説明

画像表示装置、画像表示プログラム及び画像表示システム

【課題】表示画面に表示された対話相手が複数の利用者のうち特定の利用者に視線が向けられていることを知覚させる画像表示装置、画像表示プログラム及び画像表示システムを提供する。
【解決手段】画像表示装置1Aは、利用者2A及び2Bの人物像4A及び4Bが表示される表示部13Bにおいて、表示部13に対する対話相手の利用者2C〜2Eの視線を検出して得られる視線情報を画像表示装置1Bから受信する人物視線情報受信手段104Aと、人物視線情報受信手段104Aが受信した視線情報に基づいて瞳の形状を決定し、当該形状を有する瞳を含む利用者2C〜2Eの人物像を生成する人物像情報生成手段105Aと、人物像情報生成手段105Aが生成した人物像を利用者に表示する表示部13Aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示プログラム及び画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔会議システムにおいて利用者間の視線を一致する技術が提案されている。
【0003】
これに関連する技術として、特許文献1には、利用者のいる各地点において、相手の像を表示する表示部と、表示部の表示画面に対して利用者の位置を規定する位置規定手段と、当該利用者を撮像する撮像部と、撮像部を利用者と表示画面との間の所定の位置に支持するための支持機構とを有し、撮像部を、位置規定手段によって特定された利用者から表示画面までの距離、及び、利用者の視線と相手の像の視線とが一致したと判断される視差角、によって定義される視線一致領域内であって、利用者に対し相手の像の一部を遮る位置に設置することで、撮像部の存在が対話に与える影響を抑制しつつ、利用者間の視線を一致する画像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−75173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表示画面に表示された対話相手が複数の利用者のうち特定の利用者に視線を向けていることを知覚させる画像表示装置、画像表示プログラム及び画像表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]利用者の人物像が表示される外部表示手段の表示画面に対する対話相手の視線を検出して得られる視線情報を外部から受信する受信手段と、受信した前記視線情報に応じた形状を有する瞳を含む前記対話相手の人物像を生成する人物像生成手段と、前記人物像生成手段が生成する前記人物像を前記利用者に表示する表示手段とを有する画像表示装置。
【0007】
[2]前記人物像生成手段は、前記視線情報に応じて、前記対話相手の視線の先の前記外部表示手段に表示される人物像に対応する利用者にとって正面視であるように見える形状を有する瞳を含む前記対話相手の人物像を生成する前記[1]に記載の画像表示装置。
【0008】
[3]前記人物像生成手段は、前記視線情報に応じた位置に前記瞳を配置して前記人物像を生成する前記[1]又は[2]に記載の画像表示装置。
【0009】
[4]前記表示手段に対する前記利用者の位置を検出する検出手段をさらに有し、前記人物像生成手段は、前記視線情報及び前記利用者の位置に応じて前記対話相手の人物像を生成する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の画像表示装置。
【0010】
[5]前記視線情報を異なる方向に変動させる視線変動手段をさらに有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の画像表示装置。
【0011】
[6]前記表示部に対する前記利用者の視線を検出して利用者の視線情報を生成する視線情報生成手段と、前記利用者の視線情報を前記外部に送信する送信手段とをさらに有する前記[1]〜[5]のいずれかに記載の画像表示装置。
【0012】
[7]コンピュータを、利用者の人物像が表示される外部表示手段の表示画面に対する対話相手の視線を検出して得られる視線情報を外部から受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記視線情報に応じた形状を有する瞳を含む前記対話相手の人物像を生成した人物像生成手段と、前記人物像生成手段が生成する前記人物像を前記利用者に表示する表示手段として機能させるための画像表示プログラム。
【0013】
