説明

画像表示装置

【課題】薄膜トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流の関係がヒステリシス特性を示す場合においても均一な表示を可能とする。
【解決手段】設定期間の前半の期間に、全画素のリセットスイッチ素子をオンとして、全画素の駆動トランジスタの制御電極を所定の電圧に収束させ、かつ、ステップ信号生成回路から各信号線に第1電圧レベルのステップ信号を供給し、設定期間の後半の期間に、全画素のリセットスイッチ素子をオフし、かつ、ステップ信号生成回路から各信号線に第1信号レベルとは異なる第2電圧レベルのステップ信号を供給して、全画素の駆動トランジスタの制御電極に特性値設定用電圧として、第2電源電圧を越える電圧、あるいは、信号駆動部から供給される電圧範囲を越える電圧を入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子などを用いた画像表示装置に係り、特に、低電圧化、高精細化において高画質表示の可能な画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来表示装置の主流であったCRTに代わり、近年、フラットディスプレイ装置の需要が増大している。特に、有機EL(Electro Luminescence)素子(OLED;Oganic Light Emitting Diode)を用いた表示装置は、消費電力、軽さ、薄さ、動画特性、視野角などの点で優れており、開発、実用化も進んでいる。
有機EL素子を用いた画像表示装置における、画像信号の画素への書き込み方式には、電圧プログラム方式と電流プログラム方式がある。書き込み速度の速い、電圧プログラム方式を用いた技術は、例えば、下記特許文献1、非特許文献1等に記載されている。
前述の特許文献1、および非特許文献1に記載された画像表示装置において、より素子数、配線数を少なくし、高精細化を可能とした技術として、下記、特許文献2に記載の技術が知られている。
この特許文献2では、信号線と記録容量との間のスイッチを排除し、1フレーム期間を書き込み期間と発光期間に分ける。各画素への信号書き込み時に、有機EL素子に電流を流す薄膜トランジスタ(以下、駆動TFTという)のゲート電極とドレイン電極をショートさせることでゲート電圧を一定に収束させ、このリセット動作による収束電圧と信号線に印加された信号電圧の差電圧を記憶容量に保持させる。発光期間においては、全信号線に三角波電圧を入力することで全画素一斉に発光させる。
【0003】
この特許文献2において、低電力化により電源電圧を低くした場合、リセット動作において駆動TFTに流れる電流が小さくなるため、収束時間が長くなり、すべての画素の駆動TFTのゲート電圧が一定に揃わないという問題点がある。この問題点のため、信号書き込み時の駆動TFTのゲート電圧が定まらないために、駆動TFTのゲート電圧−ドレイン電流特性が定まらず、残像が発生する。
この書き込み不足の問題点を解決する技術として、下記の非特許文献2に記載されている技術が知られている。
この非特許文献2と、特許文献2との違いは、信号書き込み時に初期電圧を画素外部より駆動TFTのゲート電極にプリチャージする系が設けてある点である。信号書き込み時に初期電圧をプリチャージすることで、駆動TFTのゲート電圧を一定に揃え、すべての駆動TFTを同じ特性で用いることができる。これにより残像は解消される。
【0004】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【特許文献1】特開2003−5709号公報
【特許文献2】特開2003−122301号公報
【非特許文献1】Digest of Technical Papers, SID98 p.p.11-14
【非特許文献2】Digest of Technical Papers, SID07 p.p.1382-1385
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1,2、あるいは、非特許文献1,2に記載されている画像表示装置では、低電力化、高精細化によりスメアが生じる場合がある。この問題について、図13ないし図15を用いて説明する。
薄膜トランジスタ(以下、TFTという)は、ゲート電圧−ドレイン電流の関係がヒステリシス特性を示す場合がある。
このヒステリシス特性について図13を用いて説明する。
TFTのゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)の関係は、ゲート絶縁膜(GI)にトラップされるキャリア(CAP)の数によって異なる。
図13(a)に示すような、ゲート絶縁膜(GI)にトラップされるキャリア(CAP)数が多い状態Aでは、TFTのゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)の関係は図13(c)の特性Aに従う。
一方、図13(b)に示すような、ゲート絶縁膜(GI)にトラップされるキャリア数(CAP)が少ない状態Bでは、TFTのゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)の関係は図13(c)の特性Bに従う。
また、トラップされたキャリア(CAP)の放出により、トラップされたキャリア(CAP)の数が少なくなると、ゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)の関係は、特性Aから特性Bへと遷移する。したがって、トラップされたキャリア(CAP)数が少なくなると、特性Aと特性Bの間の領域Cにしたがって動作する場合がある。
なお、図13は、p型のTFTの特性を示しており、横軸のゲート電圧(Vg)は、ソース電圧に対して負電圧であることを示している。また、Gはゲート電極である。
【0006】
ゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)の関係にヒステリシス特性を持つ、p型TFTのゲート電極に入力する信号が、図14(a)に示すように、Vg1の電圧からVg0の電圧に変化する場合のように、Vg1の電圧を印加する時間(ton)が長いほど、Vg1の電圧とVg0との電位差(ΔVg)が大きいほど、ゲート絶縁膜(GI)にトラップされるキャリア(CAP)数が多くなり、ゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)の関係は時間が経過しても、図14(b)に示すように、特性Aに近い特性を保つ。
一方、ゲート電極に入力する信号が、図14(c)に示すように、Vg2の電圧からVg0の電圧に変化する場合のように、Vg2の電圧を印加する時間(ton)が短いほど、Vg2の電圧とVg0との電位差(ΔVg)が小さいほど、ゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)の関係は、図14(d)に示すように、速やかに特性Bに近づく。なお、図14において、Id0は、ゲート電圧がVg0の時のドレイン電流である。
前述の特許文献2においては、電源電圧に対して、リセット動作時の駆動TFTのゲート電極の収束電圧が電源電圧に対して十分に低いため(即ち、ゲート・ソース間電圧(Vgs)が充分大きいため)に、すべての駆動TFTは、図14(b)に示す特性C1のような、特性Aに近い特性で動作する。
また、前述の非特許文献2において、書き込み時に駆動TFTのゲート電極にプリチャージする初期電圧を下げることで、駆動TFTの特性を、図14(b)に示す特性C1に保ったまま、電源電圧を下げる、もしくは、プリチャージ時間を短くすることができる。
