説明

画像表示装置、その制御方法及びコンピュータプログラム

【課題】1次読影と2次読影とで異なるモダリティを使用する場合であっても、一次の所見に基づき、異なるモダリティでの取得画像における該当箇所を特定し、ユーザに医用画像を提示する技術を提供する。
【解決手段】被験者を第1の撮影方式によ撮影して得られた第1の種類の画像に設定された一部領域の画像を利用し、第1の撮影方式とは異なる第2の撮影方式により第2の撮影装置で被験者を撮影して得られた第2の種類の複数の画像において、一部領域の画像と最も相関が高くなる領域を有する画像を特定する画像特定手段と、特定された第2の種類の画像を表示部に表示させる表示制御手段とを備え、画像特定手段は、第1の種類の画像が有する第1の撮像面が、第2の種類の画像が有する第2の撮像面と異なる場合に、第2の種類の複数の画像を再構成して第1の撮像面に対応する複数の再構成画像を生成し、複数の再構成画像のそれぞれについて、一部領域の画像との相関値を算出して、相関値が最大となる再構成画像を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、その制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
集団検診などにおいて、1次読影では病変候補の検出、2次読影では病変候補の詳細検査が行われる。この時、1次読影で胸部X線画像、2次読影でCTの大量画像を用いて検査することがある。2次読影では、1次読影の結果(所見位置情報)を知った上で読影すると、あらかじめ病変候補の位置等がわかるため、診断効率が上がる。
【0003】
そこで、複数方式での撮影(放射線画像、超音波画像)が可能な単一(複合型)モダリティ(医用画像撮影装置)を用いて、画像取得の際に位置情報を取得(生成)し、双方の画像を紐付けていた。このようにして得られた画像及び位置情報を用いて、撮影方法の異なる画像間で位置合わせを行うことで、比較表示が可能となる(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-82402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の装置では、単一(複合型)モダリティにおいて複数の異なる方法での撮影を可能にする必要がある。よって、当該装置に組み込まれた特定の方法で撮影された画像間でのみ紐付けが可能となっており、搭載されていない方法で撮影された画像は比較表示が困難となっていた。また、上述の装置では、1次読影の結果(所見位置情報)に関しては、2次読影に引き継げていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、1次読影と2次読影とで異なるモダリティを使用する場合であっても、一次の所見に基づき、異なるモダリティでの取得画像における該当箇所を特定し、ユーザに医用画像を提示する技術を提供する。
【0007】
そこで、本発明は、1次読影と2次読影とで異なるモダリティを使用する場合であっても、一次の所見に基づき、異なるモダリティでの取得画像における該当箇所を特定し、ユーザに医用画像を提示する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、画像表示装置であって、
被験者を第1の撮影方式により第1の撮影装置で撮影して得られた第1の種類の画像に設定された一部領域の画像を利用し、前記第1の撮影方式とは異なる第2の撮影方式により第2の撮影装置で前記被験者を撮影して得られた第2の種類の複数の画像において、前記一部領域の画像と最も相関が高くなる領域を有する画像を特定する画像特定手段と、
前記特定手段により特定された前記第2の種類の画像を表示部に表示させる表示制御手段とを備え、
前記画像特定手段は、
前記第1の種類の画像が有する第1の撮像面が、前記第2の種類の画像が有する第2の撮像面と異なる場合に、前記第2の種類の複数の画像を再構成して前記第1の撮像面に対応する複数の再構成画像を生成する再構成手段と、
前記複数の再構成画像のそれぞれについて、前記一部領域の画像との相関値を算出して、前記相関値が最大となる再構成画像を選択する相関算出手段と
を備え、
前記第2の種類の複数の画像のうち、前記相関算出手段が選択した前記再構成画像における前記一部領域に対応する位置の画像を特定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1次読影と2次読影とで異なるモダリティを使用する場合であっても、一次の所見に基づき、異なるモダリティでの取得画像における該当箇所を特定し、ユーザに医用画像を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】発明の実施形態に対応するシステム構成例を示す図。
