説明

画像記録装置

【課題】水性インクによる画像部と非画像部の境界での画像崩れが抑制された画像記録装置を提供すること。
【解決手段】例えば、中間転写ベルト10と、外部からの刺激により硬化する第1硬化性材料及び吸水粒子を含む疎水性の硬化性溶液12Aを、中間転写ベルト10上に供給し、硬化性溶液層12Bを形成する硬化性溶液層形成装置12と、外部からの刺激により硬化する第2硬化性材料を含む水性インク14Aを中間転写ベルト10上に形成された硬化性溶液層12Bに付与するインク付与装置14と、硬化性溶液層12Bを記録媒体Pに接触させ、中間転写ベルト10から記録媒体Pに硬化性溶液層12Bを転写する転写装置16と、硬化性溶液層12Bの第1硬化性材料及び水性インクの第2硬化性材料を硬化させる刺激を硬化性溶液層12Bに供給する刺激供給装置18と、を有する画像記録装置101である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、「印刷版上のインク又は飛翔インク滴が中間転写体に転写されるのに先だって、中間転写体の表面に液体を付着させ、その液体上にインクを付着させてから、中間転写体上のインクを液体とともに被印刷体に転写することを特徴とする記録方法」が提案されている。
また、特許文献2には、「中間転写体に対して、インクの色材を凝集させる第1材料(多価カチオンを含む水溶液)を付与する工程と、 該中間転写体に対して着色インクをヘッドより付与し、インク像を形成する形成工程と、インク像を記録媒体へ転写する転写工程と、 転写工程の前に、第2材料を中間転写体に付与するインクジェット記録方法」が提案されている。
また、特許文献3には、「第1液及び第2液のうち少なくとも一方が電子線で重合可能な重合性化合物を含有し、 第2液を記録媒体に付与した後、第1液を記録媒体に打滴する液体付与手段と、 第1液及び第2液が付与された記録媒体に向けて電子線を照射する電子線照射手段と、を備え、 電子線照射時の加速電圧が40kV乃至60kVであることを特徴とするインクジェット記録装置」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−212956公報
【特許文献2】特開2005−170036公報
【特許文献3】特開2008−23904公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、水性インクが硬化性材料を含まない場合に比べ、水性インクによる画像部と非画像部の境界での画像崩れが抑制された画像記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
外部からの第1刺激により硬化する第1硬化性材料、及び吸水成分を少なくとも含む疎水性硬化性溶液を、被記録材に供給し、硬化性溶液層を形成する硬化性溶液層形成手段と、
外部からの第2刺激により硬化する第2硬化性材料を含む水性インクを、前記硬化性溶液層に付与するインク付与手段と、
前記硬化性溶液層の第1硬化性材料を硬化させる前記第1刺激を供給する第1刺激供給手段と、
前記水性インクの第2硬化性材料を硬化させる前記第2刺激を供給する第2刺激供給手段と、
を有する画像記録装置。
【0006】
請求項2に係る発明は、
前記被記録材は中間転写体であり、
外部からの第1刺激により硬化する第1硬化性材料、及び吸水成分を少なくとも含む疎水性硬化性溶液を、前記中間転写体上に供給し、硬化性溶液層を形成する硬化性溶液層形成手段と、
外部からの第2刺激により硬化する第2硬化性材料を含む水性インクを、前記硬化性溶液層に付与するインク付与手段と、
前記インクが付与された前記硬化性溶液層を記録媒体に接触させ、前記中間転写体から前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写する転写手段と、
前記硬化性溶液層の第1硬化性材料を硬化させる前記第1刺激を供給する第1刺激供給手段と、
前記水性インクの第2硬化性材料を硬化させる前記第2刺激を供給する第2刺激供給手段と、
を有する請求項1に記載の画像記録装置。
【0007】
請求項3に係る発明は、
前記外部からの第2刺激により硬化する第2硬化材料が、外部からの第2刺激により硬化する硬化性重合体、及び、外部からの第2刺激により硬化する硬化性モノマー又は硬化性重合体を表面に持つ粒子から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【0008】
請求項4に係る発明は、
前記第2刺激供給手段により前記第2硬化性材料が硬化された後、前記第1刺激供給手段により第1硬化性材料が硬化される請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、水性インクが硬化性材料を含まない場合に比べ、インクによる画像部と非画像部の境界での画像崩れが抑制される。
請求項2に係る発明によれば、水性インクが硬化性材料を含まない場合に比べ、インクによる画像部と非画像部の境界での画像崩れが抑制される。
請求項3に係る発明によれば、水性インクに含まれる硬化性材料として硬化性モノマーを適用した場合に比べ、インクによる画像部と非画像部の境界での画像崩れが抑制される。
請求項4に係る発明によれば、前記第1刺激供給手段により第1硬化性材料が硬化された後、前記第2刺激供給手段により前記第2硬化性材料が硬化される場合に比べ、画像堅牢性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る画像記録装置を示す構成図である。
【図2】第1実施形態に係る画像記録装置の作用を説明するための模式図である。
【図3】他の第1実施形態に係る画像記録装置を示す構成図である。
【図4】第2実施形態に係る画像記録装置を示す構成図である。
【図5】他の第2実施形態に係る画像記録装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に等しい機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る画像記録装置を示す構成図である。
【0013】
第1実施形態に係る画像記録装置101は、図1に示すように、例えば、無端ベルト状の中間転写ベルト10(被記録材としての中間転写体の一例)を備え、中間転写ベルト10の周囲に、中間転写ベルト10の移動方向(矢印方向)における上流側から順に、中間転写ベルト10上に、第1硬化性材料及び吸水成分が含まれる疎水性の硬化性溶液12Aを供給し硬化性溶液層12Bを形成する硬化性溶液層形成装置12(硬化性溶液層形成手段の一例)と、第2硬化性材料が含まれる水性インク14Aを、硬化性溶液層12Bに付与し画像Tを形成する水性インクジェット記録ヘッド14(インク付与手段の一例)と、画像Tが形成されると共に吸水阻害成分が供給された硬化性溶液層12Bを記録媒体Pに接触させ圧力を加えることにより画像Tが形成された硬化性溶液層12Bを記録媒体P上に転写する転写装置16(転写手段の一例)と、中間転写ベルト10表面に残留する硬化性溶液層12Bの残留物や付着した異物(記録媒体Pの紙粉等)等を除去するクリーニング装置20と、が配置されている。
【0014】
また、中間転写ベルト10の内側には、例えば、硬化性溶液層12B及び記録媒体Pの接触中に硬化性溶液層12B(それに含まれる第1硬化性材料)を硬化させる刺激を硬化性溶液層12Bに供給する刺激供給装置18(第1刺激供給手段及び第2刺激供給手段の一例)が設けられている。すなわち、硬化性溶液層12Bが記録媒体Pと接触している領域に対向して刺激供給装置18を設置している。また、刺激供給装置18は、水性インク14Aに含まれる第2硬化性材料を硬化させる刺激を供給する役割を担っている。
【0015】
中間転写ベルト10は、例えば、3つの支持ロール10A乃至10C、及び加圧ロール16B(転写装置16)により内周面側から張力を掛けつつ回転するように支持されて配設されている。また中間転写ベルト10は、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
なお、本実施形態においては、硬化性溶液12Aに含まれる第1硬化性材料を硬化させる第1刺激と、水性インク14Aに含まれる第2硬化性材料を硬化させる第2刺激と、が同じ刺激である形態として説明する。無論、異なる形態であってもよい。
【0016】
(中間転写ベルト)
中間転写ベルト10の材料としては、一般に中間転写ベルトとして用いられている公知の材料、例えば、各種の樹脂、各種のゴム、金属材料等が挙げられる。中間転写ベルト10は、単層構成でもよいし、積層構成でもよい。
【0017】
上記の通り、第1実施形態においては、刺激供給装置18が中間転写ベルト10の内側に設けられているため、刺激は中間転写ベルト10を透過した後に硬化性溶液層12Bに供給される。したがって、中間転写ベルト10は、硬化性溶液層12Bに刺激を供給させるため、刺激透過性を有するものであることがよい。また、中間転写ベルト10は、耐刺激性を有するものであることがよい。
【0018】
例えば、刺激供給装置18が紫外線照射装置である場合、中間転写ベルト10は、紫外線透過性を有し、紫外線に対する耐久性を有するものがよい。具体的には、例えば、中間転写ベルト10は、その紫外線透過率が70%以上であることがよい。
紫外線透過性を有し、紫外線に対する耐久性を有する中間転写ベルト10の材料としては、具体的には、例えば、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、ポリイミドフイルム、ポリオレフィン系フィルム等が挙げられる。
【0019】
中間転写ベルト10は、硬化性溶液層12Bに接する表面に表面離型層を設けてもよい。表面離型層に用いられる材料としては、例えば、フッ素系樹脂材料等が挙げられる。
この中でも、上記刺激に対する透過性を有する材料を用いることがよい。また、上記刺激に対する透過性し難い材料を用いる場合は、透過性が発現する膜厚まで表面離型層の膜厚を薄くすることがよい。
【0020】
(硬化性溶液層形成装置)
硬化性溶液層形成装置12は、例えば、硬化性溶液12Aを収納する筐体12C内に、当該硬化性溶液12Aを中間転写ベルト10へ供給する供給ローラ12Dと、供給された硬化性溶液12Aにより形成された硬化性溶液層12Bの量を規定するブレード12Eと、を含んで構成されている。
【0021】
硬化性溶液層形成装置12は、その供給ローラ12Dが中間転写ベルト10に連続的に接触するようにしてもよいし、中間転写ベルト10から離間する構成としてもよい。また、硬化性溶液層形成装置12は、独立した溶液供給システム(図示せず)より硬化性溶液12Aを筐体12Cへ供給させ、硬化性溶液12Aの供給がとぎれないようにしてもよい。硬化性溶液12Aの詳細については後述する。
【0022】
