説明

画像表示装置

【課題】 投影光学系の光軸方向の長さを調整することにより、画像表示装置の小型化を容易に実現することができる画像表示装置を提供する。
【解決手段】 光源と、仮想的な2次光源を作る集光ミラーと、白色光から光の3原色を経時的に作り出すカラーフィルタと、通過した光線が入射するライトトンネルと、リレーレンズと、反射部材と、基板上に独立して変化するマトリックス状に配列された複数の微小ミラーを備え、オン状態とオフ状態を作る反射表示素子と、この入射光を拡大して投影する投影光学系と、を有し、ライトトンネルの光軸又はこの光軸と平行な直線のうち投影光学系の前群の光軸と交わるものと、投影光学系の前群の光軸と、のなす角度が略垂直であり、ライトトンネルは、投影光学系の前群の光軸と平行な方向において、投影光学系の後群と前記反射部材の間隙に対応する位置であって、投影光学系の光路上でない位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックス上に配列され、反射光の出射角度を変化させることができる複数の微小ミラーを用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マトリックス上に配列され、それぞれが独立して、出射角度を変化させることにより投影レンズへの入射(オン状態)、非入射(オフ状態)を選択することができる微小ミラーを用いた画像表示装置としては、従来は、例えば図7に示すものがあった。
【0003】
この画像表示装置においては、集光ミラー110から水平方向(図7の左右方向)に出射した光は、カバーガラス111、カラーホイール112を経て、ライトトンネル113に入射する。ライトトンネル113から出射した光は、リレーレンズ群120を経てミラー121により水平面内で90度曲げて反射される。この反射光は、ミラー122により、水平面に対して45度の角度をなす方向(図7の左下から右上へ向かう方向)に反射され、リレーレンズ123を通過後プリズム124に入射する。この入射光は、プリズム124の内面により反射され、反射表示素子130に入射する。
【0004】
反射表示素子130は、マトリックス上に配列された複数の微小ミラー(不図示)を備えている。これら微小ミラーは、各々傾きを独立して変化させて反射光の出射角度を変化させることにより、投影光学系150の前群に入射させるオン状態と、反射光がオン状態とは異なる方向に出射されるオフ状態のいずれかをとることができる。ミラー140では、投影光学系150の前群を通過した光線が鉛直方向(図7の上下方向)に反射され、投影光学系150の後群に入射する。上述のようなオンオフの切り替えにより、所望の画像を投影光学系150により投影表示させることができる。
【特許文献1】特開平08−146911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の画像表示装置では、鉛直方向(投影光学系の光軸方向)において、反射表示素子130の上方に投影光学系150の後群が、その下方に集光ミラー110、ライトトンネル113、リレーレンズ群120、ミラー121、及びミラー122が配置されている。このため、投影光学系150の構成を工夫したとしても、画像表示装置の鉛直方向の大きさは、少なくとも、投影光学系150の鉛直方向長さと、集光ミラー110、ライトトンネル113、リレーレンズ群120、ミラー121、ミラー122の鉛直方向の大きさと、を合わせたものとならざるを得ず、画像表示装置の小型化の要請に応えることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の画像表示装置においては、光源と、光源からの光線を集光して仮想的な2次光源を作る集光ミラーと、集光ミラーから出射する白色光から光の3原色を経時的に作り出すカラーフィルタと、カラーフィルタを通過した光線が入射するライトトンネルと、ライトトンネルを出た光線が通過するリレーレンズと、リレーレンズからの出射光を反射する反射部材と、基板上にマトリックス状に配列された複数の微小ミラーを備え、その複数の微小ミラーは、各々傾きを独立して変化させて反射光の出射角度を変化させることによりオン状態とオフ状態を作る、反射部材からの反射光が入射する反射表示素子と、光路の途中に配置された折り返しミラーにより、反射部材側から順に前群と後群に分けられ、複数の微小ミラーによるオン状態の反射光が入射し、この入射光を拡大して投影する投影光学系と、を有し、ライトトンネルの光軸又はこの光軸と平行な直線のうち投影光学系の前群の光軸と交わるものと、投影光学系の前群の光軸と、のなす角度が略垂直であり、ライトトンネルは、投影光学系の前群の光軸と平行な方向において、投影光学系の後群と前記反射部材の間隙に対応する位置であって、投影光学系の光路上でない位置に配置されたことを特徴としている。
【0007】
上記反射部材は全反射プリズムとすることが好ましい。
【0008】
上記反射部材は反射ミラーとすることもできる。
【0009】
上記微小ミラーは、基板の短辺方向を回転軸とし、長辺方向に傾きを変化させて反射光の出射角度を変化させることによりオン状態とオフ状態を作ることができる。これに対して、基板の長辺方向を回転軸とし、短辺方向に傾きを変化させて反射光の出射角度を変化させることによりオン状態とオフ状態を作ることもできる。
【0010】
