説明

画像補正ミラーキャビネットを有するボトル検査装置

【課題】歪み無く、ボトルの全てが画像中で略直立状態に表示される検査装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、検査されるべきボトルの異なる周方向側面像を映し出すためのミラーキャビネットを備える、ボトルを光学的に検査するための検査装置に関する。側方画像領域と関連付けられるビーム経路における偏向ミラーは、中心射影によって引き起こされる画像歪みが側方画像領域で補償されるように傾けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルおよび容器をそれぞれ光学的に検査するための検査装置であって、複数の水平に並べられる画像領域を伴う画像を生成するための画像記録装置を備え、これらの画像領域のうちの少なくとも2つが画像の中央の側方に配置され、検査されるべきボトルの異なる周方向側面像を画像領域の方向で偏向するための複数のビーム経路を備えるミラーキャビネットを備え、各ビーム経路中に別個の偏向ミラーが設けられ、該偏向ミラーのそれぞれの仰角がベースプレートに対して規定される検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボトル用の検査装置は、例えば損傷したボトルまたは汚れたボトルを検出するための飲料瓶詰めラインにおいて使用される。周知のように、ボトル側壁の異なる周方向像がミラーキャビネット内で同時に生成されて撮像センサの並列領域上に映し出される。そのような装置は、例えば欧州特許第0663069号または独国特許第19534347号に開示されている。
【0003】
全ての像を、可能な限り少ない歪みをもって、同じサイズで、透過光において迷光反射をボトル表面で伴うことなく映し出すことが一般に望まれる。
【0004】
しかしながら、透過光においてボトル側壁を底部ドームへ至るまで検査できるようにするためには、ボトルが観察される位置がボトルの底部よりもほんの僅か上側でなければならない。したがって、ボトルの方向における投影が上向きの傾斜角度で方向付けられ、また、対物レンズの要求される焦点距離の場合に、これが望ましくない歪みライン効果を引き起こす。それぞれの対象物エッジと画像の中央との間の距離が長くなればなるほど、これが益々厄介になる。複数のボトル像が画像領域上に並んで投影される場合、映し出されるボトルの上側領域、特に画像の側方エッジの近傍の上側領域は、中央へ向けて傾斜するように見える。
【0005】
3点動力学マウント上に偏向ミラーを配置して、これらのミラーを水平軸線および垂直軸線周りに回転させることによって個々のボトル像の位置を撮像面上で並進させおよび/または回転させることが独国特許第19534347号から知られている。しかしながら、このようにして歪みラインを補正することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述した欠点を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に係る検査装置によって達成される。
【0008】
請求項1によれば、側方画像領域と関連付けられるビーム経路における別個の偏向ミラーのうちの2つがベースプレートの法線に対して傾けられ、それにより、中心射影によって引き起こされる画像歪みが側方画像領域で補償される。したがって、各ビーム経路毎に個別に歪みラインを補償でき、それにより、映し出されるボトルの全てが画像中で略直立状態になる。
【0009】
好ましい実施形態は、側方画像領域と関連付けられるビーム経路において、別個の偏向ミラーのうちの1つの仰角が固定され、他の別個の偏向ミラーの仰角が調整可能であるように想起される。このようにして、調整されるべき部品の数が減少される。
【0010】
好ましい実施形態は、側方画像領域と関連付けられるビーム経路において、1つの別個の偏向ミラーが上向きの傾斜角度で傾けられ、他の偏向ミラーが下向きの傾斜角度で傾けられるように想起される。このようにして、画像歪みが特に有効な方法で排除される。
【0011】
