用画面に対して手書き入力された入力オブジェクトの内容を示す入力オブジェクトデータ126を記憶する記憶部120と、プレゼンテーション用画面における入力オブジェクトの入力位置よりも上の表示位置を決定する決定部130と、決定部130による決定に応じて、入力オブジェクトを上記表示位置に表示する画像であって、かつ、プレゼンテーション用画面に表示されるプレゼンテーション画像を生成する画像生成部140を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、プロジェクターおよび画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、教室において、ホワイトボードに問題画像が表示された状態で、生徒が電子ペンを用いてホワイトボードに回答を書き込むことが行われている。例えば、特開2011−2650号公報では、PC(Personal Computer)とプロジェクターを用いて、カメラで撮像された、ポインティングデバイスの先端から出射される赤外光の位置に応じた軌跡を含む合成画像を生成して投写することが記載されている。教室等の広い場所においては、後ろの席の人にとっても見やすいように、ホワイトボード等の上側領域に文字等を書き込むことが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−2650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、小学生や車椅子を使用している人にとっては、ホワイトボード等の上側領域に文字等を書き込むことは困難である。また、当該上側領域に文字等を書き込むために指示棒のように細長い電子ペンを使用することも考えられるが、通常の電子ペンと比べて使い勝手がよくない。さらに、プレゼンテーション用画面に対して手書き入力された文字等の入力オブジェクトを手動で移動する手法も手間がかかる。
【0005】
本発明にかかるいくつかの態様は、上記課題を解決することにより、プレゼンテーション用画面に対して手書き入力された入力オブジェクトを適切な位置に配置した画像を生成することが可能な画像生成装置、プロジェクターおよび画像生成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の1つである画像生成装置は、プレゼンテーション用画面に対して手書き入力された入力オブジェクトの内容を示す入力オブジェクトデータを記憶する記憶部と、前記プレゼンテーション用画面における前記入力オブジェクトの入力位置よりも上の表示位置を決定する決定部と、前記決定部による決定に応じて、前記入力オブジェクトを前記表示位置に表示する画像であって、かつ、前記プレゼンテーション用画面に表示されるプレゼンテーション画像を生成する画像生成部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の態様の1つである画像生成方法は、画像生成装置が、プレゼンテーション用画面に対して手書き入力された入力オブジェクトの内容を示す入力オブジェクトデータを記憶し、前記プレゼンテーション用画面における前記入力オブジェクトの入力位置よりも上の表示位置を決定し、前記決定部による決定に応じて、前記入力オブジェクトを前記表示位置に表示する画像であって、かつ、前記プレゼンテーション用画面に表示されるプレゼンテーション画像を生成することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、画像生成装置は、入力オブジェクトを入力位置よりも上の表示位置に表示するプレゼンテーション画像を生成することにより、プレゼンテーション用画面に対して手書き入力された入力オブジェクトを適切な位置に配置した画像を生成することができる。
【0009】
また、前記記憶部は、表示位置が確定済みの既存オブジェクトの表示位置および内容を示す既存オブジェクトデータを記憶し、前記決定部は、前記既存オブジェクトデータで示される前記既存オブジェクトの表示位置に応じて前記入力オブジェクトの表示位置を決定してもよい。これによれば、画像生成装置は、既存オブジェクトの表示位置に応じた適切な位置に入力オブジェクトが表示される画像を生成することができる。
【0010】
また、前記画像生成装置は、前記決定部によって前記表示位置が決定された前記入力オブジェクトに関する前記入力オブジェクトデータを、前記既存オブジェクトデータに更新する更新部を含んでもよい。これによれば、画像生成装置は、入力オブジェクトデータの内容を既存オブジェクトデータに反映することができるため、繰り返し入力オブジェクトが入力される場合であっても、適切な位置に入力オブジェクトが表示される画像を生成することができる。
