画像表示装置、画像表示端末および画像の表示を制御するための制御方法
【課題】3次元の画像を表示する場合に色にじみやクロストークが抑制される画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置の一態様である携帯電話機が画像を3次元で表示する場合には、一部の画素が消灯される。具体的には、画素630,631、632、633、634、635が消灯する。画素群610,620,611,612,621,622が点灯する。
【解決手段】画像表示装置の一態様である携帯電話機が画像を3次元で表示する場合には、一部の画素が消灯される。具体的には、画素630,631、632、633、634、635が消灯する。画素群610,620,611,612,621,622が点灯する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元で画像を表示する技術に関し、より特定的には、視差バリアを用いて画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元の画像を表示できる液晶表示装置は、2次元で画像を表示する時には、赤青緑(RGB)で構成されるドットを1列ごとに右目用および左目用に振り分ける。そして、当該液晶表示装置は、3次元で画像を表示する時は、視差バリアによって右目用の画像を表示する際には左目用ドットを遮光し、かつ、左目用の画像を表示する際に右目用ドットを遮光することにより、3次元で画像を表示することができる。
【0003】
画像を3次元で表示する技術に関し、たとえば、特開平8−110495号公報(特許文献1)は、「立体表示装置に関し、画素の横方向の開口率が50%以上の液晶パネルを用いる場合でもクロストーク領域を増大させずに観測位置で最大照度の立体視ができる立体表示装置」を開示している(「要約」参照)。
【0004】
特開2005−164916号公報(特許文献2)は、「現有のディスプレイの性能の範囲でクロストークを抑制して良好な3次元観察が可能となる立体表示装置」を開示している(「要約」参照)。
【0005】
特開2010−109414号公報(特許文献3)は、「視差画像データを合成する」ための技術を開示している(「要約」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−110495号公報
【特許文献2】特開2005−164916号公報
【特許文献3】特開2010−109414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、視差バリアを用いて画像を3次元で表示する場合において、視差バリアのスリット幅をドット幅一杯に取ると、ドット間の隙間が非常に小さいため、視認角度、深度および視差バリアの位置や幅の誤差により、隣接画素の色が回り込み、クロストークが発生する場合がある。
【0008】
この場合、対策としてスリット幅を狭くすると、角度によってはスリット外縁部の画素(たとえば、画素R,G,Bが並んでいる場合における画素RとB)の光量が、視野角のずれやスリットの寸法誤差等により増減するため、カラーバランスが崩れて「色にじみ」が発生する場合もあった。
【0009】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、クロストークや色にじみのような画質の低下が抑制される画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ある局面にしたがうと、画像を2次元または3次元で表示するための画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、視差バリアを形成するための形成手段と、RGB(Red Green Blue)の各々を表示するための各画素を有する表示手段と、各画素による表示を制御するための駆動手段とを備える。画像表示装置が3次元で画像を表示する場合に、駆動手段は、左目用の画像を表示するためのRGBの各画素と、右目用の画像を表示するためのRGBの各画素との間において、点灯されない画素として、少なくとも1画素を消灯する。
【0011】
好ましくは、駆動手段は、3画素の点灯と、1画素の消灯とを繰り返すことにより、各画素による画像の表示を制御する。
【0012】
好ましくは、各画素は、RGBに加えて、4色目の画素を含む。駆動手段は、4色目の画素を消灯する。
【0013】
好ましくは、視差バリアによって形成されるスリットの幅は、1画素の幅を上回る。
他の局面にしたがうと、上記のいずれかに記載の画像表示装置を備える画像表示端末が提供される。
【0014】
さらに他の局面にしたがうと、RGB(Red Green Blue)の各々を表示するための各画素を有する画像表示装置による画像の表示を制御するための制御方法が提供される。この制御方法は、視差バリアを形成するステップと、各画素による表示を制御するステップとを備える。制御するステップは、画像表示装置が3次元で画像を表示する場合に、左目用の画像を表示するためのRGBの各画素と、右目用の画像を表示するためのRGBの各画素との間において、点灯されない画素として、少なくとも1画素を消灯するステップを含む。
【0015】
好ましくは、制御するステップは、3画素の点灯と、1画素の消灯とを繰り返すことにより、各画素による画像の表示を制御するステップを含む。
【0016】
好ましくは、各画素は、RGBに加えて、4色目の画素を含む。制御するステップは、4色目の画素を消灯するステップを含む。
【発明の効果】
【0017】
ある局面にしたがうと、クロストークや色にじみのような画質の低下が抑制される。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】携帯電話機100の外観を表わす図である。
【図2】携帯電話機100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図3】液晶パネルを構成する画素における画像データの出力の一態様を表わす図である。
【図4】スリットを形成するバリアの幅が液晶パネルの液晶ドット幅よりも大きい場合を表わす図である。
【図5】バリアが液晶のドット幅よりも小さい場合に生じ得る問題点を説明するための図である。
【図6】携帯電話機100が有するCPU110が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【図7】2次元表示から3次元表示に切り換わった場合における画素の点灯および消灯を表わす図である。
【図8】携帯電話機100が2次元で画像を表示する場合におけるデータ構造700を表わす図である。
【図9】携帯電話機100が画像を3次元で表示する場合において一部の画素を消灯するときの制御データを表わす図である。
【図10】CPU110が3次元表示を行なう場合に用いられる領域の定義を表わす図である。
【図11】CPU110が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【図12】4色カラーフィルタ液晶を用いて2次元表示から3次元表示に表示を切り換える態様を説明する図である。
【図13】2次元で画像を表示する場合におけるユーザと表示装置との関係を表わす図である。
【図14】本発明に係る技術思想を適用した場合における視認距離を説明するための図である。
【図15】4色のカラーフィルタを用いた表示装置が3次元で画像を表示する場合におけるユーザと表示装置との関係を表わす図である。
【図16】サブピクセル単位でバリアを設定する態様を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る携帯電話機100について説明する。図1は、携帯電話機100の外観を表わす図である。携帯電話機100は、3次元の画像表示可能なディスプレイ150と、ボタン160とを備える。
