説明

画像表示装置

【課題】超音波を発生させる音源位置を特定して可視化でき、音源位置の特定精度の低下を抑制した画像表示装置を提供する。
【解決手段】第1のマイクロフォン群M1、M2及び第2のマイクロフォン群M3、M4で検出した超音波の伝搬速度の補正温度を設定する補正温度設定手段と、第1のマイクロフォン群への超音波の到達時間差及び補正温度に基づき、第1の方向に対する音源への角度を算出すると共に、第2のマイクロフォン群への超音波の到達時間差及び補正温度に基づき、第2の方向に対する音源への角度を算出し、第1及び第2の方向に対する角度から音源位置を算出する音源位置算出手段と、音源位置算出手段で算出した音源位置と、音源位置に対応させて表示領域に表示する撮像画像内における表示位置とを相関付けする相関手段と、相関手段で音源位置と相関付けされた表示位置に、音源位置の識別画像を表示する制御を行う表示制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示手段の表示領域に、音源の位置を識別する画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1において、5つのマイクロフォンを用い、各マイクロフォン間の音の到達時間差に基づいて音源の位置を推定すると共に、推定された音源位置近傍の映像をカメラで採取し、ディスプレイに表示された前記音源位置近傍の映像上に、音源位置を表示する音源探査システムに関する技術を開示した。
【0003】
本技術によれば、例えば、工場内等の所定の箇所に音源探査システムを設置して、定期的に音源の位置の測定を行うことにより、トランスやモータ等の機器故障に伴って故障音を発する音源を特定できる。これにより機器の異常を効率的に発見できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−111183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の音源探査システムで、2つのマイクロフォンを水平方向に所定の間隔をおいて一対にした上で二対のマイクロフォンを同一平面に直交配置する場合には、各マイクロフォンの外形寸法に制約されて前記所定の間隔を狭めることに限度があった。一般に故障音を発する音源の位置を推定するためには、前記所定の間隔は音源から発生する音の半波長よりも短くすることが望ましいことから、前記間隔を狭めることが制限されると、機器故障に伴って波長が短い超音波を発する音源を特定できないという問題があった。
【0006】
さらに、5つのマイクロフォンを用いて音源の位置を推定する場合には、音源の位置を計算するために用いる音の情報が多くなる。これに伴って音源の位置を特定するために要する時間が長くなることから、当該時間を短縮したいという要望がある。そこで計算に用いる音の情報を少なくすることも考えられるが、多くの情報を用いて音源の位置を計算するよりも、音源の位置を特定する精度が低下するおそれもあった。
【0007】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、超音波を発生させる音源の位置を特定して該音源の位置を可視化できると共に、音源の位置を特定する精度の低下を抑制した画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る画像表示装置は、カメラによって撮像した撮像画像を表示領域に表示する表示手段と、第1の方向での配置間隔を音源が発する超音波の半波長未満にした一対の超音波マイクロフォンからなる第1のマイクロフォン群と、前記第1の方向に交差する第2の方向での配置間隔を前記半波長未満にした他の一対の超音波マイクロフォンからなる第2のマイクロフォン群と、前記第1のマイクロフォン群及び前記第2のマイクロフォン群によって検出した前記超音波の伝搬速度を補正する補正温度を設定する補正温度設定手段と、前記一対の超音波マイクロフォン同士を結ぶ直線と前記他の一対のマイクロフォン同士を結ぶ直線との交点を原点として、前記超音波が前記第1のマイクロフォン群に到達する時間差及び前記補正温度設定手段によって設定した前記補正温度に基づいて、前記原点から前記第1の方向に対する前記音源への角度を算出すると共に、前記超音波が前記第2のマイクロフォン群に到達する時間差及び前記補正温度に基づいて、前記原点から前記第2の方向に対する前記音源への角度を算出して、前記第1の方向及び前記第2の方向に対する前記角度から前記音源の位置を算出する音源位置算出手段と、前記音源位置算出手段によって算出した前記音源の位置と、該音源の位置に対応させて前記表示領域に表示する前記撮像画像内における表示位置とを相関付けする相関手段と、前記相関手段によって前記音源の位置と相関付けされた前記表示位置に、前記音源の位置を識別する画像を表示する制御を行う表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記第1の方向に対する前記音源への角度を、水平方向に対する前記音源への水平角とし、前記第2の方向に対する前記音源への角度を、垂直方向に対する前記音源への垂直角として、前記音源位置算出手段は、前記水平角と前記垂直角とから前記音源の位置を算出することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2において、前記音源位置算出手段は、式(1)及び式(2)によって前記水平角を、式(2)及び式(3)によって前記垂直角をそれぞれ算出することを特徴とする。
θ=sin−1{(D12×c)/L}・・・(1)
c=334+0.6t・・・(2)
φ=sin−1{(D34×c)/L}・・・(3)
