説明

画像記録装置、および、画像記録装置の制御方法

【課題】記録ワイヤを突出させて画像を記録する画像記録装置において、記録ワイヤの適切な交換を促し、記録ワイヤの摩耗に伴って生じる問題を未然に防ぐ。
【解決手段】プリンタ10は、記録ワイヤを有する記録ヘッド20と、記録ヘッド20を駆動して記録ワイヤを突出させるヘッド駆動部61と、記録ヘッド20及びヘッド駆動部61を制御する制御部50と、を備え、制御部50は、記録ヘッド20の記録ワイヤを突出させて記録媒体に画像を記録する画像印刷モードと、記録ヘッド20により、画像印刷モードの実行時よりも高負荷の条件で記録ワイヤを突出させるワイヤテストモードと、を実行可能に構成され、画像印刷モードで記録した量が予め設定された量に達した場合に、ワイヤテストモードの動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する画像記録装置、および、画像記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録ヘッドからインクリボンを介して記録ワイヤを打突することで画像を記録する、いわゆるドットインパクト方式の画像記録装置が知られている。この種の装置では、使用に伴って記録ワイヤが摩耗することが知られており、種々の対策がなされている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された装置は、記録ワイヤの使用に伴ってワイヤの先端位置を調整することにより、ワイヤの先端とプラテンとのギャップを保つようにしている。
【特許文献1】特開平07−305015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、記録ワイヤは摩耗によって長さが変化するだけでなく、先が尖るよう変形することもあり、この変形に起因して、紙粉発生量の増大やインクリボンの早期劣化等が起きる。このような問題は記録ワイヤの使用法によって解決できるものではなく、適正な時期に記録ヘッドをメンテナンスして、記録ワイヤの交換を行うことが望ましい。
しかしながら、記録ワイヤの交換時期はユーザの判断に任されることが多く、記録ワイヤの寿命にマージンが見込まれていることから、定められた交換時期に達していても見た目には異常が現れないため、交換時期を超過して使用されることがあった。
そこで、本発明は、記録ワイヤを突出させて画像を記録する画像記録装置において、記録ワイヤの適切な交換を促し、記録ワイヤの摩耗に伴って生じる問題を未然に防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、記録ワイヤを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを駆動して記録ワイヤを突出させるヘッド駆動部と、前記記録ヘッド及び前記ヘッド駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記記録ヘッドから前記記録ワイヤを突出させて記録媒体に画像を記録する画像記録モードと、前記記録ヘッドにより、前記画像記録モードの実行時よりも高負荷の条件で前記記録ワイヤを突出させるワイヤテストモードと、を実行可能に構成され、前記画像記録モードで記録した量が予め設定された量に達した場合に、前記ワイヤテストモードの動作を実行すること、を特徴とする画像記録装置を提供する。
この構成によれば、画像記録モードで記録した量が予め設定された量に達した場合に、ワイヤテストモードの動作によって記録ワイヤを高負荷で突出させるので、例えば記録ワイヤが交換時期を超えて使用された場合に、ワイヤテストモードによって記録ワイヤの状態の試験を行える。このため、画像記録装置のユーザに対して、記録ワイヤの状態に関する注意を喚起するとともに、記録ワイヤがワイヤテストモードの動作により折損すれば、ユーザに対し、記録ワイヤの交換への強い動機付けを行い、記録ワイヤの交換を促すことができる。
また、画像記録モードで記録した量が予め設定された量に達したか否かを、画像を記録した行数の累積値に基づいて判別するようにしてもよく、この場合、記録ワイヤの摩耗・消耗が画像を記録した記録行数に比例して進行することから、記録ワイヤの摩耗・消耗の度合いに適切に対応して、ワイヤテストモードを実行できる。
【0005】
上記構成において、前記記録ヘッドを、前記記録媒体から外れた位置を含む走査範囲において走査させるヘッド移動機構と、前記記録ヘッドの前記走査範囲において前記記録媒体から外れた位置に配置され、前記記録ヘッドから突出する前記記録ワイヤを受けるテスト用プラテンと、を備え、前記制御部は、前記ワイヤテストモードの実行時に、前記ヘッド移動機構を制御して前記記録ヘッドを前記テスト用プラテン上に移動させるものとしてもよい。
この場合、ワイヤテストモードにおいて、記録媒体から外れた位置に配置されたテスト用プラテンに向けて記録ワイヤが突出されるので、ワイヤテストモードの実行中に画像記録装置の他の構成部や記録媒体に記録ワイヤが接触することがなく、高負荷で記録ワイヤを突出させても、画像記録装置の構成部や記録媒体の損傷を招くことがない。
また、上記構成において、前記制御部は、前記ワイヤテストモードの実行中に、前記画像記録モードの実行時よりも短い周期で前記記録ワイヤを複数回突出させるものとしてもよい。
この場合、ワイヤテストモードにおいて記録ワイヤに対して確実に、画像記録モードよりも高い負荷を与えて、記録ワイヤの状態を適切に試験できる。
【0006】
