説明

画像記録装置及びプログラム

【課題】画像記録の生産性を向上させる、画像記録装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】プリント制御部190は記録ヘッド140に対して画像を記録させるように制御を行い、システム制御部182から与えられた指示通りに被記録媒体114に画像を記録した後(S10)、画像の記録が完了したことをシステム制御部182に通知する(S11)。この通知を受けてからシステム制御部182は画像記録指示情報の受信待ちを行い(S12)、システム制御部182は、予め定められた時間内に画像記録指示情報を受信しない場合又は上記の他の条件を満足しない場合、記録ヘッド140を画像記録位置から非画像記録位置に退避させるように、水平移動用モータドライバ70を介して水平移動機構42のステッピングモータ42Cに指示を与える(S13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録媒体に対して記録領域内でインクを吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、この記録ヘッドからインクを吐出しない状態で、記録媒体を記録ヘッドと相対的に移動させる移動量または時間を算出する算出手段と、この算出手段によって算出された移動量または時間に基づいて記録ヘッドを記録領域外に退避させる退避動作を制御する制御手段と、を具備したことを特徴とするインクジェット記録装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、記録開始信号が入力されることに伴って、被記録媒体に対して記録を行うための記録ヘッドの準備動作と、記録ヘッドに対向しかつ記録ヘッドにより記録が可能な位置へ被記録媒体を搬入する搬入動作とを行う記録装置であって、記録ヘッドの準備動作と被記録媒体の搬入動作のうち、一方の動作が終了する前に他方の動作が開始されるように、記録ヘッドの準備動作と被記録媒体の搬入動作とを制御する制御手段を備えたことを特徴とする記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−44858号公報
【特許文献2】特開平2003−341047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、画像記録の生産性を向上させる、画像記録装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像記録装置を、記録開始の指示に応じて被記録媒体に画像を記録すると共に、前記被記録媒体に画像が記録されるように配置される記録位置と該記録位置以外の位置であって前記被記録媒体に画像が記録されないように配置される非記録位置との何れかに相対移動される記録手段と、前記記録位置と前記非記録位置との何れかに前記記録手段が配置されるように前記記録手段を相対移動させる移動手段と、前記記録位置に配置された前記記録手段が前記記録開始の指示に応じて予め定められた数量の前記被記録媒体に画像を記録し終えてから予め定められた時間内に前記記録手段に前記記録開始の指示が与えられた場合に前記記録位置で画像が記録されるように前記記録手段及び前記移動手段を制御し、前記予め定められた時間内に前記記録手段に前記記録開始の指示が与えられない場合に前記記録位置で画像を記録させずに前記記録手段を前記記録位置から前記非記録位置に退避させるように前記記録手段及び前記移動手段を制御する制御手段と、を含んで構成した。
【0007】
請求項1に記載の画像記録装置を、請求項2に記載の発明のように、前記制御手段が、更に、前記記録位置に配置された前記記録手段が前記記録開始の指示に応じて前記予め定められた数量の前記被記録媒体に画像を記録し終えてから前記予め定められた時間内に予め定められた条件を満足した場合に前記記録手段を強制的に前記記録位置から前記非記録位置に退避させるように前記移動手段を制御するものとした。
【0008】
請求項2に記載の画像記録装置を、請求項3に記載の発明のように、前記予め定められた条件を、画像記録モードによる条件又は後続の画像記録の有無による条件としたものとした。
【0009】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像記録装置を、請求項4に記載の発明のように、前記記録手段によって画像を記録させる被記録媒体の数量を受け付ける受付手段を更に含み、前記予め定められた数量を、前記受付手段によって受け付けられた数量としたものとした。
【0010】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像記録装置を、請求項5に記載の発明のように、前記記録位置に停止された前記記録手段に対して前記被記録媒体を搬送する搬送手段を更に含み、前記記録手段が、前記搬送手段によって搬送されている前記被記録媒体に対して画像を記録するものとした。
【0011】
請求項5に記載の画像記録装置を、請求項6に記載の発明のように、前記記録手段を、前記搬送手段によって第1方向に搬送される前記被記録媒体に各々画像を構成する画素を記録すると共に前記第1方向と交差する第2方向に沿って一端から他端に亘って配列された複数の記録素子を含んで構成したものとした。
【0012】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の画像記録装置を、請求項7に記載の発明のように、前記非記録位置を、前記記録手段の状態を予め定められた状態に保つための保守処理を行う領域に設けたものとした。
【0013】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の画像記録検査装置を、請求項8に記載の発明のように、前記記録手段を、前記被記録媒体に対して液滴を吐出することにより該被記録媒体に各々画像を構成する画素を記録する複数の液滴吐出素子を含んで構成したものとした。
【0014】
請求項9に記載のプログラムを、記録開始の指示に応じて被記録媒体に画像を記録すると共に、前記被記録媒体に画像が記録されるように配置される記録位置と該記録位置以外の位置であって前記被記録媒体に画像が記録されないように配置される非記録位置との何れかに相対移動される記録手段が、前記記録位置と前記非記録位置との何れかに配置されるように前記記録手段を相対移動させる移動手段及び前記記録手段を、前記記録位置に配置された前記記録手段が前記記録開始の指示に応じて予め定められた数量の前記被記録媒体に画像を記録し終えてから予め定められた時間内に前記記録手段に前記記録開始の指示が与えられた場合に前記記録位置で画像が記録されるように制御する手段、及び前記予め定められた時間内に前記記録手段に前記記録開始の指示が与えられない場合に前記記録位置で画像を記録させずに前記記録手段を前記記録位置から前記非記録位置に退避させるように前記記録手段及び前記移動手段を制御する手段としてコンピュータを機能させるためのものとした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び請求項9に係る発明によれば、記録位置に配置された記録手段が記録開始の指示に応じて予め定められた数量の被記録媒体に画像を記録し終えてから予め定められた時間内に記録手段に記録開始の指示が与えられた場合に記録位置で画像を記録させ、予め定められた時間内に記録手段に記録開始の指示が与えられない場合に記録位置で画像を記録させずに記録手段を記録位置から非記録位置に退避させる構成を有しない場合に比べ、画像記録の生産性が向上する、という効果が得られる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、予め定められた時間内に予め定められた条件を満足した場合に記録手段を強制的に記録位置から非記録位置に退避させない場合に比べ、利用者の利便性が向上する、という効果が得られる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、画像記録モードによる条件又は後続の画像記録の有無による条件を満足した場合に記録手段を強制的に記録位置から非記録位置に退避させない場合に比べ、利用者の利便性が向上する、という効果が得られる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、記録手段によって画像を記録させる被記録媒体の数量を受け付ける受付手段を有しない場合に比べ、利用者の要求に応じた数量の被記録媒体に画像が記録される、という効果が得られる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、搬送手段によって搬送されている被記録媒体に対して画像を記録する構成を有しない場合に比べ、簡便に生産性が向上する、という効果が得られる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、搬送手段によって第1方向に搬送される被記録媒体に各々画像を構成する画素を記録すると共に第1方向と交差する第2方向に沿って一端から他端に亘って配列された複数の記録素子を有しない場合に比べ、簡便に生産性が向上する、という効果が得られる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、非記録位置を、前記記録手段の状態を予め定められた状態に保つための保守処理を行う領域に設けない場合に比べ、記録手段の保守作業が行い易くなる、という効果が得られる。