説明

画像表示装置

【課題】エンターテイメント性に優れた新規な画像表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一つのプロジェクターと、前記少なくとも一つのプロジェクターから投影された画像において、第1の円偏光からなる第1の画像及び前記第1の円偏光と向きが異なる第2の円偏光からなる第2の画像を得るための少なくとも一つの円偏光フィルタと、前記第1の円偏光及び前記第2の円偏光を維持した状態で、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示する、画像表示体とを具え、観察者が裸眼の場合において、前記観察者は前記画像表示体上に表示された前記第1の画像及び前記第2の画像の合成画像を観察し、前記観察者が前記第1の円偏光又は前記第2の円偏光を透過する偏光板からなる眼鏡を使用した際に、前記第1の画像又は前記第2の画像を観察するように、画像表示装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種イベント、会議および研究発表の場などで、多数の視聴者に所定のコンテンツに関する画像を拡大して見せるときに、画像の拡大表示に適したプロジェクターと、スクリーンとを用いた画像表示装置が広く用いられてきている。
【0003】
この種の画像表示装置としては、明るくかつ鮮明な画像を投映できることが求められることから、外乱光の影響を無くして画像のコントラストを良くするために、画像表示を行う度に、照明の消灯および窓のカーテン等により、部屋全体を暗くするようにしている。しかしながら、画像表示の度に、消灯したり、窓のカーテンを引いたりすることは、煩雑な作業であるとともに、視聴者の画像観察の集中度を低下させるという問題がある。
【0004】
かかる問題に鑑みて、プロジェクターから投影された偏光画像が表示されるスクリーン上に、偏光画像の振動面に平行な透過軸方向をもつ偏光フィルタを貼り付けた構成とし、入射される外乱光を偏光フィルタで減光して外乱光の影響を減らすと共に、偏光画像を減光することなく拡大表示するような技術が開発されている。
【0005】
しかしながら、このような従来の画像表示装置においては、1つのスクリーン上において1つの平面画像を投影できるのみである。したがって、特に各種イベントにおいて、イベントの概要や製品の特徴等を、画像表示を利用して説明する際に、来客者に対して、コンテンツ以上のものを付与できるものではなく、来客者に対して特に強いインパクトを与えることができない。
【0006】
このため、来客者が当該イベントの内容等に特別に興味を持っている場合は別として、前記イベントの内容等にさほど大きな関心を有しない来客者は、前記イベントの内容を何ら知らないままに、そのまま数通りしてしまう場合がある。
【0007】
このような観点から、画像表示においてもエンターテイメント性を持たせ、コンテンツに興味のある来客者のみでなく、当初はコンテンツにさほど魅力を感じていない来客者に対しても強いインパクトを与え、当該コンテンツに触れてもらい、何らかの興味を持ってもらうことができるような、エンターテイメント性に富んだ、新規な画像表示装置の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−265094号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、エンターテイメント性に優れた新規な画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
少なくとも一つのプロジェクターと、
前記少なくとも一つのプロジェクターから投影された画像において、第1の円偏光からなる第1の画像及び前記第1の円偏光と向きが異なる第2の円偏光からなる第2の画像を得るための少なくとも一つの円偏光フィルタと、
前記第1の円偏光及び前記第2の円偏光を維持した状態で、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示する、画像表示体とを具え、
観察者が裸眼の場合において、前記観察者は前記画像表示体上に表示された前記第1の画像及び前記第2の画像の合成画像を観察し、
前記観察者が前記第1の円偏光又は前記第2の円偏光を透過する偏光板からなる眼鏡を使用した際に、前記第1の画像又は前記第2の画像を観察するように構成したことを特徴とする、画像表示装置に関する。
【0011】
