説明

画像表示システム

【課題】表示品位に優れた画像表示システムを提供する。
【解決手段】画像表示システムは、表示画像に対応付けられた信号を送信する送信部を有し、左目用の画像と右目用の画像とを交互に表示する液晶表示装置と、液晶シャッタと、を備えている。液晶シャッタは、第1液晶パネルと、第2液晶パネルと、上記信号を受信可能な受信部と、駆動部と、を有している。駆動部は、液晶表示装置における左目用の画像の書込み終了タイミングから第1特定時間IP1遅延して第1液晶パネルを透過状態から非透過状態に切替え、液晶表示装置における右目用の画像の書込み終了タイミングから第2特定時間IP2遅延して第2液晶パネルを透過状態から非透過状態に切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体画像を表示するための技術が種々提案されている。上記技術として、例えばアクティブシャッタ方式の液晶シャッタと、時分割方式の液晶表示装置等の表示装置とを用いた立体画像(3D)表示技術が知られている。
【0003】
液晶表示装置は、フレーム毎に、左目用の画像と右目用の画像とを交互に表示する。液晶シャッタは、液晶表示装置の画像表示に連動し、左目用の液晶パネル及び右目用の液晶パネルを透過状態(オン)及び非透過状態(オフ)に切替える。液晶シャッタは、高速応答の液晶パネルを使用することにより高速でオン/オフに切替え可能である。
【0004】
左目用の画像の走査期間、液晶表示装置から出射される光は、左目用の液晶パネルは透過し、右目用の液晶パネルは遮蔽する。同様に、液晶表示装置が右目用の画像を表示している間、液晶表示装置から出射される光は、左目用の液晶パネルは遮蔽し、右目用の液晶パネルは透過する。これにより、液晶シャッタを装着したユーザは、左目用の画像と、右目用の画像とを左右の目で交互に見ることとなり、液晶表示装置に表示される平面画像を立体画像のように見ることができる。
【0005】
液晶表示装置は、画面の上部から1行毎に順に走査して画像を更新し、1フレーム期間、表示し続けることが一般的である。この場合、前フレームの画像を表示しつつ、画面上部から次フレームの画像を表示し始めるため、あるタイミングでは画面の上部と下部で別の画像を表示することになる。
【0006】
ただし、通常表示、すなわち平面画像(2D)表示の場合には、フレーム前後の表示内容は同一ないし連続性をもった画像であるため、前後のフレームで表示している画像が、あるタイミングで画像の上下に表示されていても、視認上、問題は発生しない。
【0007】
ところが、3D表示の場合には、フレーム毎に左目用の画像と右目用の画像、すなわち視差のついた視点の異なる画像を切り替えているため、上述した前後のフレーム画像の同時表示は、両画像の混在による表示品位の低下という問題を発生させることになる。
【0008】
そこで、左目用の画像と右目用の画像の間に黒画像を挿入(黒挿入)し、左目用の画像と右目用の画像の分離を図る提案がされている。これにより、同一タイミングで左目用の画像の走査と右目用の画像の走査が起こらないようにすることができる。
【0009】
また、この場合、通常駆動の4倍相当で駆動することによって、同一タイミングで左目用の画像の走査と右目用の画像の走査が起こらないようにする対応がなされている。このため、解像度の低下無しに立体画像の表示が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−276928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記液晶シャッタは、液晶表示装置での左目用の画像の書込み終了タイミングと同時に左目用の液晶パネルをオフ、右目用の液晶パネルをオンにそれぞれ切替え、同様に、液晶表示装置での右目用の画像の書込み終了タイミングと同時に右目用の液晶パネルをオフ、左目用の液晶パネルをオンにそれぞれ切替える。
【0012】
このため、液晶シャッタを装着したユーザが液晶表示装置の表示画像をみた場合、画面に輝度傾斜が発生し、最終の走査行の画像の輝度レベルが、最初の走査行の画像の輝度レベルに比べて低下してしまう。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、表示品位に優れた画像表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態に係る画像表示システムは、
表示画像に対応付けられた信号を送信する送信部を有し、左目用の画像と右目用の画像とを交互に表示する液晶表示装置と、
一対の電極基板及び前記電極基板間に挟持された液晶層を含み、左目の視界を覆い、左目に入射される光を透過する透過状態及び左目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な第1液晶パネルと、一対の電極基板及び前記電極基板間に挟持された液晶層を含み、右目の視界を覆い、右目に入射される光を透過する透過状態及び右目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な第2液晶パネルと、前記信号を受信可能な受信部と、前記信号を基に、前記第1液晶パネル及び第2液晶パネルを駆動し、立体画像を表示させる駆動部と、を有した液晶シャッタと、を備え、
前記駆動部は、
前記液晶表示装置における左目用の画像の書込み終了タイミングから第1特定時間遅延して前記第1液晶パネルを前記透過状態から前記非透過状態に切替え、
前記液晶表示装置における右目用の画像の書込み終了タイミングから第2特定時間遅延して前記第2液晶パネルを前記透過状態から前記非透過状態に切替えることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、一実施形態に係る画像表示システムを示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶シャッタを示す概略構成図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示した第1液晶パネルを示す断面図である。
【図4】図4は、上記第1液晶パネルの断面図であり、第1液晶パネルが透過状態となる場合の液晶分子の配向状態を示す図である。
【図5】図5は、上記第1液晶パネルの断面図であり、第1液晶パネルが非透過状態となる場合の液晶分子の配向状態を示す図である。
【図6】図6は、図1に示した液晶表示装置を概略的に示す断面図である。
【図7】図7は、図6に示したアレイ基板の一部を示す概略構成図である。
【図8】図8は、上記液晶表示装置の液晶表示パネルに対する第1光源及び第2光源の位置関係を説明するための概略平面図である。
【図9】図9は、上記画像表示システムの実施例1の、最初の走査行に対応した液晶表示装置の透過率、最終の走査行に対応した液晶表示装置の透過率、右目用の画像の制御信号、左目用の画像の制御信号、第1液晶パネルの透過率、第2液晶パネルの透過率、第1光源の制御信号、第2光源の制御信号、を示すタイミングチャートであり、液晶表示装置における画像の書込みタイミングを併せて示す図である。
