説明

画像表示装置及び画像表示方法

【課題】1つの画面を複数のユーザが視聴することを旨として設計された画像機器において、各ユーザが眼鏡装置等の視覚機器を装着することなく個々に所望の画像を見ることができ、かつ移動しても特別な操作をすることなく当該画像を見続けられる画像表示システムを提供する。
【解決手段】画面10aに表示された画像を複数のユーザが見る際に用いられるものであって、各ユーザの位置又は方向を継続的に検出するユーザ位置検出部44と、各ユーザを識別するユーザ識別部41と、ユーザ毎に定められた画像を、対応するユーザの位置方向にのみ向かって出力する画像出力部42とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一画面でありながら個人別に別の情報を視聴することができる画像表示装置及び画像表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、1画面で複数の画像コンテンツを見ることができるようにした技術が考えられつつある。例えば、特許文献1では、各ユーザが眼鏡装置を着用し、該眼鏡装置を介して画面を見ることによって、その眼鏡装置で設定された画像コンテンツを視聴できるように構成されている。
【0003】
具体的には、画面では複数の画像コンテンツが高周波数で時分割出力される一方、眼鏡装置では、選択された画像コンテンツの出力タイミングに同期して高速開閉式のシャッタが開くように構成されており、眼鏡装置を装着したユーザは、自身の所望の画像コンテンツを選択することにより、同一画面であるにもかかわらず他のユーザとは異なった画像コンテンツを見ることができる。
【0004】
また、引用文献2では、複数の画像コンテンツをそれぞれ指向性が異なるように出力できる画面を設けるとともに、各ユーザが自分の視聴位置と見たい画像コンテンツをリモコン等で入力することによって、各ユーザにそれぞれ好みの画像コンテンツを表示できるようにしたシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−243420号公報
【特許文献2】特開2006−319819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、特許文献1では、眼鏡装置を各ユーザが装着しなければならず煩わしさという点で難がある。
また、特許文献2では、ユーザの位置認識をユーザによる入力操作に頼っているため、途中でユーザが視聴位置を変えたり、席を立ったりしても、そのまま、当初入力時のユーザ位置に対して画像が出力され続けることになる。したがって、そのような場合に、いちいち入力操作をしなければならない。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであって、TV等のように1つの画面を複数のユーザが視聴することを旨として設計された画像機器において、各ユーザが眼鏡装置等の視覚機器を装着することなく個々に所望の画像を見ることができ、かつ移動しても特別な操作をすることなく当該画像を見続けられる画像表示システムを提供すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る画像表示システムは、画面に表示された画像を複数のユーザが見る際に用いられるものであって、各ユーザの位置又は方向を継続的に検出するユーザ位置検出部と、各ユーザを識別するユーザ識別部と、ユーザ毎に定められた画像を、対応するユーザの位置方向にのみ向かって出力する画像出力部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、各ユーザは特別の装置を用いることなく、1つの画面で別々の画像を視ることができる。また、ユーザが途中で位置を変えたりしても、それに追随して画像出力部が対応画像を当該ユーザに向かって出力するので、ユーザは特別な操作をすることなく、画像を見続けることができる。
【0010】
ところで、テレビなどの画像機器は、番組などのコンテンツ画像を皆で同時に視聴して楽しむという性質をそもそも備えたものであるが、近時では、このような画像機器において、例えばユーザの見る番組の傾向などを分析し、その情報を元に次に視聴する番組を推薦したり、ユーザの嗜好に合致したショッピングサイトへ誘導したりするといったパーソナライズ化されたユーザ別付加情報の表示が可能となっている。
しかしながら、このようなユーザ別付加情報は、ある特定のユーザの嗜好を反映した関連画像検索結果やショッピング情報を含んだものであるために、前記コンテンツ画像のように皆で視聴して楽しめるものとは異なり、その場にいる他のユーザに見られると好ましくない場合がある。
【0011】