なおθは前記水平角であり、φは前記垂直角である。またD12は前記超音波が前記第1のマイクロフォン群に到達する時間差であり、D34は前記超音波が前記第2のマイクロフォン群に到達する時間差である。さらにcは前記超音波の伝搬速度であり、tは前記補正温度である。さらにLは、前記水平方向での前記一対の超音波マイクロフォンの前記配置間隔及び前記垂直方向での前記他の一対の超音波マイクロフォンの前記配置間隔である。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記補正温度設定手段は、前記補正温度として任意の温度を設定可能にしたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項2ないし4のいずれかにおいて、前記相関手段は、前記水平方向における前記カメラの撮像可能範囲と、前記水平方向における前記表示領域の寸法との比と、前記垂直方向における前記カメラの撮像可能範囲と、前記垂直方向における前記表示領域の寸法との比と、から前記音源の位置と前記表示位置とを相関付けすることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、カメラによって撮像した撮像画像を表示領域に表示する表示手段と、第1の方向での配置間隔を音源が発する超音波の半波長未満にした一対の超音波マイクロフォンからなる第1のマイクロフォン群と、前記第1の方向に交差する第2の方向での配置間隔を前記半波長未満にした他の一対の超音波マイクロフォンからなる第2のマイクロフォン群と、前記第1のマイクロフォン群及び前記第2のマイクロフォン群によって検出した前記超音波の伝搬速度を補正する補正温度を設定する補正温度設定手段と、前記一対の超音波マイクロフォン同士を結ぶ直線と前記他の一対のマイクロフォン同士を結ぶ直線との交点を原点として、前記超音波が前記第1及び前記第2のマイクロフォン群にそれぞれ到達する時間差に基づいて、前記原点からの距離を前記配置間隔の半分とする極座標系における前記原点から前記音源への水平角を算出すると共に、前記超音波が前記第1及び前記第2のマイクロフォン群にそれぞれ到達する時間差と、前記補正温度設定手段によって設定した前記補正温度とに基づいて、前記極座標系における前記原点から前記音源への垂直角を算出して、前記水平角及び前記垂直角から前記音源の位置を算出する音源位置算出手段と、前記音源位置算出手段によって算出した前記音源の位置と、該音源の位置に対応させて前記表示領域に表示する前記撮像画像内における表示位置とを相関付けする相関手段と、前記相関手段によって前記音源の位置と相関付けされた前記表示位置に、前記音源の位置を識別する画像を表示する制御を行う表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6において、前記音源位置算出手段は、式(4)によって前記極座標系における前記水平角を、式(5)及び式(6)によって前記極座標系における前記垂直角をそれぞれ算出することを特徴とする。
θ1=tan−1(D12/D34)[°]・・・(4)
φ1=sin−1{[√(D12+D34)]×c/L}[°]・・・(5)
c=334+0.6t[m/s]・・・(6)
なおθ1は前記極座標系における前記水平角であり、φ1は前記極座標系における前記垂直角である。またD12は前記超音波が前記第1のマイクロフォン群に到達する時間差であり、D34は前記超音波が前記第2のマイクロフォン群に到達する時間差である。さらにcは前記超音波の伝搬速度であり、tは前記補正温度である。さらにLは、前記第1の方向での前記一対の超音波マイクロフォンの前記配置間隔及び前記第2の方向での前記他の一対の超音波マイクロフォンの前記配置間隔である。
【0015】
請求項8の発明は、請求項6又は7において、前記補正温度設定手段は、前記補正温度として任意の温度を設定可能にしたことを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項6ないし8のいずれかにおいて、前記第1の方向は水平方向であり、前記第2の方向は垂直方向であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1及び請求項6の発明に係る画像表示装置によれば、第1及び第2の方向での配置間隔を超音波の半波長未満にした第1及び第2のマイクロフォン群が超音波の到来方向を検出可能として、音源位置算出手段は、第1及び第2のマイクロフォン群に到達する超音波の時間差に基づいて超音波を発する音源の位置を算出することで、該音源の位置を特定できる。さらに表示制御手段により、音源の位置を画像に置き換えることができる。よって、画像を通じて音源の位置を可視化できる。
また、補正温度によって、温度の影響を受ける超音波の伝搬速度を一定の範囲に収束させることができる。このため、従来のような5つのマイクロフォンよりも少ない4つのマイクロフォンで音源の位置を算出するために超音波を検出した場合であっても、音源位置算出手段が一定の範囲に収束させた超音波の伝搬速度を用いて音源の位置を算出することで、音源の位置を特定する精度が低下することを抑制できる。
請求項2の発明によれば、二次元の空間内で水平角と垂直角とに対応した音源の位置を容易に特定できる。
請求項3の発明によれば、音源位置算出手段は、比較的簡単な計算式を用いるだけで前記水平角及び前記垂直角を容易に算出できる。
請求項4及び請求項8の発明によれば、補正温度設定手段を操作することで、補正温度を適宜に調整することが可能になる。
請求項5の発明によれば、カメラの規格に合わせて水平方向及び垂直方向における撮像可能範囲を、表示領域の規格に合わせて前記水平方向及び前記垂直方向における表示領域の寸法をそれぞれ一定の値に定めることができる。このため、両方向における撮像可能範囲と該両方向における表示領域の寸法との比を一定の値に定めることができる。よって、相関手段は、一定の値に応じて、音源の位置と、表示領域の両方向における該音源の位置に対応する表示位置とを容易に相関付けることができる。
請求項7の発明によれば、音源位置算出手段は、第1のマイクロフォン群に到達する超音波の時間差と第2のマイクロフォン群に到達する超音波の時間差との二乗和平方根に基づいて極座標系における垂直角を求めることで、前記垂直角に各時間差の値のばらつきが累積される度合いを抑制できる。その結果、前記垂直角に基づいて音源位置算出手段が算出する音源の位置の特定精度を向上させることが可能になる。
