説明

画像生成装置及びその制御方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】地図の縮尺の変更に対応して、画像を地図上の適切な位置に配置する方法を提供する。
【解決手段】地図上に配置する画像について、配置位置を、第1の縮尺では予め定められた第1の配置位置に決定する。また、第1の縮尺よりも大きい第2の縮尺では、当該第2の縮尺の地図において第1の配置位置に対応する位置よりも、画像の撮影場所に近い第2の配置位置に配置位置を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上に配置する画像の表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像装置の中には、GPSユニット等の位置検出手段を有し、画像データを撮影した際に当該位置検出手段により取得した位置情報を、撮影場所の位置情報(所謂ジオタグ)として画像データのヘッダ情報等に含めるものがある。このように撮影場所の情報が含められた画像データ(以下、画像データとする)は、当該撮影場所の位置情報を用いて地図上の撮影場所に対応する位置に配置して表示させることができ、ユーザに対して画像データの撮影場所を直感的に示すことができる。
【0003】
しかしながら、地図上に画像データを配置して表示すると、同一の撮影場所で撮影した画像データが複数存在する場合は、当該複数の画像データが重なりあってしまい、見難くなることがある。また、地図上の建造物の名称や形状等のランドマークが、配置された画像データによって遮蔽されてしまい、ユーザは撮影場所の情報を把握できないことがある。このため、画像データが有する撮影場所の情報に従って一度地図上に配置された画像データを、ユーザにより設定された任意の位置に変更可能にする技術がある。例えば特許文献1には、地図上に配置する画像データの位置を変更可能とし、画像データの地図上の配置位置の情報を実際の地図上の位置情報として記憶することにより、複数のユーザ間で地図上の画像データの配置位置を共有する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−66972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1の技術では、画像データの地図上の配置位置の情報は、配置位置が変更された際の地図の縮尺についてのみ共有され、他のユーザが異なる縮尺で閲覧していた場合、配置位置が変更された際の縮尺に変更されてしまう。
【0006】
また、画像データの地図上の配置位置は、地図がスクロール操作されるため上述したように実際の地図上の位置情報として記憶されるが、縮尺が変更された場合に当該実際の地図上の位置情報を用いて画像データを配置すると以下のような問題がある。例えば地図の縮尺が大きく変更された場合、変更前の縮尺において地図上の撮影場所の近辺に配置されていた画像データは、縮尺の変更後には撮影場所から離れた位置に表示されることになる。即ち、地図の縮尺の変更によって、閲覧を目的としている撮影場所において撮影された画像データを、ユーザが見つけられない、あるいは閲覧できないことを引き起こす。
【0007】
これに対して、例えば地図が提供する全ての縮尺のそれぞれについての地図上の配置位置の情報を画像データに含める方法も考えられるが、縮尺によって画像データの配置位置が異なる等、ユーザに混乱を与える可能性がある。また1つの縮尺における配置位置の変更を他の縮尺にも反映させる場合、全ての縮尺に対して配置位置の再計算が必要となる可能性もある。さらに、地図の全ての縮尺について地図上の配置位置の情報を画像データに記憶させることは、画像データの容量を増大させてしまうことになり、現実的ではない。
【0008】
本発明は、地図の縮尺の変更に対応して、画像を地図上の適切な位置に配置する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、以下の構成を備える。
画像を配置した地図を生成する生成手段を備える画像処理装置であって、地図に配置する画像について、当該画像が撮影された撮影場所と、第1の縮尺の地図において当該画像を配置する予め設定された第1の配置位置とを取得する取得手段と、地図の縮尺を変更する変更手段と、変更手段により変更された縮尺の地図における、画像の配置位置を決定する決定手段と、を備え、決定手段は、地図の縮尺が第1の縮尺とは異なる第2の縮尺に変更された場合に、当該第2の縮尺の地図において画像を配置する第2の配置位置を、第2の縮尺が第1の縮尺より大きい場合は、第2の縮尺の地図における撮影場所と第2の配置位置とがなす距離が第2の縮尺の地図における撮影場所と第1の配置位置とがなす距離よりも小さくなるように決定し、生成手段は、第2の縮尺の地図に、当該地図上の第2の配置位置に画像を配置させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような構成により本発明によれば、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、地図の縮尺の変更に対応して、画像を地図上の適切な位置に配置する方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るPC100の機能構成を示したブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る画像ファイルのファイル構造を示した図
