説明

画像符号化方法、画像復号方法、画像符号化装置及び画像復号装置

【課題】画像全体の符号化効率を向上させる。
【解決手段】符号化対象画像を、当該画像の各画素の画素値に応じて、少なくとも第一の画像と、第二の画像とに分離する第1手順と、分離された第一の画像の符号化コストを計算する第2手順と、分離された第二の画像の符号化コストを計算する第3手順と、第1手順、第2手順及び第3手順を、第1手順における分離方法を変更して繰り返し、分離方法毎に計算された第一の画像の符号化コスト及び第二の画像の符号化コストに基づき、使用すべき分離方法を決定する第4手順と、使用すべき分離方法に基づいて分離された第一の画像を符号化する第5手順と、使用すべき分離方法に基づいて分離された第二の画像を符号化する第6手順と、符号化された第一の画像と、符号化された第二の画像と、使用すべき分離方法の情報とに基づいて、符号化ストリームを生成する第7手順とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像符号化方法、画像復号方法に関し、特に、医療用画像診断装置、画像記録装置、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等の画像撮影装置に用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の画像診断装置において、CTやMRI等の技術が利用されている。CTはX線等の放射線を用いて、MRIは核磁気共鳴現象を用いて、人体等の断層を撮影する技術である。撮影された画像は、DICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)と呼ばれる規格方式に従ってデジタルデータ化して記録される。特に医療用の画像の場合、画像のオリジナルデータを保存する必要があるため、可逆なロスレス圧縮方式であるJPEG-LS規格(ISO-14495-1 / ITU-T T.87)等の圧縮方式によって圧縮される。なお、このような画像はダイナミックレンジが広いため、16bit程度の広いビット幅で記録されることが多い。
【0003】
このように広いビット幅で記録される画像をロスレス圧縮する場合、ノイズの影響が非常に大きい。一般にJPEG-LS等の圧縮方式では、隣接する近傍画素の画素値を用いて注目画素の画素値を予測することによって、圧縮率を高めている。そのため、圧縮対象の画像が多くのノイズを含む場合、圧縮率が低下してしまう問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、画像を複数のビットプレーン集合に分離(分割)し、分離されたそれぞれのビットプレーン集合を別々に符号化する方法が開示されている(特許文献1、2参照)。特許文献1、2に開示された方法では、指定された固定値の切断レベル、又は上位ビット側の符号化条件のみによって決定される切断レベルに基づいて、画像を上位ビット側のビットプレーン集合と下位ビット側のビットプレーン集合とに分離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−322050号公報
【特許文献2】特開2000−244922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に開示された符号化方法では、分離された上位ビット側のビットプレーン集合と下位ビット側のビットプレーン集合とを別々に符号化しても、好ましい分離方法が画像によって異なるため、画像によっては画像全体の符号化効率が低下してしまう問題があった。また、効率よく符号化するための分離方法について検討されていなかった。
【0007】
本発明は、上述した課題を考慮したものであって、画像全体の符号化効率を向上させる画像符号化方法、画像復号方法、画像符号化装置及び画像復号装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0009】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、符号化対象画像を符号化する画像符号化方法であって、符号化対象画像を、当該符号化対象画像の各画素の画素値に応じて、少なくとも第一の画像と、第二の画像とに分離する第1手順と、分離された前記第一の画像の符号化コストを計算する第2手順と、分離された前記第二の画像の符号化コストを計算する第3手順と、前記第1手順、前記第2手順及び前記3手順を、前記第1手順における分離方法を変更して繰り返し、分離方法毎に計算された前記第一の画像の符号化コスト及び前記第二の画像の符号化コストに基づき、使用すべき前記分離方法を決定する第4手順と、前記使用すべき分離方法に基づき分離された前記第一の画像を符号化する第5手順と、前記使用すべき分離方法に基づき分離された前記第二の画像を符号化する第6手順と、符号化された前記第一の画像と、符号化された前記第二の画像と、前記使用すべき分離方法の情報とに基づき、符号化ストリームを生成する第7手順と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施の形態によれば、画像全体の符号化効率を向上させることができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態の画像符号化装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態の画像復号装置の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一の実施形態の画像符号化方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第一の実施形態の画像復号方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第二の実施形態の画像符号化装置の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第二の実施形態の画像符号化方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第三の実施形態の画像符号化装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態の画像符号化装置100の一例を示すブロック図である。画像符号化装置100は、画素値分離部101、画像符号化コスト計算部102、ノイズ符号化コスト計算部103、最適値調整部104、画像符号化部105、ノイズ符号化部106、ストリーム結合部107を備える。