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、記録手段を、被記録媒体に対して液滴を吐出することにより被記録媒体に各々画像を構成する画素を記録する複数の液滴吐出素子を含んで構成しない場合に比べ、液滴吐出による画像記録の生産性が向上する、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る画像記録装置の構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】実施形態に係る画像記録装置の記録ヘッドの構造例を示す平面透視図であり、(A)は記録ヘッドの平面透視図であり、(B)はその一部の拡大図であり、(C)は記録ヘッドの他の構造例である。
【図3】実施形態に係る画像記録装置の記録ヘッドのインク室ユニットの構成を示す断面図であり、図2(A)及び(B)に示す4−4線に沿った断面図である。
【図4】実施形態に係る画像記録装置の記録ヘッドのノズル配列を示す拡大図である。
【図5】実施形態に係る画像記録装置のインク供給系及びメンテナンス系の構成の一例を示す概略構成図である。
【図6】実施形態に係る画像記録装置の記録部の要部構成を示す概略斜視図である。
【図7】実施形態に係る画像記録装置の記録ヘッドの昇降機構を示す分解斜視図である。
【図8】実施形態に係る画像記録装置の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】実施形態に画像記録処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施形態に係る画像記録処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本実施形態に係る画像記録装置100が示されている。画像記録装置100は、被記録媒体114(本実施形態では、一例として記録用紙)の片面のみに画像を記録可能とされ、被記録媒体114を供給する給紙部102、被記録媒体114に対して浸透抑制処理を行う浸透抑制処理部104、被記録媒体114に処理液を付与する処理液付与部106、被記録媒体114に色インクを付与して画像形成を行う記録部108、被記録媒体114に記録された画像に定着処理を施す定着処理部110及び画像が形成された被記録媒体114を搬送して排出する排紙部112を備えている。
【0025】
給紙部102には、被記録媒体114が積載される給紙台120が設けられている。給紙台120の前方(図1における左側)にはフィーダボード122が設けられており、給紙台120に積載された被記録媒体114は、フィーダボード122によって1番上から順に1枚ずつ送り出される。フィーダボード122によって送り出された被記録媒体114は、渡し胴124aを経由して浸透抑制処理部104の圧胴126aの表面(外周面)に到達される。
【0026】
渡し胴124a及び圧胴126aには、被記録媒体114の先端部を保持するグリッパ(図示省略)が設けられている。渡し胴124aのグリッパに保持された被記録媒体114の先端部が、渡し胴124aと圧胴126aとの接触位置(被記録媒体114の受け渡し位置)に到達すると、渡し胴124aのグリッパから圧胴126aのグリッパへ被記録媒体114の先端部の受け渡しが行われる。本実施形態では、1つの圧胴に2個のグリッパが設けられ、1つの渡し胴に1個のグリッパが設けられている。
【0027】
また浸透抑制処理部104には、圧胴126aの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126aの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤ヘッド130及び浸透抑制剤乾燥ユニット132が各々設けられている。用紙予熱ユニット128及び浸透抑制剤乾燥ユニット132には予め定められた温度範囲に制御されるヒータが設けられており、圧胴126aに保持された被記録媒体114は、用紙予熱ユニット128や浸透抑制剤乾燥ユニット132に対向する位置を通過する際、これらユニットのヒータによって加熱される。
【0028】
浸透抑制剤ヘッド130は浸透抑制剤を液滴として吐出することで、圧胴126aに保持される被記録媒体114に浸透抑制剤を付着させるものであり、後述する記録部108の各記録ヘッド140C,140M,140Y,140Kと同一構成のヘッドが適用される。なお、浸透抑制剤としては熱可塑性樹脂ラテックス溶液が好適であるが、これに限られるものではなく、例えば平板粒子(雲母等)や撥水剤(フッ素コーティング剤)などを適用しても良い。また、被記録媒体114への浸透抑制剤の付着にインクジェットヘッドを用いることに代えて、例えばスプレー方式や塗布方式などの各種方式を適用しても良い。
【0029】
浸透抑制処理部104の後段に配置された処理液付与部106は圧胴126bを備え、浸透抑制処理部104の圧胴126aと処理液付与部106の圧胴126bとの間には、これらに各々接するように渡し胴124bが設けられている。これにより、浸透抑制処理部104の圧胴126aに保持された被記録媒体114は、浸透抑制処理が行われた後に、渡し胴124bを経由して処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。
【0030】
処理液付与部106には、圧胴126bの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126bの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136及び処理液乾燥ユニット138が各々設けられている。処理液付与部106の用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136及び処理液乾燥ユニット138は、前述した浸透抑制処理部104の用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤ヘッド130及び浸透抑制剤乾燥ユニット132と各々同様の構成であるので説明を省略する。もちろん、浸透抑制処理部104と異なる構成を適用しても良いことは言うまでもない。
【0031】
なお、処理液付与部106によって被記録媒体114に付着される処理液としては、例えば、後段の記録部108に配置される各記録ヘッド140C,140M,140Y,140Kから被記録媒体114に向かって吐出されるインクに含有される色材を凝集させる作用を有する酸性液が挙げられる。また、用紙予熱ユニット134は省略しても良いが、本実施形態のように、被記録媒体114上に処理液が付与される前に用紙予熱ユニット134のヒータによって被記録媒体114を予備加熱した場合、処理液の乾燥に要する加熱エネルギーを低く抑えられるので、省エネルギー化が図れる。
【0032】
処理液乾燥ユニット138のヒータの加熱温度は、圧胴126bの回転方向上流側に配置される処理液ヘッド136の吐出動作によって被記録媒体114の表面に付与された処理液を乾燥させ、被記録媒体114上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液が乾燥した薄膜層)が形成されるような温度に設定される。ここでいう「固体状または半固溶状の凝集処理剤層」とは、乾燥後の処理液中に含まれる水の単位面積当りの重量(g/m2)を、乾燥後の処理液の単位面積当りの重量(g/m2)で除算することで求まる含水率が0%以上70%以下の範囲内のものをいう。
【0033】
処理液付与部106の後段に配置された記録部108は圧胴126cを備え、処理液付与部106の圧胴126bと記録部108の圧胴126cとの間には、これらに各々接するように渡し胴124cが設けられている。これにより、処理液付与部106の圧胴126bに保持された被記録媒体114は、処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された後に、渡し胴124cを経由して記録部108の圧胴126cに受け渡される。
【0034】
