説明

画像表示装置および画像表示方法

【課題】3D画像に対する操作時のユーザの違和感を軽減しながら、装置の大型化を抑える。
【解決手段】画像表示装置10は、両眼視差により観察者に3次元画像を視認させるための左眼用画像および右眼用画像からなる3次元表示用画像を生成する画像生成部12と、画像生成部で生成された3次元表示用画像を表示する表示部14と、表示部14の表示画面の表面側に配置された入力面を有し、入力面が押圧されたことを検出するタッチパネル2と、タッチパネル2の入力面における押圧された位置である入力位置を取得する位置取得部11と、位置取得部11で取得した入力位置が、3次元表示用画像に対応する位置である場合、3次元表示用画像に関連づけられた機能を実行制御する制御部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面に画像を表示する画像表示装置および画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作ボタン等の画像をユーザに立体視させ、その画像に対するユーザの操作入力を受け付ける機能を有する表示装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、手前に浮き出てくるように見えるスイッチのキー部分に接近してくるユーザの指等の被検出物を、光電スイッチ等の物体検出手段で検出することで、キー部分に対するユーザの操作を検出する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、DFD(Depth-Fused 3-D)と複数枚のレンズからなる光学系とを組み合わせた3次元(3D)画像を表示可能な表示装置にタッチパネルを重ねて配置した画像表示システムにおいて、ボタン等の3D画像を表示画面より手前(タッチパネル側)にまで表示可能とし、タッチパネルによりボタン等の3D画像に対するユーザの操作を受け付ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−223102号公報
【特許文献2】特開2006−293878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、押下操作を非接触で検出するため、ユーザはキーを物理的に押下した感触を得ることができない。このため、ユーザは操作に違和感を覚える。
【0007】
これに対して、特許文献2の技術では、ユーザはタッチパネルに触れて操作を行うため、特許文献1の技術のような違和感はない。
【0008】
しかしながら、特許文献2における表示装置は、3D画像を表示画面より手前にまで表示可能とするために、複数枚のレンズを所定間隔で配置した光学系をDFDに組み合わせているため、装置が大型化する。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、3D画像に対する操作時のユーザの違和感を軽減しながら、装置の大型化を抑えることができる画像表示装置および画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に係る画像表示装置は、両眼視差により観察者に3次元画像を視認させるための左眼用画像および右眼用画像からなる3次元表示用画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部で生成された前記3次元表示用画像を表示する表示部と、前記表示部の表示画面の表面側に配置された入力面を有し、前記入力面が押圧されたことを検出する検出部と、前記検出部の前記入力面における押圧された位置である入力位置を取得する位置取得部と、前記位置取得部で取得した入力位置が、前記3次元表示用画像に対応する位置である場合、所定の機能を実行制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る画像表示装置は、請求項1に記載の画像表示装置において、前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像における左眼用画像と右眼用画像との間隔を制御することにより、前記3次元表示用画像により観察者に視認される3次元画像の結像高さを制御する画像生成制御部をさらに備え、前記画像生成制御部は、所定の値を用いて、前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定することを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る画像表示装置は、請求項1に記載の画像表示装置において、前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を制御することにより、前記3次元表示用画像により観察者に視認される3次元画像の結像高さを制御する画像生成制御部をさらに備え、前記画像生成制御部は、結像高さの互いに異なる複数の調整用3次元表示用画像を前記表示部に表示させ、観察者により選択された1つの前記調整用3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔に基づいて、前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定することを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る画像表示装置は、請求項1に記載の画像表示装置において、前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を制御することにより、前記3次元表示用画像により観察者に視認される3次元画像の結像高さを制御する画像生成制御部をさらに備え、前記画像生成制御部は、前記表示画面の略同じ位置に表示される調整用右眼用画像と調整用左眼用画像とを前記表示部に順次表示させ、前記調整用右眼用画像の表示時において観察者の操作に応じて前記位置取得部から取得した入力位置と、前記調整用左眼用画像の表示時において観察者の操作に応じて前記位置取得部から取得した入力位置とを用いて、前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定することを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る画像表示装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像表示装置において、前記画像生成制御部は、複数の位置補正用3次元表示用画像を前記表示部に順次表示させ、それぞれの前記位置補正用3次元表示用画像の表示時において観察者の操作に応じて前記位置取得部から取得した入力位置を用いて、前記検出部の前記入力面における入力位置と、前記表示部の表示画面における画素位置とを関連づけする位置補正処理を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る画像表示装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置において、前記画像生成制御部は、前記検出部の前記入力面が押圧されたときに、前記表示画面における、押圧された前記入力面の入力位置に対応する位置に表示するための左眼用画像および右眼用画像を前記画像生成部で生成して前記表示部に表示するよう制御することを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る画像表示装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像表示装置において、前記画像生成制御部は、前記位置取得部で取得した入力位置が、前記3次元表示用画像に対応する位置である場合、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を変化させることを特徴とする。
【0017】
請求項8に係る画像表示装置は、請求項7に記載の画像表示装置において、前記画像生成制御部は、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を段階的に縮小し、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔が所定間隔以下になった後、縮小開始前の間隔に戻るまで段階的に間隔を拡大することを特徴とする。
【0018】
請求項9に係る画像表示装置は、請求項8に記載の画像表示装置において、前記画像生成制御部は、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔が所定間隔以下になった後、前記3次元表示用画像に関連づけられた機能の実行処理が終了するまで間隔が所定間隔以下の状態を維持することを特徴とする。
【0019】
請求項10に係る画像表示装置は、請求項8に記載の画像表示装置において、前記画像生成制御部は、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔が所定間隔以下になった後、縮小開始前の間隔に戻るまで、前記3次元表示用画像に関連づけられた機能の実行処理の進行状況に応じて段階的に間隔を拡大することを特徴とする。
【0020】
請求項11に係る画像表示方法は、表示部と、前記表示部の表示画面の表面側に配置された入力面を有し、前記入力面が押圧されたことを検出する検出部とを備える画像表示装置の前記表示部に画像を表示する画像表示方法であって、所定の値を用いて、両眼視差により観察者に3次元画像を視認させるための左眼用画像および右眼用画像からなる3次元表示用画像における左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップと、決定した左眼用画像と右眼用画像との間隔に基づいて前記3次元表示用画像を生成するステップと、前記3次元表示用画像を前記表示部に表示するステップとを含むことを特徴とする。
【0021】
請求項12に係る画像表示方法は、表示部と、前記表示部の表示画面の表面側に配置された入力面を有し、前記入力面が押圧されたことを検出する検出部とを備える画像表示装置の前記表示部に画像を表示する画像表示方法であって、両眼視差により観察者に3次元画像を視認させるための左眼用画像および右眼用画像からなる3次元表示用画像における左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップと、決定した左眼用画像と右眼用画像との間隔に基づいて前記3次元表示用画像を生成するステップと、前記3次元表示用画像を前記表示部に表示するステップとを含み、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップは、結像高さの互いに異なる複数の調整用3次元表示用画像を前記表示部に表示するステップと、観察者により選択された1つの前記調整用3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔に基づいて、前記表示部に表示する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
請求項13に係る画像表示方法は、表示部と、前記表示部の表示画面の表面側に配置された入力面を有し、前記入力面が押圧されたことを検出する検出部とを備える画像表示装置の前記表示部に画像を表示する画像表示方法であって、両眼視差により観察者に3次元画像を視認させるための左眼用画像および右眼用画像からなる3次元表示用画像における左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップと、決定した左眼用画像と右眼用画像との間隔に基づいて前記3次元表示用画像を生成するステップと、前記3次元表示用画像を前記表示部に表示するステップとを含み、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップは、調整用右眼用画像と調整用左眼用画像とを前記表示部の前記表示画面の略同じ位置に順次表示し、前記調整用右眼用画像の表示時において観察者の操作に応じて取得した前記入力面における入力位置と、前記調整用左眼用画像の表示時において観察者の操作に応じて取得した前記入力面における入力位置とを用いて、前記表示部に表示する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、3D画像に対する操作時のユーザの違和感を軽減しながら、装置の大型化を抑えることができる画像表示装置および画像表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】両眼視差を用いた3D画像の表示方法の説明図である。
【図2】結像高さが操作性に与える影響の説明図である。
【図3】結像画像の結像高さを設定する方法の説明図である。
【図4】結像画像の結像高さを設定する方法の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施の形態における画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】LCDとタッチパネルとの位置補正の説明図である。
【図8】LCDとタッチパネルとの位置補正の説明図である。
【図9】位置補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】画素位置と入力位置との関係算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第1の実施の形態における画像表示装置の表示画面の一例を示す図である。
【図12】3D画像ボタンの表示変更処理の第1例の説明図である。
【図13】機能実行処理の第1例の手順を示すフローチャートである。
【図14】3D画像ボタンの表示変更処理の第2例の説明図である。
【図15】機能実行処理の第2例の手順を示すフローチャートである。
【図16】機能実行処理の第2例の手順を示すフローチャートである。
【図17】3D画像ボタンの表示変更処理の第3例の説明図である。
【図18】機能実行処理の第3例の手順を示すフローチャートである。
【図19】機能実行処理の第3例の手順を示すフローチャートである。
【図20】3D画像生成処理の説明図である。
【図21】3D画像生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】第2の実施の形態において右眼用画像と左眼用画像との間隔を決定する方法の説明図である。
【図23】第2の実施の形態における画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図24】第2の実施の形態における3D画像結像高さ決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図25】第3の実施の形態において右眼用画像と左眼用画像との間隔を決定する方法の説明図である。
