説明

画像記録体の作製装置

【課題】画像記録体の作製装置の異常発生に対応し、信頼性の高い画像記録体を作製する。
【解決手段】画像記録体の作製装置10における、画像形成装置12、丁合装置14、及びラミネート装置16の内の、画像形成装置12より後に処理が行われる丁合装置14装置における異常を検出したときに、丁合装置14より前に処理を行う画像形成装置12における画像形成処理を待機する。また、ラミネート装置16における異常を検出したときには、ラミネート装置より前に処理を行う画像形成装置12における画像形成処理と、丁合装置14における丁合処理と、の双方を待機する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置によって画像形成されたプラスチックシート等の画像記録体の作製装置に関し、より詳細には、顔写真入りキャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等の非接触式又は接触式個人情報画像情報入り情報媒体、さらに医療現場などで用いる本人照合用画像シートや画像表示板、表示ラベルなどに用いられる画像記録体の作製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成技術の発達に伴って、凹版印刷、凸版印刷、平版印刷、グラビヤ印刷及びスクリーン印刷などの様々な印刷法により、同一品質の画像を、大量かつ安価に形成する手段が知られている。そして、このような印刷法は、ICカード、磁気カード、光カード、あるいはこれらが組み合わさったカードなど、所定の情報を納め、外部装置と接触又は非接触に交信可能な情報媒体の表面印刷にも多く用いられている。
【0003】
しかしながら、例えば上記スクリーン印刷は、印刷しようとする画像の数に応じた印刷版が多数必要であり、カラー印刷の場合には、さらにその色の数だけ印刷版が必要となる。そのため、これら印刷方法は、個人の識別情報(顔写真、氏名、住所、生年月日、各種免許証など)に個々に対応するには不向きである。
【0004】
上記問題点に対して、現在もっとも主流となっている画像形成装置は、インクリボン等を用いた昇華型や溶融型の熱転写方式を採用したプリンタ等による画像形成方法である。しかし、これらは個人の識別情報を容易に印字することはできるが、印刷速度を上げると解像度が低下し、解像度を上げると印刷速度が低下するという問題を依然抱えている。
【0005】
これに対して、電子写真方式による画像形成(印刷)は、像担持体表面を一様に帯電させ、画像信号に応じて露光し、露光部分と非露光部分との電位差による静電潜像を形成させ、その後、前記帯電と反対(あるいは同一)の極性を持つトナーと呼ばれる色粉(画像形成材料)を静電現像させることにより、前記像担持体表面に可視画像(トナー画像)を形成させる方法で行われる。カラー画像の場合は、この工程を複数回繰り返すこと、あるいは画像形成器を複数並配置することによりカラーの可視画像を形成し、これらを画像記録体に転写、定着(固定化:主に熱による色粉の溶融と冷却による固化)することによりカラー画像を得る方法で行われる。
【0006】
上述のように、電子写真方式では、像担持体表面の静電潜像を画像信号により電気的に形成するため、同じ画像を何度でも形成できるだけでなく、異なる画像に対しても容易に対応でき画像形成することが可能である。また、像担持体表面のトナー画像は、ほぼ完全に画像記録体表面に転移させることができ、像担持体表面にわずかに残存するトナー画像も、樹脂ブレードやブラシ等により容易に除去することができるため、多品種少量生産に向けた印刷物を容易に作製することが可能である。
【0007】
また、上記トナーは、通常、熱溶融性樹脂及び顔料、並びに場合によっては帯電制御剤などの添加剤を溶融混合し、この混練物を粉砕、微粒子化して形成される。さらに、前記電子写真方式における静電潜像は、上記微粒子化されたトナーに比べてかなり高い解像度を持っており、前記スクリーン印刷やインクリボンの熱転写方式の解像度と比べても十分な解像度が期待できる。
【0008】
カラー画像についても、カラートナーとしてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの四原色を用い、これらを混合することにより、理論的に印刷と同様の色を再現できる。また、上記カラートナーでは、トナー樹脂と顔料とを比較的自由に配合できるため、トナーによる画像隠蔽性を増加させることは容易である。
【0009】
前述の電子写真装置を使用した各種カードの作製としては、既にいくつかの提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2005−028865号公報
【特許文献2】特開2004−195973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、画像記録体の作製装置の異常発生に対応し、信頼性の高い画像記録体を作製可能な画像記録体の作製装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、シート状フィルムの表面に電子写真方式により画像を形成する画像形成装置と、前記シート状フィルムと支持体とを、少なくとも前記シート状フィルムの前記画像が形成された画像形成面と前記支持体の被ラミネート面とが対向するように積層した積層体とすると共に該積層体の端部を丁合いする丁合装置と、前記積層体を加熱及び加圧する加熱加圧部材を有し、該加熱加圧部材によって前記支持体を前記シート状フィルムによってラミネートするラミネート装置と、前記丁合装置の異常を検知する第1の検知装置と、前記ラミネート装置の異常を検知する第2の検知装置と、前記第1の検知装置及び前記第2の検知装置のうちの少なくとも一方が前記丁合装置の異常を検知したときに、前記画像形成装置における画像形成を待機するように前記画像形成装置を制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする画像記録体の作製装置である。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像記録体の作製装置において、前記制御装置が、前記第2の検知装置により前記ラミネート装置の異常を検知したときに、前記画像形成装置における画像形成を待機するように前記画像形成装置を制御すると共に、前記丁合装置における前記積層体の端部の丁合いを待機するように前記丁合装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像記録体の作製装置である。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の画像記録体の作製装置において、前記ラミネート装置は、外周面に接合領域を有し、前記積層体を挟持搬送する一対の管状部材を含み、前記第2の検知装置は、前記一対の管状部材各々の前記接合領域を検出する検出装置を含み、該検出装置によって前記接合領域各々が予め定められた所定時間毎に検出されなかったときに、前記ラミネート装置の異常を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像記録体の作製装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の画像記録体の作製装置によれば、画像記録体の作製装置における丁合装置及びラミネート装置の少なくとも一方の異常を検知したときに、画像形成装置における画像形成を待機するように画像形成装置を制御することができるので、画像記録体の作製装置の異常発生時に継続して画像形成装置による画像形成が行われることを抑制することができ、異常発生に対応し、信頼性の高い画像記録体を作製することができるという効果を奏する。
【0015】
請求項2に記載の画像記録体の作製装置によれば、画像記録体の作製装置におけるラミネート装置の異常を検知したときに、画像形成装置における画像形成および丁合装置における積層体の端部の丁合いを待機するように制御することができるので、画像記録体の作製装置の異常発生時に継続して画像形成装置による画像形成が行われることを抑制することができると共に、丁合装置における積層体の端部の丁合い動作を抑制することができ異常発生に対応し、信頼性の高い画像記録体を作製することができるという効果を奏する。
【0016】
請求項3に記載の画像記録体の作製装置によれば、ラミネート装置に含まれる管状部材の接合領域が所定時間毎に検出されなかったときに、ラミネート装置の異常を検知することができるので、ラミネート装置における異常発生時に対応し、信頼性の高い画像記録体を作製することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
まず、本実施の形態の画像記録体の作製装置により作製される画像記録体の一例について説明する。
【0019】
図2に示すように、本発明の画像記録体30は、支持体としてのコアシート38の表裏の少なくとも一方の面にトナー画像が形成された電子写真用の光透過性ラミネートフィルム(以下、「光透過性フィルム」と称する)を重ね合わせラミネートされてなる。
【0020】