かかる問題点を解決するには、前記画像が特定ユーザを対象として作成されていないコンテンツ画像とユーザごとに作成されたユーザ別付加情報画像との2種類を画面に同時に表示可能なものにおいて、前記画像出力部が、前記画像のうち、コンテンツ画像については、全ユーザに対して共通に出力するとともに、ユーザ別付加情報画像については、前記ユーザ識別部により特定されたユーザ毎のユーザ別付加情報画像を、対応するユーザの位置方向にのみ向かって出力するものであることが望ましい。
このようなものであれば、複数のユーザが同じ画面で同じ番組(コンテンツ画像)を見ながら、各ユーザの嗜好を反映したユーザ別付加情報画像(関連画像検索結果およびその画像へのリンクやショッピング情報およびそのサイトへのリンクなど)をユーザごとに、かつ他のユーザに見られることなく示すことができる。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、TV等のように1つの画面を複数のユーザが視聴することを旨として設計された画像機器において、各ユーザが眼鏡装置等の視覚機器を装着することなく個々に所望の画像を見ることができ、かつ移動しても特別な操作をすることなく当該画像を見続けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における画像表示システムの全体を示す模式図である。
【図2】同実施形態における画面の概要を示す模式的斜視構成図である。
【図3】同実施形態における画面の概要及び機能を説明するための模式的平面図である。
【図4】同実施形態におけるユーザを特定するための対応表である。
【図5】同実施形態において各ユーザが視る画像を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
本発明に係る画像表示システム100は、図1に示すように、複数ユーザによる同時視聴を前提に設計されたものであって、物理的には、単一のディスプレイ10と、各ユーザがそれぞれ使用する専用のリモコン30と、本体装置40とを具備し、テレビ放送や録画番組等を視聴できるとともにインターネットにも接続されてネット情報も閲覧できるように構成されている。
【0016】
各部を説明する。
ディスプレイ10は、画面10aにコンテンツ画像や文字情報画像などを出力するものであり、付属のスピーカーから音声を出力する機能をも有する。
また、このディスプレイ10は、画面10aから複数の画像をそれぞれ異なった方向(ここでは異なった水平方向)に出力することが可能な構成となっている。具体的には、図2、図3に示すように、画面10aが、水平方向にn×m個、垂直方向にk個の画素21からなるように構成してある。そして水平に連続するn個の画素を1つの画素群2とし、垂直に並ぶ1列の画素群2の表面側にそれぞれ1つのレンチキュラーレンズLが配設してある。
【0017】
1つの画像は、各画像群2における左からi番目(1≦i≦n)の画素21から出力される。そして、各画素群2におけるi番目の画素21からの光が、レンチキュラーレンズLを通って所定方向上(又は所定位置)で略結像するようにしてある。また、別の画像は各画像群2における左からj番目(1≦j≦n、j≠i)の画素21から出力され、前記所定方向とは別の方向上(又は別の位置)で略結像するようにしてある。すなわち、この画面10aでは、n個の画像を同時に出力することが可能であって、各画像の結像位置が、レンチキュラーレンズLによって水平方向に異なるようにしてあり、1つの画像を見ることのできる位置からは他の画像を見ることができないように構成してある。各画像の総水平画素数はmであり、垂直画素数はkである。
なお、画面の表面に複数のスリットを設けたパララックスバリア方式によって、複数の画像をそれぞれ異なった方向に出力するようにしても構わない。
【0018】
リモコン30は、後述する本体装置40に無線又は有線のリモコン信号(ここでは例えば赤外線)を送信して、ディスプレイ10の表示内容や音声を視聴者が所望のものに選択できるように構成したものである。この実施形態では、取り扱うユーザが予め定められている。また、このリモコン30からは、前記リモコン信号とは別に、継続的に、すなわち定期的に又は常時、各リモコン30を判別するためリモコンID信号(ここでは例えば赤外線)が出力されている。なお、リモコン30には、例えばリモコン電源スイッチが設けてあり、このリモコン電源スイッチを切るとリモコンID信号の送信がストップするように構成してある。
【0019】
本体装置40は、前記ディスプレイ10と一体又は別体で設けられたものであり、ハードウェア的に言えば、図示しないが、MPU(CPU)、不揮発性メモリ及びその他の周辺機器によって構成されている。前記その他の周辺機器としては、アンテナを介して放送波を受け付けるデジタル放送受信機構、リモコン30からの赤外線を受け付けるリモコン受光機構、前記デジタル放送受信機構及び前記リモコン受光機構からの信号を受け付けて放送データや操作データに復号するデコーダ、前記放送データ等を一時的に格納しておく揮発性メモリ、前記放送データのうち画像データを受け付けてディスプレイ10が受け付け可能な画像信号に変換する画像信号処理機構、前記放送データのうち音声データを受け付けてスピーカーが受け付け可能な音声信号に変換する音声信号処理機構、インターネットなどのネットワークに接続してデータを送受信する通信インターフェース等を挙げることができる。