硬化性溶液層形成装置12は、上記構成に限られず、公知の供給法(塗布法:例えば、ダイ塗布法、バー塗布法、スプレー方式の塗布法、インクジェット方式の塗布法、エアーナイフ方式の塗布法、ブレード方式の塗布法、ロール方式の塗布法等)などを利用した装置が適用される。
【0023】
(インクジェット記録ヘッド)
インクジェット記録ヘッド14は、例えば、中間転写ベルト10の移動方向上流側から、ブラックインクを付与するための記録ヘッド14Kと、シアンインクを付与するための記録ヘッド14Cと、マゼンタインクを付与するための記録ヘッド14Mと、イエローインクを付与するための記録ヘッド14Yと、の各色の記録ヘッドを含んで構成されている。無論、記録ヘッド14の構成は上記構成に限られず、例えば、記録ヘッド14Kのみで構成してもよいし、記録ヘッド14C、記録ヘッド14M、及び記録ヘッド14Yのみで構成してもよい。
【0024】
各記録ヘッド14は、例えば、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルト10における非屈曲領域上で、且つ中間転写ベルト10表面と記録ヘッド14のノズル面との距離が例えば0.7から1.5mmにして配置されている。
【0025】
また、各記録ヘッド14は、例えば、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いてもよい。
各記録ヘッド14のインク付与方式は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク14Aを付与し得る方式であれば制限はない。なお、水性インクの詳細については後述する。
【0026】
(転写装置)
転写装置16は、以下のように構成されている。具体的には、例えば、加圧ロール16B及び支持ロール10Cにより中間転写ベルト10を張架し、非屈曲領域を形成している。中間転写ベルト10の非屈曲領域において、加圧ロール16B及び支持ロール10Cに対向する位置には、記録媒体Pを支持する支持体22が設けられている。また、加圧ロール16Aは、中間転写ベルト10の加圧ロール16Bと対向する位置に配置され、支持体22に設けられた開口部(図示せず)を通して記録媒体Pに接触する。
すなわち、中間転写ベルト10及び記録媒体Pが加圧ロール16A及び16Bにより挟み込まれた位置(以下、「接触開始位置」と称する場合がある)から、支持ロール10C及び支持体22により挟み込まれた位置(以下、「剥離位置」と称する場合がある)までの転写領域においては、硬化性溶液層12Bは中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態となっている。
【0027】
(刺激供給装置)
刺激供給装置18は、中間転写ベルト10の内側に設けられ、転写領域の中間転写ベルト10を介して、中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態の硬化性溶液層12Bに刺激を供給する。
【0028】
刺激供給装置18の種類は、適用する硬化性溶液12Aに含まれる第1硬化性材料及び水性インク14Aに含まれる第2硬化性材料の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性材料を適用する場合、刺激供給装置18としては硬化性溶液12A(これにより形成された硬化性溶液層12B)に紫外線を照射する紫外線照射装置を適用する。
また、電子線の照射により硬化する電子線硬化性材料を適用する場合、刺激供給装置18として硬化性溶液12A(これにより形成された硬化性溶液層12B)に電子線を照射する電子線照射装置を適用する。
また、熱の付与により硬化する熱硬化性材料を適用する場合、刺激供給装置18として硬化性溶液12A(これにより形成された硬化性溶液層12B)に熱を付与する熱付与装置を適用する。
【0029】
ここで、紫外線照射装置としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LEDなどが適用される。
ここで、紫外線の照射条件としては、特に制限はなく、紫外線硬化性材料種、硬化性溶液層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、メタルハライドランプを用いた場合で、積算光量20mJ/cm以上1000mJ/cm以下等である。
【0030】
また、電子線照射装置としては、例えば、走査型/カーテン型等があり、カーテン型はフィラメントで生じた熱電子を、真空チャンバー内のグリッドによって引き出し、さらに高電圧(例えば70乃至300kV)によって、一気に加速させ、電子流となり、窓箔を通過して、大気側に放出する装置である。電子線の波長は一般的に1nmより小さく、またエネルギーは大きいもので数MeVに及ぶが、電子線の波長数がpmのオーダーでエネルギーが数十keV以上数百keV以下が適用される。
ここで、電子線の照射条件としては、特に制限はなく、電子線硬化性材料種、硬化性溶液層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、電子線量は5kGy以上100kGy以下レベル等である。
【0031】
また、熱付与装置としては、例えば、ハロゲンランプ、セラミックヒータ、ニクロム線ヒータ、マイクロ波加熱、赤外線ランプなどが適用される。また、熱付与装置としては、電磁誘導方式の加熱装置も適用される。
ここで、熱の付与条件としては、特に制限はなく、熱硬化性材料種、硬化性溶液層12Bの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、空気中において、200℃環境で5min等である。
【0032】
(記録媒体)
記録媒体Pとしては、浸透媒体(例えば、普通紙や、コート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用される。記録媒体Pは、これらに限られず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。
【0033】
(画像記録プロセス)
以下、第1実施形態に係る画像記録装置101の画像記録プロセスにつき、説明する。
【0034】
第1実施形態に係る画像記録装置101では、中間転写ベルト10が回転駆動され、まず、硬化性溶液層形成装置12により、中間転写ベルト10表面に硬化性溶液12Aを供給して、硬化性溶液層12Bを形成する。
【0035】
ここで、硬化性溶液層12Bの層厚(平均膜厚)は、特に制限はないが、1μm以上50μm以下が望ましく、3μm以上20μm以下がより望ましい。
【0036】
また、例えば、硬化性溶液層12Bの厚みを水性インク14Aが硬化性溶液層12Bの最下層まで到達しない程度とすれば、記録媒体Pへの硬化性溶液層12Bの転写後において硬化性溶液層12Bのうち水性インク14Aが存在する領域が露出せず、硬化性溶液層12Bの水性インク14Aが存在しない領域が硬化後には保護層として機能する。
【0037】
次に、前記硬化性溶液層12Bに、インクジェット記録ヘッド14により水性の水性インク14Aを付与する。インクジェット記録ヘッド14は画像情報に基づき、硬化性溶液層12Bの画像が形成される領域に水性インク14Aを付与する。
【0038】
この際、インクジェット記録ヘッド14による水性インク14Aの付与は、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルト10における非屈曲領域上で行われる。つまり、ベルト表面のたわみが抑制された状態で硬化性溶液層12Bに水性インク14Aの付与がなされる。
【0039】
次に、転写装置16の加圧ロール16A及び16Bにより記録媒体Pと中間転写ベルト10とを挟み込んで圧力をかける。このとき、中間転写ベルト10上の硬化性溶液層12Bが記録媒体Pに接触する(接触開始位置)。その後、支持ロール10C及び支持体22によって挟まれた位置(剥離位置)までは、硬化性溶液層12Bが中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態が維持される。
【0040】
ここで、加圧ロール16A及び16Bによって硬化性溶液層12Bに加えられる圧力は、例えば、0.001MPa以上2MPa以下がよく、望ましくは0.001MPa以上0.5MPa以下の範囲とすることがよい。
【0041】
次に、刺激供給装置18によって、中間転写ベルト10及び記録媒体Pの両方に接触した状態の(接触中の)硬化性溶液層12Bに、中間転写ベルト10を介して刺激が供給されることで、硬化性溶液層12Bが硬化する。具体的には、中間転写ベルト10上の硬化性溶液層12Bが記録媒体Pに接触した後(接触開始位置を通過した後)に刺激供給を開始し、硬化性溶液層12Bが中間転写ベルト10から剥離される前(剥離位置に到達する前)に刺激供給を終了する。
【0042】
ここで、刺激供給量としては、硬化性溶液層12Bが、中間転写ベルト10から剥離しやすくなる程度に硬化する量であることがよい。具体的には、例えば刺激が紫外線である場合、積算光量で10mJ/cm以上1000mJ/cm以下範囲がよい。
【0043】
次に、剥離位置において硬化性溶液層12Bが中間転写ベルト10から剥離されることにより、水性インク14Aによる画像Tが含まれる硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
【0044】
そして、硬化性溶液層12Bが記録媒体Pへ転写された後の中間転写ベルト10表面に残った硬化性溶液層12Bの残留物や異物をクリーニング装置20により除去し、再び、中間転写ベルト10上に、硬化性溶液層形成装置12により硬化性溶液12Aを供給して硬化性溶液層12Bを形成し、画像記録プロセスが繰り返される。
【0045】
上記工程を経て画像記録が行われる本実施形態に係る画像記録装置101では、水性インク14Aが硬化性溶液層12Bに付与されると、疎水性の硬化性溶液層12Bに含まれる吸水成分に、水性インク14Aの液体成分(水成分)が吸水されると共に、その記録材(例えば色材)を含む残渣成分が吸水成分の周囲に付着する(図2(A)参照)。つまり、この記録材(例えば色材)を含む残渣成分が吸水成分と硬化性溶液層12Bの他の成分との境界に存在して、画像部を構成することとなる。この状態で、硬化性溶液層12Bを硬化させても、吸水成分と硬化性溶液層12B内で硬化される領域との境界部、即ち画像部(残渣成分が存在する領域)は未硬化の状態のままであることから、当該画像部と非画像部との境界では他の領域に比べ耐久性(強度)が低くなり、画像崩れが生じてしまうことがある。
なお、画像崩れとは、画像部と非画像部との境界の強度不足に起因して、画像形成後、記録媒体に対し、折り曲げ等外部の力が加わった際に、画像部と非画像部との境界部において記録媒体からの剥がれ落ちが発生したり、経時的に画像部と非画像部との境界部の形状が変化する現象である。
【0046】