【図2】発明の実施形態に対応する所見入力操作の説明図。
【図3】発明の実施形態に対応する所見位置情報のデータ構成の一例を示す図。
【図4】発明の実施形態に対応する所見位置情報抽出部105による所見位置を特定した結果例の説明図。
【図5】発明の実施形態1に対応する画像特定部106の内部構成例を示す図。
【図6】発明の実施形態に対応する撮像面の説明図。
【図7】発明の実施形態に対応する医用画像の表示例を示す図。
【図8】発明の実施形態に対応する再構成画像と2次画像との対応関係の説明図。
【図9】発明の実施形態に対応する2次画像の表示例を示す図。
【図10】発明の実施形態に対応する処理のフローチャート。
【図11】発明の実施形態2に対応する画像特定部106の内部構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
[実施形態1]
本実施形態では、1次読影用の1次画像と2次読影用の2次画像とで異なる医用画像を用いるが、患者あるいは被験者を撮影して医用画像を生成する方法には、複数の異なる撮影方式が存在する。これらには、たとえば、CR(Computed Radiography)、CT(Computed Tomography)、MR(Magnetic Resonance)、NM(Nuclear Medicine)、US(Ultrasound)、BI(Biomagnetic imaging)等がある。
【0013】
本実施形態では、まず、第1の撮影方式としてCRを採用し、第1の種類の画像として胸部X線画像を第1の撮影装置で撮影し1次読影を行う。次に、第2の撮影方式としてCTを採用し、第2の種類の画像としてCT画像を第2の撮影装置で撮影して2次読影を行うこととする。なお、第1の撮影装置と第2の撮影装置とは、別個独立に存在するものである。すなわち、1次読影では1次画像として胸部X線画像を用いて病変候補を検出し、2次読影では1次読影における検出部位につき、2次画像としてCT画像を用いて病変候補の詳細検査を行うものである。しかしながら、1次読影と2次読影における医用画像の組み合わせはこれに限定されるものではなく、任意の組み合わせに対して本発明を適用することが可能である。
【0014】
図1は、発明の実施形態におけるシステム構成の一例を示す図である。当該システムは、本実施形態の画像表示装置(あるいは「画像処理装置」、以下同様)101、所見入力部103、表示部108及びサーバ109で構成される。画像表示装置101は、通信制御部102、メモリ104、所見位置情報抽出部105、画像特定部106、表示制御部107を含む。なお、所見入力部103や表示部108を画像表示装置101内に組み込んでもよい。
【0015】
なお、画像表示装置101は、汎用のパーソナルコンピュータなどにより構成することができる。画像表示装置101の各機能ブロックは、CPUがROM、RAM、あるいはハードディスクなどに記憶されたプログラムを実行することにより実現可能である。また、通信制御部102はコンピュータが備える通信インタフェースにより実現することができる。表示制御部107は、CPUとグラフィックボードとの組み合わせにおいて実現することが可能である。
【0016】
以下、図10のフローチャートを参照しつつ、発明の実施形態に対応するシステムの動作を説明する。当該フローチャートに対応する処理は、画像表示装置内の処理プログラムを、CPUにより実行することによって実現が可能である。
【0017】
まず、通信制御部102は、サーバ109と通信を行い、サーバ109を介してX線撮影装置で撮影されたX線画像(本実施形態では、特に胸部X線画像)や、CTスキャナで撮影されたCT画像を取得する。まず1次読影では、S1001にて通信制御部102が表示制御部107からの指示を受け、1次読影で使用する胸部X線画像をサーバ109から取得して、表示制御部107に出力する。表示制御部107は、受信した胸部X線画像を表示部108に表示する。表示部108は、液晶ディスプレイ等の汎用のディスプレイ装置であればよい。胸部X線画像の表示例は図2に示すとおりである。
【0018】
図2のような表示状態において、S1002で所見入力部103がユーザ(1次の読影医)からの所見の入力を受け付けると、S1003で通信制御部102が入力情報をサーバ109に転送する。サーバ109は、当該入力情報を通信制御部102に提供した胸部X線画像と関連づけて格納することにより、所見情報を生成する。
【0019】