好ましい実施形態は、側方画像領域と関連付けられるビーム経路において、ベースプレートの法線に対する別個の偏向ミラーの傾斜角の絶対値が0.01°〜1°の範囲となるように想起される。これは、ミラーキャビネット内の部品の柔軟な配置を可能にする。また、仰角を調整するために市販の部品を使用できる。
【0012】
好ましい実施形態によれば、側方画像領域と関連付けられるビーム経路における別個の偏向ミラーは、画像中の投影された側面像が更に互いに対して垂直に方向付けられるように傾斜される。このようにすれば、装着ステップの数を減らすことができる。
【0013】
好ましい実施形態によれば、別個の偏向ミラーは、仰角が固定された状態でホルダの所定位置に固定され、該ホルダは、これらの偏向ミラーの仰角にしたがって傾けられる装着面を有する。これは、偏向ミラーの正確な安定した再現可能な傾動を可能にする。
【0014】
好ましい実施形態によれば、中心画像領域と関連付けられるビーム経路における別個の偏向ミラーがベースプレートに対して直角に配置される。したがって、低コストで且つ最小量の調整労力でビーム経路を実現できる。
【0015】
好ましい実施形態によれば、各ビーム経路中には2つの別個の偏向ミラーが設けられる。これは、最小の数の光学部品を用いたビーム偏向を可能にする。また、円偏光の回転方向は、反射に起因して、全てのビーム経路において等しい頻度で変化する。
【0016】
好ましい実施形態によれば、ベースプレートは、ボトルの対称軸線に対して略直角に方向付けられる。このようにすれば、ミラーキャビネットを更に容易に装着して調整できる。
【0017】
既知の装置において、全てのボトル像におけるビーム経路は、鮮明な画像を生成するために、例えば欧州特許第0663069号に記載されるように、ボトルと撮像面との間でほぼ同じ長さを有するように寸法付けられる。しかしながら、これは、画像中のボトル像が画像の中央から遠くに離れて映し出されれば出されるほど益々大きくなるように見えるという望ましくない効果をもたらす。
【0018】
本発明の更なる目的は、この欠点を回避することである。
【0019】
この更なる目的は、請求項10または請求項11に係る装置によって達成される。
【0020】
これらの実施形態によれば、側方画像領域と関連付けられるビーム経路が中心画像領域と関連付けられるビーム経路よりも長く、ビーム経路の長さは、画像領域内のボトルの側面像がほぼ同じサイズを有するように選別される。このようにすると、ボトル像の画質および評価を向上させることができる。この手段は、それ自体で目的に適う利点を与えるが、請求項1に記載される教示内容と組み合わせると有益となり得る。
【0021】
あるいは、側方画像領域と関連付けられるビーム経路の長さは、それぞれのビーム経路と関連付けられる画像領域と画像の中央との間の距離が増大するにつれて増大し、ビーム経路の長さは、画像領域内のボトルの側面像がほぼ同じサイズを有するように選別される。また、この手段も、それ自体で目的に適う利点を与えるが、請求項1に記載される教示内容と組み合わせると有益となり得る。
【0022】
好ましい実施形態によれば、並べられる画像領域と関連付けられるビーム経路の長さ比率が1.005〜1.02である。したがって、異なるビーム経路に関してボトルサイズを適合させることができるとともに、鮮明な画像も生成できる。
【0023】
好ましい実施形態によれば、検査装置は、ボトルを透過光に晒すための光源を更に備える。これは、特にコントラストの強い画像の生成を可能にする。
【0024】
好ましい実施形態によれば、ビーム経路間に遮光体が設けられ、該遮光体は、光源によって放射される光が、偏光ミラーのうちの少なくとも2つにおける多重反射に起因してボトルへと方向変換されるのを防止する。このようにすれば、ミラー配列を最適化するだけでは回避できない迷光反射をミラーキャビネット内で抑制できる。
【0025】
以下では、本発明の1つの実施形態が図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る検査装置の斜視平面図を示している。
【図2】図2に係る配列の斜視側面図を示している。
【図3】検査されるべきボトルの異なる像を並列画像領域上に伴う画像の概略表示を示している。