【図3】本発明の実施形態に係る画像配置位置変更アプリケーションのインタフェース例を示した図
【図4】本発明の実施形態に係る画像配置位置格納処理のフローチャート
【図5】本発明の実施形態に係る地図閲覧アプリケーションのインタフェース例を示した図
【図6】本発明の実施形態に係る画像配置の概略を説明するための図
【図7】本発明の実施形態に係る画像配置位置補正処理のフローチャート
【図8】本発明の実施形態に係る画像配置位置補正処理の例外処理を説明するための図
【図9】本発明の実施形態に係る地図ファイルのファイル構造を示した図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、画像処理装置の一例としての、画像データが有する撮影場所の位置情報に従って、地図上の対応する位置に当該画像データを配置可能なPCに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、画像データが有する位置情報に従って、地図上の対応する位置に当該画像データを配置することが可能な任意の機器に適用可能である。
【0013】
(PC100の構成)
図1は、本発明の実施形態に係るPC100の機能構成を示すブロック図である。
【0014】
CPU101は、PC100が備える各ブロックの動作を制御するブロックである。CPU101は、例えばROM102に格納されている、後述する画像配置位置格納処理及び画像配置位置補正処理のプログラムをRAM103に展開して実行することにより、PC100が備える各ブロックの動作を制御する。
【0015】
ROM102は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、画像配置位置補正処理のプログラムに加え、例えばPC100が備える各ブロックの動作において必要なパラメータ等を格納する。
【0016】
RAM103は、揮発性メモリであり、画像配置位置格納処理及び画像配置位置補正処理のプログラムの展開領域としてだけでなく、PC100が備える各ブロックの動作で出力されたデータや情報の一時的な格納領域として用いられる。
【0017】
なお、本実施形態ではハードウェアとしてデジタルカメラ100が備える各ブロックにおいて処理が実現されるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限らず、各ブロックの処理は当該各ブロックと同様の処理を行うプログラムで実現されてもよい。
【0018】
記録媒体104は、例えばPC100が備える内蔵メモリや、PC100に着脱可能に接続されるメモリカードやHDD等の記録装置である。記録媒体104は、地図や画像データを管理するためのデータベースとして用いられる。また、後述する画像配置位置補正処理のプログラムは、アプリケーションとして当該記録媒体104に記録されていてもよい。
【0019】
ネットワークI/F105は、有線・無線を問わず、PC100と外部装置を接続するためのインタフェースであり、例えば接続された不図示のデジタルカメラから画像データを受信する。またネットワークI/F105を介すことにより、PC100は、インターネット等のネットワーク上のサーバに接続し、地図データを受信してもよい。
【0020】
操作部106は、例えばキーボードやマウス等のPC100が備える、ユーザからの入力を受け付けるユーザインタフェースであり、ユーザによってなされた操作に対応する制御信号をCPU101に伝送する。
【0021】
表示部107は、例えばPC100に接続された液晶ディスプレイ等の表示装置であり、本実施形態では、少なくとも画像配置位置補正処理により生成された地図を含む画像データが表示される。
【0022】
(画像ファイルのファイル構造)
まず、本実施形態において地図上に配置される画像データを有する画像ファイルについて、図2を参照して以下に説明する。
【0023】
地図上に配置される画像データ203は、図2に示すようなファイル構造で画像ファイルとして記録媒体104に記録されている。画像ファイル200は、メタデータヘッダ201、画像ヘッダ202、及び画像データ203からなり、1つの画像データに対応しているものとする。