【図10】図10は、上記実施例1の、第1液晶パネル及び第2液晶パネルの透過レベル、第1液晶パネルを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置の表示する左目用の画像の輝度レベル、第2液晶パネルを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置の表示する右目用の画像の輝度レベル、第1液晶パネルを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置の表示する右目用の画像の輝度レベル、第2液晶パネルを透過する最後の走査行に対応した液晶表示装置の表示する左目用の画像の輝度レベル、を説明するための図である。
【図11】図11は、上記画像表示システムの実施例2の、最初の走査行に対応した液晶表示装置の透過率、最終の走査行に対応した液晶表示装置の透過率、右目用の画像の制御信号、左目用の画像の制御信号、第1液晶パネルの透過率、第2液晶パネルの透過率、第1光源の制御信号、第2光源の制御信号、を示すタイミングチャートであり、液晶表示装置における画像の書込みタイミングを併せて示す図である。
【図12】図12は、上記実施例2の、第1液晶パネル及び第2液晶パネルの透過レベル、第1液晶パネルを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置の表示する左目用の画像の輝度レベル、第1液晶パネルを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置の表示する右目用の画像の輝度レベル、を説明するための図である。
【図13】図13は、上記実施例2の、第2液晶パネルを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置の表示する右目用の画像の輝度レベル、第2液晶パネルを透過する最後の走査行に対応した液晶表示装置の表示する左目用の画像の輝度レベル、を説明するための図である。
【図14】図14は、上記画像表示システムの実施例3の、最初の走査行に対応した液晶表示装置の透過率、最終の走査行に対応した液晶表示装置の透過率、右目用の画像の制御信号、左目用の画像の制御信号、第1液晶パネルの透過率、第2液晶パネルの透過率、第1光源の制御信号、第2光源の制御信号、を示すタイミングチャートであり、液晶表示装置における画像の書込みタイミングを併せて示す図である。
【図15】図15は、上記実施例3の、第1液晶パネル及び第2液晶パネルの透過レベル、第1液晶パネルを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置の表示する左目用の画像の輝度レベル、第1液晶パネルを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置の表示する右目用の画像の輝度レベル、を説明するための図である。
【図16】図16は、上記実施例3の、第2液晶パネルを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置の表示する右目用の画像の輝度レベル、第2液晶パネルを透過する最後の走査行に対応した液晶表示装置の表示する左目用の画像の輝度レベル、を説明するための図である。
【図17】図17は、上記一実施形態における、時間に対する各走査行に対応した液晶表示装置の透過率の変化をグラフで示した図である。
【図18】図18は、上記一実施形態における、時間に対する第1及び第2液晶パネルの透過率の変化をグラフで示した図である。
【図19】図19は、上記画像表示システムの比較例の、最初の走査行に対応した液晶表示装置の透過率、最終の走査行に対応した液晶表示装置の透過率、右目用の画像の制御信号、左目用の画像の制御信号、第1液晶パネルの透過率、第2液晶パネルの透過率、第1光源の制御信号、第2光源の制御信号、を示すタイミングチャートであり、液晶表示装置における画像の書込みタイミングを併せて示す図である。
【図20】図20は、上記比較例の、第1液晶パネル及び第2液晶パネルの透過レベル、第1液晶パネルを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置の表示する左目用の画像の輝度レベル、第1液晶パネルを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置の表示する右目用の画像の輝度レベル、を説明するための図である。
【図21】図21は、上記比較例の、第2液晶パネルを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置の表示する右目用の画像の輝度レベル、第2液晶パネルを透過する最後の走査行に対応した液晶表示装置の表示する左目用の画像の輝度レベル、を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る画像表示システム及び液晶シャッタの駆動方法について詳細に説明する。始めに、画像表示システムの構成を説明する。
図1に示すように、画像表示システムは、アクティブシャッタ方式の液晶シャッタ1と、液晶表示装置2と、を備えている。
【0016】
図1乃至図3に示すように、液晶シャッタ1は、第1液晶パネル3Lと、第2液晶パネル3Rと、メガネフレーム4と、駆動部5と、電源部6と、受信部7と、筐体8と、を備えている。この実施の形態において、液晶シャッタ1は、メガネ装着型の液晶シャッタである。
【0017】
第1液晶パネル3Lは、一対の電極基板10、20と、電極基板間に挟持された液晶層30と、を有している。
電極基板10は、透明な絶縁基板としてのガラス基板11と、このガラス基板11上に形成された第1電極12と、ガラス基板11及び第1電極12上に形成された配向膜13とを有している。絶縁基板としてはガラス基板の他に、プラスチック基板や樹脂フィルムなども適用することができる。電極基板10上には、光学補償フィルム14及び偏光板15が配置されている。光学補償フィルム14及び偏光板15は、ガラス基板11に対して第1電極12の反対側に位置し、ガラス基板11の外面上に順に配置されている。
【0018】
電極基板20は、透明な絶縁基板としてのガラス基板21と、このガラス基板21上に形成された第2電極22と、ガラス基板21及び第2電極22上に形成された配向膜23とを有している。同様に、絶縁基板としてはガラス基板の他に、プラスチック基板や樹脂フィルムなども適用することができる。電極基板20上には、光学補償フィルム24及び偏光板25が配置されている。光学補償フィルム24及び偏光板25は、ガラス基板21に対して第2電極22の反対側に位置し、ガラス基板21の外面上に順に配置されている。
【0019】