【図4】歪みラインによって引き起こされる画像歪みが本発明にしたがって補正された後に映し出されたボトル像の概略表示を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および図2によれば、本発明に係る検査装置1は、透過光、例えば円偏光中で透明ボトル3を検査するための光源4と、半導体カメラなどの画像記録装置6を用いて3つのボトル像A、B、Cを撮像するために3つのビーム経路SM、SL1、SR1を有するミラーキャビネット5とを備え、該ボトル像A、B、Cは好ましくは30°または約45°互いに対して周方向に回転される。
【0028】
図3は、画像記録装置6によって例えばスクリーン(図示せず)上に形成される画像7を示しており、該画像7は、画像領域、すなわち、中心領域Mと、左側方領域Lと、右側方領域Rとに水平に分けられ、これらの画像領域には投影ボトル像A’、B’、C’が映し出される。
【0029】
ボトル3を発端として、偏向ミラー9、10は、全てのビーム経路SM、SL1、SR1に共通の偏向ミラー15を介して、ビーム経路SMを中心画像領域Mへと偏向させ、偏向ミラー11、12はビーム経路SL1を左側方画像領域Lへと偏向させ、また、偏向ミラー13、14は、ビーム経路SR1を画像記録装置6の右側方画像領域Rへと偏向させる。図1には、ビーム経路SM、SL1、SR1のそれぞれのビーム軸線だけが示されている。
【0030】
偏向ミラー9、10、11、14は、明確にするために図1および図2に示されていない固定ホルダ16、17、18、21を用いて共通ベースプレート23上の所定位置に固定され、一方、偏向ミラー12、13は、調整可能なホルダ19、20を用いて該ベースプレート23に固定される。明確にするために、図1および図2には光学部品のみが示されており、一方、該部品をベースプレート23に固定するための関連する装着要素は示されておらず、そのような装着要素は、例えば、調整可能なホルダ19、20のためのベース、および、共通の偏向ミラー15または画像記録装置6のためのホルダである。
【0031】
ミラー9、10は、それらがベースプレート23に対して直角に延びるように配置される。ミラー11は、ベースプレート23の法線25に対して角度αを成して傾けられ、ミラー12は角度βを成し、ミラー13は角度γを成し、ミラー14は角度δを成す。明確にするために、図2は角度αだけを示している。図を更に容易に理解できるようにするために、図1および図2にはミラー9〜14の仰角が誇張して示されている。
【0032】
角度α−δは、画像領域M、L、Rに示されるボトル像A’、B’、C’が画像中で共通水平ベースライン27上に位置されて見えるように、また同時に、中心射影によって引き起こされる歪みライン効果が側方画像領域L、Rで最小限に抑えられるように寸法付けられる。この効果が図4に破線で概略的に示されている。したがって、側方画像領域では、特に画像の上側半分において、垂直ラインが内側に傾けられる。この射影歪みは、主に、傾斜角α、βおよびγ、δの複合効果によって補償され、それにより、対象物の垂直エッジまたは境界は、図4に実線で描かれる像C’により示されるように画像7中で略垂直に映し出される。
【0033】
中心画像領域Mへ向けられるビーム経路SMの長さlMは、側方画像領域L、Rへと向けられ且つ長さが同一のビーム経路SL1、SR1の長さlL1、lR1よりも短く、それにより、画像領域M、L、Rに映し出されるボトル像A’、B’、C’が画像7中で同じサイズを有するように見える。
【0034】
そのような適合された長さlM、lL1、lR1を使用すると、ミラーキャビネット5を使用することなく画像記録装置6によって3つの同一に寸法付けられた並列のボトル3が画像領域L、M、R上に同一サイズで投影される場合に状況がシミュレートされる。これは、撮像面と平行に延びる対物面内にボトル3が位置されるケースである。この配置において、例えば、画像記録装置の前方の中心に位置されるボトル3および右側のボトル3が観察される場合には、これらのボトルが画像記録装置6と共に直角三角形を形成する。画像記録装置6から見ると、画像記録装置6とボトル3との間の関連するビーム経路の長さは、形成される三角形における隣り合う脚および斜辺のように振舞う。したがって、中心ビーム経路は短い方の経路である。