請求項9の発明によれば、水平方向に配置された第1のマイクロフォン群と、垂直方向に配置された第2のマイクロフォン群とによって、両マイクロフォン群と向き合う両マイクロフォン群の前方に位置する音源が発する超音波の到来方向を検出し易くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1の画像表示装置の概略構成図である。
【図2】同画像表示装置を構成するパーソナルコンピュータの概略ブロック図である。
【図3】同画像表示装置が実行する処理に関するフローチャートである。
【図4】同画像表示装置が実行する音源位置特定処理の第1説明図である。
【図5】その第2説明図である。
【図6】ディスプレイに図形画像が表示された状態を示す図である。
【図7】同画像表示装置が実行する画像表示座標変換処理の説明図である。
【図8】実施形態2の画像表示装置が実行する音源位置特定処理の第1説明図である。
【図9】その第2説明図である。
【図10】その第3説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図7を参照しつつ説明する。本実施形態の画像表示装置1は、測定ユニット10と、増幅器20と、バンドパスフィルタ30と、A/D変換器40と、パーソナルコンピュータ50と、ビデオ入出力ユニット60と、ディスプレイ70とを備えている。
【0020】
図1に示すように、測定ユニット10は、支持部材15A〜15Cと、基台16と、CCDカメラ17と、載置固定台18と、マイクロフォン支持台19と、超音波マイクロフォンM1〜M4とを備えている。基台16は、支持部材15A〜15Cの上部に配置されている。載置固定台18は、カメラ支持部材によって基台16上に支持されている。カメラ支持部材にはCCDカメラ17が前方に向けられた状態で固定されている。マイクロフォン支持台19には、超音波マイクロフォンM1〜M4が取り付けられている。ここでは、超音波マイクロフォンM1〜M4は全指向性のものを使用した。マイクロフォン支持台19は、超音波マイクロフォンM1〜M4を前方に向けた状態で載置固定台18に固着されている。
【0021】
測定ユニット10では、超音波マイクロフォンM1及び超音波マイクロフォンM2によって一対の超音波マイクロフォンを構成する。本実施形態の各マイクロフォンM1、M2には、一例として外径寸法が約5mmのものを用いた。両マイクロフォンM1、M2の水平間隔は、検出しようとする超音波の半波長未満に保たれている。ここでは、一例として前記水平間隔を0.7cmとして22.5kHzの音波の半波長(約0.8cm)未満にした。なお、前記水平間隔は本発明の第1の方向での配置間隔の一例であり、一対の超音波マイクロフォンM1、M2は本発明の第1のマイクロフォン群の一例である。また22.5kHzの音波は本発明の超音波の一例である。
【0022】
さらに、超音波マイクロフォンM3及び超音波マイクロフォンM4によって他の一対の超音波マイクロフォンを構成する。各マイクロフォンM3、M4の外径寸法は両マイクロフォンM1、M2の外径寸法と同じである。両マイクロフォンM3、M4は、両マイクロフォンM1、M2を結ぶ水平線を2等分する位置で交差する垂直線上に垂直間隔を保って配置されている。この垂直間隔は上記の水平間隔(0.7cm)と同じ間隔にした。なお、前記垂直間隔は本発明の第2の方向での配置間隔の一例であり、他の一対の超音波マイクロフォンM3、M4は本発明の第2のマイクロフォン群の一例である。
【0023】
各マイクロフォンM1〜M4は増幅器20に接続されている。増幅器20は、各マイクロフォンM1〜M4から送信された音波信号を増幅する。増幅器20はバンドパスフィルタ30に接続されている。バンドパスフィルタ30によって、フィルタを通過する周波数の帯域が制限される。バンドパスフィルタ30は、A/D変換器40に接続されている。A/D変換器40は、前記音波信号(アナログ信号)をディジタル信号に変換する。ディジタル信号は、パーソナルコンピュータ50に送信される。
【0024】
CCDカメラ17はビデオ入出力ユニット60に接続されている。ビデオ入出力ユニット60は、CCDカメラ17から送信された撮像信号(アナログ信号)をディジタル信号に変換する。ビデオ入出力ユニット60によって、ディジタル信号(撮像信号)はパーソナルコンピュータ50に送信される。パーソナルコンピュータ50はディスプレイ70に接続されている。符号71A、71Bは、ディスプレイ70の表示領域である。なお、ディスプレイ70は本発明の表示手段の一例である。
【0025】
図2は、パーソナルコンピュータ50の概略ブロック図である。パーソナルコンピュータ50は、キーボード51と、演算処理部52と、記憶部53とを備えている。
【0026】
キーボード51は、演算処理部52に接続されている。キーボード51は、超音波マイクロフォンの数、超音波マイクロフォンM1と超音波マイクロフォンM2との水平間隔(ここでは0.7cm)、超音波マイクロフォンM3と超音波マイクロフォンM4との垂直間隔(同0.7cm)、バンドパスフィルタ30を通過させる周波数の設定値等を入力するために用いられる。加えて本実施形態では、画像表示装置1の操作者が、キーボード51を操作して、音源から発せられた音の伝搬速度を補正するための測定ユニット10の周囲温度値、後述する水平角度θや垂直角度φの算出間隔を入力する。ここでは操作者が、キーボード51を操作して、温度計で測定した前記周囲温度値(例えば20℃)を任意に入力したり、水平角度θや垂直角度φの算出間隔(例えば30回/秒)を入力することとした。なお、キーボード51は本発明の補正温度設定手段の一例であり、測定ユニット10の周囲温度は本発明の補正温度の一例である。
【0027】
演算処理部52は、記憶部53及びディスプレイ70にそれぞれ接続されている。記憶部53は、ディジタル信号(音波信号)演算処理プログラム記憶部53Aと、表示画像データ選択処理プログラム記憶部53Bと、画像表示制御プログラム記憶部53Cと、データ記憶部53Dとを備えている。ディジタル信号(音波信号)演算処理プログラム記憶部53Aには、図3に示す後述の周波数分析処理(S4)、音源位置特定処理(S5)、画像表示座標変換処理(S6)等を実行するプログラムが記憶されている。表示画像データ選択処理プログラム記憶部53Bには、後述する表示画像データ選択処理(S7)を実行するプログラムが記憶されている。画像表示制御プログラム記憶部53Cには、後述する初期画面表示処理(S2)、画像表示処理(S8)を実行するプログラムが記憶されている。