第1電極12及び第2電極22は、透明な導電材料として、例えばITO(インジウム・ティン・オキサイド)で形成されている。配向膜13及び配向膜23は、同一方向に配向処理(ラビング)が施されている。偏光板15及び偏光板25は、配向方向に対して略45°で交差するようにクロスニコル配置されている。
【0020】
電極基板10及び電極基板20は、複数のスペーサとしての複数の球状スペーサ31により、所定の隙間を保持して対向配置され、両基板の周縁部に配置されたシール材32により互いに接合されている。球状スペーサ31に替えて柱状スペーサを一方の基板上に一体的に形成することもできる。液晶層30は、電極基板10、電極基板20及びシール材32で囲まれた領域に充填されたネマティック液晶で形成されている。
【0021】
上記のように、第1液晶パネル3Lは、πセルに光学補償フィルム14、24を組合せたOCB(optically compensated bend)モードの液晶パネルである。ここで、第1液晶パネル3Lは、電圧を印加しない状態で光透過状態となるノーマリーホワイト型である。第1液晶パネル3Lは、左目の視界を覆い、左目に入射される光の透過率を制御可能である。
【0022】
第1電極12にパルス状の駆動電圧Vdが印加され、第2電極22に電圧Vcomが印加されることにより、液晶層30にパルス状の駆動電圧が印加される。図2、図4及び図5に示すように、第1電極12に20V程度の初期電圧Vaが印加され、第2電極22に電圧Vcomが印加されることにより、液晶層30に駆動電圧が印加され、液晶分子30mがスプレイ(splay)配向からベンド(bend)配向に転移する(初期転移)。そして、液晶層30に所望の駆動電圧が印加されることにより、液晶分子30mのベンド配向を維持しつつ第1液晶パネル3Lを透過状態及び非透過状態に切替えることができる。第1液晶パネル3Lは、ベンド配向とフロー効果により高速応答性に優れている。
【0023】
図1乃至図3に示すように、第2液晶パネル3Rは、上記第1液晶パネル3Lと同様に形成されている。第2液晶パネル3Rは、一対の電極基板10、20及びこれら電極基板間に挟持された液晶層30を有し、右目の視界を覆い、右目に入射される光の透過率を制御可能なOCBモードの液晶パネルである。ここで、第2液晶パネル3Rは、電圧を印加しない状態で光透過状態となるノーマリーホワイト型である。
【0024】
なお、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rにおいて、図示しないが、これらの形状やこれらに形成される端子の位置は互いに異なっていてもよく、これにより、例えば、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rが左目用及び右目用の何れであるのか識別することができる。
図1に示すように、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rは、メガネフレーム4に取付けられている。
【0025】
電源部6及び受信部7は、駆動部5に接続されている。電源部6は、駆動部5に電力を供給するものである。電源部6は、初期電圧Va、駆動電圧Vd、電圧Vcomを出力可能である。受信部7は、有線又は無線通信により信号(データ)を受信可能である。筐体8は、駆動部5、電源部6及び受信部7を収容し、メガネフレーム4に取付けられている。
【0026】
駆動部5は、初期電圧Vaを第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rのそれぞれに印加して初期転移させた後、受信部7で受信した信号を基に、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rに駆動電圧Vdを印加し、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rを駆動し、立体画像を表示させるものである。
【0027】
図2に示すように、詳しくは、駆動部5は、フレキシブル配線基板(FPC)等を介して第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rそれぞれの第1電極12及び第2電極22に電気的に接続されている。駆動部5は、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rそれぞれにパルス状の駆動電圧Vd及び電圧Vcomを印加し、第1液晶パネル3L(液晶層30)及び第2液晶パネル3R(液晶層30)を駆動することにより、それぞれ第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rを液晶分子30mがベンド配向を採った状態で透過状態及び非透過状態に交互に切替えることができる。
上記のように液晶シャッタ1が形成されている。
【0028】
図1及び図6に示すように、液晶表示装置2は、液晶表示パネル50、バックライトユニット90、制御部100、及び送信部110を備えている。液晶表示パネル50は、アレイ基板60と、アレイ基板60に対向配置された対向基板70と、アレイ基板60及び対向基板70間に挟持された液晶層80とを備えている。
【0029】
図6及び図7に示すように、アレイ基板60は、透明な絶縁基板として矩形状のガラス基板61を備えている。ガラス基板61上には、複数の信号線62と、複数の走査線63とが形成されている。信号線62及び走査線63は、互いに直交して形成されている。また、ガラス基板61上には、走査線63に平行な複数の補助容量線64が形成されている。この実施の形態において、隣合う2本の信号線62及び隣合う2本の走査線63で囲まれた各領域には画素PXが形成されている。これらの画素PXは、ガラス基板61上にマトリクス状に配置されている。
【0030】
次に、画素PXを1つ取り出して詳述する。
画素PXは、信号線62及び走査線63の交差部近傍に形成されたスイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)65と、TFT65に接続された画素電極66と、画素電極66に接続された補助容量素子67と、を有している。補助容量線64は、補助容量素子67の一方の電極を形成している。
【0031】
図示しないが、ガラス基板61上に、赤色、緑色及び青色の複数の着色層を有したカラーフィルタが形成されている。なお、上記画素電極66はITO等の透明な導電材料でカラーフィルタ上に形成されている。また、カラーフィルタ上には、スペーサとして、例えば複数の柱状スペーサ68が形成されている。上記のように、ガラス基板61上にアレイパターン60Pが形成されている。ガラス基板61及びアレイパターン60P上に配向膜69が形成されている。
【0032】
対向基板70は、透明な絶縁基板として矩形状のガラス基板71を備えている。ガラス基板71上に、対向電極72及び配向膜73が順に形成されている。なお、配向膜69及び配向膜73には同一方向に配向処理(ラビング)が施されている。このように、対向基板70が形成されている。