さらに、上記構成において、前記制御部は、前記ワイヤテストモードの実行後に、折損した前記記録ワイヤの有無を検出するワイヤ折損検出動作を実行するものとしてもよい。
この場合、ワイヤテストモードにおいて高負荷で記録ワイヤを突出させた結果、記録ワイヤが折損しても、これを確実に検出することができ、折損した記録ワイヤが放置されることを防止し、速やかな交換を促すことができる。
また、この構成において、前記制御部は、前記ワイヤ折損検出動作において折損した前記記録ワイヤを検出した場合に、報知を行うものとしてもよい。
この場合、記録ワイヤの折損を検出した場合に報知を行うので、折損した記録ワイヤが放置されることを防止し、速やかな交換を促すことができる。
【0007】
また、上記構成において、前記制御部は、前記ワイヤテストモードの実行後に、折損した前記記録ワイヤの有無を目視により確認するためのテストパターンの画像を、前記記録媒体に記録するものとしてもよい。
この場合、ワイヤテストモードの後にテストパターンの画像を記録することで、ユーザに対して記録ワイヤの折損の有無に関する確認を促すとともに、テストパターンを目視することでユーザが確実に記録ワイヤの折損を検出できるので、折損した記録ワイヤが放置されることを防止できる。
【0008】
さらに、上記構成において、前記制御部は、前記ワイヤテストモードの実行後に前記記録ワイヤの折損が生じた場合、その後に実行する前記画像記録モードの動作においては、折損した前記記録ワイヤを突出させずに残余の前記記録ワイヤを突出させることで画像を記録するものとしてもよい。
この場合、記録ワイヤの折損が生じた場合、その後の画像記録モードでは、折損した記録ワイヤを突出させずに残余の記録ワイヤを突出させることで画像を記録するので、記録ワイヤの折損による記録品質の低下や記録媒体の損傷を回避できる。
【0009】
また、本発明は、記録ワイヤを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを駆動して記録ワイヤを突出させるヘッド駆動部と、を備えた画像記録装置を制御して、前記記録ヘッドから前記記録ワイヤを突出させて記録媒体に画像を記録する画像記録モードを実行し、前記画像記録モードで記録した量が予め設定された量に達した場合に、前記記録ヘッドにより前記画像記録モードの実行時よりも高負荷の条件で前記記録ワイヤを突出させるワイヤテストモードを実行すること、を特徴とする画像記録装置の制御方法を提供する。
この方法によれば、画像記録モードで記録した量が予め設定された量に達した場合に、ワイヤテストモードの動作によって記録ワイヤを高負荷で突出させるので、例えば記録ワイヤが交換時期を超えて使用された場合に、ワイヤテストモードによって記録ワイヤの状態の試験を行える。このため、画像記録装置のユーザに対して、記録ワイヤの状態に関する注意を喚起するとともに、記録ワイヤがワイヤテストモードの動作により折損すれば、ユーザに対し、記録ワイヤの交換への強い動機付けを行い、記録ワイヤの交換を促すことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像記録装置のユーザに対して、記録ワイヤの状態に関する注意を喚起するとともに、記録ワイヤの交換を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の画像記録装置を適用した第1の実施形態に係るプリンタ10の前方の外観を示す斜視図であり、図2は、プリンタ10の側断面図であり、図3は、プリンタ10のプリンタ本体12の構成を示す斜視図である。
図1から図3に示すプリンタ10は、記録ヘッド20が備える記録ワイヤ2(図4)を、インクリボンを介して記録媒体としてのカットシート100に向けて打ち出すことにより、カットシート100の記録面にドットを形成して、文字を含む画像を記録(印刷)するドットインパクトプリンタである。
プリンタ10において使用可能な記録媒体としては、所定長さに切断されているカットシートと、複数枚が連接された連続紙、連続複写紙等の連続シートとがある。カットシートは、JIS規格等に準拠した定型サイズの紙または合成樹脂製のシートであり、例えば単票紙や単票複写紙などの普通紙の他、通帳や葉書、封筒などを含む。
【0012】
プリンタ10は、大別すると、プリンタ本体12と、プリンタ本体12の上部、下部のそれぞれを覆う外装体としての上部ケース15及び下部ケース16とを備えて構成されている。
上部ケース15の上部には、前側の面に操作パネル17が配置されている。操作パネル17には、ユーザが設定値や動作指示等を入力する際に操作するスイッチ18と、プリンタ10の動作状態の報知等に用いられるLED(発光ダイオード)19とが配設されている。
プリンタ本体12は、図2および図3に示すように、本体フレームを構成する左サイドフレーム25、右サイドフレーム26およびリアフレーム27と、記録機構部を構成する記録ヘッド20及びキャリッジ21と、搬送機構を構成するプラテン22および搬送ローラ23と、を有して構成される。左サイドフレーム25と右サイドフレーム26との間には、リアフレーム27が連結され、さらに、プラテン22、搬送ローラ23、およびキャリッジ軸28が掛け渡されている。
【0013】
搬送ローラ23は、プラテン22に対してプリンタ本体12のフロント側及びリア側に、上下に対をなして配置され、上下からカットシート100を挟んで搬送する。これら搬送ローラ23は、シート搬送モータ71(図5)と、このシート搬送モータ71に連結された駆動輪列部41との動作により、図2の時計方向又は反時計方向に回転駆動される。この搬送ローラ23の動作により、カットシート100は、プリンタ本体12のフロント側(シートガイド14側)からリア側へ、あるいはその逆方向へ搬送される。