【0035】
検査装置1は、シールド31、迷反射を減らすための遮光体33、および、偏向フィルタ35を更に備える。完全を期すため、ボトル3のためのコンベアベルト37および保護窓枠39が示されている。
【0036】
光源4は円偏光を放射する。しかしながら、装置は、円偏光の使用に限定されない。
【0037】
画像記録装置6は、例えば、対物レンズおよびアイリスを備える従来の半導体カメラである。形成される画像7の形式は、図示の例から逸脱してもよい。特にパノラマ形式が考えられ、それにより、ボトルの3つの像A’、B’、C’よりも多くの像を並べることができる。これが、図3において、破線で描かれる更なる側方画像領域L、Rによって示されている。また、任意の偶数の画像領域が考えられる。偶数の画像領域が設けられると、中心画像領域Mは存在しない。例えば4つの画像領域が設けられると、画像7は、代わりに、2つの左側方画像領域L、Lと2つの右側方画像領域R、Rとに分けられる。この場合、領域L、Rは画像の中央で互いに隣り合う。
【0038】
画像記録装置6は、例えば市販の3点支持装着要素によって、それが2つの面内で回転され且つ傾動されるように図示しないマウント内に支持される。
【0039】
ミラーキャビネット5におけるビーム経路SM、SL1、SR1の進路は、従来のレイトレーシング法によって決定される。この点に関して応じられなければならない一般的な要求は、可能な限りコンパクトでなければならず且つ少なくとも可能な数の光学部品を備えていなければならない配列である。また、円偏光を用いて同程度のボトル像A’〜C’を得るために、別個の偏向ミラー9〜14の数が全てのビーム経路SM、SL1、SR1に関して同一でなければならない。
【0040】
本実施形態において、長さlM、lL1、lR1は、ビーム経路SMに関して1234mmであり、ビーム経路SL1、SR1のそれぞれに関して1250mmである。このようにして画像7中のボトル像A’、B’、C’の同一に寸法付けられた表示が達成される。長さlM、lL1、lR1は、ボトル3の対称軸線41と画像記録装置6すなわち対物レンズの前側主面との間のビーム経路SM、SL1、SR1の長さによってもたらされる。
【0041】
ミラーキャビネット5におけるビーム経路SM、SL1、SR1の進路と、画像7中の関連するボトル像A’〜C’間のそれぞれの距離とに応じて、長さlM、lL1、lR1の絶対値および該長さの比率が実施形態からそれる場合がある。実際には、lM、lL1、lR1に関する値は、シミュレートされた画像7が最適な結果を与えるまで、レイトレーシング作業において変えられる。
【0042】
しかしながら、並んで映し出される2つの同一に寸法付けられたボトル像A’〜C’が観察される場合、更に長いビーム経路は、常に、画像の中央8から更に長い水平距離で映し出されるボトル像が画像7中で関連付けられるビーム経路である。これを明確にするために、ボトル像D’、E’を伴う2つの更なる側方画像領域L、Rが図3に破線で示されている。それらを形成するためには、更なるビーム経路SL2およびSR2(図1、2には示されていない)が必要となる。したがって、ボトル像A’、C’が同じサイズで映し出される場合には、ビーム経路SR1がビーム経路SMよりも長く、また、ボトル像B’、D’が同じサイズで映し出される場合には、ビーム経路SL2がビーム経路SL1よりも長くなければならない。
【0043】
画像7中に並んで位置されるボトル像に属するビーム経路の長さ比率v、例えばlR1/lMまたはlR2/lR1は、1.005〜1.02である。要求される画像鮮明度はこの範囲内に維持される。対物レンズは、特に更に長い距離の場合に側方画像が鮮明に形成されるように設計される。
【0044】
画像領域M、L、Rに対するボトル像A’〜C’の割り当ては、ミラーキャビネット5内に設けられるビーム経路SM、SL1、SR1の最適化によってもたらされる。これは、画像7が前述した画像領域から外れる多くの画像領域へと分けられる場合にも当てはまる。像A’〜C’または他の像は、本発明に係る角距離から外れる角距離、例えば15°または45°の距離で配置されてもよい。
【0045】