【図26】第3の実施の形態おいて右眼用画像と左眼用画像との間隔を決定する際の入力位置の取得時に生じる問題の説明図である。
【図27】第3の実施の形態において右眼用画像と左眼用画像との間隔を決定する方法の説明図である。
【図28】LCDの画素位置とタッチパネルの入力位置との関係の説明図である。
【図29】第3の実施の形態における3D画像結像高さ決定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0026】
(第1の実施の形態)
まず、両眼視差により観察者に画像を立体視させる3次元(3D)画像表示方法について、偏光フィルタ方式を例に説明する。
【0027】
図1において、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)1の表示画面上には、偏光特性の異なる2種類の偏光フィルタが1表示ラインおきに水平方向に配置されており、一方の偏光フィルタが配置されている表示ラインに左眼用画像が表示され、他方の偏光フィルタが配置されている表示ラインに右眼用画像が表示される構成となっている。観察者は、この左眼用画像と右眼用画像とが隔行で表示された表示画面を偏光眼鏡を通して見ることにより、左眼には左眼画像を、右眼には右眼画像を見ることになり、両眼視差による3D画像を視認することができる。
【0028】
図1に示すように、左眼用画像GL1と右眼用画像GR1とをLCD1の表示画面上に表示した場合、観察者の両眼視差により、LCD1の表示画面の表面1aから距離Lc1に結像画像GC1が結像する。左眼用画像GL1と右眼用画像GR1との間隔よりも狭い間隔で表示される左眼用画像GL2と右眼用画像GR2によれば、距離Lc1より短い距離Lc2に結像画像GC2が結像する。
【0029】
本実施の形態では、図1に示すように、3D画像を表示可能なLCD1の表示画面の表面1a側にタッチパネル2を配置し、ユーザの操作を受け付けることができる構成とする。
【0030】
タッチパネル2は、ユーザの指やタッチペンなどにより入力面2aが押圧されたことを検出し、さらに押圧された位置である入力位置を判別することが可能な位置検出デバイスである。
【0031】
タッチパネル2は、透明なガラスやフィルムで構成され、LCD1の表示画面に近接して取り付けられるので、ユーザは、LCD1の表示画面に表示される画像を、タッチパネルを介して見ることができる。そして、ユーザが表示画面に表示される画像に向けて操作を加えると、画像の近傍においてタッチパネルが押圧されることになるので、表示画像に対しての入力を検知することができる。
【0032】
このように、3D画像を表示可能なLCD1とタッチパネル2とを組み合わせることで、ユーザに画像を立体視させる視覚的効果に加え、LCD1に3D表示する操作ボタン等の画像に対してユーザが直接的に入力操作することが可能となる。これにより、ユーザは実際に操作ボタンを操作するのと近い感覚で入力操作を行うことができる。
【0033】
前述のように、3D画像を表示するための左眼用画像と右眼用画像との表示間隔が、表示画面の表面1aからの結像画像の距離(結像高さ)に影響する。そして、操作ボタン等の3D画像を表示するための左眼用画像と右眼用画像とを表示し、その結像画像に対してユーザが操作を行う場合、結像画像の結像高さがユーザの操作性に影響を与える。
【0034】
図2(b)に示すように、タッチパネル2の入力面2aの近傍に結像する結像画像GC2に対して、ユーザがタッチペン3を用いて入力操作を行う場合には、ユーザは違和感なく操作を行える。
【0035】
これに対し、図2(a)に示すように、タッチパネル2の入力面2aから遠くに結像する結像画像GC1に対して入力操作を行う場合、タッチペン3がタッチパネル2の入力面2aに届かないおそれがある。たとえ、そのままタッチペン3を入力面2aに向けて進め、タッチパネル2の入力面2aに接触できたとしても、ユーザは操作に違和感を覚えることは言うまでもない。
【0036】
さらに、ユーザは目標物を失うため、結像画像GC1に該当するタッチパネル2の入力位置を正確に押圧することができず、他の操作ボタンの表示位置を押圧するといった操作ミスをするおそれもある。
【0037】
このため、ユーザに違和感の少ない操作性を提供するためには、左眼用画像と右眼用画像とによる結像画像が、タッチパネル2の入力面2aの近傍に結像することが望ましい。
【0038】
ここで、左眼用画像と右眼用画像とによる結像高さを設定する方法について説明する。
【0039】
図3に示すように、LCD1の表示画面に右眼用画像である表示点Pd1と左眼用画像である表示点Pd2とをD2の間隔で表示し、観察者の左眼ELと右眼ERにてそれぞれに対応する表示点を見たときの、結像点Pcの表示画面の表面1aからの距離である結像高さをL2とする。
【0040】
LCD1の表示画面を直視した場合、「(表示点Pd1の中心)−(表示点Pd2の中心)−(結像点Pcの中心)がなす三角形」と、「(右眼ER)−(左眼EL)−(結像点Pcの中心)がなす三角形」とは相似関係にある。このため、表示点Pd1と表示点Pd2とをD2の間隔で表示した場合、図4に示す通り、LCD1の表示画面のどこに表示点Pd1,Pd2を表示したとしても、表示画面の表面1aから結像点Pcまでの距離L2は一定である。
【0041】
よって、タッチパネル2の厚みT、左眼ELと右眼ERとの間隔D1、左眼ELおよび右眼ERからタッチパネル2の入力面2aまでの距離L1とすると、以下の(式1)が成り立つ。
【0042】
D1:D2=(L1+T−L2):L2 …(式1)
この(式1)より、
D2=(D1×L2)÷(L1+T−L2) …(式2)
となる。
【0043】
LCD1の画素間のピッチをDpとすると、表示点Pd1の中心と表示点Pd2の中心との間の画素数Ngは、D2を画素ピッチDpで割ったものになるので、以下の(式3)により求められる。
【0044】
Ng = D2÷Dp
=(D1×L2)÷{(L1+T−L2)×Dp} …(式3)
上記(式3)において、画素数Ngを算出するために必要な各パラメータは、適用する装置の構成や使用方法に応じて決定することができる。
【0045】
以下に、3インチLCDを搭載した携帯型の装置を例に、各パラメータの決定方法、および表示点Pd1と表示点Pd2と間の画素数Ngの算出方法について説明する。
【0046】
まず、装置の構成により決定されるパラメータについて説明する。
【0047】
タッチパネルの厚みT、およびLCDの画素ピッチDpは、装置の構成によって必然的に決まるパラメータであり、当算出例では、タッチパネルの厚みT=5mm、画素ピッチDp=0.15mmとする。
【0048】
ここで、タッチパネルの厚みを5mmとする理由について述べる。3インチ前後の比較的小さなLCDに用いられるタッチパネルの厚みは、一般的に1〜2mmのものが多い。これは、主に装置の外形寸法を極力小さくするためであるが、2mm程度の厚みに合わせて3D表示したとしても立体的な効果は少ない。
【0049】
タッチパネルの厚みは、基材(例えばガラス板)の厚みの変更などで容易に変更可能であるので、当算出例では、タッチパネルの厚みT=5mmとする。
【0050】
次に、装置の使用方法により決定されるパラメータについて説明する。
【0051】
ユーザの眼からタッチパネルまでの距離L1は、装置の使用方法に依存する。3インチLCDを搭載した携帯型の装置の場合、ユーザが片手で装置を持ち、もう一方の手で操作を行うという方法で使用される。人間の手の長さには大差はないので、このような使用方法における眼から装置まで距離は300〜400mm程度と予想される。
【0052】
図3から明らかなように、眼からタッチパネルまでの距離が小さいほど、立体感がなくなるので、300mmの距離で使用しても3D画像の結像高さがタッチパネルの入力面より低くならないようにすることが望ましい。よって、眼からタッチパネルまでの距離L1=300mmと決めることができる。
【0053】
以上で決定した各パラメータの値を用いて、画素数Ngを算出する方法について説明する。
【0054】
人間の眼の間隔は、一般的に65mmとされているので、D1=65mmとし、タッチパネルの入力面に3D画像が結像するようにするためにはL2=5mmとすればよいので、(式3)より、画素数Ngは以下のように算出される。
【0055】
Ng =(65×5)÷{(300+5−5)×0.15}
= 7.22[個]
図3より明らかなように、より立体感を高めるためには画素数Ngを大きくすることが望ましいので、切り上げ処理を行い、Ng=8[個]と求められる。つまり、表示点Pd1の中心と表示点Pd2の中心との間隔が8画素(表示点Pd1,Pd2を1画素で表示した場合には、表示点Pd1とPd2との間の画素数は7画素になる)になるように表示画面に表示を行えば、タッチパネル2の入力面2aの近傍に結像点Pcを生成させることができる。
【0056】
以上で説明したように、適用する装置の構成や使用方法に応じて、上述した各パラメータを予め決定しておくことにより、タッチパネルの入力面から適切な高さに3D画像を結像させることが可能となる。
【0057】
次に、図5を参照して、第1の実施の形態に係る画像表示装置の構成を説明する。
【0058】
図5に示すように、第1の実施の形態に係る画像表示装置10は、タッチパネル(検出部)2と、位置取得部11と、画像生成部12と、再生部13と、表示部14と、制御部15と、ROM(Read Only Memory)16と、RAM(Random Access Memory)17とを備える。
【0059】
タッチパネル2は、前述した通り、ユーザの指やタッチペンなどにより入力面2aが押圧されたことを検出し、さらに押圧された入力位置を判別することが可能な位置検出デバイスである。
【0060】
タッチパネルの方式には多くの種類があるが、ここでは、最も一般的である抵抗膜式タッチパネルを例に挙げて説明を行う。抵抗膜式タッチパネルは、入力面が押圧されることにより、絶縁体で隔てられた2つの透明導電膜が接触する構造となっており、水平(以下、X軸とする)方向と垂直(以下、Y軸とする)方向の接触位置に比例した電圧をそれぞれ出力するように構成されている。このX軸方向とY軸方向の出力電圧をA/D(アナログ/デジタル)変換することにより、押圧された位置が検出可能となる。
【0061】
位置取得部11は、タッチパネル2の入力面2aが押圧されたことを検出するとともに、タッチパネル2から出力される電圧出力をA/D変換することにより、押圧された入力位置のX軸方向の座標とY軸方向の座標とを求める。
【0062】
画像生成部12は、表示位置、形状、サイズ、色、左眼用画像と右眼用画像との間の画素数等を示す情報を制御部15から受け取り、それらの情報に応じた左眼用画像と右眼用画像とからなる3D表示用画像を生成する。
【0063】
再生部13は、ROM16に格納された画像データや、記録メディアなどから入力される画像データなどの再生を行う再生機能を実行する。
【0064】
表示部14は、LCDなどのディスプレイからなり、画像生成部12にて生成された3D表示用画像、再生部13にて再生された画像データ、制御部15から指示されるメッセージなどを表示画面に表示する。なお、本実施の形態では、ディスプレイとしてはLCD1を用いるものとする。
【0065】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、プログラムに応じた処理を行うことによって、画像表示装置10全体の動作を制御する。例えば、制御部15は、位置取得部11によるタッチパネル2に対する押圧の検出、位置取得部11からの入力位置の座標の読み出し、ROM16から読み出した画像データなどの再生部13への入力および再生機能の実行制御、表示部14に対する表示制御等を行う。
【0066】
また、制御部15は、画像生成部12で生成する3D表示用画像における左眼用画像と右眼用画像との間隔(画素数Ng)を制御することにより、3D表示用画像によりユーザに視認される3D画像の結像高さを制御する画像生成制御部としての機能を有する。また、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aにおける入力位置と、表示部14の表示画面上の画素位置とを関連づけする位置補正処理を行う。
【0067】
ROM16は、制御部15の動作のためのプログラムや、再生部13で再生するための画像データなどのデータを格納する。また、ROM16は、図3を用いて説明した3D画像の結像高さを決定するための各パラメータ(タッチパネルの厚みT、左眼と右眼との間隔D1、眼からタッチパネルまでの距離L1、結像高さL2、画素間ピッチDp)を格納している。さらに、後述する位置補正処理に用いる4つの入力点の入力位置等も格納している。
【0068】
RAM17は、一時的なデータの保存や演算時における制御部15のワーク領域として使用される。
【0069】
次に、第1の実施の形態における画像表示装置10の動作について説明する。
【0070】
図6は、第1の実施の形態における画像表示装置10の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS10において、制御部15は、左眼用画像と右眼用画像の間の画素数Ngを算出するための3D画像結像高さ算出処理を行う。
【0071】
この3D画像結像高さ算出処理において、制御部15は、3D画像の結像高さを決定するためのパラメータである、タッチパネルの厚みT、左眼と右眼との間隔D1、眼からタッチパネルまでの距離L1、結像高さL2、画素間ピッチDpをROM16から読み出し、これらのパラメータを用いて、前述の(式3)により、左眼用画像と右眼用画像との間の画素数Ngを算出する。
【0072】
次いで、ステップS20において、制御部15は、タッチパネル2における入力位置と、表示部14における表示画面の画素位置を関連づけるための位置補正処理が実施されたか否かを判断する。
【0073】
位置補正処理が実施されていない場合(ステップS20:NO)、ユーザが視認している3D画像に対して正確な操作を加えることができないので、ステップS30において、制御部15は、自動的に位置補正処理を開始するように制御を行う。位置補正処理の手順については後述する。
【0074】
位置補正処理が実施済みである場合(ステップS20:YES)、ステップS40において、制御部15は、ステップS10で算出した画素数Ngに応じた所定の左眼用画像と右眼用画像とからなる3D表示用画像を画像生成部12で生成し、生成した3D表示用画像を表示部14の表示画面に表示するよう制御する。
【0075】