本発明によれば、画像表示体上に、第1の円偏光からなる第1の画像及び第2の円偏光からなる合成画像を投影し、表示するようにしているので、観察者が、裸眼で画像表示体を観察した場合においては、上記合成画像をそのまま見ることができ、例えば第1の円偏光を透過する偏光板からなる眼鏡を用い、この眼鏡を介して画像表示体を見た場合においては、上記合成画像を構成し、眼鏡と同じ円偏光を有する第1の画像のみを見ることができる。したがって、観察者は、眼鏡の使用の有無によって、上記画像表示体上、すなわち同一の画像表示体の同一箇所で、合成画像及び第1の画像の2種類の画像を見ることができる。
【0012】
また、観察者が、第2の円偏光を透過する偏光板からなる眼鏡を用いた場合は、第2の画像を見ることができる。したがって、この場合において、観察者は、眼鏡の使用の有無によって、上記画像表示体上、すなわち同一の画像表示体の同一箇所で、合成画像及び第2の画像の2種類の画像を見ることができる。したがって、エンターテイメント性に優れた画像表示装置を提供することができる。
【0013】
前者の場合、観察者は眼鏡を用いた場合において第1の画像を観察することができるが、眼鏡を用いない場合においては第1の画像を観察することはできず、合成画像のみを観察することができるので、第2の画像は第1の画像に対していわゆるマスク画像として機能する。この場合、第1の画像はいわゆる隠し画像を構成する。
【0014】
また、後者の場合、観察者は眼鏡を用いた場合において第2の画像を観察することができるが、眼鏡を用いない場合においては第2の画像を観察することはできず、合成画像のみを観察することができるので、第1の画像は第2の画像に対していわゆるマスク画像として機能する。この場合、第2の画像はいわゆる隠し画像を構成する。
【0015】
なお、いずれの場合においても、合成画像は裸眼で観察することができるので、いわゆる裸眼画像を構成する。
【0016】
上述のように、隠し画像及びマスク画像を構成する第1の画像及び第2の画像は、上記プロジェクターの後方において設けられた画像生成装置において所定の演算処理を行うことによって得る。詳細については後に説明する。
【0017】
本発明の一態様において、上記合成画像は、前記第1の画像及び前記第2の画像が互いに相殺されてなる白色画像とすることができる。この場合、観察者は、一見、何らの画像も表示されていない画像表示体上に、上述のような眼鏡を介して観察することにより、突如として第1の画像又は第2の画像からなる隠し画像を見ることになるので、非日常的な驚きと楽しみとを見出すことができ、上記画像表示装置のエンターテイメント性をより楽しむことができる。
【0018】
また、本発明の一態様においては、前記合成画像は、二次元的な画像情報を有する平面画像とすることができる。この場合、観察者は、所定の平面画像が表示された画像表示体上において、上述のような眼鏡を介して観察することにより、突如として第1の画像又は第2の画像からなる隠し画像を見ることになるので、非日常的な驚きと楽しみとを見出すことができ、上記画像表示装置のエンターテイメント性をより楽しむことができる。
【0019】
なお、上述した画像はプロジェクターから投影されたものであるので、一般的には、2次元的な画像、いわゆる平面画像である。一方、画像表示体は、第1の画像及び第2の画像の偏光状態を維持することができれば、スクリーン等の平面的な形態であってもよいし、3次元的な構造物であってもよい。
【0020】
また、上述したいずれの画像も、静止画像とすることもできるし、動画像とすることもできる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、エンターテイメント性に優れた新規な画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態の画像表示装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す画像表示装置において、隠し画像及びマスク画像を生成するためのシステム構成図である。
【図3】第2の実施形態の画像表示装置を示す概略構成図である。
【図4】図3に示す画像表示装置において、隠し画像及びマスク画像を生成するためのシステム構成図である。
【図5】第2の実施形態の画像表示装置における、隠し画像及びマスク画像に対する円偏光フィルタの切替動作の具体例を説明するための図である。
【図6】第2の実施形態の画像表示装置における、隠し画像及びマスク画像に対する円偏光フィルタの切替動作の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、実施形態に基づいて説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の画像表示装置を示す概略構成図であり、図2は、図1に示す画像表示装置において、第1の画像及び第2の画像、すなわち隠し画像及びマスク画像を生成するためのシステム構成図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の画像表示装置10は、第1のプロジェクター11及び第2のプロジェクター12と、第1のプロジェクター11の画像投影方向の前方において配置された第1の円偏光フィルタ13及び第2のプロジェクター12の画像投影方向の前方において配置された第2の円偏光フィルタ14と、これら円偏光フィルタに対し、画像投影方向の前方に配置された画像表示体としてのスクリーン17とを有している。