記録部108には、圧胴126cの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126cの表面に対向する位置に、CMYKの4色のインクに各々対応した記録ヘッド140C,140M,140Y,140Kと、溶媒乾燥ユニット142a,142bとが各々設けられている。なお、以下では、記録ヘッド140C,140M,140Y,140Kを区別して説明する必要がない場合は末尾のアルファベットを省略して「記録ヘッド140」と称する。
【0035】
本実施形態では、各記録ヘッド140として、前述の浸透抑制剤ヘッド130や処理液ヘッド136と同様に、インクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)を適用している。すなわち、各記録ヘッド140は、それぞれ対応する色のインク滴を圧胴126cに保持された被記録媒体114に向けて吐出する。
【0036】
圧胴126cの上方には、記録ヘッド140を保持するヘッドホルダ40が配置されており、各記録ヘッド140は圧胴126cの外周面の周方向に沿って互いに予め定められた角度を有するようにヘッドホルダ40によって保持されている。
【0037】
また、ヘッドホルダ40には、記録ヘッド140をヘッドホルダ40ごと、記録ヘッド140のインク吐出面αが圧胴126cの外周面と対面する対面位置であると共に圧胴126cの外周面に保持された被記録媒体114に記録ヘッド140によって画像が記録される画像記録位置と、記録ヘッド140のインク吐出面αが画像記録位置から退避して記録ヘッド140のメンテナンスを行うメンテナンス位置であると共に圧胴126cの外周面に保持された被記録媒体114に記録ヘッド140によって画像が記録されない非画像記録位置との2つの位置で水平移動させる水平移動機構42(詳しくは後述)が設けられている。
【0038】
各記録ヘッド140は、それぞれ圧胴126cに保持される被記録媒体114における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面αには画像形成領域の全幅に亘ってインク吐出用のノズル(図2の符号161を参照)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。各記録ヘッド140は圧胴126cの回転方向(被記録媒体114の搬送方向)と略直交する方向に延在するように固定設置されている。なお、本実施形態では上記のようにCMYKの4色のインクを用いて画像を記録する構成を例に挙げているが、これに限らず、インクの色やその組み合わせは変更しても良く、例えば必要に応じて淡インク(例えばライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インク)や濃インク、特別色インクを追加しても良い。また、各色のヘッドの配置順序についても図1に示した順序に限られるものではない。
【0039】
上記のように、被記録媒体114の画像形成領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインクの各色毎に設けられた構成では、被記録媒体114の搬送方向(副走査方向)について、被記録媒体114と各記録ヘッド140を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、被記録媒体114の画像形成領域に画像を記録できる。これにより、被記録媒体114の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドを用いる場合と比較して画像を高速に記録可能であり、プリント生産性が向上する。
【0040】
また、溶媒乾燥ユニット142a、142bは、前述した用紙予熱ユニット128、134や浸透抑制剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138のように、予め定められた温度範囲に制御されるヒータを含んで構成される。後述するように、被記録媒体114上に形成された固体状又は半固溶状の凝集処理剤層上にインク滴が付着すると、被記録媒体114上にはインク凝集体(色材凝集体)が形成されると共に、色材と分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が形成される。このようにして被記録媒体114上に残った溶媒成分(液体成分)は、被記録媒体114の反り返りだけでなく、画像劣化を招く要因となる。そこで本実施形態では、各記録ヘッド140から各色のインク滴が被記録媒体114上に付着された後、溶媒乾燥ユニット142a,142bのヒータによって熱を与えることで溶媒成分を蒸発させる乾燥処理を行っている。
【0041】
また、記録部108の後段に配置された定着処理部110は圧胴126dを備え、記録部108の圧胴126cと定着処理部110の圧胴126dとの間には、これらに各々接するように渡し胴124dが設けられている。これにより、記録部108の圧胴126cに保持された被記録媒体114は、記録部108で各色のインク滴が付着された後に、渡し胴124dを経由して記録部108の圧胴126cに受け渡される。定着処理部110には、圧胴126dの回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って上流側から順に、圧胴126dの表面に対向する位置に加熱ローラ148a,148bがそれぞれ設けられている。
【0042】
なお、本実施形態の定着処理部110では、画像記録後に、加熱ローラ148a,148bによる加熱及び加圧によって定着処理が行われるが、これに限られるものではなく、例えば透明UVインクを付着させた後にUV光を照射することで、透明UVインクの硬化によって被記録媒体114に画像を定着させる等の他の構成を適用しても良い。
【0043】
定着処理部110の後段に配置された排紙部112には、定着処理が施された被記録媒体114を受ける排紙胴150と、該被記録媒体114を積載する排紙台152と、排紙胴150に設けられたスプロケットと排紙台152の上方に設けられたスプロケットとの間に掛け渡され、複数の排紙用グリッパを備えた排紙用チェーン154と、が設けられている
【0044】
次に、図2を参照して記録ヘッド140について説明する。図2(A)(B)記録ヘッド140のインク吐出面α側の平面視概略透視図が示されている。一例として図2(A),(B)に示すように、本実施形態に係る記録ヘッド140は、インク滴の吐出口であるノズル161と、各ノズル161に対応する圧力室162等から成る複数のインク室ユニット163がマトリクス状に(2次元的に)配置された構成とされ、これにより、ヘッド長手方向(被記録媒体114の搬送方向と直交する主走査方向)に沿った実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化、ひいては被記録媒体114上に形成されるドットピッチの高密度化を実現している。なお、記録ヘッド140は図2(A)に示す構成に限られるものではなく、例えば図2(C)に示すように、複数のノズル161が2次元に配列された短尺のヘッドブロック160を千鳥状に配列して繋ぎ合わせた構成でも良いし、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べた構成でも良い。
【0045】
圧力室162はその平面形状が略正方形とされ、対角線上の両隅部にノズル161と供給口164が設けられている。一例として図3に示すように、各圧力室162は供給口164を介して共通流路165と連通されている。共通流路165はインク供給源であるインク供給タンク(図示省略)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは共通流路165を介して各圧力室162に分配供給される。圧力室162の天面を構成すると共に、共通電極としての機能を兼ね備えた振動板166には、個別電極167を備えた圧電素子168が接合されており、圧電素子168は個別電極167に駆動電圧が印加されると変形し、この圧電素子168の変形に伴ってノズル161からインク滴が吐出される。そして、ノズル161からのインク滴の吐出に伴い、共通流路165から供給口164を通って新しいインクが圧力室162に供給される。
【0046】
なお、本実施形態では、ノズル161からインク滴を吐出させる吐出力発生手段として圧電素子168を用いているが、これに代えて圧力室162内にヒータを設け、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用しても良い。 一例として図4に示すように、本実施形態に係る記録ヘッド140は、上述した構成のインク室ユニット163が、主走査方向に沿う行方向と、主走査方向に対して直交しない一定角度θを成す傾斜した列方向と、に沿って一定の配列パターンでマトリクス状に多数配列されていることで、投影ノズルピッチの高密度化を実現している。すなわち、主走査方向に対して一定角度θを成す方向に沿ってインク室ユニット163が一定のピッチdで複数配列されていることで、主走査方向に沿った投影ノズルピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル161が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱われる。これにより、主走査方向に沿って1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)にも及ぶ高密度にノズルが配列されたに等しい記録ヘッドが得られる。
