説明

画像記憶装置、画像記憶方法および画像記憶プログラム

【課題】 停電により不揮発性メモリのファイルシステムが破壊されるのを防止する。
【解決手段】 監視カメラは、商用電源から電力を受ける電源回路と、動画像を出力するイメージセンサと、動画像を構成するフレームを順にSDRAMに記憶する第1記憶制御部と、HDDに、SDRAMに一時記憶されたフレームを記憶する(S14)とともに、フレームを管理するための管理データを記憶する(S19、S23)第2記憶制御部と、商用電源から電力を受けなくなると、SDRAMおよび第2記憶制御部に電力を供給する電気二重層コンデンサと、電気二重層コンデンサの残容量を検出する残容量検出部と、を備え、第2記憶制御部は、検出された残容量が所定のしきい値以上であることを条件に(S11でYES)、SDRAMに記憶されたフレームをHDDに記憶する(S14)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像記憶装置、画像記憶方法および画像記憶プログラムに関し、特に、商用電源に接続されて駆動する画像記憶装置、画像記憶方法および画像記憶プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像を撮像し、記憶する監視カメラは、商用電源から電力の供給を受けて駆動し、撮像した画像を連続してハードディスクなどの不揮発性メモリに記憶する。特開2007−258878号公報には、電源回路において、商用電源の電力の異常が検出されると、バッテリ電源からの出力に切り替え、圧縮処理部に商用電源の電力の異常がないときより高い圧縮率で圧縮処理を行うように制御するとともに、圧縮処理部から出力される圧縮データを配信するのを停止し、不揮発性メモリに記憶させるようにした撮像装置が記載されている。
【0003】
しかしながら、従来の撮像装置は、不揮発性メモリにデータを記憶する処理を実行することによりバッテリ電源に蓄電された電力が消費されるので、バッテリ電源の残容量が少なくなれば、不揮発性メモリにデータを記憶する処理が途中で中断されてしまう。特に、停電が連続して発生すると、バックアップ電源に十分な電力が蓄電される前に停電する場合があり、不揮発性メモリにデータを記憶する処理が途中で中断される確率が高くなる。これにより、不揮発性メモリのファイルシステムが破壊される惧れがあるといった問題がある。
【特許文献1】特開2007−258878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、停電により不揮発性メモリのファイルシステムが破壊されるのを防止することが可能な画像記憶装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、停電により不揮発性メモリのファイルシステムが破壊されるのを防止することが可能な画像記憶方法を提供することである。
【0006】
この発明のさらに他の目的は、停電により不揮発性メモリのファイルシステムが破壊されるのを防止することが可能な画像記憶プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、画像記憶装置は、外部から電力を受ける受電手段と、被写体を撮像した動画像を受け付ける動画像受付手段と、受け付けられた動画像を構成するフレームを順に揮発性メモリに記憶する第1記憶制御手段と、不揮発性メモリに、一時記憶されたフレームを記憶するとともに、該記憶されたフレームを管理するための管理データを記憶する第2記憶制御手段と、受電手段により受け付けられた電力の一部を蓄電し、受電手段が外部から電力を受けなくなると、少なくとも揮発性メモリおよび第2記憶制御手段に電力を供給する蓄電手段と、蓄電手段に蓄電された電力の残容量を検出する残容量検出手段と、を備え、第2記憶制御手段は、残容量検出手段により検出された残容量が所定のしきい値以上であることを条件に、揮発性メモリに記憶されたフレームを不揮発性メモリに記憶する。
【0008】
この局面に従えば、蓄電手段に蓄電された電力の残容量が所定のしきい値以上であることを条件に、揮発性メモリに記憶されたフレームが不揮発性メモリに記憶される。このため、一度停電して外部から電力が供給された場合に、蓄電手段に蓄電された電力が消費されるが、その後、停電が復旧した後に再度停電した場合、蓄電手段の残容量が所定のしきい値以上でなれば、揮発性メモリに記憶されたフレームが不揮発性メモリに記憶されない。しきい値を、揮発性メモリに記憶されたフレームを不揮発性メモリに記憶するだけの電力以上とすれば、揮発性メモリに記憶されたフレームを不揮発性メモリに確実に記憶することができ、途中で記憶する処理が中断するなどしてファイルシステムが破壊されるのを防止することができる。その結果、停電により不揮発性メモリのファイルシステムが破壊されるのを防止することが可能な画像記憶装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、受電手段が受ける電力の遮断を検出する電力遮断検出手段をさらに備え、第2記憶制御手段は、電力遮断検出手段により電力の遮断が検出されると、管理データを記憶した後は、次の順のフレームを記憶しない。