そこで、本実施形態に係る画像記録装置101では、疎水性の硬化性溶液層12Bに対して、水性インク14Aとして第2硬化性材料を含むインクを適用することで、吸水成分の周囲に付着する残渣成分に第2硬化性材料を存在させる。つまり、吸水成分と硬化性溶液層12Bの他の成分との境界に存在する画像部を構成する残渣成分に第2硬化性材料が含まれると、硬化性溶液層12Bの硬化と共に、記録材(例えば色材)を含む残渣成分で構成される画像部が第2硬化性材料により硬化されることとなる(図3(B))。
このため、本実施形態に係る画像記録装置101では、水性インクによる画像部と非画像部の境界での画像崩れが抑制される。
【0047】
なお、疎水性の硬化性溶液層12Bに、油性の硬化性インク(例えば油性の紫外線硬化性インク)を適用すると、画像部と非画像部の境界での画像崩れが抑制されるものの、油性の硬化性インクを付与したとき、インクが硬化性溶液層12Bと相溶し拡散し易くなることから、画質の乱れが顕著に現れてしまう。
このため、本実施形態に係る画像記録装置101では、油性のインクを適用した場合に比べ、水性インク14Aが疎水性の硬化性溶液層12Bと相溶せず拡散し難くなることから、画質の乱れも抑制される。
【0048】
ここで、本実施形態では、硬化性溶液層12Bに含まれる第1硬化性材料と、水性インクAに含まれる第2硬化性材料と、が硬化する刺激を同じ種類、同じ装置(刺激供給手段18)で付与する形態を説明したが、これに限られず、異なる刺激で硬化する材料を組み合わせてもよいし(例えば第1硬化性材料が紫外線により硬化する材料で、第2硬化性材料が熱により硬化する材料である組み合わせ等)、それぞれを硬化する刺激を付与する装置を別途設けた形態であってもよい。
【0049】
具体的には、例えば、図3に示すように、刺激付与装置18とは別途、中間転写ベルト10上であって、インクジェット記録ヘッド14と刺激付与装置18との間に、水性インク14Aに含まれる第2硬化性材料を硬化させる第2刺激付与手段として、刺激付与装置18A(第2刺激付与手段の一例)を備える形態であってもよい。つまり、図3に示す形態は、刺激供給装置18Aにより水性インク14Aに含まれる第2硬化性材料が硬化された後、刺激供給装置18(第1刺激付与手段の一例)により硬化性溶液層12Bに含まれる第1硬化性材料が硬化される形態である。なお、本形態では、例えば、第1硬化性材料が紫外線により硬化する材料で、第2硬化性材料が熱により硬化する材料である組み合わせて適用し、刺激供給装置18として紫外線供給装置、刺激供給装置18Aとして熱供給装置が適用される。無論、他の組み合わせでもよい。
図3に示す形態では、水性インク14Aに含まれる第2硬化性材料を先に硬化させた場合、当該インク14Aの周囲即ち画像部の周囲が硬化するため、当該画像部が硬化性溶液層12Bに沈み込み易くなることから、画像部が露出し難くなると考えられる。その結果、硬化溶液層12Bを記録媒体Pに転写するとき、硬化性溶液層12Bと記録媒体Pとの密着性が高まると考えられることから、画像堅牢性が向上する。
なお、図3は、他の第1実施形態に係る記録装置101を示す構成図である。
【0050】
以下、上記本実施形態に係る画像記録装置に用いられる、硬化性溶液12A及び水性インク14Aについて詳述する。
【0051】
<硬化性溶液>
次いで、硬化性溶液12Aの詳細について説明する。
硬化性溶液12Aは、外部からの刺激(エネルギー)により硬化する第1硬化性材料と、吸水成分と、を少なくとも含んでいる。
ここで、硬化性溶液12Aが疎水性であるとは、水(純水)と1:1(質量比)で混合した場合に、1時間放置後に分離する性質を有することを意味する。
【0052】
第1硬化性材料について説明する。
「外部からの刺激(エネルギー)により硬化する第1硬化性材料」とは、外部からの刺激によって硬化し、「硬化性樹脂」となる材料を意味する。具体的には、例えば、硬化性のモノマー、硬化性のマクロマー、硬化性のオリゴマー、硬化性のプレポリマー等が挙げられる。
【0053】
第1硬化性材料としては、例えば、紫外線硬化性材料、電子線硬化性材料、熱硬化性材料等が挙げられる。紫外線硬化性材料は、硬化がし易く、他のものに比べ硬化速度も速く、取り扱いやすいため、最も望ましい。電子線硬化性材料は、重合開始剤が不要であり、硬化後の層の着色制御が実施しやすい。熱硬化性材料は、大掛りな装置を必要とすることなく硬化される。なお、硬化性材料は、これらに限られず、例えば湿気、酸素等により硬化する硬化性材料を適用してもよい。なお、ここで言う硬化性材料は、硬化後は不可逆である。
【0054】
紫外線硬化性材料を硬化することにより得られる「紫外線硬化性樹脂」としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、紫外線硬化性のモノマー、紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、及び紫外線硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。また、硬化性溶液12Aは、紫外線硬化反応を進行させるための紫外線重合開始剤を含んでいることが望ましい。さらに硬化性溶液12Aは、必要に応じて、重合反応をより進行させるための、反応助剤、重合促進剤等を含んでいてもよい。
【0055】
ここで、紫外線硬化性のモノマーとしては、例えば、アルコール/多価アルコール/アミノアルコール類のアクリル酸エステル、アルコール/多価アルコール類のメタクリル酸エステル、アクリル脂肪族アミド、アクリル脂環アミド、アクリル芳香族アミド類等のラジカル硬化性材料;エポキシモノマー、オキセタンモノマー、ビニルエーテルモノマー等のカチオン硬化性材料;などが挙げられる。上記紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、紫外線硬化性のプレポリマーとしては、これらモノマーを重合させたものの他、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、ポリエーテル骨格に、アクリロイル基やメタクリロイル基の付加した、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート等のラジカル硬化性材料が挙げられる。
【0056】
硬化反応がラジカル反応により進行するタイプである場合、紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン系、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシケトン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、 α-アミノケトン、α-アミノアルキルフェノン、モノアシルフォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ヒドロキシベンゾフェノン、アミノベンゾフェノン、チタノセン型、オキシムエステル型、オキシフェニル酢酸エステル型などが挙げられる。
【0057】
また硬化反応がカチオン反応により進行するタイプである場合、紫外線重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、アレン-イオン錯体誘導体、トリアジン系開始剤等が挙げられる。
【0058】
電子線硬化性材料を硬化することにより得られる「電子線硬化性樹脂」としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、電子線硬化性のモノマー、電子線硬化性のマクロマー、電子線硬化性のオリゴマー、及び電子線硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。
【0059】
ここで、電子線硬化性のモノマー、電子線硬化性のマクロマー、電子線硬化性のオリゴマー、電子線硬化性のプレポリマーとしては、紫外線硬化性の材料と同様のものが挙げられる。
【0060】
熱硬化性材料を硬化することにより得られる「熱硬化性樹脂」としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。そして、その硬化性溶液12Aは、熱硬化性のモノマー、熱硬化性のマクロマー、熱硬化性のオリゴマー、及び熱硬化性のプレポリマーの少なくとも1種を含んでいる。また重合の際に硬化剤を添加してもよい。また、硬化性溶液12Aは、熱硬化反応を進行させるための熱重合開始剤を含んでもよい。
【0061】
ここで、熱硬化性のモノマーとしては、例えば、フェノール、ホルムアルデヒド、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン、シアヌリル酸アミド、尿素、グリセリン等のポリアルコール、無水フタル酸、無水マレイン酸、アジピン酸等の酸などが挙げられる。熱硬化性のマクロマー、熱硬化性のオリゴマー、熱硬化性のプレポリマーとしては、これらのモノマーを重合させたものや、エポキシプレポリマー、ポリエステルプレポリマーなどが挙げられる。
【0062】
熱重合開始剤としては、例えば、プロトン酸/ルイス酸等の酸、アルカリ触媒、金属触媒などが挙げられる。
【0063】
以上のように、硬化性材料は、紫外線、電子線、熱等の外部エネルギーにより硬化(例えば、重合反応が進行することによる硬化)するものであれば何でもよい。
上記硬化性材料の中でも、画像記録の高速化という観点を考慮すると、硬化速度の速い材料(例えば、重合の反応速度が速い材料)が望ましい。このような硬化性材料としては、例えば、放射線硬化型の硬化性材料(上記紫外線硬化性材料、電子線硬化性材料等)が挙げられる。
【0064】
硬化性材料は、中間転写体等との濡れ性を考慮して、Siやフッ素等による変性がされていてもよい。また硬化性材料は、硬化速度と硬化度を考慮すると、多官能のプレポリマーを含有するのが望ましい。
【0065】
また、硬化性溶液には、上記硬化反応に寄与する主成分(モノマー、マクロマー、オリゴマー、及びプレポリマー、重合開始剤等)を溶解又は分散するための水や有機溶媒を含んでいてもよい。但し、当該主成分の比率が例えば30質量%以上、望ましくは60質量%以上、より望ましくは90質量%以上の範囲が挙げられる。
【0066】
また、硬化性溶液は、硬化後の層を着色制御を行う目的で各種色材を含んでいてもよい。
【0067】
また、硬化性溶液の粘度は、5mPa・sから10000mPa・sが望ましく、より望ましくは10mPa・sから1000mPa・sであり、さらに望ましくは15mPa・sから500mPa・sの範囲が挙げられる。また、硬化性溶液の粘度は、インクの粘度よりも高いことがよい。
【0068】
次に、吸水成分について説明する。
吸水成分は、吸水成分と水性インクを質量比30:100で24時間混合した後、混合液中からフィルターにより吸水成分を取り出した場合に、吸水成分の質量が水性インク混合前に対して5%以上増加するものである。
【0069】