【0024】
メタデータヘッダ201は、画像ファイル200に関するメタデータが格納されるヘッダ領域である。本実施形態では、メタデータヘッダ201内の撮影場所位置情報204領域には、当該画像ファイル200が有する画像データ203が撮影された撮影場所の位置情報が含まれる。具体的にはメタデータヘッダ201は、Exif等の規格により定められており、例えば撮影場所位置情報204に加え、撮影日時、焦点距離やズーム倍率等の撮影時のデジタルカメラの設定パラメータ、画像検索用のキーワード、あるいはコメント等が含まれる。
【0025】
また、本実施形態ではユーザにより変更された、地図上の画像データ203の配置位置の情報、及び変更がなされた地図上の縮尺が、配置位置情報205としてメタデータヘッダ201に格納されるものとする。メタデータヘッダ201内に当該配置位置情報205が存在する場合は、画像データ203は撮影場所位置情報204ではなく配置位置情報205を用いて地図上の対応する位置に配置されるものとする。
【0026】
なお、以下の説明では撮影場所位置情報204及び配置位置情報205は、画像データ203を撮影したGPSユニットより得られたデジタルカメラの位置情報、及び地図上の表示市の情報が、経度及び緯度の形で構成されているものとする。
【0027】
画像ヘッダ202は、画像データ203のデコードに必要な情報が格納されたヘッダ領域である。例えば画像データ203がJPEG符号化形式で符号化された画像データである場合、当該領域には画像データ203を縮小することにより生成されたサムネイル画像が格納される。
【0028】
(画像配置位置変更アプリケーションのインタフェース例)
本実施形態では、画像データが有する撮影場所位置情報204に従って、当該画像データを地図上に配置し、ユーザに当該画像データのレイアウト変更を可能にするアプリケーションについて、以下に説明する。
【0029】
図3は、表示部107に表示される画像配置位置変更アプリケーションのGUIを示している。図3においてアプリケーションウィンドウ300内には、地図の表示領域301と配置する画像データの選択領域302とが表示される。
【0030】
選択領域302には、複数の画像が表示され、チェックボックスにチェックが入れられた画像のサムネイル画像が地図の表示領域301の地図上に配置される。チェックボックスにチェックが入れられた画像を配置する地図上の位置は、撮影場所位置情報204あるいは配置位置情報205に従って決定される。
【0031】
なお、緯度φ、経度λに対応する地図上のx座標及びy座標は、国土地理院ホームページ http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/surveycalc/algorithm/bl2xy/bl2xy.htmに示される、「緯度・経度から平面直角座標x,y及び子午線収差角を求める計算式」を用いると、
・x座標

・y座標

ただし、

として得られる。なお、式中の各パラメータは、以下を示す。
λ:座標系の原点の経度
:座標系の原点における縮尺係数(m0=0.9999)
:赤道から座標系の原点の緯度φ0までの子午線弧長
S :赤道から緯度φまでの子午線弧長
N :卯酉線曲率半径
e‘:第二離心率
【0032】
また、上述したように、地図の表示領域301の地図上に配置された撮影場所位置情報204を有する画像は、例えばユーザによるマウスを用いたドラッグ操作により地図上の位置を変更することが可能である。例えば、画像303が地図に含まれる地名を表す文字列を遮蔽して表示されている場合、ユーザは当該画像を、地名が遮蔽されないような304の位置に移動させることができる。このとき、地図の表示領域301における画像の配置位置(平面直角座標x,y)に対応する緯度φ及び経度λの情報は、撮影場所位置情報204として、当該画像の画像ファイルのメタデータヘッダ201に設定されている地図の縮尺とともに記憶される。
【0033】
なお、地図上の平面直角座標x座標及びy座標に対応する緯度φ及び経度λは、国土地理院ホームページ http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/surveycalc/algorithm/xy2bl/xy2bl.htmに示される、「平面直角座標x,yから緯度、経度及び子午線収差角を求める計算式」を用いると、
・緯度φ

・経度λ

ただし、

として得られる。なお、式中の各パラメータは、以下を示す。
λ:座標系の原点の経度
:座標系の原点における縮尺係数(m0=0.9999)
φ:座標系(x,y)の点から基準子午線へ下らせる垂線の足の緯度
x :x座標
y :y座標
:卯酉線曲率半径(引数はφとする)
e‘:第二離心率
【0034】