【0011】
また、前記決定部は、前記既存オブジェクトデータと、前記入力オブジェクトデータとに基づき、前記既存オブジェクトおよび前記入力オブジェクトが前記プレゼンテーション用画面の表示領域に占める割合が閾値以上であるという条件を満たすかどうかを判定し、前記画像生成部は、前記決定部によって前記条件を満たすと判定されると、前記入力オブジェクトを含む画像を新たな前記プレゼンテーション画像として生成してもよい。これによれば、画像生成装置は、既存オブジェクトおよび入力オブジェクトがプレゼンテーション用画面の表示領域に占める割合が多くなる場合であっても、入力オブジェクトを含む画像を新たなプレゼンテーション画像として生成することにより、ユーザーにとって観察しやすい画像を生成することができる。
【0012】
また、前記画像生成装置は、前記入力オブジェクトの表示位置に関する指示を示す指示情報を受け付ける受付部を含み、前記決定部は、前記指示情報が受け付けられた場合に、前記指示に応じて前記入力オブジェクトの表示位置を決定し、前記指示情報が受け付けられなかった場合に、デフォルトの設定に応じて前記入力オブジェクトの表示位置を決定してもよい。これによれば、画像生成装置は、指示またはデフォルトの設定に応じて表示位置を決定することにより、追加されたオブジェクトを適切な位置に配置した画像を生成することができる。
【0013】
また、前記画像生成部は、前記入力オブジェクトの内容に関する内容情報を受け付けるための指示画像を生成し、前記受付部は、前記入力オブジェクトの内容に関する内容情報を受け付け、前記更新部は、前記内容情報に基づき、前記入力オブジェクトデータを更新してもよい。これによれば、画像生成装置は、入力オブジェクトの内容を反映した画像を生成することができる。
【0014】
また、本発明の態様の1つであるプロジェクターは、上記画像生成装置と、前記プレゼンテーション画像を前記プレゼンテーション用画面に投写する投写部と、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、プロジェクターは、指示またはデフォルトの設定に応じて表示位置を決定することにより、追加されたオブジェクトを適切な位置に配置した画像を生成し、投写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施例における投写状況を示す図である。
【図2】第1の実施例におけるプロジェクターの外観図である。
【図3】第1の実施例における入力完了前のプレゼンテーション画像の一例を示す図である。
【図4】第1の実施例における入力完了後のプレゼンテーション画像の一例を示す図である。
【図5】第1の実施例におけるプロジェクターの機能ブロック図である。
【図6】第1の実施例におけるプロジェクターのハードウェアブロック図である。
【図7】第1の実施例における投写手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施例におけるインタラクティブメニュー画像の一例を示す図である。
【図9】第2の実施例における入力完了前のプレゼンテーション画像の一例を示す図である。
【図10】第2の実施例における入力完了後のプレゼンテーション画像の一例を示す図である。
【図11】第3の実施例における入力完了前のプレゼンテーション画像の一例を示す図である。
【図12】第3の実施例における入力完了後のプレゼンテーション画像の一例を示す図である。
【図13】第4の実施例におけるプレゼンテーション画像の遷移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をプロジェクターに適用した実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0018】
(第1の実施例)
図1は、第1の実施例における投写状況を示す図である。プロジェクター100が、金具30によって教室の壁に取り付けられ、壁面にあるスクリーン(プレゼンテーション用画面)10にプレゼンテーション画像20を投写する。小学生である生徒40は、投写されたプレゼンテーション画像20に対し、電子ペン50を用いて文字を書き込む。
【0019】
図2は、第1の実施例におけるプロジェクター100の外観図である。図2のプロジェクター100は、図1の設置状態が上下逆になった状態(底面が天面になった状態)を示す。プロジェクター100は、プレゼンテーション画像20を含む領域を撮像する受付部160、操作部170、投写部190等を含む。
【0020】