【0033】
アレイ基板60及び対向基板70間の隙間は、複数の柱状スペーサ68により保持されている。アレイ基板60及び対向基板70は、表示領域の外周に沿って配置されたシール材81により接合されている。液晶層80は、アレイ基板60、対向基板70及びシール材81で囲まれた領域に充填されたネマティック液晶で形成されている。
【0034】
アレイ基板60の外面上に、光学補償フィルム51及び偏光板52が順に形成されている。対向基板70の外面上に、光学補償フィルム53及び偏光板54が順に形成されている。偏光板52及び偏光板54は、配向方向に対して略45°で交差するようにクロスニコル配置されている。上記のように、液晶表示パネル50は、OCBモードの液晶パネルである。ここで、液晶表示パネル50は、電圧を印加しない状態で光透過状態となるノーマリーホワイト型である。
上記のことから、液晶表示装置2は、左目用の画像と右目用の画像とを交互に表示することができる。
【0035】
図6及び図8に示すように、バックライトユニット90は、アレイ基板60の外面側に設けられている。バックライトユニット90は、偏光板52に対向配置された導光板を含む導光体92と、導光体92の一側縁に対向配置された、例えば冷陰極線管からなる第1光源93及び反射板94を有している。さらに、バックライトユニット90は、導光体92の他の一側縁に対向配置された、例えば冷陰極線管からなる第2光源95及び反射板96を有している。
【0036】
第1光源93は、液晶表示パネル50の最初の走査行側における導光体92の一側縁に対向配置されている。第2光源95は、液晶表示パネル50の最終の走査行側における導光体92の他の一側縁に対向配置されている。
【0037】
制御部100は、液晶表示パネル50及びバックライトユニット90の駆動を制御する。制御部100は、第1光源93及び第2光源95を点灯状態に設定し、第1光源93及び第2光源95を一定期間、消灯状態に切替え可能である。
送信部110は、表示画像(交互に表示される左目用の画像と右目用の画像)に対応付けられた信号を送信する。
【0038】
次に、この実施形態の実施例1乃至3、及び比較例の画像表示システム及び液晶シャッタ1の駆動方法について説明する。実施例1乃至3の液晶シャッタ1及び液晶シャッタ1の駆動方法に共通の点は、最終の走査行の画像の輝度レベルが、最初の走査行の画像の輝度レベルに比べて低下することを低減できる点である。
【0039】
(実施例1)
まず、実施例1の画像表示システム及び液晶シャッタ1の駆動方法について説明する。
図6及び図9に示すように、制御部100は、立体画像を表示する場合、例えば120Hzのフレーム周波数で左目用の画像と右目用の画像とを交互に表示するよう、左目用の画像の制御信号及び右目用の画像の制御信号を液晶表示パネル50に与え、液晶表示パネル50の駆動を制御する。
【0040】
ここで、1フレーム(1F)とは、全ての画素PXを順次走査し再び同一の画素PXを走査するまでの時間である。また、同一タイミングで左目用の画像の走査と右目用の画像の走査が起こらないように、左目用の画像と右目用の画像の間に黒挿入を行っている。
【0041】
駆動部5は、それぞれ第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rを透過状態(ON)に切替える際、前回、透過状態に切替えてから60分の1秒後に切替えている。これにより、液晶シャッタ1を装着したユーザは、左目用の画像と、右目用の画像とを左右の目で交互にみることができ、実質60Hzの周波数で解像度の低下なく立体画像をみることができる。
【0042】
図1、図2及び図9に示すように、駆動部5は、受信部7で受信した信号を基に、液晶表示装置2における左目用の画像の書込み終了タイミングから第1特定時間IP1遅延して第1液晶パネル3Lを透過状態から非透過状態に切替え、液晶表示装置2における右目用の画像の書込み終了タイミングから第2特定時間IP2遅延して第2液晶パネル3Rを透過状態から非透過状態に切替えている。
【0043】
また、駆動部5は、受信部7で受信した信号を基に、液晶表示装置2における左目用の画像の書込み終了タイミングから第3特定時間IP3遅延して第2液晶パネル3Rを非透過状態から透過状態に切替え、液晶表示装置2における右目用の画像の書込み終了タイミングから第4特定時間IP4遅延して第1液晶パネル3Lを非透過状態から透過状態に切替えている。
【0044】
図6、図8及び図9に示すように、制御部100は、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rが非透過状態から透過状態に切替わるタイミングから第1一定期間CP1、第1光源93を消灯状態に切替え、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rが透過状態から非透過状態に切替わるタイミングから第2一定期間CP2、第2光源95を消灯状態に切替えている。
【0045】
次に、各走査行に対応した液晶表示装置2の透過率(液晶応答)の特性について説明する。
図17に示すように、各走査行に対応した液晶表示装置2の透過率を示す波形を6つに時間分解する。そして、波形に対する各単位時間内の割合を抽出する。1つのマス目を0.5とすると、上記波形を、
0.2/0.75/1.75/2.4/1.75/0.3
に時間分解することができる。
【0046】
上記時間分解された数字の和をとると7.15である。数字の和が7.15となる場合に液晶表示装置2の表示する左目用又は右目用の画像の輝度レベルが最大となるため、7.15を輝度レベル100%と置換する。すると、上記時間分解された数字を、
2.7%/10.5%/24.5%/33.6%/24.5%/4.2%
の割合(輝度レベル比)にそれぞれ置換することができる。
【0047】
次に、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rの透過率(液晶応答)の特性について説明する。
図18に示すように、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rの透過率を示す波形を時間分解する。そして、波形に対する各単位時間内の割合を抽出する。1つのマス目を0.5とすると、上記波形を、
0.75/2.0/2.5/ … /2.5/0.625
に時間分解することができる。
【0048】
数字が2.5となる場合に第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rの透過率が最大となるため、2.5を100%と置換する。すると、上記各単位時間の透過率比を、
30%/80%/100%/ … /100%/25%
と表すことができる。ここで、上記透過率比の和を透過レベル100%とする。
【0049】