【0007】
しかしながら、前述の非特許文献2において、さらに電源電圧を下げたとき、もしくは高精細化によってプリチャージ時間が短くなったとき、駆動TFTの特性は、図14(d)に示す特性Bに近づき、特性C2のような特性Aと特性Bの遷移領域にて駆動TFTが動作する場合がある。
このとき、例えば、画面中央部のみに黒、その他の部分に白を表示させた場合、書き込み期間に、図15(a)における、aないしfの画素に、画像信号を書き込むときの駆動TFTのゲート電圧(Vg)−ドレイン電流(Id)の関係は、図15(b)、(c)に示すように、画素によって異なる。
信号線12A上の画素bと、信号線12B上の画素eにおいては、発光期間において、駆動TFTがオンとなる時間の違い(画素bの発光時間が、画素eの発光時間よりも長い)により、ゲート絶縁膜(GI)にトラップされるキャリア数が異なり、駆動TFTは違った特性を示す。
また、信号線12B上の画素fおいては、黒領域を書き込む際に信号線電圧が下がり、それに伴い、画素fの駆動TFTのゲート電圧(Vg)も下がる。よって、画素fにおいては、信号線12A上の画素cとは発光期間において駆動TFTがオンとなる時間が同じにもかかわらず、ゲート絶縁膜(GI)にトラップされるキャリア数が異なり、書き込み時の駆動TFTの特性は異なる。よって、この駆動TFTの特性の違いにより、スメアが発生する。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、薄膜トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流の関係がヒステリシス特性を示す場合においても均一な表示が可能となる画像表示装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明は、画素に信号電圧を印加する前に、駆動TFTのゲート電圧に、十分な順方向のバイアス電圧を印加することで、すべての画素の駆動TFTを図14(b)に示す特性C1に揃え、特性Aに近い特性で駆動させるものである。
具体的な構成は、以下の通りである。
(1)それぞれ自発光素子を有する複数の画素と、前記各画素に画像信号を入力する複数の信号線と、前記各信号線に前記画像信号を供給する駆動回路と、前記各信号線にステップ信号を供給するステップ信号生成回路とを備え、前記各画素は、前記画像信号に基づき前記自発光素子を駆動する駆動トランジスタと、前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記駆動トランジスタの制御電極との間に接続される容量素子と、前記駆動トランジスタの制御電極と第2電極との間に接続されるリセットスイッチ素子とを有し、前記駆動トランジスタの第1電極は、第1電源電圧に接続され、前記自発光素子の他端は、第2電源電圧に接続される画像表示装置であって、1フレーム期間内に、設定期間と、前記設定期間に連続し前記各画素に前記画像信号を書き込む書込期間とを有し、前記設定期間の前半の期間に、前記全画素の前記リセットスイッチ素子をオンとして、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極を所定の電圧に収束させ、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に第1電圧レベルのステップ信号を供給し、前記設定期間の後半の期間に、前記全画素の前記リセットスイッチ素子をオフし、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に前記第1信号レベルとは異なる第2電圧レベルのステップ信号を供給して、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に特性値設定用電圧として、前記第2電源電圧を越える電圧、あるいは、前記信号駆動部から供給される電圧範囲を越える電圧を入力する。
【0009】
(2)それぞれ自発光素子を有する複数の画素と、前記各画素に画像信号を入力する複数の信号線と、前記各画素にリファレンス電圧を入力する複数のリファレンス線と、前記各信号線に前記画像信号を供給する駆動回路と、前記各信号線にステップ信号を供給するステップ信号生成回路とを備え、前記各画素は、前記画像信号に基づき前記自発光素子を駆動する駆動トランジスタと、前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記駆動トランジスタの制御電極との間に接続される容量素子と、前記複数のリファレンス電圧線の中の対応するリファレンス電圧線と前記駆動トランジスタの制御電極との間に接続されるリファレンススイッチ素子とを有し、前記駆動トランジスタの第1電極は、第1電源電圧に接続され、前記自発光素子の他端は、第2電源電圧に接続される画像表示装置であって、1フレーム期間内に、設定期間と、前記設定期間に連続し前記各画素に前記画像信号を書き込む書込期間とを有し、前記設定期間の前半の期間に、前記全画素の前記リファレンススイッチ素子をオンとして、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に所定の電圧を入力し、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に第1電圧レベルのステップ信号を供給し、前記設定期間の後半の期間に、前記全画素の前記リファレンススイッチ素子をオフし、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に前記第1信号レベルとは異なる第2電圧レベルのステップ信号を供給して、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に特性値設定用電圧として、前記第2電源電圧を越える電圧、あるいは、前記信号駆動部から供給される電圧範囲を越える電圧を入力する。
【0010】
(3)(1)または(2)において、前記ステップ信号生成回路は、前記ステップ信号の前記1電圧レベルと前記第2電圧レベルのいずれか一方の電圧レベルと、前記ステップ信号の前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルのステップ幅を変更可能である。
(4)(1)または(2)において、前記駆動トランジスタは、p型の電界効果トランジスタであり、前記自発光素子のカソード電極は、前記第2電源電圧に接続され、前記ステップ信号は、前記第1電圧レベルがHighレベル、前記第2電圧レベルがLowレベルであり、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に入力される特性値設定用電圧は、前記第2電源電圧よりも低電位の電圧、あるいは、前記信号駆動部から供給される電圧範囲の中で最も低電位の電圧よりも低電位の電圧である。
(5)(1)または(2)において、前記駆動トランジスタは、n型の電界効果トランジスタであり、前記自発光素子のアノード電極は、前記第2電源電圧に接続され、前記ステップ信号は、前記第1電圧レベルがLowレベル、前記第2電圧レベルがHighレベルであり、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に入力される特性値設定用電圧は、前記第2電源電圧よりも高電位の電圧、あるいは、前記信号駆動部から供給される電圧範囲の中で最も高電位の電圧よりも高電位の電圧である。
