説明

画像表示方法、プログラム、及び、画像表示装置

【課題】デジタル画像など表示機能及び電子メール受信機能を備え、デジタル画像の表示中に、視認者を認識して、当該視認者に対応した電子メールを表示することが可能な画像表示方法、プログラム、及び、画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置100を、画像データ、電子メール及び顔の認証情報が記憶された記憶部300と、ディスプレイ214と、記憶部300から画像データ電子メール及び顔の認証情報を読み出して、画像データをディスプレイ214に表示する画像表示処理部230、顔の認証情報を基に撮像部212により撮影された人物の顔の認証を行う顔認証部240、及び、この顔認証部240により認証された人物が宛先に指定された電子メールをディスプレイ214に表示する電子メール処理部250と、これらを制御する制御部220とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示方法、プログラム、及び、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラによって撮影されたデジタル画像などを表示する目的で、従来から存在した写真立てを電子化した、いわゆる「デジタルフォトフレーム」などの画像表示装置が製品化されている。このような画像表示装置の中には、高機能なプロセッサが搭載されており、デジタル画像の表示機能だけでなく、ネットワーク接続機能を備える製品も存在する。このネットワーク接続機能を利用して、パーソナルコンピュータや携帯電話などの機器では従来から広く使われている機能、すなわち、電子メールを受信して表示部に表示する機能を備えた画像表示装置も製品化されている。更には、キーボードなどの入力デバイスを持たないような単純な画像表示装置においても、電子メールの受信機能を備え、受信した電子メールや画像データを表示する製品も増えてきた。
【0003】
一方、パーソナルコンピュータなどでは、特定のユーザが利用している際に、このユーザを識別し、当該ユーザが使用中はメールやデータを表示するが、当該ユーザが離席したり、当該ユーザ以外のユーザが画面をのぞき込んだ場合などに、これを検知して表示を行わないようにすることを目的とした画像表示システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−322358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デジタルフォトフレームのような画像表示機能と電子メールの受信及び表示機能のみを備えた単純な画像表示装置では、予め設定されたアカウントを用いて定期的にメールサーバにアクセスし、取得した電子メール及び画像をそのまま表示しているだけである。そのため、ユーザを個別に識別して、そのユーザに対応したメッセージなどを表示する機能を備えたものは、未だ提案されておらず、開発が望まれている。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、デジタル画像などの表示機能及び電子メール受信機能を備え、デジタル画像の表示中に、ユーザを認識して、当該ユーザに対応した電子メールを表示することが可能な画像表示方法、プログラム、及び、画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係る画像表示方法は、画像データ、電子メール及び登録ユーザの認証情報が記憶された記憶部と、画像データ又は電子メールが表示される表示部と、表示部の周囲にいる人の情報を検出する検出部と、画像データを記憶部から読み出して表示部に表示するか、又は、検出部で人の情報が検出されているときに、人の情報から当該人を特定する識別情報を検出し、検出された識別情報が記憶部から読み出した登録ユーザの認証情報と一致するか否かを判定し、一致する場合は、当該登録ユーザを宛先とする電子メールを表示部に表示し、一致しない場合は画像データを表示部に表示する制御部と、を有する。
【0008】
このような画像表示装置において、制御部は、複数の登録ユーザが検出された場合に、当該複数の登録ユーザ全てを宛先とする電子メールを表示部に表示し、検出された登録ユーザのうち少なくとも一人が宛先に含まれない場合には電子メール表示しないよう構成されることが好ましい。
【0009】