【0015】
以下では、符号化対象画像がCTやMRI等のモノクロ静止画像であって、このモノクロ静止画像を可逆ロスレス符号化する場合を例に説明するが、この場合に限らない。入力される画像がカラー画像である場合には、例えばR、G、Bの各プレーンに対して同様に処理すればよい。また、入力される画像が動画像である場合には、動画像の各フレームに対して同様に処理すればよい。
【0016】
画素値分離部101は、入力された画像を、複数のビットプレーン集合に分離する。すなわち、入力された画像の各画素値を、ビット境界で複数の値に分離することによって、画像の形式で保持される複数のビットプレーン集合を生成する。なお、この画素値分離部101は、入力された画像の各画素値を、特定の画素値を閾値として分離することによって、複数の画像を生成してもよい。
【0017】
この画素値分離部101は、最初は、予め設定された分離点(どのビットをビット境界とするか)の情報に基づいて、上位ビット側のビットプレーン集合からなる画像と、下位ビット側のビットプレーン集合からなるノイズ情報とに分離する。二回目以降は、後述する最適値調整部104によって設定された調整用の分離点に基づいて、入力された画像を二つのビットプレーン集合に分離する。最後は、後述する最適値調整部104によって設定された最適な分離点(使用すべき分離点)に基づいて、入力された画像を二つのビットプレーン集合に分離する。
【0018】
なお、分離点は、画像単位、ブロック単位、画素単位、これらの複数まとまった単位で切り替えてもよい。また、分離点の情報は、予め一定のルールによって決められてもよいし、別途ヘッダ情報として画素値分離部101に伝送されてもよい。
【0019】
この画素値分離部101は、分離された上位ビット側の画像を、画像符号化コスト計算部102に送り、分離された下位ビット側のノイズ情報を、ノイズ符号化コスト計算部103に送る。
【0020】
画像符号化コスト計算部102は、画素値分離部101から送られた画像の符号化コストを計算する。符号化コストとは、画像の符号化効率を示す指標であって、実際に画像を符号化した場合の符号量や、符号量の予測量である。この符号化コストの値が小さいほど、画像の符号化効率が高いことを示す。画像符号化コスト計算部102は、実際に画像を符号化した場合の符号量を求めてもよい。また、実際に画像を符号化しない場合であっても、予測誤差(入力画像と予測画像との誤差)等の値に基づいて、おおよその符号量を推定してもよい。例えばJPEG-LSのような画素単位の予測手法を用いて画像を符号化する場合、各画素において発生する予測誤差(入力画素値と予測画素値との誤差)の絶対値の和を計算し、計算された予測誤差の絶対値の和に基づいて符号量を推定してもよい。
【0021】
ノイズ符号化コスト計算部103は、画素値分離部101から送られたノイズ情報の符号化コストを計算する。このノイズ符号化コスト計算部103は、実際にノイズ情報を符号化した場合の符号量を求めてもよい。また、各ノイズ値の出現確率等に基づいて、おおよその符号量を推定してもよい。
【0022】
最適値調整部104は、画像符号化コスト計算部102によって計算された上位ビット側の画像の符号化コストと、ノイズ符号化コスト計算部103によって計算された下位ビット側のノイズ情報の符号化コストとに基づいて、画素値分離部101が使用すべき最適な分離点(最適値)を設定する。
【0023】
具体的には、最適値調整部104は、画素値分離部101が用いた分離点を変化させた分離点(調整用の分離点)の情報を、画素値分離部101に送る。画素値分離部101、画像符号化コスト計算部102及びノイズ符号化コスト計算部103は、この調整用の分離点の情報に基づいて順次動作し、当該調整用の分離点を用いた場合の符号化コストを計算する。以上の処理を一定回数繰り返す、又は符号化コストの最適化が完了するまで繰り返す。そして、最適値調整部104は、画像符号化コスト計算部102によって計算された符号化コストと、ノイズ符号化コスト計算部103によって計算された符号化コストとの和が最も小さくなるような分離点を、最適な分離点として設定する。設定された最適な分離点の情報は、画素値分離部101に送られる。
【0024】
例えば、上位ビット側の画像をJPEG-LS方式を用いて符号化し、下位ビット側のノイズ情報をLZHや7-zip等のLZ77方式をベースとした方式を用いて符号化する場合について説明する。入力された画像のダイナミックレンジが12bitである場合、入力された画像の各画素の全bitをJPEG-LSを用いて符号化する場合の符号化コストよりも、上位8bitの画像をJPEG-LS方式によって符号化し、下位4bitのノイズ情報をLZ77方式によって符号化する場合の符号化コストの合計値の方が小さい場合がある。そこで、最適値調整部104は、上位8bitと下位4bitとに分離するのか、上位9bitと下位3bitとに分離するのか等、入力された画像に応じて分離点を調整する。最適値調整部104は、調整用の分離点の情報をビットストリームに記録等することにより、画素値分離部101に別途伝送する。なお、入力された画像のダイナミックレンジを調整する場合、その調整に係る情報も伝送する。
【0025】
画像符号化部105は、画素値分離部101が最適な分離点に基づいて分離した上位ビット側の画像を、JPEG-LS、lossless JPEG、JPEG2000等のロスレス符号化方式、又はJPEG、JPEG2000、MPEG、H.264/AVC等のロッシー符号化方式を用いて符号化する。
【0026】
なお、この画像符号化部105は、画像1枚単位で符号化してもよいし、複数の画像を用いて画像間予測を実行して符号化してもよい。また、分離された下位ビットの分だけ上位ビット側の画像を右シフトしてから符号化してもよいし、右シフトせずにそのまま符号化してもよい。さらには、入力された画像のダイナミックレンジを調整するために、全ての画素の画素値を一定値増減してもよい。この場合、画像符号化部105は、調整に係る増減値は別途伝送する。この画像符号化部105は、生成された符号化ストリームを、ストリーム結合部107に出力する。
【0027】