画像記録体30は、画像21を形成された光透過性フィルム(以下、表面フィルムと称する場合がある)22aと、画像23を形成された光透過性フィルム(以下、裏面フィルムと称する場合がある)22bとが、画像21及び画像23が形成された面を互いに対向するようにコアシート38を介して積層されて構成され、且つこのコアシート38が光り光透過性フィルム22a及び光透過性フィルム22bによってラミネートされて構成されている。
【0021】
なお、画像記録体30の構成は、図2に示す例のみに限定されるものではなく、例えば、表面フィルム22a及び裏面フィルム22bの何れか一方が非光透過性フィルムであってもよいし、画像21、及び画像23のうち、いずれか一方の画像の形成を省略してもよい。また、表面フィルム22a及び裏面フィルム22bの何れか一方または双方の片面に画像を形成し、その非画像面を対向させてラミネートする形態であってもよい。この場合、フィルムにおける画像形成面をさらに保護用フィルムでラミネートしてもよい。したがって、光透過性フィルム表面に形成される画像は正像であってもよいし、鏡像であってもよい。
【0022】
次に、本発明に用いられる支持体、及び光透過性フィルムについて説明する。なお本発明においては、前述のように、図2に示す画像記録体30を作製する場合は、支持体はコアシート38、光透過性フィルムは光透過性フィルム22a、光透過性フィルム22bである。
【0023】
−コアシート−
本発明において用いられるコアシートは、プラスチックシート(画像記録体)としたときの光透過性フィルムに形成された画像が見えやすいよう不透明であることが好ましく、白色に着色されていることがより好ましい。
【0024】
コアシートの材質としては、プラスチックが使用される。具体的には、アセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、塩化ビニールなどがあり、中でもポリエステルフィルム、塩化ビニール等が好ましく用いられる。
【0025】
コアシートとしては、これらに顔料や染料などが添加され着色される。また、コアシートは、フィルム状、板状であってもよいし、可とう性を有しない程度、または、コアシートとしての要求に必要な強度を有する程度に厚みを有する形状であってもよい。
【0026】
本発明に用いられるコアシートとしては、厚さ50〜5000μmの範囲のプラスチックからなるフィルムを用いることが好ましく、厚さ100〜1000μmの範囲のPETフィルムを用いることがより好ましい。
【0027】
−光透過性フィルム−
本発明における光透過性フィルムは、光透過性を有することが必要であり、この光透過性フィルムに使用可能な基体は、透明性を有することが必要である。ここで、透明性とは、例えば、可視光領域の光をある程度、透過する性質をいい、本発明においては、少なくとも形成された画像が、画像が形成された面と反対側の面から基体を通して目視できる程度に透明であればよい。
【0028】
上記基体としては、前記コアシートの材料として用いることができるプラスチックのフィルムを同様に使用することができる。
また、上記各種プラスチックのフィルムの中でも、ポリエステルフィルム、特に、前記PETGや、前記PETにポリカーボネートを混ぜアロイ化させたもの、さらに二軸延伸しないPETで、A−PETと呼ばれる非晶質系ポリエステル等をより好ましく用いることができる。
【0029】
上記基体のビカット軟化温度は、70〜130℃の範囲であることが好ましく、80〜120℃の範囲であることがより好ましい。
上記ビカット軟化温度が70℃に満たないと、加熱圧着工程において、コアシート(コア)に光透過性フィルムを十分に密着・接着させることができない場合がある。また、ビカット軟化温度が130℃を超えると、上記密着・接着は十分でっても画像(画像形成材料)または後述する塗工層が軟化しすぎてしまい、画像に欠陥(画像流れ)が発生してしまう場合がある。
【0030】
上記ビカット軟化温度とは熱可塑性樹脂の軟化温度評価の一方法から測定されるものであって、その測定方法は、成形されたプラスチック材料の耐熱性を試験する方法として、熱可塑性樹脂に対しては、JIS K7206やASTM D1525、ISO306にその方法が規定されている。
【0031】
一方、基体の少なくとも片面の表面抵抗率が1×108Ω以上1×1013Ω以下の範囲であることが好ましく、1×109Ω以上1×1011Ω以下の範囲であることがより好ましい。
上記表面抵抗率が1×108Ωに満たないと、特に、高温高湿時に画像記録体の抵抗値が低くなりすぎ、例えば転写部材からの転写トナーが乱れる場合があり、また、表面抵抗率が1×1013Ωを超えると、画像記録体として使用される光透過性フィルムの抵抗値が高くなりすぎ、例えば転写部材からのトナーをフィルム表面に移行できず、転写不良による画像欠陥が発生する場合がある。
【0032】

なお、上記表面抵抗率は、JIS K 6271における二重リング電極法に準拠した方法で測定し、同時に提示されている計算式に則ることにより求めたものである。より具体的には、(株)アドバンテスト社製 デジタル超高抵抗/微小電流計R8340に超高抵抗測定用試料箱(プローブ)を接続したものに、23℃、55%RHの環境下で、印加電圧1000Vで60秒後の電流値を基にJIS K 6271に規定されている計算式から求めた また、電子写真用ラミネートフィルムにおいて、片面のみが上記範囲の表面抵抗率を有する場合には、当該面は画像が形成される側の面であることが好ましい。
【0033】
前記基体の少なくとも片面の表面抵抗率を1×108Ω以上1×1013Ω以下の範囲に制御するにあたっては、基体となるフィルム製造時、直接界面活性剤、高分子導電剤や導電性微粒子などを樹脂中に添加したり、上記フィルム表面に界面活性剤を塗工したり、金属薄膜を蒸着したり、あるいは接着剤などに界面活性剤などを適量添加したりすることで調整することができる。
【0034】
前記基体の厚さは、50μm以上500μm以下の範囲が好ましく、75μm以上150μm以下の範囲がより好ましい。厚さが50μmに満たないと搬送不良となる場合があり、300μmを超えると転写不良による画像劣化となる場合がある。
【0035】
本発明における電子写真用ラミネートフィルムは、基体の片面に画像受像層が形成されることが好ましく、またこの画像受像層が形成される面と反対側の面に機能性制御手段が設けられることが好ましい。
前記機能性制御手段は、光沢性、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、及び帯電性を制御する機能から選択される少なくとも1つ以上の機能を有するものであることが好ましく、具体的には、基体の表面に対し、光沢性、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、導電性、さらに好ましくは耐湿性、耐熱性、撥水性、耐磨耗性及び耐傷性などの様々な機能を付加及び/または向上させるために設けられる。これにより、前記機能性制御手段を有する電子写真用ラミネートフィルムは、様々な使用条件に対して耐性を有することができる。
【0036】
次に、上記画像記録体を得ることができる本実施の形態の画像記録体の作製装置について、図面を用いて説明する。
【0037】
図1には、本実施の形態の画像記録体の作製装置10を示した。この画像記録体の作製装置10は、図2に示した画像記録体30を作製するためのものであり、前記光透過性フィルム22a及び光透過性フィルム22bとして光透過性フィルムを用いている。
【0038】
本発明の画像記録体の作製装置10は、図1に示すように、画像形成装置12、丁合装置14、及びラミネート装置16、を含んで構成されている。
【0039】
画像形成装置12は、光透過性フィルム22を貯留するための光透過性フィルム貯留部18と、光透過性フィルム22に画像を形成するための画像形成部20と、光透過性フィルム貯留部18から画像形成部20へ光透過性フィルム22を搬送する搬送路24と、画像形成部20によって画像形成された光透過性フィルム22を画像形成部20から排出口28へと搬送する搬送路26と、を含んで構成されている。
【0040】
光透過性フィルム貯留部18には、光透過性フィルム22が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているような送り出しロールや給紙ロール25が備えられ、所定のタイミングで給紙ロール25等が回転し、画像形成部20へ光透過性フィルム22を搬送する。
【0041】
画像形成部20は、図示しないが、静電潜像を形成する潜像担持体、潜像担持体に形成された静電潜像を少なくともトナーを含む現像剤を用いて現像することで静電潜像に応じたトナー画像を形成する現像器、現像されたトナー画像を光透過性フィルム22に転写する転写器、及び光透過性フィルム22に転写されたトナー画像を加熱及び/又は加圧することでこのトナー画像を光透過性フィルム22に定着する定着器等を含む、公知の電子写真方式の装置で構成されている。
【0042】
搬送路24、及び搬送路26は、駆動ローラ対を含む複数のローラ対やガイド(図示省略)から構成されており、さらに搬送路26には、光透過性フィルム22の搬送方向を180°反転させる反転路26aが設けられている。
【0043】