【0021】
なお、本実施の形態では、携帯電話機100が例示されるが、その他の携帯端末、たとえば、PDA、電子辞書その他の情報処理端末も本発明を適用することができる。
【0022】
[ハードウェア構成]
図2を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機100のハードウェア構成について説明する。図2は、携帯電話機100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0023】
携帯電話機100は、通信装置102と、チューナ104と、アンテナ106,108と、CPU(Central Processing Unit)110と、音声信号処理回路111と、測位処理部112と、測位信号受信フロントエンド部114と、GPS(Global Positioning System)アンテナ116と、カメラ120と、フラッシュメモリ144と、RAM(Random Access Memory)146と、ROM(Read Only Memory)148と、バックライト151と、ボタン160と、LED(Light Emitting Diode)176と、メモリカード駆動装置180と、データ通信I/F(Interface)178と、バイブレータ184とを備える。メモリカード駆動装置180には、メモリカード182が装着され得る。
【0024】
ある局面において、アンテナ106は、テレビジョン放送信号を受信する。チューナ104は、CPU110の命令に従って番組を選局し、映像信号および音声信号をCPU110に伝送する。
【0025】
アンテナ108によって受信された信号は、通信装置102によってフロントエンド処理が行なわれた後、処理後の信号は、CPU110に送られる。CPU110は、携帯電話機100に対して与えられる命令に基づいて、携帯電話機100の動作を制御するための処理を実行する。CPU110は、通信装置102から送られた信号に基づいて予め規定された処理を実行し、処理後の信号を音声信号処理回路111に送出する。音声信号処理回路111は、その信号に対して予め規定された信号処理を実行し、処理後の信号をスピーカ140に送出する。スピーカ140は、その信号に基づいて音声を出力する。
【0026】
マイク170は、携帯電話機100に対する発話を受け付けて、発話された音声に対応する信号を音声信号処理回路111に対して送出する。音声信号処理回路111は、その信号に基づいて通話のために予め規定された処理を実行し、処理後の信号をCPU110に対して送出する。CPU110は、その信号を送信用のデータに変換し、変換後のデータを通信装置102に対して送出する。通信装置102は、そのデータを用いて送信用の信号を生成し、アンテナ108に向けてその信号を送出する。
【0027】
フラッシュメモリ144は、CPU110から送られるデータを格納する。また、CPU110は、フラッシュメモリ144に格納されているデータを読み出し、そのデータを用いて予め規定された処理を実行する。
【0028】
RAM146は、ボタン160に対して行なわれた操作に基づいてCPU110によって生成されるデータを一時的に保持する。ROM148は、携帯電話機100に予め定められた動作を実行させるためのプログラムあるいはデータを格納している。CPU110は、ROM148から当該プログラムまたはデータを読み出し、携帯電話機100の動作を制御する。
【0029】
メモリカード駆動装置180は、メモリカード182に格納されているデータを読み出し、CPU110に送出する。逆にメモリカード駆動装置180は、CPU110によって出力されるデータを、メモリカード182の空き領域に書き込む。
【0030】
音声信号処理回路111は、上述のような通話のための信号処理を実行する。なお、図3に示される例では、CPU110と音声信号処理回路111とが別個の構成として示されているが、他の局面において、CPU110と音声信号処理回路111とが一体として構成されていてもよい。
【0031】
ディスプレイ150は、2次元で、または3次元で画像を表示することができる。ある局面において、ディスプレイ150は、視差バリアを形成可能な液晶表示装置によって実現される。ディスプレイ150は、CPU110から出力されるデータに基づいて、画像を表示する。たとえば、ディスプレイ150は、フラッシュメモリ144が格納している静止画、動画、音楽ファイルの属性(当該ファイルの名前、演奏者、演奏時間など)を表示する。
【0032】
バックライト151は、ディスプレイ150に対して発光する。ある局面において、バックライト151は、CPU110からの制御信号に基づいて光量を増加させ、または減少させることができる。
【0033】
LED176は、CPU110からの信号に基づいて、予め定められた発光動作を実現する。データ通信I/F178は、データ通信用のケーブルの装着を受け付ける。データ通信I/F178は、CPU110から出力される信号を当該ケーブルに対して送出する。あるいは、データ通信I/F178は、当該ケーブルを介して受信されるデータを、CPU110に対して送出する。
【0034】
バイブレータ184は、CPU110から出力される信号に基づいて、予め定められた周波数で発振動作を実行する。
【0035】
GPSアンテナ116は、GPS衛星から発信される信号を受信し、受信した信号を測位信号受信フロントエンド部114に送出する。測位信号受信フロントエンド部114は、少なくとも3つ(望ましくは4つ以上)のGPS衛星から受信した各信号に基づいてパターンマッチングを行ない、各信号に含まれるコードパターンと携帯電話機100が保持するコードパターンとが一致した場合に、その信号を測位処理部112に送出する。
【0036】
測位処理部112は、その信号を用いて、測位処理を実行し、当該信号を受信した携帯電話機100の位置を算出する。CPU110は、その算出結果をディスプレイ150に表示する。
【0037】
図3を参照して、3次元の画像を表示するための画素のデータについて説明する。図3は、液晶パネルを構成する画素における画像データの出力の一態様を表わす図である。図3に示されるように、2次元の画像を表示する場合には、たとえば各列毎に赤色、緑色、青色の画素をそれぞれ点灯させる(例、1r、1g、1bなど)。
【0038】
3次元の画像を表示する場合には、液晶パネルは、右目用の画像と左目用の画像とを出力する。たとえば、図3に示されるように、左目用の画像を表示するための画素210,211,212,213と、右目用の画像を表示するための画素220,221,222,223とが別個にCPU110によって点灯制御される。
【0039】
ここで図4および図5を参照して、3次元で画像を表示する場合に生じ得る問題点について説明する。図4は、スリットを形成するバリアの幅が液晶パネル330の液晶ドット幅よりも大きい場合を表わす図である。
【0040】
図4に示されるように、たとえば、バリア液晶310が、液晶のドット(L1r、L1g、L1b)よりも大きくなる場合がある。この場合、バリア液晶310,320によって形成されるスリットの幅が減少する。結果として、画素340,342の一部は、それぞれバリア液晶310,320によって妨げられる。そのため、領域350,351に相当する分の出力が低下することになり、カラーバランスが悪化する。
【0041】
図5は、バリアが液晶のドット幅よりも小さい場合に生じ得る問題点を説明するための図である。図5に示されるように、バリア液晶310,320の幅が液晶のドット幅(L1r、L1g、L1b)よりも小さくなる場合がある。この場合、バリア液晶310とバリア液晶320とによって形成されるスリットの幅が大きくなるため、画素340,341,342に基づく画像に加えて、画素400からの画像が、スリットを通してユーザに視認され得る。具体的には、領域410,420に相当する画像が視認される。結果として、クロストークが発生する。