本実施形態では、固定ミラー11の傾斜角αが0.45°であり、固定ミラー14の傾斜角γが0.2°である。ビーム経路SL1、SR1中のミラー11、14のそれぞれの位置に応じて、値が前述した値からそれる場合がある。適切な傾斜角α、γは−1°〜−0.01°の範囲および0.01°〜1°の範囲であり、ミラー表面は、プラス値の場合には上向きの傾斜角度で傾けられ、マイナス値の場合には下向きの傾斜角度で傾けられる。角度β、δは、ボトル像A’〜C’が互いに対して垂直に方向付けられるようにホルダ19、20を用いて調整され、また、その際、側方画像領域L、Rの歪みラインが自動的に補償される。また、調整された角度β、γの絶対値も、レイトレーシングプロセスで最適化されるビーム経路SL1、SR1に応じて、また、ミラー11〜14の位置に応じて、0.01°〜1°の範囲にある。本実施形態のビーム経路SL1、SR1では、一方のミラー表面が上向きの傾斜角度で傾けられ(ミラー11、14)、他方のミラー表面が下向きの傾斜角度で傾けられる(ミラー12、13)。
【0046】
ビーム経路SL1、SR1のそれぞれにおける固定ミラーおよび調整可能ミラー11〜14の配列は、ミラーキャビネット5の機能に関しては無関係である。該配列は、実用的観点にしたがって、例えば空間要件または調整目的のためのアクセスのし易さにしたがって決定され得る。
【0047】
共通ミラー15を使用すると、ビーム経路SM、SL1、SR1の要求される長さlM、lL1、lR1を省スペースな配列で実現できる。画像記録装置6の仰角は、本実施形態に示される仰角からそれていてもよい。同様に、偏向ミラー15がミラーキャビネット5の機能にとって絶対に必要であるとは限らない。ミラー9〜15は例えば従来の前面ミラーであってもよい。
【0048】
ミラー9、10用の固定ミラーホルダ16、17および他の光学部品用のホルダや装着ベースは、例えば金属からカットされてもよく、あるいは、ベースプレート23に対する安定した直交装着が保証されるように市販の光学装着要素から構成されてもよい。
【0049】
固定ホルダ18、21は、好ましくは、アルミニウムなどの金属からカットされるとともに、角度α、δにしたがって傾けられるミラー11、14用の装着面を有しており、それにより、該ミラー11、14の任意の更なる仰角調整を伴うことなく該ミラーの傾斜角α、δが保証される。
【0050】
ホルダ19、20は、例えば、それぞれのビーム経路を例えば製造公差および/または装着公差を補償するために垂直軸線周りで傾けることができ且つミラー12、13の仰角および角度β、δのそれぞれを調整するために水平軸線周りで傾けることができるように、ベース(図示せず)を含む市販の3点調整ユニットから構成される。ミラーキャビネット5のミラーを適切に位置させることにより、また、個々のミラーの仰角の適切な選択により、ボトルでの厄介な光反射の発生をかなりの程度まで最小限に抑えることができ、理想的には完全に回避することができる。
【0051】
ベースプレート23は特定の材料または特定の形状に限定されない。ベースプレート23は、それを既に装着されたミラーキャビネット5と共に適切な装着フレームおよび/またはハウジング(図示せず)の所定位置に固定できるように形成されるのが好ましい。しかしながら、ベースプレート23は、いかなる場合でも、光学部品を例えば装着穴に安定した方法で、要求される許容誤差をもって固定できる1または複数のパネル装着面を有する構造を備える。
【0052】
シールド31は、ミラーキャビネット5と光源4との間に配置されており、ミラーの巧みな配置によって望ましくない残留光反射が未だ最小限に抑えられていない限り、望ましくない残留光反射を防止して、画像評価を損なわないようにする。遮光体33は、ミラーキャビネット5内の結像ビーム経路SM、SL1、SR1の境界光線間に配置される。
【0053】
本発明に係る検査装置1の装着および調整は、以下のように実行することができる。
【0054】