また、このような画像表示装置において、検出部は、表示部の周囲にいる人の認証用画像データを撮影する撮像装置であり、制御部は、撮像装置で撮影された認証用の画像データから識別情報として顔を検出し、当該顔と記憶部から読み出した認証情報とが一致するか否かを判定するよう構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像表示方法、プログラム、及び、画像表示装置を以上のように構成すると、デジタル画像などの表示機能及び電子メール受信機能を備え、デジタル画像の表示中に、画像表示装置を視認している者を認識して、当該視認者に対応した電子メールを表示することが可能となり、画像表示機能だけでなく、情報端末としての機能向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の画像表示装置のハードウエア構成を表すブロック図である。
【図2】マイクロプロセッサで実行されるプログラムの機能構成を表すブロック図である。
【図3】記憶部に記憶されたシステム情報リストのデータ構造を示す図である。
【図4】画像表示装置により実行される画像表示方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】初期化処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】画像表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】画像撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】顔認証処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】電子メール表示処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて、本実施形態に係る画像表示装置100のハードウエア構成について説明する。図1に示すように、この画像表示装置100は、マイクロプロセッサ201、操作スイッチ202aなどを有する操作制御部(操作パネル)202、ROM(Read Only Memory)203、RAM(Random Access Memory)204、ネットワーク制御部205、FLASHメモリ209、外部メモリ端子210、撮像部(検出部)212、ビデオコントローラ213、及び、ディスプレイ214等を有しており、これらが相互に、又はデータバス215を介して接続されている。
【0013】
マイクロプロセッサ201は、画像表示装置100の全体の動作を制御するものであり、ROM203などに格納されているプログラムコードやこのプログラムコードが参照するデータに基づいて動作するように構成されている。ROM203は、マイクロプロセッサ201が所定の動作を行うために必要なプログラムコードやデータを格納する記憶部となっている。RAM204は、マイクロプロセッサ201やビデオコントローラ213の動作時に必要なデータの一時的な記憶を保持するための揮発性メモリとして機能するものである。
【0014】
操作制御部202は、マイクロプロセッサ201に対して、各種操作に必要な指示を画像データや電子メールの視認を希望する者(ユーザ)が入力するものである。この操作制御部202には、操作スイッチ202aが配置されており、視認者が操作スイッチ202aを操作することにより、視認者の操作入力が実現される。また、ディスプレイ214をタッチパネルとして、このタッチパネルを操作制御部202に接続してもよい。
【0015】
FLASHメモリ209は、内部記憶媒体であり、ディスプレイ214への表示用画像、登録ユーザの設定データ、電子メールなどを格納しておく不揮発性メモリである。外部メモリ端子210は、メモリカードなどの外部記憶媒体211が接続され、この外部メモリ端子210を介して撮影装置212で撮影された画像データ及びその属性情報、ネットワーク206を介して受信された画像データや電子メールなどが外部記憶媒体211に記憶される。外部記憶媒体211は、取り外して外部へ持ち出し可能な不揮発メモリであって、一旦、画像データ等が記憶されると、画像表示装置100本体の電源が遮断された場合であっても、記憶された画像データ等を保持することができるようになっている。また、FLASHメモリ209と同様に、この外部記憶媒体211に記憶された画像データや電子メールは、外部メモリ端子210を介してディスプレイ214への表示に用いられる。
【0016】