所見入力部103は、キーボードおよびマウスといったユーザインタフェースにより構成される。図2では、画面200上に胸部X線画像201と、カーソル202が表示されている。カーソル202の表示位置は、所見入力部103のマウス203の操作に対応する。ユーザは、所定のカーソル位置でマウスクリックをすることで位置を指定することができる。位置の指定は、X線画像201における座標情報に変換される。なお、位置の指定はマウスクリックに基づくポイント指定に限られず、マウスのドラッグ操作に基づき矩形領域が指定されてもよい。また、読影の診断結果をキーボードを利用して、テキスト情報として入力することができる。
【0020】
このようにして生成された所見情報の一例は、図3に示す通りである。図3において、所見情報300には、画像ID301、氏名302、検査結果303、所見位置304の少なくとも4つの情報が含まれる。画像ID301は、所見情報の入力対象となった画像を識別するための情報であって、画像の撮影時に付与される。氏名302は、当該画像の被写体となった患者あるいは被験者の氏名であり、同様に画像の撮影時に付与される。検査結果303には、所見入力部103により入力されたテキスト情報が登録される。所見位置304には、上述のカーソル位置の座標情報が登録される。なお、位置の指定がマウスクリックに基づくポイントである場合には、当該ポイントの座標値が所見位置304に登録される。一方、矩形領域として指定された場合には、矩形領域を特定するための座標値が所見位置304に登録される。なお、所見情報には、他の情報として、撮影日時、撮影場所(病院名)、撮影者、担当医師名等の情報が含まれてもよい。このようにして胸部X線画像について所見情報300が更新されると、1次読影が終了する。
【0021】
次に、2次読影では、通信制御部102が表示制御部107からの指示を受け、S1004でサーバ109から1次読影の結果である所見情報および胸部X線画像と、2次読影で使用するCT画像とを取得する。メモリ104は、通信制御部102から所見情報と各画像とを受信して一時的に保存する。メモリに一次保存された所見情報と胸部X線画像は、所見位置情報抽出部105に出力される。
【0022】
続くS1005で所見位置情報抽出部105は、受信した所見情報に含まれる所見位置304の情報に基づいて、胸部X線画像における所見位置を特定する。図4は、所見位置情報抽出部105による所見位置を特定した結果例を説明するための図である。図4(a)では、画像400において、点401が特定されている。当該特定部位の座標は(100、20)であって、図3における画像IDが「2」の画像に対応している。所見位置情報抽出部105は、特定された部位に基づいて、所定の大きさを有する矩形形状の一部領域を部位の周囲に設定する。図4(b)では、特定部位に矩形領域402が形成されている。当該矩形領域のサイズは、たとえば特定部位を中心に50×50画素、あるいは、100×100画素で構成できる。なお、本実施形態ではこのような1次画像に対して設定された一部領域のことを「テンプレート」と呼ぶことにするが、そのサイズは重要ではなく、特に限定すべきものではない。なお、所見情報300において、所見位置304が「点」ではなく、「矩形領域」を示す座標として登録されていた場合、所見位置情報抽出部105は、当該矩形領域をそのまま用いてもよいし、あるいは、上記所定のサイズの矩形領域に整形してもよい。
【0023】
所見位置情報抽出部105は、当該テンプレートに含まれる部分画像を胸部X線画像400から切り出して「画像所見情報」として画像特定部106へ出力する。画像特定部106では、当該画像所見情報に基づいて、2次画像であるCT画像の絞り込みを行う。
【0024】
画像特定部106の内部構成の一例は図5に示す通りである。画像特定部106は、画像再構成部501と相関算出処理部502とを有する。画像特定部106の処理を説明するに際し、被検体に互いに直交する3つの撮像面について図6を参照して説明する。図6に示すように、被検体の体軸を横断するアキシャル面(axialplane)、この体軸に沿って前後に縦断するサジタル面(sagittal plane)、左右に縦断するコロナル面(coronal plane)という。一般に、モダリティにより撮影される画像は、この3つの撮像面のいずれかに沿って撮影される。そして、1次画像について生成された所見情報における位置の情報を2次画像においても活用しようとする場合、この撮像面の共通性が重要となる。そこで、本実施形態では、1次画像と2次画像の撮像面が異なる場合に、画像再構成部501により1次画像の撮像面と同一となる画像を2次画像から再構成する。なお、撮像面が同一の場合には、再構成は行わずに、そのまま2次画像を相関算出処理部502に出力する。
【0025】