【0011】
(6)それぞれ自発光素子を有する複数の画素と、前記各画素に画像信号を入力する複数の信号線と、前記各信号線に前記画像信号を供給する駆動回路とを備え、前記各画素は、前記画像信号に基づき前記自発光素子を駆動する駆動トランジスタと、前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記駆動トランジスタの制御電極との間に接続される容量素子とを有し、前記駆動トランジスタは、p型の電界効果トランジスタであり、前記駆動トランジスタの第1電極は、第1電源電圧に接続され、前記自発光素子のカソード電極は、第2電源電圧に接続される画像表示装置であって、1フレーム期間内に、設定期間と、前記設定期間に連続し前記各画素に前記画像信号を書き込む書込期間とを有し、電源回路と、複数の電圧入力線とを有し、前記各画素は、前記複数の電圧入力線の中の対応する電圧入力線と前記自発光素子の一端との間に接続されるリファレンススイッチ素子を有し、前記設定期間に、前記全画素の前記リファレンススイッチ素子をオンとして、前記電源回路から前記各電圧入力線に前記第2電源電圧よりも低電位の電圧を供給することにより、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に特性値設定用電圧として、前記第2電源電圧よりも低電位の電圧を入力する。
【0012】
(7)それぞれ自発光素子を有する複数の画素と、前記各画素に画像信号を入力する複数の信号線と、前記各信号線に前記画像信号を供給する駆動回路とを備え、前記各画素は、前記画像信号に基づき前記自発光素子を駆動する駆動トランジスタと、前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記駆動トランジスタの制御電極との間に接続される容量素子とを有し、前記駆動トランジスタは、n型の電界効果トランジスタであり、前記駆動トランジスタの第1電極は、第1電源電圧に接続され、前記自発光素子のアノード電極は、第2電源電圧に接続される画像表示装置であって、1フレーム期間内に、設定期間と、前記設定期間に連続し前記各画素に前記画像信号を書き込む書込期間とを有し、電源回路と、複数の電圧入力線とを有し、前記各画素は、前記複数の電圧入力線の中の対応する電圧入力線と前記自発光素子の一端との間に接続されるリファレンススイッチ素子を有し、前記設定期間に、前記全画素の前記リファレンススイッチ素子をオンとして、前記電源回路から前記各電圧入力線に前記第2電源電圧よりも高電位の電圧を供給することにより、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に特性値設定用電圧として、前記第2電源電圧よりも高電位の電圧を入力する。
(8)(6)または(7)において、前記信号線は、前記電圧入力線を兼用し、前記各画素の前記リファレンススイッチ素子は、前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記自発光素子の一端との間に接続される。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明の画像表示装置によれば、薄膜トランジスタのヒステリシス特性に起因する表示異常のない均一な表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の有機EL表示装置に適用した実施例を図面を参照して詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1の有機EL表示装置の全体構成を示す図である。図1に示すように、有機EL表示パネルの表示領域内には複数の画素1がマトリクス状に設けられる。
画素1には、信号線12、リセット線7、点灯スイッチ線21、および電源線6がそれぞれ入力される。
リセット線7は、ゲート駆動部8に接続される。また、点灯スイッチ線21は、オア回路42に接続される。オア回路42には、ゲート駆動部8から出力される走査出力線40と、点灯制御線41が入力される。
このゲート駆動部8の構成は、一般に良く知られているシフトレジスタ回路であるため、ここではその詳細な説明は省略する。
信号線12は、薄膜トランジスタで構成される信号線選択スイッチ素子11を介して、信号駆動部9に接続される。信号駆動部9には、外部から信号入力線10を介して画像信号が供給される。
信号駆動部9と、有機EL表示パネルとの間には、ステップ信号入力線15、三角波入力線16、ステップ信号選択スイッチ制御線17、三角波選択スイッチ制御線18、信号線選択スイッチ制御線19が延在している。
信号駆動部9から延びる信号線12にはこれらの出力が、薄膜トランジスタで構成される信号線選択スイッチ素子11、三角波選択スイッチ素子13、および、ステップ信号選択スイッチ素子14によって時間差で印加される。
【0015】
また、実際には画素1は、有機EL表示パネルの表示領域内に多数個配置されるが、図面の簡略化のために図1では、4画素のみを記載してある。また、後述するように画素1には、他にも共通接地線が配線されているが、これらの記載は省略してある。
各画素1には、発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という。)2が設けられており、有機EL素子1のカソード電極は共通接地線に接続される。
また、アノード電極は、n型薄膜トランジスタで構成される点灯制御スイッチ素子20と、p型薄膜トランジスタ(以下、駆動TFTという。)4を介して電源線6に接続される。
また、駆動TFT4のゲート電極は、記憶容量3を介して信号線12に接続され、駆動TFT4のドレイン電極とゲート電極との間には、薄膜トランジスタで構成されるリセットスイッチ素子5が設けられる。
なお、リセットスイッチ素子5のゲート電極は、リセット線7に接続される。また、点灯制御スイッチ素子20のゲート電極は、点灯スイッチ線21に接続される。
画素1、ゲート駆動部8、信号駆動部9等の各回路は全て、半導体層として、一般に良く知られている低温多結晶シリコン層を有する低温多結晶シリコン薄膜トランジスタを用いて構成され、これらの薄膜トランジスタは、ガラス基板上に形成される。
また、低温多結晶シリコン薄膜トランジスタ、あるいは、有機EL素子1の製造方法などに関しては、一般に報告されているものと大きな相違はないため、ここではその説明は省略する。
【0016】
図2は、本実施例の有機EL表示装置のタイミングチャートを示す図である。
図2の下側に示すように、本実施例では、1フレーム期間内に、書込期間と、発光期間と、設定期間とを有し、書込期間に各画素1に画像信号を書き込み、発光期間に全画素を点灯させて表示を行う。画像視信号の書き込みは、1表示ライン単位、即ち、リセット線7毎に行なわれる。
以下、各期間の動作について説明する。
[書込期間]
「書込期間」においては、信号線選択スイッチ制御線19により信号線選択スイッチ素子11がオンとなる。また、ゲート駆動部8が、1表示ライン単位に各行の複数の画素1を順次走査し、これと同期して、信号駆動部9から信号線選択スイッチ素子11を介してアナログ画像信号を信号線12に書き込む。
以下、ゲート駆動部8によって選択された、任意の表示ラインの画素1の「書込み期間」における動作について説明する。
書き込み期間内に、書き込みが選択された画素1の記憶容量3の一端には、時刻T1から時刻T4に亘って信号線12を介して信号電圧が印加される。
次に、時刻T2で、リセットスイッチ素子5と点灯制御スイッチ素子20とがオンとなり、これにより、駆動TFT4はゲート電極とドレイン電極とが接続されたダイオード接続になる。