【0042】
図6を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機100の制御構造について説明する。図6は、携帯電話機100が有するCPU110が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【0043】
ステップS510にて、CPU110は、3次元表示の命令を検出する。この検出は、たとえば、ボタン160に対する操作に基づいて、あるいは、表示対象となる画像データに関連付けられている制御データに基づいて行なわれる。すなわち、出力対象となるデータが3次元表示の対象であることを示すデータが制御データに含まれている場合に、CPU110は、3次元表示の命令を検出する。
【0044】
ステップS520にて、CPU110は、バリア液晶に対して命令を送ることにより視差バリアを形成する。
【0045】
ステップS530にて、CPU110は、左目用画像を表示するための画素と右目用画像を表示するための画素との間の画素を消灯しつつ、当該左目用画像を表示するための画素と、右目用画像を表示するための画素とを点灯させる。これにより、色にじみやクロストークが抑制される3次元の表示が実現される。
【0046】
ステップS540にて、CPU110は、バックライト151による発光量を増加させる。これにより、一部の画素が消灯されることによる輝度の低下が抑制される。
【0047】
ステップS550にて、CPU110は、2次元表示の命令を検出する。この検出は、たとえばボタン160に対する操作に基づいて、あるいは表示されるべき画像データに関連付けられる制御データに基づいて行なわれる。
【0048】
ステップS560にて、CPU110は、当該命令の検出に応答して、形成されていた視差バリアを解除する。
【0049】
ステップS570にて、CPU110は、すべての画像を点灯させる。これにより、2次元の表示が実現される。
【0050】
図7を参照して、3次元表示における画素の駆動の一態様について説明する。図7は、2次元表示から3次元表示に切り換わった場合における画素の点灯および消灯を表わす図である。
【0051】
携帯電話機100が画像を2次元で表示している場合には、状態(A)に示されるように、すべての画素が点灯される。
【0052】
これに対して、状態(B)に示されるように、携帯電話機100が画像を3次元で表示する場合には、一部の画素が消灯される。具体的には、画素630,631、632、633、634、635が消灯する。そして残りの画素群610,620,611,612,621,622が点灯する。
【0053】
図8および図9を参照して、画像を表示するためのデータ構造について説明する。図8は、携帯電話機100が2次元で画像を表示する場合におけるデータ構造700を表わす図である。携帯電話機100が画像を2次元で表示する場合には、CPU110は、ディスプレイ150に画像を表示するためのデータを格納するレジスタに、それぞれ出力すべき画素の値を格納する(R1、G1、B1など)。
【0054】
図9は、携帯電話機100が画像を3次元で表示する場合において一部の画素を消灯するときのデータ構造を表わす図である。データ構造800は、一部のアドレスにおいて画素の消灯を指示する命令を格納している。具体的には、一実施形態において、アドレス3,7,3n−1において画素を消灯させるためのデータが格納される。これにより、これらのアドレスに対応する画素は消灯し、結果として前述の画像の劣化(色にじみ)あるいはクロストークの発生が抑制される。
【0055】
図10および図11を参照して、携帯電話機100の3次元表示のための制御構造について説明する。図10は、CPU110が3次元表示を行なう場合における領域の定義を表わす図である。図11は、CPU110が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【0056】
ステップS1110にて、CPU110は、3次元表示の命令を検出したことに基づいて、3次元で画像を表示するためのデータを作成する。具体的には、CPU110は、入力変数indat[]と、表示領域の3次元表示方向の幅を表わす変数width(横方向のドット数)と、当該表示領域の縦方向長さheight(縦方向のドット数)と、出力変数outdat[]とを定義する。
【0057】
ステップS1015にて、CPU110は、内部変数i,j,k,lをそれぞれ初期化する。
【0058】
ステップS1020にて、CPU110は、演算outdat[k]=indat[i]を実行する。
【0059】
ステップS1025にて、CPU110は、内部変数i,j,kをそれぞれ1インクリメントする。
【0060】
ステップS1030にて、CPU110は、内部変数kが変数widthの3倍に等しいか否かを判断する。CPU110は、内部変数kが変数widthの3倍に等しいと判断すると(ステップS1030にてYES)、制御をステップS1060に切り換える。そうでない場合には(ステップS1030にてNO)、CPU110は、制御をステップS1035に切り換える。
【0061】
ステップS1035にて、CPU110は、内部変数jが3に等しいか否かを判断する。CPU110は、内部変数jが3に等しいと判断すると(ステップS1035にてYES)、制御をステップS1040に切り換える。そうでない場合には(ステップS1035にてNO)、CPU110は、制御をステップS1020に戻す。
【0062】
ステップS1040にて、CPU110は、演算「出力変数outdat「k」=00h」を実行する。
【0063】
ステップS1045にて、CPU110は、内部変数kを1インクメントする。
ステップS1050にて、CPU110は、内部変数kが3×widthに等しいか否かを判断する。CPU110は、内部変数kが3×widthに等しいと判断すると(ステップS1050にてYES)、制御をステップS1060に切り換える。そうでない場合には(ステップS1050にてNO)、CPU110は、制御をステップS1055に切り換える。
【0064】
ステップS1055にて、CPU110は、内部変数jを初期化する。
ステップS1060にて、CPU110は、内部変数lを1インクリメントする。
【0065】
ステップS1065にて、CPU110は、内部変数lが縦方向長さheightに等しいか否かを判断する。CPU110は、内部変数lが縦方向長さheightに等しいと判断すると(ステップS1065にてYES)、制御を終了する。そうでない場合には(ステップS1065にNO)、CPU110は、制御をステップS1070に切り換える。
【0066】
ステップS1070にて、CPU110は、演算「i=3×l」を実行する。CPU110は、制御をステップS1055に戻す。
【0067】
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る携帯電話機100は、3次元で画像を表示する場合には、一部の画素を消灯する。これにより、視認される画像に対する「クロストーク」や「色にじみ」が抑制され得る。
【0068】
<変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。図12を参照して、液晶表示装置が4色のカラーフィルタ(RGBY)液晶を有する場合について説明する。図12は、4色カラーフィルタ液晶を用いて2次元表示から3次元表示に表示を切り換える態様を説明する図である。
【0069】
状態(A)に示されるように、携帯電話機100は、画像を2次元で表示する場合には、4色のカラーフィルタに対応する各画素をそれぞれ点灯させる。
【0070】