【0020】
一方、この本体装置40は、ソフトウェア的に言えば、図1に示すように、各ユーザを特定するユーザ識別部41、各ユーザの画面からみた位置又は方向を継続的に検出するユーザ位置検出部44、ユーザ毎に定められた画像を、対応するユーザの位置方向にのみ向かって出力する画像出力部42、ユーザの視聴番組を記録し分析するなどの機能を有する情報処理部43等を具備する。これら各部は、メモリに格納された所定のプログラム等に基づいてMPUやその周辺機器が協働することによって実現される。
【0021】
ユーザ識別部41は、前記リモコン30から送信されてくるリモコンIDを受信し、該リモコンIDに基づいてユーザを特定するものである。具体的には、ユーザIDとリモコンIDとを対応付けた対応表(図4参照)が、メモリの所定領域に記憶させてあり、ユーザ識別部41はこの対応表を参照してユーザを特定する。
【0022】
ユーザ位置検出部42は、リモコンID信号に基づいて、当該リモコンID信号を発したリモコン30の方向もしくは位置を、そのリモコン30を使用しているユーザの方向又は位置として自動的に検出するものである。リモコンID信号は、前述したように、リモコン30の電源が入っている限り、つまりユーザがリモコン30を使用している限り、リモコン30から常時乃至定期的に発信されている。
なお、リモコンにGPSを内蔵させておき、そのGPSからの情報をリモコンから受信したり、リモコンに地磁気センサーを内蔵させておき、その地磁気センサー情報をリモコンから受信したり、その他それらの組み合わせなどにより、ユーザの方向又は位置を検出しても構わない。
【0023】
画像出力部42は、前記ディスプレイ10と協働してその機能を発揮するものであり、コンテンツ画像及びユーザ別付加情報画像をディスプレイ画面10aに表示させる。
そこで、まずコンテンツ画像とユーザ別付加情報画像について説明する。
【0024】
コンテンツ画像とは、放送データや録画データから生成される、テレビ放送や録画番組等に係る画像のことであり、特定個人のユーザに対して生成されてはいない画像のことを言う。
【0025】
ユーザ別付加情報画像とは、ユーザ別付加情報に係る画像のことであり、文字のみの画像も含む。ユーザ別付加情報とは、当該ユーザの嗜好等を示す情報(関連番組やショッピング情報など)のことであり、言わば特定のユーザ向けに生成された情報画像のことである。ここでは、ユーザがリモコン30を操作する度に、当該ユーザの視聴番組やインターネット閲覧内容、ショッピング内容等に係る個別情報を、情報処理部43がそのリモコン操作から判別されるユーザIDと紐付けてメモリに記録・累積し、その累積した個別情報を分析して各ユーザの嗜好に最適化したユーザ別付加情報を算出する。
【0026】
しかして、前記画像出力部42は、コンテンツ画像については、前述した1つの画素群2に含まれる全ての画素21に対して同一の画像データを送信して表示させる。このことによって、既存のディスプレイのように、仕様角度範囲内であれば、どの角度からでもコンテンツ画像を見ることができるようにする。
その一方で、この画像出力部42は、ユーザ別付加情報画像については、ユーザ位置検出部44で検出された対応するユーザの位置方向上で結像するように各画素群2中の所定の画素21を選択し、その選択した画素21にのみユーザ別付加情報画像データを送信して表示させる。このことによって、各ユーザの位置からは、当該ユーザに係るユーザ別付加情報画像のみしか見ることができないようにする。
【0027】
次に、本実施形態での画像表示システム100の動作について説明する。
ここでは、説明の便宜上、一室に2名が一緒に過ごすシチュエーションにて説明する。
【0028】
各ユーザがリモコンの電源を入れて使用を開始すると、リモコンID信号が自動的に送信される。これを本体装置40が受信し、ユーザ識別部41及びユーザ位置検出部44が、ユーザを識別するとともに、識別したユーザの位置(方向)を検出する。
【0029】
そして、いずれか一のユーザがリモコン30を操作して、所望のテレビ番組や録画番組を選択すると、画像出力部42が、ディスプレイ画面10aにそれらテレビ番組や録画番組に係るコンテンツ画像を表示させる。このコンテンツ画像は、前述したように仕様角度範囲内であれば、どの角度からでも見ることができるので、各ユーザが共通して視聴し、楽しむことができる。
【0030】