図3は、第1の実施例における入力完了前のプレゼンテーション画像200の一例を示す図である。また、図4は、第1の実施例における入力完了後のプレゼンテーション画像201の一例を示す図である。なお、インタラクティブメニュー画像220は、手書き文字等を示す入力オブジェクト60の内容に関する内容情報を受け付けるための指示画像の一種であり、電子ペン50による選択操作によって入力オブジェクト60の線種、色、表示位置等を選択するための画像である。
【0021】
図1に示すように、生徒40は背が低いため、プレゼンテーション画像200の上側領域(例えば、プレゼンテーション画像20の垂直方向の中央よりも上の領域、プレゼンテーション画像20を垂直方向に3等分したときの最も上の領域等)に文字を書き込むことができない。プロジェクター100は、このような場合であっても、生徒40の指示またはデフォルトの設定に応じて、手書き文字を示す入力オブジェクト60を移動させた既存オブジェクト70を、プレゼンテーション画像201の上側領域(例えば、プレゼンテーション画像201の左上)等に表示する機能を有している。
【0022】
次に、このような機能を有するプロジェクター100の機能ブロックについて説明する。図5は、第1の実施例におけるプロジェクター100の機能ブロック図である。プロジェクター100は、操作ボタン等によってユーザーの操作を受け付ける操作部170と、プレゼンテーション画像201等を生成する画像生成装置102と、プレゼンテーション画像201等をスクリーン10に投写する投写部190を含んで構成されている。画像生成装置102は、記憶部120と、入力オブジェクトの表示位置を決定する決定部130と、決定部130による決定に応じて、入力オブジェクトを含むプレゼンテーション画像201等を生成する画像生成部140と、記憶部120内のデータを更新する更新部150と、入力オブジェクトの表示位置に関する指示を示す指示情報等を受け付ける受付部160を含んで構成されている。
【0023】
また、記憶部120は、メニュー画像を生成するためのメニュー画像データ122、表示位置が確定済みのオブジェクトの表示位置および内容を示す既存オブジェクトデータ124、表示位置が未確定のオブジェクトの内容を示す入力オブジェクトデータ126等を記憶している。
【0024】
なお、プロジェクター100は、以下のハードウェアを用いてこれらの各部として機能してもよい。図6は、第1の実施例におけるプロジェクター100のハードウェアブロック図である。例えば、プロジェクター100は、記憶部120はRAM920、フラッシュROM922等、決定部130、更新部150はCPU930等、画像生成部140は画像処理回路940等、受付部160はCMOSセンサー960等、操作部170は操作パネル970等、投写部190は、ランプ駆動回路990、ランプ991、照明光学系992、液晶駆動回路993、液晶ライトバルブ994、投写レンズ995等を用いてもよい。また、これらの各部には電源910から電力が供給されてもよい。
【0025】
次に、本実施例におけるプレゼンテーション画像200、201の投写手順について説明する。図7は、第1の実施例における投写手順の一例を示すフローチャートである。例えば、生徒40は、電子ペン50の右クリックボタンを押すことにより、インタラクティブメニュー画像220の投写指示を行う。画像生成部140は、当該投写指示に応じてインタラクティブメニュー画像220を含むプレゼンテーション画像200、201を生成し、投写部190は、当該プレゼンテーション画像200、201を投写する(ステップS1)。
【0026】
図8は、第1の実施例におけるインタラクティブメニュー画像220の一例を示す図である。プレゼンテーション画像202に含まれるインタラクティブメニュー画像220は、複数のアイコン230−1〜230−22と、閉じるボタン240を含む。各アイコン230には、自由曲線の描画、図形の描画、ページ送り等の機能が割り当てられている。例えば、アイコン230−21には、電子ペン50を用いて入力した入力オブジェクトを左上に移動する機能が割り当てられ、アイコン230−22には、電子ペン50を用いて入力した入力オブジェクトを右上に移動する機能が割り当てられている。
【0027】
生徒40は、例えば、電子ペン50を用いて、自由曲線を描くためのアイコン230を選択し、文字や図形をプレゼンテーション画像200〜202に描画する。より具体的には、例えば、受付部160は、スクリーン10を撮像し、決定部130は、撮像画像に含まれる電子ペン50の先端の赤外光を検出し、プレゼンテーション画像200〜202における当該赤外光の位置を決定し、更新部150は、当該位置に応じて入力オブジェクトデータ126を更新する(ステップS2)。画像生成部140は、メニュー画像データ122、既存オブジェクトデータ124、入力オブジェクトデータ126に基づき、電子ペン50による入力軌跡を元の画像に合成したプレゼンテーション画像200〜202を生成し、投写部190は、当該プレゼンテーション画像200〜202を投写する(ステップS3)。