上記微小ミラーは、その正方形の微小ミラーの対角方向を回転軸とし、もう一方の対角方向に傾きを変化させて反射光の出射角度を変化させることによりオン状態とオフ状態を作ることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、投影光学系の後群の光軸方向の長さを調整することにより、この方向における画像表示装置の大きさを変更することができるため、画像表示装置の小型化を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ詳しく説明する。図1〜図5に示すように、本実施形態に係る画像表示装置は、集光ミラー10、ライトトンネル20、リレーレンズ13、14、15、ミラー(反射部材)30、31、プリズム(反射部材)32、反射表示素子40、及び投影光学系50を有する。この画像表示装置においては、集光ミラー10からの出射光が水平方向(図1〜図4においてH方向)に進行する構成となっているが、この進行方向を水平方向以外の方向としても本発明の画像表示装置を実現することができる。
【0013】
集光ミラー10は、ライトトンネル20側が開いた形状で、その内部に白色光源を配した構成となっている。白色光源としては、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプを用いることができる。白色光源から放射状に出射した光は、集光ミラー10の内面によって反射、集光されて、カバーガラス11を介してカラーホイール12へ向けて出射する。
【0014】
このカラーホイール12は、例えば図6に示すように円板形状の基板に、その回転軸12aに対してRGBの3色のフィルタ12b〜12dが等角度間隔に配置されたものを用いることができる。このカラーホイール12を一定速度で回転させつつ、集光ミラー10からカラーホイール12上の一定位置に光を照射すると、RGBのフィルタの配置間隔に対応した時間間隔ごとに(経時的に)、R(赤)、G(緑)、B(青)の光がライトトンネル20へ向けて出射する。
【0015】
ライトトンネル20は、その円筒形状の一方の端部(入射端)から入射した光を内面で全反射させることにより、光量が均一化された光を他方の端部(出射端)から出射することができるものである。ライトトンネル20を出射した光は、リレーレンズ13を経て、ミラー30に向けて出射する。
【0016】
ミラー30は平板形状を備え、この平面によって、ライトトンネル20を出射した光は、リレーレンズ群14を経てミラー31へ向けて、水平面(鉛直方向(図1、図3におけるV方向)に直交する面)内で略90度進行方向を曲げるように反射される。
【0017】
ミラー31は平板形状を備え、この平面によって、ミラー30で反射されリレーレンズ群14を介して入射した光は、プリズム32の直前に配置されたリレーレンズ15へ向けて、水平面に対して約45度の角度をなす方向(図1において右上から左下へ向かう方向)に反射される。
【0018】
図5に示すように、入射側に配置されるリレーレンズ15のあと、プリズム32は、三角柱形状の光学部材32bと、この光学部材32bの斜面32b2に、10ミクロン以下の空気間隔で斜面32c1が固定された三角柱形状の光学部材32cと、からなる。リレーレンズ15に入射した光は、このレンズ15を透過して光学部材32bに入射し、斜面32b2により、反射表示素子40へ向けて全反射される。反射表示素子40で反射された光は、斜面32b2を透過して光学部材32cに入射する。
【0019】
反射表示素子40は、基板上にマトリックス状に配列された複数の微小ミラーを備えた半導体素子である。この反射表示素子40では、複数の微小ミラーの各々傾きを独立して変化させて、反射光の出射角度を独立して変化させることにより、反射光がリレーレンズ15に向けて出射するオン状態と、反射光がオン状態とは異なる方向に出射するオフ状態のいずれかをとることができる。出射角度の変化は、微小ミラーがその表面に配置された長方形の基板の短辺方向又は長辺方向を回転軸とし、長辺方向又は短辺方向に揺動することによってなされる。あるいは、微小ミラーを正方形として、その一方の対角方向を回転軸とし、他方の対角方向に揺動することによってなされる。本実施例は対角方向を回転軸とする反射表示素子を用いた例である。
【0020】
このような反射表示素子40として、例えばテキサスインスツルメンツ社のデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)を用いると、このデバイスでは微小ミラーの角度が水平状態に対して+12度と−12度の2つの状態をとることができるため、この微小ミラーで反射する光の出射角度として2つの状態をとることができる。このような構成の反射表示素子40に対して、斜面32b2で反射された光を入射すると、オン状態(+12度の状態)の微小ミラーで反射された光は投影光学系の前群51へ向けて出射され、オフ状態(−12度の状態)の微小ミラーで反射された光は投影光学系の前群51とは異なる方向へ出射される。したがって、オン状態の微小ミラーで反射された光は、最終的には、投影光学系の後群52を介してスクリーンに拡大投影され、オフ状態の微小ミラーで反射された光はスクリーンには投影されないため、マトリックス状に配置された微小ミラーをそれぞれオンオフ制御することによりスクリーンに所望の画像を表示させることができる。
【0021】
投影光学系の前群51は、水平方向及び鉛直方向の両方に略直交する方向に配置されている。プリズム32から投影光学系の前群51に入射した光は、投影光学系の前群51を通過後、平板形状のミラー33に入射する。ミラー33は、投影光学系の前群51から入射した光を、投影光学系の後群52へ向かうように反射させる。
【0022】
投影光学系の後群52は、ミラー33で反射された光をスクリーン(不図示)に拡大投影する。それぞれの微小ミラーで反射される光はスクリーン上での画素に対応し、各画素について経時的に3原色の光が投影されることにより、各微小ミラーのオンオフを制御することによりスクリーン上に所望のカラー画像を表示させることができる。
【0023】