また、本実施形態では各画像の地図上の配置位置に対応する緯度経度の情報は、画像が含まれる画像ファイルのメタデータヘッダ201に配置位置情報205として格納されるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限らない。例えば各画像の地図上の配置位置に対応する緯度経度の情報は、当該画像に関連付けられてROM102、RAM103、あるいは記録媒体104に格納されてもよい。
【0035】
なお、各画像の地図上の配置位置の情報は地図のスクロール操作を考慮すると、緯度経度として格納されることが好ましいが、異なる縮尺の地図上において一意に当該位置が規定可能な情報であればよい。配置位置情報205は、例えば地図の表示領域301の左上座標や原点に対応する緯度経度の情報、地図の表示領域301上の画像の配置位置の座標、及び地図の縮尺で構成されてもよい。あるいは、地心直交座標(地球の重心を原点に、X軸・Y軸・Z軸から成る座標系)の座標として構成されてもよい。
【0036】
(画像配置位置格納処理)
このような構成をもつ本実施形態のPC100の画像配置位置格納処理について、図4のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。当該フローチャートに対応する処理は、CPU101が、例えばROM102または記録媒体104に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、RAM103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本画像配置位置格納処理は、例えばユーザの操作により上述した画像配置位置変更アプリケーションが起動された際に開始されるものとして説明する。
【0037】
S401で、CPU101は、ユーザにより地図上に配置されているサムネイル画像が移動されたか否かを判断する。具体的にはCPU101は、操作部106より受信したドラッグ操作の入力開始座標が、地図の表示領域301に配置されているサムネイル画像の位置であり、かつ入力終了座標が入力開始座標と異なる場合に、移動されたと判断する。CPU101は、地図上に配置されているサムネイル画像が移動されたと判断した場合は処理をS402に移し、移動されていないと判断した場合は本ステップの処理を繰り返す。
【0038】
S402で、CPU101は、操作部106より受信した、地図上に配置されているサムネイル画像の移動後の座標を、上述した式(3)及び(4)を用いて緯度経度の情報に変換する。
【0039】
S403で、CPU101は、S402で変換されて得られたサムネイル画像上の配置位置に対応する緯度経度の情報と、現在設定されている縮尺の情報とを、撮影場所位置情報204として画像ファイルのメタデータヘッダ201に格納する。そしてCPU101は、再び処理をS401に戻す。
【0040】
このようにすることで、ユーザは撮影場所の位置情報に従って地図上に配置された画像を、任意の位置に移動させることができる。また、移動後の地図上の配置位置の情報を緯度経度の情報として格納して付加することができるため、再び当該画像の配置指示がなされた際に同一の縮尺の地図上の同じ位置に当該画像を配置可能である。
【0041】
本実施形態では、このように画像配置位置変更アプリケーションにおいてユーザにより設定された地図上に表示する画像データ及び当該画像データの配置位置の情報を共有することができるものとして説明する。具体的には、以下に説明する地図閲覧アプリケーションを用いて、ユーザは他のユーザに対して、地図上の撮影場所に関連する位置に画像データが関連付けされた地図を提供することができる。
【0042】
(地図閲覧アプリケーションのインタフェース例)
図5は、表示部107に表示される地図閲覧アプリケーションのGUIを示している。なお、本実施形態では地図上の画像データの位置を編集する画像配置位置変更アプリケーションと、編集された地図を閲覧する地図閲覧アプリケーションとは異なるものとして説明するが、1つのアプリケーションで同様の処理が行われてもよい。即ち、画像配置位置変更アプリケーションは、ネットワーク上の画像生成装置において実行され、当該装置により決定された画像の配置位置の情報を用いて、PC100で地図閲覧アプリケーションを実行する構成であってもよい。
【0043】
図5に示すアプリケーションウィンドウ500内には、地図の表示領域501、地図のスクロールバー502、503、及び縮尺変更バー504が含まれる。地図の表示領域501には、画像配置位置変更アプリケーションで配置するように選択され、配置位置が編集されたサムネイル画像が配置された地図が表示される。
【0044】