画像再構成部501は、メモリ104から1次画像としての胸部X線画像と2次画像としてのCT画像群とを取得する。S1006で画像再構成部501は、1次画像と2次画像の撮像面が同一か否かを判定する。具体的に、1次画像であるX線画像の第1の撮像面はコロナル面である一方、2次画像のCT画像の第2の撮像面はアキシャル面である。よって、撮像面が異なると判定できる(S1006で「NO」)。この場合、再構成を行うこととしてS1007で画像再構成部501はCT画像群を再構成して、コロナル面の画像群を再構成する。ここでの画像再構成の方法としては、例えば、断層画像からMPR(Multi Planar Reconstruction)画像を作成する技術等を転用することができる。このような再構成方法は、公知技術を用いればよいのでこれ以上の詳細な説明は省略する。一方、撮像面が同一の場合(S1006で「YES」)、再構成は行わないので、S1008に移行する。
【0026】
なお、各画像の撮像面の判定方法は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)が定める画像データのヘッダ情報を利用することができる。DICOMとは、米国放射線学会(ACR)と北米電子機器工業会(NEMA)により策定された標準規格であって、CT、MRI、CR等で撮影した医用画像のフォーマットとそれらの画像を扱う医用画像機器間の通信プロトコルを定義する。具体的に、X線画像については、ヘッダの以下の3つの特性に基づいて判定可能である。
1.一般シリーズモジュール属性:モダリティ
2.一般シリーズモジュール属性:検査部位
3.CRシリーズモジュール属性:視野位置
【0027】
実際に胸部X線画像の場合、各特性は以下のようになる。
1.一般シリーズモジュール属性:モダリティ=CR
2.一般シリーズモジュール属性:検査部位=CHEST
3.CRシリーズモジュール属性:視野位置=AP(前後方向)またはPA(後前方向)
【0028】
このような特性の組み合わせについては、「胸部X線画像、かつ、コロナル面の画像」と判定する。なお、「CRシリーズモジュール属性:視野位置」が「PA(後前方向)」であった場合、画像を回転させる。但し、画像が胸部X線画像かつコロナル面の画像であることの判別方法はこれに限るものではない。また、「CRシリーズモジュール属性の視野位置」が取得できない場合は、「一般シリーズモジュール属性:視野位置」から撮像面を判断してもよい。
【0029】
画像再構成部501は、各種モダリティで取得された画像について、画像の種類および撮像面とを、特性の組み合わせ及び各特性値と関連づけて管理しておく。そして、入力された1次画像と2次画像の特性に基づいて、画像の種類と撮像面を判定する。その上で、再構成の有無や方法を決定することができる。
【0030】
たとえば、一般シリーズモジュールには、「モダリティ」、「シリーズインスタンスUID」、「シリーズ番号」、「側性Laterality」、「シリーズ日付」、「シリーズ時刻」、「検査部位」、「患者位置」などがある。また、「モダリティ」の特性値には、CR(Computed Radiography)、CT(Computed Tomography)、MR(Magnetic Resonance)、NM(Nuclear Medicine)、US(Ultrasound)、BI(Biomagnetic imaging)等がある。「検査部位」には、SKULL,CSPINE, TSPINE, LSPINE, SSPINE, COCCYX,CHEST, CLAVICLE, BREAST, ABDOMEN,PELVIS, HIP, SHOULDER, ELBOW, KNEE,ANKLE, HAND, FOOT, EXTREMITY, HEAD,HEART, NECK, LEG, ARM, JAW等がある。
【0031】
CRシリーズモジュール属性は、モダリティ特有モジュールの1つであって、特にCRグラフィシリーズを記述する属性を規定している。CRシリーズモジュール属性には視野位置のほか、検査部位、フィルタタイプ、コリメータ/グリッド名などが含まれる。なお、モダリティ特有モジュールには、CTモジュールや、MR画像モジュールなどがある。
【0032】
S1007では、画像再構成部501が生成した再構成画像の画像群を相関算出処理部502に出力する。再構成が行われなかった場合、2次画像の画像群を相関算出処理部502に出力する。続くS1008では、相関算出処理部502が相関算出処理を以下のようにして実行する。
【0033】