本実施形態においては、ライトトンネル20の光軸20aに平行な直線のうち投影光学系の前群51の光軸51aと交わるものと、投影光学系の前群51の光軸51aとのなす角度が略垂直となっている。また、ライトトンネル20は、投影光学系の前群51の光軸51aと平行な方向において、投影光学系の後群52とプリズム32との間隙に対応する位置であって、投影光学系50の光路上ではない位置に配置されている(図4参照)。さらに、ライトトンネル20及び投影光学系50を、水平方向及び鉛直方向の両者を含む面(両者に直交する方向の直交面)に投影すると、ライトトンネル20は投影光学系の後群52の光軸52aと交わるように配置されている(図1参照)。ライトトンネル20と投影光学系50との位置関係を、以上のように構成することによって、画像表示装置の鉛直方向の大きさはミラー33から投影光学系の後群52までの構成によって決めることができる。別言すれば、画像表示装置の鉛直方向の大きさは、光源10、カバーガラス11、カラーホイール12、リレーレンズ13の構成によって制限されることが少なくなる。したがって、光軸52aの方向における投影光学系の後群52の長さを短縮するように投影光学系50を構成することによって、鉛直方向において画像表示装置を小さくすることができ、ひいては画像表示装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0024】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る画像表示装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像表示装置の構成を示す斜視図であって、図1を集光ミラーの光軸を中心にして90度回転したものである。
【図3】本発明の実施形態に係る画像表示装置の構成を示す斜視図であって、図2を集光ミラーの光軸を中心にして90度回転したものである。
【図4】本発明の実施形態に係る画像表示装置の構成を示す斜視図であって、図3を集光ミラーの光軸を中心にして90度回転したものである。
【図5】本発明の実施形態に係る画像表示装置の構成を、各ミラーにおける反射を無視して2次元に展開して示す概観図である。
【図6】本発明の実施形態に係るカラーフィルタの構成を示す平面図である。
【図7】従来の画像表示装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
10 集光ミラー
20 ライトトンネル
30 ミラー(反射部材)
31 ミラー(反射部材)
32 プリズム(反射部材)
40 反射表示素子
50 投影光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光線を集光して仮想的な2次光源を作る集光ミラーと、
前記集光ミラーから出射する白色光から光の3原色を経時的に作り出すカラーフィルタと、
前記カラーフィルタを通過した光線が入射するライトトンネルと、
前記ライトトンネルを出た光線が通過するリレーレンズと、
前記リレーレンズからの出射光を反射する反射部材と、
基板上にマトリックス状に配列された複数の微小ミラーを備え、前記複数の微小ミラーは、各々傾きを独立して変化させて反射光の出射角度を変化させることによりオン状態とオフ状態を作る、前記反射部材からの反射光が入射する反射表示素子と、
光路の途中に配置された折り返しミラーにより、前記反射部材側から順に前群と後群に分けられ、前記複数の微小ミラーによるオン状態の反射光が入射し、この入射光を拡大して投影する投影光学系と、を有し、
前記ライトトンネルの光軸又はこの光軸と平行な直線のうち前記投影光学系の前群の光軸と交わるものと、前記投影光学系の前群の光軸と、のなす角度が略垂直である画像表示装置であって、
前記ライトトンネルは、前記投影光学系の前群の光軸と平行な方向において、前記投影光学系の後群と前記反射部材の間隙に対応する位置であって、前記投影光学系の光路上でない位置に配置されたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記反射部材は全反射プリズムである請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記反射部材は反射ミラーである請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記微小ミラーは、前記基板の短辺方向を回転軸とし、長辺方向に傾きを変化させて反射光の出射角度を変化させることによりオン状態とオフ状態を作る請求項1から3のいずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記微小ミラーは、前記基板の長辺方向を回転軸とし、短辺方向に傾きを変化させて反射光の出射角度を変化させることによりオン状態とオフ状態を作る請求項1から3のいずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記微小ミラーは、その正方形の微小ミラーの対角方向を回転軸とし、もう一方の対角方向に傾きを変化させて反射光の出射角度を変化させることによりオン状態とオフ状態を作る請求項1〜3のいずれか1項記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−184588(P2006−184588A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378382(P2004−378382)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(504219816)
【Fターム(参考)】