搬送路26と反転路26aとの分岐付近には、光透過性フィルム22の案内方向を変更するカム32が設けられている。この反転路26aで光透過性フィルム22を往復させ、再び搬送路26に戻すことで、光透過性フィルム22の搬送方向が180°反転されると共に、光透過性フィルム22の表裏が反転して搬送される。
【0044】
丁合装置14は、コアシート38を貯留するコアシート貯留部34、丁合いトレイ36(丁合装置及び位置決め装置に相当)、コアシート貯留部34から丁合いトレイ36へコアシート38を供給する搬送路40、画像形成装置12の排出口28から排出された光透過性フィルム22を丁合いトレイ36へ供給する搬送路42と、クリーニング装置33と、から構成されている。
【0045】
コアシート38を丁合いトレイ36へ供給する搬送路40のコアシート38排出部と、光透過性フィルム22を丁合いトレイ36へ供給する搬送路42の光透過性フィルム22の排出部は、高さ方向に並列して設けられている。
【0046】
搬送路40、及び搬送路42としては、平滑な板状部材と、この板状部材表面において光透過性フィルム22を搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転するベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして光透過性フィルム22が画像形成装置12から丁合装置14の搬送路42を介して丁合いトレイ36へ排出されるタイミング、又はコアシート38が丁合いトレイ36へ排出されるタイミングで搬送ロールやベルトが回転し、光透過性フィルム22又はコアシート38を丁合いトレイ36に搬送する。
【0047】
丁合いトレイ36には、丁合いトレイ36上に光透過性フィルム22またはコアシート38が丁合いトレイ36上に存在するか否かを検知するための検知部70が設けられている。
【0048】
コアシート貯留部34には、コアシート38が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているような送り出しロールや給紙ロールが備えられ、丁合いトレイ36がコアシート貯留部34の排出口の位置に移動した直後のタイミングで給紙ロール等が回転し、丁合いトレイ36にコアシート38を搬送する。
【0049】
丁合いトレイ36には、搬送路40排出部と搬送路42排出部からコアシート38及び光透過性フィルム22各々が丁合いトレイ36に供給されるように、例えば、その端部の一部が上下(図1中上下方向)に張架された図示を省略するベルト外壁に連結されており、当該ベルトの回転駆動に伴い昇降するよう構成されている。このような昇降手段に限らず、モーター駆動方式など、公知の昇降手段を適用させることができる。また、丁合いトレイ36には、丁合いトレイ36に積層されるように排出されたコアシート38及び光透過性フィルム22の端部を揃えるための位置決め装置としての位置決め部36aが設けられており、所定方向に傾斜された丁合いトレイ36の傾斜方向端部にこの位置決め部36aを設けることによって、丁合いトレイ36上に排出されたコアシート38及び丁合いトレイ36の端部が揃えられるように構成されている。
【0050】
また、丁合いトレイ36には、丁合いトレイ36上に、コアシート38を介して2つの光透過性フィルム22が積層されるように排出された積層体39を仮止めする仮止め装置44が設けられている。この仮止め装置44は、例えば、ヒータなどにより加熱されるよう金属からなる一対の突片で構成されており、この加熱された一対の突片により積層体39の端部近傍を挟持することで、積層体39の端部近傍を熱溶着して仮止めする。仮止めされた積層体39は、搬送ロール43によってクリーニング装置33へと搬送された後に、次工程のラミネート装置16へと搬送される。
【0051】
なお、仮止め装置44が、丁合いトレイ36からラミネート装置16への積層体39の搬送路上に設けられる場合には、仮止め装置44は、積層体39を仮止めする時のみ丁合いトレイ36の端部に配置され、それ以外のときは上記搬送路から退避できる構造をとる必要がある。
【0052】
クリーニング装置33には、1対又はそれ以上のクリーニングロール対37が設置されており、このクリーニングロール対37のニップを通過することで、積層体39上の表面ゴミ、埃が除去される(クリーニング工程)。このクリーニングロール対37としては、複数個設置することがゴミ、埃の除去性能を向上させることは言うまでもなく、クリーニングロール対37をクリーニングするクリーナ(図示せず)を設けることで、クリーニングロール対37の性能をより維持できるものである。
【0053】
クリーニングロール対37としては粘着ロールが用いられ、より具体的には、芯金の周囲にブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどの粘着性の弾性体を設けたものが用いられる。ただし、長期使用において内部の低分子化合物が染み出したり、材料そのものの一部が積層体表面に付着するような材料を用いることは好ましくない。
【0054】
なお、本実施形態においては粘着ロールからなるクリーニングロール対37を用いているが、ゴミ等の異物除去手段としてはこれに限られるわけではなく、ブラシ、エアーブローなどゴミを除去できるものであれば特に制限されない。
【0055】
また、クリーニング装置33には、クリーニングロール対37の上流側に積層体39の除電を行う除電部材35が設置されている。この除電部材35は除電ブラシであっても良いし、イオンを吹き付けるファン、ブロワーであっても構わない。このように除電部材35を設置することで、光透過性フィルムの静電気によるゴミ・埃の吸着力を減少させ、クリーニング装置33におけるゴミ・埃の除去性能を向上させることができる。
【0056】
なお、クリーニング装置33は、画像形成装置と丁合いトレイ36(丁合い装置)との間、丁合いトレイ36(丁合い装置)とラミネート装置16との間のいずれに設けてよいが、本実施形態のように、丁合いトレイ36(丁合い装置)とラミネート装置16との間に設置すること、すなわちラミネート装置16に入る直前の積層体39の表裏をクリーニングすることが、ラミネート(加熱圧着)後の画像記録体中のゴミ・埃を低減する上で最も好ましい。このことは、一対のベルト対(46A、46B:「管状部材」に相当)から構成されるベルトニップ方式のラミネート装置16の場合に顕著である。
【0057】
ラミネート装置16は、詳細は後述するが、一対のベルト46A及びベルト46Bから構成されるベルトニップ方式を採用することができる。それぞれのベルト46A及びベルト46Bの内周面側には、加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bが設けられている。そして、ベルト46A及びベルト46Bの排出部には、排出トレイ56が設けられている。
【0058】
ラミネート装置16における圧着方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。例えば、前記積層体を熱ロール対などによるニップ部に挿通させることにより、両者をある程度熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置、あるいは熱プレス技法、ならびに熱プレス装置を用いて、圧着させることができる。
【0059】
本実施形態では、まず、画像形成装置12において、光透過性フィルム22のうち、コアシート38の裏面(図面中下側)に圧着される第1の光透過性フィルム22aが、光透過性フィルム貯留部18から搬送路24を経由して画像形成部20へと供給され、第1の光透過性フィルム22aの上面(図中上側)に電子写真方式により所定のトナー画像が転写された後、定着され定着画像が形成される(画像形成工程)。このとき、第1の光透過性フィルム22aの上面に定着画像が形成されているので、第1の光透過性フィルム22aは、そのまま搬送路26を経て排出口28へ搬送され、丁合装置14へと送られる。
【0060】
そして、丁合装置14において、第1の光透過性フィルム22aは、丁合装置14の搬送路42を経て、丁合いトレイ36へと供給される。ここで、搬送路42排出部を出た第1の光透過性フィルム22aは、第1の光透過性フィルム22aの画像面は上面を向くように、その自重により丁合いトレイ36へ供給される。
【0061】
次に、丁合いトレイ36を、搬送路40排出部付近まで昇降させ、コアシート38を、コアシート貯留部34から搬送路40を経て、丁合いトレイ36へと供給される。ここで、搬送路40排出部を出たコアシート38は、その自重により丁合いトレイ36へと供給され、第1の光透過性フィルム22aと重ねられる。
【0062】
次に、画像形成装置12において、コアシート38の表面(図面中上側)に圧着される第2の光透過性フィルム22bが、光透過性フィルム貯留部18から搬送路24を経由して画像形成部20へと供給され、第2の光透過性フィルム22bの上面(図中上側)に電子写真方式により所定のトナー画像が転写された後、定着され定着画像が形成される(画像形成工程)。第2の光透過性フィルム22bの上面に定着画像が形成されているので、第2の光透過性フィルム22bは、搬送路26を通り、一端、反転路26aを経由して、再び搬送路26に戻り排出口28へ搬送され、丁合装置14へと送られる。