[8]第1の画像表示装置と第2の画像表示装置とを通信可能に接続してなる画像表示システムであって、前記第1の画像表示装置は、前記第2の画像表示装置の表示手段の表示画面に対する対話相手の視線を検出して得られる対話相手の視線情報を前記第2の画像表示装置から受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段が受信した前記対話相手の視線情報に応じた形状を有する瞳を含む前記対話相手の人物像を生成する第1の人物像生成手段と、前記人物像生成手段が生成した前記対話相手の人物像を前記利用者に表示する第1の表示手段と、前記表示部に対する前記利用者の視線を検出して利用者の視線情報を生成する第1の視線情報生成手段と、前記利用者の視線情報を前記第2の画像表示装置に送信する第1の送信手段とを有し、前記第2の画像表示装置は、前記利用者の視線情報を前記第1の画像表示装置から受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段が受信した前記利用者の視線情報に応じた形状を有する瞳を含む前記利用者の人物像を生成する第2の人物像生成手段と、前記第2の人物像生成手段が生成した前記利用者の人物像を前記対話相手に表示する第2の表示手段と、前記対話相手の視線情報を生成する第2の視線情報生成手段と、前記対話相手の視線情報を前記第1の画像表示装置に送信する第2の送信手段とを有する画像表示システム。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、7又は8に係る発明によれば、表示画面に表示された対話相手が、複数の利用者のうち特定の利用者に視線を向けていることを知覚させることができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、特定の利用者に正面視であることを知覚させることができる瞳形状を生成することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、表示画面に表示された対話相手が見ている方向を知覚させることができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、複数の利用者のうち特定の利用者に視線が向けられていることを当該特定の利用者に知覚させる瞳の形状を決定することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、複数の利用者のうち特定の利用者以外に視線が合っていないことを知覚させることができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、表示画面に表示された利用者が複数の対話相手のうち特定の対話相手に視線を向けていることを知覚させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る画像表示システムの構成例を示す概略図である。
【図2】図2は、画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、人物像情報生成手段の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、人物位置情報を生成する動作の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、人物視線情報を生成する動作の一例を示す概略図である。
【図6】図6(a)〜(d)は、人物像情報生成手段の動作の一例を示す概略図である。
【図7】図7は、人物像の視線と瞳形状との関係を示す概略図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、人物像の表示例を示す概略図である。
【図9】図9は、第2の実施の形態に係る画像表示装置の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
(画像表示システムの構成)
図1は、第1の実施の形態に係る画像表示システムの構成例を示す概略図である。
【0022】
この画像表示システム5は、ある地点に設置され、カメラ12A及び表示部13Aを備える画像表示装置1Aと、画像表示装置1Aが設置された地点と異なる遠隔の地点に設置され、カメラ12B及び表示部13Bを備える画像表示装置1Bとをネットワーク3によって互いに通信可能に接続することで構成される。
【0023】
画像表示装置1Aのカメラ12Aで撮影された利用者2A及び2Bの画像情報に基づいて、画像表示装置1Bは人物像4A及び4Bを表示部13Bに表示し、画像表示装置1Bのカメラ12Bで撮影された利用者2C〜2Eの画像情報に基づいて、画像表示装置1Aは、人物像4C〜4Eを表示部13Aに表示する。また、画像表示装置1A及び1Bは、図示しないマイク及びスピーカーを備え、利用者2A及び2Bと利用者2C〜2Eとの通話を可能とする。
【0024】
画像表示装置1A及び1Bは、情報を処理するための機能を備えたCPU(Central Processing Unit)や記憶部等の電子部品を備え、カメラ12A及び12Bで撮影された画像情報を処理し、表示部13A及び13Bにそれぞれ映像を表示するよう制御する情報処理装置である。なお、画像表示装置1A及び1Bは、例えば、パーソナルコンピュータであり、その他にPDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機等を用いることもできる。
【0025】
ネットワーク3は、LAN(Local Area Network)、インターネット等の通信網であり、有線、無線は問わない。
【0026】
(画像表示装置の構成)