【0017】
次に、時刻T3で、点灯制御スイッチ素子20がオフすると、駆動TFT4と有機EL素子2とは強制的に電流オフ状態になるが、このとき、駆動TFT4のゲート電極とドレイン電極はリセットスイッチ素子5で短絡されているため、記憶容量3の一端でもある、駆動TFT4のゲート電極の電圧は、電源線6の電圧(Vdd)よりしきい値電圧(Vth)だけ低い電圧(Vdd−Vth)に自動的にリセットされる。
なおこのとき、記憶容量3の他端には、信号線12から、Vsのアナログ画像信号が入力されている。
次に、時刻T4で、リセットスイッチ素子5がオフすると、記憶容量3の両端の電位差はこのまま記憶容量3に記憶される。即ち、記憶容量3の信号線側に、「書込期間」で書込まれたVsのアナログ画像信号と等しい電圧が入力した際には、駆動TFT4のゲート電極の電圧V(g)は、電源線6の電圧よりしきい値電圧(Vth)だけ低い電圧(Vdd−Vth)に強制的に設定されることになる。
このとき、記憶容量3の信号線側に入力する電圧値が、Vsのアナログ画像信号よりも高ければ駆動TFT4はオフ状態であり、記憶容量3の信号線側に入力する電圧値が、Vsのアナログ画像信号よりも低ければ駆動TFT4はオン状態となる。但し、他の行の画素を走査している期間は、当該画素の点灯制御スイッチ素子20は常時オフ状態であるから、信号線12のアナログ画像信号の高低にかかわらず、有機EL素子1が点灯することはない。
アナログ画像信号の画素1への書込みはこのように行毎に順次行われ、全ての画素への書込みが終了した時点で1フレームの「書込期間」は終了する。
【0018】
[発光期間]
「発光期間」においては、ゲート駆動部8は停止し、点灯制御線41がHigh(以下、Hレベル)となるので、オア回路42と点灯スイッチ線21を介して、点灯制御スイッチ素子20のゲート電極にHレベルの電圧が入力されるので、全画素の点灯制御スイッチ素子20が一斉にオン状態となる。
このとき、三角波選択スイッチ制御線18により三角波選択スイッチ素子13がオンとなり、信号線12には、三角波入力線16から、図2に示す三角波電圧が入力される。
ここで、「発光期間」においては、点灯制御スイッチ素子20は常時オン状態にあるため、各画素1の有機EL素子2は、予め書込まれたVsのアナログ画像信号と信号線12に印加される三角波電圧との電圧関係によって、駆動TFT4により駆動される。
このとき、駆動TFT4の相互コンダクタンス(gm)が十分に大きければ、有機EL素子1は点灯/消灯とデジタル的に駆動されると見なすことができる。即ち、有機EL素子1は、予め書込まれたVsのアナログ画像信号値に依存した期間(例えば、図25のTsの期間)だけ、ほぼ一定の輝度で連続点灯し、この発光時間の変調は、視覚的には多階調の発光として認められる。
【0019】
このことは、例え、駆動TFT4の特性がばらついたとしても、基本的に何らの影響も受けることはない。ここで、図2に示す三角波電圧の振幅は、アナログ画像信号の信号振幅とほぼ一致させることが望ましい。
なお、本実施例では、発光の時間軸重心が発光階調に依存しないように左右対象の三角波電圧としたが、この三角波電圧に代えて、非対称の三角波電圧や、ガンマ特性変調に相当する非直線の三角波電圧、あるいは、複数の三角波電圧などを用いることも可能であり、それにより、それぞれ異なる視覚特性を得ることも可能である。
また、本実施例によれば各画素の記憶容量3に書込まれたアナログ画像信号の値によって有機EL素子1の発光期間を時間的にばらつきなく制御して階調表示を得ることができるため、画素間の表示特性ばらつきを十分に小さくすることができる。
また、各薄膜トランジスタは、本実施例では構成が簡単な単チャネルの薄膜トランジスタを用いたが、これらの薄膜トランジスタを、例えば、CMOS構成にすることも可能である。
また、ゲート駆動部8、信号駆動部9等からなる周辺駆動回路は、低温多結晶シリコン(ポリシリコン)薄膜トランジスタ回路で構成しているが、これらの周辺駆動回路あるいはその一部分を単結晶LSI(Large Scale Integrated circuit)回路で構成して実装するようにしてもよい。その場合に、駆動TFT4、リセットスイッチ素子5、および、点灯制御スイッチ素子20等は、それぞれ半導体層にアモルファスシリコンを用いるアモルファスシリコン薄膜トランジスタを用いてガラス基板上に構成するようにしてもよい。
【0020】
[設定期間]
本実施例は、書込期間の前に、全画素の駆動TFT4の特性値を、図14(b)に示す特性C1に揃え、特性Aに近い特性で駆動させることを特徴とする。
1フレームの「設定期間」において、ゲート駆動部8は停止する。そして、時刻T5において、点灯制御線41がHレベルとなるので、オア回路42と点灯スイッチ線21を介して、点灯制御スイッチ素子20のゲート電極にHレベルの電圧が入力されるので、全画素の点灯制御スイッチ素子20が一斉にオン状態となる。同時に、リセット線7により、全画素のリセットスイッチ素子5をオンとする。これにより、駆動TFT4のゲート電圧(Vg)はVmに収束する。
このとき、ステップ信号選択スイッチ制御線17により、ステップ信号選択スイッチ素子14がオンとなり、信号線12には、ステップ信号発生部29からステップ信号入力線15を介して、Vstephの電圧が印加される。例えば、Vstephの電圧は、信号駆動部9より印加することのできる電圧の中の最も高電位の電圧、あるいは、電源線6の電圧である。
その後、全画素のリセットスイッチ素子5と点灯制御スイッチ素子20をオフとし、全画素の記憶容量3に、VmとVstephの差電圧を記憶させる。
次に、時刻T6において、信号線12に、ステップ信号発生部29からステップ信号入力線15を介して、Vsteplの電圧を印加する。例えば、Vsteplの電圧は、信号駆動部9より印加することのできる電圧の中の最も低電位の電圧、あるいは、共通接地線の電圧である。
記憶容量3には、VmとVstephの差電圧が保持されているため、駆動TFT4のゲート電圧(Vg)は、Vm−(Vsteph−Vstepl)となる。この電圧は、表示のために画素に印加される階調電圧の中の最低の電圧VL以下の電圧となる。
このように、本実施例では、発光後に全画素の駆動TFT4を図14(b)の特性C1に揃え、特性Aに近い特性で用いることができるので、駆動TFT4のヒステリシス特性に起因する表示異常のない均一な表示が可能となる。
なお、本実施例では、駆動TFT4と有機EL素子2が点灯制御スイッチ素子20を介して接続されていたが、点灯制御スイッチ素子20がなくても同様の効果は得られる。また、点灯制御スイッチ素子20が、電源線6と駆動TFT4のソース間に接続されていても、同様の効果が得られる。
【0021】
[実施例2]
図3は、本発明の実施例2の有機EL表示装置の全体構成を示す図である。
本実施例は、設定期間にリファレンススイッチ素子22をオンとして、全画素の駆動TFT4のゲート電極に、リファレンス電圧線23から、VLの電圧を印加する点で、前述の実施例1と相違するが、残余の点は前述の実施と同じであるので、再度の詳細な説明は省略する。
図4は、本実施例の有機EL表示装置のタイミングチャートを示す図である。本実施例において、「書込期間」、「発光期間」の動作は、前述の実施例1と同じであり、本実施例は、「設定期間」の動作が前述の実施例1と異なっている。
本実施例では、発光期間の設定期間の時刻T7において、リセット線7および点灯スイッチ線21により、全画素のリセットスイッチ素子5、および点灯制御スイッチ素子20をオフとする。