【0063】
このとき、搬送路26と反転路26aの分岐付近において、カム32はその先端が搬送路26に重なるように駆動され、カム32の先端位置に到達した第2の光透過性フィルム22bは搬送方向が変更され、反転路26aへと案内搬送される。そして、第2の光透過性フィルム22bが反転路26aに到達した後、図示しない駆動ロールを反転させ、2の光透過性フィルム22bを反転路26aで往復移動させて、再び搬送路26に戻す。このため、搬送路26に戻った第2の光透過性フィルム22bは、搬送方向が180°反転される共に、その表裏も反転し、画像面が下側(図中下側)を向いて搬送されることとなる。
【0064】
そして、丁合装置14において、第2の光透過性フィルム22bは、丁合装置14の搬送路42を経て、丁合いトレイ36へと供給される。ここで、搬送路42排出部を出た第2の光透過性フィルム22bは、第2の光透過性フィルム22bの画像面が下面は上面を向くように、その自重により丁合いトレイ36へ供給され、コアシート38と重ねられる。
【0065】
このように、丁合いトレイ36には、画像面が上向きの第1の光透過性フィルム22a、コアシート38、及び画像面が下向きの第2の光透過性フィルム22bの順番で供給されると共に重ねられる(積層工程)。この積層体39は、コアシート38を介して、第1の光透過性フィルム22a及び第2の光透過性フィルム22bがその画像面を対面して積層されている。
【0066】
次に、丁合いトレイ36上の第1の光透過性フィルム22a、コアシート38、及び第2の光透過性フィルム22bの端部を、丁合いトレイ36を位置決め部36aの設置方向に傾斜させて位置決め部36aに端部が当接されることにより揃え、続いて、仮止め装置44により、積層体39の端部を仮止めする。仮止めされた積層体39は、ラミネート装置16へ搬送される。なお、光透過性フィルム22、及びコアシート38のサイズは、同等であるものとして説明することから、積層体39の端部を位置決め部36aによって揃えることで、積層体39を構成する各光透過性フィルム22a、光透過性フィルム22b、及びコアシート38の位置決めを行なうことができる。
【0067】
最後に、ラミネート装置16では、第1の光透過性フィルム22a、コアシート38、及び第2の光透過性フィルム22bによって構成される積層体39を、ベルト46A及びベルト46Bによるニップ間に通過させて、加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bによって加熱・加圧処理を施すことにより、コアシート38を第1の光透過性フィルム22a及び第2の光透過性フィルム22bでラミネートする(ラミネート工程)(詳細後述)。
【0068】
積層体39がラミネートされることで形成された画像記録体30は、排出トレイ56に排出される。排出トレイ56には、排出トレイに画像記録体30が排出されたことを検知するための検知部76が設けられている。なお、画像記録体30に個別の画像が複数形成されている場合、この画像毎に裁断し、所定のサイズのプラスチックシート等の画像記録体30を得ることができる。
【0069】
画像記録体の作製装置10には、各種情報を表示するための表示部78が設けられている。表示部78としては、液晶パネルや、CRT等を用いることができる。
【0070】
次に、本実施の形態の画像記録体の作製装置10のラミネート装置16について詳細に説明する。
【0071】
画像記録体の作製装置10に設けられたラミネート装置16は、図4に示すように、ベルト46A及びベルト46Bから構成されるベルトニップ方式を採用することにより、画像記録体30を容易にオンラインで作製できる構成となっている。前記ベルト46Aは、テンションロール50Aとインレットロール48Aとにより張架された状態で、テンションバネ60Aによりベルト46Aに歪みを生じ無いように構成されている。同様にベルト46Bは、テンションロール50Bとインレットロール48Bとにより張架された状態で、テンションバネ60Bによりベルト46Bに歪みを生じ無いように構成されている。
【0072】
ベルト46Aの内部には、テンションロール50Aとインレットロール48Aとの間に、加熱加圧ロール54A及び冷却ロール58Aが設けられている。また、ベルト46Bの内部には、テンションロール50Bとインレットロール48Bとの間に、加熱加圧ロール54B及び冷却ロール58Bが設けられている。
【0073】
これらのテンションロール50Aとテンションロール50B、インレットロール48A及びインレットロール48B、加熱加圧ロール54Aと加熱加圧ロール54B、及び冷却ロール58Aと冷却ロール58Bは、各々ベルト46A及びベルト46Bを介して互いに対向するように設けられている。また、加熱加圧ロール54Aと加熱加圧ロール54B、及び冷却ロール58Aと冷却ロール58Bは、ベルト46A及びベルト46Bを介して互いに圧接されるように配置されている。
【0074】
なお、テンションロール50Aとテンションロール50B、及びインレットロール48A及びインレットロール48Bは、各々ニップさせず、ベルト46Aとベルト46Bとの間に間隙が設けられるように設置されている。これにより、連続稼動によりベルト46A及びベルト46Bの少なくとも一方が蛇行しても、稼動させながらベルト46A及びベルト46Bを所定の位置に戻すことが可能である。
【0075】
使用されるベルト46A及びベルト46Bの材料としては熱変形量の小さい金属材料を用いることが望ましいが、プラスチック材料でもガラスを混ぜる等の処方により熱変形を小さくした材料を用いても構わない。また、ベルト46A及びベルト46Bが蛇行した際に所定の位置に戻すためにインレットロール48A及びインレットロール48B、テンションロール50A及びテンションロール50Bには摩擦係数にして0.3以下となるような低摩擦材料(金属系、プラスチック系等どちらでも可)を用いることが望ましい。
これらのベルト46A及びベルト46Bは、上記金属材料やプラスチック材料等から構成された板状体を管状にして端部を溶接して接合することにより、管状のベルトとして構成されている。このため、図3に示すように、ベルト46A及びベルト46B各々の外周面上には、板状体の両端部が接合された領域である接合領域(以下、シームと称する)47A及び接合領域(以下、シームと称する)47B各々が存在している。
【0076】
ベルト46A及びベルト46Bが蛇行した際に所定の位置に復帰させる方法としては図示しないが、ベルト46A及びベルト46Bが所定の位置よりずれないようにストッパーを設置してもよいし、左右に設置したテンションバネ60A及びテンションバネ60Bのバネ力をコントロールしてベルト46A及びベルト46B各々の蛇行を防止するようにしてもよい。
【0077】
ラミネート装置16における圧着方法としては、加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bによって、ベルト46A及びベルト46Bを介して挟持搬送されることで、積層体39は加熱加圧される。この工程を経ることによって積層体39は熱融着される。ここで、インレットロール48Aとインレットロール48Bとはニップさせず、一対のベルト46A及びベルト46B間に間隙が設けられているため、積層体39は加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bによって挟持される領域に突入する以前には急激な圧力がかけられず、ベルト46A及びベルト46Bのニップ力と加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bからの予熱により仮ラミネートされながら、加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bへのニップへと搬送される。このような仮ラミネート工程を経ることによりコアシート38と光透過性フィルム22はその熱膨張係数の差があったとしても熱による両者の伸びの相違を緩和することでき、位置ずれのない画像記録体30を得ることができる。
【0078】
なお、加熱加圧ロール54Aと加熱加圧ロール54Bとのニップ領域の近傍には、加熱加圧ロール54Aによる加熱温度を測定するための温度センサ55Aと、加熱加圧ロール54Bによる加熱温度を測定するための温度センサ55Bと、が設けられている。これらの温度センサ55A及び温度センサ55B各々は、加熱加圧ロール54Aと加熱加圧ロール54Bとによるラミネート温度を測定可能な装置であればよく、いかなる装置を用いても良い。また、本実施の形態は、図4に示すように、温度センサ55Aは、加熱加圧ロール54Aのベルト46A搬送方向下流側に設けられ、温度センサ55Bは、加熱加圧ロール54Bのベルト46B搬送方向下流側に設けられている場合を説明するが、加熱加圧ロール54Aと加熱加圧ロール54Bとによるラミネート温度を測定可能な位置に設けられていれば良く、このような位置に限られるものではない。
【0079】
加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bでニップを形成している範囲(図3中、Bの範囲)は積層体39の接着工程(接着部)であるが、このニップ部を通過した積層体39は冷却工程(冷却部)へと突入する(図4中、Cの範囲)。