図2は、画像表示装置1Aの構成例を示すブロック図である。なお、画像表示装置1Bは、画像表示装置1Aと同様の構成を有するため説明を省略する。
【0027】
画像表示装置1Aは、CPU等から構成され各部を制御するとともに各種のプログラムを実行する制御部10Aと、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体であって情報を記憶する記憶部11Aと、撮像素子及びレンズ等を備えて利用者を撮影するカメラ12Aと、液晶ディスプレイ等であって文字や画像を表示する表示部13Aと、外部のネットワーク3と通信して情報を送信及び受信する通信部14Aとを備える。なお、画像表示装置1Aは、さらにキーボードやマウス等であって操作に応じた操作信号を発する操作部を備えてもよい。
【0028】
なお、画像表示装置1Aは、例えば、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話等の電子機器であるが、カメラ12Aや表示部13Aを備えないサーバ装置のようなものでもよく、その場合はネットワーク等により接続された端末装置の操作部や表示部がそれらの機能を代替する。
【0029】
制御部10Aは、後述する画像表示プログラム110Aを実行することで、画像受付手段100A、人物検出手段101A、視線検出手段102A、人物視線情報送信手段103A、人物視線情報受信手段104A、人物像情報生成手段105A及び視線変動発生手段106A等として機能する。
【0030】
画像受付手段100Aは、カメラ12Aが撮影して出力する画像情報を受け付ける。
【0031】
人物検出手段101Aは、画像受付手段100Aが受け付けた画像情報から人物及びその位置を検出し、人物位置情報111Aを出力する。
【0032】
視線検出手段102Aは、画像受付手段100Aが受け付けた画像情報から、人物検出手段101Aが検出した人物の視線を検出し、人物視線情報112Aを出力する。
【0033】
人物視線情報送信手段103Aは、視線検出手段102Aが出力した人物視線情報112Aを通信部14Aを介して画像表示装置1Bに送信する。
【0034】
人物視線情報受信手段104Aは、画像表示装置1Bが送信する人物視線情報112Bを通信部14Aを介して受信する。
【0035】
人物像情報生成手段105Aは、人物検出手段101Aが出力した人物位置情報111A及び人物視線情報受信手段104Aが受信した人物視線情報112Bに基づいて人物像情報113Aを生成する。
【0036】
視線変動発生手段106Aは、人物視線情報受信手段104Aが受信した人物視線情報112Bに、例えば、ランダムなタイミング及びランダムな方向一時的に変動を加える。
【0037】
記憶部11Aは、制御部10Aを上述した各手段100A〜106Aとして動作させる画像表示プログラム110A、人物検出手段101Aが出力した人物位置情報111A、視線検出手段102Aが検出した人物視線情報112A及び人物像情報生成手段105Aが生成した人物像情報113A等を記憶する。
【0038】
図3は、人物像情報生成手段105Aの構成の一例を示すブロック図である。
【0039】
人物像情報生成手段105Aは、人物像外観生成手段105a、瞳位置決定手段105b、瞳形状決定手段105c、目画像生成手段105d及び画像合成手段105e等を有する。
【0040】
人物像外観生成手段105aは、予め用意された画像等によって少なくとも目以外の人物像の外観である人物像外観を生成する。
【0041】
瞳位置決定手段105bは、人物視線情報112Bに基づいて人物像の目に表示される瞳の位置を決定する。
【0042】
瞳形状決定手段105cは、人物像の目に表示される瞳の形状を決定する。
【0043】
目画像生成手段105dは、瞳位置決定手段105bが決定した瞳の位置と、瞳形状決定手段105cが決定した瞳形状とに基づいて人物像の目の画像を生成する。
【0044】
画像合成手段105eは、人物像外観生成手段105aが生成した人物像外観と、目画像生成手段105dが生成した目の画像とを合成して人物像情報113Aを出力する。
【0045】
なお、視線変動発生手段106Aは、人物視線情報受信手段104Aから入力される人物視線情報112Bに変動を発生させる。
【0046】
(画像表示装置の動作)
以下に、画像表示装置1Aの動作例を図1〜図8を参照しつつ、(1)基本動作、(2)人物位置情報生成動作、(3)人物視線情報生成動作、(4)人物像情報生成動作に分けて説明する。
【0047】
(1)基本動作
まず、視聴者は、画像表示装置1Aの図示しない操作部を操作して、画像表示装置1Bとの通信を指示する。
【0048】
画像表示装置1Aは、指示を受けると画像表示装置1Bと通信を開始する。次に、カメラ12Aによる撮影を実行し、画像受付手段100Aは、カメラ12Aが撮影して出力する画像情報を受け付ける。
【0049】
(2)人物位置情報生成動作
次に、人物検出手段101Aは、画像受付手段100Aが受け付けた画像情報から人物及びその位置を検出し、人物位置情報111Aを出力する。人物の検出及び人物の位置の検出は以下に説明するように行う。
【0050】