【0026】
なお、第1のプロジェクター11及び第2のプロジェクター12は、これらプロジェクターから投影される画像をスクリーン17上で合成させるために、互いに平行ではなく所定の角度をなすようにして配置されている。すなわち、スクリーン17側に向けて互いに傾斜するようにして配置されている。このように、本実施形態の画像表示装置10は、重ね打ち方式の画像表示装置を構成している。
【0027】
また、図2に示すように、第1のプロジェクター11及び第2のプロジェクター12の、画像投影方向の後方側には画像生成装置18が配置されている。画像生成装置18には、例えば展示コンテンツプログラム181及び画像生成部182が内蔵されている。
【0028】
第1のプロジェクター11及び第2のプロジェクター12は、DLP式のプロジェクターを用いる。液晶式のプロジェクターを用いた場合は、フレーム切替を十分に行うことができない。
【0029】
次に、図1及び図2に示す画像表示装置10を用いた画像表示方法について説明する。なお、以下では、第1のプロジェクター11から隠し画像Aを投影し、第2のプロジェクター12からマスク画像Cを投影する場合について説明する。但し、当然に両者を逆転することもできる。また、第1の円偏光フィルタ13は左円偏光フィルタとして機能し、第2の円偏光フィルタ14は右円偏光フィルタとして機能するものとする。但し、当然に両者を逆転することもできる。
【0030】
最初に、図2に示すように、画像生成装置18の展示コンテンツプログラム181より、隠し画像A及び裸眼画像Bを抽出し、画像生成部182へ送信する。マスク画像Cは、隠し画像Aのネガポジ反転画像として得ることができるので、画像生成部182では、例えば隠し画像Aの画像情報(信号)をPa、裸眼画像Bの画像情報(信号)をPbとした場合に、マスク画像Cの画像情報(信号)Pcは、Pc=Pb−Paとして得ることができる。
【0031】
なお、隠し画像Aは、観察者が所定の円偏光板からなる眼鏡を介して観察した場合に見ることができる画像であり、裸眼画像Bは、観察者が上記眼鏡を介さずに直接観察した場合に見ることができる画像である。マスク画像Cは、裸眼画像B中に含まれる隠し画像Aを、上記眼鏡を介して見ることができるという観点より、いわゆる隠し画像Aをマスクして隠す機能を有する画像として定義することができる。
【0032】
隠し画像A及びマスク画像Cは表裏一体であって、観察者が上記円偏光板と偏光の向きが異なる円偏光板の眼鏡を介して観察した場合は、マスク画像Cが観察されることになるので、マスク画像Cは隠し画像Cとなり、隠し画像Aはマスク画像Aとなる。
【0033】
次に、隠し画像A及び画像生成手段182で生成されたマスク画像Cは、それぞれ第1のプロジェクター11及び第2のプロジェクター12に送信される。その後、第1のプロジェクター11からは隠し画像Aが投影され、第1の円偏光フィルタ13を介して隠し画像Aの内の左円偏光のみが透過してスクリーン17上に表示されるようになる。一方、第2のプロジェクター12からはマスク画像Cが投影され、第2の円偏光フィルタ14を介してマスク画像Cの右円偏光のみが透過してスクリーン17上に表示されるようになる。
【0034】
この結果、スクリーン17上には、隠し画像A及びマスク画像Cの合成画像、すなわち裸眼画像Bが表示されることになる。
【0035】
したがって、観察者Pは、裸眼においてはスクリーン17上の裸眼画像Bを直接見ることができ、第1の円偏光フィルタ13と同じ左円偏光のみを透過する円偏光板からなる眼鏡19を介した場合は、スクリーン17上に表示された裸眼画像Bの内、同じ左円偏光である隠し画像Aのみを見ることができるようになる。また、形状は眼鏡に限らず、下敷きや円偏光フィルタであってもよい。
【0036】
結果として、観察者Pは、眼鏡19の使用の有無によって、スクリーン17上に表示された裸眼画像B及び隠し画像Aを見ることができる。したがって、画像表示装置10に対して優れたエンターテイメント性を付与することができる。
【0037】