同時に、リファレンス線25により、全画素のリファレンススイッチ素子22をオンとして、全画素の駆動TFT4のゲート電極に、VLの電圧を印加する。このとき、ステップ信号選択スイッチ制御線17により、ステップ信号選択スイッチ素子14がオンとなり、信号線12には、ステップ信号発生部29からステップ信号入力線15を介して、Vstephの電圧が印加される。例えば、Vstephの電圧は、信号駆動部9より印加することのできる電圧の中の最も高電位の電圧、あるいは、電源線6の電圧である。
【0022】
その後、リファレンススイッチ素子22をオフとすることにより、全画素の記憶容量3には、VLとVstephの差電圧が記憶される。
次に、時刻T8において、信号線12に、ステップ信号発生部29からステップ信号入力線15を介して、Vsteplの電圧を印加する。例えば、Vsteplの電圧は、信号駆動部9より印加することのできる電圧の中の最も低電位の電圧、あるいは、共通接地線の電圧である。
このとき、記憶容量3には、VLとVstephの差電圧が保持されているため、駆動TFT4のゲート電圧(Vg)は、VL−(Vsteph−Vstepl)となる。
この電圧は、表示のために画素に印加される階調電圧の中の最低の電圧値VL以下の電圧であり、前述の実施例1におけるVm−(Vsteph−Vstepl)よりも低い電圧とすることができる。
このように、本実施例では、発光後に、全画素の駆動TFT4を、図14(b)の特性C1に揃え、特性Aに近い特性で用いることができるので、駆動TFT4のヒステリシスに起因する表示異常のない均一な表示を行うことが可能である。
【0023】
[実施例3]
図5は、本発明の実施例3の有機EL表示装置の全体構成を示す図である。
本実施例の有機EL表示装置3が、前述の実施例1の有機EL表示装置と異なる点は、駆動TFT4のヒステリシス対策に加え、低電圧化によるリセット動作時の駆動TFT4のゲート電極の電圧の収束不足の対策を行うものである。
低電圧化により、電源線6上の電源電圧が低くなった場合、もしくは、高精細化のために1画素当たりの書き込み期間が短くなった場合、書き込み不足により、書込期間のリセット動作時に駆動TFT4のゲート電極の収束電圧が一定の電圧(ここでは、Vdd−Vth)の電圧とならない場合があり、その結果、残像が発生する。
本実施例は、この問題点をも解消するものである。
図5において、図1と異なる点は、有機EL素子2の他端が、プリチャージ線27により制御されるプリチャージスイッチ素子26を介して、信号線12に接続されている点である。
図6は、本実施例の有機EL表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図2のタイミングチャートとの違いは、書込期間において、プリチャージ期間(図6に示すTchの期間)に、プリチャージスイッチ素子26、点灯制御スイッチ素子20、リセットスイッチ素子5、および信号線選択スイッチ素子11をオンとなし、駆動TFT4のゲート電極に、信号駆動部9から、信号線12→プリチャージスイッチ素子26→点灯制御スイッチ素子20→リセットスイッチ素子5の経路で、プリチャージ電圧をプリチャージする点である。
これにより、書込期間のリセット動作時による収束電圧を一定とし、前述の特許文献1に記載されている残像の問題を解決することができる。
このように、本実施例では、発光後に全画素の駆動TFT4を図14(b)の特性C1に揃え、特性Aに近い特性で用いることができ、さらに、低電圧化においても書き込み不足による収束不足も解消できるので、駆動TFT4のヒステリシス特性に起因する表示異常がなく、残像のない均一な表示が可能である。
【0024】
[実施例4]
図7は、本発明の実施例4の有機EL表示装置の全体構成を示す図である。
本実施例の有機EL表示が、前述の実施例1の有機EL表示装置と異なる点は、輝度モードの切替えのために、電源線6に複数の電源電圧が供給するための切替手段(SW)を有しており、さらに、レベル可変ステップ信号発生部31により、ステップ電圧の電圧値、あるいは、ステップ電圧のHレベル、あるいはLowレベル(以下、Lレベル)のステップ幅が可変される点である。
図8は、本実施例の有機EL表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。図2のタイミングチャートとの違いは、電源線6の電源電圧の値に応じて、Vsteplの電圧を切替える点である。
電源線6の電源電圧が、Vdd1から、Vdd1よりも低いVdd2に切り替えられたときに、駆動TFT4を、Vdd1の電源電圧の場合と同じ特性で用いるためには、Vstep1の電圧をより低い電圧、あるいは、Vstep1の電圧の印加時間をより長くする必要がある。但し、Vstep1の電圧の印加時間を長くすると、発光期間が短くなるため、表示輝度が低下する。
そこで、本実施例では、電源電圧の電圧値に応じて、Vstep1の電圧を切替えるようにしたものである。例えば、電源電圧がVdd1の場合、Vstep1の電圧として、Vstep11の電圧を使用し、また、電源電圧がVdd2の場合、Vstep1の電圧として、Vstep11の電圧よりも低いVstep12の電圧を使用する。
これにより、発光期間を同じ期間に維持したまま、全画素の駆動TFT4を、図14(b)の特性C1に揃え、特性Aに近い特性で用いることができるので、駆動TFT4のヒステリシス特性に起因する表示異常のない均一な表示が可能である。
なお、本実施例4では、前述の実施例1において、電源線6の電源電圧と、ステップ電圧の電圧値とが切替え可能な場合について説明したが、前述の実施例2、あるいは実施例3において、電源線6の電源電圧と、ステップ電圧の電圧値とを切替え可能とすることにより、本実施例4と同様の効果を得ることができる。
【0025】
[実施例5]
図9は、本発明の実施例5の有機EL表示装置の1画素の等価回路を示す回路図である。
本実施例の有機EL表示装置が、前述の実施例1の有機EL表示装置と異なる点は、有機EL素子2が、電源線6と直接接続されており、駆動TFT4は基準電位側に配置されている点である。これに伴い、本実施例では、リセットスイッチ素子5も、有機EL素子2の陰極側に接続されている。
また、本実施例では、駆動TFT4はn型の薄膜トランジスタで構成される。したがって、1画素内の薄膜トランジスタは、n型プロセスのみで形成できることになる。
有機EL素子2を電源線6側に設置し、駆動TFT4を基準電位側に設置することによって、関連する素子を移動したことを除けば、基本的な動作は前述の実施例1と同じである。
図10は、本実施例の有機EL表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図10のタイミングチャートは、図2のタイミングチャートと基本的には同じである。但し、リセット動作に要する時間は駆動TFT4の特性が関係するが、実施例1では駆動TFT4は、p型の薄膜トランジスタであるのに対し、本実施例は、n型の薄膜トランジスタであるので、実施例1と本実施例5とでは異なってくる。
図10のタイミングチャートが、図2のタイミングチャートと異なるもう一つの点は、発光期間における三角波が上に凸ということである。
本実施例では、駆動TFT4が、n型の薄膜トランジスタであるために、ゲート電圧がソース電極よりも高い電圧となったときに駆動TFT4がオンするためである。また、設定期間において、リセットスイッチ素子5、点灯制御スイッチ素子20がオンのときに、信号線12には、Vsteplの電圧を印加する。