吸水成分は、例えば樹脂(以下、吸水樹脂と称する場合がある)や、表面親インク性を持たせた無機粒子(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライトなど)等があげられ、用いるインクに応じて選択される。
【0070】
吸水樹脂としては、具体的には、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、ポリマレイン酸及びその塩、スチレン−マレイン酸及びその塩から構成される共重合体等、前記それぞれの樹脂のスルホン酸変性体、それぞれの樹脂のリン酸変性体等、等が挙げられ、望ましくは、ポリアクリル酸及びその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−カルボン酸及びその塩構造を有する脂肪族又は芳香族置換基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とから生成するエステルから構成される共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸及びその塩から構成される共重合体、が挙げられる。これら樹脂は、未架橋でも架橋されていてもよい。
【0071】
この吸水成分の硬化性溶液12A全体に対する比率は、例えば質量比で10%以上が望ましく、更に20%以上がより望ましく、25%以上70%以下の範囲が特に望ましい。
【0072】

<水性インク>
水性インクとしては、溶媒として水性溶媒を含むインクを用いる。水性インクとしては、例えば、記録材として水溶性染料又は顔料を水性溶媒に分散又は溶解したインクが挙げられる。そして、水性インクには、外部からの刺激により硬化する第2硬化性材料が含まれる。
【0073】
まず、第2硬化性材料について説明する。
「外部からの刺激(エネルギー)により硬化する第2硬化性材料」とは、外部からの刺激によって第2硬化性材料同士の反応性基が反応したり、第1硬化性材料の反応性基が硬化性溶液層12Bの第1硬化性材料と反応したりして、結合、硬化するものである。
第2硬化性材料としては、水性インクに分散され、水性インクが硬化性溶液層12Bに付与されたとき、硬化性溶液層12Bの成分とは非相溶で、吸水成分の周囲に付着・存在するものがよい。第2硬化性材料としては、例えば、紫外線硬化性材料、電子線硬化性材料、熱硬化性材料等が挙げられる。紫外線硬化性材料は、硬化がし易く、他のものに比べ硬化速度も速く、取り扱いやすいため、最も望ましい。電子線硬化性材料は、重合開始剤が不要であり、硬化後の層の着色制御が実施しやすい。熱硬化性材料は、大掛りな装置を必要とすることなく硬化される。なお、硬化性材料は、これらに限られず、例えば湿気、酸素等により硬化する硬化性材料を適用してもよい。なお、ここで言う硬化性材料は、硬化後は不可逆である。
【0074】
第2硬化性材料としては、例えば、外部からの刺激により硬化する硬化性モノマー、外部からの刺激により硬化する硬化性重合体、及び、外部からの刺激により硬化する硬化性モノマー又は重合体を表面に持つ粒子から選択される少なくとも1種が挙げられる。
これら物質は、外部からの刺激により、その物質同士の反応性基が反応したり、その物質の反応性基が硬化性溶液層12Bの第1硬化性材料と反応したりして、結合、硬化が進行する。
【0075】
これらの中でも、第2硬化性材料としては、外部からの刺激により硬化する硬化性重合体、及び、外部からの刺激により硬化性モノマー又は重合体を表面に持つ粒子から選択される少なくとも1種がよい。これら上記重合体及び粒子を適用すると、上記硬化性モノマーに比べ、水性インクによる画像部と非画像部の境界での画像崩れが抑制される。
これは、上記硬化性モノマーは、分子の大きさが小さい傾向にあるため、吸水成分内部へ入り込み易く、吸水成分の周囲、即ち吸水成分と硬化性溶液層の他の成分との境界に存在し難いのに対して、上記重合体及び粒子は、吸水成分内部に入り込むことなく表面に付着して、吸水成分の周囲、即ち吸水成分と硬化性溶液層の他の成分との境界に存在し易いためと考えられる。
【0076】
外部からの刺激により硬化する硬化性モノマーとしては、紫外線硬化性モノマー、電子線硬化性モノマー、熱硬化性モノマーが挙げられる。
紫外線硬化性モノマー、電子線硬化性モノマー、熱硬化性モノマーとしては、例えば、2,(2‐エトキシエトキシ)エチルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、β-カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルホルムアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N,ジメチルアクリルアミド、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1.3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、 メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、グリセリンプロポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、イソシアヌル酸オキシエチレントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートが挙げられる。
【0077】
また、外部からの刺激により硬化する硬化性重合体としては、紫外線硬化性重合体、電子線硬化性重合体、熱硬化性重合体が挙げられる。ここで、重合体とは、重合度が2以上(望ましくは5以上)のものであればよく、マクロマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーを含む意味である。
これら紫外線硬化性重合体、電子線硬化性重合体、熱硬化性重合体としては、上記それぞれの硬化性モノマーを目的とする重合度で重合させたものが挙げられる。
また、これら紫外線硬化性重合体、電子線硬化性重合体、熱硬化性重合体としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルなどの骨格の末端にアクリレート、メタクリレートなどの重合反応を起こす反応部位を有するものが挙げられる。
なお、これら硬化性重合体は、カルボン酸及びその塩、スルホン酸及びその塩、ポリオキシエチレンといった親水性の官能基を含むのが、水性インク14A中で安定に存在させるためによい。
【0078】
また、硬化性重合体は、水性インクの機能材料として役割を果すものであってもよく、具体的には、例えば、顔料分散剤として機能するものであってもよい。
この顔料分散剤として機能する紫外線硬化性重合体、電子線硬化性重合体、熱硬化性重合体としては、アクリレート/メタクリレートなどの重合反応をおこす官能基で変性された、スチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体、アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、メタクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸、グリセリン脂肪酸エステルモノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン グリセリン脂肪酸エステル挙げられる。

【0079】
また、外部からの刺激により硬化する硬化性モノマー又は硬化性重合体を表面に持つ粒子としては、粒子を上記硬化性モノマー又は硬化性重合体により表面処理されたものである。その処理量としては、例えば、1質量%以上50質量%以下であることがよい。
粒子としては、例えば、有機粒子も挙げられる。
有機粒子としては、例えば、アクリレート/メタクリレートなどの重合反応をおこす官能基を有する硬化性重合体で表面処理された、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体等のラテックス粒子が挙げられる。
【0080】
硬化性モノマー又は硬化性重合体を表面に持つ粒子も、水性インクの機能材料として役割を果すものであってもよく、具体的には、例えば、記録材(例えば顔料)として機能するものであってもよい。
このような粒子としては、記録材(例えば顔料)を上記硬化性モノマー又は硬化性重合体により表面処理したものが挙げられる。
【0081】
これら、第2硬化性材料は、周知の構成の水性インクに新たに加える、又は当該周知の構成(例えば顔料や顔料分散剤)に代え若しくは併用して用いる。
第2硬化性材料の含有量は、その種類にもよるが、例えば水性インクに対して、1%以上 20%以下であることがよい。
【0082】
また、第2硬化性材料と共に重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤としては、第2硬化性材料の種類に応じて、紫外線重合開始剤が挙げられる。
紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、O−メチルベンゾイルベンゾエート、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル)−フェニル)−2−メチループロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾフェノンアンモニウム塩等が挙げられる。

これら重合開始剤の含有量は、例えば、例えば水性インクに対して0.1質量%以上5質量%以下であることがよい。
【0083】
次に記録材について説明する。
記録材としては、主に色材が挙げられる。色材としては、染料、顔料のいずれも用いられるが、耐久性の点で顔料であることが望ましい。
顔料としては有機顔料、無機顔料のいずれも挙げられ、黒色顔料ではファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。
顔料としては、黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等も挙げられる。
顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
【0084】
ここで、色材として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが望ましい。使用される顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
これら顔料分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。
【0085】
色材として水に自己分散可能な顔料も用いられる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