【0080】
ここで、冷却ロール58A及び冷却ロール58B各々は、ベルト46A及びベルト46B各々が加熱加圧ロール54Aと冷却ロール58Bとの間、及び加熱加圧ロール54Aと加熱加圧ロール54Bとの間で変形を生じないようにニップされているが、加熱加圧ロール54Aと加熱加圧ロール54Bとの間を通過した直後のベルト46A及びベルト46Bの領域は、波打ち形状に変形を起こす。これは、加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bのニップ部ではその圧力によりベルト46A及びベルト46Bが膨張できず、ニップ部通過直後にその圧力が解放されベルト46A及びベルト46B各々が伸びるためである。この伸びによる波打ち変形のため、積層体39も波打ち形状に変形を起こす。
【0081】
しかしながら、冷却工程におけるベルト46A及びベルト46Bの波打ちは一定距離以内に解消され、その後冷却ロール58Aと冷却ロール58Bとの対向領域を通過するようになっている。すなわち、画像記録体30は加熱加圧ロール54Aと加熱加圧ロール54Bの間を通加した直後、ベルト46A及びベルト46Bの変形に従い変形しているが、その後はベルト46A及びベルト46Bの波打ち変形解消に従い、画像記録体30も平面形状へと補正される。詳細にはベルト46A及びベルト46B各々の波打ち変形が解消されるように、積層体39の温度を加熱加圧ロール54Aと加熱加圧ロール54Bとの対向領域を通過した後にTG(ガラス転移温度)以上からTG以下へと冷却させるため、加熱加圧ロール54Aと冷却ロール58Aとの間、及び加熱加圧ロール54Bと冷却ロール58Bとの間に、各々冷却ファン56A及び冷却ファン56Bを設置している。このため、積層体39は平面性を維持したまま冷却ロール58Aと冷却ロール58Bとの対向領域を通過し、その後テンションロール50A及びテンションロール50Bから排出されることとなる。もちろん、加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54B各々の温度が積層体39のTG以上の温度であり、冷却ロール58A及び冷却ロール58B各々の温度が積層体39のTG以下の温度であることは言うまでもない。
【0082】
なお、本実施形態では、この冷却ファン56A及び冷却ファン56Bは、積層体39の冷却を促進させ、強制的にTG以下とさせるために設置させているが、ラミネート速度が十分に遅い場合にはこの限りではなく、冷却ファン56A及び冷却ファン56Bを設置せず自然冷却させても積層体39は十分TG以下まで冷却されるため、冷却ファン56A及び冷却ファン56B各々を設置する必要はない。
【0083】
また、連続稼動によるベルト46A及びベルト46B各々の汚れ等を除去するために、ベルト46A及びベルト46B各々の外周面に当接されるように、クリーニング装置52A及びクリーニング装置52Bが設けられている。
【0084】
さらに、ラミネート装置16には、ベルト46A及びベルト46B各々上のシーム47A及びシーム47B各々を検知するための検知部72及び検知部74が設けられている。
【0085】
画像記録体の作製装置10には、画像記録体の作製装置10の上記装置各部を制御するため制御部60が設けられている(図1、図5参照)。
図5に示すように、制御部60は、中央制御部68、画像形成駆動部62、丁合駆動部64、及びラミネート駆動部66を含んで構成されている。
【0086】
中央制御部68は、画像記録体の作製装置10に搭載されている装置各部を制御するための制御部であって、互いにバス(図示省略)で接続されたCPU(中央演算処理装置)68Aと、メモリ68Bと、を含んで構成されている。メモリ68Bは、ROM(リード・オンリ・メモリ)及びRAM(ランダム・アクセス・メモリ)を含んで構成されている。このメモリ68B内には、後述する図6に示す処理ルーチン等のプログラムが予め記憶されており、CPU68Aがこのプログラムを実行することによって画像記録体の作製装置10を制御するように構成されている。なお、このプログラムは、画像記録体の作製装置10の図示を省略するスイッチが操作されて画像記録体の作製装置10の装置各部に電力が供給されたときに、CPU68Aによって読み出されるものとする。
【0087】
中央制御部68は、画像形成駆動部62、丁合駆動部64、ラミネート駆動部66、表示部78、検知部70、検知部72、検知部74、検知部76、温度センサ55A、及び温度センサ55Bに信号授受可能に接続されている。
【0088】
画像形成駆動部62は、画像形成装置12の装置各部を制御するための駆動部であって、マイクロコンピュータを含んで構成されている。画像形成駆動部62は、中央制御部68から受信した信号に基づいて装置各部の駆動を制御することによって、光透過性フィルム22a及び光透過性フィルム22bの搬送や、画像形成装置12における光透過性フィルム22a及び光透過性フィルム22bへの画像形成部20における画像形成処理等を制御する。
【0089】
丁合駆動部64は、丁合装置14の装置各部を制御するための駆動部であって、マイクロコンピュータを含んで構成されている。丁合駆動部64は、中央制御部68から受信した信号に基づいて、丁合装置14内の装置各部を制御することによって、画像形成装置12から排出された光透過性フィルム22aの丁合いトレイ36への排出、丁合いトレイ36へのコアシート38の供給、丁合いトレイ36上に排出された積層体39(コアシート38を介して2つの光透過性フィルム22が積層された積層体)の仮止め装置44による仮止め、仮止めした積層体39のクリーニング装置33への搬送、及びクリーニング装置33を経由した積層体39のラミネート装置16への搬送等の処理を実行する。
【0090】
ラミネート駆動部66は、互いにバス(図示省略)で接続されCPU66Aと、ROM及びRAM等のメモリ66Bを含んで構成されている。このメモリ66B内には、後述する図7に示す処理ルーチン等のプログラムが予め記憶されており、制御部66Aがこのプログラムを実行することによって、ラミネート駆動部66における積層体39のラミネート処理が実行される。なお、このプログラムは、画像記録体の作製装置10の図示を省略するスイッチが操作されて画像記録体の作製装置10の装置各部に電力が供給されたときに、CPU66Aによって読み出されるものとする。
【0091】
次に、中央制御部68のCPU68Aで実行される処理を説明する。
中央制御部68のCPU68Aでは、画像記録体の作製装置10に電力が供給されて装置各部に電力が供給された後に、画像記録体30の作製開始を示す信号を入力するため操作スイッチ(図示省略)が操作されて画像記録体30作製開始を示す信号が中央制御部68に入力されると、図6に示す処理ルーチンが実行されてステップ100へ進む。
なお、上記図示を省略する操作スイッチは、中央制御部68に信号授受可能に接続されているものとする。
【0092】
ステップ100では、丁合いトレイ36に光透過性フィルム22及びコアシート38が存在せず、丁合いトレイ36が空の状態であるか否かを判別する。ステップ100の判断は、検知部70からの入力信号を判別することによって判断可能である。例えば、検知部70として、図示は省略するが、丁合いトレイ36に光を照射する光照射部と、該光照射部から照射された光の反射光を読み取る読取部と、から構成し、この読取部からの光の強度を示す信号が入力されるようにし、この入力された信号によって示される光の強度が、予め記憶しておいた丁合いトレイ36が空であるときの強度であるか否かを判別することによって判断すればよい。
【0093】
ステップ100で否定されて、丁合いトレイ36が空ではない場合には、ステップ102へ進み、画像形成処理を待機することを示す画像形成待機指示信号を画像形成駆動部62へ出力する。
【0094】
ステップ100の処理によって、画像形成待機指示信号を受け付けた画像形成駆動部62は、画像形成装置12における画像形成処理を待機した状態となる。
【0095】
次のステップ104では、丁合いトレイ36が空ではないことを示すエラー情報を、表示部78に表示した後に、上記ステップ100へ戻る。
【0096】
上記ステップ100で肯定されて、丁合いトレイ36が空である場合には、ステップ106へ進み、画像形成待機を解除することを示す画像形成待機解除信号を画像形成駆動部62へ出力する。
次のステップ108では、光透過性フィルム22に画像を形成することを示す画像形成指示信号を画像形成駆動部62へ出力する。
【0097】
上記ステップ106及びステップ108の処理によって、画像形成処理待機解除信号を受け付けた画像形成駆動部62は、画像形成処理の待機を解除した後に、画像形成指示信号を受け付けることによって、光透過性フィルム22への画像形成処理を画像形成部20において実行した後に、画像を形成した光透過性フィルム22を丁合装置14へと搬送する。
なお、丁合装置14では、画像形成装置12から光透過性フィルム22が供給されると、供給された光透過性フィルム22を丁合いトレイ36へと搬送するように構成されている。光透過性フィルム22が丁合装置14へ供給されたか否かの判別は、画像形成装置12から丁合装置14へ光透過性フィルム22を搬送する搬送ローラ21aに検知部を設けてこの検知部と丁合駆動部64とを信号授受可能に接続し、該検知部からの信号入力を判別したときに、画像形成装置12から供給された光透過性フィルム22を丁合いトレイ36まで搬送するように搬送ローラ21a、搬送ローラ21b、搬送ローラ21cを駆動して搬送路42を搬送して丁合いトレイ36まで搬送すればよい。