【0028】
データ記憶部53Dには、CCDカメラ17からの撮像信号に応じて表示領域71Aに表示されるCCDカメラ17の撮像画像の画像データや、周波数分析処理(S4)、音源位置特定処理(S5)、画像表示座標変換処理(S6)によって算出された各データ等が記憶されている。データ記憶部53Dには、周波数分析処理(S4)によって抽出した選定周波数データに対応付けて、互いに異なる種類の図形画像の画像データが記憶されている。本実施形態ではこの図形画像として、互いに色が異なり大きさが同じ円形の画像を用いた。
【0029】
演算処理部52は、後に詳述するように、例えば機器の故障音を含む音が発生したことに起因して、データ記憶部53Dから、円形の画像データやCCDカメラ17の撮像画像の画像データを読み出す。その後演算処理部52は、円形の画像データに基づいて、表示領域71A、71Bに表示する表示画像の画像信号を生成する。続いて演算処理部52は、生成した画像信号や撮像画像の画像データに関する撮像信号をディスプレイ70に送信して表示領域71Aに、撮像画像に重ねて故障音を含む音が発せられる音源の位置を識別する画像(円形の画像)を表示する。
【0030】
次に、演算処理部52が各表示領域71A、71Bに音源の位置を識別する画像を表示する処理について説明する。画像表示装置1の電源が投入されると演算処理部52は、図3に示すように、初期設定処理(S1)と、初期画面表示処理(S2)と、入力信号取得処理(S3)と、周波数分析処理(S4)と、音源位置特定処理(S5)と、画像表示座標変換処理(S6)と、表示画像データ選択処理(S7)と、画像表示処理(S8)とをそれぞれ実行する。
【0031】
初期設定処理(S1)では、キーボード51によって入力された超音波マイクロフォンの数(ここでは4個)、前記水平間隔や前記垂直間隔(いずれも0.7cm)、バンドパスフィルタ30を通過させる周波数の設定値、周囲温度値、水平角度θや垂直角度φの算出間隔(30回/秒)、各表示領域71A、71Bの横寸法X1、X2や縦寸法Y1、Y2(図6参照。)の値等に関するデータをデータ記憶部53Dに記憶する処理を実行する。
【0032】
演算処理部52は、初期設定処理(S1)の後に初期画面表示処理(S2)を実行する。初期画像表示処理(S2)では、画像表示制御プログラム記憶部53Cに記憶されたプログラムを実行することにより初期画像として、各表示領域71A、71Bに、音源の位置を特定する処理を開始することを報知する報知画像を表示する処理を実行する。
【0033】
演算処理部52は、初期画面表示処理(S2)の後に入力信号取得処理(S3)を実行する。入力信号取得処理(S3)では、音源から発せられた音の音波信号(音圧レベル)、CCDカメラ17からの撮像信号を取得する処理をそれぞれ実行する。ここでは、超音波マイクロフォンM1〜M4によって検出された音波信号及び前記撮像信号が、図2に示すように、ディジタル信号として演算処理部52に入力される。その後演算処理部52は、音波信号及び撮像信号をデータ記憶部53Dにそれぞれ記憶させる処理を実行する。
【0034】
演算処理部52は、入力信号取得処理(S3)の後に周波数分析処理(S4)を実行する。周波数分析処理(S4)では、ディジタル信号(音波信号)演算処理プログラム記憶部53Aに記憶されたプログラムを用い、入力信号取得処理(S3)によって取得された音波信号の音圧レベルを分析し、選定周波数として該音圧レベルが最大値を示す周波数を抽出する処理を実行する。その後周波数分析処理(S4)では、選定周波数のデータをデータ記憶部53Dに記憶する処理を実行する。
【0035】
演算処理部52は、周波数分析処理(S4)の後に音源位置特定処理(S5)を実行する。音源位置特定処理(S5)では、ディジタル信号(音波信号)演算処理プログラム記憶部53Aに記憶されたプログラムを用い以下に説明する手法によって、上記の選定周波数毎に、一対の超音波マイクロフォンM1、M2の原点位置0(図4参照。)から水平方向(図4中の左右方向)に対する音源の位置への水平角度θ(図4参照。)を算出する処理を実行する。この水平角度θのデータは、データ記憶部53Dに記憶される。前記原点位置0は、超音波マイクロフォンM1と超音波マイクロフォンM2とを結ぶ水平線を2等分する点と、超音波マイクロフォンM3と超音波マイクロフォンM4とを結ぶ垂直線を2等分する点とが重なる位置である。また図4中に二点鎖線の矢印で示した方向は、音源から発せられた音の伝搬方向である。
【0036】
水平角度θの値は、超音波マイクロフォンM1と超音波マイクロフォンM2との水平間隔、音源から発せられた音が一対の前記マイクロフォンM1、M2に到達する時間差、該音の伝搬経路の温度によって変化する。水平角度θは、下記の式(1)、式(2)を用いて算出される。なおD12は、一対の前記マイクロフォンM1、M2における音の到達時間差であり、cは音の伝搬速度である。Lは、前記マイクロフォンM1と前記マイクロフォンM2との水平間隔であり、tは音の伝搬経路の温度である。
θ=sin−1{(D12×c)/L}[°]・・・(1)
c=334+0.6t[m/s]・・・(2)
【0037】
加えて音源位置特定処理(S5)では、超音波マイクロフォンM3と超音波マイクロフォンM4とを用いることにより、式(2)及び下記の式(3)で垂直角度φ(図5参照。)が算出されて、垂直角度φのデータがデータ記憶部53Dに記憶される。この垂直角度φは、原点位置0(図4、図5参照。)から垂直方向(図5中の上下方向)に対する音源の位置への角度を意味する。なおD34は、一対の前記マイクロフォンM3、M4における音の到達時間差であり、cは音の伝搬速度である。Lは、前記マイクロフォンM3と前記マイクロフォンM4との垂直間隔である。