【0047】
また、本実施形態では、画像が記録され得る幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、各ノズルからインク滴を吐出させて被記録媒体114の幅方向(被記録媒体114の搬送方向と略直交する方向)に沿った1ライン(1列のドットによるラインまたは複数列のドットから成るライン)を記録する際のノズル駆動方式としては、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを一方から他方に向けて順次駆動する、(3)ノズルを複数ブロックに分割し、ブロック毎に一方から他方に向けて順次駆動する、等の何れかが適用される。なお、本明細書では、上記何れかの駆動方式によって被記録媒体114の幅方向に沿った1ラインを記録させるためのノズルの駆動を主走査と定義する。
【0048】
なお、図2(A),(B)に示すようなマトリクス状に配置されたノズル161を駆動する場合は、上記(3)の主走査(ノズル駆動方式)が好ましい。具体的には、図4に示すノズル161-11、161-12、16-13、161-14、161-15、161-16を1つのブロックとし(他にはノズル161-21、…、161-26を1つのブロック、ノズル161-31、…、161-36を1つのブロック、…として)、被記録媒体114の搬送速度に応じてノズル161-11、161-12、…、161-16を順次駆動することで被記録媒体114の幅方向に1ラインを記録する。
【0049】
一方、本明細書では、上述したフルラインヘッドと被記録媒体114とを相対移動させることによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるラインまたは複数列のドットから成るライン)の記録を繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では被記録媒体114の搬送方向が副走査方向、それに直交する被記録媒体114の幅方向が主走査方向となる。
【0050】
なお、ノズル161の配置構造は図示の例に限定されない。例えば、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。また、ライン型ヘッドによる記録方式に限定されず、被記録媒体114の幅方向の長さに満たない短尺のヘッドを被記録媒体114の幅方向に走査させて当該幅方向の記録を行い、1回の幅方向の記録が終わると被記録媒体114を幅方向と略直交する方向に予め定められた量だけ移動させて、次の記録領域の被記録媒体114の幅方向の記録を行い、この動作を繰り返して被記録媒体114の記録領域の全面にわたって記録を行うシリアル方式を適用しても良い。
【0051】
次に、図5を参照して画像記録装置100のインク供給系及びメンテナンス系の構成の一例を説明する。同図に示すように、インク供給系には、記録ヘッド140にインクを供給する基タンクであるインク供給タンク170が設けられている。インク供給タンク170の形態には、インク残量が少なくなった場合に図示が省略された補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
【0052】
インク供給タンク170と記録ヘッド140の中間には、異物や気泡を除去するためのフィルタ172が設けられている。フィルタ172のメッシュサイズは、ノズル径と同等かノズル径以下(例えば20μm程度)とすることが好ましい。また、図示は省略するが、記録ヘッド140の近傍又は記録ヘッド140と一体にサブタンクを設けても良い。サブタンクは、記録ヘッドの内圧変動を防止するダンパ効果を発揮すると共に、リフィルを改善する機能を有する。
【0053】
また、画像記録装置100には、ノズル161の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するためのキャップ174と、記録ヘッド140のインク吐出面αの清掃手段としてクリーニングブレード176と、水平移動機構42と、昇降機構46と、を含んで構成されたメンテナンス系が設けられている。記録ヘッド140は、これらキャップ174及びクリーニングブレード176を含むメンテナンスユニットに対し、水平移動機構42によって相対移動されるように構成されており、必要に応じて画像記録のための画像記録位置から同図に示す非画像記録位置(キャップ174の上方の位置)へ移動される。また、記録ヘッド140は、昇降機構46によって、非画像記録位置においてキャップ174に対して相対的に昇降変位される。記録ヘッド140は、電源OFF時や印刷待機時に、予め定められた下降位置まで下降されてキャップ174に密着されることで、ノズル161の先端面がキャップ174によって覆われる。
【0054】
なお、本実施形態では、キャップ174の位置及びキャップ174の上方の位置である非画像記録位置を含めた領域をメンテナンス領域として位置付けているが、メンテナンス領域はこれに限定されるものではなく、キャップ174の設置位置を含めた予め定められた領域であっても良いし、キャップ174の設置位置以外の例えばクリーニングブレード176の設置位置を含めた予め定められた領域であっても良いし、圧胴126c上の被記録媒体114に対してインクが着弾しない位置であって、記録ヘッド140が画像記録位置に配置された場合に比べ、記録ヘッド140のメンテナンス作業が行い易い位置が確保された領域であれば良い。
【0055】
図6には、水平移動機構42の構成の一例が示されている。同図に示すように、水平移動機構42は、枠体42A、ボールねじ42B及びステッピングモータ42Cを含んで構成されている。枠体42Aは、被記録媒体114の搬送方向に対して略直交する方向へ延び(画像記録位置から非画像記録位置に向けて延び)ている。この枠体42Aには、画像記録位置と非画像記録位置との2つの位置で水平移動されるようにヘッドホルダ40が取り付けられている。また、ヘッドホルダ40にはボールねじ42Bが取り付けられており、このボールねじ42Bの一端部はステッピングモータ42Cの駆動軸に連結されているため、ステッピングモータ42Cの回転駆動力がボールねじ42Bに伝達される。従って、ボールねじ42Bはステッピングモータ42Cから伝達された回転駆動力を受けて回転し、この回転に応じてヘッドホルダ40は枠体42A内を水平移動する。なお、本実施形態では、このボールねじ42Bが正回転することによってヘッドホルダ40が枠体42A内を画像記録位置側から非画像記録位置側に向かって水平移動され、ボールねじ42Bが逆回転することによってヘッドホルダ40が枠体42A内を非画像記録位置側から画像記録位置側に水平移動される。
【0056】
図7には、昇降機構44の構成の一例が示されている。同図に示すように、ヘッドホルダ40の長手方向の両端部の各端部には一組のガイドレール54,56が記録ヘッド140毎に設けられており、一組のガイドレール54,56は、ヘッドホルダ40が圧胴126cの外周面と対面した状態で圧胴126cの外周面の周方向に沿って(圧胴126cの半径方向に沿って放射線状に)、記録ヘッド140毎に互いに角度を変えて設けられている。
【0057】
ガイドレール54,56は、各々略U字状を成しており、対応する記録ヘッド140を直線的にガイドする。また、ガイドレール54,56は、ガイドレール54がガイドレール56の内側に位置するように互いに重なった状態で設けられており、ガイドレール56がヘッドホルダ40の上面に固定され、ガイドレール56に沿ってガイドレール54がスライドする。ガイドレール56の下端部には、ガイドレール56で構成された四角形状の台座(図示省略)が設けられており、台座にはステッピングモータ58が固定されている。ステッピングモータ58にはボールねじ60が連結されており、ステッピングモータ58の駆動によって、ボールねじ60が予め定められた角度回転する。
【0058】
一方、ガイドレール54の下端部には、ガイドレール54で構成された四角形状のガイド板54Aが設けられており、中央部には、ねじ孔62が形成され、ボールねじ60がねじ込まれている。このため、ステッピングモータ58の駆動によりボールねじ60が回転すると、ガイド板54Aを介して、カイドレール54がボールねじ60に沿って、ガイドレール56に対してスライド移動する。
【0059】