【0014】
また、トラクタユニット13は、プリンタ本体12のリア側から連続シートを供給する左右一対のトラクタ30を有する。トラクタ30は、図2に示すように、トラクタ駆動プーリ30aと、トラクタ従動プーリ30bと、これらプーリ30a、30bに巻き掛けられたトラクタベルト31とを備え、図示せぬ駆動機構によってトラクタ駆動プーリ30aを回転駆動し、トラクタベルト31を駆動して連続シートを搬送する。
【0015】
キャリッジ21は、左サイドフレーム25と右サイドフレーム26との間に掛け渡されたキャリッジ軸28に摺動自在に挿通され、キャリッジ駆動モータ72(図5)の駆動プーリ(図示略)に対して、タイミングベルト(図示略)を介して連結される。キャリッジ21は、キャリッジ駆動モータの正転又は逆転によって、キャリッジ軸28の軸方向及びプラテン22の長手方向と一致する方向に走査される。このキャリッジ21の走査方向を主走査方向とし、主走査方向に対して直交するカットシート100の搬送方向を、副走査方向とする。キャリッジ駆動モータ72は、キャリッジ軸28及びキャリッジ駆動モータ72のプーリに架け渡されたタイミングベルト(図示略)等とともに、ヘッド移動機構を構成する。
【0016】
プリンタ本体12には、図3に示すように、ステーショナリー形式のインクリボンカートリッジ29が装着されており、インクリボンカートリッジ29内に収容されているインクリボンが、記録ヘッド20とプラテン22との間に繰り出される。
記録ヘッド20は、キャリッジ21に搭載され、キャリッジ21と共にキャリッジ駆動モータ72の動作によって主走査方向に走査される。記録ヘッド20は、走査中に記録ワイヤ2を突出させてインクリボンに打ち当て、インクリボンのインクを、プラテン22と記録ヘッド20との間に搬送されたカットシート100に付着させ、カットシート100に画像を印刷する。
【0017】
また、図3に示すように、プリンタ本体12には、プラテン22の端部に隣接して、テスト用プラテン24が配置されている。テスト用プラテン24は、プラテン22とともに、記録ヘッド20が走査される領域に位置し、記録ヘッド20をテスト用プラテン24の真上で静止させることが可能である。また、テスト用プラテン24は、記録ヘッド20が走査される領域においてカットシート100が搬送される部分から外れた位置にあるので、カットシート100がテスト用プラテン24上に載ることはない。
テスト用プラテン24は、後述するワイヤテストモードの動作において、記録ワイヤ2の強度をテストするため、記録ワイヤ2が打ち当てられる平板状部材である。テスト用プラテン24の上面は略平面に形成され、記録ワイヤ2が打ち当てられた場合に記録ワイヤ2の衝撃を受け止めるため、その表面は所定の弾性を有し、かつ、コイルばね(図示略)を用いたクッション機構等により下方から支持されている。
さらに、テスト用プラテン24に隣接して、静電容量センサ74が配置されている。静電容量センサ74は、テスト用プラテン24と同様、記録ヘッド20が走査される領域に位置しており、記録ヘッド20を静電容量センサ74の真上で静止させることが可能である。静電容量センサ74は、記録ヘッド20が備える複数の記録ワイヤ2が折損しているか否かを検出するセンサであって、平板状のプローブを備えている。
【0018】
図4は、記録ヘッド20の構成を詳細に示す図であり、図4(A)は記録ワイヤ2が突出するワイヤ突出面の平面図であり、図4(B)は、静電容量センサ74により記録ワイヤ2の折損を検出する状態を示す側面図である。
図4(A)に示すように、記録ヘッド20の先端面には、鉄または鋼製の複数の記録ワイヤ2が並べて配置され、これら記録ワイヤ2が、記録ヘッド20に内蔵されたアクチュエータ(図示略)の動作によって個別に駆動され、プラテン22側へ突出される。記録ワイヤ2の並び方には様々な形態があるが、本第1の実施形態に係る記録ヘッド20は、一例として、横2列に並ぶ24本の記録ワイヤ2を備えた構成である。
静電容量センサ74により記録ワイヤ2の折損を検出する場合、図4(B)に示すように、記録ヘッド20が静電容量センサ74の直上に移動され、この位置で記録ヘッド20から記録ワイヤ2が突出される。記録ワイヤ2は、図4(B)に示すように1本ずつ、静電容量センサ74のプローブに向けて突出する。
【0019】
静電容量センサ74は、平板状のプローブに記録ワイヤ2が接近することによってプローブと記録ワイヤ2との間に形成される静電容量を検出する。この静電容量センサ74が検出した静電容量は、静電容量センサ74のプローブと記録ワイヤ2との間の距離に応じて変化する。すなわち、静電容量センサ74が検出した静電容量に基づいて、静電容量センサ74のプローブと記録ワイヤ2との間の距離を比較できる。従って、記録ヘッド20が備える全ての記録ワイヤ2について、記録ヘッド20が記録ワイヤ2を最大量突出させた場合の静電容量を検出して、各記録ワイヤ2に対応する静電容量を比較すれば、折損した記録ワイヤ2を特定できる。具体的には、一部の記録ワイヤ2について検出された制限容量が、他の記録ワイヤ2の静電容量と異なっている場合には、一部の記録ワイヤ2が静電容量センサ74から遠い位置にあったということができ、これは、記録ワイヤ2の折損を意味している。このように、記録ヘッド20が備える全ての記録ワイヤ2を順次突出させて静電容量センサ74により静電容量を検出することで、記録ワイヤ2の折損を検出できる。
【0020】