次に、実施例1の次に挙げる(1)乃至(5)について説明する。
(1)第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rの透過レベル。
(2)第1液晶パネル3Lを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像の輝度レベル(第2液晶パネル3Rを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像の輝度レベル)。
【0050】
(3)第2液晶パネル3Rを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像の輝度レベル(第1液晶パネル3Lを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像の輝度レベル)。
【0051】
(4)第1液晶パネル3Lを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)に対する次フレームの最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)の混在率(第2液晶パネル3Rを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)に対する次フレームの最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)の混在率)。
【0052】
(5)第2液晶パネル3Rを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)に対する前フレームの最後の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)の混在率(第1液晶パネル3Lを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)に対する前フレームの最後の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)の混在率)。
【0053】
(1)図10に示すように、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rの透過レベルは、図18を参照すると、それぞれ85.49%である。
(2)第1液晶パネル3Lを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%+10.5%+24.5%+33.6%+24.5%+4.2%×0=95.8%
である。なお、4.2%に0を掛けたのは第1光源93及び第2光源95がともに消灯状態の為である。
【0054】
(3)第2液晶パネル3Rを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%×0+10.5%×0+24.5%×0.8+33.6%+24.5%+4.2%×0=81.9%
である。なお、2.7%に0を掛けたのは第2液晶パネル3Rが非透過状態の為であり、10.5%に0を掛けたのは第1光源93及び第2光源95がともに消灯状態の為であり、24.5%に0.8を掛けたのは第2液晶パネル3Rの各単位時間の透過率比が80%の為である。
【0055】
(4)第1液晶パネル3Lを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%+10.5%×0=2.7%
である。なお、10.5%に0を掛けたのは第1光源93及び第2光源95がともに消灯状態の為である。
【0056】
これにより、第1液晶パネル3Lを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)に対する次フレームの最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)の混在率を計算すると、
2.7%/95.8%=2.8%
である。
【0057】
(5)第2液晶パネル3Rを透過する最後の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
4.2%×0=0%
である。なお、4.2%に0を掛けたのは第1光源93及び第2光源95がともに消灯状態の為である。
【0058】
これにより、第2液晶パネル3Rを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)に対する前フレームの最後の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)の混在率を計算すると、
0%/81.9%=0%
である。
【0059】
以上、説明に使用した上記の例は、本実施例の効果を説明するために、液晶シャッタ1(第1液晶パネル3L、第2液晶パネル3R)の単位時間ごとの透過率の平均値と液晶表示装置2の透過率すなわち輝度を用いて、簡易的に説明したものである。また、ここで使用した液晶応答波形は、一般的な波形の例であって、これに限定するものでは無い。単位時間あたりの透過率も概略値であり、対応する波形の透過率を正確に反映するものでは無いが、効果の説明のためには問題無い。なお、詳細な設計のためには、それぞれの波形をもとに、さらに単位時間を細かくした計算をすることも有効である。
さらに、以下に記載の実施例でも、同様の考え方にたって説明しており、記載の数値に限定されるものではない。
【0060】
(実施例2)
次に、実施例2の画像表示システム及び液晶シャッタ1の駆動方法について説明する。
【0061】
図6、図8及び図11に示すように、制御部100は、左目用の画像及び右目用の画像の書込み終了タイミングから第1一定期間CP1、第1光源93を消灯状態に切替え、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rが透過状態から非透過状態に切替わるタイミングから第2一定期間CP2、第2光源95を消灯状態に切替えている。その他、実施例2の画像表示システム及び液晶シャッタ1の駆動方法は、上述した実施例1と同様である。
【0062】
次に、実施例2の上記(1)乃至(5)について説明する。
(1)図12に示すように、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rの透過レベルは、図18を参照すると、それぞれ95.63%である。これは、第1光源93及び第2光源95が消灯状態となる期間(第1一定期間CP1、第2一定期間CP2)が存在するためである。
【0063】
(2)第1液晶パネル3Lを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%+10.5%+24.5%+33.6%+24.5%×0.66+4.2%×0.25×0.33=87.82%