φ=sin−1{(D34×c)/L}[°]・・・(3)
【0038】
本実施形態では演算処理部52は、音源位置特定処理(S5)によって水平角度θや垂直角度φを算出する際に、式(2)中の温度tとして、データ記憶部53Dに記憶されている測定ユニット10の周囲温度のデータを用いた。音源位置特定処理(S5)では、ディジタル信号(音波信号)演算処理プログラム記憶部53Aに記憶されたプログラムを用い、一例として30回/秒の間隔で連続して水平角度θや垂直角度φを算出する。なお、演算処理部52は本発明の音源位置算出手段の一例である。
【0039】
演算処理部52は、音源位置特定処理(S5)の後に画像表示座標変換処理(S6)を実行する。画像表示座標変換処理(S6)では、音源の位置を、各表示領域71A、71Bの表示位置に相関付けするための処理を実行する。ここでは図6に示すように、表示領域71Aの横寸法X1及び表示領域71Bの横寸法X2を水平角度θと対応付けし、音源の位置に対応する各表示領域71A、71Bの表示位置のX座標を算出する。
【0040】
具体例として、CCDカメラ17の水平画角(ここでは120°)と、各表示領域71A、71Bの横寸法X1、X2との比αに基づいて、音源の位置に対応する各表示領域71A、71Bの表示位置のX座標を算出する。以下に一例として図7を用い、αの値が0.6の場合に前記表示位置を算出する方法を説明する。
【0041】
音源位置特定処理(S5)によって算出した水平角度θが25°の場合には、水平角度θの値とαの値との乗算結果は15mmとなる。これにより、音源の位置P1に対応する各表示領域71A、71Bの横方向における表示位置(X座標)は、各表示領域71A、71Bの中心点から右方へ15mm離れた位置P3に決定される。その後、画像表示座標変換処理(S6)では、位置P3のデータをデータ記憶部53Dに記憶する処理を実行する。なお、演算処理部52は本発明の相関手段の一例であり、CCDカメラ17の水平画角は、本発明の水平方向におけるカメラの撮像可能範囲の一例であり、各表示領域71A、71Bの横寸法X1、X2は、本発明の水平方向における表示領域の寸法の一例である。
【0042】
加えて画像表示座標変換処理(S6)では、表示領域71Aの縦寸法Y1を垂直角度φと対応付けし、音源の位置P1に対応する表示領域71Aの表示位置のY座標を算出する。具体例として、上記の各横寸法X1、X2と比αとに基づいて位置P1に対応する各表示領域71A、71Bの表示位置(X座標)を算出する場合と同様に、CCDカメラ17の垂直画角(ここでは70°)と、表示領域71Aの縦寸法Y1との比βに基づいて、音源の位置P1に対応する各表示領域71Aの表示位置(Y座標)を算出する。その後、比α、βを用いた計算結果から、二次元空間に当たる表示領域71Aでの縦横方向における位置P1に対応する表示位置(X座標、Y座標)が決定される。なお、CCDカメラ17の垂直画角は、本発明の垂直方向におけるカメラの撮像可能範囲の一例であり、表示領域71Aの縦寸法Y1は、本発明の垂直方向における表示領域の寸法の一例である。
【0043】
さらに画像表示座標変換処理(S6)では、上述した音源の位置P1を表示領域71Aの縦横方向における表示位置(X座標、Y座標)に相関付けするための処理に加え、音源が発する音の周波数の値と、該周波数毎に色を異ならせた円形の画像の表示位置(表示領域71BのY座標)とを相関付けするための処理を実行する。ここでは、表示領域71Bの縦寸法Y2に合わせ、該表示領域71Bの縦方向における最下点から最上点に向けて1000Hzから22.5kHzの周波数に対応する周波数表示位置を算出する。この周波数表示位置のデータはデータ記憶部53Dに記憶される。
【0044】
演算処理部52は、画像表示座標変換処理(S6)の後に表示画像データ選択処理(S7)を実行する。表示画像データ選択処理(S7)では、周波数分析処理(S4)によってデータ記憶部53Dに記憶された選定周波数のデータに応じ、予めデータ記憶部53Dに記憶された円形の画像データを選択する処理を実行する。
【0045】
表示画像データ選択処理(S7)では、演算処理部52が、表示画像データ選択処理プログラム記憶部53Bに記憶されたプログラムを実行し、例えば選定周波数のデータとしてデータ記憶部53Dに22kHzが記憶されていると判断した場合には、該データ記憶部53Dから赤色の円形の画像データを選択する。赤色の円形の画像データは、各表示領域71A、71Bに、赤色の円形画像Z1(図6参照。)を表示するために用いられる。表示画像データ選択処理(S7)では、選定周波数が異なることに応じ、データ記憶部53Dから互いに異なる色の円形の画像データを選択する。互いに異なる色の円形の画像データは、互いに異なる色の円形画像Z1、Z2(図6参照。)等を各表示領域71A、71Bに表示するために用いられる。
【0046】
続いて演算処理部52は、表示画像データ選択処理(S7)の後に画像表示処理(S8)を実行する。画像表示処理(S8)では、画像表示制御プログラム記憶部53Cに記憶されたプログラムを実行して以下に説明するように、表示画像データ選択処理(S7)によって選択された円形の画像データに基づいて、画像表示座標変換処理(S6)によって決定された各表示領域71A、71Bの横方向における表示位置(X座標)、表示領域71Aの縦方向における表示位置(Y座標)、表示領域71Bの周波数表示位置(Y座標)に、各種の円形画像Z1、Z2等をそれぞれ表示する処理を実行する。
【0047】
具体的には、図7に示す位置P1において、上記の選定周波数を含む機器の故障音が発生している場合には、画像表示処理(S8)では、データ記憶部53Dから該選定周波数(ここでは故障音の周波数である22kHz)に対応付けられた画像データ(ここでは赤色の円形の画像データ)を読み出す。その後、赤色の円形の画像データに基づいて、水平角度θや垂直角度φの算出間隔(ここでは30回/秒)に合わせて1秒あたり画面を30回書き換えて、位置P3(図7参照。)に対応させた各表示領域71A、71Bの表示位置(X座標、Y座標)に赤色の円形画像Z1(図6参照。)を表示する。画像表示処理(S8)では、各表示領域71A、71Bの表示位置(X座標、Y座標)に赤色の円形画像Z1を表示する場合と同様に、音源の位置及び選定周波数に対応させて、各表示領域71A、71Bに円形画像Z2等を表示する。なお、演算処理部52は本発明の表示制御手段の一例である。