このとき、情報処理部43が、前記一のユーザのリモコン操作から得られるリモコンIDを前記対応表と照合して、当該一のユーザのユーザIDを特定し、メモリの所定領域にユーザIDと紐付けて番組情報を記録する一方で、前記コンテンツ画像に関連するユーザ別付加情報を算出する。
【0031】
一方、前記画像出力部42は、前記ユーザ識別部41により特定されたユーザごとの、前記コンテンツ画像に関連するユーザ別付加情報から、ユーザ別付加情報画像を生成し、該ユーザ別付加情報画像を前記コンテンツ画像とともに画面10aに表示する。
【0032】
このとき、該画像出力部42は、ユーザ位置検出部44で検出された対応するユーザの位置方向上で結像するように各画素群中の所定の画素を選択し、その選択した画素にのみユーザ別付加情報画像データを送信して表示させる。このことによって、各ユーザの位置からは、当該ユーザに係るユーザ別付加情報画像のみしか見ることができないようにする。なお、ユーザ別付加情報画像は、コンテンツ画像とは別領域又はコンテンツ画像中の邪魔にならない領域に表示される。
【0033】
このようにして、各ユーザは、自身の付加情報画像のみを共通のコンテンツ画像とともに視聴することができる。図5に各ユーザがそれぞれ視ることになる画像を示す。
【0034】
したがって、本実施形態によれば、複数のユーザが同じ画面10aで同じ番組(コンテンツ画像)を見ながらも、各ユーザの嗜好を反映したユーザ別付加情報(関連映像検索結果およびその映像へのリンクや、ショッピング情報およびそのサイトへのリンクなど)をユーザごとに、かつ他のユーザに見られることなく示すことができる。
【0035】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0036】
例えば、リモコンを各ユーザ専用にする必要は必ずしもなく、リモコンを操作しているユーザを自動的に特定する機構を設けても良い。例えば、リモコンに指紋認証装置を搭載し、その指紋によってユーザを特定する方式が挙げられる。このようにすれば共用のリモコンで同等の機能を実現できる。
【0037】
また、ユーザ識別や位置検出の機構として、網膜スキャンやセンシング技術(色像認識、赤外線、温度、超音波など)により、またはその組み合わせにより視聴ユーザを識別し、あるいは位置(方向)を検出するようにしてもよい。例えば、網膜スキャンでの人物の特定や、画像認識や赤外線にて人物の概形(高さ・幅など)を測定し、あわせて赤外線や超音波あるいは電波にて人物との距離を測定する。この情報により人物の大きさが特定でき、リモコン操作時や視聴時において男性か女性か子供かなどの大まかな判別や位置検出は可能であるし、特に指向性が強い超音波や電波を、リモコンに付帯させた照射装置から本体装置に向け照射させれば、リモコンの位置がその照射方向から判別可能である。特に家庭内の使用であれば、網膜スキャンを行わなくともこの程度の識別で家庭内の誰が見て、操作しているかの判別を十分することができる。
【0038】
その他に、例えばディスプレイに内蔵、もしくは外付けの3Dカメラ(ステレオカメラ)を用いてユーザを撮像し、画像認識技術を用いて顔認証、動き認識を行い、リモコン操作時や視聴時のユーザ識別や位置検出をしてもよい。もちろん、上記すべてを適宜組み合わせて認識してもよい。
【0039】
また、前記ユーザ別付加情報は、本システムにおいて蓄積されたものである必要はなく、他のテレビやPCなどを使用して得られた情報を、例えばネットワークインターフェース経由で取得して用いてもよいし、相互データをあわせて統計し求めてもよい。その他、インターネットポータルサイトやショッピングサイトの累計情報とシンクロさせてより多くの累計データをシンクロさせてもよい。この場合は、前記情報処理部はポータルサイトなどに処理させればよいため、本システムに付随させることは必須ではない。
【0040】
また、ユーザは2名に限らず、より多い人数でも構わない。さらに、前記固定のレンチキュラーレンズに代えて可変式レンズを用いることによって、総水平画素数を対応ユーザ数に合わせて変えることもできる。可変式レンズとは、例えばオイルと電解質とからなる液体を収容する透明膜材からなり、電気信号によって液体を制御して表面形状を変えることにより、レンズ形状を所望の形状に変化させることができるものである。このような可変式レンズを用いれば、例えば、総水平画素数が3840画素であった場合に、ユーザが1人の場合はレンズ機能を用いず1ユーザ向けに全画素を用いた映像を表示し、ユーザが2名の場合は、画素群が2つの画素からなるようにレンズ形状を変化させ、1人あたりの割り当てを1920画素として2つの画像を各ユーザにそれぞれ表示するようにすればよい。また、たとえばユーザがさらに増えた場合も、総水平画素数/ユーザ数で画素を割り当て、各ユーザに対応がその画像が照射されるよう可変式レンズを制御し表示すればよい。
【0041】