次いで、ステップS50において、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧されたことが位置取得部11により検出されたか否かを判断する。検出された場合(ステップS50:YES)、ステップS60に進み、検出されていない場合(ステップS50:NO)、位置取得部11で入力面2aの押圧が検出されるまでステップS50を繰り返す。
【0076】
ステップS60では、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧された入力位置の座標(Xi,Yi)を位置取得部11から取得する。
【0077】
次いで、ステップS70において、制御部15は、位置取得部11から取得した入力位置(Xi,Yi)を、ステップS30の位置補正処理で得た関連づけの結果に基づいて、表示画面の画素位置(Xd,Yd)に変換する。
【0078】
次いで、ステップS80において、制御部15は、ステップS70で算出した表示画面の画素位置(Xd,Yd)に、操作可能な操作ボタン等を示す3D画像をユーザに視認させる3D表示用画像があるか否かを判断する。
【0079】
画素位置(Xd,Yd)に3D表示用画像が存在しない場合(ステップS80:NO)、ステップS50に戻る。画素位置(Xd,Yd)に3D表示用画像がある場合(ステップS80:YES)、ステップS90において、制御部15は、その3D表示用画像に関連づけられた機能を実行するよう制御する。この機能実行処理については後述する。
【0080】
次に、図7および図8を用いて、前述した図6のステップS30の位置補正処理について説明する。
【0081】
位置補正処理は、タッチパネル2における入力位置と、表示部14の表示画面の画素位置との関連づけを行うための処理である。まず、図7を用いて、この位置補正処理が必要な2つの理由について説明する。
【0082】
まず、位置補正処理が必要な第1の理由について説明する。
【0083】
図7において、有効表示領域21は、LCD1において画像を表示可能な領域を示し、有効使用領域22は、タッチパネル2の入力面2aの押圧を検出可能な領域を示している。
【0084】
通常、LCD1はタッチパネル2を取り付ける構造とはなっておらず、取り付ける際は外形を基準として冶具などを用いて取り付けられる。このため、LCD1やタッチパネル2に外形寸法の誤差等がある場合には、タッチパネル2をLCD1に正確に取り付けることはできない。
【0085】
したがって、LCD1の有効表示領域21とタッチパネル2の有効使用領域22との位置関係にも誤差を生じ、タッチパネル2の押圧位置とLCD1の画素位置とを予め関連づけることはできない。
【0086】
次に、位置補正処理が必要な第2の理由について説明する。
【0087】
図7に示すように、左眼用画像である表示点Pd1lと右眼用画像であるPd1rとをタッチパネル2の入力面2aに結像するように画素数Ngの間隔でLCD1の表示画面に表示し、左眼ELおよび右眼ERで見た場合、入力点Pi1の位置に結像することになる。
【0088】
よって、表示点Pd1lと表示点Pd1rとにより得られる3D画像に対してユーザが操作を加える場合には、入力点Pi1の位置が押圧されることになる。
【0089】
同様に、左眼用画像である表示点Pd2lと右眼用画像である表示点Pd2rとによる3D画像への操作時は、入力点Pi2の位置が押圧され、左眼用画像である表示点Pd3lと右眼用画像である表示点Pd3rによる3D画像への操作時は、入力点Pi3の位置が押圧され、左眼用画像である表示点Pd4lと右眼用画像である表示点Pd4rによる3D画像への操作時は、入力点Pi4の位置が押圧されることになる。
【0090】
以上より、ユーザにより3D画像に操作が加えられたか否かを検出するためには、入力位置に3D画像が結像されているか否かを判断すればよい。言い換えれば、入力位置に3D画像を結像させるような左眼用画像、または右眼用画像があるかどうかを判断すればよいことになる。
【0091】
したがって、タッチパネル2の入力位置と左眼用画像の表示画面上の画素位置との関係、もしくはタッチパネル2の入力位置と右眼用画像の表示画面上の画素位置との関係を求めれば、ユーザの3D画像への操作を検出することができる。
【0092】
ところが、図7から明らかなように、表示点と入力点との関係は、左眼ELおよび右眼ERの位置や、左眼ELと右眼ERとの間隔に依存して決定される。これは、表示画面の同じ位置に画像を表示しても、ユーザの使用位置によって押圧されるタッチパネル2入力面2a上の位置が異なることを意味している。
【0093】
つまり、タッチパネル2の入力位置とLCD1の画素位置とを予め関連づけることはできず、ユーザが実際に使用する位置での関連づけを行わなければならない。
【0094】
以上が、位置補正処理が必要な理由である。
【0095】
次いで、図8を用いて、タッチパネル2の入力位置とLCD1の表示画面上の画素位置との関連づけの方法について説明する。なお、タッチパネル2の入力位置およびLCD1の表示画面の画素位置は、水平方向をX軸とし(図示左から右に増加方向)、垂直方向をY軸(図示上から下に増加方向)として説明を行う。
【0096】
左眼用画像と右眼用画像とは、表示画面のどの位置であっても、図6のステップS10で求めた画素数Ngの間隔で表示されるので、左眼用画像の画素位置と結像画像への入力位置の関係、または右眼用画像の画素位置と結像画像への入力位置との関係がわかればよい。そこで、本実施の形態では、右眼用画像の画素位置と結像画像へのタッチパネル2上の入力位置との関係を求める方法について説明を行う。
【0097】
右眼用画像の画素位置と結像画像への入力位置との関係を求めるにあたり、その第1のステップとして、右眼用画像である表示点をLCD1の表示画面に表示し、それに対するタッチパネル2上の入力位置の取得を行う。
【0098】
まず、図8に示すように、右眼用画像である4つの表示点Pd1r〜Pd4rと、左眼用画像である4つの表示点Pd1l〜Pd4lとを、位置補正用3次元表示用画像として、ユーザが視認可能な大きさとなるように複数画素を用いてLCD1の表示画面に順次表示する。
【0099】
図8において、右眼用画像である表示点Pd1r〜Pd4rは、それぞれの中心画素が表示画面上の画素位置(Xd1r,Yd1),(Xd2r,Yd1),(Xd1r,Yd2),(Xd2r,Yd2)に表示されているものとする。表示点Pd1rと表示点Pd3r、および表示点Pd2rと表示点Pd4rは、X軸方向の画素位置が等しく、表示点Pd1rと表示点Pd2r、および表示点Pd3rと表示点Pd4rは、Y軸方向の画素位置が等しい。
【0100】
また、表示点Pd1r〜Pd4rは、互いのX軸方向の間隔、およびY軸方向の間隔が所定距離以上に大きくなるよう(例えば、表示画面の縦横の長さの半分以上となるよう)に配置する。これは、後述するように、取得した入力位置の測定誤差を減少させるためである。
【0101】
また、左眼用画像である表示点Pd1l〜Pd4lは、右眼用画像である表示点Pd1r〜Pd4rとの間隔が、図6のステップS10で説明した3D画像結像高さ算出処理で求められた画素数Ngとなるように表示画面上に表示されている。
【0102】
先に述べた通り、この表示点Pd1r〜Pd4rと表示点Pd1l〜Pd4lとにより、入力点Pi1〜Pi4の位置に4つの3D画像が結像される。
【0103】
次に、右眼用画像である表示点Pd1r〜Pd4rを用いてタッチパネル2の入力面2aにおける入力位置の取得を行う。
【0104】
まず、操作者が偏光眼鏡をかけずに、片目で表示点Pd1r〜Pd4rを真上から、つまりタッチパネル2の入力面2aに対して垂直に見て、表示点Pd1r〜Pd4rの位置を押圧したときの4つの入力点の入力位置を得る。
【0105】
図8において、この4つの入力点をPu1r〜Pu4rとし、それぞれの入力位置を(Xu1r,Yu1r),(Xu2r,Yu2r),(Xu3r,Yu3r),(Xu4r,Yu4r)とする。
【0106】
ここで、入力点Pu1r〜Pu4rの入力位置には測定誤差を含む可能性があり、この測定誤差の影響を減少させるためには、X軸方向、Y軸方向で等しい画素位置にある表示点から得られる入力位置の平均値を求めればよい。
【0107】
そこで、制御部15は、入力点Pu1rと入力点Pu3rとのX軸方向の位置の平均値、および入力点Pu2rと入力点Pu4rとのX軸方向の位置の平均値を算出し、それぞれXu13r,Xu24rとする。同様に、制御部15は、入力点Pu1rと入力点Pu2rとのY軸方向の位置の平均値、および入力点Pu3rと入力点Pu4rとのY軸方向の位置の平均値を算出し、それぞれYu12r,Yu34rとする。
【0108】
入力点Pu1r〜Pu4rの入力位置の取得は、ユーザの操作によって取得するようにしてもよいが、この入力位置は、ユーザの使用位置には依存しないものである。そこで、本実施の形態では、画像表示装置10の製造工程で製造者の操作により入力点Pu1r〜Pu4rの入力位置の取得を行い、この入力点Pu1r〜Pu4rの入力位置がROM16に記憶されているものとする。
【0109】
次に、ユーザに対して表示点Pd1r〜Pd4rと表示点Pd1l〜Pd4lとによる4つの3D画像の中心をタッチペンなどで押圧するよう指示し、この指示に応じたユーザの押圧操作によるタッチパネル2の入力面2aにおける4つの入力点の入力位置を得る。
【0110】
図8において、この4つの入力点をPi1〜Pi4とし、それぞれの入力位置を(Xi1,Yi1),(Xi2,Yi2),(Xi3,Yi3),(Xi4,Yi4)とする。
【0111】
入力点Pi1〜Pi4には測定誤差を含む可能性があるので、上述の入力点Pu1r〜Pu4rと同様に、入力点Pi1と入力点Pi3とのX軸方向の位置の平均値、および入力点Pi2と入力点Pi4とのX軸方向の位置の平均値を算出し、それぞれXi13,Xi24とする。同様に、入力点Pi1と入力点Pi2とのY軸方向の位置の平均値、および入力点Pi3と入力点Pi4とのY軸方向の位置の平均値を算出し、それぞれYi12,Yi34とする。
【0112】
第2のステップとして、LCD1の表示画面の画素位置と、その真上に位置するタッチパネル2の入力面2aにおける入力位置との関係を求める。
【0113】
位置補正処理が必要な第1の理由としてすでに説明した通り、LCD1をタッチパネル2に正確に取り付けることはできず、このため、表示画面の画素位置とタッチパネル2の入力面2aにおける入力位置とを予め関連づけることはできない。よって、表示画面の画素位置とタッチパネル2の入力面2aにおける入力位置との関係を求める処理が必要となる。以下に、その方法について説明する。
【0114】
LCD1の画素は、X軸方向、Y軸方向ともに均一の間隔で配置されており、また、タッチパネル2の入力面2aを押圧した位置と、その結果として得られる入力位置との関係は、X軸方向、Y軸方向ともに直線性を有する。
【0115】
したがって、表示画面の画素位置とその真上に位置するタッチパネル2の入力位置との関係は、X軸方向、Y軸方向ともに比例関係となるので、画素位置(Xdr,Ydr)と、この画素位置(Xdr,Ydr)に表示される表示点Pdrの真上の入力位置(Xur,Yur)との間には、以下の(式5)、(式6)が成り立つ。
【0116】
Xdr = α1x×Xur +β1x …(式5)
Ydr = α1y×Yur +β1y …(式6)
(α1x、α1y、β1x、β1yは定数)
前述したように、表示点Pd1r(画素位置(Xd1r,Yd1))と表示点Pd3r(画素位置(Xd1r,Yd2))を真上から押圧した場合に得られるX軸方向の入力位置の平均値はXu13rであり、表示点Pd2r(画素位置(Xd2r,Yd1))と表示点Pd4r(画素位置(Xd2r,Yd2))を真上から押圧した場合に得られるX軸方向の入力位置の平均値はXu24rである。同様に、表示点Pd1r(画素位置(Xd1r,Yd1))と表示点Pd2r(画素位置(Xd2r,Yd1))を真上から押圧した場合に得られるY軸方向の入力位置の平均値はYu12rであり、表示点Pd3r(画素位置(Xd1r,Yd2))と表示点Pd4r(画素位置(Xd2r,Yd2))を真上から押圧した場合に得られるY軸方向の入力位置の平均値はYu34rである。
【0117】
よって、(式5)より、
Xd1r = α1x×Xu13r + β1x …(式7)
Xd2r = α1x×Xu24r + β1x …(式8)
(式7)、(式8)より、
α1x =(Xd2r−Xd1r)÷(Xu24r−Xu13r) …(式9)
β1x =(Xd1r×Xu24r−Xd2r×Xu13r)÷(Xu24r−Xu13r) …(式10)
また、(式6)より、
Yd1 = α1y×Yu12r + β1y …(式11)
Yd2 = α1y×Yu34r + β1y …(式12)
(式11)、(式12)より、
α1y =(Yd2−Yd1)÷(Yu34r−Yu12r) …(式13)
β1y =(Yd1×Yu34r−Yd2×Yu12r)÷(Yu34r−Yu12r) …(式14)
以上のように、画素位置(Xdr,Ydr)とその真上に位置するタッチパネル2の入力位置(Xur,Yur)との関係を算出することができる。
【0118】
次に、最後のステップとして、右眼用画像の画素位置と、この右眼用画像とそれに対応する左眼用画像により結像する画像を押圧した場合に得られるタッチパネル2上の入力位置との関係について算出する。
【0119】
まず、結像画像に対する入力位置(Xi,Yi)と、結像画像を生成する右眼用画像の真上の入力位置(Xur,Yur)との関係を求める方法について説明する。
【0120】
図8において、表示点Pdrは、画素位置(Xdr,Ydr)に表示されている右眼用画像であり、この表示点Pdrの真上を押圧した場合の入力位置を(Xur,Yur)とする。
【0121】
また、表示点Pdlは、表示点Pdrから画素数Ngの間隔で表示されている左眼用画像であり、この表示点Pdlと表示点Pdrにより結像する画像を押圧した場合のタッチパネル2上の入力点をPiとし、その入力位置を(Xi,Yi)とする。
【0122】
図8において、「(表示点Pdr)−(表示点Pdrの真上のX軸方向の入力位置Xur)−(入力点PiのX軸方向の入力位置Xi)がなす三角形」と、「(右眼ER)−(入力面2aの延長線上における右眼ERのX軸方向の位置Xer)−(入力点PiのX軸方向の入力位置Xi)がなす三角形」とは相似の関係にある。
【0123】
よって、タッチパネル2の厚みT、右眼ERからタッチパネル2の入力面2aまでの距離Lとすると、以下の(式15)が成り立つ。
【0124】
(Xi−Xur):(Xer−Xi)= T:L …(式15)
上記(式15)より、表示点Pdrの真上のX軸方向の入力位置Xurは、以下の(式16)のように求められる。
【0125】
Xur ={(L+T)×Xi −T×Xer }÷L …(式16)