【0010】
この局面に従えば、外部から受けられる電力の遮断が検出されると、不揮発性メモリに管理データが記憶された後は、次の順のフレームが記憶されない。このため、蓄電手段に蓄電された電力がなくなる前に、フレームと管理データとを不揮発性メモリに記憶することができる。さらに、フレームと管理データとを不揮発性メモリに記憶した後は、フレームを不揮発性メモリに記憶しないので、管理データを記憶する必要がなく、不揮発性メモリにアクセスするのを禁止する。これにより、不揮発性メモリにアクセスする処理が中断されてファイルシステムが破壊されるのを防止することができる。
【0011】
この発明の他の局面に従えば、画像記憶方法は、外部から電力を受ける受電手段と、受電手段が外部から電力を受けなくなると、電力を供給する蓄電手段と、を備えた画像記憶装置で実行される画像記憶方法であって、被写体を撮像した動画像を受け付けるステップと、受け付けられた動画像を構成するフレームを順に揮発性メモリに記憶するステップと、蓄電手段に蓄電された電力の残容量を検出するステップと、残容量を検出するステップにおいて検出された残容量が所定のしきい値以上であることを条件に、一時記憶されたフレームを不揮発性メモリに記憶するとともに、該記憶されたフレームを管理するための管理データを不揮発性メモリに記憶するステップと、を含む。
【0012】
この局面に従えば、停電により不揮発性メモリのファイルシステムが破壊されるのを防止することが可能な画像記憶方法を提供することができる。
【0013】
この発明のさらに他の局面に従えば、画像記憶プログラムは、外部から電力を受ける受電手段と、受電手段が外部から電力を受けなくなると、電力を供給する蓄電手段と、を備えた画像記憶装置を制御するコンピュータで実行される画像記憶プログラムであって、被写体を撮像した動画像を受け付けるステップと、受け付けられた動画像を構成するフレームを順に揮発性メモリに記憶するステップと、蓄電手段に蓄電された電力の残容量を検出するステップと、残容量を検出するステップにおいて検出された残容量が所定のしきい値以上であることを条件に、一時記憶されたフレームを不揮発性メモリに記憶するとともに、該記憶されたフレームを管理するための管理データを不揮発性メモリに記憶するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0014】
この局面に従えば、停電により不揮発性メモリのファイルシステムが破壊されるのを防止することが可能な画像記憶プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける監視カメラの構成の概略を示すブロック図である。図1を参照して、監視カメラ1は、監視カメラ1の全体を制御する制御部11と、制御部11が実行するためのプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)19と、イメージセンサ13と、画像処理する信号処理回路17と、コーデック(CODEC)15と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)21と、外部のモニタ32と接続されるビデオエンコーダ29と、ハードディスクドライブ(HDD)23と、メモリカード27が装着されるカードインターフェース(I/F)25と、電源回路31と、を含む。
【0017】
イメージセンサ13は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の光電変換素子であり、レンズを介して結像する被写体像の画像を光電変換した画像データを制御部11に出力する。制御部11は、イメージセンサ13から出力される画像データを受け付け、SDRAM21に記憶する。ここでの画像データは、例えば、1画素がR(赤)G(緑)B(青)で構成されるビットマップ形式のデータである。なお、イメージセンサ13は、CMOSイメージセンサに限定されるものではなく、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いてもよい。イメージセンサ13は、所定の時間間隔で1フレームの画像データを出力する。フレームとは、動画像を構成する単位であり、1フレームは1枚の画像を意味する。また、フレームはフィールドに置き換えることができる。所定の時間間隔とは、フレームレートが5FPSであれば、1/5秒である。