である。なお、24.5%に0.66を掛けたのは第1光源93が消灯状態の為であり、4.2%に0.25を掛けたのは第1液晶パネル3Lの各単位時間の透過率比が25%の為であり、4.2%に0.33を掛けたのは第2光源95が消灯状態の為である。
【0064】
(3)図13に示すように、第2液晶パネル3Rを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%×0+10.5%×0.3×0.66+24.5%×0.8+33.6%+24.5%+4.2%=83.979%
である。なお、2.7%に0を掛けたのは第2液晶パネル3Rが非透過状態の為であり、10.5%に0.3を掛けたのは第2液晶パネル3Rの各単位時間の透過率比が30%の為であり、10.5%に0.66を掛けたのは第2光源95が消灯状態の為であり、24.5%に0.8を掛けたのは第2液晶パネル3Rの各単位時間の透過率比が80%の為である。
【0065】
(4)図12に示すように、第1液晶パネル3Lを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%×0.33+10.5%×0.25×0.66=2.6235%
である。なお、2.7%に0.33を掛けたのは第1光源93が消灯状態の為であり、10.5%に0.25を掛けたのは第1液晶パネル3Lの各単位時間の透過率比が25%の為であり、10.5%に0.66を掛けたのは第2光源95が消灯状態の為である。
【0066】
これにより、第1液晶パネル3Lを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)に対する次フレームの最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)の混在率を計算すると、
2.6235%/87.82%=2.99%
である。
【0067】
(5)図13に示すように、第2液晶パネル3Rを透過する最後の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
4.2%×0.3×0.33=0.4%
である。なお、4.2%に0.3を掛けたのは第2液晶パネル3Rの各単位時間の透過率比が30%の為であり、4.2%に0.33を掛けたのは第2光源95が消灯状態の為である。
【0068】
これにより、第2液晶パネル3Rを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)に対する前フレームの最後の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)の混在率を計算すると、
0.4%/81.9%=0.5%
である。
【0069】
(実施例3)
次に、実施例3の画像表示システム及び液晶シャッタ1の駆動方法について説明する。
【0070】
図6、図8及び図14に示すように、駆動部5は、液晶表示装置2における左目用の画像の書込み終了タイミングと同時に第2液晶パネル3Rを非透過状態から透過状態に切替え、液晶表示装置2における右目用の画像の書込み終了タイミングと同時に第1液晶パネル3Lを非透過状態から透過状態に切替えている。その他、実施例3の画像表示システム及び液晶シャッタ1の駆動方法は、上述した実施例2と同様である。
【0071】
次に、実施例3の上記(1)乃至(5)について説明する。
(1)図15に示すように、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rの透過レベルは、図18を参照すると、それぞれ94.83%である。これは、第1光源93及び第2光源95が消灯状態となる期間(第1一定期間CP1、第2一定期間CP2)が存在するためである。
【0072】
(2)第1液晶パネル3Lを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%+10.5%+24.5%+33.6%+24.5%×0.66+4.2%×0.25×0.33=87.82%
である。なお、24.5%に0.66を掛けたのは第1光源93が消灯状態の為であり、4.2%に0.25を掛けたのは第1液晶パネル3Lの各単位時間の透過率比が25%の為であり、4.2%に0.33を掛けたのは第2光源95が消灯状態の為である。
【0073】
(3)図16に示すように、第2液晶パネル3Rを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%×0.3×0.66+10.5%×0.8×0.66+24.5%+33.6%+24.5%+4.2%=92.61%
である。なお、2.7%に0.3を掛けたのは第2液晶パネル3Rが非透過状態の為であり、2.7%に0.66を掛けたのは第1光源93が消灯状態の為であり、10.5%に0.8を掛けたのは第2液晶パネル3Rの各単位時間の透過率比が80%の為であり、10.5%に0.66を掛けたのは第2光源95が消灯状態の為である。
【0074】
(4)図15に示すように、第1液晶パネル3Lを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%×0.33+10.5%×0.25×0.66=2.62%
である。なお、2.7%に0.33を掛けたのは第1光源93が消灯状態の為であり、10.5%に0.25を掛けたのは第1液晶パネル3Lの各単位時間の透過率比が25%の為であり、10.5%に0.66を掛けたのは第2光源95が消灯状態の為である。
【0075】
これにより、第1液晶パネル3Lを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)に対する次フレームの最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)の混在率を計算すると、
2.62%/87.82%=2.98%
である。
【0076】
(5)図16に示すように、第2液晶パネル3Rを透過する最後の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
24.5%×0.3×0.66+4.2%×0.8×0.33=5.96%
である。なお、24.5%に0.3を掛けたのは第2液晶パネル3Rの各単位時間の透過率比が30%の為であり、24.5%に0.66を掛けたのは第1光源93が消灯状態の為であり、4.2%に0.8を掛けたのは第2液晶パネル3Rの各単位時間の透過率比が80%の為であり、4.2%に0.33を掛けたのは第2光源95が消灯状態の為である。
【0077】
これにより、第2液晶パネル3Rを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)に対する前フレームの最後の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)の混在率を計算すると、
5.96%/92.61%=6.44%
である。
【0078】
(比較例)