サムネイル画像601、602、603、及び604を、当該サムネイル画像を有する画像ファイルのメタデータヘッダ201の撮影場所位置情報204に基づいて配置すると、図6(a)に示されるような場合を考える。サムネイル画像が表示されることにより、ランドマークであるタワー605が遮蔽されているため、ユーザは当該サムネイル画像の配置位置を画像配置位置変更アプリケーションで図6(b)のように変更したとする。
【0045】
このように配置位置が変更されたサムネイル画像601乃至604が配置された地図が地図閲覧アプリケーションにおいてユーザに提示された場合に、ユーザが縮尺変更バー504を操作して地図の拡大を行うと、図6(c)のようになる。これは、サムネイル画像を地図上に表示する際に、画像配置位置変更アプリケーションで変更された配置位置に対応する緯度経度の情報である配置位置情報205を用いて地図上にサムネイル画像を配置させているからである。即ち、縮尺が大きくされる(拡大される)程、撮影場所の位置情報である緯度経度と、変更された配置位置に対応する緯度経度の情報とにより規定される地図上の距離は広がっていくことになる。
【0046】
このような場合、本来であれば撮影場所であるタワー605の周辺に配置されるべきサムネイル画像601が、図6(c)にも示されるようにタワー605ではない観覧車606の近辺に配置されるようなことになる。即ち、撮影場所とサムネイル画像との対応関係を把握することができず、ユーザに対して誤解や混乱を与えてしまう。
【0047】
本実施形態では、このような撮影場所とサムネイル画像との対応関係が、地図の縮尺によって理解しづらくなることを回避するように、例えばサムネイル画像601については図6(d)のような配置位置となるように、以下の画像配置位置補正処理により補正する。
【0048】
(画像配置位置補正処理)
このような構成をもつ本実施形態のPC100の画像配置位置補正処理について、図7のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。当該フローチャートに対応する処理は、CPU101が、例えばROM102または記録媒体104に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、RAM103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本画像配置位置補正処理は、例えばユーザの操作により上述した地図閲覧アプリケーションが起動された際に開始されるものとして説明する。また、以下では説明を簡単にするために、地図上に配置するサムネイル画像が1つ(サムネイル画像601)である場合について説明するが、本発明の実施はこれに限らないことは容易に理解されよう。
【0049】
S701で、CPU101は、ユーザにより地図の縮尺が変更されたか否かを判断する。具体的にはCPU101は、ユーザによってなされた操作入力を検出した操作部106より受信した操作が、縮尺変更バー504の変更操作であるか否かを判断する。CPU101は、地図の縮尺が変更されたと判断した場合は処理をS702に移し、変更されていないと判断した場合は本ステップの処理を繰り返す。
【0050】
S702で、CPU101は、配置するサムネイル画像が含まれる画像ファイル200のメタデータヘッダ201に含まれる撮影場所位置情報204を参照し、当該画像の撮影場所の地図上の位置を算出する。具体的にはCPU101は、撮影場所位置情報204に含まれる撮影場所の緯度経度の情報から、上述した式(1)及び(2)を用いて地図上における撮影場所の座標(x,y)を算出する。
【0051】
S703で、CPU101は、配置するサムネイル画像の撮影場所が、地図の表示領域501に表示されている縮尺変更後の地図に含まれるか否かを判断する。具体的にはCPU101は、S702で算出した地図上における撮影場所のx座標及びy座標が、地図の表示領域501の表示範囲を示すx座標の範囲及びy座標の範囲に含まれるか否かを判断する。CPU101は、配置するサムネイル画像の撮影場所が表示される縮尺変更後の地図に含まれると判断した場合は処理をS704に移し、含まれないと判断した場合は当該サムネイル画像を地図上に配置せずに処理をS701に戻す。
【0052】
S704で、CPU101は、配置するサムネイル画像が含まれる画像ファイル200のメタデータヘッダ201に含まれる配置位置情報205を参照し、当該画像について設定された配置位置の地図上の位置を算出する。具体的にはCPU101は、配置位置情報205に含まれる配置位置の緯度経度の情報から、上述した式(1)及び(2)を用いて地図上における配置位置の座標(x,y)を算出する。
【0053】
上述したように、縮尺変更後の地図では、異なる縮尺において設定された配置位置は、撮影場所との変更前の縮尺の地図における対応関係、即ち地図における撮影場所と配置位置との間の距離が変更される。このため、S705でCPU101は、撮影場所と、異なる縮尺において設定された配置位置との変更前の縮尺の地図における対応関係を保持するような、縮尺変更後の地図における新たな配置位置を算出する。