【0028】
決定部130は、撮像画像を対象として電子ペン50の先端の赤外光を検出しなくなってから一定時間(例えば、5秒、10秒等)が経過したかどうかを判定することにより、あるいは、書き込み終了操作が行われた(例えば、別のアイコン230が選択された等)かどうかを判定することにより、書き込みが終了したかどうかを判定する(ステップS4)。書き込みが終了した場合、決定部130は、アイコン230−21またはアイコン230−22が指示されることによる移動指示があるかどうかを判定する(ステップS5)。移動指示があった場合、決定部130は、当該移動指示に応じて移動方法(例えば、左上に移動、右上に移動等)を決定する(ステップS6)。
【0029】
また、決定部130は、移動指示がないまま一定時間(例えば、5秒、10秒等)が経過したかどうかを判定する(ステップS7)。移動指示がないまま一定時間が経過した場合、決定部130は、デフォルトの移動方法(例えば、左上に移動等)に決定する(ステップS8)。
【0030】
更新部150は、決定部130によって決定された移動方法に応じて、入力オブジェクトデータ126に基づき、既存オブジェクトデータ124を更新する(ステップS9)。例えば、決定部1300は、移動方法が左上である場合、現在のプレゼンテーション画像200〜202に存在する既存オブジェクトに重ならない最も左上の位置を演算し、更新部150は、オブジェクトID、当該左上の位置、当該左上の位置に応じた右下の位置、画素の色、画素が存在する位置等を示す入力オブジェクトに関するデータを既存オブジェクトデータ124に追加し、当該データを入力オブジェクトデータ126から削除する。
【0031】
また、画像生成部140は、更新部150によって更新された既存オブジェクトデータ124に基づき、プレゼンテーション画像200〜202を生成し、投写部190は、当該プレゼンテーション画像200〜202をスクリーン10に投写する(ステップS10)。
【0032】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター100は、入力位置よりも上の表示位置に入力オブジェクトを表示するプレゼンテーション画像201、202を生成し、投写することができる。また、本実施例によれば、プロジェクター100は、ユーザーの指示またはデフォルトの設定に応じて表示位置を決定することにより、電子ペン50によって追加された入力オブジェクト60を適切な位置に配置したプレゼンテーション画像201、202を生成し、投写することができる。これらにより、プロジェクター100は、例えば、小学校等で小学生等が電子ペン50を用いて文字等をプレゼンテーション画像20の下のほうに書き込んだ場合でも、上側領域に当該文字等を表示するプレゼンテーション画像201、202を投写することができ、当該文字等をより見やすく表示することができる。
【0033】
(第2の実施例)
図9は、第2の実施例における入力完了前のプレゼンテーション画像203の一例を示す図である。また、図10は、第2の実施例における入力完了後のプレゼンテーション画像204の一例を示す図である。
【0034】
第1の実施例の入力オブジェクト60は、横書きの文字列であったため、デフォルトの設定に応じて左上に移動されたが、プレゼンテーション画像203に示すように、入力オブジェクト61が縦書きの文字列である場合、プレゼンテーション画像204のように、右上に移動されてもよい。
【0035】
なお、決定部130は、入力オブジェクトデータ126に含まれる座標情報(例えば、入力オブジェクト60、61を囲む矩形の左上座標位置および右下座標位置)に基づいて、縦書きか横書きかを決定してもよいし、入力オブジェクトデータ126に基づいて入力オブジェクト60、61の文字認識処理を実行して縦書きか横書きかを決定してもよい。
【0036】
本実施例によれば、プロジェクター100は、入力オブジェクト61の形状や内容に応じて適切な位置に入力オブジェクト61を表示するプレゼンテーション画像204を生成、投写することができる。
【0037】
(第3の実施例)
図11は、第3の実施例における入力完了前のプレゼンテーション画像205の一例を示す図である。また、図12は、第3の実施例における入力完了後のプレゼンテーション画像206の一例を示す図である。なお、図11、図12における2点鎖線は座標をわかりやすくするために記載したものであり、実際には表示されない。
【0038】
例えば、プレゼンテーション画像205に示すように、演算問題を示す既存オブジェクト72〜74および生徒40による回答内容を示す既存オブジェクト75、76が表示された状態で、生徒40によって既存オブジェクト74に対する回答(入力オブジェクト62)が電子ペン50によって書かれたものとする。