なお、裸眼画像Bは白色画像とすることができる。この場合、観察者Pは、一見、何らの画像も表示されていないスクリーン17上に、上述のような眼鏡を介して観察することにより、突如として隠し画像Aを見ることになるので、非日常的な驚きと楽しみとを見出すことができ、画像表示装置10のエンターテイメント性をより楽しむことができる。この場合、上述した式中のPbには、何らの画像情報をも付加しないようにする。
【0038】
また、裸眼画像Bは、所定の二次元的な画像情報を有する平面画像とすることができる。この場合、観察者Pは、所定の平面画像が表示されたスクリーン17上において、眼鏡19を介して観察することにより、突如として隠し画像Aを見ることになるので、非日常的な驚きと楽しみとを見出すことができ、画像表示装置10のエンターテイメント性をより楽しむことができる。
【0039】
また、上述したいずれの画像も、静止画像とすることもできるし、動画像とすることもできる。
【0040】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態の画像表示装置を示す概略構成図であり、図4は、図3に示す画像表示装置において、第1の画像及び第2の画像、すなわち隠し画像及びマスク画像を生成するためのシステム構成図である。
【0041】
図3に示すように、本実施形態の画像表示装置20は、単一のプロジェクター21と、このプロジェクター21の画像投影方向の前方において配置された単一の円偏光フィルタ23と、これら円偏光フィルタに対し、画像投影方向の前方に配置された画像表示体としてのスクリーン27とを有している。また、円偏光フィルタ23とスクリーン27との間には光センサ25が配置されている。なお、円偏光フィルタ23は、電圧の印加によって偏光状態、すなわち右円偏光及び左円偏光の切替が可能な液晶素子等、公知の円偏光切替素子から構成することができる。
【0042】
また、図4に示すように、プロジェクター21の、画像投影方向の後方側には画像生成装置28及び制御装置29が順次に配置されている。画像生成装置28には、第1の実施形態と同様に、例えば展示コンテンツプログラム281及び画像生成部282が内蔵されている。制御装置29には、画像生成装置28から送信されたフレーム信号を検出するためのフレーム信号検出部291及び制御回路部292が内蔵されている。
【0043】
プロジェクター21は、第1の実施形態の場合と同様に、DLP式のプロジェクターを用いる。本実施形態においても、液晶式のプロジェクターを用いた場合は、フレーム切替を十分に行うことができない。
【0044】
次に、図3及び図4に示す画像表示装置20を用いた画像表示方法について説明する。
最初に、図4に示すように、画像生成装置28の展示コンテンツプログラム281より、隠し画像A及び裸眼画像Bを抽出し、画像生成部182へ送信する。画像生成部182では、隠し画像Aに対するマスク画像Cを、第1の実施形態と同様に、隠し画像Aのネガポジ反転画像とし、例えば隠し画像Aの画像情報(信号)をPa、裸眼画像Bの画像情報(信号)をPbとした場合に、マスク画像Cの画像情報(信号)Pcを、Pc=Pb−Paとして得る。
【0045】
次に、画像生成部182からは、フレーム信号とともに隠し画像A(隠し画像信号)及びマスク画像C(マスク画像信号)がプロジェクター21に送信される。すなわち、隠し画像A(隠し画像信号)又はマスク画像C(マスク画像信号)がフレーム毎にプロジェクター21に送信される。なお、フレーム信号は、例えば60〜120フレーム/秒とすることができる。
【0046】
一方、制御装置29のフレーム信号検出部291において上記フレーム信号が検出され、制御回路部292に送信される。さらに、画像生成部182からフレーム識別信号が制御回路部292に送信される。
【0047】
なお、制御回路部292からは、受信したフレーム識別信号に応じて、円偏光フィルタ23の円偏光の状態、すなわち左円偏光及び右円偏光を切り替えるための偏光切替制御信号が送信される。
【0048】
したがって、プロジェクター21からは、フレーム信号のフレーム毎に隠し画像A又はマスク画像Cが投影されるとともに、円偏光フィルタ23ではフレームにおける隠し画像A又はマスク画像Cに応じて高速で円偏光状態の切替を行う。
【0049】
例えば、奇数番目のフレームに隠し画像Aを重畳し、偶数番目のフレームにマスク画像Cを重畳した場合を考える。そして、円偏光フィルタ23の切替によって奇数番目のフレームにおける隠し画像Aに対しては、円偏光フィルタ23を右偏光フィルタとして作用させて隠し画像Aの右偏光のみを透過させ、偶数番目のフレームにおけるマスク画像Cに対しては、円偏光フィルタ23を左偏光フィルタとして作用させてマスク画像Cの左偏光のみを透過させるようにする。
【0050】