そして、プリンタ10は、キャリッジ21を主走査方向に走査させ、この走査中に記録ヘッド20から記録ワイヤを打突することによって一行分の画像を印刷し、この一行分の印刷を行う度に、搬送ローラ23によって、カットシート100を一行に相当する分だけ搬送し、これらの動作を繰り返すことで行毎に画像を印刷する。このように通常の印刷を行う動作モードを、画像印刷モード(画像記録モード)とする。
さらに、プリンタ10は、記録ワイヤ2の試験を行うワイヤテストモードを、画像印刷モードと切り替えて実行可能である。このワイヤテストモードにおいて、プリンタ10は、記録ヘッド20をテスト用プラテン24の上に移動させて、記録ワイヤ2を、画像印刷モードよりも高負荷の条件で、テスト用プラテン24に向けて突出させる。記録ワイヤ2への負荷の大小は、突出力や突出周期等により影響されるが、突出力は記録ヘッド20が内蔵するアクチュエータ(図示略)の構成等により決定されるため、通常は一定である。そこで、プリンタ10は、画像印刷モードよりも記録ワイヤ2を突出する周期を短くして、短時間のうちに1本の記録ワイヤ2を多数回突出させることで、記録ワイヤ2に高い負荷を与える。このように短い周期で突出された記録ワイヤ2は、ワイヤ2が戻りきらないうちに突出させられるのでテスト用プラテン24への衝撃が大きくなるとともに短周期で多数回衝突するので、記録ワイヤ2には高い負荷が加わる。
このワイヤテストモードでは、使用に伴う摩耗(劣化)が進行している記録ワイヤ2は、高負荷に耐えられずに折損することがある。特に、摩耗により先端が鋭利になった記録ワイヤ2は、その先端に高負荷が加わることで折損しやすい。
また、記録ワイヤ2を突出する周期を短くすると、記録ワイヤ2が記録ヘッド20内に完全に戻りきらず突出した状態になるので、その状態においてキャリッジを主走査方向に走査させることで、劣化しているワイヤを折損させることができる。
【0021】
プリンタ10は、次に説明する制御部50の制御によって、カットシート100に画像を印刷した印刷行数の累積値が、予め設定された値に達した場合に、ワイヤテストモードを実行する。この印刷行数の設定値は、例えば、記録ワイヤ2の交換時期の目安となる印刷行数を超過した値である。このため、記録ワイヤ2の適正な交換時期を超過して、記録ワイヤ2が引き続き使用されている場合に、ワイヤテストモードが実行され、記録ワイヤ2の試験が行われ、記録ワイヤ2が使用に耐える状態か否かを判定できる。
また、印刷行数の累積値は、記録ワイヤ2を交換する毎にリセットされる。このため、適正な交換時期で記録ワイヤ2が交換されている場合には、ワイヤテストモードは実行されず、記録ワイヤ2に過大な負荷をかけることがないので、記録ワイヤ2の寿命を短縮することはない。
そして、ワイヤテストモードの実行後、プリンタ10は、ワイヤ折損検出動作を実行し、記録ヘッド20を静電容量センサ74の上に移動させて、全ての記録ワイヤ2について折損の有無を検出する。このため、折損した記録ワイヤ2は確実に検出され、放置されることはない。また、ワイヤ折損検出動作によって記録ワイヤ2の折損が検出された場合には、その旨が報知されるので、記録ワイヤ2の適正な時期における交換が促される。
【0022】
さらに、プリンタ10は、記録ワイヤ2が折損した場合に、折損補償モードを実行可能である。この折損補償モードは、折損した記録ワイヤ2を除く他の記録ワイヤ2を使用して、カットシート100に印刷を行う動作モードであり、通常の画像印刷モードに代えて実行される。折損補償モードにおいては、折損した記録ワイヤ2が非使用ワイヤに設定され、この非使用ワイヤを除く記録ワイヤ2により印刷を行う。また、非使用ワイヤによって形成されるべきドットを他の記録ワイヤ2によって形成するため、折損補償モードでは、印刷時に、主走査方向における記録ヘッド20の位置をずらす動作や、カットシート100の搬送量を変更する動作を行う。プリンタ10は、ワイヤ折損検出動作で記録ワイヤ2の折損が検出された後に、自動的に折損補償モードに移行する。その後は、記録ワイヤ2の交換が行われると、折損補償モードが解除されて画像印刷モードに切り替わり、非使用ワイヤの設定がクリアされる。
【0023】
図5は、プリンタ10の制御系の構成を示す機能ブロック図である。この図5に示す各機能ブロックは、CPU、ROM、RAM等を含むハードウェアと、CPUにより実行されるソフトウェアとの協働により実現され、必ずしも図5の機能ブロックに対応するハードウェアが実装されるものではない。
この図5に示すように、プリンタ10は、プリンタ10の各部を制御する制御部50を備えている。制御部50は、複数の動作モードを切り替えて実行する動作モード制御部51、記録ヘッド20から記録ワイヤ2を突出させるタイミングを生成するヘッド駆動タイミング生成部52、シート搬送モータ71及びキャリッジ駆動モータ72の動作を制御するモータ駆動制御部53、プリンタ10が備えるセンサの出力値を取得するセンサ出力検出部54、スイッチ18(図1)を介した入力を検出する入力検出部55、LED19(図1)による表示を制御する表示制御部56、カットシート100に印刷した行数をカウントする印刷行数カウンタ57、各種設定値を記憶する設定記憶部58、及び、外部の装置との間でデータを送受信する通信制御部59を備えている。
【0024】
動作モード制御部51は、プリンタ10の動作モードとして、カットシート100に画像を印刷する画像印刷モードと、記録ワイヤ2をテスト用プラテン24に向けて高負荷条件で突出させるワイヤテストモードと、一部の記録ワイヤ2を使用しないで画像を印刷するワイヤ折損補償モードと、を切り替えて実行する。