【0039】
このような場合、既存オブジェクトデータ124では、あらかじめ既存オブジェクト72〜74は演算問題を示すオブジェクトとして設定され、既存オブジェクト75、76は、入力オブジェクトデータ126として生成された時点で回答を示すオブジェクトとして設定される。すなわち、図11に示す状態では、既存オブジェクトデータ124は、3つの演算問題を示す既存オブジェクト72〜74と、2つの回答を示す既存オブジェクト75、76を示す。
【0040】
決定部130は、既存オブジェクトデータ124を参照することにより、入力オブジェクト62が3つ目の演算問題に対する回答であると判定することができる。決定部130は、既存オブジェクトデータ124に含まれる既存オブジェクト74(3つ目の演算問題)の座標情報に基づき、入力オブジェクト62を含む矩形の左上座標位置が、既存オブジェクト74の右上座標位置と一致するように、入力オブジェクト62に対応した既存オブジェクト77の座標を決定する。更新部150は、当該決定に応じて既存オブジェクトデータ124に含まれる既存オブジェクト77の座標情報を更新する。なお、決定部130は、他の回答を示す既存オブジェクト76の座標情報も考慮し、既存オブジェクト76と重ならないように、既存オブジェクト77の座標を決定することも可能である。
【0041】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター100は、入力オブジェクトデータ126の内容を既存オブジェクトデータ124に反映することができるため、繰り返し入力オブジェクト62が入力される場合であっても、適切な位置に入力オブジェクト62が表示されるプレゼンテーション画像206を生成し、投写することができる。また、本実施例によれば、プロジェクター100は、既存オブジェクト72〜76の種別を判定することにより、適切な位置に回答を示す既存オブジェクト77が表示されるプレゼンテーション画像206を生成し、投写することができる。
【0042】
(第4の実施例)
決定部130は、既存オブジェクトデータ126と、入力オブジェクトデータ124に基づき、既存オブジェクトおよび入力オブジェクトがプレゼンテーション用画面の表示領域に占める割合が閾値以上であるという条件を満たすかどうかを判定し、画像生成部140は、決定部130によって上記条件を満たすと判定されると、入力オブジェクトを含む画像を新たなプレゼンテーション画像として生成してもよい。
【0043】
図13は、第4の実施例におけるプレゼンテーション画像207〜209の遷移の一例を示す図である。例えば、1〜5の箇条書きに対応した既存オブジェクト78〜82を含むプレゼンテーション画像207が表示された状態で、生徒40によって6番目の入力オブジェクト63が電子ペン50で書かれたものとする。なお、図12〜図14において、1点鎖線は閾値(ここでは表示領域の垂直方向の上側75%)を示し、2点鎖線は矩形を示すが、これらの線は実際には表示されない。
【0044】
プレゼンテーション画像207に示すように、入力オブジェクト63を既存オブジェクト82の下に移動させても閾値以上になってしまう。このような場合、決定部130は、既存オブジェクト78〜82および入力オブジェクト63がプレゼンテーション用画面の表示領域に占める割合が閾値以上であるという条件を満たすと判定する。さらに、画像生成部140は、既存オブジェクト78〜82を示すプレゼンテーション画像208を生成した後、入力オブジェクト63に対応した既存オブジェクト83を含む新たなプレゼンテーション画像209を生成する。なお、このような場合、更新部150は、既存オブジェクト78〜83を示す情報をページ番号と関連付けて既存オブジェクトデータ124に記憶してもよい。
【0045】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター100は、既存オブジェクト78〜82および入力オブジェクト63がプレゼンテーション用画面の表示領域に占める割合が多くなる場合であっても、入力オブジェクト63を含む画像を新たなプレゼンテーション画像209として生成することにより、ユーザーにとって観察しやすい画像を生成することができる。
【0046】
(その他の実施例)
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、変形が可能である。例えば、上述した実施例の構成を組み合わせてもよい。例えば、プロジェクター100は、第2の実施例と第3の実施例の構成を組み合わせ、縦書きの漢字の書き込み問題に対する回答を適切な位置に配置したプレゼンテーション画像を投写することも可能である。