ガイドレール54の上端部には軸受部64が設けられており、記録ヘッド140の両端面から略垂直に吐出したシャフト66が軸受部64によって支持される。このため、ガイドレール54のスライド移動に伴って、軸受部64及びシャフト66を介して記録ヘッド140が上下移動する(圧胴126cの外周面に対して半径方向に沿って接離する)。
【0060】
なお、本実施形態では、ボールねじ60を用いて、ガイドレール54を上下移動させ、記録ヘッド140を上下移動させる構成例を挙げているが、記録ヘッド140を上下移動させるものであれば如何なる機構であっても良く、例えば、図示は省略するが、ピニオン・ラックによってガイドレールに設けたラックに合わせて記録ヘッド140を移動させるようにしても良い。
【0061】
また、本実施形態では、1つの記録ヘッド140に対してステッピングモータ58を設けて互いに同期させて記録ヘッド140を昇降させる場合の形態例を挙げたが、これに限らず、例えば、ステッピングモータは1つでも良く、この場合、記録ヘッド140の長手方向の中央部に昇降機構44を設ける形態例が挙げられる。また、昇降機構44を記録ヘッド140の長手方向の両端部に設け、プーリ・ベルトなどを介して、ステッピングモータの駆動力を記録ヘッド140の長手方向の両端部に伝達させるようにしても良い。
【0062】
ところで、画像記録中又は待機中の特定のノズル161の使用頻度が低く、特定のノズル161からインク滴が吐出されない状態がある時間以上継続すると、ノズル161近傍に滞留しているインク中の溶媒が蒸発することでインク粘度が増大し、圧電素子168が動作してもノズル161からインク滴が吐出されない不吐出状態に陥る恐れが生ずる。このため、本実施形態では、一例として図5に示すように、不吐出状態になる前に(インク粘度が、圧電素子168の動作によりインク滴が吐出される範囲から逸脱する前に)圧電素子168を動作させ、その劣化インク(ノズル近傍に滞留している粘度が上昇したインク)を排出すべくキャップ174(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、ダミー吐出ともいう)が行われる。また、記録ヘッド140内のインク(圧力室162内)に気泡が混入した場合にも、圧電素子168が動作してもノズル161からインク滴が吐出されない状態となる。本実施形態では、このような場合に記録ヘッド140のノズル161の先端面をキャップ174で覆い、吸引ポンプ177を作動させることで圧力室162内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク178へ送液する吸引動作が行われる。この吸引動作(粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出し)は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも行われる。なお、吸引動作は圧力室162内のインク全体に対して行われ、インク消費量が大きいので、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。また、キャップ174の底に常時水分を貯留するようにしておき、記録ヘッド140が非画像記録位置に配置されたときに気化する水分によってインク吐出面αを保湿するようにしても良い。
【0063】
また、クリーニングブレード176はゴムなどの弾性部材で構成されており、図示を省略したブレード移動機構により記録ヘッド140のインク吐出面αに摺動される。インク吐出面αにインク滴または異物が付着した場合、クリーニングブレード176をインク吐出面αに摺動させることでインク吐出面αが拭き取られ、インク吐出面αが清掃される。
【0064】
図8には、本実施形態に係る画像記録装置100の電気系の構成の一例が示されている。同図に示すように、画像記録装置100はシステム制御部182を備え、システム制御部182には、水平移動用モータドライバ70、昇降用モータドライバ72、画像記録位置センサ74、非画像記録位置センサ76、通信インターフェース(I/F)部180、メモリ184、UIパネル185、モータドライバ186、ヒータドライバ188及びプリント制御部190が各々接続されている。なお、プリント制御部190とシステム制御部182とを統合して1つのプロセッサで構成することも可能である。
【0065】
通信I/F部180は、ホストコンピュータ196から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信I/F部180における通信プロトコルとしてはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワーク等のシリアルインターフェースや、セントロニクス等のパラレルインターフェースの何れかが適用される。ホストコンピュータ196から送出された画像データは通信I/F部180を介して画像記録装置100に取り込まれ、メモリ184に一旦記憶される。
【0066】
メモリ184は、システム制御部182を通じてデータの読み書きが行われる一次記憶部と、半導体素子を備えたEEPROMやハードディスクを備えた磁気記憶媒体などの二次記憶部と、を含んで構成されている。このように構成されたメモリ184は、画像データの一時記憶領域として利用されると共に、プログラムの展開領域及びCPU(中央処理装置)の演算作業領域としても利用される。また、メモリ184には、システム制御部182のCPUが実行する処理に必要な各種データ等が記憶されている。更に、メモリ184には、後述する異常吐出検出パターンのデータが予め記憶されている。
【0067】
UIパネル185は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、利用者がタッチパネルに触れることにより情報や指示が受け付けられる。なお、本実施形態では、UIパネル185を適用した形態例を挙げて説明しているが、これに限らず、液晶ディスプレイなどの表示部とテンキーや操作ボタンなどが設けられた操作部とが別々に設けられた形態としても良い。
【0068】
システム制御部182は、CPU及びその周辺回路等から構成され、予め定められたプログラムに従って画像記録装置100の全体を制御する制御装置として機能すると共に、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システム制御部182は、ホストコンピュータ196との情報の授受、メモリ184に対するアクセス、UIパネル185で受け付けられた情報や指示の取得及びUIパネル185による情報の表示等を行うと共に、搬送系のモータ198やヒータ199を制御するための制御信号を生成する。
【0069】
また、システム制御部182はプログラム格納部182Aを内蔵している。プログラム格納部182Aには各種制御プログラムが格納されており、システム制御部182の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、CPUによって実行される。プログラム格納部はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いても良いし、磁気ディスクなどを用いても良い。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いても良い。もちろん、これらの記憶媒体のうちの1つ又は複数を備えても良い。なお、プログラム格納部182Aは動作パラメータ等の記億手段と兼用しても良い。また、プログラム格納部182Aには、システム制御部182のCPUによって後述する画像記録処理を行うための画像記録処理プログラムも格納されている。
【0070】
モータドライバ186にはモータ198が接続されており、モータドライバ186はシステム制御部182からの指示に従ってモータ198を駆動する。なお、図8に示すモータ198は実際には複数個のモータから成り、例えば図1に示す圧胴126a〜126dや渡し胴124a〜124d、排紙胴150を駆動するモータ等が含まれている。ヒータドライバ188にはヒータ199が接続されており、ヒータドライバ188はシステム制御部182からの指示に従ってヒータ199を駆動する。なお、図8に示すヒータ199についても実際には複数個のヒータから成り、例えば図1に示す用紙予熱ユニット128、134や浸透抑制剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138、溶媒乾燥ユニット142a、142bのヒータ、加熱ローラ148a,148bに内蔵されるヒータ等が含まれている。
【0071】
水平移動用モータドライバ70には水平移動機構42の駆動源としてのステッピングモータ42Cが接続されており、水平移動用モータドライバ70はシステム制御部182からの指示に従ってステッピングモータ42Cを駆動する。また、昇降用モータドライバ72には昇降機構46の駆動源としてのステッピングモータ58が接続されており、昇降用モータドライバ72はシステム制御部182からの指示に従ってステッピングモータ58を駆動する。