【0054】
具体的には新たな配置位置(x’,y’)は、
’=n(x−x)+(1−n)(x−x)+x・・・(5)
’=n(y−y)+(1−n)(y−y)+y・・・(6)
ただし、

αは、0<α<1を満たす定数、
あるいは関数

を満たす(0<f<1)
として得られる。なお、式中の各パラメータは、以下を示す。
m :縮尺変更前の縮尺
m’:縮尺変更後の縮尺
:地図の原点の地図の表示領域501におけるx座標
:地図の原点の地図の表示領域501におけるy座標
【0055】
S706で、CPU101は、配置するサムネイル画像の新たな配置位置が、地図の表示領域501に表示されている縮尺変更後の地図に含まれるか否かを判断する。具体的にはCPU101は、S705で算出した地図上における新たな配置位置のx座標及びy座標が、地図の表示領域501の表示範囲を示すx座標の範囲及びy座標の範囲に含まれるか否かを判断する。CPU101は、配置するサムネイル画像の新たな配置位置が表示される縮尺変更後の地図に含まれると判断した場合は処理をS707に移し、含まれないと判断した場合は当該サムネイル画像を地図上に配置せずに処理をS701に戻す。
【0056】
S707で、CPU101は、地図の表示領域501に描画される範囲の地図に対して、サムネイル画像をS705で算出した地図上における新たな配置位置に配置させた画像を不図示のGPUに生成させて操作部106に表示させる。
【0057】
このようにすることで、地図上に配置する画像について、当該画像が撮影された撮影場所との対応関係が不明瞭とならないような配置位置を縮尺に応じて算出することができる。そして算出された配置位置に画像を配置した地図をユーザに提供することにより、上述した課題を解決することができる。
【0058】
なお、上述した画像配置位置補正処理のフローチャートでは、縮尺変更後の地図におけるサムネイル画像の新たな配置位置を、式(5)及び(6)を用いて算出するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限らない。本発明は、第1の縮尺の地図において画像を配置する第1の配置位置が予め設定されている場合に、第1の縮尺よりも大きい第2の縮尺の地図において第1の配置位置に対応する位置よりも、画像の撮影場所に近い第2の配置位置に配置するものであればよい。また上述した画像配置位置補正処理のように、本発明は、第1の縮尺よりも小さい第3の縮尺の地図において第1の配置位置に対応する位置よりも、画像の撮影場所に遠い第3の配置位置に配置するものであってもよい。
【0059】
このとき第2の配置位置は、第2の縮尺の地図における撮影場所と第1の配置位置とを結ぶ直線上にあることが望ましいが、本発明の実施はこれに限らない。即ち、本発明は、縮尺が第1の縮尺とは異なる縮尺に変更された場合に、第1の縮尺の地図における撮影場所とサムネイル画像との対応関係が第2の縮尺の地図上でも認識可能な位置にサムネイル画像を配置すればよい。このため、撮影場所と第1の配置位置とを結ぶ直線上にない位置に第2の配置位置を決定する場合は、ユーザが縮尺の異なる地図においてサムネイル画像の対応関係を認識可能なように第1の配置位置から第2の配置位置に移動する遷移を提示してもよい。
【0060】
また、撮影場所が表示される地図の範囲に含まれない場合にはサムネイル画像を配置しないものとして上述したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、表示される地図の範囲に撮影場所が含まれていなくても、算出された新たな配置位置が地図の範囲に含まれる場合は、サムネイル画像を配置するようにしてもよい。また、地図の範囲に撮影場所が含まれるが算出された新たな配置位置が地図の範囲に含まれない場合は、サムネイル画像を地図の外周あるいは専用の領域に表示する等によって、地図の範囲外にサムネイル画像があることをユーザに通知してもよい。
【0061】
また、地図の縮尺の変更により、撮影場所に存在するランドマークのアイコン画像(ランドマーク画像)をサムネイル画像が遮蔽する場合、地図における当該アイコン画像の表示面積について閾値を設定し、サムネイル画像による遮蔽の可否を設定してもよい。例えば図8(a)のようにタワー605のアイコン画像の表示面積が閾値以下の場合は、サムネイル画像の配置位置がアイコン画像上であっても当該アイコン画像の領域外に配置位置を変更する。これに対し、タワー605のアイコン画像の表示面積が閾値より大きい場合はサムネイル画像601乃至604が配置されてもアイコン画像を認識できると思われるため、図8(b)のようにアイコン画像上にサムネイル画像を配置させるようにしてもよい。なお、ランドマークのアイコン画像に限らず、例えば地名等の文字列画像や地図記号についても判断する面積を設定し、当該面積の大きさによって同様の処理を行ってもよい。