Y軸方向についても同様に、「(表示点Pdr)−(表示点Pdrの真上のY軸方向の入力位置Yur)−(入力点PiのY軸方向の入力位置Yi)がなす三角形」と、「(右眼ER)−(右眼ERの入力面2a上のY軸方向の位置Yer)−(入力点PiのY軸方向の入力位置Yi)がなす三角形」とは相似の関係にある。
【0126】
よって、以下の(式17)が成り立つ。
【0127】
(Yi−Yur):(Yer−Yi)= T:L …(式17)
上記(式17)より、表示点Pdrの真上のY軸方向の入力位置Yurは、以下の(式18)のように求められる。
【0128】
Yur ={(L+T)×Yi −T×Yer }÷L …(式18)
以上より、表示点Pdrの真上の入力位置(Xur,Yur)は、入力点Piの入力位置(Xi,Yi)と比例関係にあるので、以下の(式19)、(式20)が成り立つ。
【0129】
Xur = α2x×Xi +β2x …(式19)
Yur = α2y×Yi +β2y …(式20)
(α2x、α2y、β2x、β2yは定数)
前述したように、表示点Pd1rと表示点Pd3rを真上から押圧した場合に得られるX軸方向の入力位置の平均値はXu13rであり、表示点Pd2rと表示点Pd4rを真上から押圧した場合に得られるX軸方向の入力位置の平均値はXu24rである。
【0130】
また、表示点Pd1r、表示点Pd1lによる結像画像による入力点Pi1と、表示点Pd3r、表示点Pd3lによる結像画像による入力点Pi3とのX軸方向の入力位置の平均値はXi13であり、表示点Pd2r、表示点Pd2lによる結像画像による入力点Pi2と、表示点Pd4r、表示点Pd4lによる結像画像による入力点Pi4とのX軸方向の入力位置の平均値はXi24である。
【0131】
同様に、表示点Pd1r、表示点Pd1lによる結像画像による入力点Pi1と、表示点Pd2r、表示点Pd2lによる結像画像による入力点Pi2とのY軸方向の入力位置の平均値はYi12であり、表示点Pd3r、表示点Pd3lによる結像画像による入力点Pi3と、表示点Pd4r、表示点Pd4lによる結像画像による入力点Pi4とのY軸方向の入力位置の平均値はYi34である。
【0132】
よって、(式19)より、
Xu13r = α2x×Xi13 +β2x …(式21)
Xu24r = α2x×Xi24 +β2x …(式22)
(式21)、(式22)より、
α2x =(Xu24r−Xu13r)÷(Xi24−Xi13) …(式23)
β2x =(Xi24×Xu13r−Xi13×Xu24r)÷(Xi24−Xi13) …(式24)
同様に、(式20)より、
Yu12r = α2y×Yi12 +β2y …(式25)
Yu34r = α2y×Yi34 +β2y …(式26)
(式25)、(式26)より、
α2y =(Yu34r−Yu12r)÷(Yi34−Yi12) …(式27)
β2y =(Yi34×Yu12r−Yi12×Yu34r)÷(Yi34−Yi12) …(式28)
以上のように、(式19)、(式20)、(式23)、(式24)、(式27)、(式28)により、入力点Piの入力位置(Xi,Yi)と、表示点Pdrの真上の入力位置(Xur,Yur)との関係を求めることができる。
【0133】
ここで、表示点Pdrの画素位置(Xdr,Ydr)と、その真上に位置するタッチパネル2の入力位置(Xur,Yur)との関係は、(式5)、(式6)、(式9)、(式10)、(式13)、(式14)ですでに求まっているので、右眼用画像である表示点Pdrの画素位置(Xdr,Ydr)と、この表示点Pdrと表示点Pdlとにより結像する画像を押圧した場合に得られるタッチパネル2上の入力位置(Xi,Yi)との関係は、以下の(式29)、(式30)のように求めることができる。
【0134】
Xdr = α1x ×Xur +β1x
= α1x ×(α2x×Xi +β2x)+β1x
= α1x ×α2x ×Xi +(α1x×β2x +β1x) …(式29)
Ydr = α1y ×Yur +β1y
= α1y ×(α2y×Yi +β2y)+β1y
= α1x ×α2y ×Yi +(α1y×β2y +β1y) …(式30)
ただし、
α1x =(Xd2r−Xd1r)÷(Xu24r−Xu13r) (式9より)
β1x =(Xd1r×Xu24r−Xd2r×Xu13r)÷(Xu24r−Xu13r) (式10より)
α2x =(Xu24r−Xu13r)÷(Xi24−Xi13) (式23より)
β2x =(Xi24×Xu13r−Xi13×Xu24r)÷(Xi24−Xi13) (式24より)
α1y =(Yd2−Yd1)÷(Yu34r−Yu12r) (式13より)
β1y =(Yd1×Yu34r−Yd2×Yu12r)÷(Yu34r−Yu12r) (式14より)
α2y =(Yu34r−Yu12r)÷(Yi34−Yi12) (式27より)
β2y =(Yi34×Yu12r−Yi12×Yu34r)÷(Yi34−Yi12) (式28より)
である。
【0135】
以上のように、右眼用画像の画素位置(Xdr,Ydr)と、この右眼用画像とそれに対応する左眼用画像により結像する画像を押圧した場合に得られるタッチパネル2上の入力位置(Xi,Yi)との関係を算出することができる。
【0136】
以下に、具体的な数値を用いて、上述した入力位置(Xi,Yi)と画素位置(Xdr,Ydr)との関係の算出方法を説明する。
【0137】
この説明において、LCD1の有効解像度を320(X軸方向)×240(Y軸方向)、位置取得部11のA/Dの分解能を10bit(1024個の入力位置)、タッチパネル2の厚みT=5mmとする。
【0138】
また、各画素位置、および入力位置を以下の値として説明を行う。
【0139】
表示点Pd1r〜Pd4rの画素位置は、表示点Pd1rの表示画面上の画素位置(Xd1r,Yd1)=(40,30)、表示点Pd2rの表示画面上の画素位置(Xd2r,Yd1)=(280,30)、表示点Pd3rの表示画面上の画素位置(Xd1r,Yd2)=(40,210)、表示点Pd4rの表示画面上の画素位置(Xd2r,Yd2)=(280,210)とする。
【0140】
製造過程において取得される各入力位置は、表示点Pd1rの真上の入力点Pu1rの入力位置(Xu1r,Yu1r)=(142,159)、表示点Pd2rの真上の入力点Pu2rの入力位置(Xu2r,Yu2r)=(854,161)、表示点Pd3rの真上の入力点Pu3rの入力位置(Xu3r,Yu3r)=(138,888)、表示点Pd4rの真上の入力点Pu4rの入力位置(Xu4r,Yu4r)=(866,872)とする。
【0141】
ユーザ操作により取得される各入力位置は、表示点Pd1rと表示点Pd1lとの結像画像による入力位置Pi1(Xi1,Yi1)=(154,166)、表示点Pd2rと表示点Pd2lとの結像画像による入力位置Pi2(Xi2,Yi2)=(862,158)、表示点Pd3rと表示点Pd3lとの結像画像による入力位置Pi3(Xi3,Yi3)=(160,874)、表示点Pd4rと表示点Pd4lとの結像画像による入力位置Pi4(Xi4,Yi4)=(870,866)とする。
【0142】
まず、測定誤差を減少させるために、各入力値のX軸方向およびY軸方向の平均値は、
Xu13r =(Xu1r+Xu3r)÷2=(142+138)÷2=140
Xu24r =(Xu2r+Xu4r)÷2=(854+866)÷2=860
Yu12r =(Yu1r+Yu2r)÷2=(159+161)÷2=160
Yu34r =(Yu3r+Yu4r)÷2=(888+872)÷2=880
Xi13 =(Xi1+Xi3)÷2=(154+160)÷2=157
Xi24 =(Xi2+Xi4)÷2=(862+870)÷2=866
Yi12 =(Yi1+Yi2)÷2=(166+158)÷2=162
Yi34 =(Yi3+Yi4)÷2=(874+866)÷2=870
と求められる。
【0143】
前述の(式9)、(式10)より
α1x =(Xd2r−Xd1r)÷(Xu24r−Xu13r)
=(280−40)÷(860−140)
= 1/3
β1x =(Xd1r×Xu24r−Xd2r×Xu13r)÷(Xu24r−Xu13r)
=(40×860−280×140)÷(860−140)
= −20/3
また、(式23)、(式24)より、
α2x =(Xu24r−Xu13r)÷(Xi24−Xi13)
=(860−140)÷(866−157)
= 1.0155
β2x =(Xi24×Xu13r−Xi13×Xu24r)÷(Xi24−Xi13)
=(866×140−157×860)÷(866−157)
= −19.44
となる。
【0144】
よって、(式29)より、X軸方向の右眼用画像の画素位置(Xdr,Ydr)と、この右眼用画像とそれに対応する左眼用画像により結像する画像を押圧した場合に得られるタッチパネル2上の入力位置(Xi,Yi)との関係は、
Xdr = α1x×α2x×Xi+(α1x×β2x+β1x)
= 1/3×1.0155×Xi+(1/3×(−19.44)−20/3)
= 0.3385×Xi−13.15
と求めることができる。
【0145】
Y軸方向も同様にして、(式13)、(式14)より、
α1y =(Yd2−Yd1)÷(Yu34r−Yu12r)
=(210−30)÷(880−160)
= 1/4
β1y =(Yd1×Yu34r−Yd2×Yu12r)÷(Yu34r−Yu12r)
=(30×880−210×160)÷(880−160)
= −10
また、(式27)、(式28)より、
α2y =(Yu34r−Yu12r)÷(Yi34−Yi12)
=(880−160)÷(870−162)
= 1.0170
β2y =(Yi34×Yu12r−Yi12×Yu34r)÷(Yi34−Yi12)
=(870×160−162×880)÷(870−162)
= −4.75
となる。
【0146】
よって、(式30)より、Y軸方向の右眼用画像の画素位置(Xdr,Ydr)と、この右眼用画像とそれに対応する左眼用画像により結像する画像を押圧した場合に得られるタッチパネル2上の入力位置(Xi,Yi)との関係は、
Ydr = α1x×α2y×Yi+(α1y×β2y+β1y)
= 1/4×1.0170×Yi+(1/4×(−4.75)−10)
= 0.2543×Yi−11.19
と求めることができる。
【0147】
次に、上述したような位置補正処理を行う際の画像表示装置10の動作について、図9示すフローチャートを参照して説明する。
【0148】
まず、ステップS110において、制御部15は、最初の右眼用画像の表示点Pd1rと左眼用画像の表示点Pd1lとの対(表示点対)を画像生成部12で生成し、表示部14により表示するよう制御する。表示点Pd1rと表示点Pd1lとは画素数Ngだけ離れて表示される。
【0149】
次いで、ステップS120において、制御部15は、表示点Pd1rと表示点Pd1lとにより結像する画像に対してユーザがタッチパネル2を押圧した入力回数をカウントするためのカウント数Cを初期化する(C=0とする)。
【0150】
次いで、ステップS130において、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧されたことが位置取得部11により検出されたか否かを判断する。検出された場合(ステップS130:YES)、ステップS140に進み、検出されていない場合(ステップS130:NO)、位置取得部11で入力面2aの押圧が検出されるまでステップS130を繰り返す。
【0151】
ステップS140では、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧された入力位置を位置取得部11から取得する。
【0152】
次いで、ステップS150において、制御部15は、カウント数Cの値を1だけインクリメントし、ステップS160において、制御部15は、直近のタッチパネル2に対する押圧が検出されてから既定時間が経過したか否かを判断する。既定時間が経過した場合(ステップS160:YES)、ステップS170に進み、既定時間が経過していない場合(ステップS160:NO)、既定時間が経過するまでステップS160を繰り返す。
【0153】
ステップS170では、制御部15は、カウント数Cの値が既定数以上であるか否かを判断する。既定数以上である場合(ステップS170:YES)、ステップS180に進み、既定数未満である場合(ステップS170:NO)、ステップS130に戻る。
【0154】
ここで、ステップS160とステップS170の処理を行う理由を述べる。ユーザがいくらタッチパネル2上の同じ位置を押圧しても、わずかな震えや位置取得部11の回路上のノイズなどにより、得られる入力位置は一定値にはならず、ばらつきが生じる。ステップS160,S170の処理は、一定の時間間隔で複数の測定を行うことにより、そのばらつきによる測定誤差を減少させるための処理である。
【0155】
ステップS180では、制御部15は、以上で取得したC個の入力位置の平均値を算出し、この平均値を、表示中の表示点対に対する入力位置(Xi1,Yi1)とする。
【0156】
次いで、ステップS190において、制御部15は、表示点の表示を終了して非表示とするよう制御する。
【0157】
次いで、ステップS200において、制御部15は、最後の表示点対の表示が終了したか否かを判断する。最後の表示点対の表示が終了した場合(ステップS200:YES)、ステップS210に進む。最後の表示点対の表示が終了していない場合、ステップS220において、制御部15は、次の表示点対を表示させ、その後、ステップS120に戻る。
【0158】
以上により、位置補正処理に用いる複数の表示点対(位置補正用3次元表示用画像)を順次表示し、それぞれの表示点対に対する入力位置を得る。前述の図7、図8で説明した例のように位置補正処理に4つの表示点対を用いる場合では、各表示点対に対応した入力位置(Xi1,Yi1),(Xi2,Yi2),(Xi3,Yi3),(Xi4,Yi4)が取得される。
【0159】
そして、ステップS210において、制御部15は、後述する画素位置と入力位置との関係算出処理を行うことにより、LCD1の表示画面上の画素位置とタッチパネル2上の入力位置との関係の算出を行う。
【0160】
ここで、上述の図9のフローチャートで説明した位置補正処理において、複数の表示点対を同時に表示するのではなく順番に表示するようにした理由を述べる。複数の表示点対を同時に表示した場合、ユーザがどの表示点対に対してタッチパネル2を押圧したのかは分からないので、どの表示点対に対する押圧なのかをタッチパネル2の入力位置から判定する処理が必要になる。複数の表示点対を順番に表示することにより、どの表示点対に対する押圧かが明確になり、処理が簡単になるという利点がある。
【0161】
次に、図10のフローチャートを参照して、上述した図9のステップS210における画素位置と入力位置との関係算出処理について説明する。位置補正処理に図7、図8で示した表示点Pd1r〜Pd4rおよび表示点Pd1l〜Pd4lからなる4つの表示点対を用いる場合について説明する。