これに対して、状態(B)に示されるように、携帯電話機100が画像を3次元で表示する場合には、4色のカラーフィルタのうち3色のフィルタに対応する画素を点灯し4色目のカラーフィルタに対応する画素を消灯する。具体的には、CPU110は、画素群1110,1111,1112,1120,1121,1122を点灯する。そして、CPU110は、画素1130,1131,1132,1133,1134,1135を消灯する。
【0071】
図13および図14を参照して、画素の点灯および消灯の場合におけるユーザと表示装置の位置関係について説明する。図13は、2次元で画像を表示する場合におけるユーザと表示装置との関係を表わす図である。携帯電話機100を含む表示装置1200は、バリア液晶1210と、ガラス1220と、カラーフィルタ1230とを備える。この場合、表示装置1200のユーザの視認距離Dは、たとえば以下のようにして算出される。
【0072】
D=E×S/(n×P)
ここで、Dは視認距離(mm)である。Eは、ユーザの目の間隔(mm)である。Sは、カラーフィルタ1230とバリア液晶1210との距離(mm)である。nは、ガラス1220の屈折率である。Pは、ピクセル(画素)の幅(mm)である。
【0073】
一例として、たとえば、E=62、S=0.6、n=1.5、P=0.1とすると、D=(62×0.6)/(1.5×0.1)=248(mm)となる。
【0074】
図14は、本発明に係る技術思想を適用した場合における視認距離を説明するための図である。
【0075】
図13に示される記号と同じ記号を図14に適用する。ここで、E=62、S=0.6、n=1.5、P′=P×1.33=0.133とすると、視認距離D=(62×0.6)/(1.5×0.133)=186.5(mm)となる。この距離であれば、この局面に係る携帯電話機その他の表示装置は、一部の画素を点灯させた場合にも、ユーザによる通常の使用に耐え得る。
【0076】
図15を参照して、4色のカラーフィルタが用いられる場合についてさらに説明する。図15は、4色のカラーフィルタを用いた表示装置1500が3次元で画像を表示する場合におけるユーザと表示装置との関係を表わす図である。表示装置1500は、バリア液晶1510と、ガラス1520と、カラーフィルタ1530とを含む。
【0077】
ある局面において、4色のカラーフィルタを用いる表示装置は、画像を2次元で表示する場合、および縦方向に3次元で表示する場合には、R、G、B、およびYの各フィルタをそれぞれ点灯させる。これに対して、横方向に3次元で画像を表示する場合には、4色目のカラーフィルタYを消灯する。具体的には、表示装置1400を、バリア液晶1410と、ガラス1420と、カラーフィルタ1430とを含む。この場合、たとえば、カラーフィルタYに相当する画素を消灯させ、視差バリアを大きくし、スリットを狭くすることで、画像を3次元で表示する場合におけるクロストークや色バランスの低下を防ぐことができる。また、この場合、セルピッチが変わらないため、視認距離Dは変わらない。また解像度も変化しない。
【0078】
図16を参照して、本発明が解決しようとする課題を解決するための他の方法について説明する。図16は、サブピクセル単位でバリアを設定する態様を表わす図である。
【0079】
サブピクセル単位のバリア方式においては、サブピクセルよりやや小さいスリット幅を設けることで各サブピクセルの輝度が均等に低下するという特性から、クロストークを減らすと同時に色にじみを低減することが可能であり、本発明に示すような消灯画素をもつことによる解像度の低下や明るさの低下を抑えることが可能である。ところが以下に述べる理由により商品への搭載が困難にもなり得る。たとえば、両目の間隔E=62、S=0.6、n=1.5、P′=P/3=0.33とすると、視認距離D=(62×0.6)/(1.5×0.33)=744(mm)となる。この視認距離は現実的な距離ではない。したがって、たとえばカラーフィルタ1530とバリア液晶1510との距離Sを3倍にすることが望ましいといえる。しかしながら、表示パネルの厚さの増加は、商品本体の厚さも大きくすることになるため、このような当該他の方法によれば、商品力が損なわれることになる。これに対して、上述の実施の形態によれば、画像表示装置の厚みを増すことなく、画質の低下が抑制され得る。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、電子書籍用端末その他の情報処理装置であって、視差バリアを用いて画像を3次元で表示可能な画像表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
100 携帯電話機、102 通信装置、104 チューナ、106,106,108,108,116 アンテナ、111 音声信号処理回路、112 測位処理部、114 測位信号受信フロントエンド部、120 カメラ、140 スピーカ、144 フラッシュメモリ、146 RAM、148 ROM、150 ディスプレイ、151 バックライト、160 ボタン、170 マイク、180 メモリカード駆動装置、182 メモリカード、184 バイブレータ、210,211,212,213,220,221,222,223,340,341,342,340,342,400,630,631,1130,1131,1132,1133,1134,1135 画素、310,320,310,320 バリア液晶、350,351,410,420 領域、610,620,611,612,621,622,1110,1111,1112,1120,1121,1122 画素群、700,800 データ構造、1200 表示装置、1210,1410,1510 バリア、1220,1420,1520 ガラス、1230,1430,1530,カラーフィルタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元で画像を表示する技術に関し、より特定的には、視差バリアを用いて画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元の画像を表示できる液晶表示装置は、2次元で画像を表示する時には、赤青緑(RGB)で構成されるドットを1列ごとに右目用および左目用に振り分ける。そして、当該液晶表示装置は、3次元で画像を表示する時は、視差バリアによって右目用の画像を表示する際には左目用ドットを遮光し、かつ、左目用の画像を表示する際に右目用ドットを遮光することにより、3次元で画像を表示することができる。
【0003】
画像を3次元で表示する技術に関し、たとえば、特開平8−110495号公報(特許文献1)は、「立体表示装置に関し、画素の横方向の開口率が50%以上の液晶パネルを用いる場合でもクロストーク領域を増大させずに観測位置で最大照度の立体視ができる立体表示装置」を開示している(「要約」参照)。
【0004】
特開2005−164916号公報(特許文献2)は、「現有のディスプレイの性能の範囲でクロストークを抑制して良好な3次元観察が可能となる立体表示装置」を開示している(「要約」参照)。
【0005】
特開2010−109414号公報(特許文献3)は、「視差画像データを合成する」ための技術を開示している(「要約」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−110495号公報
【特許文献2】特開2005−164916号公報
【特許文献3】特開2010−109414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、視差バリアを用いて画像を3次元で表示する場合において、視差バリアのスリット幅をドット幅一杯に取ると、ドット間の隙間が非常に小さいため、視認角度、深度および視差バリアの位置や幅の誤差により、隣接画素の色が回り込み、クロストークが発生する場合がある。
【0008】
この場合、対策としてスリット幅を狭くすると、角度によってはスリット外縁部の画素(たとえば、画素R,G,Bが並んでいる場合における画素RとB)の光量が、視野角のずれやスリットの寸法誤差等により増減するため、カラーバランスが崩れて「色にじみ」が発生する場合もあった。