【0018】
信号処理回路17は、SDRAM21に記憶された画像データを読み出し、画像データに対して種々の信号処理を施し、輝度信号と色差信号とで表される表色系のYUV形式に変換する。信号処理回路17は、YUV形式の画像データをSDRAMに記憶する。
【0019】
ビデオエンコーダ29は、SDRAM21に記憶されたYUV形式の画像データからコンポジット映像信号を生成し、モニタ32に出力する。これにより、モニタ32にイメージセンサ13が被写体を撮像して出力する動画像が表示される。モニタ32は、監視カメラ1に接続される表示装置であり、例えば、液晶表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイまたは陰極線管である。
【0020】
コーデック15は、制御部11により制御され、SDRAM21に記憶されたYUV形式の画像データを読出し、圧縮符合化し、画像データを圧縮符号化した符号化データをSDRAM21に記憶する。ここでは、1フレームごとに圧縮符号化された符号化データがSDRAM21に順に記憶される。なお、コーデック15は、MPEG(Moving Picture Experts Group)圧縮方式で、複数のフレームを圧縮符号化するようにしてもよい。この場合には、GOP(Group of Picture)単位で圧縮符号化された符号化データがSDRAM21に記憶される。
【0021】
SDRAM21は、揮発性メモリであり、符号化データを一時的に記憶する。また、SDRAM21は、リングバッファとして機能し、直近の所定期間の符号化データを記憶する。なお、ここでは揮発性メモリの一例としてSDRAM21を用いるが、揮発性メモリであれば、例えば、DDRSDRAM(Double Data Rate SDRAM)、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)を用いてもよい。
【0022】
また、コーデック15は、再生時において、制御部11により制御され、SDRAM21に記憶された符号化データを復号し、復号により得られるYUV形式の画像データをSDRAM21に記憶する。ビデオエンコーダ29は、SDRAM21に記憶されたYUV形式の画像データからコンポジット信号を生成し、モニタ32に出力する。これにより、モニタ32に動画像が表示される。
【0023】
HDD23は、不揮発性メモリである。カードI/F25は、不揮発性メモリを備えたメモリカード27が装着される。制御部11は、カードI/F25を介して、メモリカード27にアクセス可能であり、データを書き込みまたは読出し可能である。
【0024】
制御部11は、ROM19に記憶された記憶プログラムを実行することにより、後述する機能を実現する。なお、ここでは、記憶プログラムをROM19に記憶する例を説明するが、ROM19に限られず、メモリカード27に記憶された記憶プログラムを実行するようにしても良い。さらに、記憶プログラムを記憶する記録媒体としては、メモリカード27に限られず、磁気テープ、フレキシブルディスク、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)/MO(Magnetic Optical Disc/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electronically EPROM)などであってもよい。
【0025】
電源回路31は、外部の商用電源と接続され、商用電源から供給される電力を受け付け、受け付けられた電力を監視カメラ1の全体に供給する。ここでは、電源回路31が出力する電力の電圧をV3で示す。また、電源回路31は、バックアップ電源として電気二重層コンデンサを備えている。
【0026】
図2は、電源回路の回路構成の一例を示す図である。図2を参照して、電源回路31は、商用電源41を直流に変換する整流回路33と、整流回路33の出力電圧を分圧する抵抗R1、R2と、電気二重層コンデンサC1と、電気二重層コンデンサC1の出力電圧を分圧する抵抗R4,R5と、電流が逆流するのを防止するためのダイオードD1、D2と、を備える。図では、整流回路33の出力電圧をV3で示し、出力電圧V3は、監視カメラ1の全体に印加される。抵抗R1とR2とが接続されるノードAの電圧V1は、制御部11に出力され、抵抗R4とR5とが接続されるノードBの電圧V2は、制御部11に出力される。
【0027】
商用電源41から電力が供給されている間、電圧V3は所定の値を維持し、ノードAの電圧V1も所定の値を維持する。この状態においては、電気二重層コンデンサC1は、満充電になるまで蓄電する。電気二重層コンデンサC1が満充電になればノードBの電圧V2が所定の値を維持する。
【0028】