【0072】
画像記録位置センサ74は画像記録位置に設けられており、記録ヘッド140が画像記録位置に配置された場合に画像記録位置に配置された記録ヘッド140を検出するものであり、この検出結果はシステム制御部182に送信される。従って、システム制御部182は、画像記録位置センサ74から受信した検出結果に基づいて、記録ヘッド140が画像記録位置に配置されているか否かを把握する。また、非画像記録位置センサ76は非画像記録位置に設けられており、記録ヘッド140が非画像記録位置に配置された場合に非画像記録位置に配置された記録ヘッド140を検出するものであり、この検出結果はシステム制御部182に送信される。従って、システム制御部182は、非画像記録位置センサ76から受信した検出結果に基づいて、記録ヘッド140が非画像記録位置に配置されているか否かを把握する。
【0073】
プリント制御部190にはヘッドドライバ194、処理液ヘッドドライバ195、浸透抑制剤ヘッドドライバ197、画像バッファメモリ192が各々接続されている。プリント制御部190は、システム制御部182からの指示に従い、メモリ184に記憶されている画像データから画像記録用のデータや、浸透抑制剤吐出用の信号、処理液吐出用の信号を生成するための処理を行う信号処理機能を有しており、生成された画像記録用のデータ(ドットデータ)はヘッドドライバ194に供給され、生成された浸透抑制剤吐出用の信号は浸透抑制剤ヘッドドライバ197に供給され、生成された処理液吐出用の信号は処理液ヘッドドライバ195に供給される。また、プリント制御部190で上記の信号処理が行われる際には、画像データやパラメータ等のデータが画像バッファメモリ192に一時的に格納される。
【0074】
ヘッドドライバ194には記録ヘッド140が接続されており、ヘッドドライバ194は、プリント制御部190から供給された画像記録用のデータに基づいて記録ヘッド140の圧電素子168に印加するための駆動信号を生成すると共に、該駆動信号を圧電素子168に印加して圧電素子168を駆動する駆動回路を含んで構成される。また、圧電素子168を駆動して記録ヘッド140からインク滴を吐出させる際には、ヘッドドライバ194によって記録ヘッド140の吐出液滴量や吐出タイミングの制御も行われる。これにより、要求に応じたサイズのドットが要求に応じた配置で被記録媒体114に記録される。なお、ヘッドドライバ194は、記録ヘッド140の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んで構成しても良い。
【0075】
また、浸透抑制剤ヘッドドライバ197には浸透抑制剤ヘッド130が接続されており、浸透抑制剤ヘッドドライバ197はプリント制御部190から供給された浸透抑制剤吐出用の信号に従って、浸透抑制剤ヘッド130から浸透抑制剤を吐出させる。また、処理液ヘッドドライバ195には処理液ヘッド136が接続されており、処理液ヘッドドライバ195はプリント制御部190から供給された処理液吐出用の信号に従って、処理液ヘッド136から処理液を吐出させる。
【0076】
次に本実施形態の作用として、まず被記録媒体114に画像を記録する場合の画像記録装置100の各部の動作を説明する。被記録媒体114に画像を記録する場合、給紙部102の給紙台120からフィーダボード122に被記録媒体114が送り出される。被記録媒体114は、渡し胴124aを経由して浸透抑制処理部104の圧胴126aに保持され、用紙予熱ユニット128によって予備加熱され、浸透抑制剤ヘッド130から吐出された浸透抑制剤が付着される。その後、圧胴126aに保持された被記録媒体114は、浸透抑制剤乾燥ユニット132によって加熱され、浸透抑制剤の溶媒成分(液体成分)が蒸発することで乾燥される。
【0077】
上記の浸透抑制処理が行われた被記録媒体114は、浸透抑制処理部104の圧胴126aから渡し胴124bを経由して処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。圧胴126bに保持された被記録媒体114は、用紙予熱ユニット134によって予備加熱され、処理液ヘッド136から吐出された処理液が付着される。その後、圧胴126bに保持された被記録媒体114は、処理液乾燥ユニット138によって加熱され、処理液の溶媒成分(液体成分)が蒸発することで乾燥される。これにより、被記録媒体114上には固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成される。
【0078】
ここで、被記録媒体114に形成された凝集処理剤層上にインク滴が着弾すると、インク滴の飛翔エネルギーと表面エネルギーとのバランスにより、インク滴と凝集処理剤層との接触面は予め定められた面積になる。インク滴が凝集処理剤上に着弾した直後に凝集反応が始まるが、この凝集反応は、インク滴と凝集処理剤層との接触面から始まると共に接触面近傍のみで起こり、インク着弾時における予め定められた接触面積で付着力を得た状態でインク内の色材が凝集されるため、色材移動が抑止される。このインク滴に隣接して他のインク滴が着弾しても先に着弾したインクの色材は既に凝集化しているので後から着弾するインクとの間で色材同士が混合せず、ブリードが抑止される。なお、色材の凝集後には、分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が被記録媒体114上に形成される。そして、圧胴126cに保持された被記録媒体114は溶媒乾燥ユニット142a、142bによって加熱され、被記録媒体114上でインク凝集体と分離した溶媒成分(液体成分)が蒸発することで乾燥される。この結果、被記録媒体114の反り返りが防止されると共に、溶媒成分に起因する画像品質の劣化が抑制される。
【0079】
記録部108によって色インクが付与されて画像が記録された被記録媒体114は、記録部108の圧胴126cから渡し胴124dを経由して定着処理部110の圧胴126dに受け渡され、加熱ローラ148a,148bによって加熱及び押圧処理が施される。更に、その後、被記録媒体114は圧胴126dから排紙胴150に受け渡され、排紙用チェーン154によって排紙台152まで搬送される。このようにして画像が記録された被記録媒体114は、排紙用チェーン154によって排紙台152の上方に搬送され、排紙台152上に積載される。
【0080】
ところで、本実施形態に係る画像記録装置100では、例えば本刷りとして被記録媒体114に画像が記録される前に、試し刷りとして被記録媒体114に画像が記録されることがある。しかし、試し刷りが終了してから本刷りまでの間に相当の時間(例えば1時間)要するような場合には記録ヘッド140のインク吐出面αに付着しているインクの粘度及びインク室ユニット163内のインクの粘度が高まり、本刷りのときにノズル161からインクが吐出し難くなることがある。そのため、従来は、試し刷りが終了すると記録ヘッド140を画像記録位置から非画像記録位置に退避させて記録ヘッド140のインク吐出面αにキャップ174を被せること又は記録ヘッド140を非画像記録位置に配置してキャップ174からの気化水分をインク吐出面αにあてることによってインク吐出面αが乾いたり、インク室ユニット163内のインクが不良状態になったりすることを防止していた。そして、記録ヘッド140は、本刷りの指示が受け付けられるまで非画像記録位置に保持されていた。しかし、本刷りのときには非画像記録位置の記録ヘッド140を画像記録位置に再度移動させなければならず、その移動時間は被記録媒体114に画像が記録されるわけではないので、その分だけ生産性が低下してしまっていた。そこで、本実施形態に係る画像記録装置100では、ノズル161からのインクの吐出不良の発生を抑制しながらも生産性の低下を抑制するように被記録媒体114に画像を記録する画像記録処理がシステム制御部182によって実行される。以下では、システム制御部182によって実行される画像記録処理について、図9を参照して説明する。なお、この画像記録処理は、プログラム格納部182Aに格納されている画像記録処理プログラムがシステム制御部182のCPUによって実行されることで実現される。また、以下の図9及び図10を参照した説明では、錯綜を回避するために、被記録媒体114に記録される画像を示す画像情報、記録枚数(画像が記録される被記録媒体114の枚数)を指示する記録枚数指示情報、画像の記録開始を指示する記録開始指示情報及び被記録媒体114に画像を記録する際に必要なその他の情報を含んで構成された画像記録指示情報がホストコンピュータ196から画像記録装置100に送信された場合について説明する。また、図9及び図10を参照した説明では、錯綜を回避するために、画像記録処理が開始されるに先立ち記録ヘッド140が非画像記録位置に配置されている場合について説明する。
【0081】