次に、リセットスイッチ素子5、点灯制御スイッチ素子20をオフとした後に、Vsteplより高いVstephの電圧を印加する。
これにより、発光後にすべての駆動TFT4を図14(b)の特性C1に揃え、特性Aに近い特性で用いることができるので、駆動TFT4のヒステリシス起因の表示異常のない均一な表示が可能である。
【0026】
[実施例6]
図11は、本発明の実施例6の有機EL表示装置の全体構成を示す図である。
本実施例の有機EL表示装置が、前述の実施例1の有機EL表示装置と異なる点は、駆動TFT4のゲート電極が、リファレンス線25により制御されるリファレンススイッチ素子22を介して信号線12に接続されている点、また、信号線12が、ステップ信号選択スイッチ素子14と、外部負電圧入力線28を介して、外部負電源30に接続されている点である。
図12は、本実施例の有機EL表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
前述の実施例1と異なる点は、発光期間後の設定期間に、リファレンススイッチ素子22をオンとして、駆動TFT4のゲート電極に、外部負電源30から、外部負電圧入力線28→ステップ信号選択スイッチ素子14→信号線12→リファレンススイッチ素子22の経路で、負電圧を供給する点である。
これにより、本実施例では、発光後に全画素の駆動TFT4を図14(b)の特性C1に揃え、特性Aに近い特性で用いることができるので、駆動TFT4のヒステリシス特性に起因の表示異常のない均一な表示が可能である。
なお、本実施例6では、駆動TFT4のゲート電極がリファレンススイッチ素子22を介して信号線12に接続されているが、駆動TFT4のゲート電極がリファレンススイッチ素子22を介して信号線12とは別の電圧入力線に接続され、別の電圧入力線が外部負電源30に接続されている場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0027】
また、本実施例6においては、駆動TFT4がp型の薄膜トランジスタの場合であるが、駆動TFT4がn型の薄膜トランジスタの場合でも、外部負電源30を電源電圧よりも高電位の電圧とすることで、同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施例6において、電源線6に、複数の電源電圧が供給するための切替手段(SW)を設け、駆動TFT4がp型の薄膜トランジスタのときは、電源電圧が、Vdd1の電圧から、Vdd1より低いVdd2の電圧へ切り替わったとき、外部電源をVr1からより低電位のVr2の電圧へ切り替えることで実施例4と同様の効果を得ることができる。
また、駆動TFT4がn型の薄膜トランジスタのときは、外部電源をVr1からより高電位のVr3の電圧へ切り替えることで実施例4と同様の効果を得ることができる。
また、前述の各実施例において、ステップ信号発生部29、レベル可変ステップ信号発生部31、外部負電源30は、低温多結晶シリコン薄膜トランジスタ回路で構成され、ガラス基板上に形成されているが、ステップ信号発生部29、レベル可変ステップ信号発生部31、外部負電源30は、信号駆動部9内に形成するようにしてもよい。
さらに、ステップ信号発生部29、レベル可変ステップ信号発生部31、外部負電源30は、本体コンピュータ側などの外部から入力するようにしてよい。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1の有機EL表示装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例1の有機EL表示装置のタイミングチャートを示す図である。
【図3】本発明の実施例2の有機EL表示装置の全体構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例2の有機EL表示装置のタイミングチャートを示す図である。
【図5】本発明の実施例3の有機EL表示装置の全体構成を示す図である。
【図6】本発明の実施例3の有機EL表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施例4の有機EL表示装置の全体構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例4の有機EL表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施例5の有機EL表示装置の1画素の等価回路を示す回路図である。
【図10】本発明の実施例5の有機EL表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】本発明の実施例6の有機EL表示装置の全体構成を示す図である。
【図12】本発明の実施例6の有機EL表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】薄膜トランジスタのヒステリシス特性を示す図である。
【図14】ヒステリシスを持つ薄膜トランジスタのゲート電圧とドレイン電流との関係を示す図である。
【図15】従来の表示異常時の駆動薄膜トランジスタの特性を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 画素
2 有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)
3 記憶容量
4 p型薄膜トランジスタ(駆動TFT)
5 リセットスイッチ素子
6 電源線
7 リセット線
8 ゲート駆動部
9 信号駆動部
10 信号入力線
11 信号線選択スイッチ素子
12 信号線
13 三角波選択スイッチ素子
14 ステップ信号選択スイッチ素子
15 ステップ信号入力線
16 三角波入力線
17 ステップ信号選択スイッチ制御線
18 三角波選択スイッチ制御線
19 信号線選択スイッチ制御線
20 点灯制御スイッチ素子
21 点灯スイッチ線
22 リファレンススイッチ素子
23 リファレンス電圧線
25 リファレンス線
26 プリチャージスイッチ素子
27 プリチャージ線
28 外部負電圧入力線
29 ステップ信号発生部
30 外部負電源
31 レベル可変ステップ信号発生部
32 プリチャージ信号選択線
40 走査出力線
41 点灯制御線
42 オア回路
SW 切替手段
G ゲート電極
GI ゲート絶縁膜
CAP キャリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ自発光素子を有する複数の画素と、
前記各画素に画像信号を入力する複数の信号線と、
前記各信号線に前記画像信号を供給する駆動回路と、
前記各信号線にステップ信号を供給するステップ信号生成回路とを備え、
前記各画素は、前記画像信号に基づき前記自発光素子を駆動する駆動トランジスタと、
前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記駆動トランジスタの制御電極との間に接続される容量素子と、
前記駆動トランジスタの制御電極と第2電極との間に接続されるリセットスイッチ素子とを有し、
前記駆動トランジスタの第1電極は、第1電源電圧に接続され、
前記自発光素子の他端は、第2電源電圧に接続される画像表示装置であって、
1フレーム期間内に、設定期間と、前記設定期間に連続し前記各画素に前記画像信号を書き込む書込期間とを有し、