一方、停電の場合は商用電源41から電力が供給されなくなり、電圧V3の値が低下し、ダイオードD1の両端に電圧差が生じる。これにより、電気二重層コンデンサC1が放電する。さらに、電気二重層コンデンサC1の放電に伴ってノードBの電圧V2が低下する。
【0029】
このため、制御部11は、電圧V1から整流回路33の出力電圧V3を検出する。換言すれば、停電による商用電源41から供給される電力の遮断を検出する。また、制御部11は、電圧V2から電気二重層コンデンサC1の出力電圧を検出する。換言すれば、制御部11は、電圧V2から電気二重層コンデンサC1に蓄電されている残容量を検出する。
【0030】
図3は、制御部が備える機能の概要を示す機能ブロック図である。図3を参照して、制御部11は、商用電源41から供給される電力の遮断を検出する停電検出部51と、電気二重層コンデンサC1の残容量を検出する残量検出部53と、符号化データのSDRAM21への記憶を制御する第1記憶制御部55と、符号化データのHDD23への記憶を制御する第2記憶制御部57と、を含む。
【0031】
停電検出部51は、電源回路31が出力する電圧V1が入力され、電圧V1を予め定められたしきい値T1と比較する。電圧V1がしきい値T1以下となれば、電源回路31に商用電源41からの電力の供給が遮断されたと判断する。停電検出部51は、商用電源41からの電力の供給が遮断された判断する場合、それを示す停電信号を第1記憶制御部55および第2記憶制御部57に出力する。また、停電検出部51は、電圧V1がしきい値T1より大きい間は、商用電源41から電力の供給を受けていることを示す通電信号を第1記憶制御部55および第2記憶制御部57に出力する。
【0032】
残量検出部53は、電源回路31が出力する電圧V2が入力され、電圧V2を予め定められたしきい値T2と比較する。しきい値T2は、電気二重層コンデンサC1の残容量が予め定められた値のときの電気二重層コンデンサC1の電圧である。換言すれば、残量検出部53は、電気二重層コンデンサC1の残容量が予め定められた値以下となったことを検出する。残量検出部53は、電圧V2がしきい値T2より小さくなると、電気二重層コンデンサC1の残容量が予め定められた値より小さくなったと判断する。残量検出部53は、電気二重層コンデンサC1の残容量が予め定められた値より小さいと判断する場合、それを示す不足信号を第2記憶制御部57に出力する。また、残量検出部53は、電圧V2がしきい値T2以上の間は、電気二重層コンデンサC1の残容量が十分であることを示す満充電信号を第2記憶制御部57に出力する。
【0033】
第1記憶制御部55は、停電検出部51から通電信号が入力されている間、コーデック15を制御し、イメージセンサ13が出力する画像データ、ここでは、信号処理回路17により変換されてSDRAM21に記憶されるYUV形式の画像データを受け付け、受け付けられた画像データをコーデック15に圧縮符号化させ、コーデック15により生成された符号化データをSDRAM21に記憶する。イメージセンサ13は、所定時間間隔で1フレームの画像データを出力するので、第1記憶制御部55は、所定時間間隔で出力される画像データを符号化した符号化データを順にSDRAM21に記憶する。
【0034】
さらに、第1記憶制御部55は、停電検出部51から停電信号が入力されると、次に通電信号が入力されるまで、制御部11、SDRAM21、HDD23以外への電源回路31から出力される電力の供給を遮断し、符号化データのSDRAM21への記憶を停止する。制御部11、SDRAM21およびHDD23を除く、イメージセンサ13、LCD17、コーデック15およびカードI/F25の駆動を停止するようにしてもよい。停電検出部51から停電信号が入力される場合、商用電源41からの電力が遮断され、電気二重層コンデンサC1が放電するので、可能な限り消費電力を小さくするためである。
【0035】
第2記憶制御部57は、残量検出部53から満充電信号が入力されていることを条件に、SDRAM21に記憶された符号化データを、HDD23に記憶する。この際、第2記憶制御部57は、所定期間分の複数フレームの符号化データをまとめた1つの画像ファイルとしてHDD23に記憶する。例えば、所定期間を60秒とすれば、300フレーム分の符号化データを1つにまとめた画像ファイルをSDRAM21に記憶される。さらに、第2記憶制御部57は、画像ファイルごとに、それに含まれる複数フレームそれぞれの再生時刻等を管理するための管理データを生成し、管理ファイルとしてHDD23に記憶する。
【0036】