ノイズ符号化部106は、画素値分離部101が最適な分離点に基づいて分離した下位ビット側のノイズ情報を、LZH、ZIP、7-ZIP等のLZ77方式をベースとした、一般に辞書法と呼ばれる符号化方式を用いて符号化する。このような符号化方式を用いるのは、下位ビット側のノイズ情報は一般にランダム状のノイズであって、JPEG-LS方式のような符号化方式よりも、LZH方式のような符号化方式の方が効率的に圧縮できる場合が多いためである。ただし、下位ビット側のノイズ情報は、周囲の情報と相関のある情報を含む場合もある。そのため、ノイズ符号化部106は、画像符号化部105と同様にJPEG-LS方式を用いてもよい。
【0028】
なお、このノイズ符号化部106は、1画素当たりのノイズ情報が8bitより小さい場合、ビットパックを用いて符号化する。すなわち、1画素のノイズ情報を1byte(=8bit)に挿入するのではなく、複数の画素のノイズ情報を1byteに挿入する。例えば、1画素当たりのノイズ情報が4bitの場合、2画素分のノイズ情報を1byteに挿入する。一方、1画素当たりのノイズ情報が3bitの場合、2画素分のノイズ情報を1byteに挿入し、2bitを空きビットとする、又は、3画素分のノイズ情報を1byteに順番に挿入し、3番目の画素のノイズ情報の最後の1bitを別の1byteに挿入する。このノイズ符号化部106は、生成された符号化ストリームを、ストリーム結合部107に出力する。
【0029】
ストリーム結合部107は、画像符号化部105によって生成された画像の符号化ストリームと、ノイズ符号化部106によって生成されたノイズ情報の符号化ストリームとを結合し、一つの符号化ストリームとして出力する。このストリーム結合部107は、出力される符号化ストリームのヘッダに、最適な分離点の情報を多重化する。
【0030】
以上に示す構成により、画像符号化装置100では、入力された画像を最適に画像情報とノイズ情報とに分離することによって、効率良くロスレスに圧縮することができる。また、入力された画像毎に、画像の分離方法を可変にすることができる。
【0031】
なお、一連の処理は画像単位で実行されてもよいし、複数フレームの画像をまとめた単位で実行されてもよい。すなわち、最適値調整部104は、全てのフレームの画像の各々に対して最適な分離点を設定してもよいし、複数フレームの画像に対して一つの共通の最適な分離点を設定してもよい。特に、複数フレームの画像をまとめた単位で一連の処理を実行する場合、所定のフレームで設定された最適な分離点を次のフレームに適用してもよい。これにより、フレーム間の変化が小さい場合、フレーム毎に最適な分離点を計算する手間を省くことができ、フレーム毎に最適な分離点を伝送する必要がなくなる。
【0032】
また、上記の説明では、最適値調整部104は、繰り返し符号化コストを計算することによって最適な分離点を設定したが、この場合に限らない。例えば、予め複数の分離点の候補を用意し、各候補に基づく符号化コストを並列に計算することによって、最適な分離点を設定してもよい。この場合、予め複数の分離点の候補を用意する必要があるが、並列処理であるので、高速に処理することができる。
【0033】
図2は、本発明の第一の実施形態の画像復号装置200の一例を示すブロック図である。画像復号装置200は、データ分離部201、ヘッダ解析部202、画像復号部203、ノイズ復号部204、画像合成部205を備える。
【0034】
データ分離部201は、入力された符号化ストリームを、ヘッダ、上位ビット側の画像の符号化ストリーム、下位ビット側のノイズ情報の符号化ストリームに分離する。また、分離されたヘッダ、画像の符号化ストリーム、ノイズ情報の符号化ストリームを、それぞれヘッダ解析部202、画像復号部203、ノイズ復号部204に送る。
【0035】
ヘッダ解析部202は、データ分離部201から送られたヘッダを解析することによって、前述の最適な分離点の情報を取得する。最適な分離点の情報は、上位ビット側の画像と下位ビット側のノイズ情報とを合成し、原画像を復元するために用いられる。このヘッダ解析部202は、分離点の情報を、画像復号部203、ノイズ復号部204及び画像合成部205に送る。
【0036】
画像復号部203は、データ分離部201から送られた画像の符号化ストリームを復号する。画像の復号は、定められた方式によって行われる。例えば、符号化ストリームがJPEG-LS方式によって符号化されていた場合、JPEG-LS方式によって復号する。また、符号化される前にビットシフトやダイナミックレンジが調整されている場合、この調整を元に戻す。この画像復号部203は、図1の画像符号化部105が用いた符号化方式に対応する復号方式を用いる。
【0037】
ノイズ復号部204は、データ分離部201から送られたノイズ情報の符号化ストリームを復号する。ノイズ情報の復号は、定められた方式によって行われる。例えば、符号化ストリームがLZH方式によって符号化されていた場合、LZH方式によって復号する。また、ビットパックを用いて符号化されていた場合、画素単位のノイズ情報に復元する。このノイズ復号部204は、図1のノイズ符号化部106が用いた符号化方式に対応する復号方式を用いる。
【0038】
画像合成部205は、画像復号部203によって復号された画像と、ノイズ復号部204によって復号されたノイズ情報とを、ヘッダ解析部202から送られた最適な分離点の情報を用いて合成することによって、原画像を復元する。
【0039】
以上に示す構成により、画像復号装置200では、図1の画像符号化装置100が出力した符号化ストリームに基づいて、原画像を復元することができる。
【0040】
なお、上記の説明では、原画像を上位ビット側の画像と下位ビット側のノイズ情報とに分離した場合を例に説明したが、原画像を一般的な第一の画像と第二の画像とに分離した場合、又は原画像をロッシー符号化画像とロスレス符号化画像とに分離した場合も同様である。
【0041】
図3は、本発明の第一の実施形態の画像符号化方法を示すフローチャートである。なお、以下では、入力された原画像を、第一の画像(上位ビット側の画像)と第二の画像(下位ビット側のノイズ情報)とに分離する場合を例に説明する。
【0042】
まずステップ501において、画素値分離部101は、原画像を入力する(501)。
【0043】
次にステップ502において、画素値分離部101は、ステップ501で入力された原画像を、予め設定された分離点に応じて、第一の画像と第二の画像とに分離する(502)。
【0044】