【0162】
まず、ステップS310において、制御部15は、表示点Pd1r〜Pd4rの真上のX軸方向の入力位置Xu1r〜Xu4rをROM16から読み出す。先に説明した通り、この入力位置Xu1r〜Xu4rは、装置の製造者が製造工程で取得したものである。
【0163】
次いで、ステップS320において、制御部15は、入力位置Xu1rと入力位置Xu3rとの平均値Xu13r、および入力位置Xu2rと入力位置Xu4rとの平均値Xu24rをそれぞれ求める。
【0164】
次いで、ステップS330において、制御部15は、ステップS320で求めた平均値Xu13r,Xu24rを用いて、前述の(式5)により、X軸方向の画素位置Xdrと画素の真上の入力位置Xurとの関係を算出する。
【0165】
次いで、ステップS340において、制御部15は、表示点Pd1r〜Pd4rの真上のY軸方向の入力位置Yu1r〜Yu4rをROM16からから読み出す。入力位置Yu1r〜Yu4rも入力位置Xu1r〜Xu4rと同様に、装置の製造者が製造工程で取得したものである。
【0166】
次いで、ステップS350において、制御部15は、入力位置Yu1rと入力位置Yu2rとの平均値Yu12r、および入力位置Yu3rと入力位置Yu4rとの平均値Yu34rをそれぞれ求める。
【0167】
次いで、ステップS360において、制御部15は、ステップS350で求めた平均値Yu12r,Yu34rを用いて、前述の(式6)より、Y軸方向の画素位置Ydrと画素の真上の入力位置Yurとの関係を算出する。
【0168】
次いで、ステップS370において、制御部15は、前述した図9のフローチャートの処理で取得した表示点Pd1r〜Pd4rのX軸方向の入力位置を用いて、入力位置Xi1と入力位置Xi3との平均値Xi13、および入力位置Xi2と入力位置Xi4との平均値Xi24をそれぞれ求める。
【0169】
次いで、ステップS380において、制御部15は、Y軸方向についても同様に、入力位置Yi1と入力位置Yi2との平均値Yi12、および入力位置Yi3と入力位置Yi4との平均値Yi34をそれぞれ求める。
【0170】
次いで、ステップS390において、制御部15は、ステップS370で求めたXi13とXi24と、ステップS320で求めたXu13rとXu24rとを用いて、前述の(式19)により、X軸方向の入力位置Xiと画素位置の真上の入力位置Xurとの関係を算出する。
【0171】
次いで、ステップS400において、制御部15は、ステップS380で求めたYi12とYi34と、ステップS350で求めたYu12rとYu34rとを用いて、前述の(式20)により、Y軸方向の入力位置Yiと画素位置の真上の入力位置Yurとの関係を算出する。
【0172】
次いで、ステップS410において、制御部15は、ステップS330で求めたX軸方向の画素位置Xdrと真上の入力位置Xurの関係(式5)と、ステップS390で求めたX軸方向の入力位置Xiと画素位置の真上の入力位置Xurとの関係(式19)より算出された(式29)を用いて、X軸方向の画素位置Xdrと入力位置Xiとの関係を算出する。
【0173】
次いで、ステップS420において、制御部15は、ステップS360で求めたY軸方向の画素位置Ydrと真上の入力位置Yurの関係(式6)と、ステップS400で求めたY軸方向の入力位置Yiと画素位置の真上の入力位置Yurとの関係(式20)より算出された(式30)を用いて、Y軸方向の画素位置Ydrと入力位置Yiとの関係を算出する。
【0174】
以上のような位置補正処理により、画素位置(Xdr,Ydr)と入力位置(Xi,Yi)との関係を算出することができる。
【0175】
次に、前述した図6のステップS90の機能実行処理について説明する。画像表示装置10で実行する機能として、再生部13による画像データの再生機能を例として説明する。
【0176】
図11は、画像表示装置10における画面表示の一例である。図11において、表示画面30には、画像表示装置10のプログラム内に実装されているビデオ再生用のアプリケーションの再生用機能画面31と、選択ボタン32A〜32Cとが表示されている。
【0177】
選択ボタン32A〜32Cは、左眼用画像と右眼用画像とによりユーザが3D画像として認識可能に表示されるものであり、例えば、サムネイルやショートカットアイコンのような類のものである。選択ボタン32A〜32Cは、再生部13内の画像ファイルにそれぞれ関連づけられており、ユーザがこの選択ボタン32A〜32Cの3D画像に対してタッチパネル2より入力を行った場合には、関連づけられた画像ファイルの再生がビデオ再生用アプリケーションによって開始されるようになっている。
【0178】
再生用機能画面31には、再生、停止等の各種操作に関連づけられた操作ボタン32D〜32Hが表示されている。操作ボタン32D〜32Hも選択ボタン32A〜32Cと同様に、左眼用画像と右眼用画像とによりユーザが3D画像として認識可能に表示されるものである。
【0179】
次に、図12を用いて、選択ボタン32A〜32Cや操作ボタン32D〜32Hのような、ユーザが3D画像として認識可能なボタン(3D画像ボタン)の表示変更処理の第1例について説明を行う。
【0180】
一般に、実物のボタンが押下された場合、ボタンは一旦、押し込まれた状態になり、押下を止めると元の状態に戻るように動作する。図11の選択ボタン32A〜32Cや操作ボタン32D〜32Hが押下された場合にも、実物のボタンと同様に動作するように見えるように表示した方が、ユーザはより操作感を得やすくなる。
【0181】
そこで、図12に示すように、3D画像ボタンが押圧された場合には2D表示となるまで一定の時間間隔で3D画像の結像高さを徐々に低くし、その後、非押圧状態になった場合には、同様に一定の時間間隔で徐々に3D画像の結像高さを高くするように表示処理を行う。
【0182】
図12は、右眼用画像と左眼用画像との間の画素数Ngを8画素として3D画像ボタンを表示している場合の表示変更処理を示したものであり、以下にその説明を行う。
【0183】
図12において、時刻Taは、3D画像ボタンの押圧を制御部15が認識した時刻を示しており、時刻Taでは右眼用画像と左眼用画像との間隔を7画素に変更して表示する。その後、右眼用画像と左眼用画像との間隔が0になるまで、一定の時間間隔T1にて画像の間隔を1画素ずつ狭くしながら表示を行う。右眼用画像と左眼用画像との間隔を狭くすると結像高さは低くなり、間隔が0のときは2D表示となる。したがって、右眼用画像と左眼用画像との間隔を段階的に狭くすることで、3D画像ボタンが段階的に押し込まれていく様子が表現できる。
【0184】
2D表示は、ボタンが完全に押下されている様子を示すので、この時刻Tbから、押下された3D画像ボタンに関連づけられた機能の動作を開始する。
【0185】
次に、3D画像ボタンが押下されたことをユーザに認知させるため、時刻Tbから時刻Tcまでの時間T2の間は2D表示を行う。時刻Tcでは、右眼用画像と左眼用画像との間隔を1画素に変更して表示し、その後、右眼用画像と左眼用画像との間隔が8画素になるまで、一定の時間間隔T1にて間隔を1画素ずつ広くしながら表示を行う。このようにすれば、3D画像ボタンが段階的に元に戻る様子が表現できる。
【0186】
図13は、図6のステップS90の機能実行処理の第1例の手順を示すフローチャートであり、上記の3D画像ボタンの表示変更処理の第1例はこの処理に含まれている。以下にその説明を行う。ここで、図6のステップS70で取得した画素位置に、3D画像ボタンを表示するための右眼用画像があるものとする。後述の第2例、第3例についても同様である。
【0187】
まず、ステップS510において、制御部15は、前述したROM16内のパラメータにより求められる、右眼用画像と左眼用画像の間の画素数Ngを、変数Nにセットする。
【0188】
次いで、ステップS520において、制御部15は、Nの値を1だけデクリメントし、ステップS530において、制御部15は、画像生成部12により、3D画像ボタンを表示するための右眼用画像と左眼用画像との間隔をステップS520でデクリメントしたNの画素数に変更し、変更後の右眼用画像と左眼用画像とを表示部14に表示するよう制御する。
【0189】
次いで、ステップS540において、制御部15は、Nの値が0であるか否かを判断する。N=0である場合(ステップS540:YES)、ステップS560に進み、N=0でない場合(ステップS540:NO)、ステップS550に進む。
【0190】
ステップS550では、制御部15は、前回Nの値をデクリメントしてから、ROM16内に記憶されている既定時間T1が経過したか否かを判断する。既定時間T1が経過した場合(ステップS550:YES)、ステップS520に戻り、既定時間T1が経過していない場合(ステップS550:NO)、既定時間T1が経過するまでステップS550を繰り返す。
【0191】
ステップS560では、制御部15は、3D画像ボタンに関連づけられた機能の動作を開始する。例えば、図11に示す停止ボタンである操作ボタン32Eが操作された場合は、制御部15は、再生部13による再生処理を停止するよう制御する。
【0192】
このN=0の状態は、右眼用画像と左眼用画像との間隔がない状態であり、すなわちボタンの画像は2D表示されていることになる。
【0193】
上述のステップS510〜ステップS550の処理により、3D画像ボタンがT1の時間間隔で段々と押し込まれていく様子が表現される。
【0194】
次いで、ステップS570において、制御部15は、N=0となってから、ROM16内に記憶されている既定時間T2が経過したか否か判断する。既定時間T2が経過している場合(ステップS570:YES)、ステップS580に進み、既定時間T2が経過していない場合(ステップS570:NO)、既定時間T2が経過するまでステップS570を繰り返す。
【0195】
このように、少なくとも既定時間T2の間だけボタンの画像を2D表示することにより、ユーザに対してボタンが押下されたことをより確実に認知させることができる。
【0196】
ステップS580では、制御部15は、位置取得部11の検出結果より、タッチパネル2の入力面2aが押圧されているか否かを判断する。タッチパネル2の入力面2aが押圧されている場合(ステップS580:YES)、ステップS590に進み、タッチパネル2の入力面2aが押圧されていない場合(ステップS580:NO)、ステップS630に進む。
【0197】
ステップS590では、制御部15は、位置取得部11からタッチパネル2の入力面2aの押圧されている位置(入力位置(Xi,Yi))を取得する。
【0198】
次いで、ステップS600において、制御部15は、前述の(式29)と(式30)とにより、入力位置(Xi,Yi)から右眼用画像の画素位置(Xdr,Ydr)を求める。
【0199】
次いで、ステップS610において、制御部15は、ステップS600で求めた画素位置(Xdr,Ydr)に表示されている右眼用画像があるか否かを判断する。右眼用画像がある場合(ステップS610:YES)、ステップS620に進み、右眼用画像がない場合(ステップS610:NO)、ステップS630に進む。
【0200】
ステップS620では、制御部15は、ステップS600で求めた画素位置(Xdr,Ydr)に表示されている右眼用画像に対応する3D画像ボタンが、実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタンであるか否かを判断する。実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタンである場合(ステップS620:YES)、つまり、現在実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタンに応じたタッチパネル2上の位置が押圧され続けている場合には、ステップS580に戻って以降の処理を繰り返し、2D表示の状態を保持する。
【0201】
このように、タッチパネル2が押圧されている間はボタンを2D表示し、あたかもボタンが押され続けているような状態で表示することにより、ユーザに対してより実物のボタンに近い操作感を与えることができる。
【0202】
ステップS620の判断において、実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタンでないと判断した場合(ステップS620:NO)、ステップS630に進む。
【0203】
ステップS630では、制御部15は、Nの値を1だけインクリメントする。次いで、ステップS640において、制御部15は、画像生成部12により、右眼用画像と左眼用画像との間隔をステップS630でインクリメントしたNの画素数に変更し、変更後の右眼用画像と左眼用画像とを表示部14に表示するよう制御する。
【0204】
次いで、ステップS650において、制御部15は、Nの値が画素数Ngであるか否かを判断する。N=Ngでない場合(ステップS650:NO)、ステップS660に進み、制御部15は、前回Nの値をインクリメントしてから既定時間T1が経過したか否かを判断する。既定時間T1が経過した場合(ステップS660:YES)、ステップS630に戻り、既定時間T1が経過していない場合(ステップS660:NO)、既定時間T1が経過するまでステップS660を繰り返す。
【0205】
ステップS650の判断において、N=Ngである場合(ステップS650:YES)、一連の機能実行処理を終了し、図6のステップS50に戻って繰り返して処理を行う。
【0206】
上述のステップS630〜ステップS660の処理により、3D画像ボタンがT1の時間間隔で段々と押下前の状態に戻っていく様子が表現される。
【0207】
なお、右眼用画像と左眼用画像との間隔を0までは狭めず、所定間隔(所定画素数)以下まで狭めたら元の状態に戻す動作を開始するにしてもよい。
【0208】
次に、図14を用いて、3D画像ボタンの表示変更処理の第2例について説明を行う。
【0209】
実物のボタンにおいては、処理に長時間を要する機能を実行する場合、その機能の実行中には対応するボタンを押されたままの状態にしたり、光らせるなどして外観を一時的に変更する方法が一般的に知られている。これにより、どの機能が実行中であるかをユーザに認知させることができる。
【0210】
例えば、図11の選択ボタン32A〜32Cは、前述したように、それぞれ画像ファイルに関連づけられており、選択ボタン32A〜32Cを操作した場合にはビデオ再生用アプリケーションによって画像の再生が行われる。つまり、機能の動作が長時間続く。この選択ボタン32A〜32Cが操作された場合にも、上記した実物のボタンと同様の動作に見えるように表示した方が、ユーザはより操作感を得やすくなる。3D画像ボタンの表示変更処理の第2例は、このような操作感を実現する。
【0211】