この場合、スクリーン27上には、右偏光の隠し画像A及び左偏光のマスク画像Cが時間的に重ね合わせて表示されることになるので、スクリーン27上にはこれらの合成画像、すなわち裸眼画像Bが表示されることになる。このため、観察者Pが裸眼でスクリーン27を観察した場合は、裸眼画像Bを観察することになり(図5参照)、観察者Pが右円偏光板からなる眼鏡19をかけてスクリーン27を観察した場合は、隠し画像Aを観察することになる(図6参照)。
【0051】
結果として、観察者Pは、眼鏡19の使用の有無によって、スクリーン27上に表示された裸眼画像B及び隠し画像Aを見ることができるようになる。したがって、画像表示装置20に対して優れたエンターテイメント性を付与することができる。
【0052】
但し、上述した隠し画像A及びマスク画像Cの重畳方法はあくまで一例であって、必要に応じて適宜に設定することができる。例えば、フレームを2個づつのグループに分け、最初のグループにおける2つのフレームには隠し画像Aを重畳し、次のグループにおける2つのフレームにはマスク画像Cを重畳するようにしてもよい。この場合、円偏光フィルタ23の切替は、フレームの各グループを一単位として行う。
【0053】
なお、本実施形態においても、裸眼画像Bは白色画像とすることができる。この場合、観察者は、一見、何らの画像も表示されていないスクリーン27上に、上述のような眼鏡を介して観察することにより、突如として隠し画像Aを見ることになるので、非日常的な驚きと楽しみとを見出すことができ、画像表示装20のエンターテイメント性をより楽しむことができる。
【0054】
また、裸眼画像Bは、所定の二次元的な画像情報を有する平面画像とすることができる。この場合、観察者Pは、所定の平面画像が表示されたスクリーン27上において、眼鏡19を介して観察することにより、突如として隠し画像Aを見ることになるので、非日常的な驚きと楽しみとを見出すことができ、画像表示装置20のエンターテイメント性をより楽しむことができる。
【0055】
なお、上述したいずれの画像も、静止画像とすることもできるし、動画像とすることもできる。
【0056】
本実施形態では、制御装置29の制御回路部292において、プロジェクター21が上記画像信号を受信した後、スクリーン27に向けて隠し画像A及びマスク画像Cを投影するまでに要する遅延と、円偏光フィルタ23における円偏光の切替とを同期させることができる。これによって、プロジェクター21からの隠し画像A及びマスク画像Cの投影と、これら画像に対する円偏光の切替とのタイミングを合致させることができ、スクリーン27上に十分な解像度の裸眼画像Bを表示することができ、十分な解像度の隠し画像Aを得ることができる。
【0057】
具体的には、制御回路部292が、フレーム信号検出部291を介してフレーム信号を受信した時間と、光センサ25においてプロジェクター21から投影された画像を検知した際に生成される画像検知信号を受信した際の時間との差分(遅延)を得、制御回路部292が上記フレーム信号を受信した後、上記遅延に相当する時間が経過した後に上記偏光切替制御信号を送信することによって達成することができる。
【0058】
また、本実施形態における画像表示装置20は、単一のプロジェクターを用いて画像を投影するようにしているので、上述したスクリーン27のような平面状の画像表示体のみでなく、立体物においても上述した裸眼画像Bを表示することができるとともに観察することができ、これによって隠し画像Aをも観察することができる。
【0059】
但し、画像表示体は、投影される隠し画像A及びマスク画像Cの偏光状態を保持する表面処理、塗装、材質表面を有するものに限定される。例えば、シルバースクリーン、シルバー粉体塗装を施した立体物、アルミ粉末を含有した塗料を塗布した立体物、アルミ複合板、及び光沢が抑えられた表面処理が施された金属等を挙げることができる。また、対象物の色についてはシルバー色が適しているが、その他の色についても投影可能である。形状については、円柱状、平面形状を持つ立体物(壁面、床面等)、球面、自由曲面等のあらゆる形状に対応が可能である。
【0060】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10,20 画像表示装置
11,第1のプロジェクター
12 第2のプロジェクター
13 第1の円偏光フィルタ
14 第2の円偏光フィルタ
17,27 スクリーン
18,28 画像生成装置
181,281 展示プログラムコンテンツ
182,282 画像生成部
19 円偏光板からなる眼鏡
21 プロジェクター
23 円偏光フィルタ
25 光センサ
29 制御装置
291 フレーム信号検出部
292 制御回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロジェクターと、