【0047】
また、決定部130は、入力オブジェクトが縦長形状であって、かつ、縦書きの漢字の書き込み問題に対する回答等であれば、既存オブジェクト(例えば、問題等)の下の位置を当該入力オブジェクトの表示位置として決定し、入力オブジェクトが縦長形状であって、かつ、縦書きの箇条書き等であれば、既存オブジェクト(例えば、箇条書き等)の左の位置を当該入力オブジェクトの表示位置として決定してもよい。また、決定部130は、入力オブジェクトが横長形状であって、かつ、横書きの漢字の書き込み問題に対する回答等であれば、既存オブジェクトの右の位置を当該入力オブジェクトの表示位置として決定し、入力オブジェクトが横長形状であって、かつ、横書きの箇条書き等であれば、既存オブジェクトの下の位置を当該入力オブジェクトの表示位置として決定してもよい。これらによれば、プロジェクター100は、入力オブジェクトの形状と既存オブジェクトの属性に応じた適切な位置に入力オブジェクトが表示される画像を投写することができる。
【0048】
また、受付部160は必須の構成ではなく、決定部130は、入力オブジェクトの入力位置よりも上の表示位置(例えば、既存オブジェクトがない場合は最も上の位置、既存オブジェクトがある場合は既存オブジェクトの下の位置等)を決定してもよい。また、上述した実施例では、デフォルトの表示位置は左上であるが、例えば、中央上、右上等であってもよい。また、第4の実施例における閾値は垂直方向における75%に限定されず、使用環境等に応じて任意の数値を適用可能である。例えば、上記閾値は、既存オブジェクトおよび入力オブジェクトの各矩形領域の面積の合計値や、1画像における輝度ヒストグラム等に対して設定されてもよい。
【0049】
また、プロジェクター100の有するコンピューターは、情報記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取って決定部130等として機能してもよい。このような情報記憶媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、ROM、RAM、HDD等を適用できる。また、画像生成装置102を実装可能な装置は、プロジェクター100に限定されず、例えば、テレビ、液晶モニター、PC、携帯情報端末等であってもよい。
【0050】
また、画像生成装置102を実装可能な装置は、プロジェクター100に限定されず、プレゼンテーション画面で手書き入力を受け付ける機能を有する大型ディスプレイや、ホワイトボード等であってもよい。また、上述した実施例では、入力オブジェクトは文字列であるが、手書き入力であるため、記号や図形等であってもよい。プロジェクター100は、入力オブジェクトが文字を形成しないものであっても、上述した矩形等を用いて入力オブジェクトの座標や領域を決定し、移動して表示することが可能である。
【0051】
また、上述した実施例では、電子ペン50の右クリックボタンを押すことにより、インタラクティブメニュー画像220の投写指示を行うものとしたが、電子ペン50の右クリックボタンの押下以外の操作によってインタラクティブメニュー画像220の投写指示を行う構成も可能である。例えば、電子ペン50がホワイトボード等に押し付けられたまま一定の時間が経過した場合に、インタラクティブメニュー画像220の投写指示を行うものとしてもよい。なお、上述した実施例では、プロジェクター100を、金具30を介して壁に固定したが、プロジェクター100を演壇等に据え置くこともできる。したがって、プロジェクター100の操作部170が操作されることにより、インタラクティブメニュー画像220の投写指示を行うようにプロジェクター100を構成してもよい。この場合、電子ペン50の操作に不慣れなユーザーでも、確実にインタラクティブメニュー画像220を投写させることが可能である。
【0052】
また、プロジェクター100は、液晶プロジェクター(透過型、LCOS等の反射型)に限定されず、例えば、デジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクター等であってもよい。また、投写部190は、ランプの代わりに有機EL素子、シリコン発光素子、レーザーダイオード、LED等の固体光源を含む自己発光素子を採用してもよい。