図14は、図12と同様に、右眼用画像と左眼用画像との間の画素数Ngを8画素として3D画像ボタンを表示している場合の表示変更処理を示したものであるが、3D画像ボタンに関連づけられた機能の実行処理が終了するまで2D表示の状態を保持する点が図12とは異なる。
【0212】
図14において、時刻Tdは機能の動作が終了する時刻であり、ボタンが2D表示になって機能の動作を開始する時刻Tbから時刻Tdまでの動作時間T3の間は2D表示を行う。その後は図12と同様に、右眼用画像と左眼用画像との間隔が8画素になるまで、一定の時間間隔T1にて間隔を1画素ずつ広くしながら表示を行う。
【0213】
図15および図16は、図6のステップS90の機能実行処理の第2例の手順を示すフローチャートであり、上記の3D画像ボタンの表示変更処理の第2例はこの処理に含まれている。以下にその説明を行う。
【0214】
まず、図15のステップS710において、制御部15は、3D画像ボタンに関連づけられた機能の動作時間T3を取得する。例えば、操作された3D画像ボタンが図11の選択ボタン32Aである場合、制御部15は、選択ボタン32Aに関連づけられた画像ファイルの実行に必要な動作時間を画像ファイルから読み出す。
【0215】
ステップS720〜S760の処理は、前述の機能実行処理の第1例で説明した図13のフローチャートのステップS510〜S550の処理と同様であるため説明を省略する。
【0216】
ステップS750の判断でN=0である場合(ステップS750:YES)、つまりボタンが2D表示になった場合、ステップS770において、制御部15は、2D表示となったボタンの色を変更したり、点滅させたりする等、ボタンの画像の表示形態を変更して表示するよう画像生成部12および表示部14を制御する。
【0217】
次いで、ステップS780において、制御部15は、3D画像ボタンに関連づけられた機能の動作を開始する。例えば、操作された3D画像ボタンが選択ボタン32Aであるとすると、制御部15は、選択ボタン32Aに関連づけられた画像ファイルの再生処理を再生部13により開始するよう制御する。
【0218】
次いで、ステップS790において、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧されたことが位置取得部11により検出されたか否かを判断する。検出された場合(ステップS790:YES)、ステップS800に進み、検出されていない場合(ステップS790:NO)、図16のステップS840に進む。
【0219】
ステップS800では、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧された入力位置(Xi,Yi)を位置取得部11から取得する。
【0220】
次いで、ステップS810において、制御部15は、前述の(式29)と(式30)とにより、入力位置(Xi,Yi)から右眼用画像の画素位置(Xdr,Ydr)を求める。
【0221】
次いで、ステップS820において、制御部15は、ステップS810で求めた画素位置(Xdr,Ydr)に表示されている右眼用画像があるか否かを判断する。右眼用画像がある場合(ステップS820:YES)、図16のステップS830に進み、右眼用画像がない場合(ステップS820:NO)、ステップS790に戻る。
【0222】
図16のステップS830では、制御部15は、ステップS810で求めた画素位置(Xdr,Ydr)に表示されている右眼用画像に対応する3D画像ボタンが、実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタンであるか否かを判断する。実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタンである場合(ステップS830:YES)、つまり、現在実行中の機能に関連付けられた3D画像ボタンが再度、押圧された場合には、その入力操作を無視してステップS840に進む。
【0223】
ステップS840では、制御部15は、現在実行中の機能の動作を開始してから動作時間T3が経過したか否かを判断する。動作時間T3が経過した場合(ステップS840:YES)、ステップS850に進み、制御部15は、現在実行中の機能の動作を終了する。動作時間T3が経過していない場合(ステップS840:NO)、図15のステップS790に戻る。
【0224】
ステップS830の判断において、実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタンでない場合(ステップS830:NO)、つまり、現在実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタン以外が操作された場合には、その3D画像ボタンに関連づけられた機能の実行を開始する必要があるので、ステップS850において、制御部15は、現在実行中の機能の動作を終了する。
【0225】
ステップS860では、制御部15は、上記ステップS770において変更したボタンの画像の表示形態を元に戻すよう画像生成部12および表示部14を制御する。
【0226】
このように、機能が動作している間はボタンを2D表示するとともに、表示形態を変更することにより、ユーザに対して現在、機能が実行中であることを明確に認知させることができる。
【0227】
ステップS870〜S900の処理は、前述の機能実行処理の第1例で説明した図13のフローチャートのステップS630〜S660の処理と同様であるため説明を省略する。N=Ngとなると(ステップS890:YES)、一連の機能実行処理を終了し、図6のステップS50に戻って繰り返して処理を行う。
【0228】
次に、図17を用いて、3D画像ボタンの表示変更処理の第3例について説明を行う。
【0229】
一般的に、ユーザは、機能の動作の進行状況について、進行状況を示すグラフ等から知ることができる。しかしながら、このようなグラフ等を表示する方式は、限られた表示スペースしかもたない装置には適さない。
【0230】
そこで、3D画像ボタンの表示変更処理の第3例では、関連づけられた機能の進行状況に応じて3D画像ボタンの結像高さを変化させることにより、現在実行中の機能と操作ボタンとの関連づけ、および機能の進行状況の2つの情報を同時にユーザに認識させるようにする。
【0231】
図17では、図12、図14に比べて、時刻Taと時刻Tbとの間が便宜上、短く描かれているが、時刻Taから時刻Tbの間で右眼用画像と左眼用画像との間隔を時間T1ごとに8画素から0画素まで段階的に変化させることは同様である。
【0232】
時刻Tbで機能の動作を開始すると、機能の進行状況をユーザに対して認知させるために、画像の間隔がNg=8になるまで、機能の動作時間T3をNg=8で割った時間T3a(=T3÷8)ごとに画像の間隔を1画素ずつ広くしながら表示を行う。このようにすれば、3D画像ボタンが機能の進行状況に応じて、押し込まれた状態から元に戻る様子が表現できる。
【0233】
図18および図19は、図6のステップS90の機能実行処理の第3例の手順を示すフローチャートであり、上記の3D画像ボタンの表示変更処理の第3例はこの処理に含まれている。以下にその説明を行う。
【0234】
まず、図18のステップS910において、制御部15は、3D画像ボタンに関連づけられた機能の動作時間T3を取得する。例えば、操作された3D画像ボタンが図11の選択ボタン32Aである場合、制御部15は、選択ボタン32Aに関連づけられた画像ファイルの実行に必要な動作時間を画像ファイルから読み出す。
【0235】
次いで、ステップS920において、制御部15は、ステップS910で読み出した動作時間T3の値を、右眼用画像と左眼用画像との間の画素数Ngで割り、結像高さの段階ごとの動作時間T3aを算出する。
【0236】
ステップS930〜S970の処理は、前述の機能実行処理の第1例で説明した図13のフローチャートのステップS510〜S550の処理と同様であるため説明を省略する。
【0237】
ステップS980では、制御部15は、3D画像ボタンに関連づけられた機能の動作を開始する。例えば、操作された3D画像ボタンが選択ボタン32Aであるとすると、制御部15は、選択ボタン32Aに関連づけられた画像ファイルの再生処理を再生部13により開始するよう制御する。
【0238】
次いで、ステップS990において、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧されたことが位置取得部11により検出されたか否かを判断する。検出された場合(ステップS990:YES)、ステップS1000に進み、検出されていない場合(ステップS990:NO)、図19のステップS1040に進む。
【0239】
ステップS1000,S1010の処理は、前述の機能実行処理の第2例で説明した図15のフローチャートのステップS800,S810の処理と同様である。
【0240】
次いで、ステップS1020において、制御部15は、ステップS1010で求めた画素位置(Xdr,Ydr)に表示されている右眼用画像があるか否かを判断する。右眼用画像がある場合(ステップS1020:YES)、図19のステップS1030に進み、右眼用画像がない場合(ステップS1020:NO)、図19のステップS1040に進む。
【0241】
図19のステップS1030では、制御部15は、ステップS1010で求めた画素位置(Xdr,Ydr)に表示されている右眼用画像に対応する3D画像ボタンが、実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタンであるか否かを判断する。実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタンである場合(ステップS1030:YES)、つまり、現在実行中の機能に関連付けられた3D画像ボタンが再度、押圧された場合には、その入力操作を無視してステップS1040に進む。
【0242】
ステップS1040では、制御部15は、現在のNの値になってから、結像高さの段階ごとの動作時間T3aが経過したか否かを判断する。時間T3aが経過した場合(ステップS1040:YES)、ステップS1050に進み、時間T3aが経過していない場合(ステップS1040:NO)、図18のステップS990に戻る。
【0243】
ステップS1050では、制御部15は、Nの値を1だけインクリメントする。次いで、ステップS1060において、制御部15は、画像生成部12により、右眼用画像と左眼用画像との間隔をステップS630でインクリメントしたNの画素数に変更し、変更後の右眼用画像と左眼用画像とを表示部14に表示するよう制御する。
【0244】
このように、時間T3aごとに右眼用画像と左眼用画像との間隔を1画素ずつ広げることで、3D画像ボタンが機能の進行状況に応じて、押し込まれた状態から元に戻る様子が表現できる。
【0245】
ステップS1070では、制御部15は、Nの値が画素数Ngであるか否かを判断する。N=Ngでない場合(ステップS1070:NO)、図18のステップS990に戻り、N=Ngである場合(ステップS1070:YES)、一連の機能実行処理を終了し、図6のステップS50に戻って繰り返して処理を行う。
【0246】
ステップS1030の判断において、実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタンでない場合(ステップS1030:NO)、つまり、現在実行中の機能に関連づけられた3D画像ボタン以外が操作された場合には、その3D画像ボタンに関連づけられた機能の実行を開始する必要があるので、ステップS1090において、制御部15は、現在実行中の機能の動作を終了する。
【0247】
その後のステップS1100〜S1130の処理は、前述の機能実行処理の第1例で説明した図13のフローチャートのステップS630〜S660の処理と同様であるため説明を省略する。
【0248】
ここで、上記で求めた結像高さと、表示画面の画素位置とタッチパネル2の入力位置との関係を用いて、タッチパネル2の押圧位置への3D画像の生成が可能となる。最後に、図20および図21を用いてこの方法について説明を行う。
【0249】
図20は、ユーザがタッチペン3により、表示画面上に曲線を描いている様子を示したものである。このような場合、あたかもタッチパネル2の入力面2aにタッチペン3にて曲線を描いているように見えるのが望ましい。このためには、右眼用画像41Aと左眼用画像41Bとを、それら2つの画像による結像画像の軌跡41Cと、タッチペン3の軌跡が一致するように表示すればよい。
【0250】
図21は、3D画像生成処理の手順を示すフローチャートである。
【0251】
まず、ステップS1210において、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧されたことが位置取得部11により検出されたか否かを判断する。検出された場合(ステップS1210:YES)、ステップS1220に進み、検出されていない場合(ステップS1210:NO)、位置取得部11で入力面2aの押圧が検出されるまでステップS1210を繰り返す。
【0252】
ステップS1220では、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧された入力位置(Xi,Yi)を位置取得部11から取得する。
【0253】
次いで、ステップS1230において、制御部15は、前述の(式29)と(式30)とにより、入力位置(Xi,Yi)から右眼用画像の画素位置(Xdr,Ydr)を求める。
【0254】
次いで、ステップS1240において、制御部15は、右眼用画像の画素位置(Xdr,Ydr)から、3D画像結像高さ算出処理(図6のステップS10)で求めた画素数Ngだけ右側に離れた左眼用画像の画素位置(Xdl,Ydl)を算出する。
【0255】
次いで、ステップS1250において、制御部15は、右眼用画像とその周辺の画素とが異なって見えるようにするために、画像生成部12により、画素位置(Xdr,Ydr)を中心に近傍の画素の表示形態を変更した右眼用画像を生成し、これを表示部14により表示するよう制御する。
【0256】
次いで、ステップS1260において、制御部15は、ステップS1250と同様に、表示部14において画素位置(Xdl,Ydl)を中心に左眼用画像を生成して表示するよう画像生成部12および表示部14を制御する。
【0257】
このようにして、タッチパネル2の入力面2aの入力位置に対応する位置に左眼用画像および右眼用画像が表示される。
【0258】