さらに、該当ユーザが動いた場合には、ユーザ位置検出部で連続的にユーザの動きを検出し、ユーザの動きに追従させて連続的に可変レンズを変化制御すれば、視点ずれを防ぐといったことも可能になる。
【0042】
また、該当ユーザが画像表示システムが見えるエリアから存在しなくなった場合(例えばユーザ位置検出部でユーザを検出できなくなった場合や、画像表示システムにおいて予め設定された動作可能エリアの外にユーザが出た場合など)、ユーザ位置検出部は該当画素を消灯もしく可変レンズをどのユーザにも見えない方向に照射制御することまたはその組み合わせにより、該当ユーザ以外に画像が見えないようにしてもよい。
さらに、該当ユーザが画像表示システムが見えるエリアから存在しなくなった場合に、該当ユーザに使用されていた画素を他のユーザに表示する画素に割りあて、他のユーザ向けの表示解像度を上げる制御を実施してもよい。
【0043】
前記実施形態では水平方向に画像を振り分けていたが、垂直方向に画像を振り分けても良い。この場合は画素群は垂直方向に並ぶ複数の画素からなることとなり、レンチキュラーレンズは垂直に伸びるのではなく、水平に伸びることになる。また水平と垂直を組み合わせても良い。
【0044】
コンテンツ画像を各ユーザ毎に異ならせることも可能である。この場合は、各ユーザ・各コンテンツ画像に適合したユーザ別付加情報画像を表示すればよりよい。また、超指向性スピーカーを複数設けておき、検出したユーザ位置(方向)に対して該当コンテンツに対応する音声を個別に送出してもよい。
【0045】
加えて、複数のユーザが略同一位置(方向)に存在する場合には、ユーザ別付加情報画像を表示しないようにしてもよいし、コンテンツ画像をユーザ毎に異ならせる場合は、コンテンツ画像をも表示しないようにしてもよい。このようにすれば、少なくとも各ユーザのプライバシーを守ることはできる。
【0046】
また、ユーザ別付加情報は字幕情報などでもよく、たとえば、米国映画を見るときに一のユーザには日本語字幕を表示し、他のユーザには英語の勉学のために英語字幕を表示して同じ映画を楽しむなどを実施してもよい。この場合は映像出力2系統を持ったDVDやブルーレイプレイヤーなどのメディアプレイヤーにおいて、各々の映像出力系統にメディアプレイヤーから一方は日本語字幕を付加情報としてオーバーレイしたデコード映像を出力し、もう一方は英語字幕を付加情報としてオーバーレイしたデコード映像を出力してディスプレイ10に入力すればよい。字幕や映像入力の選択は映像表示装置側のリモコンからHDMI−CEC機能やネットワーク連携でメディアプレイヤーをコントロール・連携してもよいし、各機器を個別にマニュアル操作してもよい。
【0047】
各ユーザ別付加情報画像の表示領域を画面の同一領域に設定してもよいし、ユーザごとに異ならせても良い。
その他、本発明は前述したその趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0048】
100・・・画像表示システム
10a・・・画面
41・・・ユーザ識別部
42・・・画像表示部
44・・・ユーザ位置検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に表示された画像を複数のユーザが見る際に用いられるものであって、各ユーザの位置又は方向を継続的に検出するユーザ位置検出部と、各ユーザを識別するユーザ識別部と、ユーザ毎に定められた画像を、対応するユーザの位置方向にのみ向かって出力する画像出力部とを備えていることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
特定ユーザを対象として作成されていないコンテンツ画像とユーザごとに作成されたユーザ別付加情報画像との2種類の画像を画面に同時に表示可能なものにおいて、前記画像出力部が、コンテンツ画像については、全ユーザに対して共通に出力するとともに、ユーザ別付加情報画像については、前記ユーザ識別部により特定されたユーザ毎のユーザ別付加情報画像を、対応するユーザの位置方向にのみ向かって出力するものである請求項1記載の画像表示システム。
【請求項3】
画面に表示された画像を複数のユーザが見る際に用いられる方法であって、各ユーザの位置又は方向を継続的に検出するユーザ位置検出ステップと、各ユーザを識別するユーザ識別ステップと、ユーザ毎に定められた画像を、対応するユーザの位置方向にのみ向かって出力する画像出力ステップとを有することを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−9127(P2013−9127A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140048(P2011−140048)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】