また、第2記憶制御部57は、停電検出部51から停電信号が入力されると、所定期間分の複数フレームの符号化データをまとめた1つの画像ファイルをHDD23に記憶する前であっても、次のフレームの符号化データをHDD23に記憶することなく、その段階までに記憶されているフレームをまとめた1つの画像ファイルをHDD23に記憶する。所定期間を60秒とすれば、300フレーム分の符号化データを1つの画像ファイルとして記憶するが、例えば、100フレーム分の符号化データを記憶した時点で、停電信号が入力される場合は、101番目のフレームの符号化データをHDD23に記憶することなく、100フレーム分の符号化データをまとめた1つの画像ファイルをHDD23に記憶する。この場合に生成される管理データは、画像ファイルに含まれる100フレームそれぞれの再生時刻等を管理するための管理データである。なお、第2記憶制御部57は、コーデック15がMPEG圧縮方式で画像データを符号化する場合、1GOPの符号化データがSDRAM21に記憶されるごとに、HDD23に記憶するが、停電検出部51から停電信号が入力されると、1GOP分の符号化データがSDRAM21に記憶されていなければ、その1GOP分の符号化データをHDD23に記憶することなく破棄する。
【0037】
したがって、電気二重層コンデンサC1は、第2記憶制御部57が、フレームの符号化データを記憶し、さらに、管理データを記憶するまでに制御部11、SDRAM21およびHDD23により消費される電力を蓄電可能な蓄電容量を有する。
【0038】
図4は、第1記憶処理の流れの一例を示すフローチャートである。第1記憶処理は、制御部11が記憶プログラムを実行することにより、制御部11により実行される処理である。図4を参照して、イメージセンサ13からフレームを受け付けたか否かを判断する。フレームを受け付けたならば処理をステップS02に進めるが、そうでなければ処理をステップS04に進める。ステップS02においては、フレームの画像データをコーデック15に圧縮符号化させ、処理をステップS03に進める。ステップS03においては、圧縮符号化されたフレームの符号化データをSDRAM21に記憶し、処理をステップS04に進める。
【0039】
ステップS04においては、停電を検出したか否かを判断する。具体的には、電源回路31のノードAの電圧V1が予め定められたしきい値T1以下か否かを判断する。電圧V1がしきい値T1以下ならば停電と判断し、処理を終了するが、そうでなければ処理をステップS01に戻す。ステップS01〜ステップS03を実行している間に、停電した場合には、電源回路31の電気二重層コンデンサC1から電力の供給を受けるので、ステップS04までの処理を継続して実行することができる。
【0040】
図5は、第2記憶処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2記憶処理は、制御部11が記憶プログラムを実行することにより、制御部11により実行される処理である。図5を参照して、ステップS11においては、電源回路31の電気二重層コンデンサC1の残量が予め定めらたしきい値以上か否かを判断する。具体的には、電源回路31のノードBの電圧V2が予め定められたしきい値T2以上か否かを判断する。電圧V2がしきい値T2以上ならば電気二重層コンデンサC1の残量が予め定められたしきい値以上と判断する。電圧V2がしきい値T2以上でなければ、電圧V2がしきい値T2以上になるまで待機状態となり、電圧V2がしきい値T2以上ならば処理をステップS12に進める。換言すれば、電気二重層コンデンサC1の残量が予め定められたしきい値以上であることを条件に、ステップS12以降の処理を実行する。
【0041】
ステップS12においては、HDD23に新たな画像ファイルを記憶するために、画像ファイルをオープン(OPEN)する。次のステップS13においては、SDRAM21にフレームが記憶されているか否かを判断する。未だHDD23に記憶されていないフレームの符号化データがSDRAM21に記憶されていれば、処理をステップS14に進めるが、そうでなければステップS14をスキップして処理をステップS15に進める。ステップS14においては、SDRAM21に記憶されている次の順番のフレームの符号化データをステップS12においてOPENした画像ファイルに追加して記憶する。
【0042】
ステップS15においては、停電を検出したか否かを判断する。具体的には、電源回路31のノードAの電圧V1が予め定められたしきい値T1以下か否かを判断する。電圧V1がしきい値T1以下ならば停電と判断し、処理を終了するために処理をステップS21に進めるが、そうでなければ処理をステップS16に進める。
【0043】
ステップS16においては、所定枚数のフレームをHDD23に記憶したか否かを判断する。ステップS12においてOPENした画像ファイルに、所定数のフレームの符号化データを記憶したか否かを判断する。所定数は、ここでは300である。
【0044】