前記少なくとも一つのプロジェクターから投影された画像において、第1の円偏光からなる第1の画像及び前記第1の円偏光と向きが異なる第2の円偏光からなる第2の画像を得るための少なくとも一つの円偏光フィルタと、
前記第1の円偏光及び前記第2の円偏光を維持した状態で、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示する、画像表示体とを具え、
観察者が裸眼の場合において、前記観察者は前記画像表示体上に表示された前記第1の画像及び前記第2の画像の合成画像を観察し、
前記観察者が前記第1の円偏光又は前記第2の円偏光を透過する偏光板からなる眼鏡を使用した際に、前記第1の画像又は前記第2の画像を観察するように構成したことを特徴とする、画像表示装置。
【請求項2】
前記第1の画像又は前記第2の画像を、前記第2の画像又は前記第1の画像に対するマスク画像として構成し、前記第2の画像又は前記第1の画像を前記マスク画像に対する隠し画像として構成する画像生成装置を具え、
前記観察者は、前記眼鏡を使用した際に前記隠し画像を観察することを特徴とする、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記合成画像は、前記第1の画像及び前記第2の画像が互いに相殺されて、白色画像として構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記合成画像は、二次元的な画像情報を有する平面画像であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つのプロジェクターは第1のプロジェクター及び第2のプロジェクターであり、前記少なくとも一つの円偏光フィルタは、前記第1のプロジェクターの画像投影方向の前方に配置される第1の円偏光フィルタ及び前記第2のプロジェクターの画像投影方向の前方に配置される第2の円偏光フィルタであって、
前記第1の円偏光フィルタは前記第1のプロジェクターから投影される画像の、前記第1の円偏光を透過させて前記第1の画像を得、前記第2の円偏光フィルタは前記第2のプロジェクターから投影される画像の、前記第2の円偏光を透過させて前記第2の画像を得ることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つのプロジェクターは単一のプロジェクターであり、前記少なくとも一つの円偏光フィルタは単一の円偏光フィルタであって、
前記単一の円偏光フィルタにおいて透過させるべき前記第1の円偏光及び前記第2の円偏光の切り替えを制御するための偏光切替制御信号を生成し、この偏光切替制御信号を前記単一の円偏光フィルタへ送信するための偏光切替手段を具えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記画像生成装置はフレーム信号を生成し、前記第1の画像に関する第1の画像信号及び前記第2の画像に関する第2の画像信号は、前記フレーム信号の、それぞれ異なるフレームに重畳されて、前記単一のプロジェクターに送信されることを特徴とする、請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記偏光切替手段は、前記偏光切替制御信号を、前記フレーム信号の前記フレームに重畳された、前記第1の画像及び前記第2の画像それぞれに対応させて前記単一の円偏光フィルタへ送信することを特徴とする、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記単一のプロジェクターが所定の画像信号を受信した後、前記画像表示体に向けて前記第1の画像及びは前記第2の画像を投影するまでの遅延と、前記単一の円偏光フィルタにおける前記第1の円偏光及び前記第2の円偏光の切り替えとを同期させるための遅延/偏光切替同期手段を具えることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記遅延は、前記単一のプロジェクターと前記画像表示体との間に設けられた光センサによる、前記第1の画像又は前記第2の画像の検出に基づいて計測することを特徴とする、請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つのプロジェクターはDLP式プロジェクターであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−81216(P2011−81216A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233897(P2009−233897)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】