ヘッド駆動タイミング生成部52には、ヘッド駆動タイミング生成部52の制御に従って記録ヘッド20に対して駆動電流及び駆動信号を供給するヘッド駆動部61が接続されている。ヘッド駆動部61は、ヘッド駆動タイミング生成部52が生成したタイミングで、記録ヘッド20から、ヘッド駆動タイミング生成部52により指定された記録ワイヤ2を突出させる。ヘッド駆動タイミング生成部52は、例えば一つの記録ワイヤ2を、短時間で多数回突出させるようにタイミングを指定することで、記録ワイヤ2を高負荷の条件で突出させることもできる。
【0025】
モータ駆動制御部53には、ステッピングモータとして構成されるシート搬送モータ71及びキャリッジ駆動モータ72に対して、駆動電流と駆動パルスとを出力するモータ駆動部62が接続されている。モータ駆動部62は、モータ駆動制御部53の制御に従って、シート搬送モータ71及びキャリッジ駆動モータ72に駆動電流と駆動パルスとを出力することにより、シート搬送モータ71及びキャリッジ駆動モータ72を、モータ駆動制御部53により指定されたタイミングで、指定された方向に、指定された量だけ回転させる。
センサ出力検出部54には、A/D(Analogue/Digital)変換部63を介して、シート終端センサ73及び静電容量センサ74が接続されている。シート終端センサ73は、プリンタ10におけるカットシート100の搬送路に設置され、カットシート100の先端及び終端を検出するセンサである。また、静電容量センサ74は、上述のように静電容量センサ74のプローブに記録ワイヤ2が接近した場合の静電容量を検出するセンサである。シート終端センサ73及び静電容量センサ74の出力値は、A/D変換部63によってデジタルデータに変換されて、センサ出力検出部54に入力される。
【0026】
入力検出部55には、スイッチ18の操作を検出する入力部64が接続され、この入力部64から、スイッチ18の操作に対応する操作信号が、入力検出部55に出力される。
表示制御部56には、LED19の点灯を制御する表示部65が接続される。表示部65は、表示制御部56の制御に従って、LED19を点灯、消灯、或いは点滅させる。
印刷行数カウンタ57は、画像印刷モードを実行している間の印刷行数の累積値をカウントする。このカウント値は、記録ワイヤ2が交換されると、リセットされる。具体的には、記録ヘッド20のメンテナンス作業の一部としてスイッチ18が操作されることにより、印刷行数カウンタ57がリセットされる。
設定記憶部58は、動作モード制御部51によって動作モードをワイヤテストモードに切り替える際の印刷行数カウンタ57のカウント値や、ワイヤ折損補償モードにおける非使用ワイヤの番号等、各種設定値を記憶する。この設定値は、記録ワイヤ2の交換時等にスイッチ18の操作に応じてクリアされる。
通信制御部59は、インタフェース(I/F)部66を介して外部のホストコンピュータ80に接続され、ホストコンピュータ80との間で各種データを送受信する。ホストコンピュータ80は、プリンタ10に対し、カットシート100に印刷する印刷データと、印刷実行を指示する制御データとをプリンタ10に出力し、通信制御部59は、ホストコンピュータ80が送信した印刷データと制御データとを受信する。
【0027】
図6は、プリンタ10の動作を示すフローチャートである。
この図6に示すように、プリンタ10の制御部50は、ホストコンピュータ80から送信された印刷データと印刷実行を指示する制御データとを取得して、印刷を開始する(ステップS11)。この印刷開始時、プリンタ10の動作モードは、画像印刷モードとなっている。
制御部50は、モータ駆動部62を制御することによってシート搬送モータ71を動作させ、カットシート100を印刷位置まで搬送し(ステップS12)、キャリッジ駆動モータ72を動作させて記録ヘッド20を走査させるとともに、ヘッド駆動部61を制御して記録ヘッド20から記録ワイヤ2を突出させ、カットシート100に画像を印刷する(ステップS13)。制御部50は、印刷行数カウンタ57の機能により1行を印刷する毎に印刷行数のカウント値をインクリメント(+1)する。
制御部50は、ホストコンピュータ80から入力された印刷データの印刷が終了したか否かを判別し(ステップS14)、印刷が終了していなければステップS13に戻って印刷を継続し、印刷が終了した場合は、ステップS15に移行する。プリンタ10が、ページ単位で画像を印刷するものである場合、ステップS14においては1ページの印刷データの全てを印刷したか否かを判別する。
【0028】
ステップS15で、制御部50は、印刷行数カウンタ57のカウント値が、設定記憶部58に記憶された設定値に達したか否かを判別し、設定値に達していない場合は(ステップS15;No)、本処理を終了する。
また、印刷行数カウンタ57のカウント値が設定値に達している場合(ステップS15;Yes)、制御部50は、動作モード制御部51の機能によって動作モードをワイヤテストモードに移行し(ステップS16)、表示制御部56の機能によってLED19を所定の形態で点灯または点滅させて、テスト実行の表示を行う(ステップS17)。このステップS17では、通信制御部59からホストコンピュータ80へ表示用データを送信し、ホストコンピュータ80の表示画面(図示略)上に、記録ワイヤ2のテストを行う旨のメッセージを表示させてもよい。
【0029】
制御部50は、キャリッジ駆動モータ72を動作させて記録ヘッド20をテスト用プラテン24の直上に移動させ、ヘッド駆動タイミング生成部52の機能によって、画像印刷モードよりも短周期で、各々の記録ワイヤ2を記録ヘッド20から突出させて、テストを実行する(ステップS18)。