また、プロジェクター100の機能を複数の装置(例えば、PCとプロジェクター等)に分散してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 スクリーン(プレゼンテーション用画面)、20、200〜209 プレゼンテーション画像、30 金具、40 生徒、50 電子ペン、60〜63 入力オブジェクト、70〜83 既存オブジェクト、100 プロジェクター、102 画像生成装置、120 記憶部、122 メニュー画像データ、124 既存オブジェクトデータ、126 入力オブジェクトデータ、130 決定部、140 画像生成部、150 更新部、160 受付部、170 操作部、190 投写部、220 インタラクティブメニュー画像(指示画像)、230 アイコン、240 閉じるボタン、910 電源、920 RAM、922 フラッシュROM、930 CPU、940 画像処理回路、960 CMOSセンサー、970 操作パネル、990 ランプ駆動回路、991 ランプ、992 照明光学系、993 液晶駆動回路、994 液晶ライトバルブ、995 投写レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレゼンテーション用画面に対して手書き入力された入力オブジェクトの内容を示す入力オブジェクトデータを記憶する記憶部と、
前記プレゼンテーション用画面における前記入力オブジェクトの入力位置よりも上の表示位置を決定する決定部と、
前記決定部による決定に応じて、前記入力オブジェクトを前記表示位置に表示する画像であって、かつ、前記プレゼンテーション用画面に表示されるプレゼンテーション画像を生成する画像生成部と、
を含む画像生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像生成装置において、
前記記憶部は、表示位置が確定済みの既存オブジェクトの表示位置および内容を示す既存オブジェクトデータを記憶し、
前記決定部は、前記既存オブジェクトデータで示される前記既存オブジェクトの表示位置に応じて前記入力オブジェクトの表示位置を決定する、
画像生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像生成装置において、
前記決定部によって前記表示位置が決定された前記入力オブジェクトに関する前記入力オブジェクトデータを、前記既存オブジェクトデータに更新する更新部を含む画像生成装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の画像生成装置において、
前記決定部は、前記既存オブジェクトデータと、前記入力オブジェクトデータとに基づき、前記既存オブジェクトおよび前記入力オブジェクトが前記プレゼンテーション用画面の表示領域に占める割合が閾値以上であるという条件を満たすかどうかを判定し、
前記画像生成部は、前記決定部によって前記条件を満たすと判定されると、前記入力オブジェクトを含む画像を新たな前記プレゼンテーション画像として生成する、
画像生成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像生成装置において、
前記入力オブジェクトの表示位置に関する指示を示す指示情報を受け付ける受付部を含み、
前記決定部は、前記指示情報が受け付けられた場合に、前記指示に応じて前記入力オブジェクトの表示位置を決定し、前記指示情報が受け付けられなかった場合に、デフォルトの設定に応じて前記入力オブジェクトの表示位置を決定する、
画像生成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像生成装置において、
前記画像生成部は、前記入力オブジェクトの内容に関する内容情報を受け付けるための指示画像を生成し、
前記受付部は、前記入力オブジェクトの内容に関する内容情報を受け付け、
前記更新部は、前記内容情報に基づき、前記入力オブジェクトデータを更新する、
画像生成装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像生成装置と、
前記プレゼンテーション画像を前記プレゼンテーション用画面に投写する投写部と、
を含むプロジェクター。
【請求項8】
画像生成装置が、
プレゼンテーション用画面に対して手書き入力された入力オブジェクトの内容を示す入力オブジェクトデータを記憶し、
前記プレゼンテーション用画面における前記入力オブジェクトの入力位置よりも上の表示位置を決定し、
前記入力オブジェクトを前記表示位置に表示する画像であって、かつ、前記プレゼンテーション用画面に表示されるプレゼンテーション画像を生成する、
画像生成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−173911(P2012−173911A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34280(P2011−34280)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】