【0098】
すなわち、ステップ108の処理が実行されることによって、光透過性フィルム貯留部18から光透過性フィルム22が画像形成部20へと搬送されて画像形成部20において光透過性フィルム22に画像が形成される。この処理によって、画像記録体30の裏面側に相当する光透過性フィルム22bに画像が形成された状態となる。そして、画像を形成された光透過性フィルム22が搬送路42を介して丁合いトレイ36まで搬送される。
【0099】
次のステップ110では、上記ステップ108の処理によって画像を形成された光透過性フィルム22が丁合いトレイ36に正常に排出されたか否かを判別する。ステップ110の判断は、検知部70の入力信号を判別することで判別可能である。例えば、検知部70の読取部からの光の強度を示す信号によって示される光の強度が、予め記憶しておいた丁合いトレイ36に光透過性フィルム22が1枚載せられた状態であるときの強度であるか否かを判別することによって判断すればよい。
【0100】
ステップ110で否定されて、光透過性フィルム22が正常排出されたことが検出されなかった場合には、ステップ112へ進み、上記ステップ102と同様に、画像形成の待機を示す画像形成待機指示信号を画像形成装置12の画像形成駆動部62へ出力した後に、ステップ114へ進む。
【0101】
ステップ114では、光透過性フィルムが丁合いトレイ36に正常に排出されなかった事を示すエラー情報を表示部78に表示した後に、上記ステップ110へ進む。
【0102】
上記ステップ110で肯定されて、光透過性フィルム22が丁合いトレイ36に正常に排出された場合には、ステップ116へ進み、コアシート38を丁合いトレイ36の光透過性フィルム22上に積層するように供給することを示すコアシート供給指示信号を丁合駆動部64へ送信する。
【0103】
ステップ116の処理によって、コアシート供給指示信号を受け付けた丁合装置14では、丁合駆動部64の制御によって、丁合いトレイ36をコアシート貯留部34の供給口の位置に移動させると共に、該丁合いトレイ36がコアシート貯留部34の排出口の位置に移動した直後のタイミングで給紙ロール等を回転させて、丁合いトレイ36にコアシート38を搬送する。
【0104】
次のステップ118では、丁合いトレイ36にコアシート38が供給された正常排出状態、すなわち、光透過性フィルム22上にコアシート38が積層された状態であるか否かを判別する。
ステップ108の判断は、検知部70からの入力信号を判別することによって判断可能である。例えば、検知部70として、図示は省略するが、丁合いトレイ36に光を照射する光照射部と、該光照射部から照射された光の反射光を読み取る読取部と、から構成し、この読取部からの光の強度を示す信号が入力されるようにし、この入力された信号によって示される光の強度が、予め記憶しておいた丁合いトレイ36上の光透過性フィルム22上にコアシート38が積層された状態であるときの強度であるか否かを判別することによって判断すればよい。
【0105】
ステップ118で否定されて、丁合いトレイ36にコアシート38が正常に排出された状態ではない場合には、ステップ120へ進み、画像形成処理を待機することを示す画像形成待機指示信号を画像形成駆動部62へ出力する。
【0106】
ステップ120の処理によって、画像形成待機指示信号を受け付けた画像形成駆動部62は、画像形成装置12の画像形成部20における画像形成処理を待機した状態となる。
【0107】
次のステップ122では、丁合いトレイ36にコアシート38が正常に排出されなかった事を示すエラー情報を、表示部78に表示した後に、上記ステップ118へ戻る。
【0108】
上記ステップ118で肯定されて、丁合いトレイ36に光透過性フィルム22及びコアシート38が順に積層された状態である場合には、ステップ124へ進み、画像形成待機を解除することを示す画像形成待機解除信号を画像形成駆動部62へ出力する。
次のステップ126では、光透過性フィルム22に画像を形成することを示す画像形成指示信号を画像形成駆動部62へ出力する。
【0109】
上記ステップ124及びステップ126の処理によって、画像形成処理待機解除信号を受け付けた画像形成装置12の画像形成駆動部62は、画像形成処理の待機を解除した後に、画像形成指示信号を受け付けることによって、光透過性フィルム22への画像形成処理を実行した後に、画像を形成した光透過性フィルム22を丁合装置14へと搬送制御する。丁合装置14へと搬送された光透過性フィルム22は、上記ステップ108の処理で説明したのと同様にして、丁合いトレイ36へと搬送される。
【0110】
すなわち、ステップ126の処理が実行されることによって、光透過性フィルム貯留部18から光透過性フィルム22が画像形成部20へと搬送されて画像形成部20において光透過性フィルム22に画像が形成される。この処理によって、画像記録体30の表面側に相当する光透過性フィルム22aに画像が形成された状態となる。そして、画像を形成された光透過性フィルム22が搬送路42を介して丁合いトレイ36まで搬送される。
【0111】
次のステップ128では、上記ステップ126の処理によって画像を形成された光透過性フィルム22が丁合いトレイ36に正常に排出されたか否かを判別する。ステップ128の判断は、検知部70の入力信号を判別することで判別可能である。例えば、検知部70の読取部からの光の強度を示す信号によって示される光の強度が、予め記憶しておいた丁合いトレイ36に光透過性フィルム22とコアシート38と光透過性フィルム22とが1枚ずつ積層された状態であるときの強度であるか否かを判別することによって判断すればよい。
【0112】
ステップ128で否定されて、光透過性フィルム22が正常排出されたことが検出されなかった場合には、ステップ130へ進み、上記ステップ102と同様に、画像形成の待機を示す画像形成待機指示信号を画像形成駆動部62へ出力した後に、ステップ132へ進む。
【0113】
ステップ132では、光透過性フィルム22が丁合いトレイ36に正常に排出されなかった事を示すエラー情報を表示部78に表示した後に、上記ステップ128へ進む。
【0114】
上記ステップ138で肯定されて、光透過性フィルム22が丁合いトレイ36に正常に排出された場合には、ステップ136へ進み、丁合指示を示す丁合指示信号を丁合駆動部64へ送信する。
【0115】
丁合指示信号を受け付けた丁合駆動部64は、積層体39の端部近傍を挟持すると共にこの端部近傍を熱溶着して仮止めすることによって丁合するように仮止め装置44を制御する。
【0116】
丁合駆動部64では、仮止め装置44を制御することによって積層体39を仮止めするように仮止め装置44を制御した後に、丁合装置14内の図示を省略する搬送ローラや搬送ロール43を駆動制御して、丁合された積層体39をクリーニング装置33へ搬送させて、除電部材35及びクリーニングロール対37のニップを通過させることによって、積層体39上の埃等の付着物を除去する。
【0117】
次のステップ138では、ラミネート駆動部66へ、ベルト46A及びベルト46B各々のシーム47A及びシーム47B(以下、適宜、シーム47A及びシーム47Bを総称してシームと称して説明する場合がある)の検出処理開始指示を示すシーム検出処理開始指示信号をラミネート駆動部66へ送信する。
【0118】
ステップ138の処理によって、シーム検出処理開始指示信号を受け付けたラミネート駆動部66では、シーム検出処理を実行し(詳細後述)、正常にベルト46A及びベルト46B各々のシーム47A及びシーム47Bを検出した場合には検出正常を示す信号を中央制御部68へ出力し、異常検出した場合には、検出異常を示す信号を中央制御部68へ出力する。
【0119】
次のステップ140では、ラミネート駆動部66から、正常にシーム47A及びシーム47B各々を検出したことを示す検出正常情報及び検出異常情報の何れを受信したか判別し、異常情報を受信した場合には、ステップ142へ進む。
ステップ142では、上記ステップ102と同様に、画像形成の待機を示す画像形成待機指示信号を画像形成駆動部62へ出力する。画像形成待機指示信号を受け付けた画像形成駆動部62は、画像形成処理を待機する。
【0120】
次のステップ144では、積層体39のラミネート装置16への排出を待機することを示す積層体排出待機信号を丁合駆動部64へ出力する。積層体排出待機信号を受け付けた丁合駆動部64は、積層体39のラミネート装置16への排出を待機する。この積層体39のラミネート装置16への待機としては、仮止め装置44によって仮止めされてクリーニング装置33によって付着物の除去された積層体39をラミネート装置16へと搬送する搬送ローラの駆動を停止した状態で待機するように、丁合駆動部64が該搬送ローラを駆動制御することで、実現することができる。
【0121】
次のステップ146では、シーム検出異常を示す情報を表示部78に表示した後に、上記ステップ140へ進む。
【0122】