記録ヘッド20が備える全ての記録ワイヤ2をテスト用プラテン24へ突出させた後、制御部50は、ワイヤ折損検出動作を実行する(ステップS19)。このステップS19で、制御部50は、記録ヘッド20を静電容量センサ74の直上に移動させ、記録ヘッド20が備える記録ワイヤ2を1本ずつ突出させて静電容量センサ74の静電容量を検出し、この静電容量の検出値を、全ての記録ワイヤ2の間で比較する。そして、特に静電容量が異なる記録ワイヤ2について、折損したものと判別する。
【0030】
制御部50は、ワイヤ折損検出動作において折損した記録ワイヤ2が検出されたか否かを判別し(ステップS20)、折損した記録ワイヤ2がない場合には、LED19を所定の形態で点灯または点滅させて、テスト結果の表示を行い(ステップS21)、本処理を終了する。このステップS21では、通信制御部59からホストコンピュータ80へ表示用データを送信し、ホストコンピュータ80の表示画面上に、記録ワイヤ2のテスト結果を報知するメッセージを表示させてもよい。
また、ワイヤ折損検出動作において折損した記録ワイヤ2が検出された場合(ステップS20;Yes)、制御部50は、LED19を所定の形態で点灯または点滅させて、折損した記録ワイヤ2がある旨の表示を行う(ステップS22)。このステップS22では、通信制御部59からホストコンピュータ80へ表示用データを送信し、ホストコンピュータ80の表示画面上に、折損した記録ワイヤ2がある旨のメッセージを表示させてもよい。
【0031】
そして、折損した記録ワイヤ2がある旨の表示を行った後、制御部50は、折損補償モードに移行し(ステップS23)、この折損補償モードへの移行を案内する表示を、LED19またはホストコンピュータ80の表示画面において実行する(ステップS24)。次いで、制御部50は、折損した記録ワイヤ2の番号を特定し(ステップS25)、特定した記録ワイヤ2を非使用ワイヤに設定して、この設定を設定記憶部58の機能により記憶し(ステップS26)、本処理を終了する。
折損補償モードは画像印刷モードに代わる動作モードであるから、ステップS23で折損補償モードに移行した後は、ホストコンピュータ80から印刷データと制御データとが送信された場合に、折損補償モードのまま画像を印刷する。
【0032】
以上のように、本発明を適用した第1の実施形態に係るプリンタ10によれば、制御部50の制御により、記録ヘッド20から記録ワイヤ2を突出させてカットシート100に画像を記録する画像印刷モードと、記録ヘッド20により、画像印刷モードの実行時よりも高負荷の条件で記録ワイヤ2を突出させるワイヤテストモードと、を実行可能であり、画像印刷モードで記録した量が予め設定された量に達した場合に、ワイヤテストモードの動作を実行する。
これにより、画像印刷モードで記録した量が予め設定された量に達した場合に、ワイヤテストモードを行うので、例えば記録ワイヤ2が交換時期を超えて使用された場合に、ワイヤテストモードによって記録ワイヤ2の状態を試験できる。このため、プリンタ10のユーザに対して、記録ワイヤ2の状態に関する注意を喚起するとともに、記録ワイヤ2がワイヤテストモードの動作により折損すれば、ユーザに対し、記録ワイヤ2の交換への強い動機付けを行い、記録ワイヤ2の交換を促すことができる。
また、制御部50は、画像印刷モードで記録した量が予め設定された量に達したか否かを、印刷行数カウンタ57によってカウントした印刷行数の累積値に基づいて判別する。記録ワイヤ2の摩耗・消耗が画像を記録した記録行数に比例して進行することから、記録ワイヤ2の摩耗・消耗の度合いに適切に対応して、ワイヤテストモードを実行できる。
【0033】
また、制御部50は、ワイヤテストモードの実行時に、記録ヘッド20をテスト用プラテン24上に移動させるので、ワイヤテストモードの実行中にプリンタ10の他の構成部やカットシート100に記録ワイヤ2が接触することがなく、高負荷で記録ワイヤ2を突出させても、プリンタ10の構成部やカットシート100の損傷を招くことがない。
さらに、制御部50は、ワイヤテストモードの実行中に、画像印刷モードの実行時よりも短い周期で記録ワイヤを複数回突出させるので、記録ワイヤ2に対して確実に、画像印刷モードよりも高い負荷を与えて、記録ワイヤ2の状態を適切に試験できる。
【0034】
また、制御部50は、ワイヤテストモードの実行後に、折損した記録ワイヤ2の有無を検出するワイヤ折損検出動作を実行するので、高負荷で記録ワイヤ2を突出させた結果、記録ワイヤ2が折損しても、これを確実に検出することができ、折損した記録ワイヤ2が放置されることを防止し、速やかな交換を促すことができる。このワイヤ折損検出動作で折損した記録ワイヤ2を検出した場合に、報知を行うので、折損した記録ワイヤ2が放置されることを防止し、速やかな交換を促すことができる。
制御部50は、ワイヤテストモードの実行後に記録ワイヤ2の折損が生じた場合、折損補償モードに移行して、折損した記録ワイヤ2を突出させずに画像を印刷するので、記録ワイヤ2の折損による記録品質の低下やカットシート100の損傷を回避することができる。
【0035】
さらに、図6に示す動作では、印刷行数カウンタ57のカウント値が設定値に達したかどうかを、全ての印刷データの印刷が完了してから判別する(ステップS15)。つまり、印刷行数カウンタ57のカウント値が設定値に達したとしても、全ての印刷データの印刷が完了するまではワイヤテストモードに移行しない。これは、ワイヤテストモードの実行にはある程度の時間を要するためであり、上記の手順で処理を行うことで、印刷完了までの待ち時間を長くすることなく、ワイヤテストモードを実行できる。また、ワイヤテストモードの実行タイミングが数行〜数十行ずれたとしても、記録ワイヤ2の交換時期(寿命)からみれば小さい差でしかなく、ワイヤテストモードの成否に影響しない。