ネットワーク制御部205は、ネットワーク206(例えば、インターネットなど)を介して画像サーバ207及び電子メールサーバ208に接続されている。本実施形態の画像表示装置100では、ネットワーク制御部205及びネットワーク206を介して画像サーバ207から画像データを取得し、FLASHメモリ209、外部記憶媒体211などに記憶する。この取得した画像データも、マイクロプロセッサ201の制御によりディスプレイ214への表示に用いられる。電子メールサーバ208は、ネットワーク206を介して配送されてきた電子メールを蓄積するサーバである。画像表示装置100は、ネットワーク206を介してこの電子メールサーバ208に定期的にアクセスし、登録ユーザの電子メールを受信し、FLASHメモリ209、外部記憶媒体211などに蓄積する。
【0017】
撮像部212は、図示しない光学レンズや撮像素子を備え、マイクロプロセッサ201の制御によって、撮影対象となる被写体像を光学レンズにて撮像素子上に結像する。撮像部212は、被写体として画像表示装置100の周囲の画像を撮影する。この撮影された画像(以下、「認証用画像データ」と呼ぶ)を基に、視認者の認証が行われる。この撮像部212による画像撮影は、本実施形態では、所定の撮影間隔毎に行われるよう制御されているが、感知センサなどにより人物の動きなどを感知した際に行われるよう制御してもよい。このように、本実施形態では、検出部として撮像部212を用い、後述するように、撮影された認証用画像データから顔を検出し、登録ユーザであるか判断しているが、本願はこれに限定されることはない。例えば、視認者が携帯する無線ICタグ情報を検出し、この情報を基に登録ユーザであるかを判断するものであってもよいし、指紋、音声、その他の個人識別情報を検出し、認証するよう構成してもよい。
【0018】
ビデオコントローラ213は、マイクロプロセッサ201の制御により、ディスプレイ214上に表示される画像を必要に応じて生成する。ディスプレイ214は、画像データや電子メールが表示される表示装置であり、画像表示装置100の正面側に取り付けられている。このディスプレイ214は、一般的な液晶モニタ等を用いることができる。なお、このディスプレイ214上に表示される映像は、データバス215を介してビデオコントローラ213から出力される。
【0019】
次に、図2を用いて、マイクロプロセッサ201において画像表示処理を実行する各部の機能構成について説明する。図2に示すように、画像表示処理は、各部を制御する制御部220と、記憶部300に記憶された画像データをディスプレイ214に表示する画像表示処理部230と、撮像部212で撮影された認証用画像を解析して、視認者の認証を行う顔認証部240と、電子メールの視認の可否を判断して電子メールの表示や非表示などを行う電子メール処理部250とにより実行される。
【0020】
記憶部300は、前出のROM203、RAM204、FLASHメモリ209、外部記憶媒体211などを備え、表示用の画像データ、システム情報リスト301(図3参照)、電子メール、その他データが記憶される。また、記憶部300には、電子メールの視認を許可するために予め登録されたユーザ(以下、「登録ユーザ」と呼ぶ)の顔の特徴量と、ユーザIDとを対応付けたユーザ認証情報テーブルが記憶されている。また、撮像部212で撮影された認証用の画像データと、これを基に顔認証処理で検出された顔の特徴量と、該当する登録ユーザのユーザIDとを設定する検出情報テーブルも、記憶部300に記憶される。
【0021】
システム情報リスト301は、図3に示すようなデータ構造を有しており、登録ユーザ毎に、ユーザアカウント、メールアドレス、パスワード、受信メールサーバ名、送信メールサーバ名、メール受信間隔などが記憶されるアカウント情報領域302、ネットワークサーバ名、各種IPアドレス、画像サーバアドレス、その他のネットワーク情報が記憶されるサーバ情報領域303、撮像部212による画像撮影の可否や撮影間隔などが記憶される撮影情報領域304、及び、当該登録ユーザのユーザIDが記憶されたユーザID領域305など、各種パラメータが設定された領域を有して構成されている。また、ユーザID領域305のユーザIDは、ユーザ認証情報テーブルのユーザIDと関連付けられている。そのため、ユーザID領域305のユーザIDをキーとしてユーザ認証情報テーブルを検索することで、当該ユーザの特徴量を取得することができる。また、顔認証処理で検出された特徴量をキーとしてユーザ認証情報テーブルを検索し、何れかのユーザIDの特徴量と一致すれば、そのユーザIDにより何れの登録ユーザの顔が検出されたか知ることができ、このユーザIDを基にシステム情報リスト301から当該登録ユーザのシステム情報を得ることができる。また、特徴量が何れとも一致しない場合は、未登録の顔が検出されたことがわかる。