ステップ400では、画像記録指示情報を受信するまで待機した後、ステップ402に移行し、記録ヘッド140が画像記録位置に配置されるように、水平移動用モータドライバ70を介して水平移動機構42のステッピングモータ42Cに指示を与える。これに応じて、ステッピングモータ42Cが予め定められた回転方向に予め定められた回転数回転し、記録ヘッド140が非画像記録位置から画像記録位置に移動して画像記録位置で停止する。
【0082】
次のステップ404では、記録ヘッド140が画像記録位置に配置されたことの検出待ちを行った後、ステップ406に移行し、上記ステップ400の処理で受信した画像記録指示情報に含まれる画像情報により示される画像の記録を開始させるように記録ヘッド140及びモータ198を制御する。これに応じて被記録媒体114が搬送系によって画像記録位置に搬送されると共に、この搬送動作に同期して記録ヘッド140が作動することによって被記録媒体114には画像が記録される。
【0083】
次のステップ408では、上記ステップ400の処理で受信した画像記録指示情報に含まれる記録枚数指示情報により指示される記録枚数(例えば100枚)に到達するまで待機した後、ステップ410に移行し、画像の記録を停止させるように記録ヘッド140及びモータ198を制御する。これに応じて被記録媒体114の搬送が停止されると共に記録ヘッド140の作動が停止されて被記録媒体114への画像の記録が停止される。
【0084】
次のステップ412では、上記ステッ410の処理が終了してから予め定められた時間(例えば20分)経過したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ414に移行する。なお、本ステップ412の判定処理では、タイマによって計測された時間を参照して判定を行っており、ステップ410の処理が終了すると計測が開始され、この計測は本ステップ412において肯定判定になった場合及び後述のステップ418において肯定判定となった場合にリセットされる。本ステップ412の処理で用いられる「予め定められた時間」は、画像の記録が停止されてから(インクの吐出が終了してから)画像の記録を再開した際に(インクの吐出を再開した際に)インクの吐出不良が発生しないものとして予め定められた上限時間を意味する。つまり、この上限時間を超えてからインクを吐出させるように記録ヘッド140を制御した場合にはインクの吐出不良が発生する可能性が高いということである。この上限時間は、実際に画像記録装置100によって何度も画像の記録を行うことによって知見された時間であっても良いし、様々な条件を想定してコンピュータ・シミュレーションを繰り返し行って推定された時間から選択された時間であっても良い。
【0085】
ステップ412において否定判定となった場合にはステップ416に移行し、記録ヘッド140を画像記録位置から非画像記録位置に移動する他の条件(予め定められた時間を経過した、との条件以外の予め定められた条件)を満足したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ414に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ418に移行する。ステップ418では、画像記録指示情報を受信したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ412に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ406に戻る。なお、上記の「他の条件」とは、例えば、電源が強制的に遮断されたとの条件や本画像記録処理よりも優先して実行すべき処理が割り込んだとの条件、印刷モードによる条件(予め画像の準備時間が発生すると認識できる印刷のとき)、後続印刷有無にようる条件(ホストコンピュータから明示的に後続印刷がないと通知されたとき)などが挙げられる。
【0086】
ステップ414では、記録ヘッド140が非画像記録位置に配置されるように、水平移動用モータドライバ70を介して水平移動機構42のステッピングモータ42Cに指示を与えた後、本画像記録処理プログラムを終了する。上記ステップ414の処理によって、ステッピングモータ42Cは予め定められた回転方向に予め定められた回転数回転し、これに伴って記録ヘッド140が画像記録位置から非画像記録位置に移動して非画像記録位置で停止する。
【0087】
図10は、水平移動機構42、システム制御部182及びプリント制御部190が協働して行う処理の流れを示すシーケンス図である。同図に示すように、本実施形態に係る画像記録装置100の利用者がホストコンピュータ196又はUIパネル185などを利用して画像記録指示信号をシステム制御部182に送信すると(S1)、画像記録指示信号を受信したシステム制御部182は、記録ヘッド140を非画像記録位置から画像記録位置に移動させるように水平移動機構42を制御する(S2)。具体的には、ステッピングモータ42Cの回転駆動を制御する。そして、記録ヘッド140が非画像記録位置から画像記録位置に移動して停止するまで待機してから(S3)、画像の記録を開始するようにプリント制御部190に対して指示を与える(S4)。この指示に応じてプリント制御部190は記録ヘッド140に対して画像を記録させるように制御を行い、システム制御部182から与えられた指示通りに被記録媒体114に画像を記録した後(S5)、画像の記録が完了したことをシステム制御部182に通知する(S6)。この通知を受けてからシステム制御部182は画像記録指示情報の受信待ちを行い(S7)、システム制御部182は、予め定められた時間内に画像記録指示情報を受信すると(S8)、画像の記録を開始するようにプリント制御部190に対して指示を与える(S9)。この指示に応じてプリント制御部190は記録ヘッド140に対して画像を記録させるように制御を行い、システム制御部182から与えられた指示通りに被記録媒体114に画像を記録した後(S10)、画像の記録が完了したことをシステム制御部182に通知する(S11)。この通知を受けてからシステム制御部182は画像記録指示情報の受信待ちを行い(S12)、システム制御部182は、予め定められた時間内に画像記録指示情報を受信しない場合又は上記の他の条件を満足しない場合、記録ヘッド140を画像記録位置から非画像記録位置に退避させるように、水平移動用モータドライバ70を介して水平移動機構42のステッピングモータ42Cに指示を与える(S13)。これに応じてステッピングモータ42Cが予め定められた回転方向に予め定められた回転数回転し、記録ヘッド140が画像記録位置から非画像記録位置に移動して非画像記録位置で停止する。
【0088】
なお、上記実施形態では、画像記録指示情報が予め定められた時間内に受信されない場合に記録ヘッド140を非画像記録位置に退避させる場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、記録開始指示情報が予め定められた時間内に受信されない場合に記録ヘッド140を非画像記録位置に退避させるようにしても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、画像記録指示情報が予め定められた時間内に受信されない場合に記録ヘッド140を非画像記録位置に退避させるように水平移動機構42を制御する形態例を挙げたが、これに限らず、水平移動機構42に対しての制御に加えて、例えばUIパネル185に記録ヘッド140が非画像記録位置にあることを示す情報を可視表示するようにしても良い。また、音声再生装置による可聴表示を行っても良いし、プリンタによる永久可視表示を行っても良い。また、可視表示、可聴表示及び永久可視表示の少なくとも2つ以上を組み合わせて実行しても良い。
【0090】
また、上記実施形態では、記録ヘッド140画像記録位置から非画像記録位置への移動及び非画像記録位置から画像記録位置への移動が水平移動のみで実現される場合の形態例を挙げて説明したが、画像記録位置と非画像記録位置とが同一水平面上にない場合は水平方向の移動に上下方向の移動を加えることによって画像記録位置から非画像記録位置への移動及び非画像記録位置から画像記録位置への移動が実現される。本実施形態を例に挙げて説明すると、例えば記録ヘッド140のインク吐出面αがキャップ174の底に密着する位置(密着位置)を非画像記録位置として、記録ヘッド140を画像記録位置から非画像記録位置に移動させる場合、画像記録位置に配置されている記録ヘッド140を上記実施形態で説明した非画像記録位置まで水平移動機構42によって移動させて記録ヘッド140を昇降装置46によってインク吐出面αがキャップ174の底に密着するまで降下させれば良い。逆に、記録ヘッド140を非画像記録位置から画像記録位置に移動させる場合、記録ヘッド140を密着位置から上記実施形態で説明した非画像記録位置に昇降装置46によって持ち上げてから上記実施形態で説明したように水平移動機構42によって画像記録位置に移動させれば良い。