相関算出処理部502は、所見位置情報抽出部105からの画像所見情報と、画像再構成部501からの再構成画像としてのコロナル面の画像とを取得する。相関算出処理部502は、たとえば輝度分布相関法を用いて、再構成された画像群から最も相関の高い領域を持つ画像を決定する。その際に、画像群との比較対象となるのは、所見位置情報抽出部105からの画像所見情報である。輝度分布相関法では、画像群の各画像について、テンプレートである画像所見情報を回転や平行移動させて、各位置における相関値を求め、相関値が最大となる画像を選択する。相関値としては、たとえば特開2002−324238号公報に記載の正規化相互相関値を用いてもよい。なお、相関に基づき画像を選択する方法自体は、当該公報のほか、特開平7−37074号公報、特開2001−325584号公報に記載される通り公知であるので、ここでのより詳細な説明は省略する。
【0034】
なお、1次読影で使用した画像と再構成された画像の解像度が異なる場合、テンプレートのサイズを、1次読影で使用した画像と再構成された画像の比率に応じて拡大縮小する。このような拡大縮小されたテンプレートは、予め所見位置情報抽出部105で生成しておいてもよいし、あるいは、画像再構成部501が生成してもよい。
【0035】
また、輝度分布相関法を用いて相関の高い領域を決定する際に、処理精度を上げるための前処理を行ってもよい。前処理の1つとして、たとえば1次読影で使用した画像と再構成された画像間で階調を合わせる処理を行うことができる。このような階調合わせ技術は公知技術を用いればよいが、特開平11−096352号公報はそのうちの1つを記載する。ここではまず、基準画像のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムを平坦化するための階調変換テーブルと、当該階調変換の逆変換を行う逆変換テーブルとを作成する。次に、処理対象画像のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムを平坦化した後、逆変換テーブルを適用して基準画像と同等の階調を得る。そのほかにも、特開平11−288462号公報や特開2001−243464にも階調合わせ技術が記載されているがここでの詳細な説明は省略する。
【0036】
また別の前処理として、1次読影の結果である所見情報における位置情報を用いて、相関の高い領域を決定する際の探索範囲を絞り込んでもよい。ここでは1次読影で使用した画像と再構成された画像との比率に応じて、1次読影で使用した画像及び矩形選択範囲(所見位置情報抽出部105で作成した矩形の範囲)を拡大縮小する。この状態から、矩形選択範囲をX、Y両方向に任意のサイズ分大きくする。この矩形選択範囲に対応する再構成された画像であるコロナル面の画像の範囲を探索範囲とする。これらは前処理の一例として説明したものであって、適用可能な前処理はこれらに限定されるものではない。
【0037】
相関算出処理部502は、相関が最も高い領域を有する再構成画像を決定すると、当該再構成画像を識別する識別情報と、当該再構成画像において画像所見情報との相関がもっとも高くなる位置の情報とを画像再構成部501に出力する。なお、識別情報は、再構成画像に付与された番号やファイル名を用いることができる。また、位置情報は、再構成画像における、画像所見情報に対応する矩形領域の座標情報とすることができる。
【0038】
なお、画像再構成部501が再構成画像を生成しなかった場合も、S1008では2次画像を対象として上記と同様に相関算出処理を行い、相関が最も高い2次画像を画像群の中から特定することができる。
【0039】
画像再構成部501は、続くS1009において識別情報と当該位置情報に基づいて、所見位置に該当するCT画像を選択する。選択されたCT画像は、2次画像の画像群の各画像に付与された画像IDにより特定され、表示制御部107に出力される。なお、図8に示すように、所見位置に該当するCT画像が複数存在する場合もあるが、その場合にも各CT画像に付与された画像IDにより、当該複数のCT画像が特定される。また、画像再構成部501は、上述の識別情報に対応する相関が最も高くなる再構成画像を、画像IDと共に表示制御部107に出力する。なお、CT画像の選択や、画像IDおよび再構成画像の出力は、相関算出処理部502側で行ってもよい。また、相関算出処理が2次画像について行われた場合は、相関算出処理部502により特定された2次画像の画像IDが画像再構成部501より出力される。
【0040】
表示制御部107は、1次読影及び2次読影の両方のタイミングで使用される。いずれの場合も、表示制御部107は、ユーザによる読影開始をトリガに処理を開始する。表示制御部107は、通信制御部102を制御して「1次読影で使用する画像」、「1次読影で使用した画像」、「所見情報」、「2次読影で使用する画像群」をサーバ109から任意のタイミングで取得することができる。
【0041】