上記ステップ140において、検出正常情報を受信した場合には、ステップ148へ進み、積層体39の排出開始を示す積層体排出開始信号を丁合駆動部64へ出力する。
【0123】
積層体排出開始信号を受け付けた丁合駆動部64は、仮止め装置44によって仮止めされてクリーニング装置33によって付着物の除去された積層体39をラミネート装置16へと搬送する搬送ローラの駆動を開始してラミネート装置16へと搬送するように、該搬送ローラを制御する。これによって、仮止めされ、且つ付着物の除去された積層体39がラミネート装置16へと搬送される。
【0124】
次のステップ150では、ラミネート開始を示すラミネート開始信号をラミネート装置16へと出力する。
【0125】
ラミネート開始信号を受け付けたラミネート駆動部66は、詳細は後述するが、丁合装置14から供給された積層体39をベルト46A及びベルト46Bによるニップ間に通過させて、加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bによって加熱・加圧処理を施すことにより、コアシート38を第1の光透過性フィルム22a及び第2の光透過性フィルム22bでラミネートした後に、ラミネートされた積層体39、すなわち画像記録体30を排出トレイ56に排出する。
【0126】
次のステップ152では、画像記録体30が排出トレイ56に排出されたか否かを判別し、正常に排出された場合には、ステップ158へ進み、正常に排出されなかった場合には、ステップ154へ進む。
【0127】
ステップ152の判断は、検知部76から入力された入力信号が、画像記録体30の正常排出を示す正常信号であるか否かを判別することによって判断することができる。この検知部76としては、一例としては、排出トレイ56の画像記録体30が排出される側の面に、重力とは反対方向から光を照射する光照射部(図示省略)と、該光照射部から照射された光の反射光を読み取る読取部(図示省略)と、から構成し、この読取部から受信した光強度を示す信号が、画像記録体30の未検出時の強度を示す信号から、画像記録体30の検出時の強度を示す信号へと遷移したときに、画像記録体30の検出を示す信号を中央制御部68へ出力するように構成すればよい。
【0128】
また、検知部76としては、ラミネート装置16から排出トレイ56への出口に画像記録体30の通過を検知するセンサ(図示省略)を設けておき、このセンサによって画像記録体30が通過する時間を検出し、この時間が特定の長さのときに画像記録体30の検出を示す信号を中央制御部68へ出力するように構成してもよい。
【0129】
ステップ154では、上記ステップ102の処理と同様に、画像形成待機指示信号を画像形成駆動部62へ出力した後に、次のステップ156において、画像記録体30の排出トレイ56への排出異常を示す情報を表示部78に表示した後に、上記ステップ152へ戻る。
【0130】
ステップ158では、画像記録体の作製装置10の図示を省略する操作スイッチがユーザによって操作されて、処理終了を示す処理終了指示信号が入力されたか否かを判別し、否定されると上記ステップ100へ戻り、肯定されると本ルーチンを終了する。
【0131】
次に、上記ステップ150の処理によってラミネート開始信号がラミネート駆動部66へ出力されたときに、ラミネート駆動部66で実行される処理を説明する。
【0132】
ラミネート駆動部66の制御部66Aでは、図7に示す処理ルーチンが実行されて、ステップ200へ進み、中央制御部68からシーム検出処理開始指示信号を受信したか否かを判別し、否定されると本ルーチンを終了し、肯定されると、ステップ202へ進む。
【0133】
ステップ202では、ベルト46A及びベルト46Bの回転を開始する。ステップ202の処理では、具体的には、ベルト46A及びベルト46B各々を回転駆動するためのインレットロール48A及びインレットロール48Bを回転駆動するように、これらのインレットロール48A及びインレットロール48B各々を駆動するための駆動部(図示省略)を制御することによって、ベルト46A及びロール48Bの回転を開始する。
【0134】
次のステップ204では、検知部72からシーム47Aを検出したことを示す信号を受信し、且つ検知部74からシーム47Bを検出したことを示す信号を受信したか否かを判別し、否定されるとステップ206へ進み、予め定められた所定時間経過したか否かを判別し、否定されると上記ステップ204へ戻り、肯定されるとステップ208へ進む。
ステップ206における所定時間とは、上記ステップ202でベルト46A及びベルト46Bの回転が開始されてからの経過時間であって、予めメモリ66B内に記憶されているものとする。この所定時間は、ベルト46A及びベルト46B各々が一回転する間に要する時間を示している。なお、ベルト46A及びベルト46Bは、予め定められた所定の速度且つ等速で回転されているものとして説明する。
すなわち、ステップ206の処理では、ベルト46A及びベルト46B各々が一回転する間にシーム47A及びシーム47B各々が検出されたか否かを判断している。
【0135】
ステップ206で肯定され、この所定時間内(すなわちベルト46A及びベルト46B各々が一回転する間)にシーム47A及びシーム47B各々が検出されなかった場合には、ステップ208へ進み、シーム検出エラーを示す異常情報を中央制御部68へと送信した後に、本ルーチンを終了する。
【0136】
上記ステップ204で肯定されると、ステップ210へ進み、上記ステップ204で検出したベルト46Aのシーム47A、及びベルト46Bのシーム47B各々の検出時間(検出タイミング)をメモリ66Bに記憶する。
【0137】
次のステップ212では、さらに、検知部72からシーム47Aを検出したことを示す信号を受信し、且つ検知部74からシーム47Bを検出したことを示す信号を受信したか否かを判別し、否定されるとステップ214へ進む。ステップ214では、上記ステップ204でシーム47A及びシーム47B各々が検出されてから所定時間経過したか否かを判別し、否定されると上記ステップ212へ戻り、肯定されとステップ216へ進む。
なお、このステップ212における所定時間とは、上記ステップ206で説明した所定時間と同じ時間であるため、詳細な説明を省略する。
【0138】
ステップ216では、前回(すなわち、上記ステップ204のシーム検出の判断において)シーム47A及びシーム47Bを検出してから、ベルト46A及びベルト46B各々が一回転するのに要する時間内に、シーム47A及びシーム47Bが検出されなかったため、本実施の形態ではシームの検知異常として、シーム検出エラーを示す異常情報を中央制御部68へと送信した後に、本ルーチンを終了する。
【0139】
一方、上記ステップ212で肯定された場合、すなわち、上記ステップ204でベルト46Aのシーム47A及びベルト46Bのシーム47Bを検出した後に、上記ステップ212で肯定されてベルト46A及びベルト46B各々の回転によって再度ベルト46Aのシーム47A及びベルト46Bのシーム47Bを上記所定時間内に検出した場合、または後述するステップ238の処理終了後にステップ212の判断において肯定された場合には、ステップ220へ進み、上記ステップ212で検出したシーム47A及びシーム47B各々の検出時間(検出タイミング)をメモリ66Bに記憶する。
【0140】
次のステップ224では、前回(例えば、ステップ204の処理において)検出したシーム47A及びシーム47B各々の検出時間と、今回(すなわちステップ212の処理において)検出したシーム47A及びシーム47B各々の検出時間と、の差分を算出する。
ステップ224の処理によって、ベルト46Aが回転しているときに前回シーム47Aを検出してから次にシーム47Aを検出するまでの時間と、ベルト46Bが回転しているときに前回シーム47Bを検出してから次にシーム47Bを検出するまでの時間と、を算出する。
【0141】
次のステップ226では、シーム検出エラーか否を判断すると共に、ラミネート温度が異常であることを示す温度異常エラーか否かを判断し、シーム検出エラーまたは温度異常エラーの場合には、肯定されてステップ228へ進み、シーム検出エラー及び温度異常エラーの双方では無い場合には、否定されて、ステップ230へ進む。
【0142】
ステップ226の判断は、シーム検出エラーか否かの判断に関しては上記ステップ224で算出した前回シーム47Aを検出してから今回シーム47Aを検出するまでの時間と、前回シーム47Bを検出してから今回シーム47Bを検出するまでの時間と、の各々が、予め計算してメモリ66Bに記憶されている、ベルト46Aの一回転に要する時間、及びベルト46Bの一回転に要する時間各々と同じであるか否かを判別し、同じではない場合(異なる場合)にシーム検出エラーと判断することができる。
また、ラミネート温度が異常であることを示す温度異常エラーか否かの判断に関しては、ラミネート装置16によるラミネート温度が、予め定めた設定温度に対して所定温度以上異なる(すなわち異常)か否かを判別し、所定温度以上異なる場合に、ラミネート温度が異常(温度異常エラー)であると判断することができる。なお、この設定温度に対して所定温度以上異なっているか否かの判断は、温度センサ55A及び温度センサ55Bから入力された温度を示す情報各々と、設定温度と、を比較することによって判断すればよい。この設定温度については、ラミネート装置16における好適なラミネート温度を設定温度として定め、予めメモリ66Bに記憶しておけばよい。