ここで、印刷行数カウンタ57のカウント値が設定値に達したかどうかを、プリンタ10の電源投入時に判別することも可能である。この場合、プリンタ10の電源が投入された場合に、図6に示すステップS15〜S26の動作を実行すればよい。この場合も、印刷動作に影響を与えることなく、ワイヤテストモードを実行できるという利点がある。
【0036】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係るプリンタ10の動作を示すフローチャートである。本第2の実施形態におけるプリンタ10の構成は上記第1の実施形態と同様であるため、プリンタ10の構成については同符号を付して説明を省略する。また、図7のフローチャートのうち、図6と同様の処理については同一番号を付して説明を省略する。
【0037】
本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同様に構成されるプリンタ10がワイヤテストモードを実行した後に、ワイヤ折損検出動作が行われず、ユーザが目視で折損した記録ワイヤ2の有無を判別するものである。
すなわち、図7に示すように、ステップS18でワイヤテストモードを実行した後、制御部50は、ワイヤテストパターン(テストパターン)をカットシート100に印刷する(ステップS31)。このワイヤテストパターンは、記録ヘッド20が備える各記録ワイヤ2が折損したか否かを、目視により容易に判別できる画像である。ユーザは、ワイヤテストパターンを見て折損した記録ワイヤ2の有無を判断し、折損した記録ワイヤ2の有無および折損した記録ワイヤ2の番号を、スイッチ18の操作により入力する。
ワイヤテストパターンを印刷出力した後、ユーザが折損した記録ワイヤ2の有無および折損した記録ワイヤ2の番号を入力すると(ステップS32)、制御部50は、入力内容に基づいて折損した記録ワイヤ2の有無を判別する(ステップS33)。
【0038】
ここで、折損した記録ワイヤ2がない場合(ステップS33;No)、制御部50は本処理を終了する。
一方、折損した記録ワイヤ2がある場合(ステップS33;Yes)、制御部50は、ステップS23で折損補償モードに移行し、上記ステップS24〜S26の動作を行う。
【0039】
図8は、ワイヤテストパターンの一例を示す図である。
この図8に例示するワイヤテストパターン110は、記録ヘッド20が備える記録ワイヤ2の数だけ、記録ワイヤ2の番号に相当するワイヤ番号表示111を印刷し、ワイヤ番号表示111の横に、対応する記録ワイヤ2によってテストパターン112を印刷したものである。例えば記録ヘッド20が24本の記録ワイヤ2を備えている場合には、24個のワイヤ番号表示111と、同じく24個のテストパターン112とが配置される。
テストパターン112は、対応する1本の記録ワイヤ2によって線または簡単な図形等を印刷する部分であり、仮に記録ワイヤ2が折損した場合には、折損した記録ワイヤ2に対応するテストパターン112が印刷できず、空白となる。従って、ユーザは、全てのワイヤ番号表示111の隣にテストパターン112が印刷されているか否かをもとに、目視によって、折損した記録ワイヤ2の有無を判別できる。また、テストパターン112が印刷されていない箇所があれば、その隣のワイヤ番号表示111により、折損した記録ワイヤ2を容易に特定できる。
【0040】
この第2の実施形態では、ユーザに対して記録ワイヤ2の折損の有無に関する確認を促すとともに、テストパターンを目視することでユーザが確実に記録ワイヤ2の折損を検出できるので、折損した記録ワイヤ2が放置されることを防止できる。
また、本第2の実施形態の動作のみを行う場合には、プリンタ10が、静電容量センサ74を備えていなくてもよいので、プリンタ10の構成を単純化して、低コスト化を図ることができる。
【0041】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上記各実施形態では、ワイヤテストモードにおいて、記録ワイヤ2を画像印刷モードよりも短い周期で複数回突出させることにより、高負荷の条件で突出させる例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、記録ワイヤ2を画像印刷モードよりも高速で突出させたり、記録ワイヤ2を強い突出力で突出させたりして、高負荷を与えてもよい。また、上記各実施形態では、印刷行数の累積値に基づいてワイヤテストモードを実行する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、印刷したページ数の累積値に基づいてワイヤテストモードを実行してもよいし、印刷動作を実行した時間の累積値に基づいてワイヤテストモードを実行してもよい。
また、例えば、上記各実施形態では、カットシート100に画像を印刷する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、連続シートに画像を印刷する際に、ワイヤテストモードを実行するようにしてもよい。また、プリンタ10が備えるLED19に加えて液晶ディスプレイを備えた構成とし、ワイヤテストモードの実行開始、ワイヤ折損検出動作の結果、折損補償モードの案内等を、液晶ディスプレイに文字を表示して報知をしてもよく、スイッチ18に代えてより多数のキースイッチを設けてもよく、その他、プリンタ10を構成する各部の具体的な細部構成についても任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態に係るプリンタの構成を示す外観斜視図である。