【0009】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、クロストークや色にじみのような画質の低下が抑制される画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ある局面にしたがうと、画像を2次元または3次元で表示するための画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、視差バリアを形成するための形成手段と、RGB(Red Green Blue)の各々を表示するための各画素を有する表示手段と、各画素による表示を制御するための駆動手段とを備える。画像表示装置が3次元で画像を表示する場合に、駆動手段は、左目用の画像を表示するためのRGBの各画素と、右目用の画像を表示するためのRGBの各画素との間において、点灯されない画素として、少なくとも1画素を消灯する。
【0011】
好ましくは、駆動手段は、3画素の点灯と、1画素の消灯とを繰り返すことにより、各画素による画像の表示を制御する。
【0012】
好ましくは、各画素は、RGBに加えて、4色目の画素を含む。駆動手段は、4色目の画素を消灯する。
【0013】
好ましくは、視差バリアによって形成されるスリットの幅は、1画素の幅を上回る。
他の局面にしたがうと、上記のいずれかに記載の画像表示装置を備える画像表示端末が提供される。
【0014】
さらに他の局面にしたがうと、RGB(Red Green Blue)の各々を表示するための各画素を有する画像表示装置による画像の表示を制御するための制御方法が提供される。この制御方法は、視差バリアを形成するステップと、各画素による表示を制御するステップとを備える。制御するステップは、画像表示装置が3次元で画像を表示する場合に、左目用の画像を表示するためのRGBの各画素と、右目用の画像を表示するためのRGBの各画素との間において、点灯されない画素として、少なくとも1画素を消灯するステップを含む。
【0015】
好ましくは、制御するステップは、3画素の点灯と、1画素の消灯とを繰り返すことにより、各画素による画像の表示を制御するステップを含む。
【0016】
好ましくは、各画素は、RGBに加えて、4色目の画素を含む。制御するステップは、4色目の画素を消灯するステップを含む。
【発明の効果】
【0017】
ある局面にしたがうと、クロストークや色にじみのような画質の低下が抑制される。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】携帯電話機100の外観を表わす図である。
【図2】携帯電話機100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図3】液晶パネルを構成する画素における画像データの出力の一態様を表わす図である。
【図4】スリットを形成するバリアの幅が液晶パネルの液晶ドット幅よりも大きい場合を表わす図である。
【図5】バリアが液晶のドット幅よりも小さい場合に生じ得る問題点を説明するための図である。
【図6】携帯電話機100が有するCPU110が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【図7】2次元表示から3次元表示に切り換わった場合における画素の点灯および消灯を表わす図である。
【図8】携帯電話機100が2次元で画像を表示する場合におけるデータ構造700を表わす図である。
【図9】携帯電話機100が画像を3次元で表示する場合において一部の画素を消灯するときの制御データを表わす図である。
【図10】CPU110が3次元表示を行なう場合に用いられる領域の定義を表わす図である。
【図11】CPU110が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【図12】4色カラーフィルタ液晶を用いて2次元表示から3次元表示に表示を切り換える態様を説明する図である。
【図13】2次元で画像を表示する場合におけるユーザと表示装置との関係を表わす図である。
【図14】本発明に係る技術思想を適用した場合における視認距離を説明するための図である。
【図15】4色のカラーフィルタを用いた表示装置が3次元で画像を表示する場合におけるユーザと表示装置との関係を表わす図である。
【図16】サブピクセル単位でバリアを設定する態様を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る携帯電話機100について説明する。図1は、携帯電話機100の外観を表わす図である。携帯電話機100は、3次元の画像表示可能なディスプレイ150と、ボタン160とを備える。
【0021】
なお、本実施の形態では、携帯電話機100が例示されるが、その他の携帯端末、たとえば、PDA、電子辞書その他の情報処理端末も本発明を適用することができる。
【0022】
[ハードウェア構成]
図2を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機100のハードウェア構成について説明する。図2は、携帯電話機100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0023】
携帯電話機100は、通信装置102と、チューナ104と、アンテナ106,108と、CPU(Central Processing Unit)110と、音声信号処理回路111と、測位処理部112と、測位信号受信フロントエンド部114と、GPS(Global Positioning System)アンテナ116と、カメラ120と、フラッシュメモリ144と、RAM(Random Access Memory)146と、ROM(Read Only Memory)148と、バックライト151と、ボタン160と、LED(Light Emitting Diode)176と、メモリカード駆動装置180と、データ通信I/F(Interface)178と、バイブレータ184とを備える。メモリカード駆動装置180には、メモリカード182が装着され得る。
【0024】
ある局面において、アンテナ106は、テレビジョン放送信号を受信する。チューナ104は、CPU110の命令に従って番組を選局し、映像信号および音声信号をCPU110に伝送する。
【0025】
アンテナ108によって受信された信号は、通信装置102によってフロントエンド処理が行なわれた後、処理後の信号は、CPU110に送られる。CPU110は、携帯電話機100に対して与えられる命令に基づいて、携帯電話機100の動作を制御するための処理を実行する。CPU110は、通信装置102から送られた信号に基づいて予め規定された処理を実行し、処理後の信号を音声信号処理回路111に送出する。音声信号処理回路111は、その信号に対して予め規定された信号処理を実行し、処理後の信号をスピーカ140に送出する。スピーカ140は、その信号に基づいて音声を出力する。
【0026】
マイク170は、携帯電話機100に対する発話を受け付けて、発話された音声に対応する信号を音声信号処理回路111に対して送出する。音声信号処理回路111は、その信号に基づいて通話のために予め規定された処理を実行し、処理後の信号をCPU110に対して送出する。CPU110は、その信号を送信用のデータに変換し、変換後のデータを通信装置102に対して送出する。通信装置102は、そのデータを用いて送信用の信号を生成し、アンテナ108に向けてその信号を送出する。
【0027】
フラッシュメモリ144は、CPU110から送られるデータを格納する。また、CPU110は、フラッシュメモリ144に格納されているデータを読み出し、そのデータを用いて予め規定された処理を実行する。
【0028】