所定数のフレームを記憶したならば処理をステップS17に進めるが、そうでなければ処理をステップS13に戻す。すなわち、1つの画像ファイルに300フレーム分の符号化データを記憶するまでステップS13〜ステップS15の処理を繰り返す。ただし、1つの画像ファイルに300フレーム分の符号化データを記憶する前であっても、ステップS15において停電が検出されると、処理をステップS21に進める。
【0045】
ステップS17においては、ステップS12において開いた画像ファイルを閉じる(CLOSE)。これにより、HDD23に画像ファイルがファイルシステムにおいて管理可能に記憶される。
【0046】
次のステップS18においては、HDD23に記憶されている管理ファイルを開く(OPEN)。ここでは、管理ファイルを所定数の画像ファイルに対して1つを割り当てている。このため、所定数の画像ファイルを記憶した後は、新たな管理ファイルをHDD23に生成するために、新たな管理ファイルを開く。
【0047】
そして、ステップS14においてHDD23に記憶したフレームの符号化データを管理するための管理データを生成し、ステップS18において開いた管理ファイルに書き込む(ステップS19)。さらに、ステップS20においては、ステップS18において開いた管理ファイルを閉じ(CLOSE)、処理をステップS11に戻す。これにより、HDD23に管理ファイルがファイルシステムにおいて管理可能に記憶される。
【0048】
一方、ステップS21〜ステップS24までの処理は、ステップS17〜ステップS20までの処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。ステップS21〜ステップS24までの処理は、停電が検出された後に実行される処理であるが、電源回路31の電気二重層コンデンサC1から電力の供給を受けているので、ステップS24までの処理を継続して実行することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態における監視カメラ1は、電源回路31が商用電源から電力を受け、イメージセンサ13が、被写体を撮像し、動画像を出力する。制御部11が備える第1記憶制御部55は、イメージセンサ13から出力される動画像を受け付け、受け付けられた動画像を構成するフレームを順に揮発性メモリであるSDRAM21に記憶し、第2記憶制御部57は、不揮発性メモリであるHDD23に、一時記憶されたフレームを記憶するとともに、該記憶されたフレームを管理するための管理データを記憶する。電源回路31が備える電気二重層コンデンサC1は、商用電源から受け付けられた電力の一部を蓄電し、外部から電力を受けなくなると、少なくともSDRAM21およびHDD23に電力を供給する。制御部11が備える第2記憶制御部57は、残量検出部53により検出される、電気二重層コンデンサC1に蓄電された電力の残容量が所定のしきい値T2以上であることを条件に、SDRAM21に記憶されたフレームをHDD23に記憶する。このため、一度停電して商用電源から電力が供給された場合に、電気二重層コンデンサC1に蓄電された電力が消費されるが、その後、停電が復旧した後に再度停電した場合、電気二重層コンデンサC1の残容量が所定のしきい値以上でなれば、SDRAM21に記憶されたフレームがHDD23に記憶されない。しきい値を、SDRAM21に記憶されたフレームをHDD23に記憶するだけの電力以上とすれば、SDRAM21に記憶されたフレームをHDD23に確実に記憶することができ、途中で書き込み処理が中断するなどしてファイルシステムが破壊されるのを防止することができる。その結果、停電により不揮発性メモリのファイルシステムが破壊されるのを防止することが可能な監視カメラを提供することができる。
【0050】
また、制御部11が備える停電検出部51は、電源回路31が受ける電力の遮断を検出し、第2記憶制御部57は、電力の遮断が検出されると、HDD23に管理データを記憶した後は、次の順のフレームを記憶しない。このため、電気二重層コンデンサC1に蓄電された電力がなくなる前に、フレームと管理データとをHDD23に記憶することができる。さらに、フレームと管理データとをHDD23に記憶した後は、フレームをHDD23に記憶しないので、管理データを記憶する必要がなく、HDD23にアクセスするのを禁止する。これにより、HDD23にアクセスする処理が中断されてファイルシステムが破壊されるのを防止することができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態においては画像記憶装置の一例として、監視カメラ1を説明したが、カメラ等の撮像装置に接続されたコンピュータであってもよい。さらに、図4および図5に示した処理を実行するための画像記憶方法および画像記憶方法をカメラ等の撮像装置に接続されたコンピュータに実行させるための画像記憶プログラムとして捉えることができるのはいうまでもない。