【0143】
ステップ226で肯定されて、ベルト46A及びベルト46Bの一回転の要する時間とは異なる間隔でシーム47A及びシーム47Bの少なくとも一方が検出され、シーム検出エラーと判別した場合、または上記温度異常エラーと判別した場合には、ステップ228へ進み、シーム検出異常またはラミネート温度異常を示す異常情報を中央制御部68へ送信した後に本ルーチンを終了する。
【0144】
ステップ226で否定されて、シーム検出エラー及び温度異常エラーを判断しなかった場合には、ステップ230へ進み、シーム検出正常を示す正常情報を中央制御部68へ送信する。
【0145】
次のステップ232では、中央制御部68からラミネート開始指示を示すラミネート開始信号が入力されるまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ234へ進み、ラミネート処理を実行する。
このラミネート処理では、第1の光透過性フィルム22a、コアシート38、及び第2の光透過性フィルム22bによって構成される積層体39を、ベルト46A及びベルト46Bによるニップ間に通過させて、加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bによって加熱・加圧処理を施すことにより、コアシート38を第1の光透過性フィルム22a及び第2の光透過性フィルム22bでラミネートした後に、ラミネートされた積層体39としての画像記録体30を、排出トレイ56へと排出する。
【0146】
なお、本実施の形態では、ラミネート装置16に電源が入っているときは常にベルト46A及びベルト46Bは回転しており、その速度は一定であるため、いつどのタイミングで積層体39をラミネート装置へと搬送すれば積層体39とシーム47A及びシーム47Bが重ならないか判断できるようになっている。
すなわち、丁合装置14によって丁合及びクリーニング処理が施された積層体39が丁合装置14において待機している位置から搬送されてニップ領域B(図4参照)に到り、このニップ領域Bに積層体39の端部が到達した時から積層体39の全領域がニップ領域Bを通過し終わるまでの間に、シーム47A及びシーム47B各々が該ニップ領域Bを通過しないように制御されている。
【0147】
次のステップ236では、積層体39がラミネートされることで形成された画像記録体30が排出トレイに排出されるまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ238へ進む。
ステップ236の判断は、検知部76から画像記録体30の排出を示す信号が入力されたか否かを判別することによって判断することができる。
【0148】
ステップ238では、積層体39が正常に排出された情報を中央制御部68に送信し、上記ステップ212へ進み、次の積層体39をラミネートするための準備に入る。
【0149】
以上説明したように、本実施の形態の画像記録体の作製装置10においては、画像記録体の作製装置10における、画像形成装置12、丁合装置14、及びラミネート装置16の内の、画像形成装置12より後に処理が行われる丁合装置14装置における異常を検出したときに、丁合装置14より前に処理を行う画像形成装置12における画像形成処理を待機することができる。また、ラミネート装置16における異常を検出したときには、ラミネート装置より前に処理を行う画像形成装置12における画像形成処理と、丁合装置14における丁合処理と、の双方を待機することができる。
【0150】
このため、画像形成装置12より後工程である丁合装置14やラミネート装置16において異常が発生した場合であっても、異常の発生した装置より前の工程に属する装置における処理を待機することができ、信頼性の高い画像記録体30を作製することができる。
【0151】
また、異常が発生した場合には、表示部78に異常内容を表示することができるので、容易に異常内容を呈示することができる。
【0152】
さらに、ラミネート装置16においては、ラミネート装置16において用いるベルト46A及びベルト46B各々のシーム47A及びシーム47Bを正常に検出出来なかった場合には、ラミネート装置16における処理を待機するとともに、ラミネート装置16よりも前工程である画像形成装置12による画像形成処理を待機するとともに、丁合装置14からラミネート装置16への積層体39の搬送を待機する。
このため、ラミネート装置16においてシームの検出エラーが発生し、ベルト46A及びベルト46B各々のシーム47Aまたはシーム47Bが形成されている領域を介して、加熱加圧ロール54A及び加熱加圧ロール54Bによって積層体39が挟持されて加熱加圧されることにより、積層体39上にシーム47Aまたはシーム47Bによる跡が形成されることを抑制することができる。
【0153】
なお、本実施の形態では、異常の発生を示す情報を装置外部に呈示するための装置として、表示部78を用いて異常内容を表示する場合を説明したが、音や光等を用いて異常を示す情報を提供するようにしても良い。この場合には、表示部78に換えて、音を発生するブザーや、光を発生するライト等を用いるようにすればよい。
【0154】
また、本実施の形態では、中央制御部68の処理において、各ステップ104、ステップ114、ステップ122、ステップ132、ステップ146、ステップ156各々におけるエラー情報表示処理の後に、再度該表示処理の直前に行った判断処理まで戻る場合を説明したが、各ステップ104、ステップ114、ステップ122、ステップ132、ステップ146、及びステップ156の処理の後に、図6に示す処理ルーチンを終了するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本実施の形態に係る画像記録体の作製装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る画像記録体の一例を示す概略断面図である。
【図3】本実施の形態に係るラミネート装置に設けられているベルトを示す模式図である。
【図4】本実施の形態に係るラミネート装置の概略構成図である。
【図5】本実施の形態に係る画像記録体の作製装置の電気的構成を示す模式図である。
【図6】本実施の形態に係る画像記録体の作製装置の中央制御部で実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態に係る画像記録体の作製装置のラミネート駆動部で実行される処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0156】
10 画像記録体の作製装置
12 画像形成装置
14 丁合装置
16 ラミネート装置
30 画像記録体
68 中央制御部
70 検知部
72 検知部
74 検知部
76 検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状フィルムの表面に電子写真方式により画像を形成する画像形成装置と、
前記シート状フィルムと支持体とを、少なくとも前記シート状フィルムの前記画像が形成された画像形成面と前記支持体の被ラミネート面とが対向するように積層した積層体とすると共に該積層体の端部を丁合いする丁合装置と、
前記積層体を加熱及び加圧する加熱加圧部材を有し、該加熱加圧部材によって前記支持体を前記シート状フィルムによってラミネートするラミネート装置と、
前記丁合装置の異常を検知する第1の検知装置と、
前記ラミネート装置の異常を検知する第2の検知装置と、
前記第1の検知装置及び前記第2の検知装置のうちの少なくとも一方が前記丁合装置の異常を検知したときに、前記画像形成装置における画像形成を待機するように前記画像形成装置を制御する制御装置と、
を備えたことを特徴とする画像記録体の作製装置。
【請求項2】
前記制御装置が、前記第2の検知装置により前記ラミネート装置の異常を検知したときに、前記画像形成装置における画像形成を待機するように前記画像形成装置を制御すると共に、前記丁合装置における前記積層体の端部の丁合いを待機するように前記丁合装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【請求項3】
前記ラミネート装置は、外周面に接合領域を有し、前記積層体を挟持搬送する一対の管状部材を含み、
前記第2の検知装置は、前記一対の管状部材各々の前記接合領域を検出する検出装置を含み、該検出装置によって前記接合領域各々が予め定められた所定時間毎に検出されなかったときに、前記ラミネート装置の異常を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像記録体の作製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−183729(P2008−183729A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16787(P2007−16787)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】