RAM146は、ボタン160に対して行なわれた操作に基づいてCPU110によって生成されるデータを一時的に保持する。ROM148は、携帯電話機100に予め定められた動作を実行させるためのプログラムあるいはデータを格納している。CPU110は、ROM148から当該プログラムまたはデータを読み出し、携帯電話機100の動作を制御する。
【0029】
メモリカード駆動装置180は、メモリカード182に格納されているデータを読み出し、CPU110に送出する。逆にメモリカード駆動装置180は、CPU110によって出力されるデータを、メモリカード182の空き領域に書き込む。
【0030】
音声信号処理回路111は、上述のような通話のための信号処理を実行する。なお、図3に示される例では、CPU110と音声信号処理回路111とが別個の構成として示されているが、他の局面において、CPU110と音声信号処理回路111とが一体として構成されていてもよい。
【0031】
ディスプレイ150は、2次元で、または3次元で画像を表示することができる。ある局面において、ディスプレイ150は、視差バリアを形成可能な液晶表示装置によって実現される。ディスプレイ150は、CPU110から出力されるデータに基づいて、画像を表示する。たとえば、ディスプレイ150は、フラッシュメモリ144が格納している静止画、動画、音楽ファイルの属性(当該ファイルの名前、演奏者、演奏時間など)を表示する。
【0032】
バックライト151は、ディスプレイ150に対して発光する。ある局面において、バックライト151は、CPU110からの制御信号に基づいて光量を増加させ、または減少させることができる。
【0033】
LED176は、CPU110からの信号に基づいて、予め定められた発光動作を実現する。データ通信I/F178は、データ通信用のケーブルの装着を受け付ける。データ通信I/F178は、CPU110から出力される信号を当該ケーブルに対して送出する。あるいは、データ通信I/F178は、当該ケーブルを介して受信されるデータを、CPU110に対して送出する。
【0034】
バイブレータ184は、CPU110から出力される信号に基づいて、予め定められた周波数で発振動作を実行する。
【0035】
GPSアンテナ116は、GPS衛星から発信される信号を受信し、受信した信号を測位信号受信フロントエンド部114に送出する。測位信号受信フロントエンド部114は、少なくとも3つ(望ましくは4つ以上)のGPS衛星から受信した各信号に基づいてパターンマッチングを行ない、各信号に含まれるコードパターンと携帯電話機100が保持するコードパターンとが一致した場合に、その信号を測位処理部112に送出する。
【0036】
測位処理部112は、その信号を用いて、測位処理を実行し、当該信号を受信した携帯電話機100の位置を算出する。CPU110は、その算出結果をディスプレイ150に表示する。
【0037】
図3を参照して、3次元の画像を表示するための画素のデータについて説明する。図3は、液晶パネルを構成する画素における画像データの出力の一態様を表わす図である。図3に示されるように、2次元の画像を表示する場合には、たとえば各列毎に赤色、緑色、青色の画素をそれぞれ点灯させる(例、1r、1g、1bなど)。
【0038】
3次元の画像を表示する場合には、液晶パネルは、右目用の画像と左目用の画像とを出力する。たとえば、図3に示されるように、左目用の画像を表示するための画素210,211,212,213と、右目用の画像を表示するための画素220,221,222,223とが別個にCPU110によって点灯制御される。
【0039】
ここで図4および図5を参照して、3次元で画像を表示する場合に生じ得る問題点について説明する。図4は、スリットを形成するバリアの幅が液晶パネル330の液晶ドット幅よりも大きい場合を表わす図である。
【0040】
図4に示されるように、たとえば、バリア液晶310が、液晶のドット(L1r、L1g、L1b)よりも大きくなる場合がある。この場合、バリア液晶310,320によって形成されるスリットの幅が減少する。結果として、画素340,342の一部は、それぞれバリア液晶310,320によって妨げられる。そのため、領域350,351に相当する分の出力が低下することになり、カラーバランスが悪化する。
【0041】
図5は、バリアが液晶のドット幅よりも小さい場合に生じ得る問題点を説明するための図である。図5に示されるように、バリア液晶310,320の幅が液晶のドット幅(L1r、L1g、L1b)よりも小さくなる場合がある。この場合、バリア液晶310とバリア液晶320とによって形成されるスリットの幅が大きくなるため、画素340,341,342に基づく画像に加えて、画素400からの画像が、スリットを通してユーザに視認され得る。具体的には、領域410,420に相当する画像が視認される。結果として、クロストークが発生する。
【0042】
図6を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機100の制御構造について説明する。図6は、携帯電話機100が有するCPU110が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【0043】
ステップS510にて、CPU110は、3次元表示の命令を検出する。この検出は、たとえば、ボタン160に対する操作に基づいて、あるいは、表示対象となる画像データに関連付けられている制御データに基づいて行なわれる。すなわち、出力対象となるデータが3次元表示の対象であることを示すデータが制御データに含まれている場合に、CPU110は、3次元表示の命令を検出する。
【0044】
ステップS520にて、CPU110は、バリア液晶に対して命令を送ることにより視差バリアを形成する。
【0045】
ステップS530にて、CPU110は、左目用画像を表示するための画素と右目用画像を表示するための画素との間の画素を消灯しつつ、当該左目用画像を表示するための画素と、右目用画像を表示するための画素とを点灯させる。これにより、色にじみやクロストークが抑制される3次元の表示が実現される。
【0046】
ステップS540にて、CPU110は、バックライト151による発光量を増加させる。これにより、一部の画素が消灯されることによる輝度の低下が抑制される。
【0047】
ステップS550にて、CPU110は、2次元表示の命令を検出する。この検出は、たとえばボタン160に対する操作に基づいて、あるいは表示されるべき画像データに関連付けられる制御データに基づいて行なわれる。
【0048】
ステップS560にて、CPU110は、当該命令の検出に応答して、形成されていた視差バリアを解除する。
【0049】
ステップS570にて、CPU110は、すべての画像を点灯させる。これにより、2次元の表示が実現される。
【0050】
図7を参照して、3次元表示における画素の駆動の一態様について説明する。図7は、2次元表示から3次元表示に切り換わった場合における画素の点灯および消灯を表わす図である。
【0051】
携帯電話機100が画像を2次元で表示している場合には、状態(A)に示されるように、すべての画素が点灯される。
【0052】
これに対して、状態(B)に示されるように、携帯電話機100が画像を3次元で表示する場合には、一部の画素が消灯される。具体的には、画素630,631、632、633、634、635が消灯する。そして残りの画素群610,620,611,612,621,622が点灯する。
【0053】
図8および図9を参照して、画像を表示するためのデータ構造について説明する。図8は、携帯電話機100が2次元で画像を表示する場合におけるデータ構造700を表わす図である。携帯電話機100が画像を2次元で表示する場合には、CPU110は、ディスプレイ150に画像を表示するためのデータを格納するレジスタに、それぞれ出力すべき画素の値を格納する(R1、G1、B1など)。