次にステップ503において、画像符号化コスト計算部102は、第一の画像の符号化コストを計算する(503)。ここでは、例えば、第一の画像の各画素において発生する予測誤差(入力画素値と周辺画素から予測される予測画素値との誤差)の絶対値の和を計算し、計算された予測誤差の絶対値の和に基づいて、符号量を推定してもよい。なお、実際に第一の画像を符号化した場合の符号量を求めてもよい。特に予測値を用いることによって、処理を高速化することができる。この場合の符号化方式は、JPEG-LS方式であるとするが、ロスレス方式、ロッシー方式のいずれでもよい。
【0045】
次にステップ504において、ノイズ符号化コスト計算部103は、第二の画像の符号化コストを計算する(504)。ここでは、例えば、ビットパックしたシンボルの出現確率に基づいて、符号量を推定してもよい。なお、実際に第二の画像を符号化した場合の符号量を求めてもよい。特に予測値を用いることによって、処理を高速化することができる。この場合の符号化方式は、LZH方式であるとするが、画像の符号化方式、辞書法のような一般の符号化方式のいずれでもよい。
【0046】
次にステップ505において、最適値調整部104は、ステップ503で計算された第一の画像の符号化コストと、ステップ504で計算された第二の画像の符号化コストとに基づいて、最適な分離点が取得できたか否かを判定する(505)。具体的には、第一の画像の符号化コストと、第二の画像の符号化コストとの和が、最小値になるような分離点を取得できたか否かを判定する。
【0047】
最適な分離点が取得できていない場合(505でNO)、最適値調整部104は、ステップ502で用いられた分離点を変化させた分離点(調整用の分離点)の情報を、画素値分離部101に送る。その後、ステップ502に戻って、画素値分離部101は、最適値調整部104によって設定された調整用の分離点に応じて、画像を分離する。一方、最適な分離点が取得できた場合(505でYES)、ステップ506に進む。
【0048】
ステップ506に進んだ場合、画像符号化部105は、第一の画像を符号化する(506)。ここでは、ステップ505で取得された最適な分離点に基づいて分離された第一の画像を、JPEG-LS、lossless JPEG、JPEG2000等のロスレス符号化方式を用いて符号化し、第一の画像の符号化ストリームを生成する。
【0049】
次にステップ507において、ノイズ符号化部106は、第二の画像を符号化する(507)。ここでは、ステップ505で取得された最適な分離点に基づいて分離された第二の画像を、LZH、ZIP、7-zip等のLZ77方式をベースとした、一般に辞書法と呼ばれる符号化方式を用いて符号化し、第二の画像の符号化ストリームを生成する。
【0050】
次にステップ508において、ストリーム結合部107は、第一の画像の符号化ストリームと、第二の画像の符号化ストリームとを結合し、一つの符号化ストリームを出力する(508)。ここでは、出力される符号化ストリームのヘッダに、最適な分離点の情報を多重化する。
【0051】
以上に示す処理により、画像符号化装置100では、入力された原画像を最適に第一の画像と第二の画像とに分離することによって、効率良くロスレスに圧縮することができる。また、入力された原画像毎に、画像の分離方法を可変にすることができる。
【0052】
なお、上記の説明では、最適値調整部104が、繰り返し符号化コストを計算することによって最適な分離点を設定したが、この場合に限らない。例えば、予め複数の分離点の候補を用意し、各候補に基づく符号化コストを並列に計算することによって、最適な分離点を設定してもよい。この場合、予め複数の分離点の候補を用意する必要があるが、並列処理であるので、高速に処理することができる。
【0053】
図4は、本発明の第一の実施形態の画像復号方法を示すフローチャートである。
【0054】
まずステップ601において、データ分離部201は、復号対象の符号化ストリームを入力する(601)。
【0055】
次にステップ602において、データ分離部201は、ステップ601で入力された符号化ストリームを、ヘッダ、第一の画像の符号化ストリーム及び第二の画像の符号化ストリームに分離する(602)。
【0056】
次にステップ603において、ヘッダ解析部202は、ステップ602で分離されたヘッダを解析することによって、前述の最適な分離点の情報を取得する。最適な分離点の情報は、第一の画像と第二の画像とを合成し、原画像を復元するために用いられる。また、必要な場合には、第一の画像をビットシフトや、第二の画像のビットパックの解除のために用いられる。なお、符号化される前にダイナミックレンジが調整されている場合、ヘッダ解析部202は、ヘッダに格納されている情報を用いて、この調整を元に戻す。
【0057】
次にステップ604において、画像復号部203は、ステップ602で分離された第一の画像の符号化ストリームを、この第一の画像が符号化された際に用いられた符号化方式に対応する復号方式によって復号する(604)。なお、符号化される前にダイナミックレンジが調整されている場合、この調整を元に戻す。
【0058】
次にステップ605において、ノイズ復号部204は、ステップ602で分離された第二の画像の符号化ストリームを、この第二の画像が符号化された際に用いられた符号化方式に対応する復号方式によって復号する(605)。なお、符号化される際にビットパックが設定されている場合、ビットパックを解除した後に画像を復号する。
【0059】
次にステップ606において、画像合成部205は、ステップ604で復号された第一の画像と、ステップ605で復号された第二の画像とを合成して出力する(605)。ここでは、例えばある分離点において第一の画像と第二の画像とに分離されていて、且つ、第一の画像の画素値が右シフトされている画像である場合、復号された第一の画像の画素値を左シフトしたものと、復号された第二の画像との和をとることによって、第一の画像と第二の画像とを合成する。
【0060】
以上に示す処理により、画像復号装置200では、図1の画像符号化装置100が出力した符号化ストリームに基づいて、原画像を復元することができる。
【0061】
(第二の実施形態)
図5は、本発明の第二の実施形態の画像符号化装置の一例を示すブロック図である。画像符号化装置300は、画素値分離・修正部301、ロッシー符号化部302、ロッシー復号部303、ロッシー符号化コスト計算部304、ロスレス符号化部305、ロスレス符号化コスト計算部306、最適値調整部307、ストリーム結合部308を備える。
【0062】