【0086】
自己分散顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが望ましい。より望ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料である。
【0087】
更に、樹脂により被覆された顔料等も使用される。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料だけでなく、本発明のために試作されたマイクロカプセル顔料等も使用される。
【0088】
また、高分子物質を上記顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も用いられる。
【0089】
記録材としては、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェライトやマグネタイトに代表される強磁性体等の磁性体類、酸化チタン、酸化亜鉛に代表される半導体や光触媒類、その他有機、無機の電子材料粒子類などが挙げられる。
【0090】
記録材の含有量(濃度)は、例えば水性インクに対して5乃至30質量%の範囲が挙げられる。
【0091】
次に水性溶媒について説明する。水性溶媒としては、水が挙げられ、特にイオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することがよい。また、水性溶媒と共に、水溶性有機溶媒を用いてもよい。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量としては、例えば1質量%以上70質量%以下の範囲が挙げられる。
【0092】
次に、その他の添加剤について説明する。水性インクには、その他、必要に応じて、界面活性材が添加される。
【0093】
これら界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、望ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が用いられる。
これらの界面活性剤は単独で使用しても混合して使用してもよい。
【0094】
また、水性インクには、その他、浸透性を調整する目的で浸透剤、インク吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加される。
【0095】
水性インクの粘度は、例えば1.5mPa・s以上30mPa・s以下がよい。また、インクの粘度は、上記硬化性溶液12Aの粘度に比べ低いことがよい。
ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定した値を採用した。
【0096】
なお、上記本実施形態に係る画像記録装置101においては、上記の通り、硬化性溶液層12Bが、接触開始位置を通過した後に刺激供給を開始し剥離位置に到達する前に刺激供給を終了しているが、上記形態に限られない。
具体的には、例えば、硬化性溶液層12Bが、接触開始位置を通過する際に刺激供給を開始してもよく、接触開始位置を通過する前に刺激供給を開始していてもよい。また、例えば、硬化性溶液層12Bが、剥離位置に到達する際に刺激供給を終了してもよく、剥離位置を通過した後に刺激供給を終了してもよい。さらに、刺激供給の開始から終了までにおいて、一時的に刺激供給を停止した後に刺激供給を再開してもよい。加えて、硬化性溶液層12Bが、記録媒体Pに転写された後に、刺激の供給を行ってもよい。
【0097】
また、上記本実施形態に係る実画像記録装置101においては、上記の通り、刺激供給装置18が中間転写ベルト10の内側に配置され、刺激が中間転写ベルト10を透過した後に硬化性溶液層12Bに供給されるが、これに限られない。具体的には、例えば、刺激供給装置18を中間転写ベルト10の外側に配置し、中間転写ベルト10を透過せずに、直接(又は、支持体22及び記録媒体Pを透過した後に)中間転写ベルト10上の硬化性溶液層12Bに刺激を供給する形態であってもよい。
【0098】
また、例えば、刺激供給装置18の本体を中間転写ベルト10の外側に配置しつつ、中間転写ベルト10を透過した刺激を硬化性溶液層12Bに供給する形態もありうる。具体的には、例えば、刺激供給装置18が紫外線照射装置である場合、紫外線照射装置本体を中間転写ベルト10の外側に配置し、例えば光ファイバー等を用いて紫外線を紫外線照射装置本体から中間転写ベルト10の内側に誘導し、中間転写ベルト10を透過した後の紫外線を硬化性溶液層12Bに照射する形態等が挙げられる。
【0099】
また、例えば、中間転写ベルト10の代わりに中間転写ドラムを配置した形態としてもよい。
【0100】
また、上記本実施形態係る画像記録装置101においては、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド14から画像データに基づいて選択的にインク14Aが付与されてカラーの画像が記録媒体Pに記録されるようになっているが、一色のインクのみを用いて画像を記録する態様であってもよい。また、記録媒体上への文字等の記録に限定されるものではなく、すなわち工業的に用いられる液滴付与(噴射)装置全般などに適用してもよい。
【0101】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係る画像記録装置102を示す構成図である。
第2実施形態に係る画像記録装置102は、被記録材の一例としての記録媒体Pに直接、疎水性の硬化性溶液層12Bを形成し、水性インク14を付与して画像を形成し、硬化性溶液層12Bの第1硬化性材料と水性インク14の第2硬化性材料とを硬化させる形態である。
【0102】
本実施形態に係る画像記録装置102は、図4に示すように、例えば、3つの支持ロール11A乃至11Cにより内周面側から張力を掛けつつ回転するように支持されて無端ベルト状の記録媒体搬送ベルト11(記録媒体搬送手段の一例)を備え、当該記録媒体搬送ベルト11により搬送される記録媒体Pの上方であって、記録媒体Pの移動方向(矢印方向)における上流側から順に、第1硬化性材料及び吸水成分が含まれる疎水性の硬化性溶液12Aを供給し硬化性溶液層12Bを形成する硬化性溶液層形成装置12(硬化性溶液層形成手段の一例)と、第2硬化性材料が含まれる水性インク14Aを、硬化性溶液層12Bに付与し画像Tを形成する水性インクジェット記録ヘッド14(インク付与手段の一例)と、硬化性溶液層12B及び水性インクに含まれる第2硬化性材料を硬化させる刺激を硬化性溶液層12Bに供給する刺激供給装置18(第1刺激供給手段及び第2刺激供給手段の一例)と、が配置されている。
【0103】
次に、第2実施形態に係る画像記録装置102の画像記録プロセスにつき、説明する。
【0104】
第2実施形態に係る画像記録装置102では、記録媒体搬送ベルト11を回転駆動して記録媒体Pを搬送し、硬化性溶液層形成装置12により、搬送されてきた記録媒体P表面に硬化性溶液12Aを供給して、硬化性溶液層12Bを形成する。
【0105】
次に、硬化性溶液層12Bに、インクジェット記録ヘッド14により水性の水性インク14Aを付与する。インクジェット記録ヘッド14は画像情報に基づき、硬化性溶液層12Bの画像が形成される領域に水性インク14Aを付与する。
【0106】
次に、刺激供給装置18によって、硬化性溶液層12Bに刺激が供給されることで、硬化性溶液層12Bが硬化する。
【0107】
次に、記録媒体Pが記録媒体搬送ベルト11から離脱することにより、水性インク14Aによる画像Tが含まれる硬化性樹脂層(画像層)が形成された記録媒体Pが得られる。
【0108】
これら以外は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0109】
以上説明した本実施形態に係る画像記録装置102では、硬化性溶液層12Bを記録媒体Pに直接形成する方式を採用しても、上記第1実施形態で説明したように、疎水性の硬化性溶液層12Bに対して、水性インク14Aとして第2硬化性材料を含むインクを適用することで、吸水成分の周囲に付着する残渣成分に第2硬化性材料を存在させる。つまり、吸水成分と硬化性溶液層12Bの他の成分との境界に存在する画像部を構成する残渣成分に第2硬化性材料が含まれると、硬化性溶液層12Bの硬化と共に、記録材(例えば色材)を含む残渣成分で構成される画像部が第2硬化性材料により硬化されることとなる(図3(B))。
このため、本実施形態に係る画像記録装置102でも、水性インクによる画像部と非画像部の境界での画像崩れが抑制される。
【0110】
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、硬化性溶液層12Bに含まれる第1硬化性材料と、水性インクAに含まれる第2硬化性材料と、が硬化する刺激を同じ種類、同じ装置(刺激供給手段18)で付与する形態を説明したが、これに限られず、異なる刺激で硬化する材料を組み合わせてもよいし(例えば第1硬化性材料が紫外線により硬化する材料で、第2硬化性材料が熱により硬化する材料である組み合わせ等)、それぞれを硬化する刺激を付与する装置を別途設けた形態であってもよい。
【0111】
具体的には、例えば、図5に示すように、刺激付与装置18とは別途、用紙搬送ベルト11により搬送される記録媒体P上であって、インクジェット記録ヘッド14と刺激付与装置18との間に、水性インク14Aに含まれる第2硬化性材料を硬化させる第2刺激付与手段として、刺激付与装置18A(第2刺激付与手段の一例)を備える形態であってもよい。つまり、図5に示す形態は、刺激供給装置18Aにより水性インク14Aに含まれる第2硬化性材料が硬化された後、刺激供給装置18(第1刺激付与手段の一例)により硬化性溶液層12Bに含まれる第1硬化性材料が硬化される形態である。なお、本形態では、例えば、第1硬化性材料が紫外線により硬化する材料で、第2硬化性材料が熱により硬化する材料である組み合わせて適用し、刺激供給装置18として紫外線供給装置、刺激供給装置18Aとして熱供給装置が適用される。無論、他の組み合わせでもよい。
図5に示す形態でも、水性インク14Aに含まれる第2硬化性材料を先に硬化させた場合、当該インク14Aの周囲即ち画像部の周囲が硬化するため、当該画像部が硬化性溶液層12Bに沈み込み易くなることから、画像部が露出し難くなると考えられる。その結果、画像堅牢性が向上する。
【実施例】
【0112】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0113】
[実施例1]
図1に示す前記第1実施形態に係る画像記録装置を用いて画像を記録した。