ミラーキャビネット5がベースプレート23上に装着され、ベースプレート23が検査装置1の所定位置、例えば装着フレームおよび/またはハウジング(図示せず)に固定される。光源4とミラーキャビネット5との間には、ボトル3が検査位置に位置付けられ、また、画像記録装置6を用いてボトル像A’〜C’が画像領域M、L、Rに映し出される。画像記録装置6をそのホルダ(図示せず)内で回転させて傾動させることにより、領域Mに映し出されるボトル像A’が画像7中の所望の基準位置に対して直角に方向付けられる。
【0055】
ミラー12を垂直に傾けることにより、ボトル像B’が像A’と垂直に位置合わせされ(画像中のボトルの高さが同じ)、それにより、2つの像A’、B’が例えば図3に示される補助ライン27上に配置されるように見える。画像7中のボトル像B’の正しい垂直位置合わせが達成されると、固定ミラー11の仰角、すなわち、傾斜角αが、調整可能ミラー12の調整された仰角、すなわち、傾斜角βと協調し、それにより、中心射影によって引き起こされる画像歪みが画像領域で同時に補償される。これは、ボトル像B’の上側領域が画像の中心8へ向けて歪められているように見える場合に画像歪みを回避し、あるいは減少させる。
【0056】
調整可能ミラー12を水平に傾けることにより、製造および装着に依存する公差がビーム経路SL1で補償され、また、ボトル像B’が画像領域L内で所望の水平位置へ調整される。前述した調整ステップを任意の順序で実行できる。
【0057】
ボトル像C’は、ミラー13を傾けることにより同様の方法で画像領域Rにおいて位置合わせされる。同時に、傾斜角γ、δは、共通して、中心射影によって引き起こされる画像歪みを補償する。
【0058】
本発明に係る検査装置1が使用されると、従来の検査装置の場合に必要とされるビーム経路の幾つかのミラーの段階的な調整を省くことができると同時に、画質を向上させることができる。ミラー11、14の固定された仰角に起因して、より効率的な装着のために再現可能な状態が与えられる。サイズ適合および画像歪みの排除は、ボトル像A’、B’、C’の正確な評価を容易にする。
【符号の説明】
【0059】
1…検査装置、3…透明ボトル、4…光源、5…ミラーキャビネット、6…画像記録装置、7…画像、8…中央、9、10、11、12、13、14…ミラー、16、17、18、19、20、21…ホルダ、23…ベースプレート、25…法線、27…ベースライン、31…シールド、33…遮光体、35…偏向フィルタ、37…コンベアベルト、39…保護窓枠、A’、B’、C’…ボトル像、α、β、γ、δ…傾斜角、M、L、R…画像領域、L、R…側方画像領域、SM、SL1、SR1…ビーム経路、lM、lL1、lR1…長さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル(3)を光学的に検査するための検査装置(1)であって、複数の水平に並べられる画像領域(M、L、R)を伴う画像(7)を生成するための画像記録装置(6)を備え、これらの画像領域のうちの少なくとも2つ(L、R)が前記画像(7)の中央(8)の側方に配置され、検査されるべきボトル(3)の異なる周方向の側面像(A、B、C)を前記画像領域(M、L、R)の方向で偏向するための複数のビーム経路(SM、SL1、SR1)を備えるミラーキャビネット(5)を具備し、前記各ビーム経路中に別個の偏向ミラー(9〜14)が設けられ、該偏向ミラーのそれぞれの仰角がベースプレート(23)に対して規定される検査装置(1)において、
前記側方画像領域(L、R)と関連付けられる前記ビーム経路(SL1、SR1)における別個の偏向ミラー(11〜14)のうちの2つが前記ベースプレート(23)の法線(25)に対して傾けられ、もって、中心射影によって引き起こされる画像歪みが前記側方画像領域(L、R)で補償されることを特徴とする、検査装置。
【請求項2】
前記側方画像領域(L、R)と関連付けられる前記ビーム経路(SL1、SR1)において、別個の偏向ミラーのうちの1つ(11、14)の仰角が固定され、他の別個の偏向ミラー(12、13)の仰角が調整可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項3】