【図2】プリンタの構成を示す側断面視図である。
【図3】プリンタ本体の構成を示す斜視図である。
【図4】記録ヘッドの構成を詳細に示す図である。
【図5】プリンタの制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】プリンタの動作を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係るプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図8】記録ワイヤの折損に係るテストパターンの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
2…記録ワイヤ、10…プリンタ(画像記録装置)、12…プリンタ本体、18…スイッチ、19…LED、20…記録ヘッド、21…キャリッジ、22…プラテン、23…搬送ローラ、24…テスト用プラテン、28…キャリッジ軸(ヘッド移動機構)、29…インクリボンカートリッジ、41…駆動輪列部、50…制御部、61…ヘッド駆動部、62…モータ駆動部、71…シート搬送モータ、72…キャリッジ駆動モータ(ヘッド移動機構)、74…静電容量センサ、80…ホストコンピュータ、100…カットシート(記録媒体)、110…ワイヤテストパターン(テストパターン)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ワイヤを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを駆動して記録ワイヤを突出させるヘッド駆動部と、前記記録ヘッド及び前記ヘッド駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記記録ヘッドから前記記録ワイヤを突出させて記録媒体に画像を記録する画像記録モードと、
前記記録ヘッドにより、前記画像記録モードの実行時よりも高負荷の条件で前記記録ワイヤを突出させるワイヤテストモードと、を実行可能に構成され、
前記画像記録モードで記録した量が予め設定された量に達した場合に、前記ワイヤテストモードの動作を実行すること、
を特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドを、前記記録媒体から外れた位置を含む走査範囲において走査させるヘッド移動機構と、
前記記録ヘッドの前記走査範囲において前記記録媒体から外れた位置に配置され、前記記録ヘッドから突出する前記記録ワイヤを受けるテスト用プラテンと、を備え、
前記制御部は、前記ワイヤテストモードの実行時に、前記ヘッド移動機構を制御して前記記録ヘッドを前記テスト用プラテン上に移動させること、
を特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ワイヤテストモードの実行中に、前記画像記録モードの実行時よりも短い周期で前記記録ワイヤを複数回突出させること、
を特徴とする請求項1または2記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ワイヤテストモードの実行後に、折損した前記記録ワイヤの有無を検出するワイヤ折損検出動作を実行すること、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ワイヤ折損検出動作において折損した前記記録ワイヤを検出した場合に、報知を行うこと、
を特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ワイヤテストモードの実行後に、折損した前記記録ワイヤの有無を目視により確認するためのテストパターンの画像を、前記記録媒体に記録すること、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ワイヤテストモードの実行後に前記記録ワイヤの折損が生じた場合、その後に実行する前記画像記録モードの動作においては、折損した前記記録ワイヤを突出させずに残余の前記記録ワイヤを突出させることで画像を記録すること、
を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項8】
記録ワイヤを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを駆動して記録ワイヤを突出させるヘッド駆動部と、を備えた画像記録装置を制御して、
前記記録ヘッドから前記記録ワイヤを突出させて記録媒体に画像を記録する画像記録モードを実行し、前記画像記録モードで記録した量が予め設定された量に達した場合に、前記記録ヘッドにより前記画像記録モードの実行時よりも高負荷の条件で前記記録ワイヤを突出させるワイヤテストモードを実行すること、
を特徴とする画像記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−115789(P2010−115789A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288537(P2008−288537)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】