まず、硬化性溶液層形成装置12により硬化性溶液12Aを中間転写ベルト10に供給して硬化性溶液層12Bを形成した。次いで、硬化性溶液層12Bにインクジェット記録ヘッド14(14K、14C、14M、14Y)により各色インクを付与して画像を形成した。そして、転写装置16により記録媒体Pへ硬化性溶液層12Bを接触させながら刺激供給装置18により刺激を供給し硬化性溶液層12Bを硬化させて中間転写ベルト10から剥離し、評価を行った。条件は以下の通りである。なお、下記紫外線照射強度及び積算光量は、中間転写ベルト10を透過した後の紫外線照射強度及び積算光量である。
【0114】
・中間転写ベルト10 : 厚さ0.1mm、ベルト幅350mm、外径Φ168mmのETFE製無端ベルトにフッ素系樹脂を被覆したもの(プロセス速度:400mm/s)
・硬化性溶液層形成装置12 : グラビアロールコーター(硬化性溶液層12Bの層厚10μm)
・インクジェット記録ヘッド14 : 14174ノズル/解像度1200dpi(dpi:1インチ当たりのドット数)の記録ヘッド(600dpi/7087ノズルヘッドを千鳥に2列配置した12インチの試作ヘッド、4色分(Black,Cyan,Magenta,Yellow)を並列に配置した構成)
・刺激供給装置18:メタルハライドランプ(紫外線照射強度240W/cmを積算光量で100mJ/cm照射)
・記録媒体P: A普通紙(C2富士ゼロックスインターフィールド製)
・印刷パターン : J6チャート(JEITA標準パターン)
【0115】
また、硬化性溶液、各色のインクは、以下のものを用いた。
【0116】
(硬化性溶液)
・ポリウレタンアクリレート: 25質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート: 30質量部
・イソシアヌル酸オキシエチレントリアクリレート: 25質量部
・イルガキュア754: 3質量部
・ポリアクリル酸ナトリウム部分中和塩: 20質量部
上記組成の混合/攪拌を行い、硬化性溶液とした。
【0117】
(インク)
−ブラックインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なカーボンブラック: 4質量部
・ジエチレングリコール: 15質量部
・プロピレングリコール: 8質量部
・2−ピロリドン: 6質量部
・オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー: 1.0質量部
・自己分散型ウレタンアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 7質量部
・純水: 55質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、ブラックインクを得た。
【0118】
−シアンインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能な銅フタロシアニン顔料: 3.5質量部
・トリエチレングリコール: 10質量部
・テトラエチレングリコール: 5質量部
・ポリオキシエチレンモノステアレート: 0.7質量部
・自己分散型ウレタンアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 8質量部
・純水: 75質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、シアンインクを得た。
【0119】
−マゼンタインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なキナクリドン系マゼンタ顔料: 5質量部
・ジプロピレングリコール: 15質量部
・グリセリン: 10質量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル: 6質量部
・オルフィンE1010: 1.0質量部
・自己分散型ウレタンアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 5質量部
・純水: 60質量部
上記組成を混合し、 5μmフィルターでろ過し、マゼンタインクを得た。
【0120】
−イエローインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なアゾ系イエロー顔料: 5質量部
・ポリエチレングリコール 200: 7質量部
・N−メチル−2−ピロリドン: 5質量部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル: 5質量部
・オキシエチレンオレイルエーテル: 0.7質量部
・自己分散型ウレタンアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 8質量部
・純水: 70質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、イエローインクを得た。
【0121】
なお、自己分散型ウレタンアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー)は、次のようにして得られたものである。構造の幹となるポリウレタン部の末端に、オキシエチレンを反応させ、親水性の官能基であるポリエチレングリコール部位を合成したのち、さらにポリエチレングリコール部位末端の水酸基とアクリル酸を反応させることにより、アクリレートとすることで、水に対しての自己分散性を持つウレタンアクリレートが得られる。
【0122】
(評価)
評価は、画質評価、及び画像部・非画像部の境界の画像崩れ(耐久性)について評価した。評価の詳細は以下の通りである。結果を表1に示す。
【0123】
−画質評価−
画質評価は次のようにして行った。プリントされた画像の乱れ具合について、限度見本と比較して、判定した。判定基準は以下の通りである。
◎:ライン・ソリッドパッチ等において、ガタツキが全く無かった。
○:ルーペ等で拡大すれば、わずかにラインからひげ状の乱れがみられるものの、全くといってよいほど気にならなかった。
△:多少の乱れはあるが、画像として、大きな問題にならないレベルであった。
×:画像乱れがひどく、許容できないレベルの画像であった。
【0124】
−画像崩れ(耐久性)−
画像部・非画像部の境界の画像崩れ(耐久性)は、プリント画像をカッターナイフで切った際の、切断面における硬化層と基材のはがれ具合を判定した。判定基準は以下の通りである。
◎:はがれが全く無かった。
○:わずかに画像部において、浮きに近いようなものは見られるものの、剥がれは特に無かった。
△:画像部の一部が、わずかではあるが、基材との剥がれが見られた。
×:画像部の多くあるいは全部が、基材から剥がれてしまった。
【0125】
[実施例2]
以下に示す硬化性溶液、及び各色のインクを用いた以外は、実施例1と同様にして画像記録を行い評価を行った。結果を表1に示す。
【0126】
(硬化性溶液)
・ポリエステルアクリレート: 20質量部
・ポリプロピングリコールジアクリレート: 25質量部
・トリメチロールプロパントリメタクリレート: 25質量部
・イルガキュア184: 3質量部
・スチレン−アクリル酸ブチルエステル−フタル酸モノ−2−メタクリロイルオキシエチルNa塩共重合体: 25質量部
上記組成の混合/攪拌を行い、硬化性溶液とした。
【0127】
(インク)
−ブラックインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なカーボンブラック: 3.5質量部
・エチレングリコール: 5質量部
・グリセリン: 6質量部
・尿素: 5質量部
・サーフィノール 465: 1.5質量部
・自己分散型ウレタンアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 5質量部
・ベンゾフェノンアンモニウム塩: 0.2質量部
・純水: 75質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、ブラックインクを得た。
【0128】
−シアンインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能な銅フタロシアニン顔料: 4質量部
・ジエチレングリコール: 10質量部
・2−ピロリドン: 5質量部
・グリセリンオキシエチレン付加物: 5質量部
・自己分散型ウレタンアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 7質量部
・ベンゾフェノンアンモニウム塩: 0.3質量部
・純水: 70質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、シアンインクを得た。
【0129】
−マゼンタインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なキナクリドン系マゼンタ顔料: 4.5質量部
・プロピレングリコール: 10質量部
・ジグリセリン: 10質量部
・オルフィンE1010: 1.0質量部
・オルフィンE1004: 0.2質量部
・自己分散型ウレタンアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 6質量部
・ベンゾフェノンアンモニウム塩: 0.2質量部
・純水: 70質量部
上記組成を混合し、 5μmフィルターでろ過し、マゼンタインクを得た。
【0130】
−イエローインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なアゾ系イエロー顔料: 5質量部
・ジエチレングリコール: 6質量部
・グリセリン: 5質量部
・1.5−ペンタンジオール: 5質量部
・1.2−ヘキサンジオール: 1.5質量部
・オキシエチレンラウリルエーテル: 0.4質量部
・自己分散型ウレタンアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 6質量部
・ベンゾフェノンアンモニウム塩: 0.4質量部
・純水: 70質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、イエローインクを得た。
【0131】
[比較例1]
実施例1で用いた各色のインクにおいて、自己分散型ウレタンアクリレートを含有しない以外は同じ組成の各色のインクを用いた以外は、実施例1と同様にして画像記録を行い評価を行った。結果を表1に示す。
【0132】
[比較例2]
以下に示す各色のインクを用いた以外は、実施例1と同様にして画像記録を行い評価を行った。結果を表1に示す。
【0133】
−ブラックインク−
・カーボンブラック: 4質量部
・ソルスパース 17000: 0.4質量部
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート: 55質量部
・ウレタンアクリレート: 10質量部
・プロピレングリコールジアクリレート: 25質量部
・イルガキュア 651: 4質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、ブラックインクを得た。