次に、比較例の画像表示システム及び液晶シャッタ1の駆動方法について説明する。
図6、図8及び図19に示すように、駆動部5は、液晶表示装置2における左目用の画像の書込み終了タイミングと同時に第1液晶パネル3Lを透過状態から非透過状態に切替え、液晶表示装置2における右目用の画像の書込み終了タイミングと同時に第2液晶パネル3Rを透過状態から非透過状態に切替えている。
【0079】
さらに、駆動部5は、液晶表示装置2における左目用の画像の書込み終了タイミングと同時に第2液晶パネル3Rを非透過状態から透過状態に切替え、液晶表示装置2における右目用の画像の書込み終了タイミングと同時に第1液晶パネル3Lを非透過状態から透過状態に切替えている。
【0080】
また、液晶表示装置2は、1つ又は複数の光源を有している。
【0081】
制御部100は、光源を点灯状態に設定し、左目用の画像及び右目用の画像の書込み終了タイミング(第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rが非透過状態と透過状態の間で切替わるタイミング)から一定期間CP、光源を消灯状態に切替えている。その他、比較例の画像表示システム及び液晶シャッタ1の駆動方法は、上述した実施例1と同様である。
【0082】
次に、比較例の上記(1)乃至(5)について説明する。
(1)図20に示すように、第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rの透過レベルは、図18を参照すると、それぞれ74.89%である。これは、光源が消灯状態となる期間(一定期間CP)が存在するためである。
【0083】
(2)第1液晶パネル3Lを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%+10.5%+24.5%+33.6%+24.5%×0+4.2%×0=71.3%
である。なお、24.5%に0を掛けたのは光源が消灯状態の為であり、4.2%に0を掛けたのは第1液晶パネル3Lの各単位時間の透過率比が0%の為である。
【0084】
(3)図21に示すように、第2液晶パネル3Rを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%×0+10.5%×0.8+24.5%+33.6%+24.5%+4.2%=95.2%
である。なお、2.7%に0を掛けたのは光源が消灯状態の為であり、10.5%に0.8を掛けたのは第2液晶パネル3Rの各単位時間の透過率比が80%の為である。
【0085】
(4)図20に示すように、第1液晶パネル3Lを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
2.7%×0=0%
である。なお、2.7%に0を掛けたのは光源が消灯状態の為である。
【0086】
これにより、第1液晶パネル3Lを透過する最終の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)に対する次フレームの最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)の混在率を計算すると、
0%/71.3%=0%
である。
【0087】
(5)図21に示すように、第2液晶パネル3Rを透過する最後の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像の輝度レベルを、図17を参照して計算すると、
24.5%×0+4.2%×0.8=3.36%
である。なお、24.5%に0を掛けたのは光源が消灯状態の為であり、4.2%に0.8を掛けたのは第2液晶パネル3Rの各単位時間の透過率比が80%の為である。
【0088】
これにより、第2液晶パネル3Rを透過する最初の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する右目用の画像(の輝度レベル)に対する前フレームの最後の走査行に対応した液晶表示装置2の表示する左目用の画像(の輝度レベル)の混在率を計算すると、
3.36%/95.2%=3.5%
である。
【0089】
以上のように構成された一実施形態に係る画像表示システム及び液晶シャッタの駆動方法によれば、液晶表示装置2の想定する液晶の応答は、立上り4ms、立下り2msであり、液晶シャッタ1の想定する液晶の応答は、立上り2ms、立下り1ms以下である。
【0090】
上記比較例の画像表示システムにおいて、液晶シャッタ1を装着したユーザが液晶表示装置2の表示画像をみた場合、画面に輝度傾斜が発生し、最終の走査行の画像の輝度レベル(透過率71.3%)が、最初の走査行の画像の輝度レベル(透過率95.2%)に比べて低下してしまう。
【0091】
これに対し、実施例1乃至3の画像表示システムにおいて、駆動部5は、液晶表示装置2における左目用の画像の書込み終了タイミングから第1特定時間IP1遅延して第1液晶パネル3Lを透過状態から非透過状態に切替え、液晶表示装置2における右目用の画像の書込み終了タイミングから第2特定時間IP2遅延して第2液晶パネル3Rを透過状態から非透過状態に切替えている。立ち下げ応答時間分の表示を観察できるため、特に最終行近辺での輝度レベルの差異を少なくすることができる。
【0092】
上記実施例3において、左目用の画像の書込み終了タイミングから右目用の画像の書込みを開始するが、この時、制御部100が第1光源93(最初の走査行側の光源)を消灯状態に切替えることにより、書込み開始する右目用の画像を左目で観察しにくくすることができる。
【0093】
さらに、第2液晶パネル3Rは、透過状態から非透過状態に切替えた直後では立上り途中であるため、左目用の画像を右目では観察しにくい。第2液晶パネル3Rの立上りの後半部分では、第2光源95(最終の走査行側の光源)を消灯状態に切替えることで、左目用画像を右目で観察しにくくすることができる。
【0094】
さらにまた、実施例2では、駆動部5は、液晶表示装置2における左目用の画像の書込み終了タイミングから第3特定時間IP3遅延して第2液晶パネル3Rを非透過状態から透過状態に切替え、液晶表示装置2における右目用の画像の書込み終了タイミングから第4特定時間IP4遅延して第1液晶パネル3Lを非透過状態から透過状態に切替えている。これにより、画面の輝度傾斜をさらに改善することができる。
【0095】
左目用の画像と右目用の画像が混在する期間があっても、第1光源93及び第2光源95の点灯/消灯を制御することにより、ユーザは、立上り期間と立下り期間に、左目用の画像と右目用の画像が混在していないように観察することができる。そして、画面内の輝度レベルの均一性が向上し、画質の向上を図ることができる。
上記のことから、表示品位に優れた画像表示システムを得ることができる。
【0096】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0097】