図4(a)及び(b)は、人物位置情報111Aを生成する動作の一例を示す概略図であり、図4(a)はカメラ12Aが撮影した画像情報、図4(b)はカメラ12Aに対する人物位置を示す。
【0051】
まず、人物検出手段101Aは、カメラ12Aが撮影した画像情報120Aから顔認識等の技術を用いて利用者2A及び2Bの顔を認識する。認識された利用者2A及び2Bの顔は、図4(a)に示すように、画像情報120A中に顔認識枠P及びPによって特定され、人物検出手段101Aは、顔認識枠P及びPの中心点の座標を出力する。
【0052】
次に、人物検出手段101Aは、顔認識枠P及びPの中心点の座標から、図4(b)に示すように、カメラ12Aに対する人物位置p及びpを計算し、これらp及びpを含む人物位置情報111Aを出力する。なお、人物位置p及びpの計算及び人物位置情報111Aの出力動作は、予め定めた時間毎に繰り返し実行される。
【0053】
(3)人物視線情報生成動作
次に、視線検出手段102Aは、画像受付手段100Aが受け付けた画像情報120Aから、人物検出手段101Aが検出した人物の視線を検出する。具体的には、視線検出手段102Aは、図4(a)に示す視線認識枠Q及びQによって認識された利用者2A及び2Bの目の中心点の座標と、瞳の中心点の座標とから人物視線s及びsを算出する。
【0054】
図5は、人物視線情報112Aを生成する動作の一例を示す概略図である。
【0055】
視線検出手段102Aは、視線認識枠Q及びQによって認識された利用者2A及び2Bの目の中心点の座標と、瞳の中心点の座標とから、図5に示すように、利用者2A及び2Bから表示部13Aの人物像4C〜4Eに対する人物視線s及びsを計算し、これらs及びsを含む人物視線情報112Aを出力する。
【0056】
次に、人物視線情報送信手段103Aは、視線検出手段102Aが出力した人物視線情報112Aを通信部14Aを介して画像表示装置1Bに送信する。
【0057】
また、画像表示装置1Bについても、以上に説明した動作を実行しており、人物視線情報受信手段104Aは、画像表示装置1Bから送信される人物視線情報112Bを通信部14Aを介して受信する。
【0058】
(4)人物像情報生成動作
次に、人物像情報生成手段105Aは、人物検出手段101Aが出力した人物位置情報111A及び人物視線情報受信手段104Aが受信した人物視線情報112Bに基づいて人物像情報113Aを生成する。以下、人物像情報生成動作について詳細に説明する。
【0059】
図6(a)〜(d)は、人物像情報生成手段105Aの動作の一例を示す概略図である。
【0060】
まず、人物像外観生成手段105aは、図6(a)に示すように、目41l及び41r以外の人物像外観41を生成する。人物像外観41は、利用者毎に予め定められたアバター等の画像を用いる。なお、人物像外観41は、必ずしも上半身でなくともよく、全身又は顔のみ等、目41l及び41rを含めば範囲を特に限定しない。
【0061】
次に、瞳位置決定手段105bは、利用者2C〜2Eの視線を示す人物視線情報112B及び利用者2A及び2Bの人物位置を示す人物位置情報111Aに基づいて人物像4C〜4Eの瞳位置42をそれぞれ決定する。つまり、人物視線情報112Bによって利用者2C〜2Eがそれぞれ人物像4A又は4Bのいずれを見ているか判断し、利用者2C〜2Eが見ている人物像4A又は4Bに該当する利用者2A又は2Bの人物位置を人物位置情報111Aから取得して、人物像4C〜4Eが利用者2A又は2Bの人物位置を見るように目41l及び41rの瞳位置42を決定する。
【0062】
次に、瞳形状決定手段105cは、利用者2C〜2Eの視線を示す人物視線情報112B及び利用者2A及び2Bの人物位置を示す人物位置情報111Aに基づいて人物像4C〜4Eの瞳形状43をそれぞれ決定する。瞳形状43の決定動作を以下に説明する。なお、以下に説明するように目左右の瞳形状は厳密には異なるものとなるが、同一のものを用いてもよい。
【0063】
図7は、人物像の視線と瞳形状との関係を示す概略図である。
【0064】
表示部13Aのスクリーン面130Aから仮想的に距離Dの位置にある人物像4D(4C、4E)の目410が、人物像4D(4C、4E)から見てスクリーン面130Aの正面(x=0)にいる利用者2Aを見ているとき、つまり人物視線s1aであるとき、スクリーン面130Aから人物視線s1a方向で距離Lに利用者2Aがいるとすると、利用者2Aに視線を向けている場合の瞳形状43aは略真円、その外縁はe1a及びe2aであり、瞳位置42aは目41lの中心である。
【0065】
また、目410が、人物像4D(4C、4E)から見て正面から角度θの左手にいる利用者2Bを見ているとき、つまり図面中の右側であって人物視線s1bであるとき、スクリーン面130Aのx=xから人物視線s1b方向で距離Lに利用者2Bがいるとすると、瞳位置42はx=x、その外縁はe1b及びe2bであり、瞳形状43bは、e2b−x<x−e1b、の略楕円であり、瞳位置42bは図面中の目41lの右側である。当該瞳形状43bは、利用者2Bから見て真円に見えるため、利用者2Bは正面視の瞳形状と知覚する。
【0066】