【0022】
次に、本実施形態に係る画像表示装置100による、画像表示方法を用いた画像表示処理について、図4〜図9のフローチャートを合わせて用いて説明する。まず、電源投入がされると、画像表示装置100が起動し、マイクロプロセッサ201にリセット信号が投入される。この動作により、図4に示すように、マイクロプロセッサ201にROM203からプログラムコードが読み出され、画像表示処理の実行が開始される(ステップS10)。なお、以下の処理の制御は、マイクロプロセッサ201に読み出されたプログラムコードにしたがって、制御部220が行うものとする。
【0023】
次に、制御部220はシステムの初期化を行う(ステップS20)。この初期化は、ネットワーク制御部205、操作制御部202,外部メモリ端子210、撮像部212及びビデオコントローラ213のように、各機能を制御する機器を初期化し、動作に必要なパラメータを設定するものである。このシステム初期化処理の手順を、図5に示すフローチャートを用いて説明すると、まず、外部記憶媒体211を制御する外部メモリ端子210の初期化が行われ(ステップS201)、次に、機器を設定するためのパラメータが記憶部300のシステム情報リスト301から読み出される(ステップS202)。このパラメータを基に、ビデオコントローラ213の初期化(ステップS203)、操作制御部202の状態初期化(ステップS204)、ネットワーク制御部205の各種データの設定(ステップS205)、及び、撮像部212の初期化(ステップS206)が順次実行される。
【0024】
上記初期化処理(ステップS20)が終了すると、制御部220は、ディスプレイ214への画像表示を行う準備のため、記憶媒体の確認を行う(ステップS30)。具体的には、本実施形態では、ROM203に格納された標準値に従い、外部記憶媒体211からの画像データの読み出しが最初に行われる設定となっている。外部記憶媒体211に格納された画像データリストを読み出し、この画像データリストを基に、ディスプレイ214に画像を表示するための順番を示した表示リストを作成する。また、外部記憶媒体211以外にもROM203やFLASHメモリ209に記憶された画像データやネットワーク206を介して取得された画像データも表示に用いられるため、表示リストに加えられる。
【0025】
このように各種設定等が終了すると、画像表示処理(ステップS40)と、画像撮影及び顔認証処理(ステップS50,S60)と、顔認証結果の判定処理(ステップS70)と、電子メール処理(ステップS80)とが実行される。これらの処理は、図4に示すフローチャートでは、直列的に記載されているが、実際は、並列的な処理であり、制御部220が割込処理や状態変化を常時監視し、これらに応じて各部に処理を指令し、何れかの処理を単独又は並行に実行する。具体的には、通常は画像表示処理(ステップS40)が実行されており、これと並行して一定時間ごとに画像撮影(ステップS50)と顔認証処理(ステップS60)とが実行される。そして、人物の顔が検出されたり、操作制御部202での指示などにより、電子メール処理の実行指示があった場合に、画像表示処理が中断されて、電子メール処理(ステップS80)に遷移する。この遷移の前に、顔認証結果の判定処理(ステップS70)が実行され、未登録ユーザが存在したり、顔が検出されなかったときは、電子メール処理は行われず、画像表示処理に戻る。電子メール処理が終了した際も、画像表示処理に戻る。また、電子メール処理の実行中にも、顔認証処理が実行され、画像表示装置100の視認者の交代や人数の増減などにより、認証状態が変化した場合も、必要に応じて表示する電子メールを変えたり、電子メール処理を終了して画像表示処理に戻るなどの処理が行われるようにしてもよい。また、電源オフなどの終了指示があった際に、画像表示処理全体を終了するようにしてもよい。
【0026】
以下、ステップS40〜ステップS80の各処理について、図6〜図9のフローチャートを用いて説明する。まず、画像表示処理部230により実行される画像表示処理(ステップS40)について説明する。この処理では、ディスプレイ214への画像の表示が、上記ステップS30で作成された表示リストに従って、一定時間毎に画像を入れ替えながら行われる。なお、本実施形態では、このように表示リストに従って、予め決められた順番に画像を表示しているが、これに限定されることはなく、ランダムに表示してもよい。