画素値分離・修正部301は、入力された画像を、複数の画像に分離する。すなわち、まず、所定の分離方法により、入力された画像を、上位ビット側のビットプレーン集合からなる第一の画像と、下位ビット側のビットプレーン集合からなる第二の画像とに分離する。そして、分離された第一の画像を、ロッシー符号化部302に送る。なお、以下の説明では、分離方法とは、分離点(どのビットをビット境界とするか)の情報に基づいて画像を分離する方法であるとして説明する。
【0063】
また、入力された画像と、後述する最適値調整部307から送られる第一の画像の復号画像との差分を取ることによって、第二の画像を修正(生成)する。そして、修正された第二の画像を、ロスレス符号化部305に送る。
【0064】
このように、第二の画像を修正することにより、最終的に合成される第一の画像の復号画像と第二の画像の復号画像との和が、入力された画像と一致するようになる。
【0065】
また、この画素値分離・修正部301は、最初は、予め設定された分離点の情報に基づいて、入力された画像を二つの画像に分離する。二回目以降は、後述する最適値調整部307によって設定された調整用の分離点に基づいて、入力された画像を二つの画像に分離する。最後は、後述する最適値調整部307によって設定された最適な分離点(使用すべき分離点)に基づいて、入力された画像を二つの画像に分離する。
【0066】
なお、分離点は、画像単位、ブロック単位、画素単位、これらの複数まとまった単位で切り替えてもよい。
【0067】
ロッシー符号化部302は、第一の画像を、JPEG、JPEG2000、MPEG、H.264/AVC等のロッシー符号化方式を用いて符号化する。なお、このロッシー符号化部302は、画像1枚単位で符号化してもよいし、複数の画像を用いて画像間予測を実行して符号化してもよい。また、分離された第二の画像の分だけ一定の値を増減してから符号化してもよいし、画素値分離・修正部301に入力された画像を、第一の画像として符号化してもよい。このロッシー符号化部302は、生成された第一の画像の符号化ストリームを、ロッシー復号部303及びロッシー符号化コスト計算部304に出力する。
【0068】
ロッシー符号化コスト計算部304は、第一の画像の符号化コストを計算する。このロッシー符号化コスト計算部304は、計算された第一の画像の符号化コストを、最適値調整部307に送る。また、第一の画像の符号化ストリームを、ストリーム結合部308に送る。
【0069】
ロッシー復号部303は、ロッシー符号化部302によって符号化された第一の画像の符号化ストリームを復号する。ただし、第一の画像は一旦ロッシー符号化されている。そのため、ここで復号して得られる第一の画像と、ロッシー符号化される前の第一の画像とは、完全には一致しない。そこで、このロッシー復号部303は、復号された第一の画像を、最適値調整部307に送る。これにより、第二の画像の修正や、最適な分離点の設定が可能になる。
【0070】
ロスレス符号化部305は、第二の画像を、JPEG-LS方式や、LZH、ZIP、7-zip等のLZ77方式をベースとした、一般に辞書法と呼ばれる符号化方式を用いて符号化する。このロスレス符号化部305は、生成された第二の画像の符号化ストリームを、ロスレス符号化コスト計算部306に出力する。
【0071】
ロスレス符号化コスト計算部306は、第二の画像の符号化コストを計算する。このロスレス符号化コスト計算部306は、計算された符号化コストを最適値調整部307に送る。また、第二の画像の符号化ストリームを、ストリーム結合部308に送る。
【0072】
最適値調整部307は、ロッシー符号化コスト計算部304によって計算された第一の画像の符号化コストと、ロスレス符号化コスト計算部306によって計算された第二の画像の符号化コストとに基づいて、画素値分離・修正部301が使用すべき最適な分離点(最適値)を設定する。
【0073】
具体的には、最適値調整部307は、画素値分離・修正部301が用いた分離点を変化させた分離点(調整用の分離点)の情報を、画素値分離・修正部301に送る。画素値分離・修正部301、ロッシー符号化部302、ロッシー復号部303、ロッシー符号化コスト計算部304、ロスレス符号化部305、ロスレス符号化コスト計算部306は、この調整用の分離点の情報に基づいて順次動作し、当該調整用の分離点を用いた場合の符号化コストを計算する。以上の処理を一定回数繰り返す、又は符号化コストの最適化が完了するまで繰り返す。そして、最適値調整部307は、ロッシー符号化コスト計算部304によって計算された符号化コストと、ロスレス符号化コスト計算部306によって計算された符号化コストとの和が最も小さくなるような分離点を、最適な分離点として設定する。設定された最適な分離点の情報は、画素値分離・修正部301に送られる。
【0074】
ストリーム結合部308は、ロッシー符号化部302から受け取った第一の画像の符号化ストリームと、ロスレス符号化部305から受け取った第二の画像の符号化ストリームとを結合し、一つの符号化ストリームとして出力する。このストリーム結合部308は、出力される符号化ストリームのヘッダに、最適な分離点の情報を多重化する。
【0075】
以上に示す構成により、画像符号化装置300では、入力された画像を最適に第一の画像と第二の画像とに分離し、第二の画像を修正することによって、効率良くロスレスに圧縮することができる。また、入力された画像毎に、画像の分離方法を可変にすることができる。
【0076】
図6は、本発明の第二の実施形態の画像符号化方法を示すフローチャートである。なお、以下では、入力された原画像を、第一の画像と第二の画像とに分離し、第二の画像を修正し、第一の画像をロッシー符号化し、第二の画像をロスレス符号化する場合を例に説明する。ただし、第一の画像及び第二の画像ともにロスレス符号化してもよい。
【0077】
まずステップ701において、画素値分離・修正部301は、原画像を入力する(701)。
【0078】
次にステップ702において、画素値分離・修正部301は、ステップ701で入力された原画像を、予め設定された分離点に応じて、第一の画像と第二の画像とに分離する(702)。
【0079】
次にステップ703において、ロッシー符号化部302は、第一の画像を符号化する(703)。ここでは、ステップ702で分離された第一の画像を、JPEG、JPEG2000、MPEG、H.264/AVC等のロッシー符号化方式を用いて符号化し、第一の画像の符号化ストリームを生成する。なお、ロッシー符号化部302は、第一の画像の符号化コストを計算するために符号量を計測しておく。
【0080】