そして、ステップS1270において、制御部15は、3D画像生成の機能の終了がユーザによって指示されたか否かを判断し、終了が指示された場合(ステップS1270:YES)、処理を終了する。終了が指示されていない場合(ステップS1270:NO)、ステップS1210に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0259】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、両眼視差による3D画像をユーザに視認させることが可能な表示部14にタッチパネル2を組み合わせ、ユーザが視認する3D画像に対して行う操作をタッチパネル2で検出するため、ユーザはタッチパネル2に対して直接的に操作をすることで、物理的に操作した感触を得ることができ、3D画像への操作に対する違和感が軽減される。また、両眼視差による3D画像を表示可能なディスプレイは薄型のLCD等で構成可能なため、画像表示装置の大型化を招くことなく、違和感のない操作性をユーザに提供できる。
【0260】
なお、上記第1の実施の形態において、タッチパネル2の方式を抵抗膜式として説明したが、これに限定されるものではなく、静電容量方式、超音波表面弾性波方式、音響パルス方式、振動検出方式、赤外線遮光方式、電磁誘導方式、静電センサ方式等の方式のものを使用してもよい。
【0261】
また、LCD1の表示画面の表面1aとタッチパネル2との間の間隔を無視して説明を行ったが、表示画面の表面1aとタッチパネル2との間隔が無視できない場合や、3D画像の結像高さを高くするために表示画面の表面1aとタッチパネル2との間に透過性の高い物質を挟む場合などには、この間隔もタッチパネル2の厚みに含めて考えればよい。
【0262】
また、ROM16に格納するパラメータを、タッチパネルの厚みT、左眼ELと右眼ERの間隔D1、眼からタッチパネル2までの距離L1、結像高さL2、画素間ピッチDpとして説明を行ったが、これに限定されるものではなく、左眼用画像と右眼用画像との間隔の画素数Ngが算出可能な情報であればよい。左眼用画像と右眼用画像との間隔の画素数Ngを予め算出して格納してもよい。
【0263】
さらに、4対の右眼用画像と左眼用画像を用いて位置補正処理の説明を行ったが、これに限定されるものではなく、2対以上であればいくつであってもよい。
【0264】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態で説明したように、タッチパネル2の入力面2aの近傍に3D画像を結像させることが可能な右眼用画像と左眼用画像との間の画素数Ngは、装置の使用方法に依存して決定される。
【0265】
このため、使用方法がユーザごとに全く異なる装置の場合は、画素数Ngを固定値とすることはできない。例えば、壁掛け式の装置の場合は、ユーザは腕を伸ばして使用するかも知れないし、腕を畳んで使用するかも知れない。
【0266】
そこで、第2の実施の形態では、ユーザの使用方法に応じて、3D画像をユーザに視認させるための右眼用画像と左眼用画像との間の画素数Ngを決定する。
【0267】
図22は、第2の実施の形態において上記画素数Ngを決定する方法を説明するための図である。図22において、LCD1の表示画面には、左眼用画像GL3と右眼用画像GR3、左眼用画像GL4と右眼用画像GR4、左眼用画像GLと右眼用画像GR5、の3対の調整用3D表示用画像が表示されている。
【0268】
左眼用画像GL3と右眼用画像GR3とにより結像画像CG3が生成され、左眼用画像GL4と右眼用画像GR4とにより結像画像CG4が生成され、左眼用画像GLと右眼用画像GR5とにより結像画像CG5が生成される。3つの結像画像CG3,CG4,CG5は互いに結像高さが異なる。
【0269】
また、LCD1の表示画面には、ユーザに対して結像画像GC1〜GC3の中から1つを選択させるためのメッセージ43が表示されている。
【0270】
このメッセージ43により、タッチパネル2の入力面2aに最も近い結像画像をユーザに選択させ、ユーザが選択した結像画像に対応する左眼用画像と右眼用画像との間隔の画素数を、最適な画素数Ngとして決定する。
【0271】
第2の実施の形態に係る画像表示装置は、図5に示した第1の実施の形態の画像表示装置10と同様の構成であるため、第2の実施の形態においても図5を用いるが、第1の実施の形態とはROM16に記憶されている情報が異なる。
【0272】
第1の実施の形態では、ROM16に、3D画像の結像高さを決定するための各パラメータ(タッチパネルの厚みT、左眼と右眼との間隔D1、眼からタッチパネルまでの距離L1、結像高さL2、画素間ピッチDp)を記憶していたが、第2の実施の形態では、図22で説明した複数の調整用3D表示用画像に関する情報を記憶しており、それぞれの調整用3D表示用画像を構成する左眼用画像および右眼用画像の大きさ、色、表示位置、画像間の画素数などの情報を記憶している。
【0273】
次に、第2の実施の形態における画像表示装置の動作について、図23に示すフローチャートを参照して説明する。
【0274】
まず、ステップS1310において、制御部15は、3D画像結像高さを決定済みか否かを判断する。3D画像結像高さが決定していない場合(ステップS1310:NO)、ステップS1320において、制御部15は、左眼用画像と右眼用画像の間の画素数Ngを算出するための3D画像結像高さ決定処理を実施する。3D画像結像高さ決定処理については後述する。3D画像結像高さがすでに決定している場合(ステップS1310:YES)、ステップS1330に進む。
【0275】
ステップS1330では、制御部15は、位置補正処理が実施されたか否かを判断し、位置補正処理が実施されていない場合(ステップS1330:NO)、制御部15は、位置補正処理を行う。位置補正処理は、第1の実施の形態で説明した図6のステップS30における位置補正処理と同様であるため、説明を省略する。位置補正処理が実施済みである場合(ステップS1330:YES)、ステップS1350に進む。
【0276】
ステップS1350では、制御部15は、ステップS1320の3D画像結像高さ決定処理で決定した画素数Ngに応じた所定の左眼用画像と右眼用画像とからなる3D表示用画像を画像生成部12で生成し、生成した3D表示用画像を表示部14の表示画面に表示するよう制御する。
【0277】
以降のステップS1360〜S1400の処理は、第1の実施の形態で説明した図6のフローチャートのステップS50〜S90の処理と同様であるため説明を省略する。
【0278】
次に、図23のステップS1320の3D画像結像高さ決定処理について、図24のフローチャートを参照して説明する。
【0279】
まず、ステップS1410において、制御部15は、ROM16に記憶されている複数の調整用3D表示用画像に関する情報を読み出す。
【0280】
次いで、ステップS1420において、制御部15は、ステップS1410で読み出した情報に基づいて、画像生成部12にて結像高さの互いに異なる複数の調整用3D表示用画像を生成し、これらを表示部14により表示するよう制御する。
【0281】
次いで、ステップS1430において、制御部15は、各調整用3D表示用画像による結像画像からいずれかをユーザに選択させるためのメッセージ43を表示するよう表示部14を制御する。
【0282】
ステップS1440〜S1460の処理は、第1の実施の形態で説明した図6のフローチャートのステップS50〜S70の処理と同様であるため説明を省略する。
【0283】
次いで、ステップS1470において、制御部15は、ステップS1460で算出した表示画面の画素位置(Xd,Yd)に調整用3D表示用画像があるか否かを判断する。調整用3D表示用画像がない場合(ステップS1470:NO)、ステップS1440に戻る。
【0284】
調整用3D表示用画像がある場合(ステップS1470:YES)、制御部15は、その調整用3D表示用画像における左眼用画像と右眼用画像との間の画素数を、操作ボタン等の3D画像表示する際に用いる左眼用画像と右眼用画像との間の画素数Ngの値として決定する。
【0285】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、ユーザの使用方法に応じた3D画像の表示を行うことができ、さまざまな使用方法に対応できるという効果が得られる。
【0286】
なお、図22では、3つ(3対)の調整用3D表示用画像を表示する例を示したが、調整用3D表示用画像の数はこれに限らない。
【0287】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、ユーザの使用方法に応じて、3D画像をユーザに視認させるための右眼用画像と左眼用画像との間の画素数Ngを決定する。
【0288】
図25は、第3の実施の形態において、3D画像をユーザに視認させるための右眼用画像と左眼用画像との間の画素数Ngを決定するために必要な入力位置を取得する方法を説明するための図である。
【0289】
図25に示すように、LCD1の表示画面上の右眼用画素に表示点Pd3を表示する。
【0290】
この表示点Pd3をユーザにタッチペン3を使用して押圧するように指示し、タッチパネル2の入力面2a上のユーザの右眼ERによる入力点PirのX軸方向の入力位置Xirを取得する。このとき、ユーザの左眼ELからは表示点Pd3は見えないので、右眼ERからの入力位置Xirを取得することができる。
【0291】
同様に、右眼ERの入力位置の取得時と略同じ位置にLCD1の左眼用画素にて表示点Pd3を表示し、この表示点Pd3をユーザに押圧させることにより、ユーザの左眼ELによる入力点PilのX軸方向の入力位置Xilを取得する。この時、ユーザの右眼ERからは表示点Pd3は見えないので、左眼ELからの入力位置Xilを取得することができる。
【0292】
タッチパネル2の厚みをT、タッチパネル2の入力面2aから眼までの距離をL1、ユーザの右眼ERと左眼ELとの間隔をD1、入力点Pilと入力点Pirとの間隔をD3とすると、「(左眼EL)−(表示点Pd3)−(右眼ER)のなす三角形」と、(入力点Pil)−(表示点Pd3)−(入力点Pir)のなす三角形」とは相似の関係にあるので、以下の(式31)が成立する。
【0293】
D1:D3 = (L1+T):T …(式31)
(式31)より、ユーザの右眼ERと左眼ELとの間隔D1は、
D1= D3×(L1+T)÷T …(式32)
と求まる。
【0294】
ここで、図26を用いて、上記の入力位置の取得時の問題点について説明を行う。
【0295】
図26(a)に示すように、先に左眼ELからのタッチパネル2上の入力位置を取得する場合、ユーザがタッチペン3を右手に持っていると、次の右眼ERからの入力位置の取得時において、LCD1の表示画面上の表示点がタッチペン3に隠れてしまうことになる。このため、ユーザは表示点を見失うことになり、タッチペン3を一旦、大きく移動しなければならない。しかし、図26(b)に示すように、右眼ERからの入力位置の取得を先に行えば、次の左眼ELからの入力位置の取得時にも表示点を見失うことはない。
【0296】
よって、ユーザの利き手側の眼から先に入力位置の取得を行うようにすることが望ましい。例えば、右利きが大半を占める日本人の場合、右眼ERから先に入力位置を取得するように構成すればよく、また、装置のコンフィグレーション機能の1つとして、ユーザの利き手を入力させるように構成してもよい。
【0297】
図27は、図25で取得した入力位置を用いた、画素数Ngの算出方法の説明図である。図27に示すように、LCD1の表示画面上に右眼用画像Pd1と左眼用画像Pd2とを距離D2の間隔で表示した場合の、タッチパネル2の入力面2aから結像点Pcまでの高さをL3とする。
【0298】
この場合、「(左眼EL)−(結像点Pc)−(右眼ER)のなす三角形」と「(表示点Pd2)−(結像点Pc)−(表示点Pd1)のなす三角形」とは相似の関係にあるので、以下の(式33)が成り立つ。
【0299】
D1:D2 = (L1−L3):(T+L3) …(式33)
(式33)より、右眼用画像Pd1と左眼用画像Pd2との間の距離D2は、
D2 ={D1×(T+L3)}÷(L1−L3) …(式34)
と求まる。
【0300】
(式32)を(式34)に代入して、
D2 = {D3×(L1+T)×(T+L3)}÷{(L1−L3)×T}
= {D3×(1+T÷L1)×(T+L3)}÷{(1−L3÷L1)×T}
…(式35)
ここで、タッチパネル2の厚みTとタッチパネル2の入力面2aから結像点Pcまでの高さL3は、タッチパネル2の入力面2aから眼までの距離L1に比べて非常に小さくなるので、(T÷L1)≪1,(L3÷L1)≪1とすることができる。
【0301】
よって、式35より、表示点Pd1と表示点Pd2との間の距離D2は、以下の(式36)で与えられる。
【0302】
D2= D3×(T+L3)÷ T …(式36)
以上で説明したように、右眼ERによるX軸方向の入力位置Xirと左眼ELによるX軸方向の入力位置Xilとの距離D3がわかれば、タッチパネル2の入力面2aからL3の距離に結像するための右眼用画像である表示点Pd1と左眼用画像である表示点Pd2の間隔D2を算出することができる。
【0303】
タッチパネル2の入力面2aに画像を結像させるためには、(式36)においてL3=0とすればよい。つまり、それぞれの画像の中心が距離D3の間隔となるように右眼用画像と左眼用画像の間の画素数Ngを決定すればよい。
【0304】
この距離D3は、先に説明したように、右眼ERによるX軸方向の入力位置Xirと左眼ELによるX軸方向の入力位置Xilとの間の距離である。そこで、次に、入力位置Xirと入力位置Xilとから、右眼用画像と左眼用画像の間の画素数Ngを求める方法について説明する。
【0305】
距離D3は、入力位置Xirと入力位置Xilとの差分と、単位長さあたりにあるタッチパネル2の入力位置数とから求めることができる。また、画素数Ngは、距離D3と、単位長さあたりにあるLCD1の画素数とから求めることができる。すなわち、画素数Ngは、入力位置Xirと入力位置Xilとの差分と、LCD1の1画素あたりのタッチパネル2の入力位置数から求めることができる。
【0306】
以下に、図28を用いて、LCD1の1画素あたりのタッチパネル2の入力位置数の算出方法について説明する。図28は、LCD1の画素位置とタッチパネル2の入力位置との関係について示す図である。
【0307】
図28に示すように、タッチパネル2の使用可能な領域である有効使用領域のX軸方向の長さをLpx、X軸方向における有効使用領域内にあるタッチパネル2上の入力位置の数をNpaxとする。
【0308】
また、LCD1の表示可能な領域である有効表示領域のX軸方向の長さをLdx、画素数をNdx、X軸方向における有効表示領域内にあるタッチパネル2上の入力位置の数をNpxとする。
【0309】
LCD1の表示画面はタッチパネル2によってすべて覆われていなければならないので、外形の誤差や取り付け誤差を考慮し、Lpx>Ldxの関係となっている。
【0310】
第1の実施の形態で説明した通り、LCD2の画素は、X軸方向、Y軸方向ともに均一の間隔で配置されており、また、タッチパネル2を押圧した位置と、その結果として得られる入力位置との関係は、X軸方向、Y軸方向ともに直線性を有する。