【0027】
この画像表示処理の詳細を、図6のフローチャートを用いて説明する。まず、画像表示処理部230は、記憶部300のシステム情報リスト301を読み出して、動作に関する設定を行う(ステップS401)。なお、このステップS401は、画像表示処理を行う毎に行ってもよいが、画像表示装置100の起動時に一回のみ行うものであってもよい。次に、制御部220は、現在、電子メールの表示中であるか判定し(ステップS402)、電子メールの表示中である場合は、画像表示処理を終了する。電子メールの表示中ではない場合は、画像データの読み出し処理(ステップS403)に進む。
【0028】
ステップS403では、画像表示処理部230は表示リストに基づいて外部記憶媒体211から必要な画像データを読み出す。次に、この読み出された画像データのサイズや形式に基づいて、当該画像データをビデオコントローラ213からの出力に最適な画像サイズや形式に変換し、ディスプレイ214への表示用の画像を生成する(ステップS404)。次に、システム情報リスト301を参照して、当該画像に表示効果設定があるか否かを判断し(ステップS405)、表示効果設定がある場合には、当該画像について効果付き表示処理を行い(ステップS406)、表示効果設定がない場合は、当該画像について単純な表示処理を行う(ステップS407)。
【0029】
次に、画像撮影処理(ステップS50)について図7のフローチャートを用いて説明する。まず、図3に示すシステム情報リスト301の撮影情報領域304を確認して、撮像部212の状態や撮影間隔を確認する(ステップS501)。この情報を基に、制御部220の制御により、撮像部212が撮影間隔毎に定期的に認証用画像の撮影を行う(ステップS502)。そして、この認証用画像のデータを画像特徴量取得に最適な形式に変換し(ステップS503)、当該変換後の認証用画像データを記憶部300に記憶する(ステップS504)。
【0030】
次に、顔認証部240により実行される顔認証処理(ステップS60)について、図8のフローチャートを用いて説明する。顔認証部240は、まず、ユーザ情報リスト301から必要な情報を取得する(ステップS601)。次に、上記ステップS50で取得した認証用画像データを記憶部300から読み出し(ステップS602)、この認証用画像データを解析して特徴量を抽出し、この特徴量を基に人物の顔を検索する(ステップS603)。この顔検出方法は、従来公知の適宜の検出方法を用いることができる。また、この顔検出の際は、当該顔のサイズが閾値以上のサイズのもののみを検出するようにしてもよい。なぜなら、電子メールを見たい者は、画像表示装置100に顔を近づけるため、その人物の顔はある程度大きく検出されるからである。逆に、閾値より小さい顔の人物は、画像表示装置100から離れた場所にいる人物や通りすがりの人物である可能性が高い。そのような人物に対して電子メールを表示する必要がないし、電子メールの視認を希望する登録ユーザの電子メールを表示しても、これらの人物に読まれる心配はない。また、このような閾値より小さい顔の人物を認証対象とした場合、この人物が未登録ユーザの場合は、本来視認を希望している登録ユーザが電子メールを視認できなくなる場合がある。
【0031】
次に、顔認証部240は、記憶部300からユーザ認証情報テーブルを読み出し、登録ユーザのユーザIDと特徴量とを取得する(ステップS604)。この登録ユーザの情報を基に、ステップS603で検出された全ての顔について、以下の処理を行う。まず、ステップS605の判断処理で、検出された顔がある場合は、当該顔の特徴量をキーとして、ユーザ認証情報テーブルを検索し、特徴量が一致するものがあるか照合する(ステップS606)。この照合の結果、特徴量が一致するものがある場合は、ユーザ認証情報テーブルからその特徴量を有する登録ユーザのユーザIDを取得し、当該顔の特徴量とユーザIDとを関連付けて検出情報テーブルに記憶する。一方、何れの特徴量とも一致しない場合は検出情報テーブルには、当該顔の特徴量と、ユーザIDとして、例えば「ヌル」を記憶する(以上、ステップS607)。そして、検出された顔全てについてステップS606,S607の処理が終了したら、顔認証処理(ステップS60)を終了する。
【0032】
以上の顔認証処理(ステップS60)により、検出情報テーブルには、検出された全ての顔の特徴量とユーザIDとが設定される。このユーザIDを参照すれば、どの登録ユーザが検出されたかわかり、ユーザIDが「ヌル」の場合は、未登録ユーザが検出されたことがわかる。また、登録ユーザについては、ユーザIDを基に、システム情報リスト301を検索して、電子メールアドレスなどのユーザ情報を取得することができる。