なお、説明のためにx=xの付近に目41lを示したが、実際にx=xの付近に目41lを表示するわけではなく、瞳形状43bでx=0が目41lの中心となるよう表示する。また、目410が図面に直交する方向に正面から角度φの上方向又は下方向を見ているときについても、上記の動作を適用することにより瞳形状が縦方向に変形する。
【0067】
次に、目画像生成手段105dは、目41l及び41rの瞳位置決定手段105bが決定した瞳位置42に瞳形状43を配置することで目41l及び41rの画像を生成する。
【0068】
次に、画像合成手段105eは、利用者2C〜2Eのそれぞれについて人物像外観生成手段105aと目41l及び41rとを合成して人物像40を生成して、これら人物像40を人物像情報113Aとして出力する。
【0069】
次に、表示部13Aは、人物像情報生成手段105Aの画像合成手段105eが出力した人物像情報113Aを表示する。
【0070】
図8(a)〜(c)は、人物像4C〜4Eの表示例を示す概略図である。説明のため人物像4C〜4Eの顔部分のみ示す。
【0071】
目41l及び41rは、図8(a)に示すように、正面(x=0)を見ている場合、瞳位置42aが目41l及び41rの中心であり、瞳形状43aが真円である。
【0072】
また、目41l及び41rは、図8(b)に示すように、図面の右側(x=x)を見ている場合、瞳位置42bが目41l及び41rの右側であり、瞳形状43bが横方向に長軸を有する楕円である。
【0073】
また、目41l及び41rは、図8(c)に示すように、図面の左下を見ている場合、瞳位置42cが目41l及び41rの左下であり、瞳形状43bが左下方向に長軸を有する楕円である。
【0074】
なお、視線変動発生手段106Aは、人物視線情報受信手段104Aが受信した人物視線情報112Bに、ランダムなタイミング及びランダムな方向に一時的に変動を加える。図8に示す例を用いて説明すると、図8(a)に示すように、人物像4C〜4Eの視線が正面である場合、利用者2Aが利用者2Aに視線を向けているように見えるだけでなく、スクリーン面130Aの正面から外れた位置にいる利用者2Bにとっても利用者2Bに視線を向けているように知覚される。そのため、ランダンムなタイミングで一時的に視線を、例えば、人物視線s1bに、つまり、図8(b)に示す瞳形状43b(瞳位置42b)にする。そうすることで、利用者2Bは、一時的に視線が向けられていることを知覚し、そこから元の状態(図8(a))に戻ったときに視線が逸れたことを知覚するため、人物像4C〜4Eの視線が正面であっても利用者2Bに視線を向けているように知覚されなくなる。
【0075】
[第2の実施の形態]
図9は、第2の実施の形態に係る画像表示装置の構成例を示す概略図である。
【0076】
この画像表示装置1Cは、単独で設置され、カメラ12C及び表示部13Cを備える。画像表示装置1Cは、表示部13Cに表示される人物像4Hによって、例えば、利用者2I〜2Kからの質問に対して、質問された利用者2I〜2Kに視線を合わせて予め定めた案内等の応答を自動で行う。
【0077】
画像表示装置1Cは、上記案内動作を実現するため、カメラ12Cで撮影された利用者2I〜2Kの画像情報に基づいて、人物検出手段101Aにより利用者2I〜2Kの位置を検出し、利用者位置に位置する利用者2I〜2Kのいずれかに視線を合わせるため、人物像情報生成手段105Aにより第1の実施の形態の動作を適用して瞳形状及び瞳位置を変更する。
【0078】
なお、上記の動作を実現するためには、図2に示す画像受付手段100A、人物検出手段101A、人物像情報生成手段105Aを少なくとも備え、さらに、質問をいずれの利用者から受けたか判断するためのマイク及び音源方向検出部と、質問に対して案内情報を再生する再生手段とをさらに必要とする。
【0079】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。例えば、人物像情報生成手段105Aは、人物像外観41に代えて、カメラ12Bで撮影された対話相手である利用者2C〜2Eの画像を用いてもよい。その場合は、目41l及び41rに該当する領域を検出し、その領域を目画像生成手段105dが生成した目画像で置き換える。
【0080】
また、上記画像表示プログラム110AをCD−ROM等の記憶媒体に格納して提供することも可能であり、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ装置等から装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。また、画像受付手段100A、人物検出手段101A、視線検出手段102A、人物視線情報送信手段103A、人物視線情報受信手段104A、人物像情報生成手段105A及び視線変動発生手段106Aの一部又は全部をASIC等のハードウェアによって実現してもよい。