【0134】
−シアンインク−
・銅フタロシアニン顔料: 3.5質量部
・ソルスパース 24000: 0.5質量部
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート: 60質量部
・ポリエステルアクリレート: 8質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート: 25質量部
・ダロキュア 1173: 5質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、シアンインクを得た。
【0135】
−マゼンタインク−
・キナクリドン系マゼンタ顔料: 6質量部
・ソルスパース 24000: 0.6質量部
・ウレタンアクリレート: 10質量部
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート: 50質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート: 10質量部
・ジプロピレングリコールジアクリレート: 20質量部
・ダロキュア 1173: 5質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、マゼンタインクを得た。
【0136】
−イエローインク−
・アゾ系イエロー顔料: 4質量部
・ソルスパース 24000: 0.4質量部
・ポリエーテルアクリレート: 7質量部
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート: 55質量部
・トリプロピレングリコールジアクリレート: 10質量部
・イソボルニルアクリレート: 20質量部
・ダロキュア 1173: 5質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、イエローインクを得た。
【0137】
[実施例3]
以下に示す硬化性溶液、及び各色のインクを用いた以外は、実施例1と同様にして画像記録を行い評価を行った。結果を表1に示す。
【0138】
(硬化性溶液)
・ポリウレタンアクリレート: 30質量部
・ポリエーテルシリコーン変性アクリレート: 4質量部
・グリセリンプロポキシトリアクリレート: 20質量部
・アクリロイルモルホリン: 20質量部
・イルガキュア754: 3質量部
・スチレン−アクリル酸ナトリウム共重合体部分中和塩: 25質量部
上記組成の混合/攪拌を行い、硬化性溶液とした。
【0139】
(インク)
−ブラックインク−
・アクリレート基で表面修飾されたカーボンブラック(第2硬化性材料:硬化性モノマーを表面に持つ粒子): 5質量部
・トリエチレングリコール: 15質量部
・トリメチロールプロパン: 15質量部
・ジグリセリンオキシエチレン付加物: 8質量部
・オキシエチレンオレイルエーテル: 1.5質量部
・純水: 55質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、ブラックインクを得た。
【0140】
−シアンインク−
・アクリレート基で表面修飾された銅フタロシアニン顔料(第2硬化性材料:硬化性モノマーを表面に持つ粒子): 3.5質量部
・ジエチレングリコール: 10質量部
・グリセリン: 15質量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル: 6質量部
・オルフィンE1010: 1.0質量部
・純水: 65質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、シアンインクを得た。
【0141】
−マゼンタインク−
・アクリレート基で表面修飾されたジケト−ピロロ−ピロール系マゼンタ顔料: 4.5質量部
・プロピレングリコール: 15質量部
・ジグリセリン: 15質量部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル: 4質量部
・ポリオキシエチレントリグリセライド: 1.5質量部
・純水: 60質量部
上記組成を混合し、 5μmフィルターでろ過し、マゼンタインクを得た。
【0142】
−イエローインク−
・アクリレート基で表面修飾されたアゾ系イエロー顔料(第2硬化性材料:硬化性モノマーを表面に持つ粒子): 4質量部
・1,2,6−ヘキサントリオール: 10質量部
・ジプロピレングリコール: 5質量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル: 5質量部
・ポリグリセリンオレイン酸エステル: 1.0質量部
・純水: 75質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、イエローインクを得た。
【0143】
なお、上記アクリレートで表面修飾された顔料(第2硬化性材料:硬化性モノマーを表面に持つ粒子)は、次のようにして得られたものである。自己分散顔料を調整するのと同様に、顔料表面にカルボン酸機を導入し、導入されたカルボン酸基と、ポリエチレングリコールの一方の水酸基をエステル反応させたのち、もう一方のポリエチレングリコールの水酸基とアクリル酸をエステル反応させてアクリレートとすることにより、アクリレートで表面修飾された顔料を得た。
【0144】
[実施例4]
硬化性溶液は実施例1と同じものを用い、インクは下記の各色インクを用い、実施例1と同様にして画像記録を行ったのち、評価を行った。結果を表1に示す。
【0145】
(インク)
−ブラックインク−
・カーボンブラック: 5質量部
・ジエチレングリコール: 10質量部
・グリセリン: 8質量部
・尿素: 5質量部
・オルフィンE1010: 2質量部
・エステル末端がアクリレート変性された、スチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体(第2硬化性材料:顔料分散剤) 1.5質量部
・純水: 70質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、ブラックインクを得た。
【0146】
−シアンインク−
・銅フタロシアニン顔料: 5質量部
・トリエチレングリコール: 15質量部
・2-ピロリドン 5質量部
・サーフィノール440: 1.0質量部
・サーフィノール485: 1.0質量部
・エステル末端がアクリレート変性された、スチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体(第2硬化性材料:顔料分散剤) 1.0質量部
・純水: 75質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、シアンインクを得た。
【0147】
−マゼンタインク−
・キナクリドン顔料: 4.5質量部
・ジプロピレングリコール: 8質量部
・グリセリン: 15質量部
・N−メチル−2−ピロリドン: 15質量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル: 5質量部
・メタクリレートで変性されたポリグリセリン脂肪酸エステル(第2硬化性材料:顔料分散剤)1.2質量部
・純水: 50質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、マゼンタインクを得た。
【0148】
−イエローインク−
・アゾ系イエロー顔料: 6質量部
・1,5−ペンタンジオール: 10質量部
・ポリエチレングリコール(MW.200): 10質量部
・ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル: 2質量部
・オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー: 2.0質量部
・エステル末端がアクリレート変性された、スチレン-メタクリル酸エステル-アクリル酸共重合体(第2硬化性材料:顔料分散剤) 1.5質量部
・純水: 70質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、イエローインクを得た。
【0149】
[実施例5]
硬化性溶液は実施例2と同じものを用い、以下に示す各色のインクを用いた以外は、実施例1と同様にして画像記録を行ったのち、評価を行った。結果を表1に示す。
【0150】
(インク)
−ブラックインク−
・C.I.ダイレクトブラック154染料: 5質量部
・ポリエチレングリコール 400: 15質量部
・1,2-ヘキサンジオール: 5質量部
・オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー: 1.5質量部
・アクリレートで表面処理された、スチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体エマルション(第2硬化性材料:硬化性重合体を表面に持つ粒子 固形分濃度20wt.%): 30質量部
・チオキサントンアンモニウム塩: 1質量部
・純水: 45質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、ブラックインクを得た。
【0151】
−シアンインク−
・C.I.ダイレクトブルー199染料: 4.5質量部
・テトラエチレングリコール: 10質量部
・1,3-ブタンジオール: 5質量部
・ジグリセリンオキシエチレン付加物: 10質量部
・アクリレートで表面処理された、スチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体エマルション(第2硬化性材料:硬化性重合体を表面に持つ粒子 固形分濃度20wt.%): 20質量部
・チオキサントンアンモニウム塩: 1質量部
・純水: 50質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、シアンインクを得た。
【0152】
−マゼンタインク−
・C.I.ダイレクトレッド227染料: 4質量部
・エチレングリコール: 15質量部
・グリセリン: 13質量部
・オルフィンE1010: 2.0質量部
・アクリレートで表面処理された、スチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体エマルション(第2硬化性材料:硬化性重合体を表面に持つ粒子 固形分濃度20wt.%): 25質量部
・チオキサントンアンモニウム塩: 1質量部
・純水: 40質量部
上記組成を混合し、 5μmフィルターでろ過し、マゼンタインクを得た。
【0153】
−イエローインク−
・C.I.ダイレクトイエロー 132染料: 5質量部
・ジエチレングリコール: 17質量部
・グリセリン: 8質量部
・1.2−ブタンジオール: 2質量部
・オキシエチレンオレイルエーテル: 0.8質量部