【0033】
次に、電子メール処理部250により実行される電子メール処理(ステップS80)について、図9のフローチャートを用いて説明する。なお、前述したように、顔認証処理(ステップS60)の結果を基に、ステップS70で未登録の顔が検出されと判断された場合、即ち、検出情報テーブルに、特徴量が設定されているがユーザIDが「ヌル」のものが1つでもあった場合は、未登録ユーザに電子メールを見られるのを防ぐため、この電子メール処理(ステップS80)は実行されず、検出された顔の全てが登録ユーザのものだった場合のみ実行される。また、顔が検出されなかった場合も電子メール処理は行われない(図4参照)。
【0034】
電子メール処理(ステップS80)では、まず、検出情報テーブルに設定されたユーザIDの登録ユーザ全てについて、ユーザ情報リスト301のアカウント情報領域302から、ユーザアカウント、メールアドレス、パスワード、送受信サーバ名、メール受信間隔などを取得する(ステップS801)。本実施形態では、図1の208が電子メールサーバとして指定されている。電子メール処理部250は、取得したメール受信間隔毎に、この電子メールサーバ208に接続し、電子メール到着確認を行う(ステップS802)。この処理を行う度に、ステップS801で取得されたアカウント情報を基に電子メールサーバ208による認証が行われるため、その結果を取得する(ステップS803)。この結果を基に認証がされたか否か判定し(ステップS804)、認証された場合は電子メールの有無を確認し、電子メールの到着が検出されたら、電子メールサーバ308から電子メールを取得する(ステップS805)。一方、認証されない場合、すなわち、通信路が途絶したなどのエラーが発生した場合は、電子メールの受信は行われず、エラーメッセージを通知するなど、エラーに対応したエラー処理を行う(ステップS806)。
【0035】
そして、ステップS805で電子メールの到着が通知され、電子メールが受信された場合は、これらの電子メールが記憶部300に記憶される(ステップS807)。各電子メールは、ユーザID毎(メールアドレス毎)に、メールボックスに振り分けて記憶される。また、このとき、電子メールのヘッダ部分に設定された発信元、宛先、発信者名及び発信日時と、本文と、添付ファイルとが、デコード(復号化)されて記憶される。また、この電子メールを受信したことを、ビデオコントローラ213を介して、ディスプレイ214に記号などを表示することで、視認者に知らせるようにしてもよい。なお、ステップS805で電子メールが到着していないことが確認された場合は、このステップS807は行われない。
【0036】
次に、ステップS808〜S809の処理を行って、ディスプレイ214に電子メールの内容を表示する。この電子メールの表示は、検出された登録ユーザ全員のメールアドレスが宛先(TO,CCいずれでもよい)に設定された電子メールのみを表示する。そのため、検出された登録ユーザの一人でも、宛先に指定されていない電子メールについては、表示は行われない。具体的な処理手順を以下に説明する。
【0037】
まず、メールボックスを検索して、表示対象の電子メールを取得する(ステップS808)。この場合の表示対象となる電子メールは、前述のように、検出された登録ユーザ全員が宛先(TO又はCC)に設定されたもののみである。また、メールボックスを検索する場合、検出された登録ユーザ全てのメールボックスを検索対象としてもよいが、処理効率を向上させる観点から、本実施形態では検出情報テーブルに記憶された一番目の登録ユーザのメールボックスのみを検索する。なぜなら、この登録ユーザの電子メールの宛先であるTO及びCCを参照すれば、今回検出された登録ユーザ全員に宛てた電子メールか否か判別でき、その結果、登録ユーザ全員に宛てた電子メールのみを取得することができるからである。なお、検出された登録ユーザが一人のみの場合は、当該登録ユーザのメールボックスの全ての電子メールが表示対象となる。
【0038】
次に、上記で取得した電子メールを、ビデオコントローラ213を介してディスプレイ214に表示する(ステップS809)。この表示は、一般的な電子メールの表示方法と同様に、題名、送信者情報、受信者情報、送信日時などを一覧で表示し、何れかの電子メールをクリックや画面タッチ等で選択することにより、本文の内容がディスプレイ214に表示されるような構成とすることができる。更には、電子メールに添付された画像データ等の添付ファイルを表示することができるようにしてもよい。また、届いた電子メールの総数や、何通中何通目のメールを表示しているかなどの情報を表示するようにしてもよい。