【0062】
なお、地図の縮尺が小さくなった場合、当該縮尺変更後の地図について算出されたサムネイル画像の配置位置が、地図上の陸地ではない位置に配置されるようなことが生じうる。このような場合、ユーザは地図上に配置されているサムネイル画像に対応付けられている撮影場所の特定が困難となり得るため、例えば配置位置を変更せずに予め設定された配置位置に配置させる、あるいはサムネイル画像の配置をやめてもよい。また当該制御は地図について所定の縮尺より小さい縮尺が選択された場合に行ってもよいし、予め配置位置が設定された縮尺よりも小さい縮尺が選択された場合におこなってもよい。
【0063】
また地図上に配置する画像について、第1の縮尺における配置位置が予め設定されている場合、地図を縮小する際に、第1の縮尺から所定の範囲の縮尺については上述のように配置位置を変更し、範囲外の縮尺については変更しなくてもよい。あるいは、範囲外の縮尺については、撮影場所に対応する位置に配置させてもよい。
【0064】
また、地図上の位置について、例えば国名や地形の属性が設定されている場合に、サムネイル画像を配置する位置の属性が、撮影場所の属性と異なると判断した場合は当該サムネイル画像を撮影場所の位置に配置させてもよい。あるいはサムネイル画像を予め設定された配置位置に配置してもよいし、当該サムネイル画像を配置させなくてもよい。
【0065】
また、以下のような種々の変形が適宜なされてもよい。縮尺の変更に応じて地図上に配置する全てのサムネイル画像の配置位置を変更する構成に限らず、配置位置の変更の有無をユーザが個別に選択可能であってもよい。縮尺変更後にサムネイル画像同士が重なる場合は、重ならないように配置位置、アスペクト比、及びサムネイル画像の大きさの少なくともいずれかを制御してもよいし、重なる場合の重なる順番を予めユーザが設定可能な構成であってもよい。
【0066】
なお、上述した実施形態の説明では1つの縮尺についての配置位置を設定し、当該配置位置に基づいて異なる縮尺についての新たな配置位置を算出するものとして説明したが、複数の縮尺について配置位置が設定可能であっても構わない。即ち、画像ファイルの配置位置情報205内に複数の縮尺に対応する配置位置を格納しておき、表示位置が設定されていない縮尺に設定された場合は、最も近い縮尺の配置位置を基準として新たな配置位置を算出してもよい。あるいは、変更後の縮尺の前後の縮尺において設定された配置位置から内挿法あるいは外挿法を用いて算出してもよい。
【0067】
また上述の説明では、地図上に配置する画像の画像ファイル内に、配置位置情報205が格納されるものとしたが、例えば図9に示すように記録媒体104に記録されている地図内に含められる構成であってもよい。図9は、例えば記録媒体104に記録され、画像配置位置変更アプリケーション及び地図閲覧アプリケーションに用いられる地図ファイル900のファイル構造を示している。なお、図9では地図上に配置する画像の配置位置の情報を、緯度経度の形式ではなく、地図上の座標の形式で示したものである。
【0068】
地図ファイル900には、地図データ901、地図上に表示する画像ファイル200に相当する画像情報903乃至905が含まれる。また地図ファイル900には、画像情報903乃至905について配置位置を設定した際の縮尺と地図上の原点の緯度経度情報を含む配置位置設定情報902が含まれる。なお、画像情報のそれぞれは図示したように、画像ファイル同様メタデータヘッダ201、画像ヘッダ202、及び画像データ203を有し、さらに各画像データの、設定された縮尺の地図における座標情報を示す配置位置情報906が含まれる。このように構成することで、他のユーザとのサムネイル画像のレイアウト共有を可能とすることが容易にすることができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置は、地図の縮尺の変更に対応して、画像を地図上の適切な位置に配置する方法を提供することができる。具体的には画像処理装置は、地図上に配置する画像について、配置位置を、第1の縮尺では予め定められた第1の配置位置に決定する。また、第1の縮尺よりも大きい第2の縮尺では、当該第2の縮尺の地図において第1の配置位置に対応する位置よりも、画像の撮影場所に近い第2の配置位置に配置位置を決定する。
【0070】
このようにすることで、地図上に配置する画像の配置位置が設定された縮尺とは異なる縮尺に設定された場合であっても、縮尺を考慮して配置位置を変更するため、配置されている画像と当該画像の撮影場所との対応関係をユーザに容易に把握させることができる。
【0071】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上に画像を配置して表示する表示手段を備える画像処理装置であって、