また、表示制御部107は、表示部108に表示すべき画像をメモリ104から取得し、表示部108に出力する。特に、画像特定部106から画像IDを取得した場合には、S1010で当該画像IDに相当する2次画像としてのCT画像をメモリ104から取得し、表示部108に出力する。また、画像特定部106から再構成画像を取得した場合には、当該再構成画像を表示部108に出力する。なお、再構成画像だけでなく、1次読影で用いた対応する1次画像を合わせてメモリ104から取得して表示部108に出力してもよい。図7(a)は、画像特定部106から取得した再構成画像700を表示部108が表示した場合を示す図である。また、図7(b)は、1次読影で使用した胸部X線画像400と並べて表示した例を示す。さらに図7(c)に示すように画像の上に所見位置情報701を重畳して表示しても良い。
【0042】
さらに、画像特定部106から取得した画像IDに基づきアキシャル面のCT画像を表示する場合は、図9に示すようになる。この時、図8に示すように再構成画像の所見位置情報701に対応するCT画像が複数枚存在する場合は、画像IDが最小のものから順に表示してもよい。表示順や先頭画像の決定方法は任意であって、特に限定されるものではない。
【0043】
なお、上記実施形態では、1次読影と2次読影で使用する画像表示装置101が同一装置である場合を説明したが、1次読影と2次読影とで異なる医用画像表示装置を利用してもよい。その場合は、サーバ109に1次画像、2次画像、並びに所見情報が管理され、1次読影のための医用画像表示装置では、所見位置情報抽出部105と画像特定部106を除く構成が備わっていればよい。2次読影のための画像表示装置では、図1に示す画像表示装置101の構成を備えることが望ましい。
【0044】
以上の本実施形態によれば、1次読影と2次読影で使用する画像のモダリティが異なり、かつ、撮像面が異なる場合でも、1次読影における所見位置情報(注目した箇所)を2次読影においてユーザに提示可能になる。よって、2次読影における診断効率が向上する。
【0045】
[実施形態2]
次に、発明のさらなる実施形態について説明する。本実施形態における医用画像表示装置の構成は図1と同様である。以下では主に、実施形態1との相違部分について説明する。
【0046】
まず、本実施形態では、1次読影にてMR画像、2次読影にてCT画像を用いる例を説明する。この場合画像特定部106及び表示制御部107の構成、動作が実施形態1とは異なる。まず画像特定部106は、図11に示すように、画像再構成部501と相関算出処理部502に加え、濃淡反転部1101を有する。この濃淡反転部1101は、画像再構成部501や相関算出処理部502に組み込まれてもよいし、独立して設けられてもよい。
【0047】
画像再構成部501は、1次画像と2次画像の撮像面に基づき再構成を行う必要があるか否かを、DICOMヘッダの所定の特性に基づいて判定する。当該判定は、図10のS1008より前に実行することができる。
【0048】
まず、各画像の種類を判定する。1次読影で使用するMR画像のDICOMヘッダの「一般シリーズモジュール属性のモダリティ」は「MR」である。また、2次読影で使用するCT画像の「一般シリーズモジュール属性のモダリティ」は「CT」である。画像再構成部501は次に、撮像面が同じであるか否かをさらに判定する。CT画像及びMR画像の撮像面は、DICOMヘッダの「一般シリーズモジュール属性:患者位置」から判定することができる。具体的には、「一般シリーズモジュール属性:患者位置」の値がMR画像とCT画像とで同じ場合は、撮像面が同じであると判定できる。但し、判定手法はこれに限るものではない。なお、本実施形態のように1次読影と2次読影とで使用する画像の撮像面が同一の場合、画像再構成部501では、画像の再構成を行わない。
【0049】
そこで画像再構成部501は、メモリ104から取得した2次画像の画像群を濃淡反転部1101に出力する。濃淡反転部1101では、1次読影で使用した画像から得られた画像所見情報と、2次読影で使用する画像群に対し、相関算出処理部502へ画像を受け渡す前の前処理として画像処理を施す。まず、1次画像及び2次画像それぞれにつき、DICOMヘッダの「画像画素モジュールの属性の光度測定解釈」を解析する。その結果、CT画像が「MONOCHROME1」でMR画像が「MONOCHROME2」であれば、各画像の画素値の最小値が「白」と「黒」とで逆転した、濃淡の逆転した画像であると判断できる。なお、MONOCHROME1の最小値が白であり、MONOCHROME2の最小値が黒である。そこで、濃淡反転部1101は、1次読影で使用した画像の濃淡を、2次読影で使用する画像の濃淡に合わせる処理を施す。なお、濃淡を逆転する画像は1次画像と2次画像のいずれであってもよい。
【0050】
相関算出処理部502は、実施形態1において説明したのと同様、画像所見情報と2次画像の画像群とを比較して、相関の最も大きくなる画像を選択し、当該画像の画像IDを表示制御部107に出力する。
【0051】