前記設定期間の前半の期間に、前記全画素の前記リセットスイッチ素子をオンとして、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極を所定の電圧に収束させ、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に第1電圧レベルのステップ信号を供給し、
前記設定期間の後半の期間に、前記全画素の前記リセットスイッチ素子をオフし、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に前記第1信号レベルとは異なる第2電圧レベルのステップ信号を供給して、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に特性値設定用電圧として、前記第2電源電圧を越える電圧、あるいは、前記信号駆動部から供給される電圧範囲を越える電圧を入力することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記各画素は、前記駆動トランジスタの第2電極と前記自発光素子の一端との間に接続される点灯制御スイッチ素子を有し、
前記設定期間の前半の期間に、前記全画素の前記リセットスイッチ素子と前記点灯制御スイッチ素子をオンとして、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極を所定の電圧に収束させ、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に第1電圧レベルのステップ信号を供給し、
前記設定期間の後半の期間に、前記全画素の前記リセットスイッチ素子と前記点灯制御スイッチ素子をオフし、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に前記第2電圧レベルのステップ信号を供給して、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に前記特性値設定用電圧を入力することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記各画素の前記駆動トランジスタの第2電極は、前記自発光素子の一端に接続され、
前記各画素の前記駆動トランジスタの前記第1電極には、点灯制御スイッチ素子を介して前記第1電源電圧が供給され、
前記設定期間の前半の期間に、前記全画素の前記リセットスイッチ素子と前記点灯制御スイッチ素子をオンとして、前記全画素の前記駆動トランジスタのゲート電極を所定の電圧に収束させ、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に第1電圧レベルのステップ信号を供給し、
前記設定期間の後半の期間に、前記全画素の前記リセットスイッチ素子と前記点灯制御スイッチ素子をオフし、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に前記第2電圧レベルのステップ信号を供給して、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に前記特性値設定用電圧を入力することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記各画素は、前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記自発光素子の一端との間に接続されるプリチャージスイッチ素子を有し、
前記書込期間は、各表示ライン単位に、前記各画素にプリチャージ電圧を順次入力するプリチャージ期間と、前記各画素に画像信号を順次入力する画像信号書込期間とを有し、
前記プリチャージ期間に、前記各画素の前記プリチャージスイッチ素子と前記リセットスイッチ素子とをオンとして、前記信号駆動部から前記各信号線に前記プリチャージ電圧を供給して、前記各画素の前記駆動トランジスタの制御電極に前記プリチャージ電圧を入力することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記各画素は、前記駆動トランジスタの第2電極と前記自発光素子の一端との間に接続される点灯制御スイッチ素子を有し、
前記プリチャージ期間に、前記各画素の前記プリチャージスイッチ素子と、前記点灯制御スイッチ素子と、前記リセットスイッチ素子とをオンとして、前記信号駆動部から前記各信号線に前記プリチャージ電圧を供給して、前記各画素の前記駆動トランジスタの制御電極に前記プリチャージ電圧を入力することを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記ステップ信号生成回路は、前記ステップ信号の前記1電圧レベルと前記第2電圧レベルのいずれか一方の電圧レベルと、前記ステップ信号の前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルのステップ幅を変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記駆動トランジスタは、p型の電界効果トランジスタであり、
前記自発光素子のカソード電極は、前記第2電源電圧に接続され、
前記ステップ信号は、前記第1電圧レベルがHighレベル、前記第2電圧レベルがLowレベルであり、
前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に入力される特性値設定用電圧は、前記第2電源電圧よりも低電位の電圧、あるいは、前記信号駆動部から供給される電圧範囲の中で最も低電位の電圧よりも低電位の電圧であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記駆動トランジスタは、n型の電界効果トランジスタであり、
前記自発光素子のアノード電極は、前記第2電源電圧に接続され、
前記ステップ信号は、前記第1電圧レベルがLowレベル、前記第2電圧レベルがHighレベルであり、
前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に入力される特性値設定用電圧は、前記第2電源電圧よりも高電位の電圧、あるいは、前記信号駆動部から供給される電圧範囲の中で最も高電位の電圧よりも高電位の電圧であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
それぞれ自発光素子を有する複数の画素と、
前記各画素に画像信号を入力する複数の信号線と、
前記各画素にリファレンス電圧を入力する複数のリファレンス線と、
前記各信号線に前記画像信号を供給する駆動回路と、
前記各信号線にステップ信号を供給するステップ信号生成回路とを備え、
前記各画素は、前記画像信号に基づき前記自発光素子を駆動する駆動トランジスタと、
前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記駆動トランジスタの制御電極との間に接続される容量素子と、
前記複数のリファレンス電圧線の中の対応するリファレンス電圧線と前記駆動トランジスタの制御電極との間に接続されるリファレンススイッチ素子とを有し、
前記駆動トランジスタの第1電極は、第1電源電圧に接続され、
前記自発光素子の他端は、第2電源電圧に接続される画像表示装置であって、
1フレーム期間内に、設定期間と、前記設定期間に連続し前記各画素に前記画像信号を書き込む書込期間とを有し、
前記設定期間の前半の期間に、前記全画素の前記リファレンススイッチ素子をオンとして、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に所定の電圧を入力し、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に第1電圧レベルのステップ信号を供給し、