【0054】
図9は、携帯電話機100が画像を3次元で表示する場合において一部の画素を消灯するときのデータ構造を表わす図である。データ構造800は、一部のアドレスにおいて画素の消灯を指示する命令を格納している。具体的には、一実施形態において、アドレス3,7,3n−1において画素を消灯させるためのデータが格納される。これにより、これらのアドレスに対応する画素は消灯し、結果として前述の画像の劣化(色にじみ)あるいはクロストークの発生が抑制される。
【0055】
図10および図11を参照して、携帯電話機100の3次元表示のための制御構造について説明する。図10は、CPU110が3次元表示を行なう場合における領域の定義を表わす図である。図11は、CPU110が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【0056】
ステップS1110にて、CPU110は、3次元表示の命令を検出したことに基づいて、3次元で画像を表示するためのデータを作成する。具体的には、CPU110は、入力変数indat[]と、表示領域の3次元表示方向の幅を表わす変数width(横方向のドット数)と、当該表示領域の縦方向長さheight(縦方向のドット数)と、出力変数outdat[]とを定義する。
【0057】
ステップS1015にて、CPU110は、内部変数i,j,k,lをそれぞれ初期化する。
【0058】
ステップS1020にて、CPU110は、演算outdat[k]=indat[i]を実行する。
【0059】
ステップS1025にて、CPU110は、内部変数i,j,kをそれぞれ1インクリメントする。
【0060】
ステップS1030にて、CPU110は、内部変数kが変数widthの3倍に等しいか否かを判断する。CPU110は、内部変数kが変数widthの3倍に等しいと判断すると(ステップS1030にてYES)、制御をステップS1060に切り換える。そうでない場合には(ステップS1030にてNO)、CPU110は、制御をステップS1035に切り換える。
【0061】
ステップS1035にて、CPU110は、内部変数jが3に等しいか否かを判断する。CPU110は、内部変数jが3に等しいと判断すると(ステップS1035にてYES)、制御をステップS1040に切り換える。そうでない場合には(ステップS1035にてNO)、CPU110は、制御をステップS1020に戻す。
【0062】
ステップS1040にて、CPU110は、演算「出力変数outdat「k」=00h」を実行する。
【0063】
ステップS1045にて、CPU110は、内部変数kを1インクメントする。
ステップS1050にて、CPU110は、内部変数kが3×widthに等しいか否かを判断する。CPU110は、内部変数kが3×widthに等しいと判断すると(ステップS1050にてYES)、制御をステップS1060に切り換える。そうでない場合には(ステップS1050にてNO)、CPU110は、制御をステップS1055に切り換える。
【0064】
ステップS1055にて、CPU110は、内部変数jを初期化する。
ステップS1060にて、CPU110は、内部変数lを1インクリメントする。
【0065】
ステップS1065にて、CPU110は、内部変数lが縦方向長さheightに等しいか否かを判断する。CPU110は、内部変数lが縦方向長さheightに等しいと判断すると(ステップS1065にてYES)、制御を終了する。そうでない場合には(ステップS1065にNO)、CPU110は、制御をステップS1070に切り換える。
【0066】
ステップS1070にて、CPU110は、演算「i=3×l」を実行する。CPU110は、制御をステップS1055に戻す。
【0067】
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る携帯電話機100は、3次元で画像を表示する場合には、一部の画素を消灯する。これにより、視認される画像に対する「クロストーク」や「色にじみ」が抑制され得る。
【0068】
<変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。図12を参照して、液晶表示装置が4色のカラーフィルタ(RGBY)液晶を有する場合について説明する。図12は、4色カラーフィルタ液晶を用いて2次元表示から3次元表示に表示を切り換える態様を説明する図である。
【0069】
状態(A)に示されるように、携帯電話機100は、画像を2次元で表示する場合には、4色のカラーフィルタに対応する各画素をそれぞれ点灯させる。
【0070】
これに対して、状態(B)に示されるように、携帯電話機100が画像を3次元で表示する場合には、4色のカラーフィルタのうち3色のフィルタに対応する画素を点灯し4色目のカラーフィルタに対応する画素を消灯する。具体的には、CPU110は、画素群1110,1111,1112,1120,1121,1122を点灯する。そして、CPU110は、画素1130,1131,1132,1133,1134,1135を消灯する。
【0071】
図13および図14を参照して、画素の点灯および消灯の場合におけるユーザと表示装置の位置関係について説明する。図13は、2次元で画像を表示する場合におけるユーザと表示装置との関係を表わす図である。携帯電話機100を含む表示装置1200は、バリア液晶1210と、ガラス1220と、カラーフィルタ1230とを備える。この場合、表示装置1200のユーザの視認距離Dは、たとえば以下のようにして算出される。
【0072】
D=E×S/(n×P)
ここで、Dは視認距離(mm)である。Eは、ユーザの目の間隔(mm)である。Sは、カラーフィルタ1230とバリア液晶1210との距離(mm)である。nは、ガラス1220の屈折率である。Pは、ピクセル(画素)の幅(mm)である。
【0073】
一例として、たとえば、E=62、S=0.6、n=1.5、P=0.1とすると、D=(62×0.6)/(1.5×0.1)=248(mm)となる。
【0074】
図14は、本発明に係る技術思想を適用した場合における視認距離を説明するための図である。
【0075】
図13に示される記号と同じ記号を図14に適用する。ここで、E=62、S=0.6、n=1.5、P′=P×1.33=0.133とすると、視認距離D=(62×0.6)/(1.5×0.133)=186.5(mm)となる。この距離であれば、この局面に係る携帯電話機その他の表示装置は、一部の画素を点灯させた場合にも、ユーザによる通常の使用に耐え得る。
【0076】
図15を参照して、4色のカラーフィルタが用いられる場合についてさらに説明する。図15は、4色のカラーフィルタを用いた表示装置1500が3次元で画像を表示する場合におけるユーザと表示装置との関係を表わす図である。表示装置1500は、バリア液晶1510と、ガラス1520と、カラーフィルタ1530とを含む。
【0077】
ある局面において、4色のカラーフィルタを用いる表示装置は、画像を2次元で表示する場合、および縦方向に3次元で表示する場合には、R、G、B、およびYの各フィルタをそれぞれ点灯させる。これに対して、横方向に3次元で画像を表示する場合には、4色目のカラーフィルタYを消灯する。具体的には、表示装置1400を、バリア液晶1410と、ガラス1420と、カラーフィルタ1430とを含む。この場合、たとえば、カラーフィルタYに相当する画素を消灯させ、視差バリアを大きくし、スリットを狭くすることで、画像を3次元で表示する場合におけるクロストークや色バランスの低下を防ぐことができる。また、この場合、セルピッチが変わらないため、視認距離Dは変わらない。また解像度も変化しない。
【0078】
図16を参照して、本発明が解決しようとする課題を解決するための他の方法について説明する。図16は、サブピクセル単位でバリアを設定する態様を表わす図である。
【0079】