【0052】
また、ここでは、不揮発性メモリの一例としてHDD23を例に説明したが、カードI/F25に装着されるメモリカード27であってもよく、さらに、磁気テープ、フレキシブルディスク、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)/MO(Magnetic Optical Disc/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))などであってもよい。
【0053】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける監視カメラの構成の概略を示すブロック図である。
【図2】電源回路の回路構成の一例を示す図である。
【図3】制御部が備える機能の概要を示す機能ブロック図である。
【図4】第1記憶処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】第2記憶処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 監視カメラ、11 制御部、13 イメージセンサ、15 コーデック、17 信号処理回路、19 ROM、21 SDRAM、23 HDD、25 カードI/F、27 メモリカード、29 ビデオエンコーダ、31 電源回路、32 モニタ、33 整流回路、41 商用電源、51 停電検出部、53 残量検出部、55 第1記憶制御部、57 第2記憶制御部、C1 電気二重層コンデンサ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電力を受ける受電手段と、
被写体を撮像した動画像を受け付ける動画像受付手段と、
前記受け付けられた動画像を構成するフレームを順に揮発性メモリに記憶する第1記憶制御手段と、
不揮発性メモリに、前記一時記憶されたフレームを記憶するとともに、該記憶されたフレームを管理するための管理データを記憶する第2記憶制御手段と、
前記受電手段により受け付けられた電力の一部を蓄電し、前記受電手段が外部から電力を受けなくなると、少なくとも前記揮発性メモリおよび前記第2記憶制御手段に電力を供給する蓄電手段と、
前記蓄電手段に蓄電された電力の残容量を検出する残容量検出手段と、を備え、
前記第2記憶制御手段は、前記残容量検出手段により検出された残容量が所定のしきい値以上であることを条件に、前記揮発性メモリに記憶されたフレームを前記不揮発性メモリに記憶する、画像記憶装置。
【請求項2】
前記受電手段が受ける電力の遮断を検出する電力遮断検出手段をさらに備え、
前記第2記憶制御手段は、前記電力遮断検出手段により電力の遮断が検出されると、前記管理データを記憶した後は、次の順のフレームを記憶しない、請求項1に記載の画像記憶装置。
【請求項3】
外部から電力を受ける受電手段と、
前記受電手段が外部から電力を受けなくなると、電力を供給する蓄電手段と、を備えた画像記憶装置で実行される画像記憶方法であって、
被写体を撮像した動画像を受け付けるステップと、
前記受け付けられた動画像を構成するフレームを順に揮発性メモリに記憶するステップと、
前記蓄電手段に蓄電された電力の残容量を検出するステップと、
前記残容量を検出するステップにおいて検出された残容量が所定のしきい値以上であることを条件に、前記一時記憶されたフレームを不揮発性メモリに記憶するとともに、該記憶されたフレームを管理するための管理データを前記不揮発性メモリに記憶するステップと、を含む画像記憶方法。
【請求項4】
外部から電力を受ける受電手段と、
前記受電手段が外部から電力を受けなくなると、電力を供給する蓄電手段と、を備えた画像記憶装置を制御するコンピュータで実行される画像記憶プログラムであって、
被写体を撮像した動画像を受け付けるステップと、
前記受け付けられた動画像を構成するフレームを順に揮発性メモリに記憶するステップと、
前記蓄電手段に蓄電された電力の残容量を検出するステップと、
前記残容量を検出するステップにおいて検出された残容量が所定のしきい値以上であることを条件に、前記一時記憶されたフレームを不揮発性メモリに記憶するとともに、該記憶されたフレームを管理するための管理データを前記不揮発性メモリに記憶するステップと、を前記コンピュータに実行させる画像記憶プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−9874(P2011−9874A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149072(P2009−149072)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】