なお、上記実施の形態の動作説明で示した各ステップは、順序の変更、ステップの省略、追加が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1A、1B、1C…画像表示装置、2A〜2E、2I〜2K…利用者、4…ネットワーク、4A〜4E、4H…人物像、5…画像表示システム、10A…制御部、11A…記憶部、12A…カメラ、13A…表示部、14A…通信部、40…人物像、41…人物像外観、41l…目、42…瞳位置、43…瞳形状、100A…画像受付手段、101A…人物検出手段、102A…視線検出手段、103A…人物視線情報送信手段、104A…人物視線情報受信手段、105A…人物像情報生成手段、105a…人物像外観生成手段、105b…瞳位置決定手段、105c…瞳形状決定手段、105d…目画像生成手段、105e…画像合成手段、106A…視線変動発生手段、110A…画像表示プログラム、111A…人物位置情報、112A…人物視線情報、112B…人物視線情報、113A…人物像情報、120A…画像情報、130A…スクリーン面、410…目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の人物像が表示される外部表示手段の表示画面に対する対話相手の視線を検出して得られる視線情報を外部から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記視線情報に応じた形状を有する瞳を含む前記対話相手の人物像を生成する人物像生成手段と、
前記人物像生成手段が生成した前記人物像を前記利用者に表示する表示手段と、
を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記人物像生成手段は、前記視線情報に応じて、前記対話相手の視線の先の前記外部表示手段に表示される人物像に対応する利用者にとって対話相手の瞳が正面視に見える形状を有する瞳を含む前記対話相手の人物像を生成する請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記人物像生成手段は、前記視線情報に応じた位置に前記瞳を配置して前記人物像を生成する請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記表示手段に対する前記利用者の位置を検出する検出手段をさらに有し、
前記人物像生成手段は、前記視線情報及び前記利用者の位置に応じて前記対話相手の人物像を生成する請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記視線情報を異なる方向に変動させる視線変動手段をさらに有する請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記表示部に対する前記利用者の視線を検出して利用者の視線情報を生成する視線情報生成手段と、
前記利用者の視線情報を前記外部に送信する送信手段とをさらに有する請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項7】
コンピュータを、
利用者の人物像が表示される外部表示手段の表示画面に対する対話相手の視線を検出して得られる視線情報を外部から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記視線情報に応じた形状を有する瞳を含む前記対話相手の人物像を生成する人物像生成手段と、
前記人物像生成手段が生成した前記人物像を前記利用者に表示する表示手段として機能させるための画像表示プログラム。
【請求項8】
第1の画像表示装置と第2の画像表示装置とを通信可能に接続してなる画像表示システムであって、
前記第1の画像表示装置は、前記第2の画像表示装置の表示手段の表示画面に対する対話相手の視線を検出して得られる対話相手の視線情報を前記第2の画像表示装置から受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段が受信した前記対話相手の視線情報に応じた形状を有する瞳を含む前記対話相手の人物像を生成する第1の人物像生成手段と、前記人物像生成手段が生成した前記対話相手の人物像を前記利用者に表示する第1の表示手段と、前記表示部に対する前記利用者の視線を検出して利用者の視線情報を生成する第1の視線情報生成手段と、前記利用者の視線情報を前記第2の画像表示装置に送信する第1の送信手段とを有し、
前記第2の画像表示装置は、前記利用者の視線情報を前記第1の画像表示装置から受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段が受信した前記利用者の視線情報に応じた形状を有する瞳を含む前記利用者の人物像を生成する第2の人物像生成手段と、前記第2の人物像生成手段が生成した前記利用者の人物像を前記対話相手に表示する第2の表示手段と、前記対話相手の視線情報を生成する第2の視線情報生成手段と、前記対話相手の視線情報を前記第1の画像表示装置に送信する第2の送信手段とを有する画像表示システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−70081(P2012−70081A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211197(P2010−211197)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】