サブピクセル単位のバリア方式においては、サブピクセルよりやや小さいスリット幅を設けることで各サブピクセルの輝度が均等に低下するという特性から、クロストークを減らすと同時に色にじみを低減することが可能であり、本発明に示すような消灯画素をもつことによる解像度の低下や明るさの低下を抑えることが可能である。ところが以下に述べる理由により商品への搭載が困難にもなり得る。たとえば、両目の間隔E=62、S=0.6、n=1.5、P′=P/3=0.33とすると、視認距離D=(62×0.6)/(1.5×0.33)=744(mm)となる。この視認距離は現実的な距離ではない。したがって、たとえばカラーフィルタ1530とバリア液晶1510との距離Sを3倍にすることが望ましいといえる。しかしながら、表示パネルの厚さの増加は、商品本体の厚さも大きくすることになるため、このような当該他の方法によれば、商品力が損なわれることになる。これに対して、上述の実施の形態によれば、画像表示装置の厚みを増すことなく、画質の低下が抑制され得る。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、電子書籍用端末その他の情報処理装置であって、視差バリアを用いて画像を3次元で表示可能な画像表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
100 携帯電話機、102 通信装置、104 チューナ、106,106,108,108,116 アンテナ、111 音声信号処理回路、112 測位処理部、114 測位信号受信フロントエンド部、120 カメラ、140 スピーカ、144 フラッシュメモリ、146 RAM、148 ROM、150 ディスプレイ、151 バックライト、160 ボタン、170 マイク、180 メモリカード駆動装置、182 メモリカード、184 バイブレータ、210,211,212,213,220,221,222,223,340,341,342,340,342,400,630,631,1130,1131,1132,1133,1134,1135 画素、310,320,310,320 バリア液晶、350,351,410,420 領域、610,620,611,612,621,622,1110,1111,1112,1120,1121,1122 画素群、700,800 データ構造、1200 表示装置、1210,1410,1510 バリア、1220,1420,1520 ガラス、1230,1430,1530,カラーフィルタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を2次元または3次元で表示するための画像表示装置であって、
視差バリアを形成するための形成手段と、
RGB(Red Green Blue)の各々を表示するための各画素を有する表示手段と、
各前記画素による表示を制御するための駆動手段とを備え、
前記画像表示装置が3次元で画像を表示する場合に、前記駆動手段は、左目用の画像を表示するためのRGBの各画素と、右目用の画像を表示するためのRGBの各画素との間において、点灯されない画素として、少なくとも1画素を消灯する、画像表示装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、3画素の点灯と、1画素の消灯とを繰り返すことにより、各前記画素による画像の表示を制御する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記各画素は、RGBに加えて、4色目の画素を含み、
前記駆動手段は、前記4色目の画素を消灯する、請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記視差バリアによって形成されるスリットの幅は、1画素の幅を上回る、請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置を備える、画像表示端末。
【請求項6】
RGB(Red Green Blue)の各々を表示するための各画素を有する画像表示装置による画像の表示を制御するための制御方法であって、
視差バリアを形成するステップと、
各前記画素による表示を制御するステップとを備え、
前記制御するステップは、前記画像表示装置が3次元で画像を表示する場合に、左目用の画像を表示するためのRGBの各画素と、右目用の画像を表示するためのRGBの各画素との間において、点灯されない画素として、少なくとも1画素を消灯するステップを含む、制御方法。
【請求項7】
前記制御するステップは、3画素の点灯と、1画素の消灯とを繰り返すことにより、各前記画素による画像の表示を制御するステップを含む、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記各画素は、RGBに加えて、4色目の画素を含み、
前記制御するステップは、前記4色目の画素を消灯するステップを含む、請求項6または7に記載の制御方法。
【請求項1】
画像を2次元または3次元で表示するための画像表示装置であって、
視差バリアを形成するための形成手段と、
RGB(Red Green Blue)の各々を表示するための各画素を有する表示手段と、
各前記画素による表示を制御するための駆動手段とを備え、
前記画像表示装置が3次元で画像を表示する場合に、前記駆動手段は、左目用の画像を表示するためのRGBの各画素と、右目用の画像を表示するためのRGBの各画素との間において、点灯されない画素として、少なくとも1画素を消灯する、画像表示装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、3画素の点灯と、1画素の消灯とを繰り返すことにより、各前記画素による画像の表示を制御する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記各画素は、RGBに加えて、4色目の画素を含み、
前記駆動手段は、前記4色目の画素を消灯する、請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記視差バリアによって形成されるスリットの幅は、1画素の幅を上回る、請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置を備える、画像表示端末。
【請求項6】
RGB(Red Green Blue)の各々を表示するための各画素を有する画像表示装置による画像の表示を制御するための制御方法であって、
視差バリアを形成するステップと、
各前記画素による表示を制御するステップとを備え、
前記制御するステップは、前記画像表示装置が3次元で画像を表示する場合に、左目用の画像を表示するためのRGBの各画素と、右目用の画像を表示するためのRGBの各画素との間において、点灯されない画素として、少なくとも1画素を消灯するステップを含む、制御方法。
【請求項7】
前記制御するステップは、3画素の点灯と、1画素の消灯とを繰り返すことにより、各前記画素による画像の表示を制御するステップを含む、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記各画素は、RGBに加えて、4色目の画素を含み、
前記制御するステップは、前記4色目の画素を消灯するステップを含む、請求項6または7に記載の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−37264(P2013−37264A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174657(P2011−174657)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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