次にステップ704において、ロッシー復号部303は、第一の画像を復号する(704)。ここでは、ステップ703で符号化された第一の画像の符号化ストリームを、ステップ703の符号化方式に対応する復号方式によって復号する。なお、復号された第一の画像と符号量とは、後述するステップ705における符号化コスト計算に用いられる。
【0081】
次にステップ705において、ロッシー符号化コスト計算部304は、第一の画像の符号化コストを計算する(705)。ここでは、ステップ703で計測された符号量と、復号された第一の画像及び符号化される前の第一の画像の誤差とに基づいて、第一の画像の符号化コストを計算する。
【0082】
次にステップ706において、ロスレス符号化部305は、第二の画像を符号化する(706)。ここでは、ステップ702で分離された後に修正された第二の画像を、JPEG-LS、lossless JPEG、JPEG2000方式や、LZH、ZIP、7-zip等のLZ77方式をベースとした、一般に辞書法と呼ばれる符号化方式を用いて符号化する。なお、ロスレス符号化部305は、第二の画像の符号化コストを計算するために符号量を計測しておく。
【0083】
次にステップ707において、ロスレス符号化コスト計算部306は、第二の画像の符号化コストを計算する(707)。ここでは、ステップ706で計測された符号量に基づいて、第二の画像の符号化コストを計算する。
【0084】
次にステップ708において、最適値調整部307は、ステップ705で計算された第一の画像の符号化コストと、ステップ707で計算された第二の画像の符号化コストとに基づいて、最適な分離点が取得できたか否かを判定する(708)。具体的には、最終的に合成される第一の画像の復号画像と第二の画像の復号画像との和が原画像と一致するという条件下で、第一の画像の符号化コストと、第二の画像の符号化コストとの和が、最小値になるような分離点を取得できたか否かを判定する。
【0085】
最適な分離点が取得できていない場合(708でNO)、最適値調整部307は、ステップ702で用いられた分離点を変化させた分離点(調整用の分離点)の情報を、画素値分離・修正部301に送る。その後、ステップ702に戻って、画素値分離・修正部301は、最適値調整部307によって設定された調整用の分離点に応じて、原画像を分離する。一方、最適な分離点が取得できた場合(708でYES)、ステップ709に進む。
【0086】
次にステップ709において、ストリーム結合部308は、第一の画像の符号化ストリームと、第二の画像の符号化ストリームとを結合し、一つの符号化ストリームを出力する(709)。ここでは、出力される符号化ストリームのヘッダに、最適な分離点の情報を多重化する。
【0087】
以上に示す処理により、画像符号化装置300では、入力された原画像を最適に第一の画像と第二の画像に分離し、第二の画像を修正することによって、効率良くロスレスに圧縮することができる。また、入力された原画像毎に、画像の分離方法を可変にすることができる。
【0088】
(第三の実施形態)
図7は、本発明の第三の実施形態の画像符号化装置の一例を示すブロック図である。画像符号化装置400は、画素値分離部401と、第一画像符号化コスト計算部402と、第二画像符号化コスト計算部403と、第三画像符号化コスト計算部404と、最適値調整部405と、第一画像符号化部406と、第二画像符号化部407と、第三画像符号化部408と、ストリーム結合部409を備える。
【0089】
画素値分離部401は、入力された画像を、三つ以上の画像(ここでは第一の画像と第二の画像と第三の画像)に分離する。例えば、入力された画像の各画素値を、ビット境界で三つ以上の値に分離することによって、画像の形式で保持される三つ以上のビットプレーン集合を生成する。また例えば、入力された画像の各画素値を、2つ以上の特定の画素値を閾値として分離することによって、三つ以上の画像を生成してもよい。
【0090】
この画素値分離部401は、最初は、予め設定された分離点の情報に基づいて、低周波成分を含む第一の画像と、高周波成分(ノイズを除く)を含む第二の画像と、ノイズを含む第三の画像とに分離する。二回目以降は、後述する最適値調整部405によって設定された調整用の分離点の情報に基づいて、入力された画像を三つの画像に分離する。最後は、後述する最適値調整部405によって設定された最適な分離点の情報に基づいて、入力された画像を三つの画像に分離する。なお、分離点は、画像単位、ブロック単位、画素単位で切り替えてもよい。
【0091】
この画素値分離部401は、分離された第一の画像を、第一画像符号化コスト計算部402に送る。同様に、分離された第二の画像、第三の画像を、それぞれ第二画像符号化コスト計算部403、第三画像符号化コスト計算部404に送る。
【0092】
第一画像符号化コスト計算部402は、画素値分離部401から送られた第一の画像の符号化コストを計算する。この第一画像符号化コスト計算部402は、図1の画像符号化コスト計算部102と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0093】
第二画像符号化コスト計算部403は、画素値分離部401から送られた第二の画像の符号化コストを計算する。この第二画像符号化コスト計算部403は、図1のノイズ符号化コスト計算部103と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0094】
第三画像符号化コスト計算部404は、画素値分離部401から送られた第三の画像の符号化コストを計算する。この第三画像符号化コスト計算部404は、図1のノイズ符号化コスト計算部103と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0095】
最適値調整部405は、第一画像符号化コスト計算部402、第二画像符号化コスト計算部403、第三画像符号化コスト計算部404のそれぞれによって計算された、第一の画像の符号化コスト、第二の画像の符号化コスト、第三の画像の符号化コストに基づいて、画素値分離部401が使用すべき最適な分離点(最適値)を設定する。
【0096】
具体的には、最適値調整部405は、画素値分離部401が用いた分離点を変化させた分離点(調整用の分離点)の情報を、画素値分離部401に送る。画素値分離部401、第一画像符号化コスト計算部402、第二画像符号化コスト計算部403及び第三画像符号化コスト計算部404は、この調整用の分離点の情報に基づいて順次動作し、当該調整用の分離点を用いた場合の符号化コストを計算する。以上の処理を一定回数繰り返す、又は符号化コストの最適化が完了するまで繰り返す。そして、最適値調整部405は、第一の画像の符号化コストと、第二の画像の符号化コストと、第三の画像の符号化コストとの和が最も小さくなるような分離点を、最適な分離点として設定する。設定された最適な分離点の情報は、画素値分離部401に送られる。