前記設定期間の後半の期間に、前記全画素の前記リファレンススイッチ素子をオフし、かつ、前記ステップ信号生成回路から前記各信号線に前記第1信号レベルとは異なる第2電圧レベルのステップ信号を供給して、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に特性値設定用電圧として、前記第2電源電圧を越える電圧、あるいは、前記信号駆動部から供給される電圧範囲を越える電圧を入力することを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
前記ステップ信号生成回路は、前記ステップ信号の前記1電圧レベルと前記第2電圧レベルのいずれか一方の電圧レベルと、前記ステップ信号の前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルのステップ幅を変更可能であることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記各画素は、前記駆動トランジスタの制御電極と第2電極との間に接続されるリセットスイッチ素子と、
前記駆動トランジスタの第2電極と前記自発光素子の一端との間に接続される点灯制御スイッチ素子とを有することを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記リセットスイッチ素子と前記点灯制御スイッチ素子とは、前記設定期間にオフとされることを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記駆動トランジスタは、p型の電界効果トランジスタであり、
前記自発光素子のカソード電極は、前記第2電源電圧に接続され、
前記ステップ信号は、前記第1電圧レベルがHighレベル、前記第2電圧レベルがLowレベルであり、
前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に入力される特性値設定用電圧は、前記第2電源電圧よりも低電位の電圧、あるいは、前記信号駆動部から供給される電圧範囲の中で最も低電位の電圧よりも低電位の電圧であることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記駆動トランジスタは、n型の電界効果トランジスタであり、
前記自発光素子のアノード電極は、前記第2電源電圧に接続され、
前記ステップ信号は、前記第1電圧レベルがLowレベル、前記第2電圧レベルがHighレベルであり、
前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に入力される特性値設定用電圧は、前記第2電源電圧よりも高電位の電圧、あるいは、前記信号駆動部から供給される電圧範囲の中で最も高電位の電圧よりも高電位の電圧であることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項15】
それぞれ自発光素子を有する複数の画素と、
前記各画素に画像信号を入力する複数の信号線と、
前記各信号線に前記画像信号を供給する駆動回路とを備え、
前記各画素は、前記画像信号に基づき前記自発光素子を駆動する駆動トランジスタと、
前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記駆動トランジスタの制御電極との間に接続される容量素子とを有し、
前記駆動トランジスタは、p型の電界効果トランジスタであり、
前記駆動トランジスタの第1電極は、第1電源電圧に接続され、
前記自発光素子のカソード電極は、第2電源電圧に接続される画像表示装置であって、
1フレーム期間内に、設定期間と、前記設定期間に連続し前記各画素に前記画像信号を書き込む書込期間とを有し、
電源回路と、
複数の電圧入力線とを有し、
前記各画素は、前記複数の電圧入力線の中の対応する電圧入力線と前記自発光素子の一端との間に接続されるリファレンススイッチ素子を有し、
前記設定期間に、前記全画素の前記リファレンススイッチ素子をオンとして、前記電源回路から前記各電圧入力線に前記第2電源電圧よりも低電位の電圧を供給することにより、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に特性値設定用電圧として、前記第2電源電圧よりも低電位の電圧を入力することを特徴とする画像表示装置。
【請求項16】
前記信号線は、前記電圧入力線を兼用し、
前記各画素の前記リファレンススイッチ素子は、前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記自発光素子の一端との間に接続されることを特徴とする請求項15に記載の画像表示装置。
【請求項17】
前記各画素は、前記駆動トランジスタの制御電極と第2電極との間に接続されるリセットスイッチ素子と、
前記駆動トランジスタの第2電極と前記自発光素子の一端との間に接続される点灯制御スイッチ素子とを有することを特徴とする請求項15に記載の画像表示装置。
【請求項18】
それぞれ自発光素子を有する複数の画素と、
前記各画素に画像信号を入力する複数の信号線と、
前記各信号線に前記画像信号を供給する駆動回路とを備え、
前記各画素は、前記画像信号に基づき前記自発光素子を駆動する駆動トランジスタと、
前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記駆動トランジスタの制御電極との間に接続される容量素子とを有し、
前記駆動トランジスタは、n型の電界効果トランジスタであり、
前記駆動トランジスタの第1電極は、第1電源電圧に接続され、
前記自発光素子のアノード電極は、第2電源電圧に接続される画像表示装置であって、
1フレーム期間内に、設定期間と、前記設定期間に連続し前記各画素に前記画像信号を書き込む書込期間とを有し、
電源回路と、
複数の電圧入力線とを有し、
前記各画素は、前記複数の電圧入力線の中の対応する電圧入力線と前記自発光素子の一端との間に接続されるリファレンススイッチ素子を有し、
前記設定期間に、前記全画素の前記リファレンススイッチ素子をオンとして、前記電源回路から前記各電圧入力線に前記第2電源電圧よりも高電位の電圧を供給することにより、前記全画素の前記駆動トランジスタの制御電極に特性値設定用電圧として、前記第2電源電圧よりも高電位の電圧を入力することを特徴とする画像表示装置。
【請求項19】
前記信号線は、前記電圧入力線を兼用し、
前記各画素の前記リファレンススイッチ素子は、前記複数の信号線の中の対応する信号線と前記自発光素子の一端との間に接続されることを特徴とする請求項18に記載の画像表示装置。
【請求項20】
前記各画素は、前記駆動トランジスタの制御電極と第2電極との間に接続されるリセットスイッチ素子と、
前記駆動トランジスタの第2電極と前記自発光素子の一端との間に接続される点灯制御スイッチ素子とを有することを特徴とする請求項18に記載の画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−300592(P2009−300592A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152942(P2008−152942)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】