【0048】
演算処理部52は、画像表示処理(S8)の後にリセット処理がされたか否かを判断する(S9)。ここでは、操作者がキーボード51を操作して、リセット動作を指示するキーが押された否かを判断する。
【0049】
S9において演算処理部52が、リセット動作を指示するキーが押されておらずリセット処理がされていないと判断した場合には、入力信号取得処理(S3)に戻る。一方S9において、演算処理部52が、リセット動作を指示するキーが押されてリセット処理がされたと判断した場合には、各記憶部53A〜53Cに記憶されたプログラムの実行を継続するか否かを判断する(S10)。
【0050】
S10において演算処理部52が、操作者がキーボード51を操作してプログラムの実行を継続することを選択したと判断した場合には、初期設定処理(S1)に戻る。一方S10において、演算処理部52が、操作者がキーボード51を操作してプログラムの実行を中止することを選択したと判断した場合には、上述した各処理等(S1〜S10)を終了する。
【0051】
<実施形態1の効果>
本実施形態の画像表示装置1では、超音波マイクロフォンM1と超音波マイクロフォンM2との水平間隔を検出しようとする超音波の半波長未満にした一対の超音波マイクロフォンや、超音波マイクロフォンM3と超音波マイクロフォンM4との垂直間隔を前記水平間隔と同じ間隔にした他の一対の超音波マイクロフォンで、超音波の到来方向を検出可能とした。これに加えて演算処理部52は、音源位置特定処理(S5)において式(1)〜(3)を用いることにより、一対の超音波マイクロフォンM1、M2における超音波の到達時間差D12や、他の一対の超音波マイクロフォンM3、M4における超音波の到達時間差D34に基づいて、超音波(例えば22kHzの音波)を発する音源の位置P1等を算出することで、前記位置P1を特定できる。
さらに、演算処理部52は、画像表示処理(S8)において、音源の位置P1等を円形画像Z1等に置き換えることができる。よって、各種の円形画像Z1等を通じて前記位置P1等を可視化できる。
その上、演算処理部52が、音源位置特定処理(S5)において、水平角度θや垂直角度φを算出するときに、式(2)中の温度tに測定ユニット10の周囲温度のデータを用いると、周囲温度のデータが温度の影響を受ける超音波の伝搬速度を一定の範囲に収束させることができる。このため、従来のような5つのマイクロフォンよりも1つ少ない4つの超音波マイクロフォンM1〜M4で音源から発せられた超音波信号を取得した場合でも、一定の範囲に収束させた超音波の伝搬速度を用いることで、音源の位置P1等を特定する精度が低下することを抑制できる。
【0052】
また演算処理部52は、音源位置特定処理(S5)において算出された水平角度θと垂直角度φとに対応させて音源の位置P1等を特定するため、二次元の空間内で前記水平角度θと前記垂直角度φとに対応した音源の位置を容易に特定できる。
【0053】
さらに演算処理部52は、比較的簡単な計算式(1)〜(3)を用いるだけで水平角度θや垂直角度φを容易に算出できる。これに加えて、操作者がキーボード51を操作することで、水平角度θや垂直角度φの算出時に使用する測定ユニット10の周囲温度値を適宜に調整することが可能になる。
【0054】
さらに加えて、CCDカメラ17の規格に合わせて該CCDカメラ17の水平画角及び垂直画角を、各表示領域71A、71Bの規格に合わせて横寸法X1、X2や縦寸法Y1をそれぞれ一定の値に定めることができる。このため、水平画角と各横寸法X1、X2とのそれぞれの比αを一定の値に定めたり、垂直画角と縦寸法Y1との比βを一定の値に定めることができる。よって、演算処理部52は、画像表示座標変換処理(S6)において、一定の値に定められた比αに応じて、音源の位置P1等と、各表示領域71A、71Bの横方向における前記位置P1等に対応する表示位置(X座標)とを容易に相関付けることができる。これと共に、前記画像表示座標変換処理(S6)において、一定の値に定められた比βに応じて、音源の位置P1等と、表示領域71Aの縦方向における前記位置P1等に対応する表示位置(Y座標)とを容易に相関付けることができる。
【0055】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を、図8ないし図10を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。本実施形態の画像表示装置1Aでは演算処理部52が、図3に示す初期設定処理(S1)において、キーボード51によって入力された後述の極座標系の水平角度θ1や垂直角度φ1の算出間隔(例えば30回/秒)に関するデータ等をデータ記憶部53Dに記憶する処理を実行する。
【0056】
演算処理部52は、図3に示す音源位置特定処理(S5)において、ディジタル信号(音波信号)演算処理プログラム記憶部53Aに記憶されたプログラムを用い以下に説明する手法によって選定周波数毎に、原点位置0からの距離を前記水平間隔Lや前記垂直間隔L(いずれも0.7cm)の半分(L/2)とする極座標系(図8参照。)における前記原点位置0から音源の位置への水平角度θ1(図8及び図9参照。)を算出する処理を実行する。この水平角度θ1のデータはデータ記憶部53Dに記憶される。
【0057】
水平角度θ1は下記の式(4)を用いて算出される。なお、D12は、一対の超音波マイクロフォンM1、M2における音の到達時間差であり、D34は、一対の超音波マイクロフォンM3、M4における音の到達時間差である。
θ1=tan−1(D12/D34)[°]・・・(4)
【0058】