【0311】
よって、LCD1の有効表示領域内にあるタッチパネル2の入力位置の数Npxは、以下の(式37)で求められる。
【0312】
Npx = Npax × Ldx ÷ Lpx …(式37)
LCD1の有効表示領域のX軸方向の長さLdxにある画素数はNdxであり、タッチパネル2の入力位置数はNpxであるので、1画素あたりの入力位置数をNuとすると、
Nu = Npx ÷ Ndx …(式38)
となる。
【0313】
(式37)を(式38)に代入して、
Nu =(Npax ÷ Ndx)×(Ldx ÷ Lpx) …(式39)
と求まる。
【0314】
入力位置Xirと入力位置Xilとの差を、(式39)で求まった1画素あたりの入力位置数Nuで除すれば、右眼用画像と左眼用画像の間の画素数Ngが求まるので、
Ng =(Xir − Xil)÷ Nu
=(Xir − Xil)÷ {(Npax ÷ Ndx)×(Ldx ÷ Lpx)}
=(Xir − Xil)×(Ndx ÷ Npax)×(Lpx ÷ Ldx) …(式40)
ただし、(Xir > Xil)であるとする。
【0315】
なお、上記の説明において、1画素あたりの入力位置数Nuを(式40)を導くようにして求めたが、LCD1の表示画面上にX軸方向の位置が異なる2点以上の画素を表示し、その画素をタッチパネル2の入力面2aに対して垂直になるように押圧することによって1画素あたりの入力位置数Nuを求めてもよい。
【0316】
以上のように、右眼用画像と左眼用画像との間の画素数Ngを算出することができる。
【0317】
以下に、具体的な数値を用いて、上述した画素数Ngの算出方法を説明する。この説明において、LCD1の有効表示領域のX軸方向の長さLdx=48mm、画素数Ndx=320個、タッチパネルの有効使用領域のX軸方向の長さLpx=51.2mm、入力位置数Npax=1024個とする。また、右眼ERからの入力位置Xirと左眼ELからの入力位置Xilとの差(Xir−Xil)=20として説明を行う。
【0318】
(式40)より、右眼用画像と左眼用画像との間の画素数Ngは、
Ng =(Xir − Xil)×(Ndx ÷ Npax)×(Lpx ÷ Ldx)
= 22 ×(320 ÷ 1024)×(51.2 ÷ 48)
= 7.33[個]
と求めることができ、上述した通り、より立体感を高めるためには画素数Ngを大きくすることが望ましいので、切り上げ処理を行い、Ng=8[個]と求めることができる。
【0319】
次に、第3の実施の形態における画像表示装置の動作について説明する。なお、第3の実施の形態に係る画像表示装置は、図5に示した第1の実施の形態の画像表示装置10と同様の構成であるため、第3の実施の形態においても図5を用いて説明する。
【0320】
第3の実施の形態における画像表示装置10の動作は、第2の実施の形態で図23のフローチャートを参照して説明した動作とステップS1320の3D画像結像高さ決定処理以外は同様であるため、重複説明を省略し、相違箇所である3D画像結像高さ決定処理について説明する。
【0321】
図29は、第3の実施の形態における3D画像結像高さ決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0322】
まず、ステップS1510において、制御部15は、右眼用表示点(調整用右眼用画像)を画像生成部12で生成し、表示部14により表示するよう制御する。
【0323】
次いで、ステップS1520において、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧されたことが位置取得部11により検出されたか否かを判断する。検出された場合(ステップS1520:YES)、ステップS1530に進み、検出されていない場合(ステップS1520:NO)、位置取得部11で入力面2aの押圧が検出されるまでステップS1520を繰り返す。
【0324】
ステップS1530では、制御部15は、ステップS1520において位置取得部11で検出されたX軸方向の入力位置を、右眼ERによるタッチパネル2のX軸方向の入力位置Xirとして取得する。
【0325】
次いで、ステップS1540において、制御部15は、右眼用表示点の表示を終了し、左眼用表示点(調整用左眼用画像)を画像生成部12で生成し、表示部14により右眼用表示点と略同じ位置に表示するよう制御する。
【0326】
次いで、ステップS1550において、制御部15は、タッチパネル2の入力面2aが押圧されたことが位置取得部11により検出されたか否かを判断する。検出された場合(ステップS1550:YES)、ステップS1560に進み、検出されていない場合(ステップS1550:NO)、位置取得部11で入力面2aの押圧が検出されるまでステップS1550を繰り返す。
【0327】
ステップS1560では、制御部15は、ステップS1550において位置取得部11で検出されたX軸方向の入力位置を、左眼ELによるタッチパネル2のX軸方向の入力位置Xilとして取得する。
【0328】
次いで、ステップS1570において、制御部15は、ステップS1530で取得した入力位置Xirと、ステップS1560で取得した入力位置Xilとの差(Xir−Xil)を求める。
【0329】
そして、ステップS1580において、制御部15は、ステップS1570で求めた右眼ERによる入力位置Xirと左眼ELによる入力位置Xilとの差(Xir−Xil)と、上述の(式39)により求められる1画素あたりの入力位置数Nuとにより、右用眼画像と左眼用画像の間の画素数Ngを算出する。
【0330】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、第2の実施の形態と同様に、ユーザの使用方法に応じた3D画像の表示を行うことができ、さまざまな使用方法に対応できるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0331】
1 LCD
2 タッチパネル
2a 入力面
10 画像表示装置
11 位置取得部
12 画像生成部
13 再生部
14 表示部
15 制御部
16 ROM
17 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両眼視差により観察者に3次元画像を視認させるための左眼用画像および右眼用画像からなる3次元表示用画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部で生成された前記3次元表示用画像を表示する表示部と、
前記表示部の表示画面の表面側に配置された入力面を有し、前記入力面が押圧されたことを検出する検出部と、
前記検出部の前記入力面における押圧された位置である入力位置を取得する位置取得部と、
前記位置取得部で取得した入力位置が、前記3次元表示用画像に対応する位置である場合、所定の機能を実行制御する制御部と
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像における左眼用画像と右眼用画像との間隔を制御することにより、前記3次元表示用画像により観察者に視認される3次元画像の結像高さを制御する画像生成制御部をさらに備え、
前記画像生成制御部は、所定の値を用いて、前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を制御することにより、前記3次元表示用画像により観察者に視認される3次元画像の結像高さを制御する画像生成制御部をさらに備え、
前記画像生成制御部は、結像高さの互いに異なる複数の調整用3次元表示用画像を前記表示部に表示させ、観察者により選択された1つの前記調整用3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔に基づいて、前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を制御することにより、前記3次元表示用画像により観察者に視認される3次元画像の結像高さを制御する画像生成制御部をさらに備え、
前記画像生成制御部は、前記表示画面の略同じ位置に表示される調整用右眼用画像と調整用左眼用画像とを前記表示部に順次表示させ、前記調整用右眼用画像の表示時において観察者の操作に応じて前記位置取得部から取得した入力位置と、前記調整用左眼用画像の表示時において観察者の操作に応じて前記位置取得部から取得した入力位置とを用いて、前記画像生成部で生成する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記画像生成制御部は、複数の位置補正用3次元表示用画像を前記表示部に順次表示させ、それぞれの前記位置補正用3次元表示用画像の表示時において観察者の操作に応じて前記位置取得部から取得した入力位置を用いて、前記検出部の前記入力面における入力位置と、前記表示部の表示画面における画素位置とを関連づけする位置補正処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記画像生成制御部は、前記検出部の前記入力面が押圧されたときに、前記表示画面における、押圧された前記入力面の入力位置に対応する位置に表示するための左眼用画像および右眼用画像を前記画像生成部で生成して前記表示部に表示するよう制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記画像生成制御部は、前記位置取得部で取得した入力位置が、前記3次元表示用画像に対応する位置である場合、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を変化させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記画像生成制御部は、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を段階的に縮小し、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔が所定間隔以下になった後、縮小開始前の間隔に戻るまで段階的に間隔を拡大することを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記画像生成制御部は、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔が所定間隔以下になった後、前記3次元表示用画像に関連づけられた機能の実行処理が終了するまで間隔が所定間隔以下の状態を維持することを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記画像生成制御部は、前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔が所定間隔以下になった後、縮小開始前の間隔に戻るまで、前記3次元表示用画像に関連づけられた機能の実行処理の進行状況に応じて段階的に間隔を拡大することを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項11】
表示部と、前記表示部の表示画面の表面側に配置された入力面を有し、前記入力面が押圧されたことを検出する検出部とを備える画像表示装置の前記表示部に画像を表示する画像表示方法であって、
所定の値を用いて、両眼視差により観察者に3次元画像を視認させるための左眼用画像および右眼用画像からなる3次元表示用画像における左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップと、
決定した左眼用画像と右眼用画像との間隔に基づいて前記3次元表示用画像を生成するステップと、
前記3次元表示用画像を前記表示部に表示するステップと
を含むことを特徴とする画像表示方法。
【請求項12】
表示部と、前記表示部の表示画面の表面側に配置された入力面を有し、前記入力面が押圧されたことを検出する検出部とを備える画像表示装置の前記表示部に画像を表示する画像表示方法であって、
両眼視差により観察者に3次元画像を視認させるための左眼用画像および右眼用画像からなる3次元表示用画像における左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップと、
決定した左眼用画像と右眼用画像との間隔に基づいて前記3次元表示用画像を生成するステップと、
前記3次元表示用画像を前記表示部に表示するステップとを含み、
前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップは、
結像高さの互いに異なる複数の調整用3次元表示用画像を前記表示部に表示するステップと、
観察者により選択された1つの前記調整用3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔に基づいて、前記表示部に表示する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップと
を含むことを特徴とする画像表示方法。
【請求項13】
表示部と、前記表示部の表示画面の表面側に配置された入力面を有し、前記入力面が押圧されたことを検出する検出部とを備える画像表示装置の前記表示部に画像を表示する画像表示方法であって、
両眼視差により観察者に3次元画像を視認させるための左眼用画像および右眼用画像からなる3次元表示用画像における左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップと、
決定した左眼用画像と右眼用画像との間隔に基づいて前記3次元表示用画像を生成するステップと、
前記3次元表示用画像を前記表示部に表示するステップとを含み、
前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップは、
調整用右眼用画像と調整用左眼用画像とを前記表示部の前記表示画面の略同じ位置に順次表示し、前記調整用右眼用画像の表示時において観察者の操作に応じて取得した前記入力面における入力位置と、前記調整用左眼用画像の表示時において観察者の操作に応じて取得した前記入力面における入力位置とを用いて、前記表示部に表示する前記3次元表示用画像の左眼用画像と右眼用画像との間隔を決定するステップであることを特徴とする画像表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2011−170694(P2011−170694A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35009(P2010−35009)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】