前記側方画像領域(L、R)と関連付けられる前記ビーム経路(SL1、SR1)において、別個の偏向ミラーのうちの1つ(11、14)が上向きの傾斜角度で傾けられ、他の別個の偏向ミラー(12、13)が下向きの傾斜角度で傾けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記側方画像領域(L、R)と関連付けられる前記ビーム経路(SL1、SR1)において、ベースプレート(23)の法線(25)に対する別個の偏向ミラー(11〜14)の傾斜角(α、β、γ、δ)の絶対値が0.01°〜1°の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記側方画像領域(L、R)と関連付けられる前記ビーム経路(SL1、SR1)において、別個の偏向ミラー(11〜14)が、前記画像(7)中の投影された側面像(B’、C’)が更に互いに対して垂直に方向付けられるように傾斜されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
別個の偏向ミラー(11、14)が、仰角が固定された状態でホルダ(18、21)の所定位置に固定され、前記ホルダ(18、21)が、これらの偏向ミラー(11、14)の仰角にしたがって傾けられる装着面を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
中心画像領域(M)と関連付けられるビーム経路(SM)における別個の偏向ミラー(9、10)が前記ベースプレート(23)に対して直角に配置されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項8】
前記各ビーム経路(SM、SL1、SR1)中には2つの別個の偏向ミラー(9〜14)が設けられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項9】
前記ベースプレート(23)が、ボトル(3)の対称軸線(41)に対して略直角に方向付けられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項10】
側方画像領域(L、R)と関連付けられるビーム経路(SL1、SR1)が中心画像領域(M)と関連付けられるビーム経路(SM)よりも長く、ビーム経路(SM、SL1、SR1)の長さ(lM、lL1、lR1)が、前記画像領域(M、L、R)内のボトル(3)の側面像(A、B、C)がほぼ同じサイズを有するように選別されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項11】
側方画像領域(L、L、R、R)と関連付けられるビーム経路(SL1、SL2、SR1、SR2)の長さが、それぞれのビーム経路と関連付けられる画像領域と画像(7)の中央(8)との間の距離が増大するにつれて増大し、ビーム経路の長さ(lM、lL1、lR1)が、前記画像領域(L、L、R、R)内のボトル(3)の側面像(B’、C’、D’、E’)がほぼ同じサイズを有するように選別されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項12】
並べられる画像領域(M、L、L、R、R)と関連付けられるビーム経路(SM、SL1、SL2、SR1、SR2)の長さ比率(v)が1.005〜1.02であることを特徴とする、請求項10または11に記載の検査装置。
【請求項13】
検査装置(1)が、ボトル(3)を入射光および/または透過光に晒すための光源(4)を更に備えることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項14】
前記ビーム経路(SM、SL1、SR1)間に遮光体(33)が設けられ、該遮光体(33)が、該画像の評価を乱すボトル画像の光反射を防止することを特徴とする、請求項13に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−151819(P2010−151819A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−292759(P2009−292759)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(506040652)クロネス アクティェンゲゼルシャフト (55)
【Fターム(参考)】