加えて演算処理部52は、音源位置特定処理(S5)において、下記の式(5)及び式(6)を用いて極座標系(図8参照。)における原点位置0から音源の位置への垂直角度φ1(図8及び図10参照。)を算出して、垂直角度φ1のデータをデータ記憶部53Dに記憶する処理を実行する。本実施形態では、図8に示す極座標系の球面が原点位置0からの距離を同じくすることから、図10に示すように便宜的に前記球面上に対して仮想マイクMを配置することで垂直角度φ1を算出できると考えた。なお、cは音の伝搬速度、Lは前記水平間隔及び前記垂直間隔、tは音の伝搬経路の温度である。
φ1=sin−1{[√(D12+D34)]×c/L}[°]・・・(5)
c=334+0.6t[m/s]・・・(6)
【0059】
続いて演算処理部52は、音源位置特定処理(S5)において公知の極座標系と直交座標系との間の変換式を用い、極座標系の水平角度θ1及び垂直角度φ1を、実施形態1と同様の直交座標系の水平角度及び垂直角度に変換する処理を実行する。
【0060】
さらに演算処理部52は、画像表示座標変換処理(S6)において、表示領域71Aの横寸法X1及び表示領域71Bの横寸法X2を、直交座標系の水平角度と対応付けし、実施形態1と同様に、音源の位置に対応する各表示領域71A、71Bの表示位置のX座標を算出する。さらに加えて演算処理部52は、画像表示座標変換処理(S6)において、表示領域71Aの縦寸法Y1を直交座標系の垂直角度と対応付けし、実施形態1と同様に、音源の位置に対応する表示領域71Aの表示位置のY座標を算出する。これらに加えて演算処理部52は、表示領域71Bの縦寸法Y2に合わせて、音源が発する音の周波数の値に対応する表示領域71Bの表示位置のY座標(周波数表示位置)を算出する。
【0061】
その後演算処理部52は、実施形態1と同様に、各表示領域71A、71Bの横方向における表示位置(X座標)、表示領域71Aの縦方向における表示位置(Y座標)、表示領域71Bの周波数表示位置(Y座標)に応じて、各種の円形画像Z1、Z2等をそれぞれ表示する処理を実行する。
【0062】
<実施形態2の効果>
本実施形態の画像表示装置1Aでは演算処理部52が、式(5)及び式(6)を用い、極座標系の垂直角度φ1を、一対の超音波マイクロフォンM1、M2における超音波の到達時間差D12と他の一対の超音波マイクロフォンM3、M4における超音波の到達時間差D34との二乗和平方根に基づいて算出した。これにより、演算処理部52が例えば30回/秒の間隔で連続して算出する各垂直角度φ1に各到達時間差D12、D34の値のばらつきが累積される度合いを抑制できる。その結果、各垂直角度φ1に基づいて演算処理部52が算出する音源の位置(直交座標系の水平角度及び垂直角度)の特定精度を向上させることが可能になる。
【0063】
また本実施形態では、一対の超音波マイクロフォンM1、M2を水平方向に間隔を保って配置し、他の一対の超音波マイクロフォンM3、M4を前記水平方向と交差する垂直方向に間隔を保って配置した。これにより、二対の超音波マイクロフォンM1〜M4が、各超音波マイクロフォンM1〜M4と向き合う各超音波マイクロフォンM1〜M4の前方に位置する音源が発する超音波の到来方向を検出し易くなる。
【0064】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。例えば上述した実施形態とは異なり、各表示領域71A、71Bに、円形画像に代えて三角や四角等の画像を表示したり、入力信号取得処理(S4)によって取得された音波信号の音圧レベルの違いに応じ、演算処理部52が、大きさが異なる円形画像等を各表示領域71A、71Bに表示するようにしてもよい。さらにディスプレイ70に各表示領域71A、71B以外の表示領域を追加して設けて、例えば追加した表示領域に、音源が発する音波の音圧レベルを表示してもよい。加えて上述した実施形態とは異なり、表示領域71Aを拡大させることでCCDカメラの撮像画像や円形画像を見易くした上で、表示領域71Bに代えて前記音圧レベルを表示する領域を設けてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態とは異なり、CCDカメラ17を上向きに配置すると共に超音波マイクロフォンM1〜M4を上に向けた状態でマイクロフォン支持台19を載置固定台18に固着させて、架空送電線路の碍子の割れに伴って発生する超音波信号等を、各マイクロフォンM1〜M4で検出するようにしてもよい。さらに、超音波マイクロフォンM1と超音波マイクロフォンM2との水平間隔や超音波マイクロフォンM3と超音波マイクロフォンM4との垂直間隔は、0.7cmに設定することに限らず、検出しようとする故障音の周波数に応じて適宜の値に変更してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1、1A・・画像表示装置、17・・CCDカメラ、51・・キーボード、52・・演算処理部、70・・ディスプレイ、71A、71B・・表示領域、M1、M2・・一対の超音波マイクロフォン、M3、M4・・他の一対の超音波マイクロフォン、X1、X2・・表示領域の横寸法、Y1、Y2・・表示領域の縦寸法、θ・・一対の超音波マイクロフォンの原点位置から水平方向に対する音源の位置への角度、φ・・他の一対の超音波マイクロフォンの原点位置から垂直方向に対する音源の位置への角度、θ1・・極座標系における原点位置から音源への水平角度、φ1・・極座標系における原点位置から音源への垂直角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラによって撮像した撮像画像を表示領域に表示する表示手段と、
第1の方向での配置間隔を音源が発する超音波の半波長未満にした一対の超音波マイクロフォンからなる第1のマイクロフォン群と、
前記第1の方向に交差する第2の方向での配置間隔を前記半波長未満にした他の一対の超音波マイクロフォンからなる第2のマイクロフォン群と、
前記第1のマイクロフォン群及び前記第2のマイクロフォン群によって検出した前記超音波の伝搬速度を補正する補正温度を設定する補正温度設定手段と、