【0039】
以上により、電子メールの視認を希望する登録ユーザは、当該登録ユーザ全員に宛てた電子メールを視認することができる。視認者が一人の場合は、当該視認者宛の電子メールを全て視認することができる。また、視認中の何れかの登録ユーザ宛ての電子メールであっても、視認者の中に宛先人ではない登録ユーザがいる場合は、その電子メールは表示されず、宛先人以外の人物による視認を防止することができる。一方、表示対象となる電子メールが一つも存在しない場合は、直ちに電子メール処理(ステップS80)を終了する。このとき、表示対象電子メールが存在しない旨を視認者に通知してもよい。
【0040】
なお、視認者が席を離れたり他の視認者が新たに視認者に加わったりすることで、視認者に変更がある場合がある。しかし、電子メール処理と並行して一定時間ごとに画像撮影と顔認証処理とが実行されていることから、視認者の再認証を行って、この認証結果に応じて電子メールの表示内容などを変化させることもできる。また、視認者全てが離れた場合、または、視認者が視認終了動作を行った場合は、電子メール処理(ステップS80)を終了する。これにより、画像表示モードに戻るため、他人に電子メールが視認されるのを防ぐことができる。
【0041】
上記実施形態では、画像表示装置100の画像表示処理により実行される画像表示方法は、マイクロプロセッサ201で実行されるプログラムとして実装されている。ここで、このプログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体または記憶装置(記憶部300)に格納することができる。また、ネットワーク206などを介してディジタル信号として配信される場合もある。このとき、中間的な処理結果はメモリ等の記憶装置に一時保管される。あるいは、このプログラムを専用のICチップ(例えば、ASIC等)として構成しても良い。また、画像表示装置100としてデジタルフォトフレームの例を挙げたが、携帯電話や携帯音楽機器で実施することもできる。
【符号の説明】
【0042】
100 画像表示装置 212 撮像装置(検出部)
214 ディスプレイ(表示部) 201 マイクロプロセッサ(制御部)
300 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データ、電子メール及び登録ユーザの認証情報が記憶された記憶部と、
前記画像データ又は前記電子メールが表示される表示部と、
前記表示部の周囲にいる人の情報を検出する検出部と、
前記画像データを前記記憶部から読み出して前記表示部に表示するか、又は、前記検出部で人の情報が検出されているときに、前記人の情報から当該人を特定する識別情報を検出し、前記検出された識別情報が前記記憶部から読み出した前記登録ユーザの認証情報と一致するか否かを判定し、一致する場合は、当該登録ユーザを宛先とする電子メールを前記表示部に表示し、一致しない場合は前記画像データを前記表示部に表示する制御部と、
を有する画像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の登録ユーザが検出された場合に、当該複数の登録ユーザ全てを宛先とする前記電子メールを前記表示部に表示し、検出された前記登録ユーザのうち少なくとも一人が前記宛先に含まれない場合には前記電子メール表示しないよう構成された請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記表示部の周囲にいる人の認証用画像データを撮影する撮像装置であり、前記制御部は、前記撮像装置で撮影された前記認証用の画像データから前記識別情報として顔を検出し、当該顔と前記記憶部から読み出した前記認証情報とが一致するか否かを判定するよう構成された請求項1または2に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−53925(P2011−53925A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202444(P2009−202444)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(592217093)株式会社ニコンシステム (102)
【Fターム(参考)】