・アクリレートで表面処理された、スチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体エマルション(第2硬化性材料:硬化性重合体を表面に持つ粒子 固形分濃度20wt.%): 20質量部
・チオキサントンアンモニウム塩: 1質量部
・純水: 60質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、イエローインクを得た。
【0154】
[実施例6]
以下に示す硬化性溶液、及び各色のインクを用いた以外は、実施例1と同様にして画像記録を行い評価を行った。結果を表1に示す。
【0155】
(硬化性溶液)
・ポリウレタンアクリレート: 25質量部
・アクリロイルモルホリン: 15質量部
・イソシアヌル酸トリアクリレート: 30質量部
・シリコーン変性ポリエーテルアクリレート 3質量部
・イルガキュア127: 3質量部
・スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシルエステル−アクリル酸Na塩共重合体:25質量部
上記組成の混合/攪拌を行い、硬化性溶液とした。
【0156】
(インク)
−ブラックインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なカーボンブラック: 4質量部
・ジエチレングリコール: 15質量部
・トリメチロールプロパン: 10質量部
・オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー: 2.0質量部
・ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(第2硬化性材料:硬化性モノマー): 5質量部
・純水: 65質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、ブラックインクを得た。
【0157】
−シアンインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能な銅フタロシアニン顔料: 5質量部
・ポリエチレングリコール200: 15質量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル: 5質量部
・ポリオキシエチレンソルビタンエステル: 3質量部
・ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(第2硬化性材料:硬化性モノマー): 6質量部
・純水: 65質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、シアンインクを得た。
【0158】
−マゼンタインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なキナクリドン系マゼンタ顔料: 6質量部
・プロピレングリコール: 5質量部
・グリセリン: 15質量部
・トリエタノールアミン: 4質量部
・オキシエチレンステアリルエーテル: 1.0質量部
・ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(第2硬化性材料:硬化性モノマー): 5質量部
・純水: 65質量部
上記組成を混合し、 5μmフィルターでろ過し、マゼンタインクを得た。
【0159】
−イエローインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なアゾ系イエロー顔料: 6質量部
・ジグリセリン : 13質量部
・N−シクロヘキシル−2−ピロリドン: 2質量部
・1,2,6-ヘキサントリオール: 7質量部
・サーフィノール440 : 0.5質量部
・サーフィノール465 : 1.5質量部
・ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(第2硬化性材料:硬化性モノマー): 8質量部
・純水: 60質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、イエローインクを得た。
【0160】
[実施例7]
以下に示す硬化性溶液、及び各色のインクを用いた以外は、実施例1と同様にして画像記録を行い評価を行った。結果を表1に示す。
【0161】
(硬化性溶液)
・ポリエーテルアクリレート: 15質量部
・ポリウレタンアクリレート: 20質量部
・グリセリンプロポキシトリアクリレート: 15質量部
・ダロキュア1173: 3質量部
・ヒドロキシエチルアクリルアミド 20質量部
・スチレン−アクリル酸ブチルエステル−フタル酸モノ−2−メタクリロイルオキシエチ・Na塩共重合体: 25質量部
・ソルスパース 24000 3質量部
上記組成の混合/攪拌を行い、硬化性溶液とした。
【0162】
(インク)
−ブラックインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なカーボンブラック: 5質量部
・ジエチレングリコール: 10質量部
・グリセリン: 15質量部
・サーフィノール 465: 1.5質量部
・水溶性エポキシアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 5質量部
・4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン:0.1質量部
・純水: 65質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、ブラックインクを得た。
【0163】
−シアンインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能な銅フタロシアニン顔料: 4.5質量部
・トリエチレングリコール: 10質量部
・1,6‐ヘキサンジオール: 10質量部
・ジグリセリンオキシエチレン付加物: 3.5質量部
・水溶性エポキシアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 5質量部
・4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン:0.1質量部
・純水: 65質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、シアンインクを得た。
【0164】
−マゼンタインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なキナクリドン系マゼンタ顔料: 4質量部
・ポリエチレングリコール400: 15質量部
・グリセリン: 10質量部
・2−2−ブトキシエトキシエタノール 5質量部
・オルフィンE1010: 0.5質量部
・水溶性エポキシアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 5質量部
・4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン:0.1質量部
・純水: 60質量部
上記組成を混合し、 5μmフィルターでろ過し、マゼンタインクを得た。
【0165】
−イエローインク−
・カルボン酸基を有する自己分散可能なアゾ系イエロー顔料: 4.5質量部
・テトラエチレングリコール: 8質量部
・グリセリン: 10質量部
・オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー: 1.2質量部
・水溶性エポキシアクリレート(第2硬化性材料:硬化性オリゴマー): 5質量部
・4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン:0.1質量部
・純水: 70質量部
上記組成を混合し、5μmフィルターでろ過し、イエローインクを得た。

【0166】
【表1】

【0167】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、画質、画像部・非画像部の境界の画像崩れ(耐久性)に優れることがわかる。
【符号の説明】
【0168】
10 中間転写ベルト
12 硬化性溶液層形成装置
12A 硬化性溶液
12B 硬化性溶液層
14 インクジェット記録ヘッド
14A インク
16 転写装置
18 刺激供給装置
101、102 画像記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの第1刺激により硬化する第1硬化性材料、及び吸水成分を少なくとも含む疎水性硬化性溶液を、被記録材に供給し、硬化性溶液層を形成する硬化性溶液層形成手段と、
外部からの第2刺激により硬化する第2硬化性材料を含む水性インクを、前記硬化性溶液層に付与するインク付与手段と、
前記硬化性溶液層の第1硬化性材料を硬化させる前記第1刺激を供給する第1刺激供給手段と、
前記水性インクの第2硬化性材料を硬化させる前記第2刺激を供給する第2刺激供給手段と、
を有する画像記録装置。
【請求項2】
前記被記録材は中間転写体であり、
外部からの第1刺激により硬化する第1硬化性材料、及び吸水成分を少なくとも含む疎水性硬化性溶液を、前記中間転写体上に供給し、硬化性溶液層を形成する硬化性溶液層形成手段と、
外部からの第2刺激により硬化する第2硬化性材料を含む水性インクを、前記硬化性溶液層に付与するインク付与手段と、
前記インクが付与された前記硬化性溶液層を記録媒体に接触させ、前記中間転写体から前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写する転写手段と、
前記硬化性溶液層の第1硬化性材料を硬化させる前記第1刺激を供給する第1刺激供給手段と、
前記水性インクの第2硬化性材料を硬化させる前記第2刺激を供給する第2刺激供給手段と、
を有する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記外部からの第2刺激により硬化する第2硬化材料が、外部からの第2刺激により硬化する硬化性重合体、及び、外部からの第2刺激により硬化する硬化性モノマー又は硬化性重合体を表面に持つ粒子から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記第2刺激供給手段により前記第2硬化性材料が硬化された後、前記第1刺激供給手段により第1硬化性材料が硬化されることを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−46115(P2011−46115A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196944(P2009−196944)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】