地図の縮尺を変更する変更手段と、
前記画像を配置する地図上の配置位置を決定する決定手段と、を備え、
前記決定手段は、前記画像の配置位置を、
第1の縮尺では、予め定められた第1の配置位置に決定し、
前記第1の縮尺よりも大きい第2の縮尺では、当該第2の縮尺の地図において前記第1の配置位置に対応する位置よりも、前記画像の撮影場所に近い第2の配置位置に決定する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記第2の縮尺の地図における前記撮影場所と前記第1の配置位置に対応する位置とを結んだ直線上の点を、前記第2の配置位置として決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記第1の縮尺よりも小さい第3の縮尺では、前記画像の配置位置を当該第3の縮尺の地図において前記第1の配置位置に対応する位置よりも、前記画像の撮影場所から遠い第3の配置位置に決定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記第1の縮尺よりも小さい縮尺では、前記画像の配置位置を当該縮尺の地図において前記第1の配置位置に対応する位置に決定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記第1の縮尺よりも小さく、かつ所定の縮尺より小さい縮尺では、前記画像の配置位置を当該縮尺の地図において前記第1の配置位置に対応する位置に決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記第3の縮尺の地図において、前記第3の配置位置に設定されている属性と前記撮影場所に設定されている属性とが異なる場合は、前記画像の配置位置を前記第1の配置位置に決定することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記撮影場所が表示領域に含まれない場合に、前記画像を地図上に配置しないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記表示手段は、前記決定手段により決定された前記画像の配置位置が表示領域に含まれない場合に、前記画像を地図上に配置しないことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
表示領域に、前記撮影場所は含まれるが前記決定手段により決定された前記画像の配置位置が含まれない場合に、前記表示領域に表示されない画像が存在することを通知する通知手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記決定手段は、表示領域において、前記撮影場所に存在するランドマーク画像、地名を含む文字列画像、または地図記号の表示面積が閾値以下である場合は、前記ランドマーク画像、前記文字列画像、または前記地図記号が遮蔽されないように、前記画像の配置位置を決定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置において地図上に配置される画像を生成する画像生成装置であって、
画像に、当該画像の撮影場所、当該画像を配置する地図の縮尺、及び当該画像を配置する配置位置の情報を付加する付加手段を備える
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項12】
地図上に画像を配置して表示する表示手段を備える画像処理装置の制御方法であって、
変更手段が、地図の縮尺を変更する変更工程と、
決定手段が、前記画像を配置する地図上の配置位置を決定する決定工程と、を備え、
前記決定工程において前記決定手段は、前記画像の配置位置を、
第1の縮尺では、予め定められた第1の配置位置に決定し、
前記第1の縮尺よりも大きい第2の縮尺では、当該第2の縮尺の地図において前記第1の配置位置に対応する位置よりも、前記画像の撮影場所に近い第2の配置位置に決定する
ことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置において地図上に配置される画像を生成する画像生成装置の制御方法であって、
付加手段が、画像に、当該画像の撮影場所、当該画像を配置する地図の縮尺、及び当該画像を配置する配置位置の情報を付加する付加工程を備える
ことを特徴とする画像生成装置の制御方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−238172(P2012−238172A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106621(P2011−106621)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】