前記一対の超音波マイクロフォン同士を結ぶ直線と前記他の一対のマイクロフォン同士を結ぶ直線との交点を原点として、前記超音波が前記第1のマイクロフォン群に到達する時間差及び前記補正温度設定手段によって設定した前記補正温度に基づいて、前記原点から前記第1の方向に対する前記音源への角度を算出すると共に、前記超音波が前記第2のマイクロフォン群に到達する時間差及び前記補正温度に基づいて、前記原点から前記第2の方向に対する前記音源への角度を算出して、前記第1の方向及び前記第2の方向に対する前記角度から前記音源の位置を算出する音源位置算出手段と、
前記音源位置算出手段によって算出した前記音源の位置と、該音源の位置に対応させて前記表示領域に表示する前記撮像画像内における表示位置とを相関付けする相関手段と、
前記相関手段によって前記音源の位置と相関付けされた前記表示位置に、前記音源の位置を識別する画像を表示する制御を行う表示制御手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記第1の方向に対する前記音源への角度を、水平方向に対する前記音源への水平角とし、前記第2の方向に対する前記音源への角度を、垂直方向に対する前記音源への垂直角として、
前記音源位置算出手段は、前記水平角と前記垂直角とから前記音源の位置を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記音源位置算出手段は、式(1)及び式(2)によって前記水平角を、式(2)及び式(3)によって前記垂直角をそれぞれ算出することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
θ=sin−1{(D12×c)/L}・・・(1)
c=334+0.6t・・・(2)
φ=sin−1{(D34×c)/L}・・・(3)
なおθは前記水平角であり、φは前記垂直角である。またD12は前記超音波が前記第1のマイクロフォン群に到達する時間差であり、D34は前記超音波が前記第2のマイクロフォン群に到達する時間差である。さらにcは前記超音波の伝搬速度であり、tは前記補正温度である。さらにLは、前記水平方向での前記一対の超音波マイクロフォンの前記配置間隔及び前記垂直方向での前記他の一対の超音波マイクロフォンの前記配置間隔である。
【請求項4】
前記補正温度設定手段は、前記補正温度として任意の温度を設定可能にしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記相関手段は、
前記水平方向における前記カメラの撮像可能範囲と、前記水平方向における前記表示領域の寸法との比と、
前記垂直方向における前記カメラの撮像可能範囲と、前記垂直方向における前記表示領域の寸法との比と、から前記音源の位置と前記表示位置とを相関付けすることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
カメラによって撮像した撮像画像を表示領域に表示する表示手段と、
第1の方向での配置間隔を音源が発する超音波の半波長未満にした一対の超音波マイクロフォンからなる第1のマイクロフォン群と、
前記第1の方向に交差する第2の方向での配置間隔を前記半波長未満にした他の一対の超音波マイクロフォンからなる第2のマイクロフォン群と、
前記第1のマイクロフォン群及び前記第2のマイクロフォン群によって検出した前記超音波の伝搬速度を補正する補正温度を設定する補正温度設定手段と、
前記一対の超音波マイクロフォン同士を結ぶ直線と前記他の一対のマイクロフォン同士を結ぶ直線との交点を原点として、前記超音波が前記第1及び前記第2のマイクロフォン群にそれぞれ到達する時間差に基づいて、前記原点からの距離を前記配置間隔の半分とする極座標系における前記原点から前記音源への水平角を算出すると共に、前記超音波が前記第1及び前記第2のマイクロフォン群にそれぞれ到達する時間差と、前記補正温度設定手段によって設定した前記補正温度とに基づいて、前記極座標系における前記原点から前記音源への垂直角を算出して、前記水平角及び前記垂直角から前記音源の位置を算出する音源位置算出手段と、
前記音源位置算出手段によって算出した前記音源の位置と、該音源の位置に対応させて前記表示領域に表示する前記撮像画像内における表示位置とを相関付けする相関手段と、
前記相関手段によって前記音源の位置と相関付けされた前記表示位置に、前記音源の位置を識別する画像を表示する制御を行う表示制御手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
前記音源位置算出手段は、式(4)によって前記極座標系における前記水平角を、式(5)及び式(6)によって前記極座標系における前記垂直角をそれぞれ算出することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
θ1=tan−1(D12/D34)[°]・・・(4)
φ1=sin−1{[√(D12+D34)]×c/L}[°]・・・(5)
c=334+0.6t[m/s]・・・(6)
なおθ1は前記極座標系における前記水平角であり、φ1は前記極座標系における垂直角である。またD12は前記超音波が前記第1のマイクロフォン群に到達する時間差であり、D34は前記超音波が前記第2のマイクロフォン群に到達する時間差である。さらにcは前記超音波の伝搬速度であり、tは前記補正温度である。さらにLは、前記第1の方向での前記一対の超音波マイクロフォンの前記配置間隔及び前記第2の方向での前記他の一対の超音波マイクロフォンの前記配置間隔である。
【請求項8】
前記補正温度設定手段は、前記補正温度として任意の温度を設定可能にしたことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記第1の方向は水平方向であり、前記第2の方向は垂直方向であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−181178(P2012−181178A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87602(P2011−87602)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】