【0097】
第一画像符号化部406は、画素値分離部401が最適な分離点に基づいて分離した第一の画像を、JPEG-LS、lossless JPEG、JPEG2000等のロスレス符号化方式又はJPEG、JPEG2000、MPEG、H.264/AVC等のロッシー符号化方式を用いて符号化する。
【0098】
第二画像符号化部407は、画素値分離部401が最適な分離点に基づいて分離した第二の画像を、LZH、ZIP、7-zip等のLZ77方式をベースとした、一般に辞書法と呼ばれる符号化方式を用いて符号化する。
【0099】
第三画像符号化部408は、画素値分離部401が最適な分離点に基づいて分離した第三の画像を、LZH、ZIP、7-zip等のLZ77方式をベースとした、一般に辞書法と呼ばれる符号化方式を用いて符号化する。
【0100】
ストリーム結合部409は、第一画像符号化部406によって生成された第一の画像の符号化ストリームと、第二画像符号化部407によって生成された第二の画像の符号化ストリームと、第三画像符号化部408によって生成された第三の画像の符号化ストリームとを結合し、一つの符号化ストリームとして出力する。このストリーム結合部409は、出力される符号化ストリームのヘッダに、最適な分離点の情報を多重化する。
【0101】
以上に示す構成により、画像符号化装置400では、入力された画像を最適に第一の画像と第二の画像と第三の画像とに分離することによって、効率良くロスレスに圧縮することができる。また、入力された画像毎に、画像の分離方法を可変にすることができる。
【0102】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上記各実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記各実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0103】
また、本発明の画像符号化方法及び画像復号方法に関する技術を、画像記録装置、画像伝送装置に適用することにより、大容量の画像記録、帯域幅の小さい画像伝送が可能な医療用画像診断装置、CT、MRI等の撮影装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0104】
100、300、400 画像符号化装置
101、401 画素値分離部
102 画像符号化コスト計算部
103 ノイズ符号化コスト計算部
104、307、405 最適値調整部
105 画像符号化部
106 ノイズ符号化部
107、308、409 ストリーム結合部
200 画像復号装置
201 データ分離部
202 ヘッダ解析部
203 画像復号部
204 ノイズ復号部
205 画像合成部
301 画素値分離・修正部
302 ロッシー符号化部
303 ロッシー復号部
304 ロッシー符号化コスト計算部
305 ロスレス符号化部
306 ロスレス符号化コスト計算部
402 第一画像符号化コスト計算部
403 第二画像符号化コスト計算部
404 第三画像符号化コスト計算部
406 第一画像符号化部
407 第二画像符号化部
408 第三画像符号化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化対象画像を符号化する画像符号化方法であって、
前記符号化対象画像を、当該符号化対象画像の各画素の画素値に応じて、少なくとも第一の画像と、第二の画像とに分離する第1手順と、
分離された前記第一の画像の符号化コストを計算する第2手順と、
分離された前記第二の画像の符号化コストを計算する第3手順と、
前記第1手順、前記第2手順及び前記3手順を、前記第1手順における分離方法を変更して繰り返し、分離方法毎に計算された前記第一の画像の符号化コスト及び前記第二の画像の符号化コストに基づき、使用すべき前記分離方法を決定する第4手順と、
前記使用すべき分離方法に基づき分離された前記第一の画像を符号化する第5手順と、
前記使用すべき分離方法に基づき分離された前記第二の画像を符号化する第6手順と、
符号化された前記第一の画像と、符号化された前記第二の画像と、前記使用すべき分離方法の情報とに基づき、符号化ストリームを生成する第7手順と、
を含むことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項2】
前記第5手順では、画素値予測手法を用いたロスレス符号化方式によって、前記第一の画像を符号化し、
前記第6手順では、辞書法を用いたロスレス符号化方式によって、前記第二の画像を符号化することを特徴とする請求項1に記載の画像符号化方法。
【請求項3】
前記第4手順では、計算された前記第一の画像の符号化コストと、前記第二の画像の符号化コストとの和が最小となる分離方法を、前記使用すべき分離方法として決定することを特徴とする請求項1に記載の画像符号化方法。
【請求項4】
符号化対象画像を符号化する画像符号化方法であって、
前記符号化対象画像を、当該符号化対象画像の各画素の画素値に応じて、第一の画像と、第二の画像とに分離する第1手順と、
分離された前記第一の画像を、ロッシー符号化方式によって符号化した場合の当該第一の画像の符号化コストを計算する第2手順と、
分離された前記第一の画像を、前記ロッシー符号化方式に対応する復号方式によって復号する第3手順と、
前記符号化対象画像と、復号された前記第一の画像との差分に基づき、修正された前記第二の画像を生成する第4手順と、
修正された前記第二の画像を、ロスレス符号化方式によって符号化した場合の当該第二の画像の符号化コストを計算する第5手順と、
前記第1手順、前記第2手順、前記第3手順、前記第4手順及び前記第5手順を、前記第1手順における分離方法を変更して繰り返し、分離方法毎に計算された前記第一の画像の符号化コスト及び前記第二の画像の符号化コストに基づき、使用すべき前記分離方法を決定する第6手順と、
前記使用すべき分離方法に基づいて分離された前記第一の画像を、前記ロッシー符号化方式によって符号化する第7手順と、
前記符号化対象画像と、前記第7手順において符号化される第一の画像との差分に基づき生成される第二の画像を、前記ロスレス符号化方式によって符号化する第8手順と、