【0091】
また、上記実施形態では、画像記録指示情報に含まれる記録枚数指示情報により指示された枚数分の被記録媒体114に画像を記録する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、画像記録装置100によって画像が記録される枚数は例えば1枚や50枚などのように予め定められた枚数であって良い。この場合、画像記録指示情報に記録枚数指示情報を含める必要はなくなる。
【0092】
また、上記実施形態では、記録ヘッド140を圧胴126cに対して主走査方向にスライド移動させることによって記録ヘッド140を画像記録位置と非画像記録位置との何れかに配置する形態例を挙げて説明したが、これに限らず、圧胴126cを、水平移動機構(図示省略)を用いて主走査方向にスライド移動させることによって記録ヘッド140を画像記録位置と非画像記録位置との何れかに配置しても良い。この場合、画像記録を行うときに記録ヘッド140のインク吐出面αに対して圧胴126cの外周面を対面させ、画像記録を行わないときに記録ヘッド140のインク吐出面αに対して圧胴126cの外周面を対面させないように圧胴126cを移動させれば良い。また、記録ヘッド140及び圧胴126cの双方を主走査方向に移動させるようにしても良い。このように記録ヘッド140及び圧胴126cの少なくとも一方を主走査方向にスライド移動させることよって記録ヘッド140を画像記録位置と非画像記録位置との何れかに配置すれば良い。
【0093】
また、上記実施形態では、インクジェット方式で画像を記録する画像記録装置100を例に挙げて説明したが、これに限らず、ゼログラフィ方式で画像を記録する画像記録装置であっても良い。この場合、例えば、複数のLED(light-emitting diode)を含んで構成されているLEDアレイを用いて、画像情報に基づいて変調された光ビームを予め定められた方向に回転している感光体ドラムに露光して静電潜像を形成し、その静電潜像を現像剤で現像して得た現像像を被記録媒体(例えば記録用紙)に転写することにより画像を記録する画像記録装置において、LEDアレイを上記実施形態の記録ヘッド140に相当するものと見立てて、LEDアレイを画像記録位置と非画像記録位置(例えば、LEDアレイのメンテナンスを行う位置)との2つの位置で移動させるようにしても良い。これはLEDアレイを上記実施形態で説明した記録ヘッド140と見立てることによって実現される。また、感光体ドラムを、感光体ドラム中心本体である中心駆動軸部を構成する支持円柱とその支持円柱の外周面に形成された感光体層とを含んで構成し、この感光体層を上記実施形態で説明した被記録媒体114に相当する被記録媒体と見立てても良い。この場合、感光体層は、支持円柱によって予め定められた方向に回転することによって搬送され、LEDから射出される光ビームによって露光されて静電潜像が形成される。
【0094】
また、上記実施形態では、システム制御部182によって画像記録処理プログラムが実行されることにより異常検出処理プログラムの各ステップを実現するソフトウェア的な形態を例示したが、これに限らず、各種回路(一例として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))を接続して構成されるハードウェア的な形態や、ソフトウェア的な形態とハードウェア的な形態とを組み合わせた形態が挙げられる。
【0095】
また、上記実施形態では、画像記録処理プログラムがプログラム格納部182Aに予め記憶されている場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらのプログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USBメモリなどのコンピュータによって読み取られる記録媒体に格納した状態で提供する形態を適用しても良いし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
【符号の説明】
【0096】
42 水平移動機構
42C ステッピングモータ
100 画像記録装置
140 記録ヘッド
161 ノズル
182 システム制御部
185 UIパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録開始の指示に応じて被記録媒体に画像を記録すると共に、前記被記録媒体に画像が記録されるように配置される記録位置と該記録位置以外の位置であって前記被記録媒体に画像が記録されないように配置される非記録位置との何れかに相対移動される記録手段と、
前記記録位置と前記非記録位置との何れかに前記記録手段が配置されるように前記記録手段を相対移動させる移動手段と、
前記記録位置に配置された前記記録手段が前記記録開始の指示に応じて予め定められた数量の前記被記録媒体に画像を記録し終えてから予め定められた時間内に前記記録手段に前記記録開始の指示が与えられた場合に前記記録位置で画像が記録されるように前記記録手段及び前記移動手段を制御し、前記予め定められた時間内に前記記録手段に前記記録開始の指示が与えられない場合に前記記録位置で画像を記録させずに前記記録手段を前記記録位置から前記非記録位置に退避させるように前記記録手段及び前記移動手段を制御する制御手段と、
を含む画像記録装置。
【請求項2】
前記制御手段は、更に、前記記録位置に配置された前記記録手段が前記記録開始の指示に応じて前記予め定められた数量の前記被記録媒体に画像を記録し終えてから前記予め定められた時間内に予め定められた条件を満足した場合に前記記録手段を強制的に前記記録位置から前記非記録位置に退避させるように前記移動手段を制御する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記予め定められた条件を、画像記録モードによる条件又は後続の画像記録の有無による条件とした請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記記録手段によって画像を記録させる被記録媒体の数量を受け付ける受付手段を更に含み、
前記予め定められた数量を、前記受付手段によって受け付けられた数量とした請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記記録位置に停止された前記記録手段に対して前記被記録媒体を搬送する搬送手段を更に含み、
前記記録手段は、前記搬送手段によって搬送されている前記被記録媒体に対して画像を記録する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記記録手段を、前記搬送手段によって第1方向に搬送される前記被記録媒体に各々画像を構成する画素を記録すると共に前記第1方向と交差する第2方向に沿って一端から他端に亘って配列された複数の記録素子を含んで構成した請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記非記録位置を、前記記録手段の状態を予め定められた状態に保つための保守処理を行う領域に設けた請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記記録手段を、前記被記録媒体に対して液滴を吐出することにより該被記録媒体に各々画像を構成する画素を記録する複数の液滴吐出素子を含んで構成した請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の画像記録検査装置。
【請求項9】
コンピュータを、
記録開始の指示に応じて被記録媒体に画像を記録すると共に、前記被記録媒体に画像が記録されるように配置される記録位置と該記録位置以外の位置であって前記被記録媒体に画像が記録されないように配置される非記録位置との何れかに相対移動される記録手段が、前記記録位置と前記非記録位置との何れかに配置されるように前記記録手段を相対移動させる移動手段及び前記記録手段を、前記記録位置に配置された前記記録手段が前記記録開始の指示に応じて予め定められた数量の前記被記録媒体に画像を記録し終えてから予め定められた時間内に前記記録手段に前記記録開始の指示が与えられた場合に前記記録位置で画像が記録されるように制御する手段、及び
前記予め定められた時間内に前記記録手段に前記記録開始の指示が与えられない場合に前記記録位置で画像を記録させずに前記記録手段を前記記録位置から前記非記録位置に退避させるように前記記録手段及び前記移動手段を制御する手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−187785(P2012−187785A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52479(P2011−52479)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】