表示制御部107では、画像特定部106から取得した画像IDに基づいて、メモリ104から2次画像を選択し、表示部108に表示する。その際、本実施形態では、1次画像のMR画像と、2次画像のCT画像との濃淡が逆転しているため、図7(b)のような対比表示を行う場合、一方の濃淡を逆転して表示してもよい。なお、2次画像の濃淡を反転した画像は、表示制御部107で生成しても、濃淡反転部1101で生成された画像を相関算出処理部502を経由して取得してもよい。
【0052】
なお、本実施形態では、1次画像と2次画像の撮像面が同一の場合を説明したが、撮像面が異なる場合であっても、濃淡が異なる場合には濃淡反転部1101により、濃淡を反転した上で、相関演算処理を行えばよい。
【0053】
以上の本実施形態によれば、1次読影と2次読影で使用する画像のモダリティが異なり、かつ、撮像面が同一で、画像の濃淡などが異なる場合でも、1次読影における所見位置情報(注目した箇所)を2次読影においてユーザに提示可能になる。よって、2次読影における診断効率が向上する。
【0054】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者を第1の撮影方式により第1の撮影装置で撮影して得られた第1の種類の画像に設定された一部領域の画像を利用し、前記第1の撮影方式とは異なる第2の撮影方式により第2の撮影装置で前記被験者を撮影して得られた第2の種類の複数の画像において、前記一部領域の画像と最も相関が高くなる領域を有する画像を特定する画像特定手段と、
前記特定手段により特定された前記第2の種類の画像を表示部に表示させる表示制御手段と
を備え、
前記画像特定手段は、
前記第1の種類の画像が有する第1の撮像面が、前記第2の種類の画像が有する第2の撮像面と異なる場合に、前記第2の種類の複数の画像を再構成して前記第1の撮像面に対応する複数の再構成画像を生成する再構成手段と、
前記複数の再構成画像のそれぞれについて、前記一部領域の画像との相関値を算出して、前記相関値が最大となる再構成画像を選択する相関算出手段と
を備え、
前記第2の種類の複数の画像のうち、前記相関算出手段が選択した前記再構成画像における前記一部領域に対応する位置の画像を特定する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記相関算出手段が選択した再構成画像を前記表示部にさらに表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記画像特定手段は、
前記第1の種類の画像の濃淡と、前記第2の種類の画像の濃淡とが逆転している場合に、前記一部領域の画像と前記第2の種類の画像のいずれか一方の濃淡を反転させる反転手段をさらに備え、
前記相関算出手段は、前記濃淡が反転された画像を用いて前記相関値を算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
表示部に画像を表示させる画像表示装置の制御方法であって、
画像特定手段が、被験者を第1の撮影方式により第1の撮影装置で撮影して得られた第1の種類の画像に設定された一部領域の画像を利用し、前記第1の撮影方式とは異なる第2の撮影方式により第2の撮影装置で前記被験者を撮影して得られた第2の種類の複数の画像において、前記一部領域の画像と最も相関が高くなる領域を有する画像を特定する画像特定工程と、
表示制御手段が、前記特定工程において特定された前記第2の種類の画像を前記表示部に表示させる表示制御工程と
を備え、
前記画像特定工程は、
再構成手段が、前記第1の種類の画像が有する第1の撮像面が、前記第2の種類の画像が有する第2の撮像面と異なる場合に、前記第2の種類の複数の画像を再構成して前記第1の撮像面に対応する複数の再構成画像を生成する再構成工程と、
相関算出手段が、前記複数の再構成画像のそれぞれについて、前記一部領域の画像との相関値を算出して、前記相関値が最大となる再構成画像を選択する相関算出工程と
を備え、
前記第2の種類の複数の画像のうち、前記相関算出手段が選択した前記再構成画像における前記一部領域に対応する位置の画像が特定される
ことを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【請求項5】
コンピュータを請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−147901(P2012−147901A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8171(P2011−8171)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】