符号化された前記第一の画像と、符号化された前記第二の画像と、前記使用すべき分離方法の情報とに基づき、符号化ストリームを生成する第9手順と、
を含むことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項5】
前記第6手順では、計算された前記第一の画像の符号化コストと、前記第二の画像の符号化コストとの和が最小となる分離方法を、前記使用すべき分離方法として決定することを特徴とする請求項4に記載の画像符号化方法。
【請求項6】
符号化ストリームを復号する画像復号方法であって、
前記符号化ストリームは、所定の画像を、当該画像の各画素の画素値に応じて、少なくとも第一の画像と第二の画像とに分離した場合の、前記第一の画像の符号化ストリームと、前記第二の画像の符号化ストリームと、当該分離において用いられた分離方法の情報を含むヘッダとを含み、
前記方法は、
前記符号化ストリームを、前記第一の画像の符号化ストリームと、前記第二の画像の符号化ストリームと、前記ヘッダとに分離する手順と、
分離された前記ヘッダに基づき、前記分離方法の情報を取得する手順と、
分離された前記第一の画像の符号化データを復号する手順と、
分離された前記第二の画像の符号化データを復号する手順と、
復号された前記第一の画像と、復号された前記第二の画像とを、取得された前記分離方法の情報に基づき合成する手順と、
を含むことを特徴とする画像復号方法。
【請求項7】
符号化対象画像を符号化する画像符号化装置であって、
前記符号化対象画像を、当該符号化対象画像の各画素の画素値に応じて、少なくとも第一の画像と、第二の画像と、に分離する画素値分離部と、
分離された前記第一の画像の符号化コストを計算する第一の符号化コスト計算部と、
分離された前記第二の画像の符号化コストを計算する第二の符号化コスト計算部と、
前記画素値分離部、前記第一の符号化コスト計算部及び前記第二の符号化コスト計算部の処理を、前記画素値分離部が用いる分離方法を変更して繰り返し、分離方法毎に計算された前記第一の画像の符号化コスト及び前記第二の画像の符号化コストに基づき、使用すべき分離方法を決定する最適値調整部と、
前記使用すべき分離方法に基づき分離された前記第一の画像を、符号化する第一の画像符号化部と、
前記使用すべき分離方法に基づき分離された前記第二の画像を、符号化する第二の画像符号化部と、
符号化された前記第一の画像と、符号化された前記第二の画像と、前記使用すべき分離方法の情報とに基づき、符号化データを生成するストリーム結合部と、
を備えたことを特徴とする画像符号化装置。
【請求項8】
前記第一の画像符号化部は、画素値予測手法を用いたロスレス符号化方式によって、前記第一の画像を符号化し、
前記第二の画像符号化部は、辞書法を用いたロスレス符号化方式によって、前記第二の画像を符号化することを特徴とする請求項7に記載の画像符号化装置。
【請求項9】
前記最適値調整部は、前記第一の画像の符号化コストと、前記第二の画像の符号化コストとの和が最小となる分離方法を、前記使用すべき分離方法として決定することを特徴とする請求項7に記載の画像符号化装置。
【請求項10】
符号化対象画像を符号化する画像符号化装置であって、
前記符号化対象画像を、当該符号化対象画像の各画素の画素値に応じて、第一の画像と、第二の画像とに分離する画素値分離部と、
分離された前記第一の画像を、ロッシー符号化方式によって符号化した場合の当該第一の画像の符号化コストを計算するロッシー符号化コスト計算部と、
分離された前記第一の画像を、前記ロッシー符号化方式に対応する復号方式によって復号するロッシー復号部と、
前記符号化対象画像と、復号された前記第一の画像との差分に基づき、修正された前記第二の画像を生成する画素値修正部と、
修正された前記第二の画像を、ロスレス符号化方式によって符号化した場合の当該第二の画像の符号化コストを計算するロスレス符号化コスト計算部と、
前記画素値分離部、前記ロッシー符号化コスト計算部、前記ロッシー復号部、前記画素値修正部及び前記ロスレス符号化コスト計算部の処理を、前記画素値分離部が用いる分離方法を変更して繰り返し、分離方法毎に計算された前記第一の画像の符号化コスト及び前記第二の画像の符号化コストに基づき、使用すべき分離方法を決定する最適値調整部と、
前記使用すべき分離方法に基づいて分離された前記第一の画像を、前記ロッシー符号化方式によって符号化するロッシー符号化部と、
前記符号化対象画像と、前記ロッシー符号化部において符号化される第一の画像との差分に基づき生成される第二の画像を、前記ロスレス符号化方式によって符号化するロスレス符号化部と、
符号化された前記第一の画像と、符号化された前記第二の画像と、前記使用すべき分離方法の情報とに基づき、符号化ストリームを生成するストリーム結合部と、
を備えたことを特徴とする画像符号化装置。
【請求項11】
前記最適値調整部は、前記第一の画像の符号化コストと、前記第二の画像の符号化コストとの和が最小となる分離方法を、前記使用すべき分離方法として決定することを特徴とする請求項10に記載の画像符号化装置。
【請求項12】
符号化ストリームを復号する画像復号装置であって、
前記符号化ストリームは、所定の画像を、当該画像の各画素の画素値に応じて、少なくとも第一の画像と第二の画像とに分離した場合の、前記第一の画像の符号化ストリームと、前記第二の画像の符号化ストリームと、当該分離において用いられた分離方法の情報を含むヘッダとを含み、
当該画像復号装置は、
前記符号化ストリームを、前記第一の画像の符号化ストリームと、前記第二の画像の符号化ストリームと、前記ヘッダとに分離するデータ分離部と、
分離された前記ヘッダに基づき、前記分離方法の情報を取得するヘッダ解析部と、
分離された前記第一の画像の符号化データを復号する第一の画像復号部と、
分離された前記第二の画像の符号化データを復号する第二の画像復号部と、
復号された前記第一の画像と、復号された前記第二の画像とを、取得された前記分離方法の情報に基づき合成する画像合成部と、
を備えたことを特徴とする画像復号装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−54875(P2012−54875A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197705(P2010−197705)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】