第1特定時間IP1は、種々変形可能であり、最大で、左目用の画像の書込み終了タイミングから、表示画像への左目用の画像の混在率が最小となるまでの期間に設定することができる。
【0098】
第2特定時間IP2は、種々変形可能であり、最大で、右目用の画像の書込み終了タイミングから、表示画像への右目用の画像の混在率が最小となるまでの期間に設定することができる。
【0099】
第3特定時間IP3は、種々変形可能であり、最大で、左目用の画像の書込み終了タイミングから、表示画像への右目用の画像の混在率が最大となるまでの期間に設定することができる。
【0100】
第4特定時間IP4は、種々変形可能であり、最大で、右目用の画像の書込み終了タイミングから、表示画像への左目用の画像の混在率が最大となるまでの期間に設定することができる。
【0101】
駆動部5は、受信部7で受信した信号を基に、第1液晶パネル及び第2液晶パネルを駆動することができればよい。例えば、駆動部5は、受信部7で受信した液晶表示装置2からの同期信号を基に、第1液晶パネル及び第2液晶パネルの駆動タイミングを決定することができる。その他の例では、受信部7が、第1液晶パネル及び第2液晶パネルの駆動タイミングの情報を持つ信号を液晶表示装置2から受信することにより、駆動部5が、第1液晶パネル及び第2液晶パネルを駆動してもよい。
【0102】
駆動部5は、筐体8に収容されているが、これに限定されるものではなく種々変形可能であり、例えば、一部又は全てが第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rに設けられていてもよい。
【0103】
第1液晶パネル3L及び第2液晶パネル3Rは、ノーマリーホワイト型であるが、これに限定されるものではなく、設計を調整することにより、電圧を印加しない状態で光遮断状態となるノーマリーブラック型であってもよい。
【0104】
液晶シャッタ1は、メガネ装着型の液晶シャッタに限定されるものではなく、種々変形可能であり、この場合、メガネフレーム4以外の部材に取付けられていればよい。
液晶表示装置は、上述した液晶表示装置2に限定されるものではなく、種々変形可能であり、各種の液晶表示装置を利用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1…液晶シャッタ、2…液晶表示装置、3L…第1液晶パネル、3R…第2液晶パネル、5…駆動部、7…受信部、10,20…電極基板、30…液晶層、50…液晶表示パネル、63…走査線、90…バックライトユニット、92…導光体、93…第1光源、95…第2光源、100…制御部、110…送信部、IP1…第1特定時間、IP2…第2特定時間、IP3…第3特定時間、IP4…第4特定時間、CP1…第1一定期間、CP2…第2一定期間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画像に対応付けられた信号を送信する送信部を有し、左目用の画像と右目用の画像とを交互に表示する液晶表示装置と、
一対の電極基板及び前記電極基板間に挟持された液晶層を含み、左目の視界を覆い、左目に入射される光を透過する透過状態及び左目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な第1液晶パネルと、一対の電極基板及び前記電極基板間に挟持された液晶層を含み、右目の視界を覆い、右目に入射される光を透過する透過状態及び右目に入射される光を遮蔽する非透過状態に切替え可能な第2液晶パネルと、前記信号を受信可能な受信部と、前記信号を基に、前記第1液晶パネル及び第2液晶パネルを駆動し、立体画像を表示させる駆動部と、を有した液晶シャッタと、を備え、
前記駆動部は、
前記液晶表示装置における左目用の画像の書込み終了タイミングから第1特定時間遅延して前記第1液晶パネルを前記透過状態から前記非透過状態に切替え、
前記液晶表示装置における右目用の画像の書込み終了タイミングから第2特定時間遅延して前記第2液晶パネルを前記透過状態から前記非透過状態に切替えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記第1特定時間は、最大で、前記左目用の画像の書込み終了タイミングから、前記表示画像への前記左目用の画像の混在率が最小となるまでの期間であり、
前記第2特定時間は、最大で、前記右目用の画像の書込み終了タイミングから、前記表示画像への前記右目用の画像の混在率が最小となるまでの期間であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記液晶表示装置における左目用の画像の書込み終了タイミングと同時に又は前記書込み終了タイミングから第3特定時間遅延して前記第2液晶パネルを前記非透過状態から前記透過状態に切替え、
前記液晶表示装置における右目用の画像の書込み終了タイミングと同時に又は前記書込み終了タイミングから第4特定時間遅延して前記第1液晶パネルを前記非透過状態から前記透過状態に切替えることを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記第3特定時間は、最大で、前記左目用の画像の書込み終了タイミングから、前記表示画像への前記右目用の画像の混在率が最大となるまでの期間であり、
前記第4特定時間は、最大で、前記右目用の画像の書込み終了タイミングから、前記表示画像への前記左目用の画像の混在率が最大となるまでの期間であることを特徴とする請求項3に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記液晶表示装置は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに対向配置された導光体、前記液晶表示パネルの最初の走査行側における前記導光体の一側縁に対向配置された第1光源及び前記液晶表示パネルの最終の走査行側における前記導光体の他の一側縁に対向配置された第2光源を含んだバックライトユニットと、前記第1光源及び第2光源を点灯状態に設定し、前記第1光源及び第2光源を一定期間、消灯状態に切替え可能な制御部と、をさらに有し、
前記制御部は、
前記左目用の画像及び右目用の画像の書込み終了タイミングから、又は前記第1液晶パネル及び第2液晶パネルが前記非透過状態から前記透過状態に切替わるタイミングから第1一定期間、前記第1光源を消灯状態に切替え、
前記第1液晶パネル及び第2液晶パネルが前記透過状態から前記非透過状態に切替わるタイミングから第2一定期間、前記第2光源を消灯状態に切替えることを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−31063(P2013−31063A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166708(P2011−166708)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】